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2013年01月10日 (木) | Edit |
こちらの記事に頂いた今井様からのコメントに返答を書いたところ、とても重要な内容が含まれているので、記事として転載しておきます。

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「位相」はヤヤコシイですね。計測器がXX°と算出する位相値を鵜呑みにすると間違いやすいと思います。

ですから僕は必ず生の波形を観測します。僕が問題とするのは、高音現象に対する低音現象の「時間的」遅れです。例えば、シンバルがパシンと鳴ってからベースがボンと鳴るまでのタイミングの遅れのようなものです。これを調べるために、僕は急峻なパルスに対する低音波形の「立ち上がり」を観測し、読み取った時間的遅れを位相角度に換算しています。問題にしているのはあくまでも「時間」であり、それを、その周波数における「位相角度」に換算した値を「位相遅れ」と呼んでいるという事です。

同じ位相遅れ(角度)であっても、低音ほど「時間」的遅れは大きくなる(周波数に反比例する)という事に注意が必要です。ベース(すなわち低音のパルス的なビート)のノリとかグルーブ感に敏感な僕が低音の位相に拘るのはこのためです。複数周波数成分で構成された合成音の「音色」に関しては、位相問題はそれほど影響しないように思えます(位相を変えた合成波形を生成して聴いてみればわかりますよ)。僕はそのような「音色」を問題とするのではなく、低音ビートの高音成分に対する相対的な「タイミング」を問題としているという事です。ノリの問題です。

このような現象は、必ず無信号状態からの立ち上がり信号を使って観測する必要があります。定常的な連続波形で観測すると、例えパルスを挿入しても遅れているのか進んでいるのか判別できません。正弦波ではなく楽曲のデータを信号として使う場合も、データを加工して無信号状態にパルスを挿入し、その直後に楽曲データを挿入します。こうする事により、絶対的な時間基準を知る事ができます。

そのような波形観測から、スピーカ再生においては、たとえポートもフィルタも持たないフルレンジ密閉型であっても、低音現象が高音現象に対して「時間的」に「遅れて」おり、アナログフィルタやバスレフポートによって更に大幅に「遅れる」事は明白です。また、密閉型ヘッドフォンでは、そのような「遅れ」が殆ど発生しない事も確認済みです(オープンエア型ではホンノ僅かに遅れる模様)。同じダイナミック型なのに何故ヘッドフォンが遅れないのかは今のところ不明です。宿題ですね。さらにFrieveAudioのDSPによる位相遅れ補正を適用すれば、密閉型フルレンジスピーカで驚くほど正確にソース波形を再現できる事も紹介しましたね。

ただし、僕がバスレフ型またはアナログチャンデバで帯域分割したサブウーハ方式で低音現象に不自然さを覚える原因が、上記の時間的遅れによるものなのか、それともポートの共振領域またはアナログフィルタのクロスオーバー領域といった非常に狭い周波数範囲で位相が急激に変化する事によるものなのか、はたまた両方によるものなのかは未だに不明です。今のところ言えるのは、再生帯域の下限周波数まで位相の変化が十分に小さければ(例えばフルレンジ密閉型、例えばヘッドフォン/イヤフォン、例えばデジタルで帯域分割した2.1chシステムのように)、僕は低音現象に対して不自然さを感じなくなるという事です。

いずれにせよ、音楽再生の解析においては、定常的な正弦波信号から計測器が単純に算出する「位相」値に基づいて議論する事は非常に危険です。何故ならば、音楽は一時も留まらぬ激しい過渡現象の嵐だからです。波形とはすなわち音そのものです。楽曲の波形を見るという事は、その音を目で見ているのと同じです。ですから、非常に直感的なインスピレーションが得られます。計測器が算出するパラメータ値をいくら並べ立てても、それだけでは現象を血肉として掌握できません。波形解析を行うのであれば、必ず生波形を観測する(ソース波形と比較する)事を強くお薦めします。


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以上です。

あ、それと、当然ですが、計測を行う前に「ナニ」を知りたいのか?目的を明確にする事も重要です。メンドクサイ計測を敢えて行うと言う事は、ナニカの現象に興味があって、その原因を是非とも知りたいが故に行うわけですからね。これが不明瞭なままアレコレやたらコマケー計測に没頭すると、データを羅列するばかりで有効な知見は得られません。

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