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2011年10月12日 (水) | Edit |
波形を正確に再現できれば「良い」音になるのか?
注: ここでいう「波形」とはアンプで終わる電気信号の波形ではなく(今時、これには大きな問題はない)、また無響室で測定されるスピーカ単体の音響出力波形でもなく、実際の使用条件でリスナーの耳に届く最終的な音波波形の事ですので、ご注意ください。

答えは「良い音」とは何を指すのかによって異なります。

「良い音」が「自分の好きな装置の音」という意味であれば、相関性はありません。好きなようにやればよろしい。

しかし、「音楽」の全体と細部をしっかり聴き取り、音楽家の表現を素直に受け止めようとする場合、波形をある程度正確に再現できれば確実に聞きやすくなり、音もより自然に聞こえ、「音楽」をより楽しむことができます。これは再三申しているようにLEANAUDIOを通して僕が得た結論です。その一例は、ジャズにおける低音ビートの重要性です。これを正確に再生すると「ノリ」すなわち聴く楽しさ、醍醐味ってやつ? が段違いです。

例えば、落語のCDを聴く場合、落語家がどのような内容をどのようなニュアンスで語っているのかが、耳を澄まさなくても思いっきりリラックスしていてもハッキリとよく聞こえて欲しいと思います。例えば、パネルディスカッションの録音を聴く場合、高い声も低い声も大きな声も小さな声も、耳をそばだてなくてもパネラー全員の声をはっきりと聴き取って、議論の内容を追いかける事に集中したいと思います。音楽を聴く場合も基本的に同じです。ただ、耳で感知した音を言語として理性で理解するのではないという点と、音の構成内容が圧倒的に複雑であるという点で異なるだけです。

いずれの場合も、ある目的(大ざっぱに言えばコミュニケーション; ちなみに芸術はコミュニケーションの最も高度な形態だと思う)を達成するために「音」を媒体として「耳」という感覚器官を通して知覚し、そこから先は「脳」というよりも「魂」の領域なので良く分かりませんが、例えば小説を読む場合、媒体である「字」を「目」で知覚して物語りを追いかけ、最終的には作者が持つ深奥の世界感なりメッセージを感じ取ろうとします。

そういう意味では(ってどういう意味よ?)、波形をある程度正確に再生できれば確実により良好に目的(コミュニケーション)を達成できます。音楽は、話声に比べると圧倒的に広帯域でダイナミックレンジが広い複雑極まりない構造体であり、これを再生/伝達するにはそれなりに高度な音響再生装置が必要となるため、過去の技術者達は常にそれに挑戦し続けて来たという事です。

分かりやすく言えば、波形を正確に再現できれば「自分が好きな装置の音」になるのではなく「良質な再生音」になるという事です。その音が良いか悪いか好きか嫌いかは、そこに記録されている元の音によって決まるという事です。

「音楽」を聴くにあたり何を主たる興味の対象とするのか、優れた音楽に触れる事を通してそこに何を見ようとするのか、何を求めようとするのかによって目指す方向性が異なるという事です。

興味の主たる対象を「装置から出てくる音そのもの」やそれらの音の付帯的現象(反射等)によってタマタマ現出する「雰囲気」「臨場感」「ナンチャラ感」といったもの(いわゆるオンシツ?と呼ばれているやつ)に置くのか、それとも、そこから遡って興味の主たる対象を「その音を出した音楽家の行為/表現(その結果がすなわち音楽)」に置くのかという事です。さらに遡れば「その音楽家をそのように行動せしめた彼の内奥にあるナニカ」、そしてさらに「そのナニカを彼の精神に生来せしめたさらなるナニカ」を無意識に感じ取ろうとする(すなわち彼にコミュニケート(アクセス)しようとする)のか...という事です。

音楽を聴くという行為(芸術を鑑賞するという行為)は決して受動的な行為ではなく、積極的にコミュニケート(アクセス)しようとする極めて能動的行為であると僕は思います。難しい事を書きましたが、これは例えば文学作品を読む場合に多かれ少なかれ誰でもやっている事です(といっても、ここで作者はどう思ったか?なんていう現国の受験問題のような愚にも付かん事を「考える」という事ではありませんので)。

LEANAUDIOが目指している方向性は、現在のいわゆるオーディオそのものを「趣味」とするマニア向けの装置とは趣を異にします。

もっと即物的に言うならば、波形を正確に再生できればLEANAUDIOがリファレンスとするカナル型イヤフォンの聞こえ方に近付きます。その聞こえ方を「良し」とする方にはLEANAUDIOは向いています。その聞こえ方に嫌悪を感じる方には向いてません。最初っからそう言えば話は早かったかな。

波形の再現性(時間ドメインでの再現性)はF特(周波数ドメインでの再現性)と同様、本来オーディオ装置に求められる基本中の基本の機能であり、また、僕が求めているのはあくまでもリスニング位置での再現性の事ですので、歪み率レーテン何パーセントとかいう微細な話ではなくもっと大まかなものです(電気→機械→音響という厄介な変換過程を経てしかも部屋の影響を受けるスピーカからの音響出力に対してアンプのような低歪み率を求めるのはソモソモ酷というもの)。

何も狂信的な「原音再生」とやらを求めているのではありません(そもそも無理)。

従って、僕が求めるレベルを達成したとしても装置の個性なり開発者の思想を音に反映する余地はタップリと残されています。その部分を趣味的に楽しむというのは、アリだと思います。末端ユーザはそれでよろしい。というかそういうものです。だいたいどこの業界でも。ただし、開発者は音楽再生装置としての基本中の基本(といっても超コマケー事ではなく、本当に重要なオッキナ基本のこと)に対する努力を疎かにしてはならないと思います。それが玄人さんのオシゴトというものではないでしょうか?

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テーマ:オーディオ
ジャンル:趣味・実用
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