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2012年02月21日 (火) | Edit |
前記事の補足

オーディオ界の現状は、音楽的素養に関して甚だ怪しげなオッチャン達が、ドシロートなカンセーだゲージツだジョーカンだオンガクセーだを振り回して好き勝手した結果、極めて表層的で超微視的な面ばかりを追いかけ回す泥沼の魔境と化しているようにハチマルには見えます。本当の意味での専門家あるいは玄人さんが存在しない事が「オーディオ界」の最大の悲劇だと言えるのではないでしょうか。そういう方は過去に存在したのかも知れませんが(きっと居たはず)、疎んじられて黙るか去らざるを得なかったのではないかと推測しています。今となっては音楽界からのコントロールが絶対に必要であるように思えます。

注:
ハチマルが「オーディオ界」と言う場合、「マニアためのオーディオ」ではなく「広く一般に音楽を愛聴する人々のためのオーディ」を指す事にくれぐれも注意してください。前者は後者の中の特殊で極端な領域に過ぎません。マニアの方には、このへんの事をシッカリ認識して頂きたいと思います。オーディオとは別にマニアのためにあるのでは断じて無いという事を。マニアのような聴き方が一般的な「音楽」の聴き方では断じて無いという事を。マニアのオーディオや聴き方が別に偉いわけでも上等なわけでも何でも無いという事を。というか、大分変わった聴き方、使い方であるという事を。ハチマルは個人的に、そのような音楽の聴き方を青少年少女に絶対にして欲しくないと考えているという事を。青少年少女に、それが「上等な音楽の聴き方だ」と絶対に勘違いして欲しくないと考えているという事を。もっと真っ当なオーディオを青少年少女に遺してあげる事が業界のオッチャンの使命だと考えているという事を。

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2010年11月29日 (月) | Edit |
前の記事続きでインシュレータについて。。。

様々な形状や材質のインシュレータが随分高価に売買されていますが、常々不思議に思う事があります。それは、オーディオ用として売られているほとんどの製品が振動の遮断または減衰を主目的としているように見えないという事です。例えば、よく見かけるスパイク状の物や、単なる木や焼き物のブロック等がこれにあたります。これらでは効果的に振動を「インシュレート」(絶縁)できるとは思えません(特に低い周波数)。特性データも一切公表されていないし。。ヤタラと高価だし。。不思議だなぁ。。。。。。。と思っていたら、逸品館さんのサイトで下記の説明を見つけました(コチラ)。現在主流のオーディオの傾向を象徴しているようで非常に興味深く感じたのでご紹介です。

インシュレーターに求められるのは「振動を抑制する能力」ではなく「響きを調和させる能力」なのです。響きを抑制するためだけなら、ブチルゴムやソルボセインなどの響きを完全に吸収するゴム系のインシュレーターが最適だということになりますが、振動を殺すだけでは音の生気が殺がれ鬱々としたおもしろみのない音になるというのは前述したとおりです。

やっぱり振動伝達の遮断が主な目的ではないようですね。「響きを調和させる」と言うことはスタンドや床も適度に響かせてしまおうという魂胆なのでしょうか? オーヂオマニアってホントに「響かせ」好きなのね、と感心させられます。アノテコノテというか。。そんなに響かせないと音楽って楽しく聴けないモノなのでしょうか?

ハチマルは不思議でなりません

- ソースの音ってそんなに「生気が無くて、鬱々としてて、オモシロミが無い音」なのか
- という事は生音が「生気が無くて、鬱々としてて、オモシロミが無い音」だという事なのか
- それともソースの音には生音の「生気やオモシロミ」が十分に含まれていないという事なのか
- 音楽の「オモシロミ」を楽しむ上で、「音」そのものにソース以上の「オモシロミ」がソンナニ必要なのか

これは吸音材とかとも根は同じですね。
ハチマルは余計な響きがあると本来の「音楽」がよく聞こえないので逆にフラストレーションが溜まってしまいます。別にウーーーンと眉根を寄せてディティールを聴き取ろうとしているワケではありません。そんなコトしたらツマラナイ。ただ「音質」なんか気にせずに「音楽」に聴き入っている時って、無意識にかなり細かい部分まで音を追いかけているみたいで、音に付帯的な響きや癖があると「音楽」が聴きにくく感じて、そのうちフラストレーションが溜まり始めるんですよ。それに、ハチマルには微妙で豊かな楽器の響きがタップリとソースに含まれているように聞こえますし。。。。というか付帯音を落としてゆくほどそれらの音が澄んで、より自然に聞こえますし。。。。こういのを「生気」がなくなるとか「鬱々」とか言うんですかねぇ。。。良く分かりません。

こんなのハチマルだけなんでしょうか?
オーヂオ関係の雑誌やブログやHP等、どこを見ても「響き感」や「音場感」や「ナントカ感」や「カントカ感」ばかりで、なんかダンダン寂しくなってきました。

追記
Alpair6のMとPを比較した時に感じたのですが、二者を直接比較するとキャラの立つ方へ印象がどうしても引きずられてしまうようです。感覚による絶対的な評価というのは非常に困難であると感じました。あれこれトッカエヒッカエやって相対比較を繰り返しているとエスカレートする面もあると思いますので、たまにはヘッドフォンなりイヤフォンなり密閉型モニタスピーカなりで暫く耳を慣らして(最初は墓場で聴いているように感じるかも知れませんが2、3日我慢して聴くと慣れるかも)、時々感覚をリセットしてみても良いのではないでしょうか。ちなみに僕の場合、スピーカーで変に聞こえる部分があった場合にはカナル型イヤフォンでチェックし、それでも同じように変だったら原因はソースにあると考えてそのまま受け入れます。だって、それ以上はやりよう無いですもんね。

どこかのブログで読んだのですが「さるオーヂオマニアさんが生演奏を聴きに行ったら、普段オウチで聴いているよりも音がキツクて耐えられずに途中で出てきちゃった」なんて逸話がありましたし。。。要らぬオセッカイかも知れませんが。。

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2010年11月27日 (土) | Edit |
Alpair6 Mの馬鹿ブーストは相変わらず絶好調です。音量を上げても低音が破綻しないので、つい必要以上にボリュームを上げてしまいます。

で、音量を上げるとデスクの微妙な振動が手に伝わって気色悪く感じる事があります。音も微妙に濁り始めます。デスクに伝わる振動の原因には、スピーカー箱の振動による機械的起振と低周波音による音響的起振が考えられます。

音量を上げて音楽を聴いている時に箱に触ってみると、はっきりと振動している事が分かります。ケロの時にも経験したのですが、箱表面の振動が大きくなると明らかに低音が濁って違和感を覚えます。特にケロはスピーカーまでの距離が近いので敏感に感じたため、制振にいくつかの対策を施しました(参考記事)。ポチも何かやった方が良いかもしれません。イロイロ考え中。。。

箱の振動の原因には2つ考えられます。1つは内圧の変化(特に小容積密閉型では内圧の変動は大きくなる)、もう1つは振動板の反動です(質量を持つ振動板が前後に動くので、その反動が箱に伝わる)。前者に対しては箱の剛性を上げる(板厚を上げる、補強を入れる)、後者に対しては箱の質量を上げるか、アンカーシステムのようにドライバー自体にマスを付けてフロートする事が効果的であると考えられます。ポチもケロも容積の割には厚めの15mm合板を使用していますが、多少音量を上げたとてたかが知れたニアフィールド用の音量と小っちゃな箱でも結構振動します。振動するという事は音を出すという事です。しかも表面積は振動板より圧倒的に大きいし。。

もちろんインシュレータも床やスタンドへの振動の伝達を遮断する上では有効ですが、箱表面の振動そのものを取り除いてくれるわけではありません。ちなみにハチマルはAudioTechnica AT6099という結構しっかりと振動伝達を遮断してくれるタイプをデスクとウーハーBOX間、ウーハーとメインSP BOX間に3個ずつ、計12個使用しています。アホみたいに高価ではないし(6個入り4,200円、普通そんなもんでしょう。どう考えても)、理屈もしっかりしているし、測定データで効果を実証しているので超オススメです(実際に効果大)。

僕の場合は、音量を上げると言っても所詮はニアフィールドなので、小っちゃな箱とせいぜいデスク板(ディスプレイも?)の対策だけで済みますが、一般的家屋の部屋に大型システムを置いて「ライブと同等の音量」での再生を行う場合にはタイヘンだと思います。音響的起振と大型/大出力SPボックスの振動による機械的起振によって部屋中のあらゆる物体(壁、床、天井、ドア、建具、家具、額縁、等々)が振動して出すそれぞれに固有の振動数(周波数)の音が無視できなくなるのではないかと考えられます(ましてや微細な音質を追求する方々には。。)。通常の部屋のサイズだと50Hz以下(僕の小さな部屋だと60Hz以下)で定在波によるゲインが発生します(参考記事)。この領域までしっかりとしたレスポンスを持つ大径ウーハーを大音量で鳴らすと、この定在波はかなりのエネルギーを持つと思われ、それこそ部屋を揺るがしかねません。部屋が揺らぐという事は、その中のあらゆるモノも揺らぐワケですから、それらもそれぞれに固有のテンデ勝手な周波数の音を放出します。(締めきった部屋のスピーカーから出された音響エネルギーは部屋の壁や調度類の微小な振動によって熱に変換されて吸収されます。音響エネルギーが大きくなると、それらの振動も当然大きくなり耳に聞こえる程の音を発し始めます。例えば窓硝子がビリビリとか)。

従って音響的な対策が何も施されていない通常の部屋で大音量を出すというのはかなりのリスクを伴う行為であると思われます。そもそも普通の部屋では、内部でそのような大振幅・低周波の空気振動が発生する事なぞ全く配慮されていないはずですからね。大型の機器を入れてそれなりに大音量で再生したい場合には、吸音だけでなく壁面や床/天井およびドア等の建具の強度(制振)にもそれなりの配慮が必要なはずです。ホールとか映画館のドアってゴツイですよね。そんな場所とオンナヂくらいのデカイ音をチッチャナお部屋で出そうってんですから、尋常な事ではありません。いくら高級な装置を使用しても、部屋が何も対策されていないとイッタイ何をやっているのかワケがわからなくなります。音響波をナメタラアカンゼヨ。ってやつです。

と前置きが長くなりましたが、常々僕が不思議に思うのが「そもそも、それほど大音量で再生音楽を聴く必要があるのか?」という事です。

「ライブと同等の音量(耳での音圧)で聴くのが理想」というオーディオマニアの意見をよく聞くのですが、果たしてどうなのでしょうか? その根拠は恐らく「等ラウドネス曲線」(人間の耳は、音量が低いと低音と高音が聞こえにくくなるという特性)と「ダイナミックレンジ」(音量が小さいと記録されている微小な音が聞こえなくなる)あたりにあると思われます。

例えば2本のマイクだけでオーケストラの音を収録し、一切のイコライザー処理を施さずに録音されたソースであれば、この考え方にも納得できます。しかし実際の録音では、楽器に近接設置した多数のマイクロフォンで収録し、スタジオでモニターしながら慎重に各チャンネル(楽器)のレベル調整とイコライジングが行われます。何故このような手間のかかる方法で録音するのでしょうか? この際エンジニア/アーティストはどの程度の音量でモニタリングしながら調整するのでしょうか? さらに言えば、大切な顧客の平均的なオーディオ環境をどの程度に見積もっているのでしょうか?

例のごとくネットでいろいろと調べたのですが、確たる情報は得られませんでした。
断片的な情報ですが。。。。
● スタジオによってモニタ音量は異なるが、それほど大音量ではないらしい(ヨーロッパのスタジオはアメリカのスタジオに比べて音量が低いらしいという情報もあり)。
● ラジカセレベルでどのように聞こえるかも確認するらしい(そういえばSONYのSP一体型CDプレーヤーが多数のスタジオで愛用されていた(いる)という情報もある - 参考記事)

あまり正確な情報が得られませんでしたが、僕が思うに、そんなに高級な装置でなくても、そんなに大音量でなくても十分に音楽が楽しめるようにとのアリガタイ配慮の下に調整されているのではないかと思います。だって、凄いリスニングルームを持っていて「ライブと同等の音量」で再生する人なんか、世の中にそんなに居るわけないですもんね。。どう考えても。

で、そのように調整されたソースを「ライブと同等の音量」で聴くと、もの凄くよく聞こえすぎてキツク感じるのではないでしょうか。また、限られた空間内で聴くので精神的圧迫感も凄まじいと思います(僕にとっては拷問に近いかも)。オーディオマニアの多くが僕から見れば異常なまでに「響き」とか「音場感」に拘るのは、このヘンに原因があるのではないかと推測されます。

以前に、オーディオマニアと音楽家のオーディオ装置に対する嗜好の違いについて議論している板をご紹介しました(参考記事)。そこでは、音楽家は総じて「音場感」に頓着しないという点と、音楽家の装置の音は総じて「キツイ」という点が指摘されています。しかしこれは「音楽家 VS オーディオマニア」というよりは「オーディオマニアではない一般リスナー(ハチマル含む) VS オーディオマニア」の違いと言っても良いのではないかと思います。そして、このような嗜好の違いの主な原因の1つとして「再生音量」があるのではないかと僕は推測しています。

さらに、この「ライブと同等の音量」という考え方の大元には「再生音楽とは生演奏の再現である」という根強い考え方が見て取れます。しかし、多くの一般リスナーは(ハチマルも含めて)「再生音楽とはスピーカー(またはイヤフォン/ヘッドフォン)で好きな時に好きな場所で好きな音楽を聴くためのモノ」としか考えていないと思います(そのような態度が「音楽」を鑑賞する上で「低レベル」だとは全く思いませんし、ましてやマニアのように微細な事に拘る事が「音楽」を鑑賞する上で高レベルな行為だとも全く思いません)。また、上記したように、製作側も正確な「再現」というよりは「オウチで聴きやすく」にかなり配慮していると考えられます。

音量を上げれば上げるほど、装置側の機械的および電気的な面に加えて再生場の音響的な面でも音質低下のリスクが増加します(健康上のリスクもね)。録音されている「内容」がストレスや圧迫感を感じずに快適かつ必要十分に聞き取れるだけの適度な音量があれば、それで十分ではないでしょうか。また、媒体自体もそのように聴かれる事を意図して製作されているのではないでしょうか。

追記
スタジオのモニターシステムや、エンジニア/アーティストの嗜好によっても録音の傾向は結構異なります。ライブ盤(特にジャコの海賊盤)なんかは酷いのもあります。このため、快適音量に調整した上で、デジタルイコライザによる微調整が非常に有効です。

例:
- 60年代のマイルスとハンコックのリーダーアルバムでは、ハンコックの方が低音寄り、マイルスの方がシャープに聞こえるので、僕はイコライザでチョコッと補正する。
- クラシックではジャズに比べて高域をチョコッと落とす。

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2010年10月14日 (木) | Edit |
前の記事の続きです。

このブログを以前からお読みの方は、僕がたびたび「音楽が聴きやすい」という表現を使う事にお気づきかも知れません。今回はこのヘンについて。。。

以前パネルディスカッションを例に挙げましたが(コチラ)、今回は落語のCDを聴く場合を例にして考えてみます。大好きな噺家のCDを聴いている状態を考えて見てください。まず「笑いたい」わけですから、極力弛緩したリラックスした状態で聴きたいですよね。「眉間にしわ寄せて耳をそばだてて一語一句聞きのがすものか」と身構えて聴いても、心から落語を楽しめるはずがありません。また話者の口のカタチや大きさなんて全く意識にも登らないはずです。そんな弛緩した状態でも話者の語りが、意識的に一語一句を追いかけずとも、自然に明確に耳にそして最終的には脳あるいは意識に届いて欲しいわけです。そして噺家が絶妙のタイミングで絶妙の語り口で何かオモシロイ事を言った瞬間に、自然に反射的に「ガハハ」と笑いたいわけですよね。例えば、噺家がなにか小声でボソボソっと呟いて、観客の数名だけが笑い声を上げた時に、録音状態が悪かったり再生装置が悪かったりして自分には聞き取れなかったら、フラストレーションが溜まります。

音楽を聴く際も、僕の場合全く同じです。音楽を聴く場合、べつに一音一音に意識を集中して聴き取るワケではありません(聴覚として「聴き取る」事に努力を払いたくないということ)。そんな事したら音楽の一番オイシイ部分が楽しめません。様々な「音」の時間的変化で構成された「音楽」がリラックスした状態(これ重要、さらに進むとトリップした状態)で耳をそばだてなくても自然に細部まで明確に意識に流れ込んで来て欲しいワケです。極端なハナシそれが僕の求めるオーディオ装置の音質の全てです。だって僕は「音楽」を聴きたいわけですから。「音楽」を楽しむのが僕の目的だからです。だから「良い音」=「音楽を聴きやすい音」というのは至極当然な事と言えます。また音場感や臨場感もたいして重要ではありません。録音時または再生時にそのような効果が強調されると、かえって音楽が聴きづらく感じてしまいます。

このような聴き方をする僕にとって、音に余計な癖があると長時間聴いているうちに違和感が蓄積されてフラストレーションが溜まり始めます。この余計な癖とは「録音されている音楽以外の音の要素」だという事だと思います(たとえば部屋や箱の定在波、箱鳴り、バスレフポートの音等)。これらが過剰に含まれていると「録音内容」が凄く聴きにくく感じられるのです。だって「録音されている内容(音楽、噺家の語り)」を聴きたいワケですから、それ以外は無意識にノイズとして感じてしまうようです。また、周波数特性が十分に低域まで伸びていないと、低音楽器(特にベース)の音が聴きづらくてフラストレーションが溜まるというのも当然です。だって本来聞こえるはずの音がよく聞こえないワケですから。極々当たり前ですよね。。

僕は全可聴帯域のフラット再生と正確な位相というのを重視しますが、これは「記録されている内容の聴きやすさ」を求めると自然とそうなるという事です。それが目的ではありません。ただ、そうすると音楽が聴きやすくなる、さらに言えば音楽をより深く楽しめると言う事です。オーディオ装置を「そのものを嗜むための装置」ではなく「音楽を聴くための装置」と考えた場合、これは本来全くアタリマエの最も基本的な今さら言うまでもない要件だとも言えます。普通に考えれば至極当然の事だと気付くはずです。

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2010年07月03日 (土) | Edit |
オーディオ装置の最も基本的な機能は、媒体に記録されている可聴帯域(一般的に20Hz~20kHzとされる)をリスナーの耳に確実に届ける事です。何故ならば音楽は可聴帯域のほぼ全域を使用して表現される芸術だからです。この最もアタリマエの要件を満足に満たす実用装置は未だに存在しません。驚き桃の木山椒の木です。ホンマニ。これはスピーカーの低域性能の限界によるものですが、これをほったらかしにして、聞こえるか聞こえないかも未だに議論の的にまっているような20kHz以上の再現性や電線にウツツを抜かしておるこの業界は一体全体どうなっておるのでしょうか????理解に苦しみます。

僕は全域再生の重要性を理屈の上からだけで観念論的に言っているのではありません。実際に自分のデスクトップでそれを実現して毎日10時間程度実用使用した上で、その重要性を説いているのです。しかも、それはオーヂヲをイヂリ始めて2年もたたないド素人が3年前から存在するシェアウェアソフトウェア(3800円)を利用してできてしまう程度のものに過ぎないのです(実際には1年もかかっていません。スピーカーで音楽をマトモに聴きたい→バスレフさんざんやって駄目→どうしよう→密閉→低音聞こえない→デジタル馬鹿ブースト)。音源がデジタルであるという事を素直に受け止めれば誰でも思い付きます。

アナログ時代にはスピーカーの低域限界を延ばすのは非常に困難でした。このため大径ウーハーの使用、バスレフ/共鳴/ホーン等の音響効果の利用、低域用ユニットが大型になるため高域性能を確保するためのマルチウェイ化等々の数々の手法が必要とされました。長年それらが使われてきたため意外と認識されていないようですが、これらは何らかのネガティブな面を持つ一種の「必要悪」であるという事を忘れてはなりません。すなわち、サイズ/コスト的問題、バスレフポート等による位相上の問題(データによる検証済み)、マルチウェイ ネットワーク(アナログフィルタ)による位相上の問題(データで検証済み)と多点音源の問題。。。。。アナログ時代では、十分な低域を確保するために、これらの手法を多少の欠点に目を瞑ってでも使用せざるを得なかったという事です。

さて、

音源がデジタル化されたのは何十年前でしたっけ。
デジタル化によって失われた面もあるでしょうが(センチメンタルな面が大部分だと思いますけどぉ。。)、得られるメリットもまた莫大です。プロフェッショナルな製作現場ではとっくのとおにそのメリットを使い倒しているのに、そのように製作された音源を再生するリスニング オーディオの分野が何故このような状態なのか、僕の理解の範疇を全く超えています。おそらく前の記事で書いたこの業界とユーザーの奇妙な体質がその主な原因なんだと思いますが。。。

別に良いのですよ。アナログに拘りたい方は徹底的に拘ってください。電線に拘りたい方も徹底的に拘ってください。100kHzが必要だと言う方はどうぞお聞き下さい。ヒャクマンエン以下の音は駄目という方はせいぜい散財してください。それらはスーパーカーやクラシックカーを愛でるのと同じ趣味道楽だから好き勝手やってください。誰も文句を言う筋合いは御座いません。

しかし「アナログでもデジタルでもなんでもえーから、手軽に適正価格でちゃんとマトモニ音楽聴かせてよ」という一般リスナー向けの良質なシビックが存在しないのは全くの大問題です。

と、いつもの事ですが前置きが長くなりました。

デジタル時代の新しい(と今更言うのも恥ずかしいくらいですが。。)オーディオ装置では、デジタル信号処理(DSP)ソフトウェアと、それに合わせて最適化されたスピーカーが重要となります。アンプに関しては、DSPソフトウェアとの連動を必要とする以外は今のままで全く十分です。

という事で、今回はスピーカーについて。。とやっと本題です。

僕が考えるに、スピーカーはフルレンジ1本(もちろん密閉箱)で十分です。容積も今の一般的なバスレフ型よりも小さくできます。ただしドライバーにはAlpairシリーズ並の最新技術のクオリティが必須です。安物の2ウェイなんぞ全く不要。
もちろんドライバーには低域ブーストを考慮した最適化設計が必要です。すなわち、大振幅に対応できる磁気回路とサスペンション システム、および、限界振幅時の急激な破綻を回避するためのダンピング特性(A5はこのへんに問題あり。。なにせダンパレスですから)等の対策が必要であろうという事です。
このようなシステムではスピーカーが命です。システムコストの1/2以上はスピーカーにかけても良いのではないかと思います(残りはフツーのアンプとDACとソフトウェア)。箱を絶対に疎かにしてはならないのも当然です。別に木でなくてもこれだけ材料技術とCAE設計技術が発達した世の中ですから、最低コストで最適な箱が作れるはずです。美しく造形されたプラスチック シェルの内側に内部損失の高いパテ材を塗ったくっても良いと思います。下手に響かせる必要なんぞ全くありません。ややこしいアンカーシステムも不要です。ガッチリと響かないように作ってください。

デジタルイコライジングを前提とするならば、低域以外の面でもスピーカー設計に自由度がもたらされます。すなわち、裸の周波数特性は多少凸凹でも構わないという事です。たとえば、高域の特性をフラットにするために泣く泣くサブコーンを付ける等の妥協は不要になります。多少高域出力が落ちてでも音色(振動モード)を最適に設計して、レベルの不足分はイコライザで修正すれば良い訳ですから。従ってツイーターの必要性もますます薄れます。このように、デジタルイコライジングを前提とするならば、スピーカー設計には大きな変革がもたらされます。

ただーーし。
このようなシステムでは、スピーカーと本体(またはソフトウェア)間で情報の伝達が必要となります。すなわち正しくイコライジングを行うためにスピーカーの裸の周波数特性を本体(またはソフトウェア)に入力する必要があるという事です。最近のカメラではボディとレンズの間で情報を交換する必要があるのと同じです(最近はレンズ収差まで補正します)。ちなみにNufroceのIconでは専用スピーカーにこの情報を埋め込んで、4線のラインを用いてアンプ側で何らかのイコライジングを行うようになっているようですが、それと同じです。従ってメーカー間で共通の規格を制定しない限り、装置の組み合わせに制約が生じるという問題をはらみます(カメラ業界と同じ。最近はフォーサーズという共通規格が普及しつつある)。音場測定を前提とするならば、そのような制約はある程度回避可能ですが、一般リスナーを対象とする製品では正常動作を保証する上で難しいと思います。何故ならばスピーカーに限界以上の低域大信号が入力されないように制御する必要があるからです。

僕のAlpair5を馬鹿ブーストした場合、極たまに低域の大振幅信号によって音が破綻します。上記の新しいスピーカー設計手法が成功すれば実用音量レベルでは問題を回避できるでしょうが、一般消費者向け工業製品である以上、フルボリュームでも30Hzの最大入力レベル(すなわちCD上の16ビットの全てが1。現実には恐らくありえない)でスピーカーが破綻しないようにするための保護措置が必要です。このため、アンプのボリューム位置に応じて各周波数における最大信号レベルまたはブースト係数(すなわちスピーカーの最大振幅)を制限する手法等が必要となります。

このようなレベル制限を単純に行うと、波形の頭が平にカットされて不自然に聞こえるため、なだらかに波形をなます手法が必要ですが、ソフトウェア(DSP)で処理を行うため、それほど難しくはないでしょう。いずれにせよ、低域でそのような大振幅の信号が入るのは稀であり瞬間的であるため、ほとんどリスナーに違和感を与えずに修正できるはずです。プロセスが複雑なように思われるかもしれませんが、このようなアルゴリズムを含む総合的なイコライザ特性が1度だけ信号処理に適用されます。何度も信号に改変を加える訳ではありません。また、アナログイコライザのように位相に乱れが生じる事もありません。

デジタルイコライジングはアナログ式に比べて「音が痩せる」と言われる事がありますが、果たしてそうでしょうか。実はアナログ式では位相が遅れるために多少音が膨らむのに対して、デジタルではそのような現象が出ないために相対的に「痩せる」と感じられるのではないかと考えられます。というのは僕の測定した波形を見る限り、デジタルイコライジングでは正確に原信号波形を追従するのに対して、アナログフィルタでは明らかに波形が崩れます。これに似た「デジタル」への批判はアチコチで散見されますが、それは従来のアナログ式の問題をはらんだ音に慣れ親しんだ方の好みの問題であって、デジタルが音質的に劣るとは言えない(多分にその逆の)場合が多いような気がします。

恐らくダンピングを効かせた密閉箱の音に対しても同様の批判が出ると思います。しかし媒体に記録されている音楽作品を素直に聴き取るにはこの方式が最良です。オーディオには興味がなくて音楽を聴くために始めてオーディオセットを購入されるリスナーにはどのように聞こえるのでしょうか(特に日頃イヤフォンで音楽を聴いておられる方々には)。ちなみに僕は量販店の試聴室でも何度か試聴させてもらいましたが、いかにも「ステレオ臭い」オーヂオの音には馴染めません。この趣味の世界で長年「良い音」とされてきた特定傾向の音が、再生音楽を聴く上で本当に「良い」音(自然な聴きやすい音)なのかどうか、僕には甚だ疑問です。

スピーカーのサイズはリスナーの望む音量(リスニング距離)に応じて8~16cmクラス(すなわちAlpairラインナップ程度)を揃えておけば十分でしょう。一般的日本の家屋を考慮すれば、それ以上のサイズは必要ないと思います。ライブと同等の音圧での再生を望む一般リスナーも稀ではないでしょうか。そのような大音量で再生すると、一般的なサイズの部屋では音楽を聴くのが苦痛になるはずですから。例えば4面囲まれた四角い六畳間でクインテットにライブと同音量でブンチャカやられたらたまった物ではありません。部屋中ワンワン鳴りまくって僕なら5分と耐えられないでしょう。

それはさておき、このようなシステムによって非常にコンパクトなスピーカーでも実用的音量において30Hzから20kHzをフラットに再生する事が可能になります。何度も言いますが、これが音楽再生装置の原始的アタリマエの状態です(こういうのを「ピュアオーディオ」と言うんぢゃないすか?)。デジタル技術を最大限に活用する事によって、そのアタリマエが実用レベルで実現します。何よりの証拠に、僕のデスクトップではそのような状態で毎日一日中音楽が鳴っています。

次回はDSPおよび信号入力部について書いてみたいと思います。

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