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2011年07月13日 (水) | Edit |
周波数特性をフラットに再生するという事に関して、勘違いがあるようなので、補足説明しておきます。

「人間の耳はフラットな特性を持っていない(いわゆる等ラウドネス特性)ので、フラットな周波数特性で再生したのでは不自然だったりツマラナク聞こえるはずだ」というやつです。

これは大きな間違いです。

前の記事にも書きましたが、音楽家および録音エンジニアは、ほぼフラットな特性を持つモニタースピーカーを使用して、音響調整されたコントロールルームで音楽をモニタリングしながら細かい調整を行います。この時、彼らは「計測値」ではなく自分の「耳」で音楽を確認しながら「感覚」で作業を進めます。で、当然ですが、彼らも人間である以上、我々と同じような等ラウドネス特性でもって、その音を聞いているわけです。我々と同じような特性の耳で確認してコンナモンヤネと調整しているという事です。言いたいコト ワカルカナ?最終的に調整された音には、既に人間の等ラウドネス特性が反映されているというコトです。上の考え方が誤りである事がお分かりいただけましたか?「ツマラナク」聞こえるのはそのヒトの「好み」の問題だ。というやつです。

さらに言えば、自分の部屋で周波数特性をフラットにして再生した時に聞こえる音楽の聞こえ方は、彼らがコントロールルームで、フラットな特性のシステムを使用して彼らの「耳」で聞いた音楽の聞こえ方と概ね同じになるわけですから、裏返して言えば、自分の部屋でフラットな周波数特性で再生した時に不自然に聞こえる、あるいは「ツマラナク」聞こえるというヒトは、録音時に彼らのコントロールルームに行って、彼らと一緒に彼らがコンナモンヤネと調整した音楽を聞いても、自分には不自然または「ツマラナク」聞こえるというコトです。。。。「ツマラナイ」のであれば、なにもワザワザその音楽を聴く必要はなく、もっと自分にとって「ツマル」音楽を聴いてみましょう。

余談ですが、「計測」や「データ」というと、ドシロートの「カンセー」とやらを持ち出して拒否反応を示す方が多いようですが、「計測」は、我々「ドシロート」より遙かに優れた感性とやらを持つ音楽家が作り上げた作品を、自分の部屋でできるだけ正確に再生するためにやっているわけです。何故なら、それがイチバン自然に聞こえて聴きやすいから、彼らの目指した表現を感じ取りやすいからです。。そうやって「素直」に聴いた音楽から自分なりにナニを感じ取るかという部分で、自分の「感性」とやらが大切になるわけで、それ以前の段階でドシロートなオッチャンが「カンセー」とやらをやたら勝手に振り回すというのは、なんか逆じゃね?ソンナ聞き方してると、いつまでたっても本当に自分が好きな音楽は見つからないよ。音楽を聴く本当の楽しさは分からないよ。だから若い子にはソンナ聞き方を絶対にして欲しくないのよ。。。iPodで気楽に聴いている方がズット良い。

もちろん、等ラウドネス特性には個人差がありますし、アーチストやエンジニアの好みもありますし、スタジオによってモニタシステムも異なりますので、録音に多少の個性が出るのは当然です。例えば、以前の記事で取り上げたマイルスとハビハンコックのリーダーアルバムでは、リーダー以外のメンバーが殆ど同じで、殆ど同時期に録音されたにも関わらず、マイルスの作品の方が高音寄りでシャープに聞こえます。なので、マイルス好みの僕は、ハビさんのアルバムを聴く時に30Hzから20kHzにかけて直線的にハイ上がりに補正を適用したりしていました。最近はランダム再生をよく使うのですが、ジャンルを問わずイロンナのを片っ端に聞くと、真フラットが平均的にはベストだね。という事で、今は細かい事を気にしない事にしています。どれも超一流プロの仕事なので、そんなにヘンチクリンに録音されたのなんてアリエマセンし。。。ただ、最近は窓を開けて仕事をするので、音量も控えめで屋外の騒音も増えて細部が聴き取りにくくなるため、やはり直線的に少しハイ上がりに設定しています。また、小音量で交響曲を聴く時は、100Hz以下をエイヤとブーストします(ラウドネス補正)。

音場補正でフラットな特性を初めて経験すると、最初はオヤ?と違和感を覚えますが、それは今まで癖のある音に慣れていただけの事であって、フラットに少し慣れてくると「音楽」が聴きやすい事に気付いて手放せなくなるヒトが多いようです。最近も読者の方からそのようなコメントを頂いたばかりです。考えてみれば極当然なんですけどね。

そもそも「音楽」ではなく「音」が「ツマラナイ」というのは、僕にはよく理解できませんが、オーヂオマニアにドーユーワケか多いボーカルやストリングをメインに聞く、いわゆるカマボコ特性で聴いておられる方には、他の帯域の音が出てくるので、なんか主役が引っ込んだみたいに感じてツマラナク感じるのかもしれません。どうなんでしょうね。

追記
ここで「フラット」と呼んでいるのは、部屋の影響も含めて「耳元で」という意味です。

追記2
だいぶ以前の記事に書きましたが、交響曲(ベト5)のCD信号のスペクトル分布は、さるホールの中央席で実測されたスペクトル分布にほぼ一致します(参考記事)。
704.jpg
緑が実測、グレーがCDの信号
つまり、フラットな周波数特性で再生すれば、ほぼ中央席と同じように聞こえるという事です。それが不自然またはツマラナク聞こえるというヒトは、ホールで聴いても不自然でツマラナク聞こえる事でしょう。

また、少なくとも40Hzまでは重要な信号が入っている事も分かります(濃いグレーの帯域)。ダイゴミってやつらしい??つまり、少なくともそのヘンまではフラットに再生したいという事です。あ。。。また勘違いされるかもしれませんが、「この絵のスペクトル分布が40Hzまでフラットになるように再生する」という意味ではありませんよ。。。「実際に耳元に届く音のスペクトルがこの絵のスペクトルと同じカタチになるように再生する」という事ですから。。
このCDソースも複数の近接マイクで収録されたと思われ、録音したままだともっと高域が強くなるはずです。恐らく、調整段階で高域を落として、ホールの中央あたりで聴くのに近くなるように調整してくれているのだと思われます。このように、彼らはスタジオで、我々と同じような特性を持つ彼らの「耳」で確認しながら、我々のためにチャント調整してくれているわけです。

周波数特性が基本中の基本だという事、少しはご理解頂けたでしょうか。。当然スペクトルだけでなく、「音楽」を楽しむためには、特に低域での位相遅れも重要である事は言うまでもありません。周波数ドメインと時間ドメインの両方が重要だという事です。実測波形で再三お見せしたように、Frieve Audioのデジタルイコライザはその両方を驚くほど正確に1発で補正してくれます。なんでデジイコがもっと普及しないのか? 極めて簡単に根幹的「音楽再生クオリティ」を画期的に改善してくれるのに。。。

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