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2011年12月04日 (日) | Edit |
Frieve Audioの自動音場補正は、「周波数特性」と「位相特性」の両方を補正してくれます。すなわち周波数ドメインと時間ドメインで補正してくれるという事です。これらの補正は別々にON/OFF可能です。「周波数特性」の補正効果はF特グラフを見れば直ぐに確認できますし、聴覚でも比較的容易に効果を実感できます。これに対し「位相特性」の補正効果は簡単には確認できません。

アナログチャンデバを介する2.1システムやバスレフ型では、位相の遅れによって特にピチカートベース音で違和感を覚え、波形でも簡単に確認できました。しかし、密閉型馬鹿ブー方式では位相特性の補正をOFFにしても違和感を殆ど感じません。今回の実験君レポートでは、馬鹿ブー方式で位相補正がどの程度影響しているのかを検証すると共に、比較のためにヘッドフォンで初の計測を試みました。

以前は、ベースソロの信号を使用して密閉、バスレフ、サブウーハー方式で位相遅れ補正効果を確認しましたが、今回は密閉型馬鹿ブー方式だけを対象に、高音楽器の音も混じった信号を使用して、より明確に補正効果を確認しました。

サンプルに使用したのはマイルスのMadnessという曲です。ロンさんのベースとマイルスのトランペットがうまく重なっている部分を抽出しました。下がその波形とスペクトルです。
波形
Madness.jpg
約55Hzのロンさんベース音に、約520Hzを基音として綺麗な倍音を含むマイルスのペット音が重なっています。

部屋の反射波の影響を小さくするために、マイクロフォンはスピーカ前方約10cmに設置しました。下はFrieve Audioが計測したAlpair 6Mの位相遅れ特性です。
位相遅れ
密閉形であっても、周波数が下がるほど位相が遅れます。バスレフ型の場合はもっと大きく遅れます。500Hz近辺の位相の乱れは主にデスクトップからの反射によるものです。

それでは、波形を比較してみます。グレーが信号波形、赤がスピーカ出力波形です。再生音量はハチマルの実用上限音量です。クリックで拡大してご覧ください。

● まずは全く補正していない波形です。
位相 OFF OFF
なんだかゼンゼン違いますね。


● 周波数特性と位相遅れの両方の補正をONにしました。補正範囲は20Hz~20kHzです。
位相 ON ON
嘘みたいにバッチリ合っています。ここまで一致するとは、ちょっと予想していませんでした。


● 位相遅れ補正だけをOFFにしてみました。
位相 ON OFF
低周波数のベース音がトランペット音に対して遅れている事がよくわかります。ペットの波形もなんだか変ですね。


● 今度は位相補正をONにして周波数特性補正をOFFにしてみました。
位相 OFF ON
ペットの波形はかなりソース波形に近付きましたが、低域がブーストされないのでベース音が弱まって、全体的に平らな波形となっています。


● 最後に、SONYの高級密閉形モニタ ヘッドフォンMDR-Z1000でも計測してみました。マイクロフォンは例のバイノーラル録音用です。初のヘッドフォン再生での計測です。
ヘッドフォン
さすがですね。もちろん全くの未補正です。何の苦労もありません。再三申しているように、ヘッドフォン/イヤフォン再生はスピーカ再生に比べて「圧倒的に高音質」であるという事をご理解いただけると思います。でも、波形を詳しく見るとベースが若干進み気味です。

下はFrieve Audioで測定したヘッドフォンの位相遅れ特性です。
HP位相遅れ copy
やはり低域で位相がわずかに進んでいます。こんな事ってあるのね?

下はヘッドフォンのF特です。
HP F
このバイノーラル用マイクの周波数特性はあまり信用できません。特に高域の特性は全く信用できません(マイクの表と裏の両方で音を拾う構造であるため、耳穴の気柱振動が影響している模様)。聴感では、カナル型イヤフォンや馬鹿ブーフラット再生よりも低音がブワッと出過ぎる気がしていたのですが、やはり低音が盛り上がり気味ですね。しかし、そのおかげで、40Hzまで中域と同等レベルのレスポンスが確保されています。Frieve audioで500Hz以下をフラットに補正すれば、馬鹿ブーやカナル型イヤフォンとと比べて違和感のない低音を聴けるかもしれません。

と言う事で、Frieve Audioの音場補正により、周波数ドメインだけでなく時間ドメインでも、密閉形モニタヘッドフォンに匹敵する非常にクオリティの高い音楽再生を実現できるという事を再確認できました。非接触型ヘッドフォンを標榜するLEANAUDIOニアフィールド方式の面目躍如ってとこですね。

Alpair5を使っていた頃は、アナログチャンデバを介してサブウーハーを使用すると、大幅にウーハーの位相が遅れたため、位相遅れ補正をOFFにすると時々違和感を覚える事がありました。しかし、密閉型の馬鹿ブー方式の場合、OFFにしても殆ど違和感を覚えた事がありません。ですので、OFFにするとこんなに波形が崩れてしまうという今回の結果には逆にちょっと驚きました。ONにした場合の弊害というのも特に感じませんし、CPU利用率もほとんど増えないめ、今後も位相遅れ補正ONを標準設定にしたいと思います。

オーディオを趣味とされる方々は、こんなのツマラナイと思われるかもしれませんが、このように「音楽再生クオリティ」を高める事によって、「音楽」(アーチストさんがやらはった事)を非常に聴き取りやすくなります。また、僕には「音」自体も癖や違和感のない素直で自然な、従って美しい、「響き」方に聞こえます。これはマイクで拾った波形が素直にそのまま耳に届くからだと思われます。例えば、録音されたストラディバリの響きを本当に味わいたいのであれば、倍音をタップリ含んだ精妙極まりない波形を出来るだけ正確に耳に届ける以外に方法はないはずです。

今回驚いたのは、密閉型スピーカであっても、位相を補正しないと、トランペットの各倍音成分の波形の時間的順番がソースとは異なっているよう見える事です(スペクトルは同じはずですが、波形が全然違って見える)。僕の耳では同じようなペットの音にしか聞こえませんが、電線の違いを聞き分けられるくらい耳の良い方には違いが分かるかもしれません。例えば、ストラディバリの微妙な響きを真剣に聞き分けようとする場合、このへんの波形の崩れはどの程度影響するのでしょうか? (僕にはそこまで聞きわけようという熱意はありませんが。。。)

スピーカとしては最もシンプルなフルレンジ1発でも、スピーカの位相特性によって、このように大きく波形が変形しているというのは驚きです。アナログフィルタを介したマルチウェイ方式の状態は「推して知るべし」ではないでしょうか。

対して、ヘッドフォンでは、何の苦労もなく非常に正確な波形を耳に届けられるという事が、今回の計測で実証されました。ヘッドフォン/イヤフォン再生は、テーイがドータラコータラを無視してしまえば、めっちゃ気持ち良いですよ。ホンマニ。特にベトベン交響曲はヘッドフォンで聴く方が好きだな、未だに。。。。真面目なバイノラル盤出ないかなぁ。。でも、長時間の装着が鬱陶しいのよね。。。

LEANAUDIOでは、常にカナル型イヤフォンの聞こえ方をリファレンスとしてきました。そこそこ上等のカナル型イヤフォンなり密閉型モニタヘッドフォンを真剣に聴いた事のない方には、一度じっくりと聴いてみる事をお薦めします(あんまりジョートーなやつはジョートー感を演出している可能性があるので、イヤフォンなら1マンエン前後のクラスが適当かと思います)。僕はジョートーすぎるヘッドフォンを買ってしまった事を少し後悔しています(超特価を見付けて衝動的にポチしてしまったのよ)。多くのスタジオで愛用されているMDR-CD900STくらいにしておけば良かったかもしれません。ハチマルはVictor製のダイアフラムがトップマウントされたタイプのカナル型イヤフォン(HA-FXC71、6K円くらい)をリファレンスとして使用しています。外出時およびジョギング中も、いつもこいつを愛用しているので、ボロボロになってきました。値段も手頃ですのでお薦めします。

ヘッドフォン/イヤフォンで定位に違和感を覚える方は、モノラルにして「オンジョー」とか「テーイ」を気にせずに「オンガク」を聴いてみてください。何か新しい発見があるかもしれませんよ。ハチマルもソースによってはモノラルで聴いています。

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テーマ:オーディオ
ジャンル:趣味・実用
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