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2012年06月22日 (金) | Edit |
今回は、世の中の技術の進化によって、製品の価格と性能がどのように変化するのかについて考えてみます。

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青の曲線が現在の状態とするならば、過去の状態は茶色の曲線で表せます。一般的に、世の中の技術の進歩に伴い、イエローゾーンは左上に移動します(A → B)。つまり、より安価により高性能/高機能になるという事です。また、性能が同等であれば、価格は大幅に減少します(A → C)。最近の主に電子技術と材料技術の飛躍的な進化により、どのような工業製品も、概ねこの傾向に従うはずです。

なお、M曲線の縦軸/横軸のスケールは単なる目安です。目盛りの値にも意味はありませんので、そのように見てください。横軸(価格)は対数的に捉えた方が良いかもしれません。

例えば35mm版銀塩カメラについて考えてみます(デジタルはちょっとブットビ過ぎなため)。我々にとって最も身近であった(既に過去形ですね) 35mmフォーマット(ライカ版)を採用した市販カメラは、1925年にドイツのライツ社が発表したライカA型に始まります。偉大なるライカのそして最も広く一般に普及した35mm版カメラの歴史の始まりです。当時のA型では、レンズは固定式で交換できず、レンジファインダーも内蔵されていませんでした。もちろん測光もなし。ロレットを刻んだ金属ノブを指でつまんでグリグリ回してフィルムを巻き上げます。価格は知りませんが、今の価値に換算すると、非常に高額であった事は確かでしょう。その昔、日本ではライカ1台家1軒と言われたそうです。このライカA型を仮に上図のA点とします。

B点は、例えば、銀塩フラグシップ最終型のキャノンEOS-1vやニコンF-6という事になります。これらはナンタラ点にも及ぶ自動測距点/測光点と高度な電子制御を備え、秒間カンタラ駒で連続撮影でき、コンピュータ設計を駆使した非球面の可変焦点距離(ズーム)レンズを内蔵超音波モータで高速駆動して動体を追尾しながら瞬時に自動合焦し、おまけに手振れまで補正します。いゃぁ、凄まじい。報道カメラマンやスポーツカメラマンにはアリガタイ機能ばかりですが、一般人には過剰性能です。。。。。 そんなのが、えーーといくらだっけ?まだ売ってるんですね。。ヨドバシで20数万円(ボディのみ)で購入できます。もちろん新品です。そして、このような機能の多くが、今では安価なコンパクトデジカメにも搭載されています。ちなみに、カメラはオーディオ機器に比べて、圧倒的に開発費と開発リソース(要員、設備)が嵩みます。もはや昔のような零細ガレージメーカにできる代物ではありません。

C点としては、なんといっても、富士の使い切りカメラ「写るんです」でしょう。これが銀塩カメラの最終形態と言っても良いかもしれません。ホンダのスーパーカブ、ソニーのウォークマン等に肩を並べる画期的工業製品と言って良いと思います。富士のエンジニアはエライ! これも未だ売っているのですね。ヨドバシでストロボ付きが420エンでした。いやはや。。。写りも馬鹿にしちゃぁいけませんぜ。ダンナ。。。フィルムの飛躍的な進化と、最新設計の非球面レンズの採用で、その名のごとく、「よく写る」という点ではライカA型を遙かに凌ぐでしょう(レンズの味とか操作感とかは、ここでは関係なしね)。

オーディオの場合、音楽再生レベルの電気信号の増幅技術に関しては、既に飽和した感があり、今後大きな進化は望めそうにありません(というか、クオリティ的に必要十分に達している)。既にあのように安くてチッコイIC 1個でも音響アンプとして十分な性能が得られてしまうのが現状です。というと、手の温もりがアータラ、音楽はゲージツだからコータラと始まるのでしょうが、それは安易なノスタルジーに過ぎぬでしょう。そもそも、このような技術の進化は、過去から現代に到る数多の人間エンジニア達の懸命の努力の積み重ねによって成し遂げられたものです。そこに人間の手の温もりがないなぞと、安易に言えるものではありません。最新の技術は過去の技術の積み重ねの上に成り立っています。技術とは連続です。魔法のようにポンと表れるものではありません。その温もりの有るとやらのビンテージドライバやビンテージレンズを作ったエンジニアを、タイムマシンで今の時代に連れてくれば、喜んで最新の技術をブチ込む事でしょう。一部の技術には、クソっ、こんな手があったんか!なんであの時気付かんかったんや!と地団駄踏んで悔しがる事でしょう。重要なのは、そのように築き上げられた技術を、どのように人々の幸福のために最大限に役立てるか? という点にあります。そこに技術者としての人間性が問われるという事です。技術自体に正も悪もありません。コーヤッタラアーナルというだけです。それを良い方向に使うも悪い方向に使うも人間次第だという事です。

さてオヂオ業界は、このような世の中の技術レベルの進化の下に、イエローゾーンを上(ホントの音楽再生クオリティ)と左(万人のための低価格化、小型化)にシフトする事に十分に取り組んでいるのでしょうか????

茶色の曲線を見ると分かるように、技術の黎明期においては、イエローゾーンが横に広く、お金をつぎ込めばつぎ込むほど性能が向上する事がわかります。ある意味ロマンチックな時代であります。我ら50代以上のオヂサン達が夢多き青少年(オトコノコ)の頃のオーディオでは、このような傾向が多分に残っていたでしょう。高性能な装置は全く手が届かない高嶺の花であり、また別に聞きたい音楽があったわけでもないのに、いつかは手に入れたい! と強い憧憬に胸焦がした方も多い事でしょう(ソモソモここの点が、ヘンテコリンなオヂオの原点であるような気もするけどね)。もちろんハチマルもその類でした。製品カタログだけで1日すごせましたもん。どうも、現在のオヂオは、特に年配のマニアは、その頃のロマンを未だにズルズルと引きずっているように見えます。また、狂気じみた高度成長期/大消費時代をたっぷりと体験した我々オヂサン世代は、「物」に対する執着が異常に強い事も確かです。なんかジョートーでオーキクてデンセツとかあるやつとか、たいして必要なくても、ついつい物欲がそそられます。最近の週間ナントカ(毎週パーツが配布されて、なんかデカイのができあがるやつ)なんて露骨にそれ狙ってますよね。できあがると邪魔でしようがなかろうに。最後まで買っちゃうヒト居るんでしょうか?物欲世代は恰好のターゲットと言えるでしょう。生きてるうちに煽るだけ煽って精々搾り取れ!ってやつですかね。。。。もしかしてオヂオも?

それに比べ、我が息子(高1)を見てると物欲が無くて清々しいもんです。経済なんか縮小すりゃぁ良いのです。そうすればゲンシリョクも要らぬでしょう。地球も住みよくなるでしょう。

と。。。オヂサンマニアはいくら引きずっても良いのです。それは個人的趣味ですから。個人的ノスタルジーですから。しかし、業界のクロートさんがそれに引きずられては困ります。ソレハソレコレハコレっちゅうやつです。

以下余談です。

M曲線のピンクゾーンは、性能や品質だけでなくブランドイメージによって価格が大きく変動する領域でもあります。例えば、ファッション界がその好例でしょう。全く同じ品でも、マークが付いているかいないかで価値が大きく変わります。高級腕時計もそうですね。自動車でもフェラーリとかの領域はそうです。それらは、人類の文化であり、ハチマルは決して否定するわけではありません。かくいうハチマル自身、防湿庫に大切にしまったライカM2をたまに取り出して、その感触を楽しんだりしていますし、子供を撮ってズミクロンのクーキカンがドータラなんて悦にいってましたしね。しかし、真剣な作品撮りには専らSIGMAのデジタル一眼レフを使っていました。腕時計だって、街の時計屋さんのショーウィンドウでロレックスのデートナにしばし見とれて足を止めたりもします。でも、腕時計は普段ほとんどしないので、998エンの吊るしのソーラ付きデジタルをもう何年も愛用しています(デザインが好きなのよ)。オヂオだって、JBL4311のグレーのが1個だけ欲しいと思いますしね。音はドーデモ良いけど。。。

ソレハソレコレハコレっちゅうやつです。業界の玄人さんには、まずコレをしっかりやってもらわにゃ。。。コレを。。ソレの方はあくまでも「道楽」であって何の責任もないシロートさんがテキトーにご託並べて遊んでおれば良いわけで、放っておけば良いでしょう。基本的に業界のクロートさんが率先してやっちゃぁアカンですよ。チガウ?

次回は、こんなのが欲しいなぁ。。。という具体的なシステムについて書いてみたいと思います。

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テーマ:オーディオ
ジャンル:趣味・実用
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