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2012年01月29日 (日) | Edit |
今回は、アナログチャンデバによる位相の遅れについて検証してみます。

前の記事で、補正無しの時のウーハの位相について、「約90°の遅れに見えます」と書きました。「見えます」と書いたのは、以前の経験に比べると遅れが少なすぎると思ったためです。そこで他の波形で確認したところ実際には「270°」の遅れである事が分かりました。

今回の計測は、F特補正も位相補正も全くなしの生の出力です。
270_1.jpg
グレーが信号波形、赤がAlapir6もチャンデバに通した場合、青はウーハ(Alpair10)だけチャンデバに通した場合(アドオン)、緑がチャンデバのサブウーハ用モノラル出力を使用した場合です。チャンデバのLOW出力(赤と青)は約270°(3/4周期)遅れています。サブウーハ出力(緑)はさらに遅れます。

アドオン(青)では、チャンデバのR/LのLOW出力をアダプタでモノラルに合成してアンプに入力しています。また、アドオンの場合、クロスオーバー領域を綺麗に繋ぐためにチャンデバの位相を反転させる必要があるため、実際の波形は上下反転します。

サブウーハ出力を使った場合も「アドオン」形式で使う事になるのですが、位相を反転せずにクロスオーバ領域が綺麗に繋がりました。内部でなにかやっている模様です。このためか、サブウーハ出力はさらに遅れています。

前の記事で使った波形をもう一度見てみます。
270_2.jpg
前の記事で位相を見誤ったのは、信号波形を上下逆で比較したためです。このへんは、ホントニややこしいです。

下は、チャンデバを通さずにウーハのAlpair 10を直接駆動した場合の波形です。
270_3.jpg
遅れは45°(1/8周期)くらいしかありません。ステップの所で激しいピークが出ますが、これはF特補正を適用するとなくなります。

過去に試したパワードウーハ方式では、FrieveAudioは270°近い遅れも綺麗に補正してくれたのですが、今回はどういうわけか、FrieveAudioもハチマルと同じ錯覚に陥って90°くらいしか補正してくれません。ウーハを別体にしているためかもしれません。いずれにせよ、主にiTuneと組み合わせて使用するので、位相補正の事はとりあえずヨシとしましょう。

次にシミュレーションで検証してみます。

チャンデバのフィルタは24dB/Octですが、シミュレーションでは18dB/Octを使っています。そのへんが若干不安ですが、現象を理解する上では十分だと思われます。カットオフは実際と同じ60Hzに設定し、ツイータ側のアッテネータでレベル調整しています。ドライバのデータは、ツイータをAlpair6M(2.5L密閉)、ウーハをAlpair10V2(4.0L密閉)としました。グラフの位相曲線(下方の緑)は、200Hz以上で0°より前進していますが、これは無視して、基準は全て0°と考えたてください。

まず、両方をチャンデバに通す場合です。
sim1.jpg
正相どうしの接続で綺麗につながります。40Hzにおける0°に対する遅れは約3/4周期となっており、実測とよく一致します。

下は、ツイータとウーハを別々に表示したものです。
sim2.jpg
sim3.jpg
ツイータもフィルタを通すため、クロスオーバー領域でAlpair6Mの位相が遅れてウーハの位相とうまくつながる事がわかります。

次にアドオン方式です。まず正相どうし。
sim4.jpg
クロスオーバー領域で大きく落ち込みます。これも実測とよく一致します。この領域で位相に急激な変化(約180°の段差)が見られます。

下は、フィルタを通さないツイータ(Alpair6)の特性です。
sim5.jpg
フィルタを通さないので、低域の位相遅れは僅かです。このため、クロス領域では、フィルタを通ったウーハとの位相差が約180°(つまり波形の山と谷が真逆の関係)となり、お互いに音を打ち消しあってしまいます。

ウーハ(Alpair10)の位相を反転しました。
sim6.jpg
180°の位相差があったので、反転する事によりうまく繋がりましたね(山同士、谷同士が合致したという事)。低域の位相遅れも180°以下になっていますが、これに騙されてはいけません。これは、360°近く遅れた波形の極性を単純に反転しただけであり、実際に位相が「進んだ」(遅れ具合が減った)わけではありません(上の実測波形を見れば分かります)。従って、最初の1発目の波形が360°近く遅れる事に変わりはなく、単純に波形の上下が逆になるだけです。すなわち、動特性的には何ら改善されたわけではないという事です。

ついでに典型的な2WAYバスレフ型の例としてFOSTEXのFW168NとFT207Dの計算をしてみました。
fos_20120129095422.jpg
クロスオーバーは3kHz、-12dB/Octです。本来逆相で使いますが、上記の理由により、それでは正しく位相の遅れを見る事はできないため、敢えて正相としています。40Hzにおける位相遅れは、0°に対して実に540°(つまり1回転半)近くにも達します。なんだか凄いですね。3ウェイのミドレンジ(ハイパスとローパス 2つのフィルタを使う)の場合、一体全体どうなるのでしょうか?あまり想像したくありません。やっぱり、「音楽」聴くならフルレンジのデジタル馬鹿ブーがいいなぁ。。。。と。。。思ってしまいます。

と言う具合に、アナログフィルタというのは、ほんとに厄介です。

ただ、ヒトは聴感でどの程度この問題を感じるのか?この程度の遅れが果たして音楽再生上重要なのか?という疑問は残ります。

例えば、ベースとピッコロのデュオを想定してみましょう。50Hzで360°遅れる場合、距離にすると、50Hzの単音を発生するベース奏者は、非常に高音階を発生するピッコロ奏者よりも約7m遠くに居る状態に相当します。もちろん、ベースの音階によって、この距離は変化します。高い音階だと、遅れに相当する距離は減少します(近付きます)。また、ベースの高次の倍音ほど先に届き、50Hzの基音は約20ms遅れて最後に届きます。従って波形もソース信号とは明らかに異なって見えるはずです(位相遅れの非常に小さい馬鹿ブースト方式で再生したマイルスのペット音ですらそうでしたよね-コチラの記事)。

例えば、テンポ120の曲をジャコが16ビートのノリでグリングリンとグルーブする状態を想定してみます。この場合、ビート(実際に弾くかどうかは別としてジャコの頭の中のビート、いわゆるノリ)の平均周期は120msとなります。50Hzで360°遅れる場合、20msの遅れとなります。つまり1/6ビート遅れる事になります。ジャコは高さの異なる音を、1小節内でも一定のテンポではなく微妙にタイミングを揺らがせながら(スイングしながら)ビートを刻んでいるはずです。1/6が大きいのか小さいのか?

さて、どうなんでしょうねぇ?????微妙ですね。そもそも楽器音は単音ではないですし。

ただ、はっきりと言えるのは、これらの位相遅れによる波形(すなわち音)の変化は、アンプやデンセンを10倍、100倍の値段のコーキュ品に交換した時の波形(すなわち音)の変化に対して、比べようもなく巨大だという事です(アンプやデンセンの違いをこのように雑な波形観測で検知する事は殆ど不可能でしょう)。

ハチマルが今まで試したパワードウーハ方式での経験では、ウーーーンと集中して聴き比べた場合、「別にモンダイナイヤン」という結論になるのですが、仕事中に毎日長時間聴いているうちに、結局馬鹿ブーストの方に自然と手が伸びて、ウーハは使わなくなってしまいました(たくさんスイッチを入れるのが面倒だという影響もあると思いますけどね。。)。位相や過渡応答性の素直さという点で、どうしても馬鹿ブーストに軍配が上がるのか、それともウーハがAlpairに比べてヘボだったから音の繋がりが悪かったのか。さて、どうなんでしょうねぇ???????

と言う事で、アナログフィルタを使う以上、厄介な位相の問題は避けられません。前々記事でコメントを頂いたTさんがおっしゃるように、こんなにメンドクサイならA10を素直にステレオで使ってチョイブーストした方が余程賢明ですね。冷静に考えるとハチマルも大納得ですよ。ホンマニ。。。既に嫌気が差してきました。Alpair 6M ZAP馬鹿ブーで実質的にスピーカ開発は終結しているので、スピーカに関しては単なる技術的趣味の領域という感がなきにしもあらず。。ですね。

それでも実験君は続きますよ。

次回はいよいよFrieveAudioのチャンデバ機能を使った方法をご紹介する予定です。お仕事PCのiTuneでラジオを聴くために使っていたDenDACがコネクタの根本から折れ曲がって、片チャンネルが聞こえなくなってしまったため、昨年末に安価な5.1ch対応DACを購入しました。イロイロと厄介な事が多くて、あまり実用的ではないのですが、なんとかFrieveAudioのチャンデバ機能を使える事も確認済みです。めちゃくちゃ面倒臭いのですが、頑張ってレポートしますね。 メンドクサイけど。

オッタノシミニ!

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テーマ:オーディオ
ジャンル:趣味・実用
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