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2013年06月06日 (木) | Edit |
西洋音楽のスペクトル分布は日本古来の雅楽等とは異なり低周波数ほどパワーが高くなる「ピラミッド型」であり、低周波の聴覚感度が低い人間はそれを「カマボコ型」の周波数分布で聴いている。。。というオハナシ。

これについては、以前の記事でソース信号のスペクトル分布を使って解析しました(「音楽のフォルム(続き)」参照)。雅楽を含む楽曲信号のスペクトルに関しては、「音楽のフォルム」と「低音再生の重要性を考える、シツコイけど」も参照してください。

今回はDAYTONの解析ソフトを使って、リスニング位置で実際に聞こえる再生音のスペクトルを確認してみました。この解析ソフトでは、スペクトルの計測にAフィルタの特性(人間の聴覚感度特性)を適用できるため、とても便利です。

FrieveAudioで帯域分割して30~20kHzを完全にフラットに補正して再生しました。マイクはリスニング位置です。

まず、A特性で補正していない生のスペクトルです。
音楽F特 copy 2
黒のラインが2本あります。下がバックグラウンド、上が各種の規格で音量調整の基準に使われる標準ピンクノイズ(-18dBFS(rms))です。赤がベト5(冒頭のジャジャジャジャーンのジャーン)、青がマイルスのRiot(ベースが比較的強いパート)、ピンクがマドンナのBad Girl(ノベツクマナクこんな感じ)です。アンプのボリューム設定は全て同じです。

どの楽曲も帯域の中央部ではピンクノイズの傾きにほぼ沿った右下がりの分布を示します。この-18dBFS(rms)ピンクノイズが各種の規格で再生音量の基準信号として使われるのも頷けます。

ピンクノイズとは、パワーが周波数に反比例(1/ f)する雑音の事です。つまり、周波数に反比例して音の大きさは小さくなるという事です。音に限らず、自然界の様々な現象はこの「1/ f ゆらぎ」に即するとされ、海の波、風、我々の脈拍の変動、さらに高速道路の自動車の分布も「1/ f ゆらぎ」に従うと言われます。

我々人間は1/ f ゆらぎに即した現象を自然あるいは快適と感じると言われます。ベトさんであれマドンナさんであれ、我々人間が楽しめるように作られた音楽のスペクトルは自然界の法則に近いと言えるかも知れません。また、西洋音楽が民族や文化圏の壁を越えて世界中で普遍的に愛聴されているのも、このように自然の法則に則しているからかも知れません。なかなか興味深いですね。

という事で、西洋音楽のスペクトル分布は、ほぼ「1/ f 」に即した低音ほどパワーの強い「ピラミッド型」の構造を持ちます。

なお、自然に囲まれた静かな環境であれば、暗騒音も1/ f に近い分布を示すはずですが、我が家のすぐ近くには交通量の多い道路があるためか、30Hz付近にピークが現れています。このピークは車の通過に伴って結構フラフラと変動するようです。今回は交通量の多い日中に測定しました。普段ゼンゼン気にしていませんが、常に低周波音を聴かされている事になりますね。老後は田舎に住みたいナァ。。。。

下は、上図に人間の聴覚感度に相当するA特性のフィルタを適用した場合のスペクトルです。つまり我々人間にはこのような感じに聞こえているという事です。下に各種楽器の帯域も併記しました。
音楽F特 copy 3 copy
ベトさんであれマドンナさんであれ、500~700Hzを中心としてほぼ左右対称の「カマボコ型」分布を示しています。

この分布を見れば、いわゆる40万ヘルツの法則(音楽再生の下限周波数と上限周波数の積が40万であれば、音楽はバランス良く聞こえるという法則)は理にかなっている事が分かります。この法則に従えば、100Hz~4kHzが音楽の中核を成す主要帯域(この帯域をしっかり再生すれば音楽は結構楽しめる)、100Hz以下がハーモニーの土台を成すキー帯域、4kHz以上が音楽の表情を豊かにする倍音帯域と考えても良いかもしれません。

僕はサブウーハのクロス周波数を今までイロイロ試してみましたが、いつも100Hz近辺でのクロスに落ち着きます。100Hz~4kHzでは帯域分割したくないナァ。。。。というのが僕の直感です。なので、フルレンジスピカを基本とし、必要に応じてその上下をスーパツイータなりサブウーハで増強するのが良かろうというのが、僕の基本的考え方です。

以上のように、僕達が普段聴いている西洋音楽は、ベトさんであれマドンナさんであれ1/ f に近い低音ほどパワーが高くなる「ピラミッド型」のスペクトル分布を持ち、僕達人間はそれを500~700Hzを中心としてほぼ対称形を成す「カマボコ型」のプロフィールで聴いていると言えます。

勘違いされやすいようですが、西洋音楽はピラミッド型の構造だから装置の特性も右下がりのピラミッド型にすると良いとか、あるいはカマボコ型だから装置の中域を盛り上げると良いと言う事ではありません。

演奏者なり指揮者なりが、鍛え抜かれた感覚と、教会音楽を発祥として何百年もかけて洗練されてきた基本法則に従って、「エー具合」に聞こえるように演奏するとこのようなスペクトルになり、ジャズだろうがロックだろうがヒップホップだろうが、やはりその基本法則の流れをくむ現代のアーチスト達がスタジオでフラットな特性のモニタスピカを聴きながら「エー具合」に聞こえるよう調整すると、やはり自然にこのようなスペクトルになるという事です。

リスニング位置でフラットに再生して始めて、彼らが作った音楽を上記のような本来の調和/バランスで「エー具合」に聴く事ができます。

また、人間の耳の特性はフラットではないからフラットに再生したのでは不自然に聞こえるというのも、全くスットコドッコイな大間違いです。当然ですが、音楽家達も人間である以上、我々と同じような聴覚感度特性を持つ耳で聴きながら「エー具合」に音楽を作っています。そこのところ、くれぐれも誤解無きよう注意が必要です。

以上を重々理解した上で敢えて基準状態から変更するのは全く個人の自由でありコノミノモンダイですが、何をやるにせよ原理を理解した上でやるのと、そうでないのとでは大違いです。僕だって、気分や体調に応じて多少は調整しますよ。

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