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2013年07月17日 (水) | Edit |
しつこいですが、今回もハイパスフィルタについてです。

教科書通りに素直に位相だけで考えれば別にヤヤコシクもなんともありませんが、臍曲がりな僕のように時間で考えようとするとコンガラガッテしまいます。今回の内容は実用的には重要ではないですので、適当に読み飛ばしてください。たんなる知的好奇心を満たすためにやっているだけですから。。。

下は、DACチャンデバのHPFの出力波形です(スピカの音ではなくDACの電圧出力)。
カットオフは約100Hzに設定しています。
ハイパス波形
- グレーがフィルタなしの信号波形、赤がフィルタを通過した出力波形(正相)です。
- カットオフよりも十分に高い周波数(400Hz~)で出力は入力に対して遅れナシ(0°)に漸近します。
- カットフ近くの100Hzで、出力の「位相」は入力に対して約+90°(進み)です。
- カットオフよりも十分に低い周波数(~25Hz)で、出力の「位相」は+180°(進み)に漸近します(つまり入力に対して完全に反転する)。
以上は教科書通りの挙動です。

しかし、時間を基準に考えると入力の事象に対して出力の事象が進む事は有り得ません。25Hzのフィルタ出力の最初の谷(-)は、信号の最初の山(+)の1つ前にある「幻の」谷(-)に対する応答であろうはずがアリマセン。

次に、DACフィルタの出力波形を反転し、同じフィルタ特性を持つFrieveAudioデジタルフィルタの出力波形と比較してみました。
ハイパス波形 反転
- グレーがフィルタなし、赤がDAC HPFの反転した出力波形、青がFrieveAudioで設定した等価HPFの出力波形(反転せず)です。
- こうすると、お馴染みのLPFと同じように、出力(ただし反転)はカットオフよりも十分低い周波数(~25Hz)で信号に対して遅れなし(0°)に漸近し、カットオフ近辺(100Hz)で入力に対して90°遅れるように見えます。
- デジタルフィルタ(青)では位相はマッタク回転せず極性も反転しません。
- 低い周波数信号の立ち上がりで強いピークが発生するのは、周波数特性がフラットではない事に起因する過渡挙動です。

次に、いつものように春の祭典の波形です。
前の記事では、ソース信号にFrieveAudioで非常に狭いバンドパスを適用しましたが、これでは単波長信号に近づく(波形がほぼ上下対象となる)ため、入力対出力の位相関係(時間的関係)が見極めにくくなります。そこで今回は、カットオフを中心とする50~150Hzと、カットオフから十分に高い200~600Hzを通過させるバンドパスをFrieveAudioで設定しました。
50~150Hz
春50-150
- グレーが50~150Hzだけを含む入力信号波形、緑がDACのHPFを通過した出力波形(反転)、暗い赤が反転しない出力波形です。
- 各出力波形はできるだけ信号波形に一致するよう、左右に(時間方向に)シフトしています。
- 明らかに反転した緑の波形の方が信号波形によく対応します。信号に対する反転波形の位相は概ね-90°(遅れ)です(基準パルスは左方にシフトする)。
- つまり、カットオフを中心とするこの周波数領域では、HPFの出力は入力に対して反転した上で概ね90°分時間的に遅れています。

では、これよりも高い周波数では、反転波形が180°近くまでドンドン遅れるのでしょうか??実はそうならないようです。ここがフシギなトコロ。。。
200~600Hz
春200-600
- グレーが200~600Hzだけを含む信号波形、赤がDACのHPFを通過した出力波形(反転せず)、暗い緑が反転した出力波形です。
- 今度は反転しない赤の波形が信号と良好に対応します。また、時間的な遅れもほとんどありません(基準パルスの位置はほぼ同じ)。
- カットオフよりも十分に高い周波数では、入力信号がほとんどソノママ(反転する事も遅れる事もなく)出力されるという事です(HPFの機能を考えればアタリマエなんですけどね)。
- という事で、出力は反転して時間的に180°遅れるのでは無さそうです。

追加で、上の2つの中間的な状態の波形も観測してみました。
100-300Hz
春100-300
- グレーが100~300Hzだけを含む信号波形、赤がDACのHPFを通過した出力波形(反転せず)、緑が反転した出力波形です。
- こうなると、どちらとも言えないですね。
- カットオフ(-90°)より高周波側では、波形から単純に遅れ時間を読み取る事は難しくなります。
- だって、逆相から正相に徐々に遷移するわけですからね。ホンマニヤヤコシイ。

以上から、こう考える事ができるでしょうか。
- HPFの出力は、カットオフよりも十分に低い周波数で、反転した入力信号に対して遅れゼロに漸近する(信号から完全に反転する)。
- HPFの出力は、カットオフにおいて、反転した入力信号に対して時間的に90°遅れると「実用上」見なせる。
- HPFの出力は、カットオフよりも十分に高い周波数で、元の(反転しない)入力信号に対して遅れゼロに漸近する(信号をソノママ出力する、反転して180°遅れるわけではない)。

これ以上深追いするのは止めましょう。
基本的に下記2点が重要です。
- HPFはカットオフ点で、入力に対して逆相で時間的に90°遅れる。
- カットオフよりも十分に高い周波数では、反転もせず遅れる事もなく入力をそのまま通過させる。

同様にLPFに関しては、
- LPFはカットオフ点で、入力に対して正相で時間的に90°遅れる。
- カットオフよりも十分に低い周波数では、反転もせず遅れる事もなく入力をそのまま通過させる。

また、LPFもHPFも、カットオフよりも高い周波数(-90°以上の回転)での「時間的遅れ」は、単純に何msとは言えません。何故ならば、正相から逆相またはその逆に徐々に遷移するからです。バスレフの場合もそうでしたよね。

次回は3Wayネットワークの接続について書きます。

追記
アナログフィルタについていろいろ書いていますが、フィルタの位相回転によって時間ドメイン的に顕著な問題が生じるのはサブウーハのように非常に低い周波数(ドライバの共振周波数近くの周波数)でLPFを使う場合であり、一般的なマルチウェイシステムでの使われ方であれば、時間ドメイン的問題はそれほど気にする必要は無いかもしれません。

比較的高い周波数でのこのような位相回転が音楽を聞く上でどのように違和感を生じるのかについて、僕は実体験に基づく事は何も言えません。敢えて言えば、ショールーム等で聴かせて貰った大型マルチウェイよりはフルレンジのバックロード等の方に好印象(音楽を聞きやすい)を受けたのは確かです。

ハイパスフィルタの事なんか考えるんヂャなかった。。。と今にして後悔しています。とんだ泥沼に突っ込んでしまいました。。。スミマセン。。。

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