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2011年06月01日 (水) | Edit |
この分野で多用される「音質」という言葉の指す意味が非常に曖昧に思われるため、僕はよく「音楽再生クオリティ」というハチマル用語を使います。今回はこのヘンについて。。

オーディオ装置に関して多用される「音質」という言葉には2つの意味が含まれるようです。

1つは「客観的な音質」です。これは例えばS/N比、歪み率、周波数特性、位相特性等の物理量で表す事ができます。要は「記録されている信号をどれだけ忠実に音響出力としてスピーカーから取り出せるか」という指標です。この「音質」には好き嫌いの要素は一切含まれません。極端な例として、この意味で「高音質」なオーディオ装置は、表現者が不快な音を何らかの意図をもって(すなわち「彼の表現」として)録音した場合、表現者が意図した通りの不快な音を忠実に再生します。

もう1つの音質は「主観的な音質」です。オーディオ装置の電気的な性能が十分に向上した現在、こちらの「音質」が取りざたされる事が殆どのようです。この「音質」は専ら聴取者の主観(好き嫌い)に依存します。とはいえ、いわゆる「オーディオマニア」の間では一定の傾向が見られるようで、大まかに言って「響き」に対する拘りが強いように見受けられます。この「響き」の追加あるいは創出によって「気持ちの良い音」「癒される音」「疲れない音」「身体に良い音?」「ゲージツ的?な音」「情感の伝わる音」あるいは「臨場感」「空気感」「音場感」「距離感」というのを強く求めようとするようです。このような傾向を反映してか、最近はDSPで響かせているソースも多いようで、ちょっとエスカレート気味のような気もしないではありません。で、さる演奏家が怒る。

さて僕が「音楽再生クオリティ」と呼んでいるのは、上の「客観的音質」の範疇に入ります。シツコク言っている「可聴帯域の下限近くまでフラットに位相遅れなく」というヤツですね。ただし、アンプの歪み率が何%とかの細かい事ではありません。昔ならいざ知らず、現代のオーディオ用として売られているアンプは、安物でも音楽を再生するには十分な基本性能を持っています。ですから、1万円のアンプと300万円のアンプをブラインドで比較すると、1万円のが勝っちったてな事は条件次第で十分にあり得ます(参考記事)。

僕が求めるのは、せいぜいスピーカーから出力されて実際に耳に届く音の波形(とスペクトル形状 = f特)をソース信号と目で比較した時に「まあだいたいオンナジチャウの?」と言えるレベルの「忠実性」です。精密に測定してもわかるかわからないかのような微細な違いではなく、波形を重ねてみて明らかにチャウヤンというのはセメテなくそうね。。という程度のものです。なぜそれを求めるか?といえば、LEANAUDIOの経験を通して、そうする事によって音楽の全体像と細部が聴きやすく、音楽が違和感なく自然に聴けるという事をほぼ確信できたからです。それは何故か?と言えば、極めてアタリマエですが、そのように再生された音の時間変化(音楽は専ら音の時間変化によって表現される芸術)が元々録音された音の時間変化に概ね近付くからです。これにより、アーティストが何をやったのか(彼の演奏または作曲による表現行為の結果として記録された音の時間変化、彼の「情感」とやらも全てそこに刻まれている)が聴き取りやすくなり、それだけ楽して、あるいはより深く音楽を楽しめる、感じ取れるという事です。音ソノモノを楽しみたいわけではありません。

このブログで再三お見せしたように、耳に届く音の波形は、現代のオーディオ装置でも様々な要因によってソースの波形(録音された波形)からかなり大きく歪んでいます。アンプの歪み率が何%とかの細かい話ではありません。オシロで波形を並べて見れば明らかにわかるレベルの違いです。その違いの原因として下記が挙げられます。

1) スピーカーの周波数特性がフラットではない (特に小型SPの低域)
2) バスレフ型の位相遅れ
3) アナログフィルタの位相遅れ
以上は装置側(専らスピーカ)の問題

4) 部屋の音響特性

これらの要因を対策する事によって、確実に「音楽」が聴きやすくなる(気持ち良く聴ける、音楽を楽しめる)というのがLEANAUDIOの経験を通して得たハチマルの結論です。音楽を「再生」する上で、この最も基本的で、最もアタリマエで、最も重要で、最も優先されるべき「基本的な音楽再生性能」があまりにも疎かにされているような気がしてなりません(ある意味「音楽」が疎かにされていると言えなくもない)。技術の発達していなかった黎明期ならいざしらず(というか当時の技術者は皆これを目指したはず)、デジタル技術と音響再生技術が十分に熟成した現代なら、たいそうなことしなくても、ヒャクマンエンなんてトンデモナイ出費をしなくても、馬鹿デカイ装置をチッコイお部屋にぶち込まなくても、音楽を普通に愛聴する人々向けに必要十分以上の「音楽再生クオリティ」が得られると思うのだが。。そういう装置を世に広める事がオーディオメーカーの使命ではないのか。。と思うぞ。

追記
モチロン、ハチマルにだって主観的な音の「好み」はありますよ。だからスピーカーユニットをアレコレ選ぶ。で、MarkaudioのAlpairメタルコーンがお気に入りというコト。

追記2
最も重要なのはアーティストのクオリティ、2番目が録音のクオリティ(音質面だけではない)。この方面の向上を切に望むぞ。オイラ達はそれを素直に再生して聴く事しかできないんだから。

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