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2013年11月28日 (木) | Edit |
Evo ZXRのSurroundエフェクタを使うと、すこぶる良い具合にステレオソースを聴けるのですが、「離れた前方にあるスピーカ」から聞こえるように感じるわけではありません。左右が適度にミクスされて、自然なセパレーションで快適に音楽を聴けるようになるというだけであって、音はあくまでもヘッドフォンから聞こえます。いわゆる「アタカモメノマエニ」とか「アタカモソノバニ」といった「リンヂョカン」を求めない僕には、これで全く問題アリマセン。

ところで、人間はどのようにして音源(スピカ)との距離を判別するのでしょうか?

視覚の場合、両眼の視差によって物体の遠近を判別します。これを利用したのがステレオ写真とか、飛び出る映画です(いわゆるステレオスコープ)。また、遠近によってピント位置が異なるため(水晶体の厚みを変化させている)、片目でも遠近を判別できます。このように、視覚は方向と遠近を極めて正確に認識できます。さらに、幾何学的情報(遠くの物体ほど小さく見える)や、空気の不透明さ(遠くの物体ほどぼやけて見える)等も補助的に利用します。平面に描く絵画では、これらを利用して遠近感を表現していますし、騙し絵はこれを逆手に取ったトリックです。

視覚に比べると、聴覚の空間認識能力は遙かに劣ります。左右は比較的正確に知覚できますが、前後や上下の方向感覚はあまり頼りになりません。音源との距離を聴覚だけで直接的に判別する事は殆ど不可能であり、視覚や経験および補足的聴覚情報に頼って「距離感」を得ていると思われます。補足的聴覚情報としては、音の大小関係(特に環境騒音または反響音に対する対象からの直接音の大小関係)や、音の時間的遅れ(遠くからの音ほど視覚情報に対して遅れる、ホールが大きいほど反響音は遅れる)等が挙げられます。
例えば、僕の持っているベトベン全集の録音にはホールトーンが多く(僕にとっては過剰に)含まれているため、ステージがなんだか遙か遠くに感じられて僕にはもどかしく思えます(オンガクがよく聞こえへんやないか!ベトベン聞かせんかい!ベトベンを!オイラはアタカモその場に居たいなんて微塵も思わないんだからさ!。。とね )。

全く暗闇の無響室では(つまり視覚情報も補足的音響情報も皆無の環境では)、果たしてどの程度音源(スピカ)の遠近を知覚できるのでしょうか。頼れるとすれば、極端な大音量において頭部以外で感じられる空気の振動(音圧)くらいしかありません。裸になったり、極端な厚着をしてみたりして実験するとオモシロイかもしれませんね。

以上の事から、ヘッドフォンで距離感を表現しようとする場合、特定の広さと反響特性を想定した反響音を人工的に加えると良いでしょう。しかし、それでも、離れた前方のスピカから聞こえるようには感じられないと思います。何故ならば「自分はヘッドフォンでき聞いている」という事を自覚しているからです。

なんなら、前方に実際のスピカを置いておけば良いでしょう(空間認識において視覚情報の影響が圧倒的に大きい)。また、ヘッドフォンを装着しているという事を感じさせない装着感も重要でしょう(触覚情報の影響も大きい)。最終的には「自分はヘッドフォンではなく前方のスピーカの音を聞いているのだ。。」と自己暗示にかけるのが最も効果的でしょう(ヘッドフォンを装着しているという自覚の影響が最も大きい)。純粋な聴覚の空間認識なんて、その程度のもんです。所詮は。。

まあ、それでも、反響音を加えた方が多少の距離感は演出できるでしょう。反響音の加え方にはいくつか考えられます。
1つは、リバーブ等のDSPエフェクタを使って後から追加する方法です。これはFrieveAudioでも簡単にできます。
もう1つは、著名ヒヨロンカセンセご自慢のリスニングルームなり(可能であれば丹精込めた自分のリスニングルーム)で、ダミーヘッドをリスニング位置において、左右スピカ位置から左右耳へのインパルス応答を計測し、そのデータをDSPのコンボルバに適用する方法です。FrieveAudioにはコンボルバ機能が備わっているので、インパルス応答データさえ入手できれば簡単に試せます。さらにFoober 2000なら、そのようなデータを含むプラグインを実際に入手できるようです。お試しあれ。。(なお、後者の方法では、当然ですが部屋の定在波の影響もそのまま再現されます)

また、無響室でも同様のレイアウトでインパルス応答を計測しておけば、リスナの好みに応じて反響音の強度を調整できます。そもそも殆どのステレオソースにはホールトーンなり人工的リバーブが既に加えられているので、ワザワザ再生場(部屋)で反響音を追加する必要性はあまり無いように思いますし、逆に重要な情報(せっかくのホールトーンやディティール)を損なうようにも思えます。ヘッドフォンにどうしてもスピカと同等の距離感等を求める(ヘッドフォンをスピカの代替と考える)方々や響かせ好きの方々には喜ばれるかもしれません。

追記
どのように理想的にバイノラル録音しようが、所詮は聴覚情報しか記録/再生できません。ですから、バイノラルのリンヂョ感に過剰な期待を寄せるのは危険です。あくまでも、耳位置におけるスタジオでの音響現象を、再生場の影響を全く受けずに、リスナの耳位置で正確に再現できるというに過ぎません。バイノラル録音/再生の最大の利点は、制作時と鑑賞時の環境を容易に近付ける事ができるという点にあります(部屋やソーチの影響を完全または大幅に排除できる)。
マニア達が強く求める、いわゆる「リンヂョ感」というやつには聴覚情報以外の様々な主観的要素が含まれます(全く個人的な好みの問題)。どんな機械でもそうですが、出来ること(アルモン)と出来ない事(ナイモン)を明確に理解し、アルモンを存分に楽しみ、ナイモンを徒に追い求めない事が重要です。でないと永遠にグルグルです(それを自覚した上でソレ自体を趣味として楽しむ分にはもちろん問題アリマセン。マニアとはそいうものですから。しかし業界のクロートさん達が率先してグルグルしてはアキマセン)。

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テーマ:オーディオ
ジャンル:趣味・実用
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