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2010年07月01日 (木) | Edit |
さて、久しぶりに独断シリーズを再開したいと思います。またまた勝手な事を書きたい放題に書かせて頂きます。ご容赦を。

僕がここで取り上げるオーディオ装置は、自動車で言えばフェラーリではなくシビックやアコードに相当する実用オーディオ装置です。と言っても僕はフェラーリを否定するつもりは毛頭ありません。逆にフェラーリ信者と言っても良いかもしれません。フェラーリは人間のポジティブな面(人生は、人間は、素晴らしい!という事)を自動車という工業製品を媒体として表現した芸術だとすら思っています。355以降はちょっと「ジドーシャ」に成り下がってしまって信仰心は薄れましたが348以前のフェラーリは「ジドーシャ」以外のナニカ(?)でした。348は150km/h以上出すと平気で一車線くらい突然横っ飛びするとか、逆火で吸気チャンバーが爆発してリアカウルが吹っ飛ぶとか。。それでもリコールにはならずオーナーは自費で修理するとか(それをツベコベ言うヤツにはフェラーリ様を所有する資格は無いのよ)。実は348は箱根ターンパイクで1往復だけ運転した事があって、あたしゃ一生忘れませんよ。あの日の事は。NSXと乗り比べましたがこちらは完全にフツーの「工業製品」です。

同様にパラゴンやオートグラフあるいはノーチラス等のハイエンドを否定する気も毛頭御座いません。自動車を趣味とする方々にはスーパーカーをコレクションする羨ましい方も居ますし、クラシックカーのリビルトに熱心な方、はてはF1のようにキチガイ沙汰のレーシングの世界もあります。オーディオの世界でも当然ですが、ナンビャクマンエンもするフェラーリ級の装置を愛でたり、電線等の違いによる微少な音の違いを探求したり、音源を素材として自分の理想とする音を創出したり(つまり半ば楽器のようにオーディオ装置を扱う)、いろんな楽しみ方があって良いと思います。それぞれ結構な趣味だと思います(F1は趣味ではないけどね)。こういうのを一種の「数奇者」と言います(数寄者(すきしゃ、すきもの)は芸道に執心な人物の俗称。「数奇者」と書く場合もある。)。

しかし、

僕が最近オーヂオイヂリに手を染めてこの業界を覗いた時に非常な違和感を覚えたのは、そのような数奇者的なオーディオがあたかもオーディオ技術の本流であるかのように扱われている点です。ちょっとましな音で音楽が聴きたくなってオーディオ専門店へ行くと「まともな音で聴くには最低ヒャクマンエンは必要です」なんぞとと言われるなんて話はアチコチで聞きますが、ただ良い音で音楽を聴きたいと思っている一般的リスナーの感覚からすれば全く常軌を逸しているとしか思えません。雑誌を見てもそれを煽るような記事ばかり。ほんとにヒャクマンエン出さないとまともに音楽が聴けないのであれば、それは全くのメーカーの怠慢としか言いようがありません。シビック買いに行ってNSXじゃないとまともなクルマではありませんと言われるようなものですね。蛇足ですが、スーパーカーを買えるレベルの方のオウチならまだしも、標準的な日本のオウチにあんまりご立派な物をぶち込んでも、まともな音で聴けるとは思えません。

これに対し、安全快適に移動するための道具としての普通の乗用車に相当するオーディオ装置、すなわち本来最も充実していなければならないセグメント(価格的には10万円以下、千歩譲って20万円以下で一式揃うレベルが)が余りにも貧弱過ぎます。数奇者用ハイエンドの縮小廉価版をテキトーに作ったようにしか見えません。これはオーディオ装置を「音楽を聴くための実用工業製品」と考えた場合、極めて不健全で異常な状態のように僕には思えるのです。NSXをテキトーにお安く作ったのがシビックではありません。逆にシビックの開発にかけるリソースの方がNSXよりも圧倒的に大きいのです。またユーザーはNSXが買えないからシビックに乗る訳でもありません(まあ実際には買えないんだけど)。

フェラーリやクラシックカーは爆発しても横っ飛びしても文句を言う人はいません(かな?)。パラゴンがどのようなf特を持っていようが伏して拝聴するのみです(ははぁーー)。
しかし一般的な大量生産の製品がそれでは困ります。実用自動車に求められる最も基本的な性能は、安全に走って曲がって止まれる事ですが、オーディオ装置に求められる最も基本的な性能とは何でしょうか。それは「媒体に記録されている可聴帯域(一般に20Hz~20kHz)のほぼ全域の音をリスナーの耳に明確に届ける事」です。もちろん音色的な魅力や商品的魅力も重要です。自動車でも快適性や洒落たデザインが求められるのと同じですよね。しかし、まず最も根源的な基本性能が必要十分なレベルで満たされていなければならないのは当然です。いくら格好良くて乗り心地が良くても安全に止まれない車じゃ困りますし、いくら高域のストリングが美しく響いても怒濤のティンパニーがスカスカでフラフラでも困るのです。メーカーは、このような「音楽再生装置」として至極アタリマエの最低限の性能を備えた一般リスナー向けのリーズナブルな装置を最優先で開発しなければなりません。

その一方でオーディオ装置を趣味とされる数奇者の方々向けの「ハイエンド」な製品ももちろん必要ですし、小規模なビルダーさん達が趣味性の高い個性的な製品を提供する事ももちろん必要です。ただしそれらは「音楽を聴くための装置」としてのオーディオ技術の本流では決してありません。スーパーカーやクラシックカーやF1が自動車技術の本流でも頂点でもないのと同じです。そんな事は自動車メーカーもユーザーもアタリマエとして認知しています。そのあたりの認識がこのオーヂオ業界(とユーザー)の間であまりにアヤフヤなので僕としては非常に違和感を覚えるのです。はっきり言って健全な状態には見えません。

別にこの業界がどうなろうがアタシャ一向構わないのですが、健全なオーディオ装置がアタリマエの価格で一般リスナーに提供されないと、それは人類にとって大きな損失になると思うのでイライラするのです。優れた音楽(のみならず芸術)は我々にとって計り知れないほど大切なものです。オーディオ装置はその一般大衆に向けての伝達装置として非常に重要な役目を担っている事を開発者は肝に銘じて欲しいのです。あの、、、、また繰り返しますが、狂信的なコマケー事じゃないのよ。一般リスナーにとっての「必要十分」を見極めてお安く作ってね。それがホントの技術者のお仕事ですから。かといってセットコンポみたいに吸音材も入って無くてペラペラのパーチクルボードで見栄えだけ立派な3ウェイとか作っちゃ駄目よ。ホンマニ。最低だから。技術者として恥ずかしい事だけは止めようね。

という事で次回から具体的に「こういうの作ってよ」というのを書いてみたいと思います。

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テーマ:オーディオ
ジャンル:趣味・実用
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