FC2ブログ
2012年05月30日 (水) | Edit |
今回は、前回の計測結果をシミュレーションで検証してみます。

以前にも何度か紹介したStandwave2という定在波シミュレーション ツールを使いました。なかなか使えるソフトですので、ご興味のある方はコチラからダウンロードしてください。お薦めします!

まずは前回の計測結果を再掲します。
meas.jpg
シミュレーションが500Hzまでなので、計測結果も500Hz以下だけを切り出しました。赤が前方約20cm、緑が部屋の中央、青がベッドの枕の位置です。

次にシミュレーション結果です。
simu copy
プロットの色は上図と対応しています。計測結果と非常に良好に一致していると言えます。シミュレーション結果は、20Hzまで全くフラットな音源を使って計測した状態に相当します。これに対しAlpair6P+密閉箱を音源として使った実測データの100Hz以下は、概ね12dB/Octの傾きで減衰しています。そこのところの違いは頭の中で差っ引いて考えてくださいね。

シミュレーションの条件は下記の通りです。
部屋の幅x奥行き: 3x3m
天井の高さ: 2.4m
部屋の反射率: 6面全て0.7 (デフォルトよりかなりデッドです)

下はスピーカとリスナの配置です。
simu ichi
赤四角がスピーカ。青丸がリスナ(部屋中央とベッド枕)。これは平面図ですが、各点の高さも設定しています。
実際のハチマルの仕事部屋は長方形ですが、作り付けのクローゼットがあるため、音響的に実効約3x3mの正方形に近い状態です(とにかく狭いのよ)。当然ですが、正方形は音響的に好ましくありません。

以上でシミュレーションが十分な精度を持つ事を確認できたため、各種条件で計算してみました。

1) コーナーの効果
スピーカの設置場所を変更して、音源から距離20cmでの特性を計算しました。下は配置図です。
near ich
スピーカとリスナを同じ高さに設定し、スピーカ正面20cmにマイクを置いて計測した状態をシミュレートしています。
near.jpg
赤が実際のTONO君の位置です(すなわち天井と正面および右側面の3面が交わるコーナー)。リスナの高さもスピーカと同じです(すなわち真正面で計測した状態)。青は、高さはそのまま、スピーカとリスナを右側面の中央に移動した状態(すなわち天井と右側面の2面が交わるコーナー)。緑は青の位置からスピーカとリスナの高さを1.2mまで下げた状態(すなわち右側面の中心)です。
コーナーでは100Hz以下のレスポンスが増加し、2面が交わるコーナー(青)よりも3面が交わるコーナー(赤)の方が影響が大きい事がわかります。緑に対する赤のゲインは6~8dBあります。これは同一容積の密閉型に対するバスレフ型のゲインとほぼ同等です。

次にリスナをベッドの枕位置に固定してスピーカだけを移動してみました。
far.jpg
色は上図と対応しています。緑(壁中央)に対して青(2面コーナー)の効果は少ないですが、赤(3面コーナー)の低音増強効果は最大で12dBにも達します。おかげでTONO君の場合、8cmフルレンジの密閉箱だけで、バスレフ効果や信号ブーストの助けを一切借りずに、十分以上の低音レベルを得る事ができました(ディップは酷いけどね)。

2) スピーカと壁の距離
2つ上の図の緑の状態(右側面中心)から、スピーカとリスナを部屋の中央まで移動しました。
kabe ichi
スピーカとリスナの距離は20cmのまま。高さは共に1.2mです。
kabe.jpg
スピーカを壁から離すと、約60Hz以下の低音のレベルが下がりました。影響の大きさはコーナー部ほどではなさそうです。

3) 部屋の広さ
天井の高さは2.4mのまま、幅と奥行きを2倍の6mにしてみました。
6m ichi
黄色の部分が実際のハチマル部屋の大きさです。

6m.jpg
赤は3mの実際の部屋の状態(枕位置)です。緑は、スピーカとリスナの関係を固定したまま、部屋だけ大きくした状態です(すなわち6m部屋のほぼ中央で聴いている状態)。青は、リスナを左下隅まで移動した状態です。
スピーカとリスナの距離を変えずに部屋だけ広くすると、ピークが減少してF特は平坦に近付きますが、部屋に合わせてリスナも後方に下がった場合、ピークの高さ自体はほとんど変わりません(ただしピークの周波数は低い側に移動)。

以前にも書きましたが、ニアフィールド効果が十分に得られる(低域のF特が十分に平坦になる)リスニング距離というのは、一概に何メートルという事はできず、部屋の大きさとの相対的な関係が強く影響します。一般的な目安としては、部屋の中央より前寄りで聴く事により、それなりの効果が得られます。部屋の前寄り1/3くらいまでスピーカに近付く事ができれば理想的ではないでしょうか(ZAP君はこの状態)。要は、できるだけ広い部屋をできるだけ小さく使えば、定在波の影響から逃れる事ができるという事です。いくら部屋が広くても、それに合わせてスピーカから離れたのでは、良好な結果は得られません。離れて聴かざるを得ない場合(狭い部屋に大きなSPを置いている場合等)は、TONO君のようにイコライザによる低域の補正が効果的であると思われます。バスレフ型で低音が出すぎる場合は、ポートに詰め物をするのも効果的でしょう。

いずれにせよ、真っ当な音楽再生を目指すのであれば、一度リスニング位置で計測してみる事を強く推奨します。何もFrieveAudioで補正したように真っ平らにする必要はなく、40~10kHzの帯域が±6dBの範囲に、顕著なディップなく、全体的に自然な形状で概ね収まっていれば、まず十分であろうと思われます。しつこいですが、これは音楽再生における基本中の基本です。全ての「コマケーコノミノモンダイ」や「ナンチャラカン」とかは、これが必要十分に達成された後の「オタノシミ」という事ではないでしょうか?

計算結果は以上です。

このシミュレーションは500Hzまでしか計算できません。また、ハチマル部屋での実測でも、500Hz以上の特性には部屋の影響が殆ど見られませんでした。次回は、ほぼ可聴帯域の全域を使う西洋音楽において、500Hz以下の帯域がどのような位置付けにあるのかについて考察し、音楽再生における重要性について考えてみたいと思います。

追記
いやぁしかし、ファーフィールド(というか一般的な距離)では低域に対する部屋の影響が凄まじいですね。今回TONO君を試してみて改めて実感した次第です。バスレフだ密閉だとチマチマやるのがアホらしくなるくらいです。

最近はポートを完全に塞いだTONO君で専らラヂオを聴いていますが、かなり良い線を行っているように思います。撤収の憂き目に合う事はどうやら無さそう。。。ですね。合格!としましょう。全くモノラルで十分だし、聴きやすいし。イコライザの方も、シンプルに250Hzバンドをブーストするだけでエーンチャウ?という所に落ち着きそうです。ネットラジオの音質(192kbps)もハチマルには全く十分。近いうちにTONO君も綺麗にお化粧しないとね。。。

お役に立てたらクリックしてください。ランキングに参加してます にほんブログ村ランキング参加中
関連記事
テーマ:オーディオ
ジャンル:趣味・実用
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック