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2012年10月03日 (水) | Edit |
最近、音楽再生におけるタイムドメイン的特性に関してお二方よりコメントを頂きましたので、僕の考えるところをまとめておきたいと思います。

微小な「音質」の違いにはさして興味のない僕の経験から言える事は、リスナの「部屋」で彼の「」に実際に届く音響波形が源信号波形に「ソコソコ」近付けば(つまり周波数領域的にも時間領域的にもソコソコ再現できれば)、「音楽」が聴きやすくなる、自然に聞こえる、違和感を覚えない、長時間聴いても疲れない、すなわち、より快適により楽に「オト」ではなく「音楽」を楽しめる(アクセスできる)という事です。

さて、音楽再生を評価する際、まず基本となるのがおなじみの周波数特性(F特)です。これは周波数を横軸として、各周波成分の出力(音の大きさ)をプロットします。このような評価方法は周波数領域(ドメイン)解析と呼ばれ、時間方向の現象(位相)は評価に含まれません。高音に対して低音が遅れていようが進んでいようが結果は同じです。

これに対し時間領域(タイムドメイン)解析では、時間を横軸とします。早い話が色々な信号を入力して波形を見るという事です。このブログでも、各種の信号を入力した時のスピーカ音響波形を再三掲載しましたね。また、各周波数における遅延(位相の遅れ)を計測し、これを周波数を横軸とするグラフにプロットする場合もあります。

下はおなじみのシミュレーション結果です。
sim 000
Alpair6Mを2.5Lの密閉箱に入れた状態です。つまりZAP君をシミュレートしています。一番下の緑のラインが位相です。プラスが側が遅れ方向です。このグラフでは位相は20kHzまでダラダラと進みますが、Alpair6の場合、1kHzから上はほぼ一定と考えた方が実測とよく一致します。1kHzを基準にすると、50Hzで約90°(5ms)位相が遅れる事がわかります。

このようにアナログフィルタやバスレフポートを持たない単純なフルレンジ+密閉箱でも低域で位相が遅れます。しかし、何故このように遅れるのか? その原理を僕は未だ理解していません。明確な説明を見た事がありません。どなたか原理をご存じの方は、是非ご教示願います。

遅れが位相角度(°)で示されている事にも注意が必要です。例えば360°の遅延を時間に換算すると、1kHzでは1msですが100Hzでは10倍の10msです。このように、遅延の位相角が同じでも低音になるほど時間的遅れは大きくなります。僕は低音の「時間」的遅れが重要ではないかと考えています。例えば、10kHzのシンバルに対して50Hzのベースの一発目のアタックが何ms遅れるのか? あるいはどの程度崩れるのかという事です。

下は、再三ご紹介したベースとトランペットの音が重なった波形です。
位相 ON OFF
FrieveAudioで周波数特性だけを補正した波形です。大きなうねりのベース波形に、倍音をタップリと含んだトランペットの波形が重なっています。グレーの源信号波形に対して、ベース波形は90°弱遅れています。また、トランペットの波形も源信号とは随分異なります。各倍音成分の出てくる順番が異なるようにも見えます。

位相 ON ON
FrieveAudioの位相補正もONにしました。今度はベースもトランペットも源信号にピッタリ一致します。でもね。。。実際に聴くと僕には違いがよく分かりません。。

ヘッドフォン
これは密閉型ヘッドフォンです。何も補正してませんが、源信号波形によく一致しています。ベース波形は遅れるどころか若干進み気味です。オープンエア型のヘッドフォンでも殆ど同じでした(こちらは密閉に比べて僅かに遅れ気味でほぼぴったりの位相でした)。これもまた謎で、同じダイナミック型なのに、何故ヘッドフォンでは遅れないのでしょうか??不思議です。
補足: DACなりアンプなりでほんの少し低域の位相が進んでいるケハイがあります。そのうち確認してみますね。

以上のように、最もシンプルなフルレンジ+密閉箱でも、位相遅れによって再生波形はかなり変形しています。しかし、僕の耳では位相遅れ補正のON/OFFによる違いを聴覚で感じ取る事はできません。もともと、音楽を聴くにあたって必要以上に微細な再生音質の違いをワザワザ聞き分けようという強い意志を持たぬ僕には、この程度の違いは普通に音楽を鑑賞する上でさして重要ではないという事なのでしょう。ただ、はっきりと言えるのは、このように雑な波形観測では、デンセンやナンダカンダの違いは観測不能なくらい微小であろうという事です。

下は典型的な2Wayバスレフ型のシミュレーション結果です。
fos_20121003040049.jpg
アナログフィルタとバスレフポートの影響により、フルレンジ+密閉やヘッドフォンに対して凄まじく位相が変化する事がわかります。このツイータの10kHzを基準とするならば、50Hzで約540°(30ms、ZAPの6倍)遅れます。これだと僕にも位相遅れ補正の効果を聞き分けられるかな??? 現在広く一般に普及している形態のスピーカはこのような状態にあると思われます。上の波形はどの程度変形するのでしょうか。。。なお、12dB/Octのフィルタを使っていますが、ツイータを反転していないため、クロスオーバー領域で特性が凹んでいます。これは、位相遅れの値を正しく表示するために敢えてそうしています。反転すると、見かけの位相差は小さくなりますが、実際の位相遅れ(時間的遅れ)が改善されるわけではないので注意が必要です(反転したツイータの波形と、ウーハの次の(遅れた)波形がたまたま一致するだけ)。

このような位相変化が聴感上どの程度影響するのか定かではありませんが、デンセン等のやたら微小な影響に比べれば、根幹的かつ巨大な現象と言って良いでしょう。なお、デジタルフィルタを使えば、このような問題は生じません。僕がデジタルチャンデバ内蔵DACを強く望むのはそのためです。ベリンガの業務用超多機能デジタルスピーカマネジメント装置の値段を考えれば、今時そんなもん超安価に作れるはずです。ホンマニ。。。ナンデヤネン。。。です。

下はAlpair6M+Alpair10のZAPシステムをシミュレートしたものです。
sim ZAP
位相(緑)のラインは、Alpair6MとALpair10単独の特性です。この計算ソフトではバイアンプ状態をシミュレートできないため、別々に計算して重ね合わせました。プレートアンプに内蔵のアナログフィルタを使っているため、Alpair10の低域の位相はこのように遅れます。1kHzを基準とした場合の50Hzの遅れは約270°で、実測とよく一致しています。

下は波形です。
sub hakei
源信号(グレー)に対して音響波形(赤と青)は約270°(赤の水平線)おくれている事がわかります。

この遅れを時間に換算すると50Hzで約15msになりますが、普段音楽を聴いている分にはあまり気になりません。FrieveAudioで位相を全くフラットにした馬鹿ブースト方式と切り換えながら聴き比べると僅かながら差を感じますが、単独で聴いている分にはエーンチャウというのが正直なところです。

シミュレーションでは、バスレフ型の位相遅れは共鳴周波数において180°程度です(1kHz基準)。従って、アナログフィルタを使った密閉型サブウーハ方式よりも位相遅れは少なくなります。しかし、再三申しているように、僕はジャズを聴いている時にピチカートベースにどうしても違和感を覚えて、何度やっても穴を塞いでしまいます。これは、単純な群遅延というよりは、ドンと信号が入った時の初期の過渡挙動(箱の中の空気を一定の共振状態まで励起するのに要する遅延時間)に問題があるように思えます。この点については7LのTONO箱を使って近々検証する予定です。

という事で、現在の一般的なスピーカでは、スピーカそのもの、アナログフィルタ、バスレフポートによって、周波数が低くなるほど位相が遅れます。しかし、バスレフポートと中域でのクロスオーバーを持たない僕の密閉型フルレンジ システム(+密閉型サブウーハ)に限って言えば、時間領域的特性(位相遅れ、過渡挙動)はそれほどクリティカルではなく、やはり周波数特性が「音楽」再生における最も支配的な要因であるように思えます。

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テーマ:オーディオ
ジャンル:趣味・実用
2012年09月05日 (水) | Edit |
現在、改良型Alpairの低音再生能力について実験君中です。マークさんが改良型ユニットを送ってくださったので、仕事の合間にそれらのユニットを評価しています。そのうちこのブログで結果をご紹介できるかもしれません。できるだけ暗騒音を下げる必要があるので、家族の外出中を狙ってやっています(足音やドアの音が入ると、波形が崩れるので)。測定中は窓も閉めて、扇風機も止めるので暑くて仕方ありません。

スピーカによる音楽再生において、最も困難なのが、低音再生です。前の記事で、低音再生についてタクサンご質問を頂き、タクサン回答を書いたので、せっかくですから記事として残しておきたいと思い、以下にまとめて掲載しておきます。原文をご覧になりたい方は、1つ前の記事のコメントをご覧ください。殆どコピペですが、一部加筆しています。

Q: フラットにした場合小さい音量でも40-60Hzの音は聞こえるものでしょうか?基本的には小さい音でききますので。
「低音量」というのがくせ者です。「爆音ではない」という意味の「低音量」であれば、程ほどの音量で聞いておられるのかもしれません。確かに音量が低いと低音は聞こえにくくなりますが、「音量」は音響パワー(スピーカから出る音の大きさ)ではなく「耳」に届く音圧レベルで考える必要があります。例えば、小さい部屋でスピーカの近くで聞けば、大きい部屋でスピーカから離れて聞くよりも、再生出力(パワー)が同じでも「耳」には大きく聞こえます。例えば、イヤフォンで「耳」が壊れるほど大音量にしても、出力パワーはたかが知れています。

ちなみに僕が普段聴いているリスニング位置(1m以内)での音圧レベルは、通常の楽曲で概ね最大75~80+α dBA程度です(A特性、FASTフィルタによるMAX値)。音量を上げ気味にしても最大85dBAを超える事は絶対にありません。コンサートホールの中央席辺りでの交響曲の最大音量もその程度のようです。大部分の人は、音楽を聴く場合80dBA以下を快適音量と感じるようです。100dBAにも達するアホみたいな爆音で再生した場合、フラットに低音を再生すると、実際よりも低音が聞こえ過ぎるでしょう(人間の耳は音量が上がると低音がよく聞こえるようになる)。だいたい耳の健康に良くありません。
僕の耳/僕のリスニング条件では、ロールオフのなだらかな「密閉型」で50Hzまでフラットに再生できれば、一般的な音楽ソースを聴くには必要十分だと思います。低周波が聞こえるかどうかは、低音(30Hz)まで低歪みで再生できるスピーカを使い、アンプを普段のボリュームの上限くらいに設定して、普段のリスニング位置で、正弦波信号(16ビットのフルスパン-6dB程度)を再生してみればわかります。バスレフ型の場合、同調周波数以下の出力は急激に低下しますので、この種の実験には向きません。ご注意ください。

僕の場合、50Hzは確実に聞こえます。40Hzはかなり感度が落ちますが聞こえます。30Hzはもう殆ど聞こえません(歪みの少ないAlpair10を使った場合)。このような超低域では、スピーカの高調波歪みが増加します。高調波歪み(特に3次以上)が顕著だと、実際よりも音(偽の音)が聞こえやすくなってしまうので注意が必要です(正弦波の音を聴き慣れれば歪みは耳で分かります)。マイクで再生波形をモニタできれば理想的です。
また、周囲の環境騒音にも影響されますので、静かな時間帯に試してみてください。我が家の環境では、昼間は結構低周波騒音が大きいように思えます。自動車の音かな? モニタヘッドフォンやカナル型イヤフォンであれば周囲音に影響されないので、お持ちであればそちらでも試してみてください。この場合も、普段聴く曲でボリュームを調整した後にテストしてみてください。

もしかして、ご質問の根拠は、巷で言われている「低音の再生限界は部屋の寸法によって決まる。小さい部屋では低音は再生できない。」ですか?
これについては、一体全体、何を根拠にそのような事が言われているのか、僕には全く理解できません。部屋の定在波の周波数は部屋のサイズで決まりますが、スピーカから再生される直射音は当然部屋の影響を全く受けません。また、小さい部屋であっても、定在波や音響特性を利用して、低音再生を増強する事も可能です(ZAP君の位置であれば、50Hz以下は部屋が増強してくれるし、TONO君のようにコーナーを利用すると、部屋は小さくても低音は出すぎるくらいになる)。 このジャンル、根拠不明の迷信が多いような気がします。

Q: 小さい音量でも40Hzからフラットに聞こえるか?の質問は単純に低音聞くなら、大きいスピーカーで大きい音量でしか聞けない物だと思っていたからです。
どのように小さな振動板でも、40Hzの信号が入力されれば40Hzできちんと振動してくれます。ですから、カナル型イヤフォンのように、振動板と鼓膜の間を密閉してしまえば、数mmの振動板でも38cmウーハーよりも低い音まで再生可能です。
広い空間に置かれたスピーカの場合、空気が振動板の周囲へ逃げてしまうために、小さな振動板では低周波で効率が落ちてしまいますが、信号をブーストして振幅を上げれば、低音をフラットに再生できるようになります。何も不思議な事ではありません。低音だけアンプのボリュームを上げるのと同じ事です。大きな振動板は低音を「出しやすく」小さな振動板は低音を「出しにくい」というに過ぎず、小さな振動板で低音を出すのは不可能だという事ではありません。
小さな振動板をブーストして低音を出す場合の問題は、振動板の振幅限界によって最大音量が制限される点にあります。このため、AlpairのようにXmaxが大きなドライバを使う必要があります。小さな部屋で適度(Max80dBA程度)な音量で聞くならば、小さな振動板でも大丈夫ですが、大きな部屋で爆音再生するには大きな振動板が必要です。密閉型のロールオフをイコライザで補う場合、必要な振動板の大きさは必要音量(必要音響パワー)によって決まります。密閉型で大音量が必要な場合、パワードサブウーハー方式が理想的でしょう。ブースト方式よりもサブウーハー方式の方が汎用性は高いと思います。マイクロ2.1のケロ君はたった8cmのウーハーで50Hzまで全くフラットに再生してくれます。ちなみにケロに使っているAura 3"のXmaxはブットビにデカイみたいです。

Q: マンションの一室でそんな音出たら逆に困るなーとかも思っていました。
部屋が狭かろうが広かろうが、フラットに再生した低音はうるさくはありません。高調波の少ない真にフラットな低音は意外と地味です。ただ音が全体的にズンと重くなるだけです。高調波の少ないフラットな低音は、200Hz前後を強調したいわゆる「ズンドコ」の低音とは異なります。また、リスナの耳位置での音圧レベルを同じにした場合、部屋が狭い方が距離も近く駆動すべき空気の量も少ないため、再生音量(音響パワー)を下げられます(小さなスピーカで済む)。部屋が広いほどスピーカが出さねばならない音(音響パワー)が大きくなるため、かえって近隣への影響が大きくなるでしょう。また、一般的に、音量(音響パワー)が大きくなればなるほど装置(スピーカ、アンプ)の歪みや、部屋自体(床や壁等)が発する騒音は増加します(クオリティは低下する)。考えようによっては、音響パワーを低く抑えられる狭い部屋の方が、良質な低音を再生しやすいと言えなくもありません。その極限状態が、小指の先ほどしかない振動板を使うカナル型イヤフォンです。また、近隣への影響が気になる場合は、ニアフィールドシステムが理想的です。

Q: バスレフ、密閉話も重要視している人が少ないのかそんな議論はあまり見たことなかったので盲点でした。
バスレフ型の原理的な問題点は、僕が中高生の頃の入門書には必ずきちんと書かれていましたが、最近はそのような超基礎的な知識が広く一般に行き渡っていないように思えます。最近は、デンセンやハンダ等、やたらコマケー事に異常としか思えない程にこだわる傾向にあるようですが、バスレフ型やアナログフィルタ、小型スピーカの低音不足等、音楽再生が未だ抱える超基礎的問題に全く目が向けられていない事には驚かされます。これらは簡単な波形計測でも問題が露呈します。
僕も最初はバスレフ型から始めましたが、ジャズのピチカートベースの音に異常に敏感であるため、また、カナル型イヤフォンで理想的な低音ビート再生を知ってしまったため、どうチューニングしてもバスレフ型では不自然に聞こえ、ポートに詰め物をしてバスレフ効果を抑えた方が、余程ましに聞こえました。つまり、バスレフ型の不自然なビートを聞くくらいなら、基音が聞こえなくても倍音のビートだけ聞いている方が余程ましだという事です。バスレフ型は、過渡挙動と付帯音に明らかに問題が見られます。

Q: プロを相手にする業務用スピーカーでもバスレフの比率が見ている限り高いです。 業務用はアクティブが当たり前でドライバー毎のバイアンプになっているのでハチマルさんが言う+6dbブーストぐらい簡単に出来ると思いますがどうなってるんでしょうかね?
プロ用のアンプ内蔵コンパクトモニタが、のきなみバスレフ型であるのは、大音量時の動作を保証する必要があるからだと思われます。小型のモニタでも、大概はかなり大パワーのアンプを内蔵しています。プロ用にはとにかく堅牢性が求められます。また、現在では広く一般にバスレフ型がすっかり標準的な形式として定着してしまったという点もあるでしょう。スピーカとはそういう音だという事になってしまっているという気がします。また、彼らは必ずモニタ用ヘッドフォンでもチェックしています。プロ用の場合、密閉型サブウーハー方式の方が向いているでしょう。当ブログで再三取り上げたBlueSky社は、バスレフ型の問題を徹底的に訴求し(僕と全く同じ事を言っていた)、完全密閉型の2.1chスタジオモニタシステムを提供していましが、日本からは撤退した模様です。なんでやねん。。日本では未だにヤマハの密閉型モニタが多くのスタジオで重用されているようですが、良い状態の中古を見つけるのが困難になっているとのこと。最近プロ用機材を扱うサウンドハウスさんが、そのような要望に応えてレプリカモデルを超安価に提供しています。

Q: この辺りの低音の話になるとよく出てくるのが「小さいスピーカーから出る低音は質がウンヌン、、、やはり最低38cmはないと、、」と始める人がいると思うのですが。この辺りの低音の質の差はデータでいくと高調波歪みだとか位相で説明できるのですか?
同音量で比較するならば、振幅を小さく抑えられる大きなウーハーの方が歪みを低く抑えられます。広い部屋全体を揺るがすような、あるいは風が吹くような爆音で再生したい場合、38cmウーハーが必要でしょう。小さなウーハーをブーストして使う場合、音量を上げると振幅の増加によって高調波歪みが増加し、極端な場合は壊れてしまいます。このようなシステムでは、歪みが実用上顕著にならない範囲の音量で使用する事が大前提です。再三言っているように、必要な振動板のサイズ(面積)は必要な再生音量によって決まります(振動板の許容振幅Xmaxも決定要因です)。一般家庭において、普通に良い状態で音楽を鑑賞する上で、過剰な音量は全く不要であると思います。健康的にも良いはずがありません。大きなソーチを持っていると、大きな音で鳴らしたくなる。。。という面もあるのではないでしょうか。

低音再生のクオリティを考える時、もう1つ重要なのは、過渡挙動(位相遅れを含む)です。低音ビートを気持ち良く再生するにはこれが非常に重要です。この面では、振動板が軽い小さなウーハーを適度な音量で使う方が有利になります。大きくて重いウーハーを大振幅(大爆音)でビシッと動かしてバシッと止めるには、相当に強力な駆動性能を持ったアンプが必要になるでしょう。当然ですが、一般家屋であれば、部屋(家?)自体にも相当な振動対策が必要でしょう。いついかなる場合も「部屋」をシステムに含めて考える必要があります。

また、大径ウーハーの場合、振動板の剛性面でも不利になります。例えば、僕はメタル製のウーハーを好みます。紙やPPコーンでは「ドン」が「バン」気味に聞こえる事を嫌うためです。これは振動板の剛性に関係していると思われます。当然ですが、振動板が極小のカナル型イヤフォンでは、素晴らしく「ドン」に聞こえます。最近のトールボーイ型スピーカのように比較的小径のウーハーを複数個使う1つの理由は、この点にあると思われます。

僕が今まで経験した中で最も理想的な低音再生が可能な装置は、LEANAUDIOのリファレンスでもあるVicotr製のトップマウント型カナル型イヤフォンです。耳穴に入るほど小さな振動板が鼓膜のすぐ近くで振動し、介在する密閉空間が非常に小さいため、鼓膜をビシバシに駆動してくれます。遺伝のせいか僕の姪もベースを基準に音楽を聴く癖があり(彼女はメタル系専門の音楽業界人)、彼女にこのイヤフォンをプレゼントしたところ「ベースがメッチャよう聞こえるわ!」と非常に気に入ってくれました。

低音ビートの正確な再生こそが、スピーカによる音楽再生において最も困難な課題であると思います。密閉型スピーカとデジタル信号処理により、この問題を飛躍的に改善できる事は、当ブログで再三ご紹介した通りです。

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