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2013年01月22日 (火) | Edit |
以前の記事に頂いた再生音量に関するコメントへの僕の返答を例によって記事として転載しておきます。多少手を加えています。

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等ラウドネス曲線に見るように、人間の聴覚感度の周波数特性は音量によって変化します。このため、騒音計を購入して実際に計測した結果や、再生時の音量について考えるためにイロイロと調べた事を当ブログで紹介してきました。

さる機関の調査によると、耳元で70~80dBAが最も多くのヒトにとっての快適な音楽再生音量であるようです。実際、これは僕の普段のリスニング位置での音量でもあり、当ブログの数名の読者さんからも、ほぼ同様の音量で聴いているとのコメントを頂いています。普段、快適に音楽を聴いている時の音量を騒音計で測ってみると、やはりそのへんの音量であったという事です。同調査によると、80%以上のヒトが80dBA以下を快適な再生音量であると感じます。

以前の記事「スタジオのモニタリングレベル(音量)てどのくらい? 」にも書いたように、彼らが制作時にスタジオでモニタリングしている時の音量も、我々にとっての快適音量に近い常識的な音量レベルにあるようです。長時間聴くと耳に障害をきたすとされる85dBAを超えるような爆音でモニタリングしながら作品を作っているわけではアリマセン。これは当然です。彼らにとって耳は大切な商売道具であり、また、媒体は一般の多くの人々にとって快適な(健康的にも問題のない)音量で音楽を存分に楽しんで貰えるよう作られるのが当然だからです。なにも酔狂な爆音マニアのために作られているワケではアリマセン。ですから、大概の媒体は多くの人々にとっての常識的な音量で大きくバランスを崩さずに聞く事ができるでしょう。

よくマニアは、オーケストラの指揮者あるいは最前列中央席で計測される例えば瞬間最大105dB(97dBA)とかの大音圧の再現を云々します。しかし、「コンサートホールの音響データから再生音量考察する 」に書いたように、そのような位置では高音成分が減衰しないため、一般的な席での周波数分布とは大きく異なります。一方ホール中央で計測されたベト5の瞬間最大音圧は89dBであり、これを一般的な方法で計測される最大音圧レベル(Aフィルタ/FASTフィルタ)に換算すると、せいぜい82dBA程度に過ぎません。僕の計測によると、そのような音量で再生した場合、80dBAを超えるのはベト5第1楽章中、瞬間的に(ダンとかバンとか)数回だけであり、大部分の音量は80dBA以下しかありません(音が比較的大きいパートでも平均75dBA程度)。このように、ホール内の一般的な席での音量は上記の快適音量レンジによく一致します。つまり、楽曲やホールも、できるだけ多くの人々が快適な音量レンジで聞けるよう自然とそう作られているという事です。また、高音は(従って高音に敏感なdBAレベルは)ステージから後方席に向かって急激に減衰するため、ホールの大部分の座席においける高音成分(とdBAレベル)は、最前列よりも大幅に低下します。ホール全体の中で最前列付近というのは非常に特異な条件を持つ非常に狭い領域であると言えます。そして、当然ですが、媒体の周波数分布は、平均的な座席での聞こえ方に合わせて作られています(5枚のベト5CDを解析したが、全てホール中央席で計測された高音が減衰したスペクトルに驚く程よく一致していた)。つまり、そのように平均的な条件、平均的な感覚を持つ人々のために作られた媒体を、マニアの言うような特殊な条件を想定して(しかも周波数分布が明らかに異なるのに単純に最大dB値だけで合わせるという全く間違った考えでもって)大爆音で再生すれば、それこそバランスは完全に崩れてしまうでしょう。

全く当然ですが、媒体は少数の大音量好きマニア用に作られているワケではありません。また、ホールの最前列中央といった非常に特殊な条件をサイゲンするよう作られているワケでもありません。また、再三申しているように、ソモソモ生演奏を正確にサイゲンする事を目的に作られているワケでもありません。生演奏と同じ音量で聴くのがエラクてジョートーというワケでもありません。ソモソモ、広々とし音響条件の整った音楽用ホールと平行面で囲まれたオウチの限られた部屋空間では、物理的および心理的に全く条件が異なります。媒体は多くの人々にオウチで快適に音楽を楽しんでもらえるよう制作されるのが当然です。生をソノママサイゲンする事が本来の目的では断じてアリマセン。

結局、変な拘りのない一般的な感覚を持った多くのヒトが、自分の大好きな曲やアーチストさんの演奏が良く聞こえるよう快適に楽しめるようフツーに音量を調整すれば(ラジオで大好きな曲がかかると、ボリュームを少し上げますよね)、自然に概ねバランス良く聞こえるはずです。なお、深夜や早朝等、事情により快適音量よりも下げざるを得ない場合は、次善の策としてラウドネス補正やコンプレッション処理が効果的です。

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2012年12月31日 (月) | Edit |
お待たせしました。やっと、GAMA君の評価結果をお見せできます。ZAP君に関しては来年までお待ちください。

GAMAの標準的なリスニング距離は約50cmを想定しています。このため、騒音計をバッフルから50cmの距離に設置し、ベト5第1楽章(ブロムシュテット盤)を全曲再生して最大音圧レベルを計測しました。ICアンプのボリュームは最大で固定し、サウンドブラスタのマスターボリュームで音量を調整しました。

ベリンガ製グライコは最終的に下図のように設定しました。
Ftoku copy
超ニアフィールドで聴く場合の高域のキツサを緩和するために最終的にこのような設定としました。特性図のピンクの線はDIATONEの30cm密閉型DS-2000の特性です。50Hzまでほぼ同等の低域特性が得られています。このような大型スピーカは、リスニング距離5m以上、最大瞬時音圧100dBレベルを想定して設計されています(参考記事)。しかし、より現実的な住環境に即したリスニング距離と再生音量を想定する事により、低域性能を犠牲にする事なく装置を大幅に小型化できます。KEROやGAMAはそのミニマムな実施例です。殆どの人々にとって巨大な装置は全く不要でしょう。

それでは、テスト結果をご覧ください。

まず、サウンドブラスタのマスターボリュームを70%に設定したところ、ベト5第1楽章の再生中に数カ所で80dBAを超え、最大で83.5dBA max(FASTフィルタ)が記録されました。これはエンディングではなく第1楽章の中ほどで発生しました。

次に、70%ボリュームで-12dBの正弦波を再生してスピーカの出力音響波形を観測しました。
gama -12dB
63Hzでの波形をFFTで解析したところ、5次までを含めた総高調波歪み(THD)は1.5%でした。まぁ許容できるレベルと言えるでしょう。その他の周波数でのTHDは1%を超えません。

下は同じボリュームで観測した-6dB正弦波の再生波形です。
gama -6dB
63Hzでは大きく歪み、音も明らかに異常(ブリブリ)です。この時のTHDは13.6%となりました。前の記事で書いたように、この時代の交響曲では低周波成分が強くないため、特に問題を感じる事はありませんが、他のジャンルの楽曲では問題を感じる事があるかもしれません。ただし、このボリュームでジャズやロックを再生すると、奥さんからレッドカードをくらいます。

下は各種マスターボリューム レベルでの63Hz/-6dB波形です。このボリュームは5%ステップでしか調整できず、1ステップで音量は約2.5dB変化します。
gama vol
ボリュームを70%から65%に1段絞るだけでTHDは6.5%まで改善されます。-6dBを超える大振幅の低周波信号は大概はドラムスによる瞬間的な現象であるため、この程度の歪みであればさして気にならないと思われます(春の祭典のドラム音での経験による)。65%ボリュームにおいてベト5第1楽章の最大音圧は80.9dBA(fastフィルタ)を記録しました。普段交響曲を聴く時は、このくらいのボリュームになると思います。ジャンルを問わず推奨できるGAMA君の最大ボリュームは65%、ジャンルをクラシックに限れば70%でも大丈夫というところでしょうか。

一般的なジャズ/ロックのソースであれば、55%ボリュームでmax80dBAに達する十分な音量が得られるため、再生中に問題が生じる事はまずありません。普段は50%ボリュームで聞いている事が多いと思います。マドンナであれば、さらにボリュームを下げられます。

なお、70%ボリュームで例の標準ピンクノイズ(-18dBFSrms)を再生したところ、50cmの距離で76.8dBA(SLOWフィルタによるMax値、スピーカ1本)を記録しました。これは以前の記事で紹介した国際規格の提案値(78dBA)に近い値であると言えます。参考にCフィルタで計測すると78.8dBCでした。ただし、再生装置の低域が十分に伸びていないため、特性がフラットなCフィルタでの値は余り正確ではないと思います。

以上から、リスニング距離50cm程度、80dBA以下の快適音量レンジで使う事を想定した場合、GAMA君は必要にして十分な音量で音楽を再生できると言えるでしょう。今回のデータから推測するに1m程度までは十分に使えそうです。

このように、リスニング距離と必要音量によってシステムの基本設計が決まります。日本の一般的家屋での実用性を考えた場合、それほど巨大な装置は必要ないと思われます。真に実用的で、真に再生クオリティの高い、真にリーズナブルな価格の、断じて趣味道楽のマニア用ではない、日常的に音楽を愛聴する人々向けの、本当に真面目なオーディオ装置を、根本から真面目に開発すれば、需要は十分にあるように思えます。

慌ただしく駆け込みのような投稿になってしまいました。それでは良いお年を!

m01_01_08_kadomatu.jpgお年玉クリックくださいなm01_01_08_kadomatu.jpg

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2012年12月30日 (日) | Edit |
GAMAの音量評価は今し方終了しました。ZAPも評価しようとしたところ、奥さんからレッドカードをくらってしまったので、こちらの結果は来年に持ち越しです。。。。

GAMAの結果はまだまとめ中なので、今回は評価条件を決めるための準備データをお見せします。以前データに誤りが見つかったので掲載を取りやめた記事の修正版です。

スタジオのモニタリングレベル(音量)てどのくらい? 」では、サラウンド方式においてモニタリング レベルを統一しようという動きがあった事を紹介しました。しかし、ステレオソースの場合、このへんは全く統一されておらず、同じ平均音量(例えば75dBA)で再生するには、ソース毎にアンプのボリュームを変更する必要があります。特にクラシック(オーケストラ)はダイナミックレンジが広いため信号の平均レベルが低く、一般的なジャズ/ロックのソースに比べてアンプのボリュームを相当上げる必要があります。特に超絶バスドラをレンジ一杯に収録した例の「春の祭典」では、他のクラシックソースよりも更に信号レベルが低くなっています。これとは反対に、コンプレッションを全体に効かせたと思われるマドンナのソースでは、一般的なジャズ/ロックよりもボリュームを絞る必要があります。

という事で、ステレオソースの3つのジャンルの楽曲のスペクトルを調べてみました。
図中、黄色の領域は聴覚の感度が比較的高い周波数領域(500Hz~4kHz)、グレーの直線は基準ピンクノイズ(-18dBFSrms)、赤の直線は平均的なソース信号レベルを示しています。
楽曲の最初と最後のイントロ部と無音部を除いたスペクトルを以下に示します。

ベト5第1楽章(ブロムシュテット盤)
beto5.jpg
平均レベルは基準信号に対して約-15dBです。

マイルスのハンドジャイブ
hand.jpg
平均レベルは基準信号に対して約-9dBです。ベトベンに対しては約+6dB。

マドンナのアメリカンライフ
american.jpg
平均レベルは基準信号に対して約-3dBというか殆ど同じです。ベトベンとマドンナでは実に12dB以上も異なります。

以上のように、一般的にクラシックのソースを聴く場合、同等の平均音量を得るにはジャズよりもアンプのボリュームを上げる必要があります。逆にマドンナのようなソースの場合、ジャズよりもアンプのボリュームを下げる必要があります。この事から、システムの再生可能音量を評価する場合、クラシックを基準に考えれば良さそうです。つまり、クラシックソースを十分な音量で再生できれば、他のソースは余裕で再生できるという事です。

これに従い、評価テストではベト5第1楽章を再生した際にリスニング位置において最大値(FASTフィルタ)が80dBAを超える事を目標としました。これにより、ほぼホール中央席あたりの音量を確保できる事になります。

同じベト5でも録音によってレベルが大きく異なるかもしれません。そこで、5枚持っているベト5のスペクトルを解析したところ、ブロムシュテット、フルトベングラ(モノラル)、チェリビダッケ(ライブ)、最近買った全集の中のやつ(指揮者知らない、今世紀の録音)は殆ど同じ信号レベルでした(半世紀近いスパンでホールも楽団も全く異なるにしては良く一致していると思います)。ただしカラヤンさんのだけ他に比べて約6dBも低くなっていました。下はカラヤン抜きの4枚を重ねたものです。
hikaku.jpg
という事で、ブロムシュテット盤のベト5を基準にする事にしました。

以上で、アンプの最大ボリューム位置が決まります。

上のスペクトルに見るように、西洋音楽ではジャンルに関係なく一般的に低音ほど信号強度(振幅)が高くなる(つまり左上がり)の傾向を示します。また、スピーカの振幅も低音ほど大きくなり100Hz以下では急激に振幅が増加します。このためスピーカの機械的限界は必ず100Hz以下の低音で発生します。

従って、上で決めたアンプボリュームにおいて、ブーストした低周波波形が大きく歪まない事を確認する必要があります。グライコで63Hzをブーストする場合、基本的に63Hz正弦波の歪みを評価すれば良いはずです。では、どのような信号レベルで評価すれば良いのでしょうか?

音楽ソースにスパン一杯の正弦波(つまり0dBFS)が含まれている事は常識的に考えられません。そこで比較的低音が強い楽曲パートの波形を抜き出してみました。

下の図では0dB、-6dB、-12dBFSのレンジを色分けして表示しています。グレーは全周波数の波形、赤は80Hz以下の非常に急峻なローパスを通した波形です

bet5_20121230091757.jpg
ベト5第1楽章の最後のパート(最大音圧になるところ)です。赤の振幅は非常に小さいですね。一般的に、この時代の交響曲の低周波信号はそれほど大きくありません。上のマイルスやマドンナのスペクトルと比べても分かると思います。

ron.jpg
僕のジャズコレクション中最大レベルのベース音です。ロンさんの比較的新しい録音から抽出しました。このアルバムではベースの録音レベルが異常に高くなっています。マイルス時代にひたすら地味にベースラインを弾かされた反動でしょうか?それはさておき、基音は80~90Hzであるため、80Hz以下の信号振幅は-12dB以下に収まっています。

mado.jpg
マドンナの曲から。マドンナの場合、大概の曲で45~50Hz/-12dB程度の低音ビートが通奏されます。-12dBって大した事ないと思われるかもしれませんが、40Hzまでフラットに再生すると、かなりヘビーなビートを聴けます。

haru.jpg
ご存じ「春の祭典」の最強バスドラです。全曲中、この1発だけ周波数が低く(約40Hz!)て強烈です。ローパスを通した赤の波形が瞬間的に-6dBを超えている事がわかります。こいつは強烈です。他のドラムの音はこれほど低周波ではありません(上の波形の2発目のドラムでは赤の波形が全然振れてないですよね)。今回は63Hzまでしかブーストしないので問題は生じませんが、40Hzまでフラットに再生してそれなりの音量でコイツをまともに再生するのは尋常な事ではありません。バスレフでは音量は出せてもこの強烈な立ち上がりは再現できません。

以上から、ざっと考えるに、ベト5 Max80dBAで決めたアンプボリュームで63Hz/-12dBFSの正弦波をそこそこ低歪みに再生できれば、まず大概の楽曲を問題なく再生できるであろうと思われます。-6dB信号ではブリブリとかビチビチとか、明らかに異常とわかる現象が発生しなければ、多少歪みが多くても大丈夫でしょう。

明日、大阪に発つ前にGAMA君での評価結果を掲載する予定です(あくまで予定ですけどね)。オッタノシミニ!
先に年賀状を出してしまわないと。。。。ギリギリまで忙しい。。

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2012年12月20日 (木) | Edit |
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2012年12月19日 (水) | Edit |
騒音計で計測すると、僕の普段の音量レベル(リスニング位置)は、日中の比較的ボリュームを上げた状態でもせいぜい75dBA程度です。これはSLOWフィルタを使った平均音圧レベルであり、FASTフィルタを使ったピーク値(MAX)測定でも80dBAに時々達する程度です。当ブログで何度か紹介したように、音楽を鑑賞する際に最も多くの人が70~80dBAレンジで快適と感じるようですし(参考記事)、鎌倉のとあるホールの中央付近の席で計測されたベト5の音量もほぼこのレンジに入るようです(参考記事)。

ちなみに、この後のお話しでフラットなCフィルタを使う基準値が出てきます。僕の実験によると、Cフィルタで音楽を計測すると、読み値はAフィルタよりも約5dB増加します。従って僕の平均的な音圧レベル(75dBA)をCフィルタで計測すると約80dBCとなります。

さて、スタジオでのミクスダウンの際、彼らはどの程度の音量レベルでモニタリングしているのでしょうか? 彼らはツイータを焼いてしまったり、ウーハをボコッてしまったりするらしいですが、そんな大爆音でモニタリングしているのでしょうか??? 気になるところです。

というのは、人間は音量が下がると低音が聞こえ難くなるためです。

loudness1.jpg
これは2003年に改訂された等ラウドネス曲線です。この曲線は1kHzを基準に作られています。例えば赤の80dBの曲線は、各周波数において1kHz/80dBAの音と聴き比べた時に同じ大きさだと感じる音圧レベルを示しています。この80dB曲線の40Hzでの値は105dBです。つまり、人間には40Hz/105dBの音と1kHz/80dBの音が同じ大きさに聞こえるという事です。

グラフ全体を見ると、音圧レベルが下がるほど曲線の左上がりの度合が強くなる事がわかります。つまり、音が小さくなるほど低音は聞こえ難くなり、逆に音が大きくなるほど低音は聞こえやすくなります。

loudness2.jpg
80dB(赤)の曲線に70dB(緑)と90dB(青)の曲線を重ねてみました。1kHz以上では曲線の形状は殆ど変わりませんが、低音側は比較的大きく変化します。40Hzで比較すると、80dBに比べて70dBでは約5dB分低音(40Hz)がバランス的に小さく聞こえ、90dBでは逆に約5dB分低音がバランス的に大きく聞こえます。

つまり、彼らがスタジオで平均80dBAの音圧レベルでモニタリングしながらコンナモンヤネと調整したソースを、オウチで平均70dBAの音圧レベルで全くフラットに再生すると、40Hzの音はバランス的に約5dB不足気味に聞こえるという事です。逆にオウチで90dBで再生すれば40Hzの音はバランス的に約5dB過大に聞こえます。このような小音量時の音の聞こえ方を補正するために、昔のアンプには「ラウドネスコントロール」が付いていましたよね。

という事で、一体彼らはどの程度の音量でモニタリングしながら作品を作っているのでしょうか?果たしてソンナニ大爆音で鳴らさないと正しいバランスで聞こえないのでしょうか?今回はそのへんについて調べてみました。

音楽ソースの制作現場においては、スタジオでのモニタリングレベルに関して基準らしきものはなく、様々な音量で再生してみて大きく破綻せぬよう調整されているようです。ラージモニタで大爆音再生して細かい部分をチェックしたり、ラジカセ級の装置でそれなりの音量で確認したりするという事です。ただ、慎重なミクスダウンには長時間のリスニング作業が必要であるため、大部分はニアフィールドモニタを使って常識的な音量レベルでモニタリングされている模様です。そのへんについては後で紹介します。

いろいろ調べて見ると、ホームシアター(5.1chサラウンド方式)の商品化に伴い、モニタリング条件をある程度標準化しようとする動きがあった模様です。その結果、規格というほど厳格なものではありませんが、提案値またはガイドラインと言える値がいくつか提示されています。

SMPTE(米国映画テレビ技術者協会)が提案するSMPTE RP2000では、ピンクノイズ(-18dBFS(rms))を再生した時のリスニング位置におけるスピーカ1本あたりの音圧レベルを下記のように調整するよう提案しています(dBC、SLOWフィルタを使用)。
映画ソース: 85dBC
音楽ソース: 83dBC

NHKも同じ信号を使い、部屋の大きさやソースの種類に応じて78±2~85±2dBC(チャンネルあたり)という値を提案しています。国際規格案では、やはり同じ信号を使い78dBAという値を提案しています(ほぼ83dBCに相当すると思われる)。

これらの提案で使われているピンクノイズは、信号のRMS値がフルスケール(CDの場合16ビット)の-18dBとなるように調整された基準信号です(-18dBFSrmsと表記される)。早速それらしき信号を生成して楽曲のスペクトルと重ね合わせてみました。

曲全体で音圧レベルの高いマドンナの曲からAmerican Lifeです。音量の小さいイントロとエンディングを除いています。青がピンクノイズです。ピンクノイズは-3dB/Octの傾きを持ちます。
american life
この曲では50Hz近辺にズンドコビートがありますね。

ベト5第1楽章のエンディング(ダンダンダン)だけ抜き出しました。楽章中、この部分で最大音圧が発生します。曲全体の平均スペクトルはもっと低くなります。
B5.jpg
ご覧のように、この基準信号は楽曲の音の大きなパートの平均的な信号を概ね良好に代表していると言えそうです。

上記の提案値はいずれも1本のスピーカでの値ですから、2本に換算するには+3dBする必要があります。従って提案値の78~83dBCはステレオ換算で81~86dBCとなります。これをA特性の値に換算すると約76~81dBAとなります。冒頭に書いたように、僕の比較的音量を上げた時のSLOWフィルタによる平均的な音圧レベルは約75dBAですから、提案値の下限とほぼ同等です。彼らが約80dBAで調整したとして、40Hzでのバランス的な不足分は約2.5dB程度です。まあ、制作現場でのモニタリングレベルとして提案されている値からそれほどかけ離れた音量で聴いているわけではないと言えそうです。ちなみに平均75dBAの音圧は、サウンドブラスタのボリューム表示で65%前後です(IconAMPのボリュームは全開)。80dBAの音圧は85%前後のボリュームで得られますが、僕には音がデカ過ぎますし、奥さんのレッドカード必至です。

他の手がかりとして、Pro Toolsというミクスダウン用ツールの関連サイトを見つけました。コチラをご覧ください。こちらでも83dBを推奨しています。CなのかAなのか明記が無いのですが、ツールの基準信号(-20dBFSのピンクノイズ?)をCフィルタで計測した値であると思われます。「研究によると、人間の耳が最良のサウンド判断を行えるリスニング・レベルは83 dB辺りだということです。」と、ありますが、これは1930年代の研究に基づくものであり、そこに掲載されている等ラウドネス曲線も最新版に比べるとフラットな古いデータですので、鵜呑みにはしない方が良いでしょう。なお、僕が上に掲載した等ラウドネス曲線は2003年に改訂されたものです。

この記事で注目されるのは、
ただし、必ずしもミキシングやマスタリングを83 dBで行う必要はありません。ミキシングやマスタリングの重要な判断において、83 dBは優れたボリューム・レベルとなるかもしれませんが、人によって聞き方は異なるので、ニーズに応じてリファレンス・リスニング・レベルを調整するべきです。プロフェッショナル・エンジニアの多くは、より低いレベル (70 dBから80 dBのレンジ) でミキシングやマスタリングを行っています。
とか
フィルム及びビデオの世界の人は83 dBリファレンス・レベルを使用することが多いのですが、オーディオ畑の一部のエンジニアは、より低い77 dB程度でモニタリングすることを好みます。
です。

映画制作現場に比べると音楽制作現場のモニタリングレベルは概して低く、僕が普段聴いているのと大して変わらないか、ほぼ同等と言って良いレベルでモニタリングしているらしいという事が伺えます。結局プロと言えども快適にオシゴトできる快適音量レベルは我々と同じ70~80dB程度という事のようです。彼らにとって「耳」は大切な商売道具なわけですから、85dBAを超える危険音量で長時間モニタリングしたりするワケがありませんよね。もちろん、時々大音量で鳴らして細部のチェック等は行っているはずです。

という事で、平均75dBA/最大80dBA程度の常識的な快適音量レベルは、音楽制作現場からそれほどかけ離れた条件ではない(あるいは、結構近い)と言えそうです。それが好きなら別ですが、狭くて四角い自分のお部屋で快適音量レンジを大幅に超えるような大爆音を敢えて我慢してまでマンヂリともせずに聴く事の論理的な必然性は無いと言えるでしょう。相当な精神的/肉体的ストレスを受けるはずです。

平均70dBAを下まわる小音量で聞く場合、低音不足が気になるようであればラウドネス補正として500Hzから40Hzにかけて直線的に数dBブーストしてあげても良いかもしれません。

また、日本の平均的な家屋でこのように常識的な音量で音楽を楽しむ分には、再三申しているように巨大な装置は全く不要です。

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2012年11月13日 (火) | Edit |
音楽再生システムの設計において、まず最初に決めなければならないのが、目標とする再生音量(音響パワー)です。これによって、システムの基本要件(スピーカ振動板のサイズ、振幅、アンプの出力)が決まるからです。ユーザは、自分が必要とする再生音量(音響パワー)に見合ったシステムを選択する必要があります。

今回は、ちょっと興味深いグラフを見つけたので、今一度再生音量について考えて見たいと思います。

ds-303(8).jpg
これはDIATONE DS-303のカタログに記載されていたデータのようです。出典は「オーディオの軌跡」さんです。そこには、
DS-303では、音楽鑑賞をする場合にどの程度の出力を持ったアンプで駆動すれば良いかという使用上の検討が加えられています。12畳から16畳にかけての大きなリスニングルームで聴取レベル100dB(瞬時値)をステレオ再生で確保するためには、能率を考慮すると100Wの耐入力性た必要となります。また、4.5畳や6畳程度の小さい部屋で条件を満たすためにも最低40W程度の出力た必要となります。このため、DS-303では40W~100W程度の出力を持ったアンプで駆動することが推奨されていました。
と記載されています。

いくつか興味深い点があるので、順番に見て行きます。

まず、HiFi再生に必要な音圧レベルの瞬時値を100dBに設定している点が挙げられます(ステレオ再生する場合、2本のSPで受け持つため、一本あたりの旬時値は最大97dB)としている模様)。なお、このスピーカの効率は約90dB@1m/1Wです。

以前当ブログで紹介した、とあるホールで計測されたベト5第1楽章の最大瞬時レベルは、最前列中央席で106.7dB、ホールの中央付近で89.9dBでした(参考記事)。従って、100dBというのは、かなりカブリ付きの状態を想定しているものと思われます。これらの値は、フィルタを一切通さない全くの瞬時値であり、中央席の89.9dBをFASTフィルタ(時間フィルタ)とAフィルタ(人間の聴感を考慮したフィルタ)を通した場合の騒音レベルは80dBAを大きく超えないであろうと考えられます。

また、さる機関(独立行政法人産業技術総合研究所)が実施した調査では、音楽を聴く際に80%以上の人が80dBA未満の音量で快適であると感じるという結果が得られています(参考記事)。僕自身も、時々リスニング位置の音量を計測してみるのですが、概ね70~80dBAの音量で聞いています。それ以上音量を上げると圧迫感を感じ始め、また周囲への影響も気になり出します。さらに、85dBAを超える音量を日常的に聴いていると聴覚にダメージを受けるとも言われます。

次に、この図で想定しているリスニング距離を見てみます。
この図では、リスニング距離を4.5畳間で約2.5m、6~8畳間で約3.5mと見積もっています。今時京間(955mmx1910mm)を使っている家は少ないでしょうから、畳の寸法をざっと0.90mx1.80mと見積もった場合(中京間、江戸間に相当)、4.5畳間は約2.7m x 2.7m (僕の部屋(3x3m)よりも狭い)、6~8畳間の長手方向の寸法は約3.6mです。つまり、上図では、スピーカを壁にピッタリくっつけて、リスナも反対の壁にピッタリと背中をくっつけた状態を想定している事になります。なんだか、オッキイソーチ(アンプとスピーカ)を売りたくてこのように極端な条件を想定したのではないかと勘ぐりたくもなりますね。これは再三申しているように、定在波の観点からは最悪の条件であり、良好なリスニング条件を得るには、少なくとも部屋の中央付近で聴く必要があります。さもなくば、イコライザが必須でしょう。

余談になりますが、オートグラフについて考えてみます。
オートグラフはコーナー設置を前提とするモノラル用スピーカですが、どのような使われ方を想定してチューニングされたのでしょうか。非常に高価な製品ですから、相当に裕福な顧客層を対象としていたはずです。さて、暖炉のある広いお部屋のコーナーにオートグラフを設置した場合、部屋の主はどこに陣取って音楽を楽しむでしょうか。そう、普通に考えれば、部屋の中央付近ですよね。たぶん、暖炉の正面あたりに座るのではないでしょうか。そんなお部屋で何もワザワザ壁にへばり付いて聴くはずがありませんよね。オートグラフは部屋のコーナーを使って低音を増強していると思われますが、そのようなスピーカを狭いお部屋にブチ込んで、壁にへばり付いて聴く場合、リスニング位置でどのような周波数特性が得られるか、興味深いところではあります。

以上のような事から、日本の一般的家屋において、部屋の中央付近に座って適度な音量で音楽を楽しむのであれば、上図で見る限りアンプの出力は瞬時最大値でも数W~10数W(L/R合計)もあれば十分であろうという事になります(下図の黄色の領域)。
ds-303(8) copy

部屋のサイズによってリスニング距離がほぼ決まり、必要音響パワーがほぼ決まります。つまり、部屋のサイズに応じて必要なシステムのサイズ(振動板面積x振幅とアンプ出力)がほぼ決まるという事です。また、リスニング距離が近い程(部屋が狭い程)、心理的にもスペース的にも装置のサイズは小さくしたいですよね。4.5畳間で38cmウーハの4wayを目の前に置いて聴くのは非現実的でしょう。僕が提唱している密閉型ブースト/2.1ch方式であれば、低音再生限界は振動板サイズと箱容積に基本的に依拠しないため、音量(部屋のサイズ、リスニング距離)に見合った適度なサイズでも低音再生帯域を犠牲にせずに音楽再生システムを設計する事ができます。つまり、リスナは自分にピッタリサイズのシステムを、音楽再生において不可欠の低域再生を犠牲にする事なく、選ぶ事ができます。そのミニマムな形態がケロ君です。

密閉型2.1chまたは2.2chパワードウーハ システムの様々なコンフィグレーション
719 copy
大きさは異なっても周波数特性は全て同じです。異なるのは最大音量だけ。ZAP君はSMALLクラスですが、デスクトップ用としては過剰性能です。普通の6畳間の中央で聴くのであればこのクラスで十分でしょう。

追記
余程のマニアでもない限り防音を施された専用のリスニングルームなぞ持たないでしょうし、普通は自分にとって最もリラックスできる快適な住環境(リビングなり自室なり)で音楽を楽しみたいと願うでしょう。従って、装置には快適な住環境を乱さない事、つまり十分にコンパクトであり、住人のライフスタイルやセンスにマッチした外観を持つ事が求められます。必要十分な音量(なにもフルオーケストラの最前列席の音量をサイゲンする必要など全くナイ)で必要十分な音楽再生クオリティ(なにもデンセンやアンプのチガイをワザワザシューチューとかショージンとかして聞き分ける必要など全くない)を達成できていれば、ヤタラコマケー オンシツなどをツイキューとやらするよりもコンパクト化とデザインの方が余程重要です。もちろん低価格化もね。。

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2011年03月09日 (水) | Edit |
最近音量についてイロイロ調べているうちに見つけた貴重なデータをご紹介します。

名古屋にある「愛知県芸術劇場」(ホームページはこちら)のかなり詳細な音響解析の報告書です。この施設はなかなか立派なコンサートホールを備えているようです。
報告書全文のPDFはコチラからダウンロードできます。
座席表のPDFはコチラからダウンロードできます。

最近の記事では音楽を聴く時の音圧について書いてきましたので、今回も報告書の中から客席の音圧分布のデータを取り上げてみました。残響特性等、かなり詳しいデータが掲載されていますので、ご興味のある方はPDFをダウンロードしてご覧ください。

下は当該コンサートホール客席の音圧分布測定結果の抜粋です。
701.jpg
ステージ中央に12面体スピーカ(音響パワー100dB)を置いて、ホール中心線上の各位置で音圧を測定した結果です。画像の質が悪かったので、プロットに色を付けました。緑が125Hz、青が500Hz、赤が2KHzです。測定点⑤が最前列席あたり、測定点⑧がホールのほぼ中心に位置します。④がスピーカ位置です。

結果を見ると、周波数の高い2kHzは⑤から⑧に向けて急激に低下し(約-8dB)、周波数の低い125Hzは比較的緩やかに低下しています。低音は壁面等の反射で吸収されにくいのに対し、高音は比較的吸収されやすためにこのような傾向が出るのだと思われます。この傾向は周波数が高くなればもっと顕著に表れると考えられます(後述のベト5データ参照)。

以上の結果から、最前列では後方の席に比べて高音(2kHz)のレベルが極端に高くなる傾向にあり、これが最大音圧レベルの値に強く影響していると言えます。また、高音レベルはステージに近い領域(上図では測定点⑤から⑧にかけて)で急激に低下し、それより後方では他の周波数(125Hz、500Hz)と同程度の傾きで緩やかに減衰する事が分かります。上図では測定点⑥~⑦近辺で3つの周波数のレベルが同等になります。これはコメントで頂いた5列目あたりに相当するのではないでしょうか。

高音(2kHz)の減衰が収まる測定点⑧より後の席(全席の8割くらい?)では、後に行くほど徐々に音圧レベルが低下するものの、ほぼ一定した周波数特性(つまり2kHzが他に比べて低い特性)が得られている事が分かります。

さらに、以前の記事で紹介した鎌倉芸術館でのベト5音圧測定データから興味深い知見が得られました。

ちょっと見にくいですが、最前列席のスペクトル(赤)とホール中央席のスペクトル(緑)を重ね合わせてみました。クリックで拡大してご覧ください。
702.jpg
500Hz近辺の音圧差は6dB程度に過ぎませんが、後方の席では2kHzより上で急激に音圧が低下する事が分かります。このデータでは4kHz以上で20dBも低下しています。やはり、周波数が高いほど減衰は顕著に表れるようです。このため全周波数の音圧ピーク値は、最前列席(106.7dB)に対して中央席(89.9dB)で15dB以上も低下するという結果になっています。すなわち、中域音の減衰量は6dB程度に過ぎないわけですから、全周波数で15dBを超える大きな差は高域音の減衰に強く影響されていると言えます。先のコンサートホールの音圧分布に4kHzのデータをプロットしたら、ステージ近くの領域で2kHzよりも大幅に急激な減衰が見られるはずです。A特性は約800Hz~8kHzに強い感度を持つため、高域レベルの低下はdBAレベルにもモロに影響します(つまり人間が感じる音の大きさにもモロに影響する)。従って、最前列席とその他大部分の席との間に10dBAかそれ以上の音圧レベル差が生じる事は十分に考えられます。

さらに、この2つのベト5実測スペクトルをCDの信号スペクトルと比較してみたところ、興味深い結果が得られました。CDはいつものブロさん指揮ベト5第一楽章(全部)です。もちろん縦横のスケールを合わせて重ねています。

まずは最前列の測定データと比較してみます(クリックすると拡大します)
703.jpg
最前列の実測値だと、約2kHz以上の高域がCDに比べて随分高くなっています。また、50Hz以下の低域も実測の方が随分高いですね。40Hz付近にホールの定在波かなにかが影響しているのかも知れません。

ではホール中央部の測定データではどうでしょうか。
704.jpg
なんと高域も低域も非常に良く一致しています。嘘みたい。。。。

ブロムシュテット、フルトベングラ、カラヤン、チェリビダッケ指揮の4つのベト5第1楽章のスペクトルを重ね合わせてみました。
705.jpg
どれも同じようなもので、やはり高域はかなり減衰しています。そんなに遠くのマイクロフォンで収録しているとは思えませんので、ホール中ほどで聴く状態に合わせてイコライジングしているのかなぁ?

まぁとにかく、フルオーケストラを最前列席で聴くと、ホール中ほどの大部分の席で聴くよりも、あるいはCDやLPで聴くよりも約2kHz以上の高音がかなり強く聞こえてしまう事だけは確かなようです。CDやLPの高域が減衰した信号をピーク105dBとか110dBを目指して再生したら、実際の最前列で聴く音よりもやたら中低音のでかい音を聴くことになっちゃうですね。。。そりゃたいへんだ!家揺れるぞ。

まとめ
交響曲における最前列席または指揮者位置の最大音圧レベルが95dBA(ピークで110dB近く)であるという定説は、いろいろ調べたところほぼ信頼できるもののようです。しかしこれはホール全体の中でも極めて特異な周波数分布を持つ極狭い範囲での極端なデータに過ぎず、その他の座席での一般的な最大音圧はホールにもよりますが概ね85~80dBAあるいはそれ以下のレベルに分布すると考えられます。従ってホール全席の音圧分布は前記事の快適音量分布にかなり近いものになると思われます。また、CDやLPに記録されている信号のスペクトルも、ホール内の平均的な座席で聴くのに近い特性を持つ事が分かりました。

追記
「生演奏の再現」というのに拘るのであれば、交響曲の場合、音量を上げたとしても耳元の音圧でせいぜい85dBA(ピークで100dB未満、95dBくらい)もあれば十分であり、どうしても最前列席あるいは指揮者位置での音を「再現」したいというのであれば、CDなりLPなりのソース信号の高域をイコライザで相当量ブーストした上でピーク110dBなり95dBAなりの最大音量に合わせて再生する必要があると思われます。再三申しているように、僕は再生音楽を「生演奏の再現」とは考えませんし、自分にとって快適な音量で聴けば良いと思いますが、一般的な快適音量レベルとホール中ほどの音量レベルはそれほど違わないようです(当然と言えば当然かもしれませんけど)。

追記2
上記の快適音量は、マンションの小部屋(6畳程度)であれば、8cmフルレンジドライバと20WそこそこのIcon AMPでも十分に達成できる音量であると言えます(2mくらいの距離でも大丈夫、馬鹿ブーしないサブウーハー使用ならばさらに余裕あり)。

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2011年03月06日 (日) | Edit |
自分の快適再生音量が分かったので、一般的に多くの人はどの程度の音量で音楽を聴いているのかが気になってネットで調べてみました。

スピーカー再生によるオーディオルームでの再生音量に関しては精度の高いデータが見つかりませんでしたが、イヤフォン関係では信ぴょう性の高いデータをいくつか見つける事ができました。

携帯型音楽プレーヤーの普及に伴い、聴覚障害や屋外での使用による事故等の危険性がとりざたされ、音量規制等の動きがあるのはご存知だと思います。EUは2009年に聴力障害や難聴を予防するため、携帯型音楽プレーヤーの音量に上限を設ける規制安全基準を策定する方針を発表しました(その後どうなっているのでしょうか?)。我が国でも各種の調査が行われた模様です。このような事情からイヤフォンでの再生音量についてはいくつかの貴重な調査結果が見つかりました。

700.jpg
上記データの出典はこちら: 独立行政法人産業技術総合研究所

これは41名の被験者が4機種のイヤフォン/ヘッドフォンを使用して音楽を試聴した結果です(サンプル総数41x4=164)。青は周囲が静かな時の結果、赤は73.2dBの環境騒音の中で試聴した時の結果です。環境が静かであれば70~80dBを快適と感じる人が最も多く(僕もこの階級に属しますね)、また80%以上の人が80dB未満の音量で快適であると感じるようです。

快適音量は環境騒音に顕著に影響される事が分かります。この点からも、多数の聴衆の中で音楽を聴くライブよりも静かな個室で一人で聴く場合の方が快適音量が相応に低くなるのが自然かと思われます。イヤフォンで音量が問題になるのは、環境騒音の大きな屋外(特に電車内)で使用する頻度が高いという点にあると言えます。

冒頭のEUの基準では、デフォルトの音量設定として、音量80dB(デシベル)で視聴するなら1週間に40時間、89dBなら同5時間以内にすることを規定し、メーカーに対しては、設定を超えて視聴する際に警告を表示させるよう義務付けるとしています(出典)。やはり80dBを超えないというのが、健康上でも1つの目安となりそうです。

ということで、自分は概ね人並みのそこそこ安全なレベルで音楽を聴いているという事が分かりました。

追記1
前々記事のホールでの音圧測定結果と照らし合わせると興味深い点が見えて来る。もし、かのホールの中央付近の席でベト5を聴いた時の騒音レベルが本当に最大80dBAを大きく超えないとするならば、かのホールの各座席での音量の分布は上図の快適音量の分布に似た形状を示すはずである。すなわち、中央席周辺の音量が多くの人にとって快適と感じる音量になり、従ってホール内の可能な限り多くの人が快適音量に近い範囲で音楽を聴けるという事である。さらに言えば、交響曲の音量は当時のホールに見合った音量になるように作曲され、現在のホールはそのようにして作曲された交響曲が快適に聴けるように設計されているとも考えられなくはないかもしれないかもしれない。かな?

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2011年03月05日 (土) | Edit |
いろいろな曲を普段のボリュームで聴いてみましたが、だいたい音がそこそこ出ているパートで70~75dBA、短時間の最大値でも80dBAを超えない範囲が僕にとっての快適音量であると言えそうです。125ms (FAST)の動特性で測定してMAX値が80dBAを超えると明らかに「音が大きすぎる」「音量が必要以上である」と感じます。大まかに言って短時間の最大騒音レベルでも80dBAを超えないというのが僕の快適再生音量の1つの基準であると言えそうです。それ以上の音量の必要性は全く感じませんし、逆に精神的苦痛を感じます。ちなみに85dBAを超える音を長時間聴くと難聴になる恐れがあるそうです。

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2011年03月05日 (土) | Edit |
以前から一度測ってみたかった普段聞いている再生音の音圧レベルを測定してみました。

騒音計はコチラを使用。
699.jpg
ちょっともったいないかな?とも思いましたが、5K円を切る値段をみてポチしてしまいました。日本国内の公式な騒音計としての仕様は満たしていませんが、米国の規格には合格しており個人的に使用する分には全く問題ないでしょう。iPhoneまたはiPod Touchをお持ちの方なら、こんな大層なモノを購入しなくても騒音計アプリを利用できますよ(精度は?ですが目安にはなると思う)。

で、問題となるのが、実際のフルオーケストラの音圧レベルが一体どの程度あるのか?という点です。今までに見つけた情報では、大音量時に85~95dB(瞬間最大では100dBを超える事もあるらしい)という程度の情報しかなく、どの位置で測定したのか(大概は指揮者位置、ステージ上、ステージ直前の近距離での測定値らしい)も、正確な測定条件も全く明記されていませんでした。そこでネットでいろいろ検索したところ、この記事を見つけました。詳細はそちらをご覧ください。

この記事では、ベトベン5番第1楽章の生演奏を最前列中央席と後方のホール中央席の2箇所で測定しています。これは非常に貴重なデータだと思います。しかし、残念な事に重み付けなし(FLAT)で測定したピーク値しか掲載されていません。これらの値は、他のどのような測定を行ってもこれより大きな値は絶対に測定されないと言える値であると考えるべきです。

測定値を見ると、全周波数のピーク最大値(すなわち生(FLAT)音圧波形の瞬時実効値の最大値)が最前列で106.7dB、ホール中央で89.9dBとなっています。後の席では音圧レベルが15dB以上も低下しているのには驚きました。

通常の騒音計では、125ms(FAST)の時間重みとA特性またはC特性の周波数重みを適用した「時間重み付きサウンドレベル」を計測します。つまり上記の単純な全周波数の音圧波形ピーク値よりは必ず低くなります。最前列席で測定された106.7dBというピーク値は、上で言っている「瞬間最大では100dBを超える」という意味に対応すると思われます。スペクトルを見ると、当然ですが低周波数に強い音圧を持つ左上がりの特性になっており、特に低周波数の重み付が小さくなるA特性では大幅に騒音レベル値が低下します。従って、このスペクトルデータと照らし合わせても一般に言われるステージに近い位置(指揮者位置、ステージ直前)で85~95dBAというのは、ほぼ妥当な線であると思われます。また、ホールのサイズや反響特性にもよりますが、後方の席では音圧レベルが相応に低下すると考えられます(上の-15dBが真だとすると70~80dB?、さすがに-15dBは大きすぎるように思われるが、スペクトルを見てもA特性に大きく影響する1kHz以上での低下が大きいので、dBA換算でも10dBかそれ以上は確実に低下していると思われる)。

下に周波数重み付け特性を示します。上記の参考データはFLATで計測されたものです。
698.jpg

ではでは、ということで僕のデスクトップシステムで再生音の騒音レベルを測定してみました。
音源はブロムシュテッド指揮のベトベン交響曲第5番第一楽章のうち、音圧が最大になるエンディング部です。
バイノーラル録音をご試聴ください(30Hzフラットの馬鹿ブー、ボリューム位置は12時、距離50cm):
bet5 end

アンプ(Icon AMP、定格24W)のボリューム位置ですが、デジタルオーバーフローを避けるためにFrieve Audioでベースレベルを-12dBした状態で、時間帯と気分に応じて10時~1時で聞いています。録音レベルの低いソースでも1時以上に上げる事は絶対にありません。
測定結果は以下の通りです。5回程度繰り返し再生した時の最大値(ホールド機能あり、ピーク値ではない)です。アンプのボリューム位置は全て12時です(交響曲を気合いを入れて聴く時の標準位置)。

距離50cm A特性: 79.7 dBA
距離50cm C特性: 84.6 dBC
距離200cm A特性: 77.0 dBA
距離200cm C特性: 81.6 dBC

信号が正弦波の場合、ピークレベル値と最大騒音値では3dB異なるとされます。バースト信号の場合はもっと差が大きくなります。ホール中央部で計測されたピーク値が89.9dBですから、その最大騒音レベルは少なくとも86.9dBよりも低いと考えられ、さらにFLATからC特性への換算によって多少値が低下するはずです。この事から考えても、上記の50cm位置で84.6dBCという結果はホール中央部での音量に非常に近いと思われます。

以上から、僕の日頃のリスニング条件の範囲でも、ホール中央席で聴くフルオーケストラの音圧とさしてかけ離れていない音量が得られていると推測されます。これはチョット意外でした。さすがにカブリ付きでの音圧は無理ですが、爆音派ではないので僕には十分です。というかこれ以上の音量で聴くのは苦痛です。なお、僕の部屋ではリスニング位置が50cmから2mに離れると音圧は約3dB低下しています(無響室や広いリビングならもっと激しく低下する)。これも部屋の音響特性によりますが、一般的に音圧一定とした場合、距離が離れればそれだけパワーをかける必要があります。小さなパワーでも耳元で十分な音圧を確保できるのがニアフィールドリスニングの強みです(僕の小さな部屋でも、50cmから2mに離れるだけで、同等音量を得るには2倍のアンプ出力が必要です)。

追記1
今回ご紹介したデータはもう1つ貴重な点を示しています。すなわち、ステージから離れると2kHz以上の高域音のレベルが顕著に低下するという事です。通常、レコーディングは近接マイクで録音されるので、ステージかぶりつきで聞く状態に近いと言えます。しかしこれだと高域がきつく聞こえる場合があるため、特にフルオーケストラ曲では高域を多少落とした方が聴きやすくなる場合があります。

追記2
今回驚いたのは、後方の席ではフルオーケストラでも最大音量で80dBAをちょっと超えるか超えないかといったレベルにしか聞こえないという点です。何も指揮者の気分になる必要はないので、最大ピークが100dBを超えるような爆音で再生する必要は全く無かろうと思いました。だいたい最前列というのは音楽を鑑賞する際にベストな位置だとは思えませんし、ホールも中央を中心にできるだけ多くの人が最適に聴けるように設計されているはずですよね。大音量嫌いの僕はコンサートでも映画でもやや後ろよりの席を選びます。それでも映画館の音は必要以上にデカイと感じますけど。

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