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2011年05月09日 (月) | Edit |
連休最後の実験君として、2.5Lのポチ型ボックスで遊んでみました。

今回の眼目は、如何に少量の吸音材で効率良く付帯音を除去するか?

容積が小さいバスレフ型では、付帯音を嫌って吸音材を入れるとバスレフ効果が大きく低下します。平面の反射を吸収したい場合、吸音材の吸音率は厚さに大きく影響を受けるようなので、容積が小さい箱では吸音材の入れ方を工夫する必要があります。

で、Alpair 6Pでのトライアルで気付いたのですが、ドライバの背面からの高域音を十分に吸収してやれば、箱自体には吸音材は不要なのではないか? という事です。例えば、箱の定在波の周波数が1kHzであったとして、ドライバ背面から1kHzの音が出てこなければ、定在波はほとんど発生しないのではないのか? という事。

という仮定の下に、下図のように吸音材を入れてみました(いつものミクロンウール(25mm厚)を使用)。
805.jpg
ポチ型は最小限のバッフルしか持ちません。マグネットまわりの小さな空間に軽く吸音材(ミクロンウール)を充填し、その背後に80x80x25mmの吸音材を1枚だけあてがいました。これでドライバ背面からの高域音を吸収してしまおうというのが狙いです。

558_20110509071803.jpg
ドライバにはTangbandのW3-971SCを使用しました。写真はポートを塞いだ状態です。

以下に各種測定結果を示します。
青(または濃紺)が吸音材なし、赤が上図の吸音材ありです。ポートはφ26x80mm (共鳴f=約75Hz)です。

前方20cmくらいで測定した総合出力です。緑はポート塞ぎ。
799.jpg

フェイズコーン前方数センチで測定した振動板からの出力です。
801.jpg

ポート直前で測定したポート出力です。
803.jpg

ポートからマイクを突っ込んで測定した箱の内部音です。
802.jpg

以上のように、最小限の吸音材だけを使用して、バスレフ効果を大きく落とさずに、かなり効果的に付帯音を取り除く事ができるようです。ただし、ポートの筒っぽ共振音を吸音材で取り除く事はできません。

ついでに例のピチカートベース音(ボポポポーン)も録音してみました(詳細はコチラ)。
800.jpg
赤がソース信号、青がバスレフ、緑がポート塞ぎです。最初の「ボ」の音(基本周波数65Hz)の波形です。共鳴点以下なので、バスレフ型の波形はかなり大きく崩れます。周期(周波数)がソースとは異なるように見えます。今回はイコライザでフラットにしていないので、密閉型(ポート塞ぎ)でも波形の細かい凸凹はソースに一致しませんが、明らかにバスレフ型よりも良好な追従性を示しています。

下はシミュレーション結果です。
809.jpg
黄色はAlpair 6Pの11Lバスレフの特性です。小容積だと共鳴点を高くせざるを得ず、その結果低域限界が伸びないだけでなく、位相遅れも大きくなる事が分かります。ですから、可能であれば容積には余裕を持たせたいところです。しかしドライバによっては、大きめの箱に入れると低音がボン付いて好ましくない場合もあります。僕の経験ではF80AMGを4Lに入れると、ベース音がボン付いて駄目でした。なので2.5Lのポチを作ったのよ。。。

という事で、特にコンパクトさが求められるデスクトップまたはニアフィールド向けには、小容積の密閉型+デジタルブーストを強くお薦めします(50Hzまでブーストできれば大概は十分でしょう、交響曲だけは何故か30Hzフラットの方が嬉しいけど。ダイゴミらしい)。最悪アンプのトーンコントローラやiTuneのオマケイコライザでも結構聴けますよ。バスレフ型の場合、やはりある程度の箱容積とドライバサイズを確保したいですね。

最後に、バッフルが比較的広い一般的なボックス形状を想定したアイデアを載せておきます。
808.jpg
吸音材を効果的に使うために、ドライバ背面を囲む短い管を取り付け、そこに吸音材を充填します。さらにマグネットの背後に図のようなコーンを取り付けると、吸音材の量を節約できます。でもコーン分の実効容積が減るので逆効果か?結局不要ですね。忘れてください。

追記
という事で、四角い箱は音響的に「無謀」か?と以前に書きましたが、ドライバ背面からの高域音さえ吸収してしまえば、箱が四角であっても高域の定在波は大して発生しない模様です。

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2010年06月05日 (土) | Edit |
2つ前の記事では密閉型スピーカーを使用して吸音材の効果を確認しましたが、今回はバスレフ型で測定してみました。

ドライバーにはTangBandの8cmフルレンジ ユニットを使用しました(型番忘れました。。ペーパーコーン(銀色に塗装)にアルミ削り出しのフェイズコーンが付いているやつ。コイズミで2000円弱で購入)

558.jpg
箱はポチ一型。写真はポートを塞いだ状態です。箱の寸法は現在Alpair5に使っている二型と全く同じ(2.5L)。ポートは標準的なフロントポート。ポートには内径23mmx長さ80mmの塩ビ管用継ぎ手を利用しています。肉厚が非常にごついのでへんな振動は絶対に出ません。中の段差はヤスリで削りました。ポート出口はパテ材でファンネル状に成型して風切り音を回避しました。左手に見える白いのがマイクロフォン。距離は約15cm。

545.jpg
吸音材なしの測定結果。赤がバスレフ、黒が密閉です。寸法が同じなのでAlpair5の時と同様の周波数ではっきりと定在波の影響が観測できます。バスレフでは穴からも音が聞こえるので、定在波の影響も密閉型より多めに出ています。約80Hzの共鳴点から下は、位相反転効果でレスポンスが急激に低下し、約60Hzで密閉型とクロスします。ポートはあと2~3cm長くした方が良いかもしれませんね。

548.jpg
ポートの出口にマイクロフォンの先端を置いて測定した結果です。ほぼポートの音だけが含まれていると思われます。ピークはやはり約80Hz。定在波の影響が800Hz~2kHzの範囲に顕著に表れています。このようにポートからも定在波の音が出てきます。

吸音材を入れてみました。
547.jpg
ミクロンウールを横下後の3面に貼りました。緑がその結果です。定在波のピークは綺麗に消えましたが、ポートの低音増強効果が半減してしまいました。吸音材が必要悪と言われる所以ですね。箱のサイズに対してミクロンウールが厚すぎるようです。もっと薄くて吸音効果の高いものを選んだ方が良いですね。

と、まあ、アタリマエの結果です。正直バスレフには全く興味がないので深追いはしません。バスレフのチューニングは以前散々やりましたが、何度やってもそのうち吸音材の量がどんどん増えていって、しまいには密閉型になって終わり。。。次回は、ハチマルが何故そこまでバスレフを嫌うのか?についてデータで検証してみたいと思います。

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2010年05月30日 (日) | Edit |
吸音材は必要悪のように言われる事が多いようですし、吸音材なんぞ全く不要という極端なご意見まで聞かれますが、はたしてそうでしょうか?

僕は今まで聴感だけを頼りに吸音材の量を決めてきましたが、今回は測定でその効果を確かめてみたいと思います。

まずは、僕の聴感による吸音材調整方法を書いてみます。

ハチマルの吸音材チューニング法
1) 中高域では主にピアノの音を重視します。ストリングだと分かりにくい (定在波があった方が華やかに聞こえてしまう事すらある) のですが、打撃音のピアノを聴くと違いが分かりやすいように思います。それに、ジャズ聴き始めのころに妹のピアノを借りて理論書みたいなのを読みながらコードをイヂッテでさんざん遊んだ事もあるので、記憶音としても一番確かだからです。吸音材を入れない場合、ピアノの音が不自然な響きに聞こえます。
僕はこういう音を箱くさい音と言って嫌います。

2) 低域は例によってウッドベースの聞こえ方を重視します(これもやはり弦を弾くパルシブな音ですね)。この場合、吸音材を増やすにつれて低域がタイトに引き締まります。僕は「ボゥン」とか「ボン」ではなくて「ボン・」と聞こえるダンピングが効いた音が好きなので、結局何度やっても箱の内部を吸音材で隙間無く埋める事になってしまいます。これは密閉箱限定の手法です。もう少し容積を減らしても良いのかもしれません。

542.jpg
臓物を出してみました。聴感を頼りにだんだんと増やしていったのですが、引きずり出してみて改めて驚きました。
コイズミ無線で売っている「ミクロンウール」を使っています。

僕のスピーカーはご存じのように密閉型ですが、バスレフでこんなに入れたらポートの効果がなくなってしまいます。
オーヂオイヂリを始めた当初は僕もバスレフのチューニングに散々トライしたのですが、何度やっても、好みの方向にチューニングしてゆくとポートと箱内部の吸音材の量がどんどん増えて「結局密閉と変わらんやん」という結末になりました。

それでは測定で確認してみましょう。。。。。

測定データ
非常に微妙な測定であるため、マイクロフォンはスピーカーの前方約5cmの位置に置きました(S/Nを上げるため)。スピーカーはいつものAlpair5 2.5L密閉型です。アンプにはIcon AMPを使用しました。はたして定在波の影響はスピーカー前方でも観測できるのでしょうか?

1) まず吸音材を全て取り出して測定しました。
536.jpg
おやおや、それらしきピークが800Hz~2kHzの領域に見られます。

2) 次にサーモウールを左側面/底面/背面に一枚ずつ貼り付けてみました。
538.jpg
見事にピークが消えましたね。やはりピークは箱の定在波だったようです。箱の内寸から定在波の周波数を予測すると、前後(210mm: 810Hz)、上下(140mm: 1.2kHz)、左右(85mm: 2kHz)となります(音速=340m/sec)。前後と上下はほぼ計算に一致するみたいですが、左右方向のピークは2kHz前後に分散して発生しています(ナンデ?)。あと、スピーカー軸方向(前後)の定在波の影響が一番大きく出ていますね。ちなみに箱をいくらゴツク作っても無駄ですよ。これはいわゆる「箱鳴り」ではなくて内部の定在波が薄い振動板を通して(あるいは動かして)出てくる音ですから。

これで箱内部の定在波の影響が振動板前方の音にも表れるという事が分かりました。こいつが「箱くささ」の原因だと思われます。また、対面する壁の一方に吸音材を貼れば、かなり効果的に定在波を抑え込める事も分かりました。苦労して丸いエンクロージャ作る必要もないかな??
3kHzのディップは定在波ではなくてユニット/バッフル/部屋のいずれかの影響のようです。

3) では吸音材をたっぷり詰め込んだハチマル チューニングはどうでしょうか?
539.jpg
約150Hzを中心とする盛り上がりが低下して、ビシッとフラットになりました。これによって低音の「締まり」を出している模様です。
この150Hzの盛り上がりは、Alpair5の共振周波数にほぼ一致します(下図)。
543.jpg
スピーカー設計プログラムによる計算結果

この盛り上がりがスピーカーの共振によるものだとすると、ダンピングファクタ(DF)の低い真空管アンプで違いが出るはずです。そこでTU-870につなぎ換えて測定してみると。。。
540.jpg
ビンゴ! 150Hzがポッコリ盛り上がりました。まず間違いなくスピーカーの共振の影響ですね。
注: 僕はTU-870の高域および低域補正用のコンデンサを外しているので、オリジナル回路のTU-870とは特性が若干異なります。イコライザで調整するので特性調整用のコンデンサは不要なんです。。。

より高出力のONKYO F-905FXでも測定してみましたが、Iconとほとんど変わりませんでした。半導体アンプでも共振の影響が結構出るのかなぁ?? アキュフェーズとかの上等のアンプだとどうなんでしょうね?

スピーカーの共振についてちょっと簡単に説明
スピーカーの振動板を手前に引っ張り出してからパッと手を離すと、振動板はしばらく前後に振動してから最終的に中立位置(元の位置)に戻ります(減衰振動と言う)。この時の前後振動の周波数が共振周波数です。共振周波数は運動する物体の質量(振動板の等価質量)とバネ定数(スピーカー内部の機械的バネと密閉箱の空気バネのバネの強さ)によって決まります。このため、箱の容積を小さくすると共振周波数は高くなります(空気バネが強くなるため)。
この周波数を持つ信号入力に対してスピーカーは非常に動きやすく、DFの低いアンプでは制動しきれずに振動板が動き過ぎてしまいます。このためパルシブな信号に対して音が「ボン・」と止まりにくくなります。バネとして働く空気に吸音材を入れる事によって、空気バネの伸び縮みを妨げる効果(ダンピング効果)が得られます。この効果により、スピーカーと空気で構成された振動系全体の共振の強さを緩和する事ができます。


マイクロフォンを20cmまで離して測定してみました。なお、2kHz以上の形状は、マイクロフォン位置が少し変わっただけで大きく変化するので気にしないでください。
541.jpg
S/Nが下がるので見にくくなりますが、この距離でも定在波の影響は明らかに見て取れますね(見やすくするためにグラフを上下にずらしてます)。

最後に吸音材を元に戻してから、Icon AMPとTU-870を比較してみました。
544.jpg

やはりTU-870の方が低域で盛り上がりますが、吸音材なしよりは傾向が弱まっています。新システムをチューニングする際に、メインスピーカーの共振周波数を避けるためにクロスを200Hzまで上げて見た事があるのですが、やはりAlpair5でできるだけベース音を聴いた方がシャープに聞こえるので、最終的に100Hzクロスに落ち着いています。

まとめ
今回の測定から次の事が分かりました。
1) 箱内部の定在波の影響は、スピーカー振動板の前方でも観測できます。つまり密閉型でも定在波の音がスピーカーを透過して聞こえるという事です。ましてや、土手っ腹に風穴の空いたバスレフ型では、吸音材で対策しない限り盛大に定在波を聴く事になります。 (ただし、それがそのスピーカーの個性として好きであれば、別に殺してしまう必要はありません。ワザワザ箱鳴りするように作られた高級スピーカーもあるくらいですから、要は自分の好きな音にチューニングしてしまえば良いという事ですので)

2) 今回試した吸音材(ミクロンウール)で見る限り、対面する壁の一方に1層の吸音材を貼る(つまり3面貼る)だけで劇的に定在波の影響を下げる事ができるようです。通常のバスレフ等ではこれで十分だと思います。

3) 密閉箱の場合、吸音材を増やす事によってスピーカーの共振周波数におけるダンピングを改善できるようです。聴感上もそのように感じます(というか聴感を頼りにチューンしたらこうなった)。

4) 以上から、吸音材の調整はスピーカーのチューニングにおいて非常に重要かつ効果的であると言えます。

如何でしたか。結構貴重なデータをお見せできたと思います。是非ご参考にしてください。最近集中的にブログを更新しましたが、また暫くご無沙汰します(仕事しなくっちゃ!)。ブログ村の応援もヨロシコ!

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