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2012年02月16日 (木) | Edit |
CiNiiで表題の論文を見つけたので、購入したのですが、ダウンロードしたPDFには1ページ目しかありませんでした。1.5K円くらいしたので、これでは詐欺ではないかと、抗議中です。
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抄録
1 音楽演奏現場における楽音の実態 楽音は物理的正確さとは無縁であることが多い。一例をあげると、ピアノは、高音部においては1オクターブ高い音を振動数の2倍よりやや高めに調律される。
2 音楽家のオーディオに対する感覚 音楽家の多くは高精度のハイファイ音を楽しむのではなく、音楽の本質を聴く。したがって、彼等は名演奏であれば、SPから再生されたCDでも満足して聴いていることが多い。

2番目の内容に興味があります。ここでは「音楽家のオーディオに対する感覚は」としていますが、これは「オーヂオ自体を趣味とせず普通に音楽を愛聴する人々は」としても良かろうと思います。「音楽の本質」(アーチストさんがやらはった事)を楽しむ分には、再生クオリティが必要十分なレベルであれば、それ以上のコマケー オンシツとかナンチャラカンとかリンジョーカンは大して重要ではなかろうし、だいたいそんなもんに意識が行く前に「音楽」に意識が行くだろう、また再生音のオンシツやオンジョーへの過剰な拘りや演出(作り込み)は「音楽の本質」を楽しむ上で邪魔にしかならぬだろう、というのがLEANAUDIOを通したハチマルの実感でもあります。この論文ではどのように結論付けているのでしょうか。興味深いところです。

あ、それと1.を読んで「だからブツリトクセーは重要じゃないんだ」と早とちりせぬよう。これは「現場」におけるハナシです。鍛え抜かれた繊細な感覚を持つ専門家が現場であえて物理特性的に微妙な揺らぎを持たせた音であればこそ、オウチでそれを堪能するには物理特性的に正確に再生する必要があるのは当然です。ビートの微妙なスイングと同じです。このへんの勘違いが多いように思います。我々ドシロートが勝手にイヂルのとは訳が違います。

この論文は「電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 社団法人電子情報通信学会 98(157) (19980629)」の中の1つです(こちら)。これに含まれる論文のタイトルと抄録は下記の通りです。

1) CD Playerの時間伸び縮み歪み特性と高度感性情報再生の評価
高度感性情報の再現に重点をおき、ディジタル機器を見直した結果、CD Playerのアナログ出力信号に時間軸方向の伸び縮み歪みが140ns(以下)〜700ns存在し、この歪みが大きいと"空気感"の再現が悪いことを明らかにした。本稿では、時間伸び縮み歪みの発生要因を明らかにするため、CD Player内部のPLL、各種クロック信号のジッターを測定した。その結果、PLLやクロック・ジッターにはこのような大きな変動は存在しないことが明らかになった。また、クロック・ジッターとPLL精度との有意な相関が確認された。しかし、クロック・ジッターは1ns程度であり、この100倍以上のアナログ信号上の時間伸び縮み歪みとの関係は観測されなかった。

2) 高度感性情報の再生のためのDSPによる伝達周波数特性補正
我々は高度感性情報の伝達を目的とする研究を行っている.前報告でDSPを用いて伝達周波数特性平坦化を最小位相推移範囲で行ってみた.しかし, 高度感性情報再現には特性平坦化以外に高精度調整が必要であり, その調整は補正フィルタ特性や音楽リソースに依存するという結果になり, 特性平坦化は場合によっては悪い結果を生じた.これは実験装置の性能に関係するようである.そこで, DSPによる伝達周波数特性平坦化が, 真に高度感性情報再現に重要であるかを, 実験装置の性能を高めて明らかにする実験を行った.その結果, DSPによる特性補正は, 今回の音響再生装置では, "Holographic音場感", "空気感", "躍動感・生命感"等を改善するため, これらを重要視するような音楽(打楽器でリードする音楽やライブ等:ジャズ, ロック系)に対し, 非常に有効であることがわかった.但し, 音響再生装置の音楽ジャンルへの適合性はDSPでは変わらず, 装置の個性によるようである.DSPによる特性補正は慎重な調整を行えば, どの個性の装置でも音質的に良い結果を生じるであろうと推測された.

3) 時間方向情報の知覚の検討 : 位相変化の音色知覚に及ぼす影響について
本報告では、時間軸方向の情報の一つである位相について、「人間は本当に位相聾か」という問いから話を始め、これを否定する数々の実験結果を紹介する。また、位相の変化と音色の変化を関係付けるモデル化の試みについても触れる。さらに、位相の変化に対する知覚特性を測定する実験について、過去の問題点を指摘した上で、筆者らが行った実験結果についても報告する。

4) 新世代オーディオ:音響・音楽の高度感性情報知覚モデル : 信号の時間伸び縮み歪みとdigital音
所謂デジタル臭い音の原因が、時間伸び縮み歪みによるものであることを明らかにした。この発見を基に、2つの仮説を与えた。即ち、仮説1:人は過去に発せられた音との関わりあい:信号の振幅方向と時間方向の融合で音情報を知覚する。LSBレベルの量子化歪みに匹敵する時間方向歪みは1ナイキスト間隔の1/2^nであり、16bit/sampleの場合、0.35nsecとなる。仮説1は"空気感"、"雰囲気"の再生に関連している。更に、高位の高度感性情報である、"実在感"、"深々さ"、"胸にしみこむ"ような音、凄み等を再現するためには、仮説2:picosecの時間伸び縮み歪みやjitterを実現し、音像を明確化しこの音像へのパワー集中とそこからの音響パワー放出が重要である。

5) 高品位音質評価の方法論について
高品位音質評価の方法論について根本的な考察を行った。まず、物理的刺激量から、評価法を経て心理量にいたるプロセス、中でも心理量の形成に大きな影響を持つ評価法に着目した。評価法を構成する判断様式と判断属性に関して、絶対判断と比較判断、単一属性についての判断と複合属性についての判断のそれぞれについて、弁別力の観点からその特長と問題点を論じた。また、単一属性に関する判断を媒介にして複合属性の構造を求める方法を示し、対刺激の非類似度の判断から感覚空間の構造とその意味を求める方法と、音質の総合評価値の因子分析から下部構造と被験者の判断特性を求める方法を提案した。

6) 音響再生の現状と21世紀への課題
高忠実度音響再生の現状を分析し、21世紀への課題を提言する。音響再生技術は今世紀に大きな進展を遂げ、とくにディジタル技術は録音・再生の分野に大きな変化をもたらした。21世紀には大容量メディアが本格的に実用化され、高忠実度音響再生に新しい展開が開けるものと考えられる。期待される幾つかの課題について展望を述べる。

7) 音楽演奏現場における楽音の実態と音楽家のオーディオに対する感覚について
上記

いずれも興味深い内容です。ハチマルとしては、最も本質的な 7) をまず読んでみたいと思いました。だってさ、「再生音楽を聴く」とはどういう事なのか?をまず考えないとね。。入手できたら内容を簡単にご紹介したいと思います。

その他の論文もできれば読んでみたいと思います。
DSPによる補正の効果、位相遅れの知覚、デジタル再生におけるジッタの重要性なんかも興味深いですね。

このような理知的アプローチは非常に重要だと思います。

ヒヨウロンカとオッチャンたちのドシロート臭い感覚的なだけの世界では泥沼化するのは必然でしょう。雑誌も「ナンタラを変えました。そうしたらカンチャラカンがドータラになりました。すごいです!ヨイ音がしました。」(内容を掘り下げると小学生の作文。少なくとも「ボクはこの音が好きだと思いました。」と結ぶべきでしょう) ばかりでなく、このような科学的アプローチを読者に分かりやすく噛み砕いて紹介しないと、どんどん魑魅魍魎が跋扈する魔界となるでしょう。

また、様々な音楽家のオーディオ観も重要です。だってさ、このヒト達が聴衆に自分の作品を「どのように」聴いて欲しいと願っているのか?って、ムチャクチャ重要でしょう。オーディオ装置について考える時に、最も重要と言っても良いかもしれません。今の状態って、音楽的素養に関して如何な程度か甚だ不明なオッチャン達が、やたら好き勝手に「音」をイヂクリマーシテ、たんに私的な「感想」を、確たる根拠もなく、やたら偉そうに、言いたい放題述べ合っているだけですよね。違う?

別にマニアの世界がどうなろうと、それは「趣味」の領域なのでアタシャどうでも良いのですが、悲しいかな、今のところマニアの領域がオーディオ全体に対してやたら強い影響力を持っているので仕方がありません。まず、そちらから、もう少し健全になってもらわんと。。

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テーマ:オーディオ
ジャンル:趣味・実用
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