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2010年11月15日 (月) | Edit |
最後に吸音材の有り無しと、測定距離/バッフル効果について測定してみました。最後に「まとめ」も書きました。

1) まず吸音材の有無比較。
A6P
631.jpg

A6M
630.jpg
黒が吸音材タップリ、赤が吸音材ナシです。800Hzのピークが箱の前後方向の定在波です(参考記事1)。

各種8cmドライバーを同一箱で比較した過去の経験から、コーンの材質によって内部の定在波の前面への透過性が異なるのではないかと予測していました。今回はそれを確かめる良い機会なので測定してみたのですが、予測していた程の差は見られませんでした。上の2つの図を比べると僅かにPの方が影響が大きいように見えますが、大した差とは言えません。A5とFE87も同一箱で比べたのですが、やはり同程度でした(データを保存し忘れたので図はありません)。

「紙コーンの「紙臭さ」は定在波の透過に起因するのではないか?」というハチマル仮説は覆されてしまいました。

箱内部の3面に吸音材を1層ずつ貼る事によって定在波をほぼ完全に除去できる事は、以前の記事で確認しました(参考記事2)。ただし、箱のサイズが大きくなると、定在波の周波数も下がるため、吸音材の吸音率も低下する点には注意が必要です(波長が長くなると吸音効果は激減する)。大きい箱ではそれなりに吸音材の厚みを増やす必要があるかもしれませんので、ご注意ください。

ストリングやボーカルでは定在波が多少あった方が響き感が加わったように聞こえるので、そのような音を好まれる方には吸音材が毛嫌いされる傾向にあるようです。しかし僕の場合、ベートベンのピアノソナタをよく聴くのですが、吸音材を入れないとピアノの音が不自然に聞こえてとても耐えられません。

2) さて、吸音材の効果については、定在波以外にもうひとつ注目すべき点があります。
上の図では、吸音材を無くすと300Hz~50Hzのレスポンスが増加する事がわかります。これは密閉箱に特有の機械的共振による低音増強効果です。A6Pの方がこの効果が大きく出るようです。A6Mではあまり大きく変化しません(ということは、吸音材をあまり入れなくてもダンピングの効いた低音が聴けるかもしれません)。ちなみに、箱容積をある程度まで増やすとこの効果はもっと顕著に表れ、しかも低域側へシフトします。従って低域限界を延ばす事ができますが、大容積の密閉型では吸音材を適度に入れないと往々にしてダンピングの不足した低音になりがちです。

密閉箱では内部の空気はバネとして働くため、ドライバとこのバネの組み合わせによって機械的な共振現象が発生します(ドライバ単体でも共振は発生する)。これはインピーダンスのピークとして表れます(参考記事3)。この領域では、小さな信号入力でも振動板が大きく振動します。特にダンピングファクタ(DF)の低い小型真空管アンプではこの影響が大きく現れ、締まりの無い低音になる傾向があります。
540.jpg

以前に掲載したA5での測定結果(吸音材なし、約5cmの距離)。赤がiCon AMP、黒がTU-870。

僕はジャズのピチカートベースの聞こえ方を重視するため、ダンピングの効いた低音を好みます。仕事しながらでも、無意識にベースラインを追いかけながら聴くのが僕の習性です(これは中学生の頃にジャズを聴き始めた頃からずーっと続いている癖)。そのようにして長時間聴いていると、半導体アンプの場合でも時々ベース音が微妙にズッコケ気味に聞こえる事があり、その都度吸音材を少しずつ増量しているうちに、とうとう現在のような満杯状態に至りました。新システム用の13cmウーハーやケロでも、最初は吸音材控えめで始めたのですが、結局今は満杯状態で落ち着いています。

通常の場合、密閉箱でこのように吸音材を増やすと低音の出力レベルが下がってしまいますが、僕の場合はデジタルイコライザでブーストするので全く問題ありません。吸音材をたっぶりとぶち込んで共振現象を抑え込む事によって、制動の効いたタイトな低音再生を得る事ができます(すなわち、信号通りの正確な低音が得られる = ベースラインが聴きやすくなるトイウコト)。このように、デジタルイコライジングを活用する事によって、バスレフ型のみならず通常の密閉型ですら抱える低音増強にまつわる問題を回避する事ができます。

3)ついでに、測定条件にまつわる影響を簡単に調べてみました。

このブログの過去のデータを見ると、同じA5のグラフでも微妙に特性が異なっている事に気付かれるかもしれません。通常、何かを比較するために測定を行うため、その記事内で比較するもの同士の条件は徹底的に揃えるのですが、異なる記事間では毎回スピーカーの置き場所やマイクの位置が微妙に異なります。このため、同じスピーカーでも記事によってF特グラフが微妙に異なる場合があります。ホントはいつも同じに揃えれば良いのですが、ついつい手持ちで測定したり、ディスプレイの横に置いたまま測定したりするので、記事が異なると厳密な比較はできませんのでご注意ください。

下図はマイクの距離を変えた場合の影響です。
632.jpg

黒が5cm、赤が10cm、緑が20cmです。いずれも中心軸上で測定しています。波長の長い低音は、バッフルの後方へ回り込むため、バッフル サイズと同等以内の距離で測定すると、ある程度以上離れた場合に比べて低音が高めに測定されます。

次に、20cmの距離で、バッフルの左右と上にA4サイズのハードカバーの本を置いて、擬似的にバッフル面積を増やしてみました。
633 copy

緑は通常の状態(デスク前端に置いて測定)、ピンクがバッフル面積を増やした場合の結果です。約500Hz以下で明らかにレスポンスが増加する事が分かります。この効果もさらに離れれば低下すると思われます。僕の場合、実用状態では幅約60cmのディスプレイの左右にピッタリとくっつけてスピーカーを配置し、約70cmの距離で聴いているため、ディスプレイが結構バッフルとして作用しているかも知れません。

さらに言えば、スピーカー後方の壁との距離も低音特性に影響します。そしてもちろん、お部屋の定在波や反射の影響も被ります。このような諸条件により、無響室内で規定標準箱で測定されたメーカー公表データと自宅での測定データは大幅に異なりますのでご注意ください。当然ですが、最終的には普段のリスニング位置でどのような周波数特性になるかが重要です。

4)まとめ
以上でAlpair6 M(メタル)とP(紙)の比較を一応終えます。
昨日、左右ともMに換装しました。片方は慣らしが付いていないため、完全ブースト状態ではありませんが、なかなか好印象です。音がしっとりと落ち着いたという感じかな。暫くこの状態で使用して慣らしが付いたら、今度は両チャンネルをPに換装してみますね。

最終結論はそれからかな?結局、年内一杯はかかりそうかも。

とりあえず現在の僕の印象を以下に要約します。
PやA5と直接比較すると低音よりに聞こえるM (f0も低く低音よりの特性です。素の状態だとA5愛用者には高音が物足りなく感じられるかも。)
●A5に近い高音特性を持つP (A5愛用者でも満足できる高音。A5に比べれば低音も随分出てます。素のF特バランスがGOOD)
●デジイコ愛用者にはブースト耐性の高いM (デジタルイコライジングすればバッチシよ。ホンマに。素材しとしてGOOD。デジタル時代のSPはこうあるべき。。という感じ。Mも出してくれてありがとう。マークさん!)
●音調がニュートラルなM (ナチュラルです。例えばお店でPと比較試聴する場合には、試聴アンプにトーンコントロールが付いていたらMだけTREBLE(10kHz)をちょっと上げて聴いてみてね。随分印象が変わるはず。Mだけ単独で聴くと高域不足には感じないんだけど、Pと直接比較すると印象がそちらに引きずられるみたい。)
●適度に鳴りの良いP (Mに比べてほんのりブリリアント。イコライザ無しでMと直接比較試聴したらPの方を好む人が多いはず。デジイコなしで素のまま聴くならハチマルだってPを選びますよ!)
●はじめて自作するので自分の好みが分からない方にはP (F特が好バランスで音が綺麗なので、どんな箱に付けても満足できそう。Pと直接比較すると、イコライザなしのMだとちょっと地味に聞こえるかもね。普段使っているスピーカにもよると思いますが)

てとこですかね。あくまでもシャープなAlpair5を聴き慣れた者としての印象ですのでご注意。耳がちょっと「高域より」にバイアスしているかもしれませんので。。A5の高音がキツメに感じられる方にはM6の方が好みに合うかもしれません。

A6 MかPかでお悩みの方。。ご参考になりましたでしょうか?

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