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2016年11月10日 (木) | Edit |
前回からの続きです。

前回は、ハーモニーは西洋音楽の重要要素であり、演奏するにも鑑賞するにもハーモニーの最低音である根音を聴く事が大切であるらしいというオハナシをしました。また、オーケストラの根音を受け持つコントラバスの最低音階は41.2Hzであるというオハナシもしました。私がカナル型イヤフォンでベトベン交響曲を聴いた時にショックを受けたのも、そういう事(すなわち、巨大なハーモニーの根音が明瞭に聞こえたという事)だったのね。。と改めて納得した次第です。LEANAUDIOの最重要課題はデスクトップでイヤフォンなみの低音再生を実現する事でしたが、それは根音を正しく聴くための試みであったとも言えるでしょう。

以下は、ジャンルの異なる楽曲の1曲全体の信号スペクトルです(CDからの信号を直接FFTで解析)。
music spct
黄色のレンジが40~100Hzです。
どのジャンルでも、スペクトルは右下がりであり、100Hz以下で最大になります。音楽が物理的に発生する音の大きさというのは随分と低音側に偏っている事が分かります。でも、実際にはこんなにふうに低音に偏ったように聞こえませんよね。

下は人間の聴覚の感度を表した曲線(A特性)です。
Acurve.jpg
私達の耳の感度は、音の周波数が下がるにつれてどんどん低下します(音程の低い音はあまり大きく聞こえない)。私達は一種のハイパスフィルタを通して音(音楽)を聴いていると言えるでしょう。そこで、FrieveAudioで設定したA特性ソックリのハイパスフィルタを通してCDからの信号を解析してみました。

Music Acurve
私達には、音楽がこんな感じで聞こえているはずです。ベトベンもマドンナも、可聴帯域(20Hz~20kHz)の中央に陣取って左右対称のカマボコ型の分布を示します。また、音楽の中の40Hzと10kHzの音の大きさがほぼ同じに聞こえるという事も分かります。マドンナの曲は、ベトベンに比べると低音と高音が張り出したいわゆるドンシャリ的な分布を示しますが、40Hz以下と10kHz以上で急激に減衰していますね。

以上から、西洋音楽の主要成分はジャンルや時代に関係なく(ベトベンでもマドンナでも)40Hzから10kHzの間で、高音/低音のどちらにも偏らずにバランス良く分布している事が分かります。塩梅良く聞こえるように音楽を作ると、自然とこのようなバランスになってしまうという事なのでしょう。私はこれを「西洋音楽の黄金バランス」と呼んでいます。

これは、有名な40万ヘルツの法則(再生装置の下限周波数と上限周波数の積が約40万ヘルツであれば音楽を快く聴く事ができるという法則)とも非常によく対応していますね。この法則に従うと、スピーカの下限周波数が60Hzである場合、約6.7kHz以上の高域を減衰させた方がバランス良く聞こえるという事になります。つまり黄金バランス(西洋音楽に固有の基本的音楽性)を崩さないように再生するのが大切という事なのでしょう。以前の記事で紹介したBoseのBluetoothスピーカは、約8kHzから上を減衰させていましたよね。

もちろん可聴帯域全域(20Hz~20kHz)を完全にフラットに再生するのが理想です。しかし、20Hzをスピカで再生しようとすると、とんでもない非現実的なサイズになってしまいます(イヤフォンは20Hzでも普通に再生します)。家庭用装置の現実的な目標は、まず40Hz~10kHzをしっかりと再生する事でしょう。40Hzまでしっかりと再生できれば、コントラバスの最低音階を正しく聴く事ができます。

40Hzが無理であるならば、高域を適度に減衰させてバランスを取る事も重要でしょう。しかし、そのような小型装置でバスレフ等の共鳴効果を利用する事には疑問を感じます。なぜなら、共鳴周波数以下の音が殆ど(または全く)聞こえなくなってしまうからです。例えば、ドミソの和音のドの音がゼンゼン聞こえなくなるという事です。また、多少聞こえたとしても、歪みが激増し過渡的な波形も大きく崩れます。前の記事に書いたように、根音が正しく聞こえるかどうかは、奏者にとっても鑑賞者にとっても決定的に重要です。密閉型であればレスポンスは緩やかに減衰するため、ロールオフ以下の音域であってもとにかく音は正しく出してくれます。小さいながらも根音は正しく聞こえるという事です。これは決定的な違いです。

また、バスレフ等の共鳴方式は、周波数と振幅が一定の定常状態では理想的に機能するのですが、音楽信号のような過渡入力に対しては応答が遅れたり、条件によっては音程すらアヤフヤになってしまいます。つまり、もう2つの要素であるメロディーとリズムが狂ってしまい、LEANAUDIOの目標であるイヤフォンのように正確には聞こえないという事です。そのような現象を示す計測データは、当ブログで再三お見せしましたよね。

ですから私は密閉型パワードウーハを好みます。また、小径フルレンジ一発のミニマムなシステムであれば、密閉型にし、3次歪みが許容できる範囲で低域信号を適度にブーストした上で、高域を緩やかに減衰させてバランスを取るのが最善でしょう。その場合、MarkAudioドライバのように、優れた機械的特性を持つリニアリティの高いロングストローク ドライバが理想的です。私の知る限り、そのような用途にはZAPに使っているAlpair6Mが最適です。超オススメ!Alpair6Mの詳しい事は当ブログの過去記事にあります。

私にとって、共鳴周波数を十分に下げられない小型のバスレフは最悪です。バスレフなら、共鳴周波数を40Hz近くまで下げたいものですが、そうすると装置が巨大になります。パッシブラジエータ方式の方が良いかもしれません。

次回は、スピーカによる低音再生の難しさについて書く予定です。
オッタノシミニ!

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