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2013年06月13日 (木) | Edit |
僕のように100Hz以下という非常に低い周波数でウーハをクロスさせる場合、デジタルフィルタがGOODですよ。。。というオハナシです。

例によって、いつものシミュレーションです。
今回はFOSTEXの22cmウーハFW227を使ってみました(Viennaのウーハに近い大きさ)。前記事のハイエンドさん達はどれもバスレフ型のようなので、今回はバスレフ型で検討しました。

容積は34L、バスレフの共鳴周波数は約40Hzです。クリックで拡大して見てください。
Filter OFF

最初にちょっとヤヤコシイお話しを少し。。。。
グラフの下側の緑ラインが位相です。右側に目盛りがあります。この目盛りで+270°が遅れナシの基準です。左方に黄色のラインで表しています。このラインから下方に行くほど位相は遅れます。従って、周波数の増加に伴って位相角度は遅れます。このグラフでは、50Hzにおいて遅れ角度は約250°、100Hzにおいて約280°です。100Hzの方が少し遅れていますね。

しかし、これを時間に換算すると、50Hzにおいて遅れ時間は約14ms(距離にして4.8m)、100Hzにおいて約8ms(2.7m)です。50Hzの方が遅れていますね。 時間で表すと逆に50Hzの方が遅れるという事です。ヤヤコシイ!

これは、50Hzの1サイクルは20msであるのに対し100Hzの1サイクルは半分の10msしかないためです。このため、一般的に低周波ほど時間的に遅れ、周波数が高くなると遅れ時間は急激に0に近付きます(位相角度は徐々に遅れるのですが、1サイクルの時間が1/10、1/100と急激に短くなるので角度の遅れなんか屁でもなくなるという事です)。

バスレフ型の場合、共振ピークが2つあるため位相は全体で180°x2=360°回転します。上図の目盛りでは+270°から-90°まで回転するという事です。しかし、スピーカのインピーダンスが1kHzから漸増するため、この影響を受けてか位相はダラダラと遅れています。でも上記の理由により、時間的にはゼンゼン気にする必要はありません。1kHzの1サイクルは1msしかありませんからね。たとえグルっと360°回転しても1msに過ぎないという事です。

僕は低音ビートのタイミング(時間)を重視するため、専ら100Hz以下の低音領域での時間的遅れに着目します。

なお、このシミュレーションは定常状態における周波数ドメインの解析結果です。以前の記事に書いたように、バスレフ型の動的挙動はかなりグチャグチャです。

下は密閉型の結果です。
Seal.jpg
密閉型の場合、遅れナシの基準は右の目盛りの+90°の位置です。左に黄色のラインで表しています。密閉型は共振ピークが1つですから、全体で180°回転します。グラフで読み取った50Hzの遅れ時間は約5ms(1.7m)、100Hzでは約2.5ms(0.9m)しかありません。バスレフ型よりも遅れが随分小さいですね。しかも動的特性もバスレフよりも圧倒的に優れている事は以前の記事で詳しく紹介しました。

さて、ここからが本題です。

以下では、上のバスレフ型にカットオフ周波数の異なるローパスフィルタを適用しています。フィルタには-18deB/Oct (補正回路アリ)を採用しました。-12dBのフィルタを使っても傾向は全く同じです。

Cf = 850Hz (JBLは850Hzでしたね)
850_20130613140148.jpg

Cf = 350Hz (B&Wは350Hzでしたね)
350_20130613113132.jpg

Cf = 120Hz (Viennaは120Hzでしたね)
120.jpg 

フィルタ1つで位相は180°回転するため、バスレフとフィルタの組み合わせで合計180°x3=540°回転しますが、緑の位相のラインは±180°で折り返し表示されています。ここでは折り返す前の低周波側だけに注目します。 上記ににより、高回転側の時間的遅れは気にする必要はありません。

上から順番に見て行くと、Cf=850Hzではほぼフラットな状態から綺麗にフィルタが働いていますが、Cf=350Hzでは既になんだか変です。Cf=120Hzになると、もうグチャグチャです。

これは、スピーカのインピーダンス(赤のライン)の共振ピークが影響するためです。通常、フィルタのカットオフ周波数は定格インピーダンス(8Ωとか4Ω)を使って計算しますが、カットオフを下げて行くとスピーカの共振ピークによってインピーダンスが激しく変化し、それがフィルタの特性に影響します。つまり、パッシブネットワークのクロスオーバーは、スピーカの共振ピークから十分に離れたインピーダンス曲線が十分にフラットな領域に設定するのが基本であると言えるでしょう。

以下では、一番下のCf=120Hzの図に注目します。
なんか、パッと見でも、これはアカンのとチャウ?という感じですが、Viennaの例のやつは、どのように対策しているのでしょうかね?

50Hzにおける遅れ角度はフィルタなしと大して変わらず、約15ms (フィルタなしでは14ms)です。バスレフの高い方のピーク(70Hz)以下の周波数領域の位相特性はフィルタの影響をほとんど受けていません。しかし上のピーク(70Hz)からフィルタのカットオフ(120Hz)までのたった50Hz間に一気に180°回転し、100Hzでの遅れは約12.5msに増加します(フィルタなしでは8ms)。時間的遅れだけでなく、このように非常に急激な位相回転が音楽の聞こえ方にどのように影響するのか?あるいは影響しないのか?

このような周波数あたりの位相の変化率は群遅延と呼ばれ、聴感に影響する重要パラメータであると言われます。バスレフ型はもともと密閉型よりもこの群遅延が大きいわけですが、これに極端にカットオフの低いアナログフィルタを組み合わせると、群遅延はさらに増加します。当然ですが、遅延群の増加は好ましい現象ではありません。

さらに、メインスピーカにローカット フィルタを適用せずにサブウーハをアドオンする場合、カットオフは60Hz程度まで下げる事になり、そうなると状況はさらに深刻化します。

という事で、一般的なパッシブネットワークを使ってウーハーのクロス周波数を極端に下げるのは基本的にヨロシクナイと言えるでしょう。38cmという馬鹿でかいウーハでも700Hzまで引っ張るのは、このへんの事情があるからかも知れません。デジタルフィルタを使えば、このような足枷から完全に開放されます。 装置側の勝手な事情ではなく音楽側の事情を最重視して帯域を分割できるようになるという事です(もちろん分割なんかしないのがベストなのは言うまでもアリマセンけど)。特にウーハにはデジタルフィルタが非常に有効です。数kHzの高音帯域でのクロスであれば、アナログフィルタでも別に構わないと僕は思います。

100Hz以下でクロスするパワードサブウーハにはデジタルフィルタが絶対のゼッタイのZETTAIに必須であると言え、デジタル入力の場合は「DSP-DAC-AMP」構成、アナログ入力の場合は「ADC-DSP-DAC-AMP」構成にすべきでしょう。当然密閉型ですよ。メカトロ化はまずサブウーハから! と声を大にして言いたい。ですね。

パワードサブウーハが今ひとつ普及しない原因の1つはこのへんにあるのかも知れません。ぼくもプレートアンプ内蔵アナログフィルタでは違和感を覚えて満足できませんでしたからね(しかも密閉型で)。5.1ch DACのチャンデバを使うようになって始めて100%常用するようになり、ZAPの開発が終結しました。

DSPを使ってサブウーハを理想的に制御できるようになれば、オーディオ用スピーカの様相も大きく変わるでしょう。
お部屋の大きさに見合ったサイズの、できるだけ高品位なメカトロ パワードサブウーハを1個または2個を買って一度しっかりと計測しながらビシットバシット調整すれば、後はぶっ壊れるまで買い換える必要はないでしょう。低音再生はお部屋に備え付けの「固定設備」というコンセプトです。100Hz以下は音色とか音調に殆ど影響しないそうですからね。。

あとは8cm~13cmクラスの小型スピーカ (バスレフによる低音増強はもはや不要であるため密閉型に限る)やシンクーカンアンプを、お好みや気分に合わせてトッカエヒッカエするヨロシ。。とっても経済的だしスペース効率も高いでしょう。 馬鹿でかいウーハ付きの巨大高額装置をトッカエヒッカエする必要は全くアリマセン。 低音部の再生装置はお部屋に合わせて最適なのを選んで、お部屋に合わせて最適に調整すべきです。

100Hz以下の低音は音楽の土台であり、当然、音楽再生の土台でもあります。この土台はお部屋と一体です。お部屋の土台さえしっかりと構築できれば、上に載っけるヤツはオコノミ次第。。トイウコト。

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テーマ:オーディオ
ジャンル:趣味・実用
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