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2013年04月02日 (火) | Edit |
今回は僕が考える音楽ソノモノを聴きやすい装置について、例によってツラツラグダグダ書いてみます。

まず、僕達の手元に届く音楽ソースとはどういう物かについて考えます。

ハナシを単純にするために、チェロ独奏のモノラル録音・再生を想定します。楽器に近接して設置した1本(または複数)のマイクロフォンを使ってスタジオまたは無響室で録音し、これを自分の部屋のどこかに置いた1本のスピーカで再生します。近接マイクを使った場合、楽器からの直接音に対して部屋の反響音のレベルは相対的に非常に小さくなるため、無響室で録音した状態に近付きます(再生時のニアフィールド リスニングと理屈は同じ)。そのように録音されたソースを自分の部屋に置いた1本のスピーカで再生すると、そのスピーカ位置にチェロ奏者が居て演奏しているのに近い状態を再現できます。アタカモ。。。ってヤツです。。。ただし、一般的な住宅の部屋では、専用に設計された音楽ホールに比べて圧倒的に狭すぎますし、残響特性も良好とは言えませんから、理想的な状態で鑑賞する事はできません。音楽ソースは世の中のできるだけ多くの人々にできるだけ良い状態で楽しんでもらえるように制作されなければなりません。誰もが立派なリスニングルームを持てるわけではないですから、このようなソースでは全く困ります。ゼンゼンアキマセン。

ですから、どのようなソースであれ、これも以前の記事に書いたように、距離感や空間の拡がりを表現するために残響音が加えられています。例えばクラシックなどでは、響きの良いホールで適度に距離を置いて設置したマイクを使って録音する場合もあるでしょう。多くの場合、個々の楽器の音を明瞭に捉えるために、近接設置した複数のマイクロフォンも使われ、さらに、最近はDSP(デジタル信号処理)でホールトーンが人工的に追加されるケースが殆どだと聞きます。

さらに、独奏ならまだしも、大編成のオーケストラの場合はどうでしょうか。殆ど直接音だけを拾ったオーケストラの録音をオウチのお部屋で再生するとエライ事になります。どのように立派なリスニングルームでも、コンサートホールに比べれば、それはソレハもう圧倒的に小さいですから、交響曲で重要となるホールの反響効果(時間的遅れ)を再現する事など絶対にできません。また、以前にも書いたように、カブリ付きの最前列席では高音成分が非常に強く、席が後方になるにつれて高音成分は急激に減衰し、ある程度離れると周波数特性はほぼ一定になります。これは、高音の反射音は吸収されやすいためですが、このようなソースを小さな部屋で聴くと、ウルトラ超カブリ付き状態ですから、やたらと高音がキツク感じられるでしょう。とても聞けたものでは無いはずです。ですから、通常のソースには音源から離したマイクなりDSPなりで必ずホールトーンが加えられ、また周波数特性もホール中央付近の周波数特性になるよう高音が抑えられています。これも以前の記事に詳しく書きましたよね。そのおかげで、僕達は小さなお部屋でもニアフィールドリスニングでもヘッドフォン・イヤフォンでも、基本的に何も調整しなくても、交響曲をホールの中央付近に近い快適な状態で楽しむ事ができるワケです。

ジャズやロックでは、各奏者を独立したブースに入れて近接マイクで録音し、後で2chにミキシングする事が多いと思います。例えば、ジャコの傑作アルバムWord of MouthのCrisisという曲の場合、ジャコはベースとドラムスだけ(もしかしたらピアノも)を含むリズムトラックを蒼々たるメンバーの一人ずつに聞かせてソロ演奏させ、ミキシング時にそれぞれのトラックを任意に出し入れしてアンサンブルをコラージュ化しています。ミキシングに集中しているジャコの鬼気迫る姿が目に浮かぶ。。。これはちょっと極端な例かもしれませんが、スタジオ録音では多かれ少なかれ、そのようなプロセスが採られます。で、当然ですが、それらの音には反響音は殆ど含まれないため、以前の記事に書いたように必ずリバーブやディレイ等の空間系のエフェクトが加えられ、周波数特性がイコライザで整えられます。

このように、どのようなジャンルのソースであれ、まず例外なく、実際の自然なホールトーンなりDSPによる人工的ホールトーンなり各種空間系エフェクタなりによって反響音が追加されています。これはヘッドフォンやイヤフォンで聴くとよく分かります。これらによって、奏者との距離感や、空間の拡がりが表現されているという事です。このような効果が皆無だと、特にヘッドフォンやイヤフォンまたはニアフィールドでは聞けた物ではありませんし、離れて聞く場合でも、部屋の反射特性を整えないと良い状態で聴くことはできません。何よりも、交響曲等で重要となる空間のサイズ(すなわち反射の遅れ時間)のファクタは逆立ちしたってどうやったって絶対に再現不能です。

で、またグダグダと書いてしまいましたが、何が言いたいかというと、通常の音楽媒体はそれ自体で完結した作品であるという事です。言い換えれば、ユーザ側でアレヤコレヤ追加したり調整したりする必要のある「生」の録音ソースでは決してないという事ができます。大層なリスニングルームやソーチを持ち自分でセッティングや調整をする少数のリスナを対象としているわけでは決してありません。このため、最終的に、音響調整されたコントロールルームのモニタスピカやヘッドフォンを使って表現者自身を含む音楽の専門家達がモニタしながら、僕達リスナに具合良く快適に聞いてもらえるよう、彼らの目指した表現が僕達により良く伝わるよう、残響音等による空間効果も含めた完結した作品世界(時空間パッケージ)として作り込まれているという事です。

ですから、装置から出てくる装置由来の各種音現象ではなく、表現者の意思に由来する音楽ソノモノを存分に楽しみたいのであれば、余計な響きやナンヤカンヤを敢えて装置で追加する必要性は基本的に無かろう。。というのがLEANAUDIOの実体験を通した僕の結論です。逆に、そのような勝手な響きや音要素を徒に付加すればするほど、それらは表現者が意図せぬ要素ですから、確実に音楽ソノモノは聞こえ難くなります。シツコイですがアッタリマエです。また、ソースにはせっかく適度な反響音が加えられているわけですから、狭苦しい部屋の反響効果は極力抑えた方が、つまり、部屋をデッド傾向にするかニアフィールドで聞く方が好ましいと思います。広いコンサートホールの反響(時間的に長い遅れを持つ反響)などオウチでは絶対に再現不能ですからね、ゼッタイニ。せっかくソースに含まれている広々とした空間のホールトーンが狭い部屋の反射や定在波によって損なわれてしまう事だって十分に考えられます(というか、実際に僕の部屋では定在波が交響曲の低音の響きを邪魔します)。

さらに言えば、ソースの音場表現がそれ専用に最適化されるのであればヘッドフォン・イヤフォン(バイノーラル)方式が理想でしょう。これにより、作品世界(時空間パッケージ)をより一層完結したものにし、表現者が狙った表現をより一層高い精度でリスナに伝える事が可能となります。お金も資源も電気も空間も無駄使いしませんので、これからの時代にピッタリだと言えるでしょう。

追記
リアルっぽさやリンジョーカンをどんなに求めても、真の「リアリティ」は、泣いても笑っても、例えそれがどんなに不完全であろうとも、ソースの中にしかアリマセン。アッタリマエです。リアルっぽさやリンジョーカンを求めれば求めるほど、音楽はますます嘘っぽく僕には聞こえます。ショールームで聞かせてもらったジョートなソーチに僕がどうしても馴染めないのは、恐らくこの点にあります。なんかシュワーっとしてブワーっとくる感じというか。スッテレオ臭いというか。そういう感じのヤツです。

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