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2012年07月20日 (金) | Edit |
前の2つの記事でオーディオ雑誌について書いたので、まとめておきたいと思い、今回の記事を書きました。また、当ブログもこれにて一段落という事で、テンプレートを変更してみました。如何でしょうか?

当ブログで何度か「オーディオ界の悲劇は、真の玄人さんあるいは真の規範が不在である事に帰結する」と書きました。「音楽」のシロート達が好き勝手に言いたい放題やりたい放題にしてきた結果が招いた悲劇であるように見えるという事です。

「趣味」としてのオーディオ自体はどうであろうと全く問題はありません。「趣味」ですから。どの分野でも、マニア達は「手段の目的化」といった傾向を示します。しかし問題は、この業界全体が「趣味」の方面に異常なまでに偏向してしまい、「表現者から大衆への音楽作品の伝達装置」という、最も重視されるべき本来の目的が、すっかり疎かにされているように見受けられる点にあります。僕がLEANAUDIOに着手した頃、この業界に対して真っ先に覚えた激烈な違和感の根源は、そこにあります。その結果として、世の中の技術が大きく進歩しているのにも関わらず根本的な音楽再生クオリティは改善されず、微視的/表層的なオンシツばかりを追いかけ回し、装置は小型化せず低価格化しないという、魔境化が生じたと思われます。オーディオ業界は縮小の一途を辿っていると良く言われますが、このような状況を冷静に鑑みれば、全く当然のように思えます。

彼らは言います。。「音楽家のオーディオ(再生音楽の聴き方)は、自分達から乖離している」(自分達の音楽の聴き方が乖離しているとは考えもしないのか?)、「音楽家よりもオーディオ技術者やマニアの方が細かいチガイを聞き分けられる」(そのチガイが再生音楽を鑑賞する上でさして重要ではないとは考えてみないのか?)、「音楽家が監修したオーディオ装置はツマラナイ」(音楽家は我々に何を聴いてもらいたいと思っているのか顧みようとはしないのか?)。。。。音楽のドシロートである彼らは、音楽の専門家である音楽家達から「自分達が乖離」している事を認識しているにも関わらず、その事を真摯に受けとめようとはしないのでしょうか。僕には、そのような態度や言動が非常に傲慢に見えます。何故そのように偉そうなのか? 意識的であろうが無意識的であろうが、彼らにとってあくまでも「オーディオ」が主体であり「音楽」はそれに従属するものという「手段の目的化」が、このような態度に如実に表れているようにも思えます。

彼らは言います。。「音楽家は舞台に立つ立場から音楽再生を評価するため、自分達「鑑賞者」とは音楽の聴き方が根本的に異なる」。。。果たしてそうでしょうか???? 優れた表現者は、まず第1に優れた鑑賞者であるはずです。彼らは自分独自の音楽表現を確立するまでに、徹底的に先達の優れた作品を聴き込んだ事でしょう。別にクラシックに限った話ではありません。ジャコは、ビートルズ達は、まだバンド小僧であった頃に彼らの貧相な蓄音機やテープレコーダで、憧れの偉大なる先達達の音楽を、一体どれだけの熱意で、どれ程の集中力と持続力で、聴き込んだ事でしょう。でなければ、あのように多彩な音楽が産まれるはずがありません。

何よりも、僕自身と僕の身のまわりの非オヂオマニアの一般音楽愛聴者達の音楽の聴き方は、オヂオマニア達よりも、彼らが乖離しているという音楽家達の方に余程近いように思えます。つまり、オヂオマニア達の方が普通に「音楽を聴く」という事から乖離しているように見えるという事です。マニア達は自分達が「鑑賞者」の代表であるかのように、あるいは「音楽を聴くとは自分達のように聴く事だ」というふうに思い込んでいる節が、彼らの言動の端々に見受けられますが、これもまた傲慢な認識のように僕には思えます。

「音楽家」が良しとする装置と「オーディオ」自体を趣味とする「マニア達」が望む装置は方向性が全く異なるでしょう(彼らの言うように「乖離」しているわけですからね)。音楽家達は、マニア達がやたら強く求める「リアルっぽさ」とか「リンジョーカン」とか「オンジョー」もさして重視しないのではないかと思います。マニア達が望む「イヤシ?」だ「ジョーカン?」だ「オンガクセー?」だナンダカンダもさして求めないのではないでしょうか。

問題の根本は、「オヂオ趣味」の専門家(あくまでも「趣味」のセンモンカ)であっても「音楽」のシロートに過ぎぬオヂオヒヨロンカや、それの追従者であるマニア達(逆にヒヨロンカがマニアに追従しているのか?)によって、この業界が先導されてきたという点にあると言って良いでしょう。繰り返しますが、「趣味」としてそのようなオーディオがあっても全く構いません。しかし、業界全体がそちらに傾き過ぎるのは明らかに不健全です。

業界には、ジャーナリズムには、現在の「マニア偏重」の傾向を是正する努力が真っ先に望まれます。「音楽」のシロート達がやたら偉そうにして好き勝手してしまった現在のヘンテコリンな状態を脱する必要があるという事です(ヘンテコリンと言われて怒らぬよう。。マニア(maniac)とはすなわちそれ以外の人から見たらヘンテコリンだという事です。他人の事をオタクと呼ぶときの事を思い浮かべれば分かります。通常のマニアはそれを自覚しています。しかし業界全体が本来の目的を見失ってマニアになってはなりませぬ。また、マニアックを否定するつもりは毛頭ありません。例えば「茶道」だって元は「お茶マニア」(手段の目的化)でしょう。しかし、それが1人の天才によって極めて高度な精神文化にまで昇華されました)。

以前から言っているように、この魔境を脱するには、音楽界からの助力が絶対に必要であると思います。根底となる「規範」が必要だという事です。業界は彼らの意見に真摯に耳を傾けるべきでしょう。「音楽家の表現をできるだけ良い状態でリスナに伝えるための装置として、オーディオ装置には何が求められるのか?」という事を明らかにする必要があります。何が「良い状態」なのかを定義できるのは、唯一表現者自身(音楽家自身)だけです(ヒヨロンカやドシロートの言う身勝手な「ジョーカン」とやらではありませんよ)。そして、それを大衆に繰り返し繰り返し、しっかりと分かりやすく伝えるべきでしょう。「規範」をしっかりと浸透させるために。

当たり前ですが、音楽界(当然オーディオ界を含む)において最も尊重されるべきは、彼ら表現者達の意思です。音楽に限らず、どのようなジャンルのアートであれ、表現者の意思が最大限尊重されるべきなのは、余りにも当然の事です。それが疎かにされては決してなりません。断じて絶対に。。また、音楽界(表現者)側も伝達装置であるエンドユーザ向けオーディオに対して今まで余りに無関心であり過ぎたと言うべきでしょう。積極的な関与が望まれます。

何度でも言いますが、オーディオ装置は、本来「音楽家の作品を大衆に伝達するための」実用装置であって、それ自体を「趣味」とする、かなり変わった音楽との関わり方(手段の目的化)をするマニア達だけのためにあるのではないという、余りにも当たり前の事実が、根本的に正しく認識されていない事が、この業界の根深い問題であると、僕にはそう思えます。ソレハソレコレハコレを今一度明確に「ワキマエル」必要があるのではないでしょうか。

もちろん、個々人の末端ユーザがどう音楽を聴こうが、全くの自由です。スーパーカーのような超高額な装置にも、それを望むユーザが居る限り、存在意義はあります。しかし世の中全体が、なんとなくで良いから、基本を基本として規範を規範として「ワキマエテイル」事が重要です。ワキマエずに好き勝手やるのと、なんとなくでも意識のどこかでワキマエタ上で好き勝手やるのでは、雲泥の差があるでしょう。民生オーディオにおける最大の問題は、一言で言えば、「基本的にワキマエルべき「規範」が明確に認識されていない」という事ではないでしょうか。

この点において、ジャーナリズムの責任は重大です。

追記
自動車分野では、特に我が国のモータリゼーションの黎明期において、ジャーナリズムはこの「ワキマエルべき事」の浸透に懸命に努めてきたように思えます。これには欧米(特に欧州)の成熟したモータリゼーションを規範とできた点が幸いしたようにも思えます。

写真(カメラ)分野では、それを「本来の目的で使う」「表現者の立場にある」プロ写真家がレビューも含めて執筆する事が多い点が幸いしていると言えるでしょう。また、装置そのものの記事の比重はオーディオ誌に比べて低く、内外のプロ作家の優れた表現作品を誌面で紹介する等、写真芸術への貢献にも重きを置いています(写真は印刷媒体と親和性が高いという点でオーディオに比べると有利)。特に、僕が高校生の頃に愛読した「カメラ毎日」(廃刊)は、後者の面で大きく貢献したと思います(当時全く無名であったあの森山大道を発掘したのも当誌)。

オーディオ誌では、音楽そのものを印刷媒体に載せられないという点で、どうしても誌面はハードウェア偏重にならざるを得ないという面があります。また、装置のレビューでも、「音」を言葉で表さなければならないという面で困難を伴います。にも関わらず、何故なのか僕には全く理解できませんが、客観的データを忌み嫌い、ヒヨロンカのサクブンに頼りすぎた事が奇態な状況を招いた一因であると言えるでしょう。もう1つの問題は、そのようなレビューを執筆するヒヨウロンカが専ら表層的な「音」(オンシツ)の評価を偏重する点にあります。これは、彼が「オーディオ趣味」の専門家に過ぎぬからでしょう。本来、もっと総合的な「音楽再生」または「音楽伝達」の「質」を評価すべきであり、やはり「音楽」の専門家による評価が重視されるべきだと思います(彼はオヂオについては何も知らなくても良い)。

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テーマ:オーディオ
ジャンル:趣味・実用