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2016年11月19日 (土) | Edit |
前の記事の補足です。

前の記事で、アンプ内蔵のバスレフ型スタジオモニタは共鳴周波数より下の低域信号をカットしているはずだと書きました。
今回は、それを確認してみましたというオハナシです。

下はYAMAHAのMSP5というスタジオモニタのF特図です。
Yamaha2.jpg
ウーハーは12cmです。このスピーカの共鳴周波数もやはり概ね70Hzです。以前ご紹介したチッチャナBluetoothスピーカ達も70Hzでしたね。。70Hzてもしかして定番なの?
前記事のFOSTEX製スピーカでは、40Hz以下のレスポンスが落ちずに殆ど歪みの音だけが出ていました。
しかし、このモニタスピーカのレスポンスは最後まで綺麗にストンと落ちています。ドシテデショーカ?

下はブロック図です。
Yamaha.jpg
やはり、入力後すぐにローカットフィルタで低域信号を減衰させています。上位機種のMSP7では、背面のスイッチでこのカットオフを80Hzまたは100Hzに変更できるようです。また、以前ご紹介したチッチャイBluetoothスピーカ君達も、F特を見ると明らかにローカットしています。パッシブラジエータ方式も、バスレフと同じような「空振り」が発生しますからね。

小型のバスレフでは、「空振り」の悪影響を低減するために、このような入力信号のローカットが非常に効果的だと思います。

この例でも分かるように、スピーカにアンプ/DSPを内蔵するとスピーカの挙動を適切に制御できるため非常に有利です。電子/電気技術が飛躍的に進歩したおかげで、そのような回路は非常に高性能かつ安価です。ですから、小型スタジオモニタの分野では、パッシブ型は殆ど姿を消しつつあります。何度も申しますように、スピーカのメカトロ化により、スピーカの性能は大きく向上します。

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2016年11月18日 (金) | Edit |
前の記事では、低音域ではスピーカの振動板振幅が増加する事によって主に2次と3次の高調波歪みが増加するというオハナシをしました。今回は、市販ブックシェルフ型2ウェイスピーカの歪み特性をご紹介します。

歪み特性がカタログ等で公表される事は稀なのですが、ネットで検索して見つかった貴重な2例をご覧にいれます。

まずはバスレフ型。
参考のため、以前の記事に掲載した振動板振幅のシミュレーショングラフを再掲します。
basR.jpg
黄色が振動板の振幅です。おさらいすると、
バスレフ型では、共鳴周波数で振幅が一度減少する。
それ以下の周波数では振動板が制動を失って振幅は激増する(いわゆる「空振り」状態)。
でしたよね。

下のグラフは、FOSTEXのGR160という16cmバスレフ型2wayの周波数特性です。
GR160_f (1)
このグラフには、2次(赤)と3次(青)の歪みがプロットされています。
共鳴周波数(約70Hz)で振動板振幅が減少するため、2次および3次歪みは実際に減少している事がわかります。それより低い周波数ではどちらの歪みも増加し、2次(赤)は約40Hzでロールオフしています。3次はさらに増え続けますが、25Hzくらいでロールオフすると思われます。

SPLは40Hz以下でフラットになっていますが、これは歪みが激増したためです。このスピーカから40Hz以下の音は殆ど出ません。
このスピーカに40Hzの信号を入力した場合、出てくる音のほとんどが2次(80Hz)と3次(120Hz)の成分で占められ、元の40Hzの成分はほとんど含まれません。つまり、40Hzのマドンナのズンドコビートの信号が入力されると、このスピーカからは40Hzではなく80Hzと120Hzの音しか出てこないという事です。さらに30Hzでは、殆ど3次成分だけになります。つまり、ソースに強い30Hzの信号が含まれていた場合、このスピーカからは90Hzの音しか出てきません。

ここで忘れてならないのが、我々の耳には周波数の高い音の方が良く聞こえるという事実です。例えば、30Hzに対して125Hzの音は約25dBも大きく聞こえます。つまり、極低音の2次や3次の歪みの音は、元の音よりも遙かに敏感に聞こえやすいという事です。ホンマ厄介ですね。低音再生は。。。

下は、上の特性図から計算した歪み率(%)です。
BR.jpg
緑が3次、赤が2次です。青破線は2次と3次の合計です。4次以上は非常に僅かであると仮定し、ここではこれをTHD (総高調波歪み)と見なします。

1kH以上の歪み率は2次も3次も0.2%以下しかありません。なぜなら、振動板の振幅は非常にわずかだからです(シミュレーション グラフを見てね)。周波数が下がるにつれて振幅が増加するため歪み率も徐々に増加し、100Hzにおける3次歪み率は1%を少し超えています。

そこから、共鳴周波数(70Hz)に向けて歪み率は一度減少しますが、その後は空振り状態となって激増します。THD (2次+3次)は、50Hzで10%、40Hzで70%、30Hzで90%に達します。つまり、40Hz以下では元の周波数の音は殆ど含まれなくなります。以前の記事に書いたように、バスレフ型の場合、共鳴周波数より下の音は殆ど聞こえないか、聞こえたとしても音階がアヤフヤになるというのは、正にこういう事です。さらに、過渡的な問題も生じるため、出てくる音は元の信号波形とは似ても似つかぬ出鱈目な波形になります。もう、「ナンカ音が出てるだけ」という状態です。もはや「再生」と言えるレベルでは全くアリマセン。音階によっては根音(例えばドレミのド)が全然聞こえないか、聞こえたとしても音階とリズムが狂って聞こえるという事です。音楽ソースによっては40Hzまでかなり強い信号が含まれるため、この問題は顕著に感じられる場合があります。
聞いているうちにだんだんとイライラしてきて、ポートにティッシュペーパーや吸音材を詰め込み始めるのは恐らくそういう事です。

下は最近見つけたFOSTEX GX100Limited (10cm)の特性です。参考として追加しておきます。
l_ts_fostex100gxltd09.jpg

最近のスタジオ用モニタの殆どはアンプとDSP(デジタル信号プロセッサ)を内蔵していますが、それらのF特を見ると、バスレフの共鳴周波数より低い信号を非常に急峻なハイパスフィルタで除去しているように見受けられます。つまり、デタラメな音しか出てこないなら、入力信号をスパッとカットして全然聞こえないようにしてしまえ!という事です。共鳴周波数が比較的高い小型バスレフでは、そのような手立てが必須だと思います。シツコイですが、そんなんやったら密閉にしてDSPでちょっとだけブーストしたらエーヤンと思うのですが、何故そうしない?そのココロハ?

次に密閉型です。
下は、クリプトンKX-3PIIという密閉型2ウェイスピーカの特性です。ウーハーは17cmです。
KX-3P.jpg
横軸の左端は20Hzではなく35Hzくらいですので注意してください。F特は約50Hzまでフラットです。素晴らしい!
密閉型の現象はシンプルです。周波数が低下するにつれて振幅が増加して歪みが単純に増加します。途中で低下し始めるのはロールオフ現象です。2次も3次も約130Hz (約65Hz x 2、約45 Hz x 3)でロールオフしています。

下はグラフから読み取った歪み率です。
closed.jpg
赤が2次、緑が3次の歪み率です。密閉型は現象がシンプルなので説明は不要ですね。100Hzにおける3次歪みは0.2%以下であり、40Hzでも2%以下です。これは私のRoar+サブウーハの通常音量での特性とほぼ同等です。実用状態でこの特性なら私の基準を満たしてくれます。

しかし、ここで注意が必要なのは、これは1W入力で計測された値であるという事です。このスピーカの効率(1W入力で1m離れた位置で計測した音圧)は85dB以上あるため、一般的な住宅の一般的な広さの部屋で、一般的な快適音量(耳位置で70~80dB)でもって音楽を聞くのであれば、入力は概ね1W以下で十分でしょう。ですから、常識的な条件で音楽を聞く限り、このスピーカの40Hzでの3次歪みが2%を超える事はまずなかろうと思われます。しかし、アンプのボリュームを上げて敢えて大音量で聞こうとすると、振動板の振幅が増加し、3次歪みは激増するでしょう。

85dB以上で音楽を長時間聴いていると難聴を発症する危険性が高くなると言われます。微細なオトのチガイを聞き分けようとするマニア達にとって、難聴は致命傷でしょう。あるいは、長年の大音量再生で既に難聴気味になっているために、ますます大音量で聞こうとするのかもしれません。たまのライブならまだしも、日常的に大音量で音楽を聞く事は、音質面でも健康面でも良かろうはずがアリマセン。ご注意を。。。

という事で、市販の2ウェイスピーカの歪み特性について考察しました。
私がナゼそこまでバスレフ型を忌み嫌い、密閉型を好むのか、よくお分かりいただけたと思います。

次回は、基本の基本シリーズの最終回です。
オッタノシミニ!
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2016年11月16日 (水) | Edit |
前回は、周波数が低くなるにつれてスピーカの振動板振幅が急増し、その結果として低音の歪みが増加するというオハナシをしました。では、振動板の振幅が増加すると、なぜ歪みが増加するのでしょうか。今回は、ソノヘンについてオハナシします。

スピーカの振動板はエッジとダンパ(スパイダとも呼ぶ)によってフレームに支持されています(Alpair5のようにダンパが無いやつもある)。このサスペンション機構は、振動板を常に中立位置へ引き戻そうとするバネとして働きます。このバネの特性がどこまでも直線的(リニア)に伸びるのなら良いのですが、ある程度振幅が大きくなると、引き戻す力が急激に増加します(つまりサスペンションがもう伸びられないと突っ張る、バネの特性が非線形になる)。そうすると、振動板の動きが頭打ちになって、信号通りの音を出せなくなります。このような振動板の運動の頭打ちが発生すると、元の周波数の3倍の周波数(元の音が40Hzなら120Hz)を持つ歪み(3次高調波歪み)が発生します。つまり、元の信号にはないノイズが3倍の周波数で発生するという事です。

この振動板の頭打ちは、サスペンションの非線形性によって生じるだけでなく、ボイスコイルとマグネットギャップで構成される磁気回路(モーター)の非線形性によっても生じます。概ね正しく(線形的に)ボイスコイルを駆動できる振幅はXmaxと呼ばれ、カタログ値として表示される場合があります。下はXmaxの概念図です。詳しくは過去記事を参照してください。
xmax.jpg

サスペンションと磁気回路のどちらかの線形性が悪化すると3次の歪みが増加します。どちらが欠けても駄目ですよ。両方が大切です。

以下は私が実際に計測したサスペンション特性の例です。
spring.jpg
Driver AはP社製の比較的設計の新しい13cmクラス市販ウーハーです。最近のトレンドに倣い、非常に大きなXmax値をカタログで謳っています。Driver Bは、お馴染みMarkAudio製13cmフルレンジドライバです。
横軸は振動板の中立位置からの移動量(振幅)です。引っ込み側で計測しています。
縦軸はサスペンションが振動板を中立位置に向かって引き戻そうとする力です。
グラフにはXmaxのカタログ値もプロットしています。

どちらも、振動板が大きく動くと、最後には引き戻す力が急激に増加します。これはサスペンションが伸びきって、これ以上伸びるのがシンドイ状態です。DriverAに比べてDriverBの引き戻す力は全体的に弱く(つまりサスペンションが柔らかい)、右側へより長く直線的に伸びています(つまり直線性が保てるストロークが長い)。

Xmaxに注目すると、DriverAの方がカタログ値のXmaxは大きいのですが、Xmax(つまり磁気的限界)に達する前にサスペンションの機械的限界に達してしまいます。これに対し、DriverBはXmaxの位置でもサスペンションの直線性(ストローク)にまだまだ余裕があります。つまりDriverBでは磁気的限界の方が先に来るため、サスペンションの直線性が良好な領域内だけで振動板が駆動されます。

下は、これらのドライバで計測した40Hzにおける3次歪み率です。
hizumi.jpg
DriverAはある音量から3次歪みが急激に増加しますが、DriverBの3次歪みは計測した範囲では殆ど増加しません。過去記事をご覧になると分かりますが、このMarjAudioドライバは最後の最後まで3次歪みは激増しません。正に驚異的です。

以上から、サスペンション特性の重要性が十分にお分かりいただけたと思います。また、最近の市販ドライバの多くがカタログで非常に大きなXmax値を謳っていますが、サスペンションの特性がそれに見合ってロングストローク化していなければ、宣伝用のハッタリに過ぎないと言えるでしょう。カタログのXmax値については注意が必要です。Xmaxは単なる機械的設計寸法として簡単に大きくできるのですが、サスペンションの設計には非常に高度で繊細なメカニカル エンジニアリングが求められます。

一般的に、スピーカの高調波歪みは、2次と3次に大きく現れます。4次以上の歪みも現れますが、それらは2次/3次に比べて非常に小さい(通常は1%を大きく下回る)ため、気にする必要はありません。
3次歪みは、機械的および磁気的な限界によって振動板の動きが頭打ちになる事によって生じる事は既にオハナシしました。
2次歪みは、振動板の出っ張り側と引っ込み側で機械的および磁気的な特性が異なる事によって生じます。つまり、動きが中立位置を挟んで出っ張り側と引っ込み側で非対称になる事によって生じます。

この事を分かりやすく説明するため、シミュレーション波形をお見せします。クリックで拡大してご覧ください。
simu.jpg
青の波形が振動板の動きです。振動板の動きがそのまま圧力(音)の波形になるのではありません。圧力は振動板の動く速さに比例します。つまり振動板の動きを時間微分する事で音の波形が求まります。緑が、その音の波形です。

▼左上の図は歪みの全くない状態です。振動板の動きも音の波形も完全な正弦波です。
▼左下の図は、振動板の動きを正弦波(赤破線)に対して上側へ偏らせた場合の結果です。そうすると2次歪みが発生して音の波形は右側へ偏ります。この波形の2次歪み率は約7.5%です。
▼右上の図は、振動板の動きを上下で少し頭打ちにした場合の結果です。すると3次歪みが発生して波形の頭が尖ります。この波形の3次歪み率は約2.5%です。
▼右下の図は、さらに大きく頭打ちにした場合の結果です。音はもはや正弦波とは全く異なります。この波形の3次歪み率は約7.5%です。

3次歪みは振動板がある振幅を超えると雪崩を打つように激増しますが、2次歪みは振幅に対してどこまでも単調に緩やかに増加します。このため、スピーカの低音再生限界は3次歪みが激増する振幅によって決まります。

2次歪みは、3次歪みに比べると聴感的にあまり気になりません。私が自分で行った聴感試験によると、2次歪みは数%あっても許容できます。しかし、3次歪みは2%が限界であり、願わくば1%以下に抑えたいところです。詳しい実験の内容は過去記事をご覧くださいませ。

2次の歪みは2倍の周波数を持ちますから、元の音の丁度1オクターブ上の音です(元の音がドなら2次高調波の音は1オクターブ上のド)。なので、余り気にならないのかもしれません。あるいは、単純に3次よりも2次の方が元の周波数に近いからなのかもしれません。その辺は不明です。しかし、とにかく、3次歪みというヤツが、極端に低音再生クオリティを劣化させる最大の要因である事は確かです。LEANAUDIOを通して私はこの事を痛感し、最終的にMarkAudio製ドライバを使う事によってこの問題を大きく改善する事ができました。当ブログにはその経緯を克明に記録してありますので、ご興味のある方は過去記事をご覧くださいませ。

あ、そうそう、大事な事を忘れていました。
当然ですが、再生音量を上げると振動板振幅はダイレクトに増加し、従って低音の高調波歪みもダイレクトに増加します。必要以上に音量を上げる行為は音質面から見ても考え物です。アンプのボリュームを上げて行くと、音が全体的にザワツキ始めるのが分かると思います。これは、主に低域の歪みの増加によるものです。中高域の振動板振幅は元々非常に小さいため、音量を上げても歪みは低音に比べて遙かに小さいですからね。この事からも、低音の再生クオリティが音楽再生全体の印象(クオリティ)に大きく影響する事が実感できると思います。また、小さな音量で聞くニアフィールドリスニングは、この点でも明らかに有利です。

次回は市販2ウェイスピーカ(密閉型とバスレフ型)の歪み特性について書いてみますね。

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2016年11月14日 (月) | Edit |
前回の記事で、イヤフォン/ヘッドフォンに比べてスピーカによる低音再生がいかに難儀であるかがお分かりいただけたかと思います。

今回は、スピーカの振幅は低周波域で急増して歪みが大きくなるというオハナシです。

装置の小型化を図るには、ドライバをできるだけ小径にする必要があります(38cmウーハなんか、狭いお部屋で絶対使いたくないですからね。高価だし)。しかし、小さなドライバで十分に低い音まで再生しようとすると、小径のサブウーハを追加する方式にしろ、フルレンジで信号をブーストする方式にしろ、あるいはバスレフ方式にしろ、振動板の振幅は同一音量で比較すると大径ドライバを使う場合よりも大きくなります。そうすると、ドライバの機械的限界によって歪みが急増します。

この歪みは、通常、基本の周波数の整数倍の周波数で発生します(40Hzを再生する場合、80、120、160Hz、...で発生)。つまり、非常に低い音を再生しようとすると、それより何倍か高い周波数でノイズが発生し、全体的な再生クオリティが劣化します。LEANAUDIOでは、デスクトップ用の小さなシステムでイヤフォンなみの低音再生クオリティを達成しようと試みたわけですが、この低音歪みの重要性を痛感しました。歪みが多いと、低音はかえって大きくバンバンと聞こえるのですが(何故なら、歪みは高い周波数で発生し、人間の耳には高い周波数の方が聞こえやすい)、イヤフォンのようにズシリと重い本当の低音が聞こえないのです。良質な低音は静かだと言われますが、正にそのトーーーリ。

そして、様々なドライバを試した結果、MarkAudio製ドライバに行き着きました。当ブログで計測結果を再三ご紹介した通り、MarkAudio製のフルレンジ ドライバは、同等サイズのウーハーよりも低音再生能力がずば抜けて優れており(大振幅での歪みが非常に小さい)、トータルの音楽再生クオリティが明らかに向上するからです。過去記事をご覧くださいませ。

これは、ドライバの機械的な設計(サスペンションのコンプライアンス(柔らかさ)と直線性が保たれるストローク)が他社製とは異次元と言って良いほど優れているからです。小径のAlpairというと、高域が優れているように思われるかも知れませんが、本当のヒミツは低音再生の優秀さにあります。低域のクオリティが高いからこそ、トータルの音楽再生クオリティが高く聞こえるという事です。音楽の構造と同様、最低音域の再生は音楽再生の土台であり、全体のクオリティを大きく左右すると言うのが、LEANAUDIOを通した私の結論です。

さて、これからちょっと難しいオハナシになりますが、この問題についてできるだけ易しく説明できるよう頑張ってみますね。

下はスピーカー設計プログラム(アプレット版)によるシミュレーション結果です。
黄色の線で示した振動板の振幅に注目してください。

密閉型
mippei.jpg

バスレフ型
basR.jpg

重ねたグラフ
kasane1 copy

ドライバと箱の容積はどちらも同じです。入力信号の大きさは全ての周波数で一定ですが、周波数が1kHzを下回ると、どちらの形式でも振幅が急激に増加する事が分かります。

密閉型とバスレフ型の振幅(黄色のライン)を比較すると、120Hzくらいまではほとんど同じです。それ以下では、密閉型の振幅は周波数の低下に伴って単調に増加します。途中の膨らみは、箱の中の空気と振動板が共振するために生じます。私のように吸音材を大量に使うと、共振は抑えられてこの膨らみは目立たなくなります(ただし、レスポンスも低下する)。

他方、バスレフは共鳴周波数(約75Hz)で振幅が一度最小となります(理想的な共鳴では、理論的に振幅は0となる)。これがバスレフの良いトコロです。一見、バスレフ用のドライバは、密閉型ほど大振幅の歪みを重視しなくても良いように思われます。しかし、決してそうではありません。共鳴周波数より下ではレスポンス(聞こえる音の大きさ)が急激に減衰するのに、振幅は一気に増加し、60Hz以下では密閉型よりも大幅に大きくなってしまいます。制動を失った振動板がスカスカ動くのに、ポートからの音が振動板からの音を打ち消してしまうので、音が聞こえないという、いわゆる「空振り」の状態です。そして、振幅が激増すると、歪みも急激に増加し、歪みの周波数はポートからの音によって打ち消されないために、耳に聞こえてしまいます(元の周波数の音は殆ど聞こえないのに歪みの音ばかり聞こえる状態)。
共鳴周波数が十分に低ければ(例えば40Hz以下)、それ以下の音楽の信号のレベルは一般的に十分に低くなるため、これはあまり問題になりません。しかし、小型バスレフでは共鳴周波数が比較的高く(例えば、約70Hz)、それ以下の音楽信号のレベルもソコソコ高いため(例えば、マドンナのズンドコビートは約40Hz/-12dB)、かなり大きな空振りが(従って歪みが)発生するはずです。

小型システムにおいて、バスレフ方式というのは非常に不利な選択だと思えてなりません。LEANAUDIOでも様々な手立てを試しましたが、イヤフォンをリファレンスとする私にはバスレフ型がとうとう受け入れられませんでした。仕事しながら長いこと聞いていると、だんだんと違和感が募り始め、ティッシュでポートをドンドン埋めてしまって、とうとう密閉型になる。。というのを散々繰り返しましたからね。密閉型に対してほんの狭い周波数領域のレスポンスを精々6~8dB程度稼ぐために支払う代償が、あまりに大きすぎるように感じます。で、それやったら密閉型をちょっとブーストしたらエーヤンとなるのです。

長くなったので、今回はオシマイ。

今回の結論は、特に小型のシステムにおいては、密閉型にしろ、バスレフ型にしろ、振動板の大振幅時の歪みを抑える事が重要だという事です。

次回は、歪みが発生するメカニズムと、実際のスピーカの歪み特性をご紹介しようと思います。

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2016年11月12日 (土) | Edit |
蓄音機の周波数特性を見つけたのでご紹介します。

横浜蓄音機ミュージアムのサイト(コチラ)をご覧ください。

ヒズマスターズボイスというモデルだそうです。
HMV F
100Hzと4kHzがほぼ同じレベルですから、40万ヘルツの法則通りですね。具合良く聞こえるよう、ホーンの形状を入念に作り込んだのだと思います。帯域は狭いですが、高低のバランスが良いので十分に音楽を楽しめたのでしょうね。

タブンこういう形の装置だと思います。
HMV.jpg
装置の下部に大きなホーンが格納されています。一切電力を使わない超エコシステムですね。

これに比べると、現代の一般的な小型ブックシェル サイズのバスレフ型は明らかに高い方へ偏り過ぎでしょう。しかも、最近は蝙蝠さん領域まで特性を一生懸命に伸ばしていますよね。私としては、まず低い方向へ伸ばすよう努力するのが筋だと思うのですが。。。ドナンデショーカ?????

我々の感覚は非常に相対的です。
低音が十分と感じるかどうかは、高音の大きさによって左右されるという事です。
同様に、快適な再生音量も周囲の暗騒音レベルによって左右されます。静まりかえったクラシックのコンサートであっても、何百人もびっしりと人が居るわけですから、自分の部屋でヒトリ静かに聞く場合に比べて暗騒音は相当大きいはずです。ロックコンサートなら、それはもう凄まじい暗騒音でしょう。ですから、オウチでヒトリ静かに音楽を聴く際に、ライブと同じ音量にして聞く必要は全くアリマセン。相当な苦痛を強いられるはずですから。脂汗が出そう。。。耳にも良くないし。。

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