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2012年12月29日 (土) | Edit |
ブースト方式の再生限界音量について考察を加える前に、各種のイコライザを使ってブーストした際の実際のスピーカ音圧波形を確認してみました。

今回テストしたのはFrieve Audio、iTune、Sound Blasterのグライコ(以上デジタル式)とアナログ式のBehringer製9バンドグライコです。

テスト信号には125Hz/0dBFS(デジタル フルスケール)の正弦波信号を使いました。スピーカとアンプは完成したばかりのGAMA君です。

FrieveAudio
Frieve 0 Frieve 3
左がブーストなし、右が+3dBブーストです。AVC(自動ボリューム調整機能)はOFF、マスターボリュームはMAX(0dB)です。Frieve Audioの場合、信号レベルがフルスケールを少しでも超えると波形はテキメンに変形します。このため通常はAVCをONにするか、ブースト係数がゼロを超えないようにマイナス側にシフトしておく(つまり低域をブーストするのではなく高域を減衰させる)必要があります。なお、以前の記事で述べたように、音圧波形は振動板変位の微分波形である事に注意してください。

iTune
iTune 0 iTune 6
iTune 9 iTune 12
左上から、0、+6、+9、+12dB、iTuneのボリュームは最大です。iTuneの場合、ブースト量が+6dB以下であれば、信号が飽和してもFrieveAudioとは違って波形は直ぐには崩れません(振幅は全く増えない)。つまり、0dBより振幅が小さな信号は0dBレベルまでブーストされますが、それ以上には絶対にブーストされないという事です。通常の楽曲では、信号がフルスケール近くに達するのはホンの一瞬ですので、ブースト効果はこれでも得られます。+6dBまで波形は綺麗に保たれますが、それ以上ブーストすると処理しきれずに波形が崩れます。iTuneの場合、ブースト量はできれば+3dB、最大でも+6dB以下に制限する事をお薦めします。それ以上ブーストしたい場合は一番左の「プリアンプ」スライダを下げると良いでしょう(例: +9dBブーストしたいのであれば、プリアンプ スライダを-3~6dBにする)。僕の経験では、実用的にこれでまず問題を感じないと思いますが、心配な方は、例えば最大+9dBブーストするのであれば、プリアンプ スライダを-9dBにすると安心です。なお、プリアンプ スライダを下げると全体の音量が下がるので、アンプのボリュームを上げる必要があります。

Sound Blaster
Sound 0 Sound 6
Sound 12 Sound 24
左上から、0、+6、+12、+24dBです。このイコライザでは、フルスケール信号でも約+4dBまではブーストされるようです。内部処理(24bit)で4dB程度のヘッドルームを持たせているのではないかと考えられます。最大ボリュームでの再生音量が以前のDACよりも小さめなのはこのためかもしれません。また、+24dBまでブーストしても振幅は+4dB以上には増加せず、iTuneとは違って波形も殆ど崩れません。ブースト量はiTuneよりも+4dBの余裕があり、できれば+7dB以下、最大で+12dB程度まで実用的に問題をほとんど感じずに使えるでしょう。実際、Sound Blasterのグライコ画面では+12dB以上のレンジにシェードをかけています。スケールオーバーしても波形が殆ど崩れないため、一種のリミッタとしての機能も果たしてくれます(例えばフルスケールに近い「春の祭典」のドラムスのピークは+4dBまでしかブーストされず、レベルが低い他のパートの信号は最大で12dBまでブーストされる)。しかし、心配な方は、iTuneと同様に一番右の「レベル」スライダを適宜落とした方が安心でしょう。約4dBのヘッドルームがあるので、例えば+9dBブーストしたいのであればレベルスライダを5dB下げると安心です。
なお、上のテストではマスタボリュームが75%でした。しまったと思って100%でも計測してみましたが結果は変わらず、フルスケール信号で約+4dBのブーストが可能でした。FrieveAudioとは異なり、こいつのマスタボリュームはこのへんのデジタル処理に直接関連しない模様です(マスタボリュームで音量を絞ってもビット落ちしない?)。

さて、以上はデジタルイコライザでのオハナシでした。デジタルイコライザでは処理後の信号レベルがデジタル上のフルスケールによって完全に制限されるため、基本的に低音をブーストするとはすなわち高音を相対的に減衰させる事だと考える必要があります。従って16bitのソースを16bitのまま処理すると微小信号レベルの情報が失われてしまうため、24bit以上で内部処理する事が望ましいと思われます。

しかし、アナログイコライザの場合これは足枷になりません。下はベリンガのグライコによる結果です。
bering 0 beri 12
左が0dB、右が+12dBです。FFTの読みでほぼ額面通り(+11.5dB)のブースト効果が得られていました。グライコには入力/出力のレベルメータが付いていますが、Sound Blasterをフルボリュームしてフルスケール信号を入力しても出力CLIPの赤LEDは点灯しません(+6dBの黄LEDが点灯)。Sound Blasterのイコライザで少しブーストすると赤CLIPが点灯する事から、ほぼギリギリの状態にあると思われます。また、チビICアンプの入力レンジも十分にあるようです。このように、アナログイコライザを使用する場合、デジタルフルスケールの制限を受けないという利点が得られます。なお、デジタルの場合でも、DACの出力電圧レンジとアンプの入力電圧レンジをシステムトータルで最適化すれば、この問題を克服できるはずです。

次回は、ZAPとGAMAでブースト方式の実用最大音量レベルについて検討します。明日アップできるかどうか??
GAMA君の製作ですっかり年末の予定が狂い、昨日やっとベランダとトイレと自分の仕事部屋を掃除できました。ほっと一息です。結局大晦日に大阪に帰省する事になりました。今年も忙しかったなぁ。。。

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2012年11月19日 (月) | Edit |
アコースティック サスペンションについては今回が最終回です。

60~80代に多く見られた国産の密閉型ブックシェルフ タイプについて書こうかな。。と思っていたのですが、DIATONE以外は特性図が公表されていませんでした。という事で今回はDIATONEの30cm密閉型ブックシェルフのデータを基に考察を進めます。データは全て「オーディオの足跡」さんから拝借しました。各モデルの詳細はそちらを参照してください。

下はDIATONEの30cm密閉型であるDS-301 (1970年)と、DS-303 (1974年)の特性です。
ds-301(1)_20121119042840.jpg
ds-303(2)_20121119042838.jpg
ともに70Hzくらいからロールオフが始まり、40Hzで約10dB程度減衰しています。前の記事のAR-3aに比べると、随分控えめな特性である事がわかります。

DIATONEでは、これらのスピーカの形式を「アコースティック エア サスペンション」と呼んでいます。一般的に、吸音材による空気バネのダンピングを積極的に行わない通常の密閉型を「エア サスペンション」タイプと呼ぶようです。DIATONEはAR式の真正「アコースティック サスペンション」のような過激な事はせずに、折衷案的な方式を採用したという事でしょう。いかにも日本的アプローチであると思います。板厚がわからないので、外容積で比較すると、AR-3aの60L に対し、DS-301が66L、DS-303が73L と、DSシリーズはやや大きめ。国産他社の同クラスのスピーカも似たようなものだと思います。

カタログ上の能率は両機とも90dBとなっています。DIATONEに限らず、この頃の国産スピーカのカタログ値の能率は、判で押したように90dBと記載されています。上の特性を見ても、中域の特性を敢えて少し盛り上げる事によって、なんとかカタログ上の90dBを死守しようとしたのではないかと見えなくもありません。このように、低域をARのように極端に延ばさ(せ)なかった1つの理由は、能率を落としたくなかったからではないかと推測できます。能率「90dB」の死守は、マーケティング上非常に重要であったのかもしれません。

参考に、下は20cmウーハ搭載のアコースティック エア サスペンション型であるDS-15B (1979年)の特性です。
ds-15b(2).jpg
このモデルのカタログ値も90dBです。ここまで来ると露骨ですよね。如何に「90dB」の呪縛が強かったかが伺い知れます。雑誌やマニヤ達が例によってさしたる根拠もなく「90dB以下はスピカぢゃない!」という風潮を広めたのでしょうか?このようなイビツな傾向が助長されたとするならばそれは問題でしょう。

下は1985年発売の30cm密閉型DS-2000の特性です。
ds-2000(5).jpg
このモデルでは「密閉型」と呼んでいます。外容積は105L とさらに大きくなります(DS-303は73L)。低域のロールオフはあいかわらず70Hz程度から始まりますが、中域を盛り上げる事なくフラットに90dBを「死守」できていますね。

同年に発売された受注生産のDS-10000 Klavierが、DSシリーズにおける密閉型ブックシェルフの実質的な最終型かもしれません。硬派なイメージのDSシリーズも、このモデルになると「楽器のような暖かい音がする慈しみの心があるスピーカー・システムを目指し、ダイヤトーンの技術者たちが持てる全ての技術を投入し、持てる全ての感性を注ぎ入れて開発したスピーカーシステム。」となります。イヨイヨ出てきましたよ!!「楽器のような」「暖かい」「イツクシミノココロ」(なんじゃソレ?意味不明やん)そして御大「カンセー」様が!。。。出たな妖怪!ですよ。ホンマニ。。この頃からバブルが始まり(「癒し」はバブル崩壊後かな)、90年代に入るとDSシリーズでもバスレフ方式のブックシェルフ型が主流となります。また、特性データも掲載されなくなりました。魔境化のヂダイが到来したという事でしょうか???

と、DSシリーズについては以上です。

以下、アコースティック サスペンションに関する3つの記事を通しての考察です。

まず、アコースティック サスペンションという方式についての僕の率直な感想としては、「小容積密閉箱に吸音材をタップリぶち込んで共振を抑制した上で低域を信号ブーストするのと同じやん」という事です。前の記事にも書きましたが、密閉型である以上、ブーストしようが共振を利用しようが、最終的な出力レベルが同じであれば振動板振幅は全く同じです(密閉型の場合、振動板の運動がそのまま音として放射される)。振動板を敢えて重くしてf0と能率を下げるというのは、デジタル式であれアナログ式であれイコライザで高域を相対的に減衰させる(低域をブーストする)のと、結果としては等価です。

再三申しているように、今後オーディオ技術が正常に進化するのであれば、アンプ/DSPを内蔵したメカトロ スピーカが主流となるでしょう。そのようなシステムでは、ドライバに合わせたイコライジング特性をプログラミングする事により、簡単に密閉+ブースト方式を実現できます。しかもソフトウェア処理により、部屋の特性補正だけでなく、過大な振動板振幅を抑制したり、調波歪みを補正したりする事も極めて容易です。その程度の処理を行う電子回路は、今時極めて安価にできるはずです。

ちなみに、グライコを使ってAlpair 6M ZAPを63Hzバンドでちょいとブーストすれば、上記のDIATONE 30cmウーハ モデルと同等以上の特性が得られます。騒音計で計測してみたところ、僕の3x3mの部屋の中央付近において、ZAPは63Hz正弦波を極端に歪まさずに(THD(5th)で約2.5%)、音圧90dB(2本)を達成します。つまり、4.5畳程度の中央付近に座って適度な音量(最大80dBA程度)で音楽聴くならば、実用的にZAPブーストでも十分であろうかと思われます。このように、ユーザは、低音性能を犠牲にする事なく、自分のリスニング環境に見合った最小のスピーカサイズを選ぶ事ができます。これは、オヂオそのものを趣味とするのではなく、日常の生活空間の中で快適に音楽を楽しむという事において極めて重要です。

もう1点、思ったのは、80年代で既にスピーカの基礎技術は十分なレベルに達しているという事です。恐らく、あの時代のスピーカと現代のスピーカを比較しても、実用的クオリティは殆ど変わらず、単なるコノミの(ナンタラカンとか流行の)レベルの違いしか無いのではないでしょうか。音楽再生にまつわる根幹的技術において何も進歩していないという事です(グルグルしてるだけ)。もし、あの時点から魔境(バブル)に入らずにオーディオ技術が正常に進化の過程をたどったならば、現時点で既に、僕が上で書いたようなメカトロシステムに帰結しているはずです。

そのような技術的試みとして、YAMAHAが1989年頃に発売したAST-S1という画期的スピーカシステムが挙げられます。極めて小型(A4サイズ、16cmウーハ)でありながら28Hzまでの超低音再生を可能にしたとされます。このシステムは、アナログ式補正回路を組み込んだ交換式のカートリッジと専用アンプを使い、カートリッジを交換する事により他のモデルにも対応するという方式でした。ただ、専用アンプを必要とした事もあり、市場的には成功しなかった模様です。後のデジタル技術の進化を考えるならば、やや速すぎた技術と言えるかもしれません。僕が提唱するDSP内蔵メカトロ式は、このYAMAHAシステムの延長線上にあります。このような極めて真当な技術的アプローチが継続されなかった事は本当に惜しまれます。また、何故このように真っ当なアプローチが市場に受け入れられなかったのか?という事を考察する事も重要でしょう。

次回は、このYAMAHAシステムについて書いて見ようかな。。。と考えています。十分な情報が集まれば良いのですが。。。

追記
バブル期は一般的に'86~91とされています。この時期に世の中の様々な風潮が大きく変化したように思えます。音楽も一気にツマラナクなったように僕には思えます。ジャコの死(1987)をもって探求し進化し続けて来たジャズは終焉を迎えました(と僕は勝手に思っている)。もうギリギリ死にそうな血みどろの音楽ではなくなったと言う事。オシマイ。ツマラン。。。僕は85年に就職して直ぐに血みどろのプロジェクトに放り込まれ、それからバブルが終焉するまで一切世の中や音楽の変化を感じる余裕が無かったため、随分後になってからイロイロな面でその影響の大きさをヒシヒシと感じます。ジャコの悲惨な破滅を知ったのも、バブル後にプロジェクトが一段落してからでした。。。。本当にショックでした。

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2012年11月17日 (土) | Edit |
今回はAcoustic Rsearch社のAR-3aという有名なスピーカのデータを基に、アコースティック サスペンション方式について考察を加えたいと思います。このスピーカの詳細については、「オーディオの足跡」さん(コチラ)と「ステレオの産業史」さん(コチラ)を参考にさせて頂きました。どちらのサイトも非常にレベルが高く、貴重な情報を掲載しています。ご存じなかった方は是非ご覧ください。

AR社が開発したアコースティック サスペンション方式のスピーカは、コンパクトでありながら大型なみの低音再生を可能とした当時としては革新的なスピーカであったとされます。この方式は1954年に発表され、アンプの大出力化によって低能率スピーカでも十分な音量が確保できるようになった事と、ステレオ方式の普及に伴い小型スピーカへの要求が強まった事から、その後の「スピーカの主流を征した」(ステレオの産業史)と言われます。

当然これは日本の各社にも影響を与え、DIATONEのDSシリーズやYAMAHAのNSシリーズ等、密閉型ブックシェルフ タイプが1960年代~1980年代まで市場に多く出回っていたようです(90年代になるとDIATONE DSシリーズでもバスレフ型が多くなります)。

今回は「オーディオの足跡」さんに掲載されていたAR-3aの特性図をネタに、アコースティック サスペンション方式について考察を加えたいと思います。

ar-3a(1).jpg
AR-3a 1966年発売 (1959年発売のAR-3の改良型)
30cmウーハを使った3Way方式です。小容積密閉型では内圧変動が大きいため、エンクロージャは相当頑丈に作られている事が写真からも見て取れます。内部は吸音材で満たされ、ユニットの取付方法等、気密性にも十分に配慮されていたとの事。その後の密閉型ブックシェルフ タイプの基本形ですね。外寸は356x635x292mm、容積は約45Lであったとの情報があります。大径ウーハを採用しながら異常にコンパクトであると言えるでしょう。カラヤンがモニタとして常用したとか、あのマイルスもオウチで愛用していたと言われます(まぁ、メーカの宣伝文句ですが)。

M-Davis-AR-3a-1971[1]
広告に使われた写真。1966年と言えばマイルスの絶頂期ですね。
正確さとカラーレーションの無さから多くのプロ音楽家に選ばれた、と書いてあります。宣伝文句ではありますが、おそらく本当でしょう。こういうスピーカは音楽が聴きやすいと思います。

特性データは「オーディオの足跡」さんから拝借しました。下はウーハのF特です。
ar-3a(2).jpg
50Hzを下まわる周波数まで特性がフラットである事がわかります。30Hz/-6dBですから尋常ではありません。通常、普通のドライバを単純に密閉箱に入れただけでは、このようにフラットな特性は得られません。にわかには信じ難く、いろいろネットでサーチしたところ、ユーザが計測したデータでも、掛け値なしにこの特性が得られている事がわかりました。LCR回路で特性を調整(イコライジング)しているのかな?とも疑いましたが、そのような情報は何処にもありませんでした。一体どのようにすれば、チッコイ密閉型でこのような特性が得られるのでしょうか?

という事で、いつものようにシミュレーションによる解析を試みました。ドライバにはFOSTEX製30cmウーハFW305Nのデータを使いました。このシミュレーション ソフトは、TSパラメータから自動的にお薦めの箱容積を計算してくれます。まずはその結果から。
305 SLD 232L
容積は232Lと巨大ですが、低域特性はフラットにはならず、200Hzくらいから緩やかに減衰する事がわかります。巨大な容積のおかげで共振周波数(f0)は35Hzと非常に低くなっています。このユニット自体の共振周波数(fs)は25Hzです。

AR-3aと同じ45Lにしてみました。
305 55g
前記事と同様、黄色が吸音材「なし」、色付きが吸音材「多め」です。数L しかなかった前記事に比べて容積が大きいせいか、吸音材の影響は大きくありません。肝心のF特ですが、とても実際のAR-3aには及びません。普通はこんなもんです。容積が小さいため、f0は約70Hzまで上昇しています。

AR-3aのような特性を実現するには、f0をもっと下げる必要があります。ネットをサーチしたところ、f0は40数Hzくらいだという情報が見つかりました。このような小容積でf0を下げるには、まず振動板を重くする必要があります。コンプライアンスを大きくしてもf0は下がりますが、シミュレーションでは値を10倍にしてもf0は大して変化しませんでした。

そこで、f0が約45Hzになるように、等価振動系質量を元の55gから130gまで増やしてみました。注: 振動系を重くすると能率は低下するはずですが、このシミュレーションでは能率値(93dB)を独立したパラメータで設定しているため、その影響を見る事はできません。
305 130a
これで実機に非常に近い特性が得られました。繰り返しますが、振動系が重くなると実際には能率(出力)が落ちますので注意してください。吸音材を多く入れると、通常の密閉型と同様にロールオフ部の出力が若干低下する事がわかります。つまり、このように低域まで伸びた特性は、専ら異常に低いf0に起因するものであり、吸音材はそれには直接関与しない(どころか逆に抑制する)と言えます。

アコースティック サスペンション方式の元々の狙いは、低音の調波歪みを低減する事にあったと言われます。上の図には振動板振幅も表示しています(紫が吸音材「多め」、黄色が吸音材「なし」)。これを見ると、吸音材を増やす事によってロールオフ周波数以下の振幅(従って歪み)を抑えられる事がわかります(出力が低下するのだからアタリマエですけど)。吸音材を大量に投入する1つの狙いは、この点にあるのかもしれません。

振動系が重いと能率は落ちます。このためAR-3aの能率値は、当時としては極めて低い86dBであったという情報があります。このため、メーカは25W/ch以上のアンプを推奨していた模様です。非力な真空管シングルアンプには駆動しきれないでしょう。ちなみにAR社がAR-3aと同年に発売した半導体アンプの出力は60W/ch(4Ω)でした(コチラ)。アコースティック サスペンション方式は半導体アンプの高出力化があってこそ可能になった方法と言えるでしょう。

ざっと見たところ、国産同クラスの密閉型ブックシェルフは、いかにも日本製という感じで中庸を狙い、ARほど過激な設定にはなっていません。次回は、60~80年代の国産密閉型ブックシェルフ スピーカについて書いて見ようかなぁ。。と考えています。面白く纏まったらね。。。

追記
マニアの間では未だに能率が重視され、90dBを超える高能率型がやたら珍重されますよね。90dB以下はスピーカではない!なんて言う方も居られます。この傾向は海外でも同じらしく、マークさんも彼らは第1にSPLの向上を望むと言ってました(ちょっと困り気味に)。これは僕にはとても不思議に思えます。今時、アンプの出力は全く十分に得られるわけですから、音楽再生において極めて重要な低域出力をフラットに確保できるのであれば、多少の効率の低下なんぞトータルの音楽再生クオリティで考えれば、大して重要ではなかろうと思います。例えば、デジタルで低域信号をブーストする場合、高域信号を相対的に減衰させて、全体的に下がった音量レベルをアンプのボリュームで補います。これはつまりスピーカの能率が低下したのと同じ事です。スピーカにLCR回路を組み込んで高域を相対的に減衰させる方法でも同じです。

高能率型スピーカから低能率型スピーカに交換した場合、普段と同じアンプ ボリューム位置では音が小さくて頼りなく聞こえるため、あるいはアンプのボリュームを普段よりもタクサン回さないとなかなか望みの音量にならないため、感覚的になんだか元気がないように感じられるのではないでしょうか(マニアはよく音が前にトバナイいう表現を使う)。ボリューム位置対音量の関係を同じにして比較したならば、そのような印象はかなり軽減されるのではないかと思います。ブラインドテストを行う際、試聴者に自由に音量調整してもらう場合は、この点に気を付ける必要があろうかと思います。

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2012年11月15日 (木) | Edit |
一般的に、小容積密閉箱に吸音材をタップリと詰め込む方式は「アコースティック サスペンション」方式として知られます。この方式は、比較的小容積の密閉箱にf0の低い(つまり重くてサスペンションが柔らかい)ドライバを組み合わせて低い周波数までフラットな特性を確保する事を目的としています。この方式はAccoustic Research社により開発され、アンプ出力が十分に高くなりステレオ方式が普及しだした60年代に広まったそうです。あのマイルスやカラヤンも愛用したそうな。。。

我が国でも、前の記事で紹介したDIATONE DSシリーズをはじめとする多くのスピーカに採用されていたようです。僕も、昔はもっと密閉型スピーカが多く売られていたように記憶しています。YAMAHAのNSシリーズとか、VictorのSXシリーズとか、そうですよね。一般的に「アコースティック サスペンション型」と「密閉型」は明確に区別されておらず、同じDIATONEでも単に「密閉型」となっているモデルもあります(吸音材はタップリでもね)。まぁ、小型の密閉型は多かれ少なかれ「アコースティック サスペンション」タイプと考えても良かろうと思います。

どして今はバスレフ型ばかりなのか?僕には不思議に思えます。流行でしょうか??いつ頃姿を消したのでしょうか??ヒヨロンカがオンジョーとかナンチャラカンとか表層的オンシツ?にやたら拘り出し、デンセンで音が変わるとか言いだし、オカルト風潮(魔境化)が強まり、個性(オンガクセー??)の強い高額舶来品指向が強まった頃に一致するのでしょうか??それはバブルに浮かれた世の中の風潮の現れであったのでしょうか??業者はその方が儲かったという事でしょうか??何かウラでもあるのでしょうか??そのうち調べてみましょう。その頃の国産品はどれも凄く真面目に作られていて、真っ当な音がしそうなのに、今に引き継がれていないのはモッタイナイ気がします。コイツラが正常に進化(小型化、広帯域化、低価格化)していれば、オヂオ界も今の様相とは大分異なった事でしょう。

さて、LEANAUDIOも吸音材をタップリと充填した小容積密閉箱を使いますが、僕はこれをアコースティック サスペンション型だとは考えていません。元々のコンセプトが異なります。LEANAUDIOでは、低音増強に信号ブースト方式または100Hz以下のパワードウーハ方式を使うため、共振現象によるブースト効果は一切不要です。密閉型を使う限り、共振現象を利用しようが信号ブーストしようが、同じ音響出力を得るには同じ振動板振幅が必要です。であれば、トカクややこしい現象が生じる共振を抑えてしまえ!というのがソモソモの狙い。。。だと思います。。「と思います」というのは、全く聴感に頼ってチューニングしているうちに、約1年かかって吸音材タップリになってしまいました。。というのが実のトコロだからです。いつも理屈は後から。。。

Alpair 5を導入した当初は、Victor製パワードサブウーハを使って低音を補強していたのですが、Alpair 5をデジタルブーストした方がクオリティの高い低音が得られる事がわかったため、サブウーハを撤去して馬鹿ブースト方式に完全に移行しました。最初は吸音材を3面にはり付けただけでしたが、仕事しながら馬鹿ブーストで聴いていると時々低音(といっても限界の超低音ではない)がブオ気味(なんか緩い感じ)にズッコケル時があり、そのような現象を嫌って徐々に吸音材を増やしているうちに、約1年かかってとうとう満杯状態になりました。。。というのが経緯です。ケロもTONOも、聴いているウチにだんだん吸音材が増えて、結局今は満杯状態です。

という事で、今回は、LEANAUDIOでの吸音材の効果を例によってシミュレーションと実測で検証してみます。

いつものシミュレーションですが、このプログラムでは密閉箱の吸音材の量を設定できません。そこで、「バスレフ」モデルを選択し、ポート径を0.001mmに設定する事により、密閉型をシミュレートしました。このモデルで「吸音材なし」に設定した結果と、通常の「密閉」モデルを使った結果は、「完全に」と言ってよい程一致する事を確認済みです。

以下の図では、全て黄色が「吸音材なし」、色付きが「吸音材多め」です。

Alpair 5 2.5L密閉
A5.jpg
Alpair 6M 2.5L密閉
A6_20121115084733.jpg
Alpair 10 4L密閉
A10_20121115084732.jpg

このシミュレーションの吸音材「多め」というのが、どの程度の充填率に相当するのかは定かではありませんが、上の結果から、吸音材を増やすと共振(インピーダンス)ピークが緩やかになり、全体的に分布が低周波側へ移動する事がわかります。共振部では、小さい信号でも振幅が増えるため(つまりブーストされるため)、一般的な密閉型ではこれを利用してロールオフ周波数を低周波側へ延ばす事ができます。吸音材を増やすと、共振ピークが低くなり、共振領域が低周波側へ広がるため、ロールオフ開始領域の出力は低下しますが、減衰が緩やかになるため、非常に低い周波数では逆に出力が増加しています。また、位相の遅れ変化も減少している事がわかります(これは今回の新しい発見)。

次に実測結果です。

赤が吸音材なし、青が吸音材タップリです。全て2.5Lポチ箱での結果。
Alpair 6P
631_20121115091809.jpg
Alpair 6M
630_20121115091810.jpg
Alpair 5 (赤は吸音材を3面にはっただけの状態)
539_20121115092550.jpg
概ねシミュレーションに一致していると言えるでしょう。

このように狭い周波数領域で発生する鋭い共振現象のピークを抑えて広くなだらかに分布させる事により、一部の周波数で感じられた聴感上の違和感が薄まるのではないかと、僕は考えています。そのうち波形解析で確認してみましょう。

と。。。今日はココまで。。肝心のアコースティック サスペンション方式については、マイルスも使ったというAccoustic Research社の名機AR-3aのデータを基に考察を加えたいと思います。オッタノシミニ。。。

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2012年10月28日 (日) | Edit |
英語版用にデータを追加したり、見やすくまとめたりしたので、掲載しておきます。

1) Dynavox PPウーハとAlpair10の4L密閉箱での比較
このウーハにはスケールステッカーを貼る場所が無いので振幅は計測できませんでした。なので4L密閉箱同士の比較です。IconAMPもパッシブプリもボリューム全開で、40Hz信号のレベルを変化させています。

PP vs A10 18

PP vs A10 14

PP vs A10 10

PP vs A10 8

PP vs A10 6
DynavoxもDayton同様3次歪みが多いですね。

2) オープンエアでの結果をまとめました。
左上(i)が1/2Xmax、下の(iii)がXmax、(iV)がXmax超えです。
Alpair 6M
A6M  40 matome copy

Dayton
Dayton matome copy

Alpair 10
Alpair 10matome copy
DaytonはAlpairに比べると4次、5次歪みも顕著に発生していますね。これに対し、どちらのAlpairも、そのような高次の歪みは殆ど見られません。

これらは下限周波数での結果ですが、そのドライバの素性の善し悪しをモロに露わにしてくれます。つまり、磁気的限界(Xmax)以内のこのように優れた振動板の運動特性は主に機械的ロスの少なさ(サスペンションが振動板の動きを邪魔しないという事、機械的コンプライアンスの高さ)に由来するものと思われ、従って全域に影響するであろうという事です。F80からAlpair5に交換した時に、「音楽」の聞こえ方の明瞭さにおいて全く次元が違うぜ!と感じさせられたのは、恐らくこのように優れた基本的素性によるものと思われます。F80では、どうしても、どこかベールが掛かったような不明瞭さ(音楽の聴きたい部分が時々聞こえ難くくモドカシイ)を覚え、ツイータやスーパーツイータを追加したりしましたが改善されませんでした。要は、Alpair5は入力信号に対してちゃんと真面目に動いてくれたという事なのだと思います。きっとね。。。

これから英語の記事を書きます。ではでは。。。

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2012年10月25日 (木) | Edit |
振動板の振幅の増加に伴って3次の歪みが増加し、耳にも明らかに音が変化します。良質な低音再生には、振動板の運動がXmaxを超えない領域で3次歪みをできるだけ低く抑える事が重要だと思われます。

では、音の波形は何故あのように3次歪みによって尖るのでしょうか?

普通に考えれば、振動板の振幅が増加するにつれて機械的および磁気的な非線形性によって波形のピークが抑えられ、波形が丸くなるはずなのに?????と不思議にお思いの方もいらっしゃるかもしれません。僕も最初は不思議に思いました。

実は、マイクロフォン波形で観測される音圧波形は振動板の変位波形と同じではありません。音圧波形の通りに振動板が運動しているわけではないという事です。音圧は振動板の移動量ではなく移動速度に比例します。つまり、音圧波形は振動板の変位波形を微分した波形として観測されます。

今回はそのへんをMicrosoft Excelを使ってシミュレートしてみました。Excelはこのような思考実験に非常に便利です。ソコソコ複雑な多質点系の振動問題でも、Excelであればプログラムコードを書かずに簡単にモデル化でき、結果を様々なグラフで表示できます。開発業務では散々使い倒しましたが、こいつでゴネゴネやっているうちにアイデアが閃いたという事が何度もありました。

では計算結果です。

まずは歪みなしの状態です。
歪み無し
青が振動板の変位です。これを微分して求めた音圧波形が緑です。微分といっても難しくありません。1周期の時間を500個のセルに分割し、各セル間の差を求めれば微分値が得られます(要は引き算するだけ)。音圧は変位の速度(つまり青い線の傾き)に比例します。従って青い線(変位)がゼロ点を横切る時(傾きの絶対値が最大の時)に緑の線(音圧)は最大または最小となり、青い線が最大または最小の時(傾きがゼロの時)に緑の線はゼロを横切ります。

次に、青の変位波形に3次の成分を段階的に追加してみましょう。

3次=2.5%
3次2.5
2.5%の3次成分を加えました。グラフには3次成分を破線で示しています(ゼロ点付近でフラフラしている波形です)。2.5%とは、基本周波数の振幅を1とした時に、振幅が2.5/100の3次成分を追加したという事を意味します。3次成分の追加により、青の変位波形のピークが少し丸くなり、緑の音圧波形が尖って三角形に近付く事が分かります。ね。。こうやってマイクロフォン波形が尖るんですよ。これくらい尖ると、正弦波音とは明らかに違って聞こえます。

3次成分をもっと増やしてみましょう。
3次=7.5%
3次7.5
3次=15%
3次15
今までお見せしたマイクロフォン波形の挙動を良好に再現できています。変位が頭打ちになる事によって、変位に3次の歪みが生じ、その結果として音圧波形があのような形態で歪むという事です。
シミュレーションでは変位波形に人工的に3次成分を追加しましたが、実際の現象は逆ですので注意してください。実際には変位が磁気的および機械的な非線形性によって頭打ちになり、「その結果として」3次の歪みが生じます。

磁気的な非線形性については以前の記事で詳しく書きました。振動板の振幅が最大線形振幅Xmaxを超えれば、磁力による駆動力が頭打ちになるため、3次の歪みが生じるのは当然です。

しかし、Xmaxより小さい振幅で生じる3次の歪みは抑えられるはずです。これには機械的非線形性が強く影響するものと思われます。つまりサスペンション(エッジとスパイダ)が十分にシナヤカでないと、少し変位しただけで振動板を引き戻そうとする力が非線形に増加し、従って変位波形の頭が抑えられて丸くなり、結果として3次の歪みが増加する。。といった具合です。

実際、Daytonウーハの場合、Xmaxより十分に小さな振幅でも3次歪みが目立ちましたが、これもサスペンション系の機械的非線形性によるものではないかと考えています(シナヤカでは無いという事)。これに対し、Alpair10の3次歪みがXmaxに達するまで低く抑えられているのは、マークさんご自慢の超薄ダンパと非常に柔らかいエッジに負うところが大きいのではないでしょうか(非常にシナヤカだという事)。しかし、このようにシナヤカでソフトなサスペンションを使って振動板を傾けずに大きな振幅で運動させるのは極めて難しく、非常に高い組み立て精度が求められるため、今のところラインで量産するのが難しいのだと思われます。市販されているドライバをざっと見渡しても、Alpairというドライバは非常に特異であるように僕には思えます。

ついでに2次の歪みについても計算してみました。

2次=7.5%
2次7.5
2次の歪みは、振動板の前進方向と後退方向で何らかの条件が非対称である事により生じます。上図から、2次歪みが増えると音圧波形は右方に傾く事がわかります。これは、Alpair10の限界近くの大振幅時の傾向と良く一致しています。Alpair10では3次歪みが目立たないため、このように2次の影響を顕著に見る事ができます。

2次の歪みが生じる原因としては、磁気回路の形状(どう見ても対称ではないですよね)、エッジのバネ特性(ダンパは形状的に対称)、コーンの剛性(コーンを拡げる方向とすぼめる方向で剛性が異なる)、密閉箱の空気バネの特性(空気バネは非線形)等によって生じると思われます。これらは簡単には取り除けませんが、聴覚的に2次歪みは3次歪みほど深刻ではないように思えます。ちなみに素敵な音がする真空管シングルアンプでは2次歪みが顕著に表れます。そういえば、スピーカの2次歪みを軽減する方法として、以前に「プッシュプル方式」を試した事がありましたね(参考記事)。こんな事しなくてもDSPをうまく活用すれば2次歪みを大幅に削減できると思います。そのうち実験君してみましょう。

通常は2次と3次の歪みが同時に発生します。
2次=7.5%、3次=7.5%
2次3次7.5
図では、2次と3次を7.5%ずつ付加する事により、片方の振幅だけ激しく頭打ちした状態をシミュレートしてみました。このような場合、変位波形は左右対称であっても音圧波形は左右非対称になる事がわかります。

シミュレーションは以上です。

次に、以上の結果を検証するために、実測の音圧波形から変位波形を逆算してみました。変位波形を微分すると音圧波形になるわけですから、音圧波形を積分すると変位波形が求まります。

方法は簡単です。
僕が使っているハンディオシロはデータをテキストファイルとしてエクスポートできるため、これをExcelに取り込めば計算できます。積分といっても簡単で、微分とは逆に各時間のデータを単純に積算するだけです(要は足し算するだけ)。

Alpari 6M (2.5L密閉)の実測波形を使いました。縦軸は全てオートスケールなので、絶対振幅はデタラメです。
実測1
実測2
実測3
実測4
実測5
と、まぁ、こんな具合みたいです。コメントは不要ですね。

以上です。

これからマークさんにお約束した英語版の執筆(主にAlpair10対他社製比較)に入るので、暫く更新はお休み。その後、8cmクラスの評価をもう一度詳しくやってみます。今度はケロ君のAura3"も評価する予定です。オッタノシミニ!

追記
僕がこのようにデータを使ってオーディオにまつわる現象を解析すると、音楽はゲージツ(とやら)だから。。。人間のカンセー(とやら)は。。。音楽家のジョーカン(とやら)は。。。オンガクセー(とやら)は。。。データでは表せない。。。とかなんとか申してデータを極端に否定的に扱う傾向が顕著に見られます。あのね、僕はなにもオンガクセーたらナンチャラカンたらジョーカンたらを計測しようとしているのではアリマセン。僕は「音楽再生」において超ウルトラ級に基本的なのに放ったらかしにされている現象を問題にしておるのです。

僕に言わせれば、素人が仕事机の上でチョイト簡単にできる実験で露呈してしまうような超ウルトラ級基本的問題に真っ先に取り組まず、表層的/微視的なナンチャラカンばかりを追い求め、その結果ホンマに必要なのか???と思われるような高額な装置が「オンシツ?」が良いと喧伝されている現状には全く納得が行きません。

再三申しているように、僕は「データが良ければ音は良い」というアプローチをとっていません。計測は全て後追いの確認のために行っています。例えば、LEANAUDIOの初期の頃、世の中は殆どバスレフ型なので、僕も当然としてバスレフ型から着手しましたが、どうしても気色悪く聞こえて最終的に受け入れる事ができませんでした。そのため現象を解析した結果、特定周波数に付帯音が現れ、過渡挙動が乱れる事をデータで確認できました。

例えば、僕はVictor製のパワードサブウーハよりもAlpair5をブーストした低音の方が質が高く聞こえ、このため振動板がもっと軽量な普通のウーハとしてPPコーン製の13cmウーハを試しました。しかし、やはり違和感はぬぐえず、自然と使わなくなりました(自然と手が伸びないというのが重要)。次に、振動板の材質を揃えた方が良いのでないかと考え、Dayton製のメタルコーン ウーハを試しましたが、結局A6Mのブーストを超える事はできず、やはり自然と全く使わなくなりました。最後に、Alpair10を思い切って導入する事により、やっと満足のできるクオリティの低音が得られ、常用するようになりました。今回のデータは、このような経緯を後追いで如実に裏付けていると言えるでしょう。

今までの僕の経験に照らし合わせれば、これも再三申しているように、耳に届く音波波形がソース波形に「ソコソコ概ね」近付けば、確実に音は自然になり(違和感を覚える事がなくなり、つまりヘンテコリンな現象がなくなり)、「音楽」の全体と細部を楽に聴きやすくなります。「音楽」(音楽家の表現行為の結果)をより良くより素直に受け止めようとするならば、表層的/微視的/瑣末的/付帯的/主観的/嗜好的/趣味的な「オンシツ」や「リンジョーカン」や「ナンチャラカン」をツイキューとやらする以前に、超ウルトラ級に基本的な「音楽再生クオリティ」をしっかりと整える事の方が遙かに重要です。この点が疎かにされては絶対になりません。でないと、いつまでたっても無限グルグル魔境を脱する事はできぬでしょう。

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2012年10月23日 (火) | Edit |
今回は密閉箱でのテスト結果を簡単にご紹介します。

Arrestorの作動を確認するために、最初は密閉箱に取り付けた状態で試験を行ったのですが、密閉箱ではArrestorの作動を明確には確認できなかったため、オープンエア状態での試験を行ったというのが、そもそもの経緯です。

密閉箱では内圧が働くため、オープン状態とは挙動が少し異なります。

Alpair6でボリュームを同じにして比べてみました。
A6M Open 2-3 A6M Sealed 2-3
IconAMP全開で、パッシブプリが約2/3の位置です。左がオープン右が密閉(2.5L)。密閉では内圧が働くので、同じ入力であれば少し振幅が下がって歪みが減少するように見えますが、波形のパターンが大きく変わるという事はなさそうです。

さて、限界ブリブリ試験の結果です。

まずはAlpair 6M
下はオープンでArrestorにヒットした時の波形です。
A6M Arrestor copy
Alpair 6MのArrestorは振動板振幅がコイル長を大きく超えないとヒットしません。もう少し浅くしても良いかもしれません。

下は密閉箱(2.5L)でArrestorにヒットしたと思われる波形です。
MM 0dB 40Hz
赤がArrestorあり、青がなしです。40Hz/0dB信号、IconAMP全開、パッシブプリも全開!(つまり僕のシステムの完全フルパワー条件)でやっとヒットしたみたいです。完全に3次の波形になっています。超ブリブリ!いゃぁぁぁ。。。怖かったです。。が、別に壊れたりはしませんでした。。。今も元気に鳴っています。

下は同じくフルパワー状態でのAlpair10の波形です。密閉箱の容積は4L。
Arresto 4_4
さすがのAlpair10も超ブリブリです。赤がArrestorあり、青がなし。Arrestorがヒットしたようには見えませんねぇ。。。。

下は、限界よりもボリュームを上げた時のAlpair 10の波形の変化を示しています。
A10 7_8
信号は全て40Hz/0dB、IconAMPは全開です。
青がパッシブプリが約3時の状態。オープンでは、この状態からボリュームを少し上げるとArrestorにヒットします。しかし密閉箱では、ここからボリュームを上げると波形が一気に崩れて緑の状態になり、フルボリュームで赤の状態になりますが、赤の状態でもArrestorにヒットしているようには見えません。

ついでに他の13cmウーハと同じボリュームで比べたデータも。。。
13cm woofer 3_4
13cm woofer 4_4
説明は不要ですね。

今回のデータは以上です。

40Hzのフル信号を入力してフルパワー(24W)をかけると、波形は殆ど3次成分だけになりますが、ドライバはへっちゃらでした。40Hz信号程度では、コイルが勢い余って過剰に飛び出す事は無いようです。ブリバリっと破壊するには、とんでもない信号レベルをステップ状に印加してコイルを一気に加速する必要がありそうです。僕が壊した時は、アンプのボリューム位置から考えてスピーカへの入力は100Wを大きく超えており(100Wステレオアンプをブリッジモードで使っていた)、その状態でアンプの入力信号ラインをブチッと抜いたので、凄まじいステップ信号が発生したのでしょう。もし壊れたら完全にユーザーの責任ですね。

お気づきだと思いますが、Alpair 10の歪み方は、今回テストした他のドライバとは大きく異なります。
他のドライバでは三次歪みの増加に伴って、
正弦波が尖り始める → 三角形 → 中腹が痩せ始める → 中腹が凹む → 波形が3山になる(ブリブリ)
といったパターンを見せますが、Alpair 10だけは完全に破綻するまで3次歪みはあまり顕著ではなく、全く突然に波形が崩れます。一体何が他と違うのでしょうか???不思議です。

他のドライバでは、振幅が大きくなるにつれて3次歪みが顕著に増加します。3次歪みは耳障りですので、できるだけ抑えたいところです。Daytonウーハのように、線形限界(Xmax)よりも随分小さな振幅であのように3次成分が多くて波形が三角では困りますよね。普通のウーハーってあの程度なのでしょうか???

そこで次回は、なんで3次歪みが増加するのか?ナニユエ波形は三角になるのか?ドーシテ波形は尖りだすのか?を簡単なシミュレーションを使って解明します。なかなかオモシロイですよ。オッタノシミニ!

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2012年10月20日 (土) | Edit |
お待たせしました。

今回は振動板の振幅と波形の計測結果をお見せします。

なお当ブログを今回初めて読まれる方は、1つ前の記事を必ず先にお読みください。でないとチンプンカンプンかもしれません。

写真は振幅を計測するための実験君セットアップです。あいかわらず超雑。お仕事の休憩中にチョコチョコっとやるだけですから。。。
test config
iPadのカメラなので写りは最悪ですがご容赦くださいませ。写真のドライバは、マークさんが送ってくださった保護機構(Arrestor)付きの改良型Alpair 10シルバーです。Arrestorとは、早い話が機械的に振幅を制限する(底打ちさせる)シリコン製のストッパです。僕が以前ブリバリっとA10を一台破壊したのを知って送ってくださいました。。。。あれは全く当方のアホなミスで壊れたのですが、他にもブリっとやってしまった方もいらっしゃるようで、ユーザ思いのマークさんは早速この保護機構を採用されたようです。

今回の一連の試験はArrestorの評価も兼ねています。評価の結果、A10のArrestorは丁度良く作動している事を確認できました。今後のロットに順次投入されるのではないでしょうか。ただし、前進側には何のリミッタもありませんので過信はなりませぬよ。1台ずつ大切に組み上げられたドライバです。正しく使いましょう。。。と言える立場ではないですが。。

上の写真でご覧の通り、ドライバを箱に取り付けないオープンエア状態で評価しました。使うのはカメラ、照明、マイクロフォンです。

<計測方法>
ボビンに2mmおきのスケールと三角マークを印刷した紙を貼り付けます。
ラベル1 copy
まず静止状態で撮影し、PhotoShopでスケールの画像からピクセルあたりの長さを計算しておきます。次に正弦波信号をドライバに入力して振動板を上下させてシャッター速度1秒で撮影します。当然画像はブレますが、上死点と下死点では一瞬運動が停止するため、三角マークの残像?が比較的はっきりと写ります。それらの位置をPhotoShop上の座標で読み取って、実際の移動量に換算するという算段。。。。
アーーーーーメンドクサ。。。
でもね。。途中からそんな面倒臭い事しなくても良い事がわかりました。なんと運動中のスケールを目で簡単に読み取れるのですよ。2mm、4mm、6mm...の振幅では、2mmおきのスケールの線が重なってハッキリと見えます。慣れてくると目分量で奇数mmの振幅にも調整できました。楽勝じゃん! カメラは不要ですね。。。今度やる時は1mmおきに長短のスケールを印刷した紙を貼り付けようと思います。。

それでは結果をご覧ください。

1. Alpair 6M 40Hz
Alpai6M 40Hz copy
上の写真はブリブリが始まる直前の状態です。これ以上振幅を上げると、波形の中腹の平らな所が凹み始めて、1周期3山の波形(ハチマル用語の「ブリブリ」)になります。で、このブリブリ一歩手前の状態の写真から読み取った振幅は4.3+4.1=8.4mmでした。つまりA6Mのコイル長=7.2mmを既に超えています。ただし、コイルはまだ完全にギャップの外に飛び出していません(11.2mmを超えると完全に飛び出す)。
ふーーーん。こういう状態だったんだぁ。。。よくわかりました。実験てオモシロイですね。

では振幅の小さい方から見て行きます。
A6M 40 2mm A6M  40 3mm
図中の振幅の値は両振幅(pp)です。A6Mの最大線形片振幅Xmax=1.6mm (両振幅で3.2mm(pp))ですから、右側の3mm(pp)がほぼ線形限界状態に相当します。3次高調波の増加にともなって波形が少し尖り始めています。

A6M  40 4mmA6M  40 6mm
Xmaxを超えて4mm(pp)になると3次高調波成分は2次よりも高くなり、波形は三角形になります。聴感上3次高調波は耳触りです。右側の6mm(pp)はまだコイル長(7.2mm)以内の振幅ですが、波形は大きく変形しています。良質なトーンを得るにはやはりXmax=1.6mm (3.2mm(pp))あたりを正味の限界と考えた方が良さそうですね。

大した事ないように思われるかもしれませんが、次のDaytonウーハの結果をご覧になれば、Xmaxまでまともに振動板を運動させる事がそう簡単ではない事をお分かりいただけると思います。また、50Hz以下の超低域で大信号が入るのはバスドラくらいなので、そのような音ではブリらない限りあまり気になりません。経験上、40Hz/-6dB信号で6mm(pp)程度振動しても実用上は許容範囲であろうかと思われます。

2. Dayton Woofer 40Hz
次にDaytonの13cmアルミコーンウーハ(DA135-8)の結果です。このドライバのコイル長は12mm、ギャップ高は6mm、Xmaxは3mm(片振幅)です。これは一般的に売られている13cmクラスウーハの標準的スペックです。
Dayton 40 3mmDayton 40 4mm
なんだか最初から2次よりも3次が高くて三角形気味です。Xpp=4mmで既に殆ど三角に見えます。

Dayton 40 6mmDayton 40 8mm
Xmaxに相当する6mm(pp)では既に相当歪んでいます。実力的には4mm(pp)程度が限界という感じでしょうか。Xmaxが約半分のAlpair 6Mと大して変わりません。以前の聴感評価では、A6M 2本とDayton 1本がほぼ同等の限界性能でしたし、音質的にはA6Mの方が良好に聞こえましたから、まぁ、こんなもんだと思います。磁気回路の寸法から単純に計算したXmaxだけでは、実力の程は分からないと言えましょう。2つ前の記事に載せたDyanavox製LW5002PPR-S 13cm PPコーンウーハの歪み具合もDAYTONウーハと似たようなものでしたから、このあたりが平凡な13cmウーハの実力と考えて良さそうです。

3. Alpair 10 40Hz
Alpai10 40Hz copy
これは、限界ギリギリの大振幅状態です。これ以上振幅を上げると、例のArrestorにヒットします。薄いブルーの波形がArrestorに接触した時の波形です。この時の写真から読み取った両振幅は7.4+6.3=13.7mmです。A10のコイル長=16mmと最大線形片振幅Xmax=5.5mm (両振幅で11mm)のほぼ中間ですから、Arrestorが効き始める位置としては丁度良いのではないでしょうか。

Alpair 10 40 4mmAlpair 10 40 8mm
右側のXpp=8mmをDaytonの8mmと比べれば、Alpair 10の優位性は一目瞭然です。

Alpair 10 40 10mmAlpair 10 40 12mm
Xmax=5.5mm (両振幅で11mm)に近付くと、さすがに2次成分が目立ってきます。しかし3次成分が2次成分より低いままなので、さほど耳障りではありません。また波形は右方に傾き始めますが、大きく破綻せずにXmax超えの12mm(pp)を経て最終的に上のXpp=約14mmでArrestorにヒットします。僕の常用音量では明らかに過剰性能です。なんだか凄いですね。20kHzまで極めてフラットな特性を持つフルレンジドライバなのに。。。

このようなサイズの振動板を、10mmを超える振幅で、どこにも接触させずに正常に往復させるのは並大抵の事ではないでしょう。ほとんどアクロバティックです。。。これは、ご自慢の超薄スパイダーと非常にソフトなエッジ、それと、ラインに流さず1個ずつ日本人技術者がラボで組み上げるという高い組み立て精度のなせる技と言えます(量産型のCHRはラインに流している。Alpairはガンダムですか?)。先日、「これじゃあ儲からないでしょう?」とお伺いしたとろこ「いゃもう、パッション(情熱)だけでやってるから。。」との事。正に「事」に「仕える」といった感のあるマークさんでした。ナカジマさん、大変ですねぇ。。。Alpairとマークさん、尋常ではないと思います。僕としてはCHRがOEMで大量に売れる事を切に願います。

なお、このように良好な大振幅特性は、元々ブーストを想定したものではなく、常用域のリニアリティとコンプライアンスを徹底的に追究した結果であると思われます。それが僕のブーストコンセプトにたまたま適していたという事でしょう。もしAlpair5を使っていなかったら、このコンセプトには多分辿り付かなかったと思います。だいたい、サブウーハの100Hz以下の低音よりも小さなA5をブーストした低音の方がクオリティが高く聞こえたわけですから。たぶんサブウーハの高調波歪みが高かったのだと思います。平凡なドライバをブーストしても、そらアカンでしょう。。。。F80(多分Xmaxは0.5mm程度)を使っていた頃も、絶対にブーストを試したはずなのですが、記憶に残っていないところを見ると、ちょっとやってみて直ぐに止めたのではないかと思います。

このような実験を重ねるたびに、Alpairというドライバはつくづく特別であるように僕には感じられます。高域性能に注目が集まり気味ですが、Alpairの真価は音楽再生の土台たるべき低音再生クオリティにあると言って良いでしょう。つまり、このような大振幅での優れた特性があればこそ常用振幅域で高いクオリティが得られるという事です。これは、表層的なオンシツを徒に追い求めた小手先の手業ではなく、モノゴトの根本/本質を見据えた真に真当/真正直な技術的アプローチであると言え、そこにこそAlpairのヒミツがあると言えます。このようなアプローチを取らない限り真の「良い」結果(音)には辿り付きません(手業で表層的な面ばかりを追い求めたのではグルグル回るだけなのです)。技術開発とはこうでないとイケマセン。。技術屋としての僕のマークさんに対する尊敬の念はますます高まりました。

次回は密閉箱でArrestorの効果を確認するために行った超ブリブリ限界再生の結果をお見せする予定です。いやぁ。。最初はビクビクもんでしたが、スピーカってそう簡単には壊れないものですねぇ。。。

追記
マークさんに、こんな企業秘密的な情報を公開しても良いのですか?と確認したところ、むしろ積極的に公開を望まれておりました。何でも書け、全部書け。と。。英語版ブログへの掲載もお約束しました。向こうのフォーラムでも驚くほどオープンに情報を公開しておられます。

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2012年10月19日 (金) | Edit |
シリーズ2回目の今回は、Xmaxとはナニなのか? について書きます。計測データは次回の記事に掲載します。スミマセン。。。

下はドライバの断面図です。
Xmax 1
赤丸の部分を拡大したのが下図です。
Xmax2.jpg
この図には2つの重要な寸法を記載しています。1つはコイルの長さ(当ブログでは「Hc」とする)、もう1つはギャップを形成するワッシャの厚さ=ギャップ高(当ブログでは「Hg」とする)です。

下図は、ギャップに対するコイルの位置関係と、各状態で発生する力の大きさを示しています。
Xmax1.jpg
A: コイルの上端がギャップの下端に一致(コイルがギャップから完全に出てしまった状態)
B: コイルの上端がギャップの中心に一致
C: コイルの上端がギャップの上端に一致
D: コイルの下端がギャップの下端に一致
E: コイルの下端がギャップの中心に一致
F: コイルの下端がギャップの上端に一致(コイルがギャップから完全に出てしまった状態)

C~Dの範囲では、ギャップの全幅にコイルが存在するため、一定の入力から得られる力は一定です(線形領域)。コイルの運動がこの領域内に収まっていれば、概ね理想的やね?と言える領域です。ただし、実際にはギャップの外側のコイルもある程度の範囲で影響するため、実際に発生する力は細線で示したような形状になるはずです。

さて、Xmaxの値ですが、全く公表していないメーカもありますし、公表していても定義が異なる場合もあるため、なかなか厄介です。いろいろ調べてみましたが、上記の線形可動範囲の1/2(片振幅)をXmaxとする場合が多いようです。つまり、中心からCまたはDまでの距離をXmaxとするという事です。仕様表に「Maximum Linear Excursion」と書かれていれば、まずこの定義に従うと考えて良いと思います。片振幅で示される場合が多いのですが、両振幅(pp)で表記しているメーカーもあるので注意が必要です。コイル長とギャップ高の値が記載されている製品もあり、そのような場合はXmaxを簡単に計算できます。

以降、当ブログでXmaxという言う場合は、この定義に従い、「最大線形片振幅」と呼ぶ事にします。
Xmaxは下式により求まります。

Xmax = [コイル長(Hc) - ギャップ高(Hg)]/2

Mark Audioが公表しているXmax値は、この定義には従わず、概ねコイル長の半分(Hc/2)に一致します。上図で言えば、中心からBまたはEまでの距離に相当します。ちなみにB~Eの距離はコイル長に一致します。つまり、Mark Audioでは、コイルの端がギャップの中心に達するまでを有効可動範囲と考えているという事です。従って、上記の標準的なXmax値よりも1/2Hg大きな値となります。

例えば、Alpair 6M のコイル長は7.2mm、ギャップ高は4mmです(マークさんが教えてくれた)。これに従うと、最大線形片振幅 Xmax = 1.6mm となります。これに対しMarkAudioが公表しているXmax値は3.4mmです。随分大きいですね。なぜMarkAudioがこのような定義のXmax値を使うのか?は分からないでもありません。機械的運動性能に優れるMarkAudioドライバはXmax内で掛け値無しに動いてくれるのですが、そのへんの設計がエーカゲンなドライバでは、Xmax内でもかなり歪むようです。つまり、そのようなドライバの実質的なXmaxは公称値よりもずっと低いという事です。そのへんのデータは次回の記事でお見せします。

Alpair 6MのXmax = 1.6mmという値は、TangBand等のトラディッショナルな3"ドライバ(Xmax = 0.5~1mm)に比べると大きいですが、最新のかなりアグレッシブな設計の小径フルレンジ ドライバの中には同等以上のXmax値を持つ物もあります。例えばVifa NE95W-04のXmaxは1.75mmですからA6Mとほぼ同等です。

Alpair 10のコイル長は16mm、ギャップ高は5mmです。これに従うと、最大線形片振幅 Xmax = 5.5mmとなります(MarkAudio公表値は7.5mm)。市販されている13cmウーハのXmax値を調べてみましたが、僕が調べた範囲では最大で4mm、平均的には3mm前後でした。Xmax = 5.5mmというのは、同等サイズのウーハに比べて非常に大きな値です。しかも、Alpair10は、この線形範囲内で掛け値無しにガシガシ動いてくれます。凄まじいと言えるかもしれません。これについても次回または次々回の記事でデータお見せします。

実験君は振動板の振幅を簡単に計測する事ができました。次回は、振動板振幅と再生波形を照らし合わせながら、Xmaxがどのように波形に影響するのかを、お見せする予定です。オッタノシミニ!

追記
なお、Alpari 6Pのコイル長は6Mに比べて随分短く、低音ブーストのような使い方には適さないと、マークさんがおっしゃっていました。従って、6Pは今回の検討対象から除外します。ちなみに、TONO君に6Pを使っていますが、部屋がブーストしてくれるので、イコライザの63Hzバンドは-12dBです。つまり振幅をブーストするのではなく12dBも減衰させているという事です。従って低音苦手コンビである6P+TU-870でも特に問題を感じません。信号ブーストを必要としない「お部屋でブースト」は、ある意味理想的かもしれません。いやマジで理想的かも。よく考えてみましょう。。

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2012年10月16日 (火) | Edit |
密閉型ブースト方式についてシリーズで詳しく書く予定です。

今回は手始めにドライバの選択基準について。

ドライバを選択する際は、最大許容振幅(Xmax)とドライバの気密性(エア漏れしない事)が重要な選択基準となります。

1: 最大許容振幅(Xmax)
密閉型ブースト方式の欠点は、バスレフ型に比べて大幅に振動板振幅が増加する点にあります。従って限界振幅(Xmax)の大きなドライバを選択する事が重要です。今回は僕が愛用するマークオーディオ製Alpairドライバと他社製ドライバの低音再生波形の比較結果をお見せします。

8cmクラス ドライバの比較
Alpair6M、6P、5と、お馴染みFOSTEX製FE-87を比較しました。FE-87の振動板面積はAlpair5とほぼ同じです。Alpair6の振動板面積は少し大きめです。

まずはお馴染みのF特です。クリックで拡大してご覧ください。
8cm Ftoku copy
4Lの密閉箱(吸音材たっぷり)で計測しました。青がA6P、赤がA6M、黒がA5、緑がFE87です。200~500Hzの出力レベルがほぼ同じになるようにして重ね書きしています(FrieveAudioを使った計測では絶対レベルは不明です)。

50Hz/-6dB正弦波信号の再生波形を比較しました。
アンプはIconAMP、ボリュームは最大です。信号はブーストしていません。
各波形の振幅がほぼ同じになるように、パッシブプリのボリュームを微調整しています。
パッシブプリ: 約1/2ポジション (僕の普段のリスニングではこの音量を超える事は絶対にない)
50HZ MID copy
FE87(緑)は既にブリブリです。最も良好なのはA6M(赤)ですが、小さなA5(黒)が健闘しています。A6PはA6Mに比べると明らかに歪みが大きいですね。マークさんによると、MとPで磁気回路の設計が異なるそうです。振動板の剛性も関係しているかもしれません。

パッシブプリ: 約3/4ポジション
50HZ BIG copy
さすがのA6M(赤)も波形は尖ってきますが、他の3つに比べると明らかに優位です。

13cmクラス ドライバの比較
次に、Alpair 10フルレンジと2つの13cmウーハ(Dyanavox製LW5002PPR-S(PPコーン)とDayton製DA135-8(メタルコーン)を比較しました。

F特です。
13cm woofer Ftoku
青がA10、緑がDynabox(PP)、赤がDayton(メタル)です。Daytonのセンターキャップは気密性が無かったため、木工ボンドでコーティングしてエア漏れしないように改造しています(参考記事)。このグラフも上と同様に200~500Hzでレベルを合わせて重ね書きしています。

40Hz/0dB正弦波信号の再生波形を比較しました。8cmクラスの50Hz/-6dB信号よりもずっと厳しい条件です。IconAMPのボリュームは最大です。信号ブーストはしていません。
パッシブプリはは3/4ポジションです。さすがに、ちょっと恐ろしくて、各波形の振幅を揃えているる余裕はありませんでした。僕の普段の再生音量に比べるととんでもない大音量条件です。
13cm woofer 3_4
A10の波形(青)は他に比べて明らかに良好です。これで振幅を揃えるとA10の優位性はさらに際立つでしょう。ウーハーとして売られているドライバよりもフルレンジのA10の方が低周波の再生能力が高いというのも驚きです。

今回比較した中では、マークオーディオ製Alpairドライバの低音再生限界が高い事がわかります。これは最大許容振幅(Xmax)が一般的な他社製ドライバに比べると非常に大きく設計されているためです。Xmaxに関しては、次回の記事で詳しく書きたいと思います。なかなかオモシロイ実験結果もお見せできると思いますのでオタノシミに。

2.ドライバの気密性
密閉型ではスピーカシステムの気密性が非常に重要です。箱はもちろんの事、ドライバ自体にも気密性が必要です。このため、フェイズプラグ付きやコアキシャルタイプは適しません。このようなタイプのドライバでは、下図のようにギャップからエアが漏れてしまいます。エアが漏れると気流ノイズが発生するだけでなく、低周波領域の出力も明らかに低下します。
スピーカー断面 copy
従って、Alpairのように気密性のあるセンターキャップ型または、Auraのような逆ドーム型を選ぶ必要があります。また、上のDaytonウーハのようにセンターキャップに気密性のない素材(布等)を使っている場合もNGです。

フェイズプラグ型の大御所といえばB&Wですが、彼らもこのエア漏れ問題を認識しており、最近発売したPM1のウーハにはフェイズプラグを採用していません(参考記事: B&Wも言っているフェイズプラグの問題点)。その理由として、トールボーイ型のミッドバスとして使う場合はフェイズプラグ付きで問題ないが、小型モデルのウーハとして使う場合にはフェイズプラグ付きでは気流音が生じるため適さないと堂々と述べています。CM1とかドースンノヨ?

また、大概のドライバのフランジの気密性はあまり良好ではありません。バスレフ型ではさして問題にならないでしょうが、小容積の密閉型ブースト方式では箱への取付に細心の注意を払う必要があります。パッキンを自作したり、シール剤を併用するのも効果的です。A10のフランジ面にはビード付きのラバーパッキンが貼られているので、大概は問題無く取り付ける事ができますが、A6の場合、付属のパッキンだけではエア漏れしてしまった事が何度かあります。プラ製フランジなので、あまり強く締め付けるわけにも行きません。なので僕はエアコン配管の穴塞ぎ用パテを併用しています。

ドライバを箱に組み付けたら、必ず50Hz程度の正弦波をある程度大きめの音量で再生して音と再生波形を確認するようにしています。エア漏れがあると波形は歪んでいないのに変な音がするのですぐに分かります(慣れるまで分かりにくいかも。。。僕も最初はそういう音なのだと思っていた)。漏れていそうな箇所に手を近付けると、微かに風を感じる事もあります。エア漏れチェックは非常に重要です。ゆめゆめ疎かにしてはなりませぬぞ。。。

次回はXmaxについて、興味深い実験データをお見せする予定です。ではでは。。。

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2012年06月11日 (月) | Edit |
今回の本題に入る前に、とっても重要な事なので、もう一度シツコク繰り返します。イコライザ(equalizer)とは、読んで字のごとく、何らかの物理特性を「均一化」(フラット化)するための装置または機能です。ですから、計測しながらの設定が絶対的大前提である事をくれぐれも理解してください(自動補正ならOK)。我々は制作者ではなく、あくまでも鑑賞者であるという立場をヨクヨクわきまえないと、結局はイヂクリマーシーノのオヂオイヂリと同じ事になってしまい、富士の樹海を確実に彷徨う事になります。簡単にいくらでも変更でき、変更すると音もはっきりと変わるため、ある意味非常に危険な装置でもあり、使いようによっては簡単に「悪者」にもなってしまうでしょう。鑑賞者としての分をわきまえ、フラットにしたらその状態を基準として素直に受け入れ、なんか遊びたければデンセンなりインシュレータなりシンクーカンなりなんなりで遊べばヨロシかと思います。

さて、今回の本題の方ですが、これはLEANAUDIO初期の頃からのテーゼです。相変わらずシツコイですが今一度よーく考えてみてください。ハチマルには、今のオヂオの不思議フシギ摩訶不思議な状況を象徴しているように思えて仕方ありません。

それでは本題に入ります。
低域のブーストとは、低周波領域で減衰したスピーカのレスポンスを、特定の周波数まで「均一化」(フラット化)する事を指します。つまりイコライジングの適用範囲を、スピーカのロールオフ周波数よりも低い周波数領域まで延ばしたに過ぎません。すなわち、ハチマルの言うブーストとは、イコライジングの延長に他ならないという事です。別に低音を「強調」して「ズンドコ」にするわけではなく、本来聞こえるべき状態に修正するという事ですから、そのへんの勘違いなきよう、くれぐれもご注意ください。

問題のバスレフですが、現在、オーディオ用スピーカとして、大型から小型まで、高級品から普及品まで、すっかり主流となってしまっているバスレフ方式は、箱内部の空気とドライバの共振現象を利用して、特定周波数領域のレスポンスをブーストします。通常は、密閉型のロールオフよりも低い周波数までレスポンスを「均一に」(フラットに)延ばす事を目的に調整されています。つまり、これも一種の非電気的イコライザであると言えます。そして、電気的イコライザと同様に、音質にある程度のネガティブな影響を与えます。

そこで、「ほんならドッチの方が得ヤネン?????」と考えるのが普通です。。ですよね?考えない方がフシギです。

ハチマルの今までの実測とシミュレーションによる経験では、同一容積の密閉型と比べた場合のバスレフ型のブースト効果は、本当に最小限の吸音材を入れた状態で、最大でも8dB程度です。付帯音を嫌って吸音材を少し増やすと6dB程度まで効果は減少します。バスレフ型の場合、共鳴点から下は急激に位相が変化してレスポンスが減衰する(共鳴点以下の音はかなりデタラメ)のに対し、密閉型は位相もレスポンスもなだらかに変化するため、バスレフの効果が最大8dBあったとしても、密閉型では6dBもブーストすれば、バスレフ型と同等かそれ以上の良質な低音が得られます。

そのへんを実例でお見せします。
ZAP Alpair 6M/2.5L密閉をベリンガのグラフィックイコライザでブーストしてみました。
A6 eq
黒がブーストなし。赤が、一番下のバンド(63Hz)を+6dBした結果です。綺麗に+6dBの効果が出て、100Hz以下がフラットに伸びています。

シミュレーションでバスレフと密閉を比較してみました。容積は2.5Lです。
A6 eq simu
白が密閉です。吸音材はバスレフ効果が最も強く出る「なし」で計算しています。同調周波数(63Hz)におけるバスレフの効果はせいぜい7dBくらい。この程度のブースト効果であれば、密閉型+イコライザで簡単に出せてしまう事がおわかり頂けたかと思います。しかも、密閉型をブーストした方が、同調点以下の減衰がなだらかであるため、低音の量感と重みは明らかに密閉型ブーストの方が優れ、位相と過渡応答性の面でも密閉型ブーストの方が圧倒的に優れます。

ついでにAlpair 10/4L密閉でも+6dB(63Hz)してみました。
A10 eq
たった4Lの密閉箱に13cmドライバを入れて、イコライザで63Hzバンドを+6dBしただけで、40Hz~10kHz ±6dBを達成しています。音楽を鑑賞する上でほぼ十分な非常に素直な特性が得られたと言って良いでしょう。一家に一台ALpair 10たる所以です。このドライバの許容振幅(Xmax)は半端ではありません。グライコにもう1つ下のバンドがあれば、さらに下限を伸ばす事も可能でしょう。もちろんFrieveAudioでブーストするならば、30Hzまで位相遅れ皆無で何の問題もなくフラットにできますし、部屋の影響も同時に補正できます。なお、4Lの容積では、シミュレーションでまともなポートチューニングはできませんでした。最低10Lは必要そうです。このように、密閉型をブーストする場合、容積はさして重要ではないため、バスレフ型より遙かにコンパクトにできます。

さて、バスレフ方式のように共振現象を利用した場合、それが音響的であろうが機械的であろうが電気的であろうが、如何に巧妙に計らおうとも、ポジティブな効果が得られる周波数領域の外側で必ずネガティブな現象が発生します。ハチマルはエンジン屋さんでしたから、共振君にはソレハソレハお世話にもなる一方で、散々悩まされもしました。今まで再三述べてきたように、バスレフ方式もその例外ではありません。

シンプルな密閉型で低い周波までフラットにレスポンスを延ばせるのであれば、密閉型を使うに超した事はない、誰も好き好んでキワモノは使いたくはないという事は、昔ムカシ大ムカシから言われている事です。中高生の頃に読んだオーヂオ誌(スピーカ自作の入門書だったと思う)にもはっきりと書いてありましたし、バスレフ型を苦肉の策(あるいは必要悪)的に考えている著者のニュアンスが記事の端々からも読み取れました。それが当時の業界のバスレフ方式に対する認識であったように思えます。実際、当時は今よりも密閉型の製品が多かったようにも記憶しています。

昔ムカシ大ムカシは、真空管アンプの出力や駆動力も低いですし、スピーカのエッジやダンパの素材も限られていましたから、低周波の大きな振幅で振動板を良好に駆動する事は困難であったでしょう。そのような事情から、特に大音量を必要とするシステムでは、低域のブーストをバスレフ型のようなキワドイともいえる共振機構に頼らざるを得なかったという事情は十分に理解できます。

さてさて、しかし、今や21世紀であり、それは昔ムカシ大ムカシの事情に過ぎません。半導体によるアンプの大出力化高DF化はもとより、スピーカにも新しい素材がどんどん使われるようになり、さらには音源のデジタル化にともなってデジタル信号処理の可能性が開ける等、関連技術レベルは当時から飛躍的に進化しています。例えば新素材を駆使したハイテクAlpairドライバでは、驚くほどの大振幅でも極めて良好な挙動を確保できている事、FrieveAudioのDSPを使えば、密閉型ヘッドフォンに匹敵する位相的にも極めて正確な低音をリスナの耳に届けられる事を再三ご紹介しました。

ちょいと冷静に考えれば、現在のそのような技術的バックグラウンドの下、せいぜい6dB程度の低音ブーストのために、そのようなキワモノ的共振機構(バスレフ方式)に頼る必要があるのか???密閉型をアナログ式であろうがデジタル式であろうが単純に電気的にちょいとブーストした方が絶対お得だよね??という疑問が生じるのが当然でしょう。。ですよね??違う???

昔ムカシ大ムカシの技術的制約からやむを得ず採用されたような機構が、この21世紀においてもなんで未だに幅をきかせているのか???ハチマルにはものすごーーーーーーーーーく不思議でフシギで仕方ありません。

何もハチマルみたくアホみたいにブーストしなくとも、ちょいと6dBブーストすれば、バスレフ型と同程度までロールオフ周波数を下へ伸ばす事ができ、しかも、それ以下の周波数でもバスレフ型のように急激に位相が乱れてレスポンスが急落する事もなく、ダラダラと緩やかに減衰する特性が得られます。すなわち、ちょいと6dBブーストするだけで、明らかにバスレフ型よりも位相的に正確でダンピングの効いた自然で豊かな量感の低音が得られるという事です。ブーストしてロールオフ周波数を同じにした密閉型とバスレフ型を聴き比べれば、ズンと来る低音の重さ/実体感が全く違う事は、誰にでも容易に体感できるはずです(かたや、穴ンポコから噴出するオトですから)。もちろんデジタル信号ブーストを適用するのが理想的ですが、アナログイコライザやアンプのトーンコントローラでも効果は十分に体感できるでしょう。

一度お試しあれです。ホンマニ。

なお、このような方式においては、箱の気密性と剛性はもちろんのこと(容積は小さくてOK)、ドライバ自体の気密性が重要となります。気密性の高いセンターキャップ付きのドライバを使う必要があるという事です。フェイズプラグ付きやコアキシャル型ではエア漏れによる問題が生じて良好な結果は得られません。この条件を満たす限り、ビンテージ物ではない最新のドライバであれば、限界近くの大音量を求めない限り、6dB程度のブーストで問題が生じる事はないでしょう(アンプのトーンコントローラ レベルのブーストですからね)。

ハチマルのように、小径ドライバで限界近いブーストを求める場合は、できるだけ最大許容振幅(Xmax)の大きなドライバを使う事を推奨します。その点でMark AudioのAlpairシリーズは最適です。というか、他に適当そうなのは思い当たりません。アンプにはDFの高いアンプが適するでしょう。小出力の真空管アンプは当然適しません。今時の半導体アンプであれば基本的になんでもOKだとは思いますが、敢えて選ぶなら高DFの業務用アンプとか、NuForce IconAMPがヨロシイカト思います。

では、そのようなバスレフ型が未だに幅を効かせている理由は一体全体何なのか? と普通は考えるわけです。

ハチマルは、付帯音(内部の音が筒抜け、ポート自体の共鳴音(笛っぽの音)が出る)によって「ソーチそのもの」のコセーを出しやすいからではないかと考えています。最近のマニアの表層的/感覚的/微視的なナンチャラカンやオンジョーカンを追い求める傾向は、ムカシよりもかなりエスカレート気味なのではないかとハチマルには思えて仕方ありません(そんなにナンチャラカンやリンジョーカンとかが無いと音楽がツマライのか???そんなにツマラナイのだったら何も無理に音楽聴かんでもえーんとちゃうのんか?と)。しかし、ナンチャラカンをやたら求めず素直にそこに記録された「音楽」に耳を傾けようとする場合、付帯音の少ない吸音材をタップリぶち込んだ密閉型の方が、明らかに「音楽そのもの」が聴きやすくなります(要は音楽再生クオリティが高くなるという事)。

密閉型は音が「死んでいる」とか「沈んでいる」と勘違いされる傾向にあるようですが、それは決して内圧や吸音材によって振動板の運動が抑制されて「音が死ぬ」からではなく、不要な付帯音が減ったために、付帯音の多いバスレフ型やバックロード型のナンチャラカンに慣れた耳にはなんだか寂しく感じられるためです。これは、LEANAUDIO初期に散々バスレフと密閉を聴き比べた上で得たハチマルの結論です。地味な密閉型で、ナンチャラ感ではなく「音楽」を聴く事に慣れると、今度はバスレフ型の不自然さが耳に付くはずです。このへんは、自動音場補正でフラットにすると(音楽再生クオリティが向上すると)、癖のあるナンチャラカンが無くなって最初は耳寂しく感じるのと同じです。そのへんをよく理解した上で、密閉型の音を今一度じっくりと聴き直してみるのも良いと思いますよ。

追記2
密閉型がなんか地味に聞こえるのを嫌ってか、内圧を下げるために背面に圧抜き穴を開けたりする場合もあるようですが、これは疑問です。原理的に良い効果が得られるとは思えません。例えパイプを付けずに箱に穴を開けただけでもヘルムホルツの共鳴効果は発生します(いつものシミュレーションツールで計算すると分かります。このためハチマルは極端に長ーーーいパイプ「シッポ」をポチ君で試した事がある)。また、共鳴効果が出なかったとしても、小さな穴だと、空気の出入りに抵抗が生じて、それこそ振動板の運動が阻害されますし、気流音が出る恐れもあります(箱がエア漏れしているのと同じ状態)。大きな穴だと、背面解放に近付くだけであり、低域のレスポンスが低下します。効果があるように感じられたとすれば、それは穴から何らかの付帯音が出ているか、部屋の影響で低音過多になっていたために低域のレスポンスが下がった事が良い方向に感じられたためではないかと思われます。ハチマルもF80を使っていた頃、どうも音の明瞭感に欠けるような気がして、内圧を抜くためにポチ型に長い尻尾を付けたりしたっけなぁ。。。今から考えると笑い話です。。。Alpairを使い始めてからは、そのような事はなく、結局丸1年かけて吸音材タップリに辿り付きました。

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2011年10月27日 (木) | Edit |
以前、フェイズプラグ付きのドライバは、コイル-マグネット間のギャップからのエア漏れが発生するため、小容積密閉型でガシガシ振動板を駆動するLEANAUDIO方式には適さないという事を書きました。フェイズプラグ付きの御大B&Wもそのへんを認識しているというのが今回の内容です。僕の実験では、小容積密閉箱で低域ブーストした場合、バスドラ等の大振幅時にエアフローノイズがはっきりと聞こえる事を確認しています。また、低域のレスポンスも多少低下するようです(正確な確認はできていない)。

スピーカー断面 copy
フェイズプラグ付きドライバ(右側)では、コイルボビンとマグネットの間の隙間からエアが漏れます。

B&Wホームページのコチラをご覧ください。これはPM1という13cmウーハーを使用したコンパクトなバスレフ型2ウェイスピーカの技術紹介記事です。

PM1-bottom_image.jpgAnti-resonance-plug-tech.jpg
B&W PM1: ウーハーにはB&Wお得意のフェイズプラグを使用していません

以下英文記事の抜粋
As bass drivers get smaller, it becomes increasingly important to prevent residual noise from turbulence as air is forced through the magnet system from pressure inside the cabinet.

The bobbin needs to be totally sealed and the open design of the fixed ‘bullet’ approach, effective in midrange-only applications, becomes less viable. A standard dust cap will seal off the bobbin as well, but, unlike the solid construction of the plug, its membrane structure does not damp resonances on the cone itself.


意訳
バスドライバ(ウーハー)が小型になるほど、エンクロージャ内圧によって空気が磁気システムを通過する際に生じる乱流ノイズを除去する事が重要となります。このためボビンを完全に密閉する必要があります。固定ビュレット(フェイズプラグ)方式のオープンな(気密ではない)構造は、ミッドレンジ専用としては(すなわち低域の大振幅領域で使用しない場合には)効果的ですが、小型バスドライバ用には適さなくなります。普通のダストキャップでもボビンを密閉できますが、(当ドライバが備える)強固なプラグ(マッシュルーム型キャップ)とは異なり、コーンの共振を抑える事はできません。
(訳以上): 同サイトでは日本語訳も見れますが、全く技術的内容を理解せずに訳しているので意味がチンプンカンでんす。

このB&Wウーハは、普通のダストキャップではなくボビンの内側に挿入してボビンも補強するマッシュルーム(茸)型のセンターキャップ(プラグ)を使用しているとの事です。これによりコーンの共振を抑えるとともに、ボビンも補強しているようです。ウーハーなので重量増は多少許せるという事でしょう。

untitled1.jpg
インパルス応答: 青がフェイズプラグ付き、緑がマッシュルーム型センターキャップ付き
フェイズプラグ付きでは、エアフロー ノイズと思われる高周波が乗っています。エア漏れのせいか、若干挙動が異なります。

untitledw.jpg
インパルス応答: 赤が普通のダストキャップ、緑がマッシュルーム型
普通のダストキャップでは、コーンの共振と思われる振動が見られます。平均的な挙動は似ています。

という事で、小径のウーハーを小容積の箱に入れて大振幅で駆動すると、エアフロー ノイズが生じるというのは御大B&Wも認識しているようです。ただし、一般的サイズのバスレフ型の場合、それほどクリティカルではないと思います(実際、B&Wはこんな事を言いながらも、他のシリーズの似たようなサイズの2ウェイバスレフ(CM1等)でフェイズプラグ付きウーハーを使っている。だから余り気にする必要はないと思う)。ただ、LEANAUIOのように極端な小容積密閉箱にブチ込んで低域ブーストで大振幅駆動する極悪非道な使用条件では確実に影響が出ると考えた方が良いようですね。

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2011年10月12日 (水) | Edit |
英語版に掲載したデータを転載します。

僕のコレクション中で最強の低音信号であるストラビンスキー「春の祭典」(シャイー指揮/クリーブランド)の超絶バスドラをなんとかやっつけたどー。という自己満データです。

haruru.jpg
haruwave.jpg
haru wave2

グレーがCDのソースデータ、赤と青がリスニング位置でマイクロフォン(モノラル)で計測した実際の音です。赤は超低音をウーハーでアシストして30Hzフラットにイコライジングした最強仕様、青がAlpair 6Mだけでイコライジング全くなしの素の状態です。以前の記事に書いた「耳に届く音を信号波形から歪ませている最大の要因は、特に小型のスピーカの低音特性の減衰(ロールオフ)にある」という意味がよくお分かり頂けると思います。

プリのボリュームは最大です。この時リスニング位置で計測した音圧レベルは概ね75~85dBAの範囲で変化し、SLOWフィルタで計測したピーク音圧レベルは91dBA(高音の金管パート)でした。僕としては、かなりの大音量です。家内の外出中に計測しました。これは、以前の記事で紹介したホール中央席におけるベト5第一楽章の最大音圧レベル(単純なピーク値で89.9dB、Aフィルタなし)を余裕で超えています。

ご覧のように、スペクトル、生波形ともにソースに非常に良く一致しています。スペクトルをよく見ると、127Hz前後に3次高調波の影響が少し見られます。また180Hzには、イコライザでは補正しきれなかった部屋の影響による急峻なディップが見られます。

このような超低域(約40Hz)の極めて強烈なアタック音をこのように正確にリスニング位置で再現できるというのは、なかなか大したもんだと思います。通常はカナル型イヤフォンか密閉型のモニタヘッドフォンでもない限り聴けません。古典的スピーカの場合、共鳴点が40Hz以下の最大級バスレフ型でもない限り正確な再生は困難であろうと思われます(通常サイズのバスレフ型では低くて大っきなナンカの音が出ているという程度。位相の遅れはもちろん、ソース信号と並べてもどの山がソースのどのピークに対応するのかすら定かではなくなる程波形は変形し、果ては基本周波数すら一致しなくなる)。さらに、そのような大型スピーカを小さなお部屋にぶち込んで離れて聞く場合、この周波数領域では部屋の定在波が猛威を振るうため、正確な低音再生はさらに困難となります(部屋を何度も行ったり来たりした音を聴く事になる)。通常の古典的スピーカシステムを通常の部屋で離れて聞いている場合、超低音ではレスポンスがあっても波形はかなり出鱈目であると考えた方が良いでしょう。

ということで、自分の限界ボリューム設定でコレクション中最大最強の低音を退治できたと言えましょう。まあ、ここまで来ると単なる自己満ですけどね。「春の祭典」自体は滅多に聴かないのでドーデモヨイのですが、プリ全開でも全コレクションの低音をズッコケなしで正確に聞けるという安心感は大きいです。マドンナのズンドコくらい屁でもありません。究極の最悪条件でも十分に良好な結果が得られた事から、通常の音量(プリ開度1/2~3/4程度)では30Hzまで完全にフラットにしても全曲を十分以上に高品位な低音再生で楽しめていると自信を持って言えるという事です。アンシン アンシン。

追記
クラシックのオーケストラ曲の場合、低音部におけるタイムドメイン的正確さはさほど重要であるとは感じない。量感があればOKなような気もする。これは、もともと広いホールで比較的離れて聴く事を前提に製作された音楽だからであろう。そういう意味でも、交響曲には真面目に録音されたバイノーラル盤の出現を切に望む。ホールという巨大な楽器の内部で聴いている状態を表現するには、ステレオ方式ではどうあがいても無理。土台ムリ。それなりに受け入れて聴くしかない。無理にやっても所詮は嘘っぱち。交響曲の再生は別格だと思う。

ただしクラシックでもピアノ曲は全く別。ピアノの再生ではタイムドメイン的にビシッとバシッとしてないと気色悪い。そいえば、関係ないかもしれないけど、カセットテープの時代にピアノ曲ではワウフラが非常にシビアに感じられた事を思い出した。ピアノの再生は難しいと思う。全てアタック音で、しかも音域がやたら広いからだからだろう。

ジャズ等の場合、低音部はほぼビート(ピアノ含む)で構成され、とりわけジャズではこのビートの絶妙な「ノリ」(グルーブ、スイング)が極めて重要であるため、タイムドメイン的にビシッとバシッとしていると俄然楽しめる。ビシッとバシッとしないと気色悪い。そんなスピーカはハンマーで破壊したくなる。

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2011年09月21日 (水) | Edit |
前の記事からの続きです。今回は50Hz以下の超低音の再生波形を確認してみました。LEANAUDIOでは50Hzより下を「超低音」と呼ぶ事にしますね。なお、今回でスピーカシステムの開発は一端終結します。その締めくくりとして長文となってしまいました。ご容赦を。。

今までに再三申しているように、LEANAUDIOでは音楽再生装置の最低要件として50Hzまでフラットな低域特性を掲げています(密閉型による-12dB/Octの減衰を前提とする: 30Hzで-10dB程度)。ジャズやロックを聴く場合、この要件を満たしていれば十分に楽しめるように思えます(これ以上伸ばしても嬉しさはあまり感じない。それよりも低音ビートの位相が重要)。しかしクラシックの交響曲を聴く場合(ほとんどベトベンしか聴かないが)、レスポンスがそれ以下に伸びていると微妙に嬉しく感じる事があります。FOSTEXによると、これは「弱音で演奏される低音楽器のうなりや響き」というヤツだそうで「フルオーケストラの醍醐味のひとつ」としています。

以上を念頭に、今回は下記の条件で計測してみました。
1) 音量はハチマル快適音量の上限
- 約65cmのリスニング距離におけるベト5第1楽章の最大音圧レベルで約80dBA相当(参考記事)のアンプ ボリュームとする
2) 現実的な信号レベルとして、フルスパンに対して-6dBAの正弦波信号を再生
- CDにフルスパンの純正弦波が記録されている事はまずないため(参考記事)
- ハチマル コレクションの最強低音である「春の祭典」(シャイー指揮/クリーブランド、参考記事)のバスドラピークでも35Hz/-12dB程度(参考記事))

以下、スピーカ前方約20cmで計測した波形です。赤がAlpair 6M 2本の馬鹿ブースト、青がDAYTONウーハです。両者の絶対音量は同じに調整しています。クリックで拡大してご覧ください。

50Hz
875.jpg
両者ほぼ同等。どちらも、不安になるくらい音量を上げても顕著には崩れません。下段のFFTを見ると、DAYTONの方が2次、3次の高調波成分が少し低い事がわかります。

40Hz
874.jpg
これも両者ほぼ同等ですが、波形が明らかに歪んで尖ってしまいました。FFTを見ると、3次の高調波が強い事がわかります。ボリュームを少し下げれば正弦波に近付きます。40Hzまでは余裕で正確に再生して欲しいと思います。Alpair6Mはともかく、ウーハにはも少し頑張ってもらわないとね。今後の課題だな。

30Hz
873.jpg
波形はさらに崩れます。Alpair 6Mは4次の高調波が強く出るために、DAYTONよりも歪んで見えます。どちらのドライバでも、ボリュームを下げて行くと40Hzと同様のトンガリ波形を経て正弦波に戻ります。50Hzでもボリュームを思いっきり上げると、波形が尖り始めます。つまり、周波数が変わっても歪みのパターンは同じだと言う事です。なお、周波数が30Hzまで下がると、フルスパン信号をカナル型イヤフォンで聴いても微かにしか聞こえないので、ここまでの低周波はあまり重視していません。Frieve Audioでは振動板の無用な振幅を避けるために30数Hzから20Hzにかけて急峻にローカットしています。

以上から下記が言えます。
1) DAYTONウーハ 1本とAlpair 6M 2本はほぼ同等か、ややDAYTONが優れる
2) 両者とも50Hzまでは十分な余裕を持つが、それ以下では高調波が急激に目立ち始める
3) 歪みのパターンはドライバが変わっても周波数が変わっても基本的に同じであり、単純に振動板の「振幅」によって支配されているように見える(歪みの主要因はスピーカの構造的限界(大振幅時の非直線性)に起因するらしい)
- しかし、何故波形が尖るのか? 不思議。。普通に考えれば、振幅が頭打ちになって波形は丸くなると思うのだが。。。調査が必要。

-6dBの単音正弦波というのはかなり厳しい条件であり、通常、50Hz以下の信号レベルはそれほど高くないため、大概の楽曲の再生では聴感上問題ありません。特にベトベン交響曲やアコースティック ジャズでは50Hz以下の信号レベルが十分に低いため、30Hzまで馬鹿ブーストしても歪み領域に全く入りません。また、古典ロック(新しいのは知らない)も、50Hz以下の重いビートは意外と含まれていません。

ハチマルのコレクションの中で最強の低音は、再三取り上げた「春の祭典」の中に1発だけ含まれている超絶バスドラ(曲中他のバスドラは問題なし)と、マドンナの曲中延々と通奏されるズンドコ ビートです。これらの楽曲を再生して波形を確認してみました。

手順は下記の通りです。
1) 音量をハチマル快適音量の上限に調整
- 実際の曲を普通に再生し、約65cmのリスニング距離における大音量時の平均的音量が75dB~80dBになるようにアンプのボリュームを調整。普段は平均75dB前後、あるいはそれ以下で聴いているので、かなり頑張ったボリュームです。家内のイエローカード必至の音量。
2) 楽曲の問題の部分だけ(数秒間)を抜き出したWAVファイルを作成(左右をミックスしてモノラル化)
3) 高調波の発生を見やすくするために、Frieve Audioで60Hz以上を急峻にカットして、上記で決めたアンプ ボリュームでリピート再生

結果は以下の通りです。

マドンナの Erotica
数秒間を抜き出したサンプル音源のスペクトル
mad spe
約45Hzのビートが曲中延々と続きます。ピーク信号レベルは-12dB弱。マドンナの曲の典型的パターンです。

下がスピーカ前方で計測した波形です。
青がソース信号の波形、赤がマイクロフォンで計測した出力波形です。

Alapri6M馬鹿ブースト(30Hzフルフラット)
baka_mad copy
Daytonウーハー
sub_mad copy
どちらも、顕著な高調波歪みは観測されません。ズシッと重くてビシッとタイトなビートを聴くことができます。3"クラスのフルレンジSPだけでこの低音を再生するとは、Alpair 6M君は頑張りますね。凄いぞ。
なお、マイクは手持ちですし、環境騒音が結構影響するため、波形の細かい部分はサイクルごとにかなり変動しています。多少の波形の変形は多めに見て下さい。

春の祭典 第一楽章
最強バスドラ1発だけを抜き出したサンプル音源のスペクトル
haru spe copy
この1発のバスドラだけを抜き出すと、ピークは約40Hzに表れます。ピークレベルは-12dB弱ですから、ソース信号レベルとしては上のマドンナとほぼ同等です。しかーし、この曲は最強バスドラを収録するためにダイナミックレンジが非常に広い(すなわち、平均的な録音レベルが非常に低い)ため、上記の平均音量に設定するにはアンプのボリュームを大幅に上げる必要があります(プリのボリューム位置で比較すると、マドンナが約1/2開度に対して春の祭典はほぼ全開!)。ですから、ソース信号レベルが同じでも、スピーカに入力されるパワーはマドンナの比ではありません。この最強バスドラは全く尋常ではありません。

Alpair6M馬鹿ブースト(30Hzフルフラット)
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DAYTONウーハー
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注: 横軸のスケールはマドンナとは異なります。
吸音材たっぷりの密閉型なので基本波形をかなり正確に追従しますが、さすがに、このアンプボリュームでは高調波出まくり状態です。尖りモードを飛び越えて4次の高調波が顕著に出ています。しかしAlpair6Mは頑張りますね。偉いぞ!
この曲中の、これ以外のバスドラは難なく再生できますが、この1発だけはどうしようもありません。この曲を聞くときは、最強君のところだけボリュームを下げるか、イコライザで50Hz以下を減衰させるしかありません。それともWAVファイルをここだけ編集するか。。。
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赤はブーストなし、青はフルブーストで再生したAlpair6Mスピーカ出力波形。一箇所だけ青の振幅がデカイのが問題の1発です。上の波形グラフは1本抜きん出ているヒゲの部分を時間軸方向に拡大したものです。このように強烈なのは全曲中1発だけ。こいつのために全体の録音レベルが低くなっています。他の盤ではどうなんでしょうか?

そこそこ大型のスピーカでも、この最強の一発をサイズに見合ったそれなりの音量で正確に再生するのは簡単ではないと思います。特にバスレフ型だと、余程大型のもの(共鳴点が40Hz以下、JBLだと4365以上)でないと、波形はかなり崩れるでしょう。どうあがいても、穴っぽこから噴出する音と振動板前面から直接送り出される音は異なります(特に打撃音)。

自分が聴く楽曲、自分が聴く音量がはっきりと限定されており、システムの限界を認識した上で使用するのであれば問題無いのですが、このようなシステムを広く一般に製品として市販する場合、そうも行きません。どのような楽曲でも(例え春の祭典でも)大音量で破綻せぬ事を保証するために、例えば50Hz以下を減衰させるローカット フィルタを適用べきであると言えます。実際、Victor製13cmパワード サブウーハのアンプは約50Hzのローカットフィルタを実装しています(解除不能)。このアンプは現在ケロに使用しており、その特性は下図のように50Hz以下で急激に減衰します(密閉型なのでフィルタが無ければ-12dB/Octで減衰するはず)。
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余談となりますが、デジタル信号処理をフルに活用すれば、振幅がある一定量を超えぬように制御しながらドライバの能力をギリギリまで使い切る事ができるはずです。最も単純な方法として、アンプのボリュームと連動したイコライザ設定が考えられます(ボリュームと連動して低域信号レベルを制限する事により、振幅を安全な範囲に保つ。低ボリューム時はフルフラット)。さらに進めれば、波形を先読みしながらダイナミックに処理する事もできます(例えば、春の祭典の最強バスドラだけ信号レベルを少し下げる)。そのような方式を前提とするならば、ハードウェア(スピーカ)の設計自由度も大幅に向上するはずです。ソースだけ、アンプだけ、スピーカだけというのではなく、信号入力から音響出力(さらにルーム アコースティック)を含むシステムトータルで考える事により、音質(音楽再生クオリティ)、サイズ、コストを飛躍的に改善できるはずです。スピーカ屋はスピーカだけ、アンプ屋はアンプだけを見るのではなく、トータルなシステムで考える事が重要です。システムの中で最も大きな問題を抱えるのがスピーカ(さらに言えば部屋の音響特性)であり、この弱点をシステム全体で補う事が肝要かと思います。

さて、上記したように、このような超低域での高調波歪みは、振動板振幅とドライバの構造的限界(直線性の限界)の関係に支配されると考えられます。これを改善する方法として、同一振幅でも低音レベルを上げられる大径ドライバを使用するか、あるいはドライバの数を増やすのが最も直接的です。これとは別に、サイズ据え置きでドライバの構造的限界(線形性をある程度維持できる最大許容振幅: Xmax)を向上させる方向性があります。コンパクトさを追究するLEANAUDIOでは当然後者の方向性に興味が向かいます。そこで、2つ前の記事で紹介した各ドライバの公称Xmax値を調べてみました。

MarkAudio Alpair10v2 13cmフルレンジ: 7.5mm
HiVi M5a マグネシウム・アルミ合金 13cmウーファー: 3mm
DAYTON AUDIO DA135-8 13cmウーファー: 3mm

MarkAudio CHR-70v3 10cmフルレンジ: 4.5mm
MarkAudio Alpair 6Mフルレンジ: 3.4mm
HiVi M4N メタルコーン10cmフルレンジ: 3mm

FOSTEX M100HR-W: 不明

10~13cmクラスだと、判で押したようにXmax = 3mmと記載しているドライバが多く、あまり重視されていないように見受けられます。これに対し、Mark Audioは常にXmaxを重視する姿勢を前面に打ち出し、カタログ値を見る限り同サイズのドライバに比べてXmax値が異様に大きくなっています。13cmクラスで見るならば、HiVi M5aおよびDAYTON AUDIO DA135-8がともに3mmと記載しているのに対し、MarkAudio Alpair10v2は7.5mmを掲げています(実に2.5倍!)。以前製造されていた13cmのAlpair 10ウーハのXmaxは9.0mmにも達します。これは別にズンドコを狙った物ではなく常用振幅領域での直線性を重視した結果だと思われますが、ヤクザなLEANAUDIOコンセプトにとっても好適なドライバであると言えそうです。

メーカによってXmaxの定義や計測方法が異なる可能性があるため、単純には比較できないかもしれませんが、Mark AudioがXmaxを重視する姿勢は明らかです。Alpair6Mがここまで頑張れるのも、その基本姿勢に因るところが大きいかもしれません。このように飛び抜けたXmaxは、全ての部品を専用設計するという基本方針によって可能になったものと思われます。他社製のドライバは標準的なコンポーネント(内部部品やフレームまで)を組み合わせて使用している例が多く、部品をよく見ると他メーカのドライバと同じ部品だったりします。Xmaxがどのメーカでも同じような値になっているのは、そのへんに起因するのかもしれません。

まだ何も知らなかった初期の頃にたまたまMark Audioドライバを採用したわけですが、偶然にもそれらが気密性と大Xmaxという特性を備えていたからこそ、現在のLEANAUDIOがあると言えます。もし、LEANAUDIO初期に例えばフェイズプラグ付きの標準的なXmaxを持つドライバを採用していたとしたら、小容積密閉箱に入れて信号ブーストまたは別アンプで強引に駆動するという基本コンセプトには絶対にたどり付かなかったでしょう。Mark Audioドライバとの出会いは幸運であったと言わざるをえません。また、当ブログを見てLEANAUDIO方式をちょこっと試してみたけど駄目だったという方は、今一度ドライバの適性(まずは気密性)を確認してみてください。フェイズプラグ付きやコアキシャル型ではまず駄目だと思います。センター(ダスト)キャップ付きでも布製や真ん中に穴の開いたタイプでは駄目です。

現在のシステムの50Hz以下のタフネスを向上させるには、ウーハ用にAlpair 10(できればウーハバージョン)を選択するか、あるいは、面倒くさい2.1ch方式は捨ててAlpair10 (または7) 2本の馬鹿ブーストってのがシンプルで良いかもしれません。今回改めてAlpair馬鹿ブーストのポテンシャルを再認識しました。また来年の夏くらいですかね。何か変えるとすれば。

今回サブウーハを追加したそもそもの目的は、iTuneやネットラジオをイコライザなしで聴くためであって、Frieve Audio用には馬鹿ブーストを前提としています。しかし、ブースト方式には欠点が2つあります。すなわち、1)デジタル信号のオーバーフローを回避するために全体の信号レベルを下げる必要がある(アンプのボリュームを上げる必要がある、つまり信号クオリティとS/N比が多少低下する)、2)振動板が大振幅で動くため高域音が多少劣化する、という事です。従って、メタルコーン ウーハを採用した事によって今まで感じていた違和感が無くなるのであれば、2.1ch方式を常用する可能性もあります。

とりあえずは毎日聴いてみないと何とも言えません。無意識にどちらに手が伸びるか? 駄目なシステムには自然と手が伸びなくなり、全く使わなくなります。3つも電源を入れる手間をかけてでもウーハ付きに手が伸びるようであれば大成功と言えましょう。「音質?」の事なんか念頭になく、意識が自然に「音楽」を追いかけている時に、違和感や、不自然さや、聴き取りにくさを感じるようであれば「音楽再生装置」としてNGです。

冒頭でも述べたように、かれこれ3年以上続けてきたデスクトップ スピーカの開発は今回で一端終結します。
基本的にAlpair6M + Frieve Audio自動音場補正による耳幅配置超ニアフィールド馬鹿ブーストでハチマルが望んでいた「音楽再生クオリティ」言い換えれば「音楽の聴きやすさ(自然さ、違和感のなさ、正確さ、明瞭さ)」を十分に達成できたという事です。従来になく「音楽が聴きやすい」システム(そう、ハチマルの欲しかった「ミュージック マシーン」)となりました。また、数々の実験を通して多くの貴重な知見を得る事ができました。それらの経緯は全て当ブログに記載していますので、是非ご参考にしてください。「春の祭典」はめったに聴かないし、これ以上のものはとりあえず不要かなと思えますが、今まで年に1回ペースで何か作っているので、来年の今頃には新しい物をリリースするかもしれません。

マークさんに英語の要約版を約束しているので、そちらが終わるまで暫くブログの更新はお休みになると思います。以降はヘッドフォン再生がメインテーマとなる予定です。既に、ハチマルとしては大奮発のハイエンドなヘッドフォンを購入して早朝に愛用しています(最近奥さんからのイエローカードが頻発しているので。。)。オタノシミニ。

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2011年09月19日 (月) | Edit |
現在DAYTON AUDIO DA135-8を取り付けて試用中です。

PPコーンよりも「ドン」としっかりとした低音を出してくれるので、一応狙い通りの効果が得られたと思います。正弦波の音を聴き比べても、PPコーンよりも混じりけの少ない「ブー」音が聞こえます。40Hz以下の正弦波を再生すると、PPコーンではフサフサとかハタハタという団扇で扇ぐような音が結構混じっていましたが、DAYTONウーハーではそのような音は殆どしません(LEANAUDIO初期に使用していたVicotr製のパワードサブウーハー(ごつい紙コーン)でもフサフサ/ハタハタ音がしました)。ただ余分な音が無くなった分、高調波成分が耳に付くような気がしますので、次回の記事で確認したいと思います。低音大振幅のタフネスはPPコーンと同等です(ボリュームを上げてもビチビチとかブリブリとかバチバチと明らかに異常とわかる音がしない)。まずは使えるレベルと言えましょう。

871.jpg
色がゴールドではないのが寂しい。「サー」ノイズ防止用に3.0mHのコイルを直列にかましています。ケロは同じコイルを本体に内蔵していますが、ZAP君の場合ウーハをフルレンジとして使用する可能性があるので、とりあえず外付けです。

なんとかまともに聴ける状態になりましたが、Dayton君も一筋縄では行きませんでした。

まず、フレームがペラペラの鋼板プレス製であるため、フランジ部のシール性を確保するために、3mm厚の合板でリング状のパッキンを作製しました。このパッキンにシール材を盛りつけ、これをビニールテープで覆った上にドライバを取り付けて気密性に完璧を期したのですが。。。前回同様に写真用ブロワでブシュッとやってエア漏れをチェックしたところ。。スカッ。。漏れ漏れ。。ナンデヤネン ???

と、センターキャップに触ってみるとペコペコの布のような薄い素材でできています。この表面にビニールチューブを押し当ててフーっと吹いてみたところ、空気は難なく通過してしまいました。メーカの資料を見ると「高ダンピングのコンポジット材を使用したダストキャップ」とあります。そう言えば「ダストキャップ」とも呼ばれますね。気密性を保つためではなくゴミ避け用の蓋なのね。。。アルミコーン特有の高域のピークを抑える事を狙って「ゴミ避け蓋」に高ダンピング材を採用したという事らしいです。

センターキャップが付いているからといって、必ずしも気密性があるとは言えないという事を、またまた勉強させて頂きました。世の中のスピーカって、気密性には意外と無頓着なんですね。。で、困ったなぁと思案する間もなく、即思い付いたアイデアが、ダストキャップに白い木工用ボンドを塗布して気密性を確保するという方法。木工ボンドは固まっても完全にカチカチにはならず、柔らかい半透明皮膜となります(中学生の時、木工(技術家庭)の時間に、こいつを下敷きの上でハート型やウサギ型に固めて、マジックで色を塗ってソフトなワッペンを作ったら、クラスの女子に大受けだったのを思い出した。どんな経験でも役立つものだ)。どうせこのままでは使えないのだからと居直って、指とヘラで素材に染み込ませるようにヌリヌリしました。

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例によって作業が雑なので見た目美しくありませんが、均質な状態よりムラがあった方が共振を抑えられるのですよ(言い訳です)。ボンドが固まってからブロワで漏れチェックしたところOKでした。さて特性の方はどうなんでしょうか?

下はメーカ発表の特性グラフです。
864.jpg
六本木工学のYS137A-PSCでもそうでしたが、高域のピークが9kHz付近に見られます。顕著な高域ピークはアルミ(メタル)コーンの典型的特性であり、ウーハでは疎まれます。Alpairドライバでは、このピークを巧妙に制御して広域を伸ばしているようです。多分。

ボンドが固まってからドライバ前方で計測したデータを重ねてみました(塗る前に計測するの忘れました)。
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案の定、高域は落ちますが、特徴的なピークが消えて素直な特性になりました。匠の技のムラだらけの塗りが効いたのでしょうか? これだとウーハー側ハイカットなしで、コンデンサ1個だけ使用して簡単にツイータをアドオンできそうです。オリジナルの特性よりもウーハーとして使いやすいのではないでしょうか。なお、箱が小さいので、標準箱で計測されたメーカデータに比べて低音は当然出ていません。

以下、リスニング位置でのいつもの計測データです。

まずはAlpair 6Mだけのデータです。
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赤が左、青が右。このドライバの場合、10kHzから上で振動モードが変わるようで、まるで別のツイータに受け持たせているような特性に見えます。
注意: このマイクの感度は公称15kHz以下ですので、それ以上の周波数帯域のデータは参考になりません。

次はDaytonウーハーとAlpair 6Mの比較です。
868.jpg
木工ボンドを塗ったDAYTONウーハーは、-6dBレベルで50Hz~10kHzをカバーする素直なカマボコ特性を示しています。ボーカルやラジオ的に聴くには良いかもしれません。元々ピークになっていた9kHzが逆にディップになり、そこから上で振動モードが変わるように見えます。メタルキャップにするとAlpairのように高域を延ばせるかもしれません。先日、ガラクタ コレクション箱(オトコノコならそういう箱を1つは持ってますよね)を整理していたら、模型用の極薄アルミ板の端材を見つけたので、Alpair風トンガリコーンを作ってマークさんに挑戦してみるか?

最後に2.1ch構成での特性です。
870.jpg
説明不要ですね。位相も問題ありませんでした。Alpair6単独と同等レベルの位相遅れでした。ウーハーは「同相」で接続しています。「同相」の場合、クロスオーバー付近(100Hz)前後で両SPの音が「同相」となり、図のようにスムースにつなげる事ができます。しかし、アナログフィルタの位相変化のせいか、50Hz以下ではどうやら「逆相」となっているようです。「逆相」で接続すると、クロスオーバー付近のレスポンスは大きく低下しますが、50Hz以下は少し増加します。このあたり、もう少し検証が必要かもしれません。お手軽価格のDAC内蔵デジタルチャンデバが欲しいなぁ。

狙い通り、以前のPPコーンウーハーよりも「ドン」と、しっかりとした低音が聴けるようになり、Alpair 6Mとのつながりもより自然になったような気がします。馬鹿ブーに完全にとって代われるか、これから毎日使用してみないと結論は出せませんが、標準的な音量で音楽を普通に聴いている分には、今のところとりあえず「良し」という感じです。ただし、冒頭に書いたように、正弦波の単音を聴いた感じでは40Hz以下で高調波がかなり出ているように聞こえます。次回はこのウーハーがどの程度正確に50Hz以下の超低音を再生してくれるのか、波形を見ながら検証してみたいと思います。オタノシミニ。。。

追記
ZAP上方の、Alpair 6Pバスレフを撤収した跡地に棚を吊り、増えてしまったオーヂオ関連のガラクタを収納しました。
872.jpg
物を増やしたくないのだが、ついつい増えてしまいます。

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2011年09月17日 (土) | Edit |
YS137A-PSCは音も見た目も良かったのですが、気密性というLEANAUDIOにとって非常に重要な要件を満たさないため使用を断念し、他のウーハー用ドライバを物色しました。

条件としては
1) 13cm径(または10cm)
2) メタル(アルミ)コーン
3) 気密性(フェイズプラグ付きはNG)
4) ポチ型改ボックスに取り付け可能なこと
5) 1個売りしていること
6) できればフルレンジとしても使用できること

検討したドライバは下記の通りです。

以下はミクセルさん調べです。
HiVi M5a マグネシウム・アルミ合金 13cmウーファー
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1個 6,200YEN
詳細はこちら
逆ドーム型の振動板なので気密性はバッチリ。この形状の振動板は剛性が高そうなので、LEANAUDIOのサブウーハー用には適していると思います。色もゴールドでAlpair6Mと組み合わせるには良さそう。しかーし、フレームと背後のマグネットがデカ過ぎてポチ型ボックスにはとりつかないので断念。箱を新作する時はコイツが有力候補になりそう。ただしフルレンジとしての使用は無理かも。

同じHiViの10cmフルレンジも良さそうです。
HiVi M4N メタルコーン10cmフルレンジ
22913667_o2.jpg
1個 2,480円
詳細はこちら
1個売りが嬉しい。最初はこれにしようと思っていたのですよ。多分10cmサイズで十分だろうから。でもその時は売り切れだったので断念。その後ポチに13cmウーハーサイズのバッフルを無理矢理付けてしまったので、もうこれには戻れない。ミクセルさんからご丁寧に入荷のお知らせを頂いたのですが残念です。

お次はご存じMark Audio製ドライバです。
MarkAudio Alpair10v2 13cmフルレンジゴールド
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1個 1,6900円
詳細はこちら
サブウーハーだけに使うのはモッタイナイですが、3モード コンセプトでモノラル用フルレンジとしても使うならコイツが問題無くベスト。低域タフネスはAlpair 6Mの実力から推して全く問題ないでしょう。しかし、デカ過ぎてポチ型には入りません。だいたいMark Audio製はフランジがデカ過ぎる。穴もデカイのを開けないといけないし。。ということで箱を新作する場合の最有力候補ですね。コイツは。

MarkAudio CHR-70v3 10cmフルレンジ・ゴールド(ペア)
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2個で8,480円
詳細はこちら
10cmクラスのCHR-70またはAlpair 7でも能力的に十分だと思うのですが、1個売りしてません。無駄な物を増やしたくないので断念。
以上はミクセルさん調べでした。

以下はコイズミ無線さん調べです。
FOSTEX M100HR-W
FOS.jpg
1個 16,120円
詳細はこちら
振動板が軽くて剛性が非常に高そう。もしかしてコイツが最も理想的かもしれない。フルレンジとしても使えそうだし。。ともう少しでポチっとしそうになったのですが、巨大なマグネットが邪魔でポチ箱には入らないため断念。こいつも新作時の候補に入れときましょう(ただし限定販売なので、その時入手可能かどうか?)。

DAYTON AUDIO DA135-8(1本)
dayton.jpg
1個 3,960円
詳細はこちら
アルミコーン ウーハーでフェイズプラグなしという条件だと、他にはコイツくらいしかありません。マグネットが小さめなので楽勝でポチに取り付けられます。とりあえず、これを使ってみる事にしました(今現在、既に組み付けてモノラルで慣らし中です)。
以上はコイズミ無線さん調べでした。

ドライバの選定に際して、僕はTSパラメータを全く重視していません。というのは、吸音材たっぷりの小さな密閉箱に押し込んで無理矢理駆動するという、極悪非道のLEANAUDIO方式では、気密性が確保されていれば振動板の面積だけでほぼ特性が決まってしまうからです。共振周波数は低域性能にほとんど影響しません(共振を抑え込むため)。重要なのは振動板の限界振幅(Xmax)なのですが、メーカー毎に定義や計測方法が異なるようなので、あまり参考になりません。

LEANAUDIO方式に安心して使えるドライバとしては、上記のMark AudioまたはHiVi製、あるいはケロに使用したAura Sound製のメタルコーン製品をお薦めします。これらのドライバでは気密性も確実に確保されています。

振動板が金属だと、いかにもキンキンした音が出そうにイメージされるかもしれませんが、僕の経験では、総じてメタルコーンの方が紙コーンやPPコーンに比べて音がナチュラル(悪く言えば地味)に聞こえます。紙コーンやPPコーンには独特の華(悪く言えば癖、紙臭さ)があるように聞こえるため僕は好みません。あくまでも僕の経験した範囲での話ですが、紙またはPPコーンでは「ドン」が「バン」気味に聞こえるような気もします。これらはコーン材質の剛さの関係ではないかと思います。小容積の密閉箱で強引に振動板を駆動するLEANAUDIO方式では、紙やPPコーンでは不安を感じてしまいます(あくまで気分的に。ですが。。)。

参考: 上記コメントは下記ドライバの実使用経験に基づきます。
● メタルコーン: DIY Audio F80/AMG、Mark Audio Alpair 5と6M、Aura Sound NSW1-205とNS3-193、YSC Audio YS137A-PSC、Dayton Audio DA115-8(ウーハー)
● 紙コーン: FOSTEX FE87N、Tangband W3-971SC、Mark Audio Alpair 6P
● PPコーン: Tangband W3582SC、DYNAVOX LW5002PPR-S(ウーハー)

さて、DAYTON AUDIO DA135-8は既に取り付けも終わって現在モノラル再生で慣らして(鳴らして)いますが、具合はすこぶるよろしい。しかーし、ちょっと苦労しました。そのへんの顛末は次回ご紹介します。オタノシミに。。

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2011年09月12日 (月) | Edit |
六本木工学研究所製の13cmアルミコーン スピーカーYS137A-PSCの使用を断念する事にしました。音調と外観は凄く気に言っていたので残念です。最近は「断念」バカリ。。今回は、そのへんの経緯を。

まずは、製品不良と思われる現象がありました。
暫く慣らして、徐々に音量を上げていったところ、ロンさんのベースソロで「ビリビリ」と明らかに異常音といえる音が出ました。このCDはロンさんの比較的新しい作品で、ベースの録音レベルが非常に高いのでチェック用に重宝しています。

そこで、曲を流したままドライバを箱から取り外してみましたが、ビビリは収まりません。すなわち箱のせいではないという事です。ドナイヤチューネンとぼやきながら、音を出したままドライバーを色々な角度から観察していると、時々ビビリが出なくなります。ナンデヤネンといろいろ試してみたところ、ドライバーを元の取り付け状態から180度回転させる(すなわち上下逆に取り付ける)とビビリは完全に収まる事が分かりました。ハハーン、これはボビンの偏心やね、と思って正面から見ると案の定。。。
偏心
見た目も明らかに偏心しています。つまり、取り付け方向によってコイル+振動板にかかる重力の方向が変わり、製造時の偏心を相殺したり増長したりすると言う事です。こりゃ絶対返品もんやね。。と思いながらも、上下逆さまに取り付けて暫く様子を見ることにしました。

そのまま使用を続け、最初は控えていたボリュームをだんだんと上げていくと、低音大入力に対するタフネス(音が破綻しはじめるアンプ ボリューム位置、上記のビビリ音とは異なる)がやたらと低い事が分かってきました。Alpair 6M 2本よりもタフネスが低い感じです。振動板がデカイのにそんなはずは無かろうと怪訝に思いながら観察していると、振動板がやたらと動きます(密閉箱の空気バネが効いていない感じ)。さらにバスドラがズドンと入ると「シュッ」と空気が漏れるような音がします。これは以前ケロで経験したボックスのエア漏れと同じような症状です(その時はケロの高さ調整式ゴム脚を付け忘れてボルト穴が明いていた)。

そこでハタと気付きました。フェイズプラグです。以前、フェイズプラグ付きのドライバの気密性に関して疑問に思った事があります。そこで、サブウーハーボックスの横に粘土で埋めた直径6mmの穴(Alpair5 取り付け用の穴)があるので、そこからカメラ用の大型ブロアで空気をブシュッと送り込んだところ、振動板はポコッと前進した後すぐに元に戻ってしまいました。明らかにエア漏れやん。。念のためPPコーンウーハーに交換して同じ実験をしたところ、振動板はゆっくりと元に戻ります(ブロワから少しエアが漏れるため)。これで原因は明らかになりました。LEANAUDIO方式ではボックスの気密性が極めて重要なのです。

下に一般的なセンターキャップ付きとフェイズプラグ付きのドライバの模式断面図を示します。
スピーカー断面 copy
左がセンターキャップ型(Alpair等)、右がフェイズプラグ型のYS137A-PSCの断面図です。このドライバはスパイダ(ダンパ)背面室にもスリットが開けられ、さらにスパイダにも穴が4箇所開けられた、やたら風通しの良い構造となっています。
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このような構造では、ボックス内の空気はコイルボビンの小さなギャップからたやすく漏れてしまいます。恐らく、バスレフ型や十分な容積を持つ密閉型であれば問題ないのでしょうが、極小の密閉箱を使用して信号ブーストまたは別アンプでガシガシ駆動する極悪非道のLEANAUDIO方式では、このエア漏れが無視できなくなるという事です(設計時の想定外ということ)。問題のスリットをポリパテで塞ぎ、スパイダの穴も紙か布で塞ぎ、さらにコイルギャップ部に磁性流体を注入すれば、気密性は上がると思います。あるいはフェイズプラグ(多分接着されている)をなんとか引っこ抜いてセンターキャップを自作する手もあります(この場合、特性によってはフルレンジとしての使用を諦める必要があるかも)。しかし、そこまでやる気にはちょっと。。。

一方、Alpair等のセンターキャップ型では、内部構造がどうあれ、振動板前後の気密性は完璧に保たれます。

フェイズプラグ付きのドライバであっても、スパイダ背面室にエア抜きスリットがなく、かつスパイダにも穴が明いていなければ、エア漏れはかなり改善されると思われます。ただし、最近の向こうが透けて見えるほど薄い軽量のスパイダ(多分布製)にどの程度の気密性を期待できるのかは不明です。

フェイズプラグの換わりにツイータを取り付けたコアキシャル型ドライバでも構造は基本的に同じであると考えられます。気密性が極めて重要となるLEANAUDIO方式では、このようなタイプのドライバを選択する際に注意が必要だと言えます。ひとつ勉強になりました。。。

YS137A-PSCの音質面では不満はありません。PPコーンでは「ドンッ」という音が「バンッ」気味に聞こえるので今ひとつ好きにはなれないのですが、そのへんも改善されました(ちなみにペーパーコーンのAlpair 6PとPPコーンウーハーは相性が良かった)。また、フルレンジとしても、ハチマル好みのナチュラルな音調であり十分使用に耐えると思います(まあ、ハチマル基準ですが)。外観も非常に高級感があります(特に問題の樹脂製フェイズプラグの仕上げが美しい)。

ご参考までにYS137A-PSCのデータを掲載します。
下は製品に添付されていた特性グラフです。
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20kHzまでレスポンスを維持しますが、7kHz付近に強いピークが見られます。このような特性はパークオーディオ製のアルミコーン ウーハーとそっくりです。

下はリスニング位置での測定結果です。
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赤がYS137A-PSC、青がAlpair 6Mです。YSは公称値通り12kHzまでほぼフラットに伸びていますが、やはり7kHz付近にピークが見られます。そのまま聴いてみましたが、特に気になる事はありませんでした。気になるようであればFrieve Audioでピークを消す事もできます。低域は、容積が2.5Lと極端に小さい事もありますが、Alpair 6Mとほとんど同等しか出ていません。PPコーンウーハーでは3Lの箱でもっと低域が出ていましたので、上記のエア漏れの影響かもしれません(ドライバのフランジの締め付けが足りずにエア漏れがあると、やはり低域が低下した経験があります。)。結論として、この種のドライバを極端に小容積の密閉箱と組み合わせる場合注意が必要です(普通そんな事しないと思いますが)。

さて、ZAP君のサブウーハをどうするか? ですが、そのへんは次回に。とりあえずPPコーンに戻しました。

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2011年04月24日 (日) | Edit |
サブウーハーについて書いてきましたが。。。

もし、爆音再生を求めず、「イコライジング」という言葉にもアレルギーがなく、特にジャズを愛聴される方には、密閉型 2Way(またバスレフポートを塞ぎ)+デジタルイコライザで50Hzまでフラットにブーストしてしまう方法を強くオススメします。10cmドライバであれば+10dB程度、13cmドライバでは+6dB程度(いずれも通常のアンプのトーンコントローラの調整範囲)でで50Hzまでフラットにでき、密閉型であるためそれ以下の周波数でもなだらかに減衰する特性が得られます。モダンジャズだとこの特性で十分でしょう。Behringer等の外付けデジイコを使用しても良いですが、PCを音源とするならばFrieveAudio等のソフトウェアで処理するのが最もお手軽です。

ハチマルの経験では、どんなに正確に低域ドライバ(サブウーハー)を調整したとしても、自然な聞こえ方(違和感の無さ)という点で微妙にブースト方式の方に軍配が上がります。特に低音のスピード感(遅れのない動特性)が重要となるジャズでは、ブースト方式の方に自然と手が伸びます。デジタルチャンデバを使用して位相の乱れなくウーハー(サブウーハー)を駆動できるようになれば、この差は縮まるかもしれません。そいう意味でもデジタルチャンデバ内蔵DACの出現が望まれます。

2Wayであれば、低域ブーストによる高域音の劣化という点でもフルレンジSPよりも有利でしょう。13cmや20cmの密閉型2Wayであればブースト量もより少なくて済み、音量も上げる事ができます。特にジャズを聴かれる方には、バスレフ型に比べてピチカートベースの聞こえ方が断然気持ち良くなるのでお薦めします。

反面、交響曲等のクラシックのフルオーケストラを愛聴される方には、低音限界に余裕のあるパワードウーハー(またはサブウーハー)方式が良いかもしれません。ハチマルも自然とそういう使い分け方をしています。

最近は密閉型の市販スピーカーが極端に少なくなってしまったので、自作した方が早いかもしれません(昔はもっと密閉型の比率が高かったような気がするのだが)。バスレフ型の筒っぽを塞ぐだけだと、箱の強度不足、容積の大きすぎ、吸音材の不足等が問題になる可能性があります。ブーストする場合「容積は最小限、箱はとにかく頑丈に」が重要です。それと「吸音材たっぷり」が基本。吸音材は「音を殺す」とか言われてとかく敬遠されがちですが(ハチマルにはこれが全く理解不能!)、記録されている音楽本来の「音を殺す」のではなく、各種現象によって生じる「不要な音」(付帯音)を殺してくれるだけです。決して振動板の動きを邪魔する物ではありません。記録されている音楽を素直に聴きたい方には、いかにもオーディオ臭い音よりもコチラの方が聞きやすいかも知れません。

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2011年03月12日 (土) | Edit |
以前の記事で投票によるブラインドテストを実施していますが(曲はマドンナのNothing Fails)、現在のところ「ブースト無しの方が良い」に4票、「どちらとも言えない」に3票という結果です。やはり、この曲において低域ブーストによる高音の劣化が感じられるのは確かなようです。

今回は、約100Hz以下をバイアンプ駆動のウーハーに受け持たせるいわゆる「新システム」と馬鹿ブーストの再生音を録音して比較してみました(どちらもAlpair6 Mを使用)。新システムの詳細についてはコチラをご覧ください。

今回のイコライザは30Hzまでフラットのフル馬鹿です。バイノーラル録音ですので、ヘッドフォンまたはイヤフォンでお聞き下さい。オープンエア型のヘッドフォンがお薦めです。
マドンナ/Nothing Fails
馬鹿ブー
新システム
前回よりもこちらの方が差がはっきりしてるようにも聞こえます。

ただ、普段馬鹿ブーストで音楽を聴いていて明らかに違和感を覚えるのは今のところNothing Failsだけで、マドンナを含めその他の曲ではこのように顕著な違和感を覚えません。また、この曲は僕のお気に入りで以前からよく聴いていたのですが、Alpair5を使用していた頃には馬鹿ブーストでもこのような違和感を覚えた記憶がありません。Alpair5を復活させたら再確認してみたいと思います。いずれにせよNothing Failsはちょっと特殊なケースだと思われます。

その他の曲も2つの再生モードで録音してみました。僕はこれらの曲の馬鹿ブーストでは違和感を覚えません。「音楽」の全体的な聞こえ方として違和感やフラストレーションを感じないという事です。

全て30Hzフラットで録音しました。今回のサンプルを録音していたところ、途中で例の地震が発生して混乱してしまい、どっちのファイルがどっちのシステムで録音したものなのか正確には分からなくなってしまいました。曲によって馬鹿ブーと新システムの並び順もバラバラだと思います。
バイノーラル録音ですので、ヘッドフォンまたはイヤフォンでお聞き下さい。オープンエア型のヘッドフォンがお薦めです。

マドンナ/American Dream
サンプルA
サンプルB
同じマドンナでもAmerican Dreamでは問題を感じません。下にAmerican Dream(赤)とNothing Fails(青)のソース スペクトルを示します。
706.jpg
スペクトル的には同じようなものです。

マイルス/Freedum Jazz Dance
サンプルA
サンプルB

ジミヘン/Johnny B Good
サンプルA
サンプルB

ベートーベン/ミサソレニムス
サンプルA
サンプルB

ベートーベン/交響曲No.5
サンプルA
サンプルB

ベートーベン/ピアノソナタNo.32
サンプルA
サンプルB

最後に
ストラビンスキー/春の祭典
馬鹿ブー
新システム
さすがに最強バスドラでは違いが分かりますね。こいつだけはどっちがどっちか分かりました。

サンプルは以上です。

短時間だと分からないのですが、長時間聴いていると新システムでは微妙に違和感を覚える事があり、結局ほとんど馬鹿ブーの方で聴いています(最近は45Hzまでフラットが標準設定)。もし新システムしかなければ全く気にせずに聴いていると思うのですが、馬鹿ブーの聞こえ方に慣れているとナンダカちょっと不自然に感じる事があるという事です。また、直接比較すると、馬鹿ブー方式の方がバスドラムの音が少しタイト(ハチマル好み)に聞こえます。それに、馬鹿ブーだとスイッチもアンプを1つONにするだけでOKだし(新システムだとアンプ2つとチャンデバをONにする必要があるので面倒)。近いうちにウーハーの箱にAlpair5を組み込んで新システム専用にする予定です。

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2011年02月27日 (日) | Edit |
前回はシンプルな2波長の混合波を使用しましたが、今回は実際の楽曲を使用して比較してみます。最後にブラインドテスト用の投票フォームも設けましたので、サンプルをご試聴の上ふるってご参加ください。

サンプル楽曲はマドンナの Nothing Fails です。詩も興味深いですし、僕のお気に入りの一曲です。この曲は45Hzにピークを持つ低音のズンドコが通奏されるので、今回の目的に適していると考えて採用しました。

左右SP間の干渉を避けるために、Frieve Audioで左右信号をミックスして左側のSPだけから再生し、SP前方約40cmの距離にマイクロフォンを置いて録音しました。今回はバイノーラル録音ではありません。

下は録音データのスペクトルです。
697.jpg
赤が30Hzまでフルブースト、青がブーストOFF(140Hz以上はフラット)です。縦軸は1目盛りが6dBです。イコライザは50~40Hzで約+12~15dBブーストしますので、ブーストの効果はほぼそのままスペクトルに表れています。緑は録音したWEVファイルに300Hzのハイパスフィルタを適用した特性です。このスペクトルはブーストONとOFFでほとんど同じなので1本だけプロットしました。今回は、この低域をカットした音を聴き比べてもらいます。ちなみに普段マドンナを聴く時は50Hzまでしかブーストしません(それ以上ブーストすると机の振動が手に感じられるため)。

ではご試聴ください。

いつものように192bpsでエンコードしています。L側だけに音が入っています。今回はバイノーラル録音ではありません。マイクをSP前方40cmに設置して録音しました。

まず録音した未処理の音です。低音は小さなSPでは聞こえません。
ブーストOFF
30Hzフルブースト

次にフルブースト音に300Hzのローパスフィルタを適用した音を聴いてみてください。ズンドコのみ
演奏中ずっとズンドコしているのがお分かり頂けると思います。ただし小さいスピーカーでは聞こえませんので、大きなスピーカーか低音の出るイヤフォンで聴いてみてください。

そして最後が今回の目的である300Hzハイパスを適用したファイルです。この2つを聴き比べる事によって、低域ブーストによる高域音への影響を聴感で評価しようというのが今回の狙いです。300Hz以下の低音が入っていないので小型のSPで再生しても評価できます。ご試聴の上、よろしければ下の投票フォームでどちらの音の方が良く聞こえたか投票してください。

サンプル1
サンプル2

ブラインドテストなので、どっちがどっちかはもちろん内緒です。自分自信では完全なブラインドテストができないので定かではありませんが、ある点に気を付けてよーく聴くとハチマルの耳でも微妙な違いが分かるような気がする時があります。オンナジヤン!と聞こえる時もありますが。。。

投票は1回しかできません。締め切りは来月末としました。途中結果は評価の性格(ブラインド)を考慮して非公開としました。

追記
投票は終了しました。「サンプル1の方が良い」に4票、「どちらとも。。」に4票、計8票という結果でした。
ご協力ありがとう御座いました。「どちらとも。。」に投票された方は、マドンナの息継ぎの音に注意して聞いてみてください。馬鹿ブーだとちょっと痰がつまってゴロゴロした感じに聞こえます。後の記事で書きましたが、この曲はちょっと特殊で、僕の耳では他の曲で馬鹿ブーの音質劣化を聞きわける事はできません。コチラの記事も参考にしてください。

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2011年02月26日 (土) | Edit |
ほぼ満足できる録音条件が決まりました。

マイクを改良しました。
695.jpg
前の記事の状態では、使用しない側(本来のバイノーラル用)のマイク穴を完全にビニルテープで塞いだのですが、それが良くないらしいというのが分かったので、穴を直接塞がずにスピーカーボックス用の吸音材を穴部に当てた状態でイヤフォンに固定しました。

下に各種状態でのソースと録音データのスペクトルを示します。赤が録音データ(MP3データなので16kHz以上は急激に落ちている)、青がCDのソース信号です。ソース楽曲はベト5。

1) メーカー指定の方法でマイクを耳に装着した状態
692.jpg
この状態では低音が籠もり気味に聞こえました。グラフのオレンジ色の部分を比較すると、ソースや他の測定データに比べて特性がやや左上がりになっているのが分かります。

2) 前記事の状態: メーカー指定と反対向きにしてイヤフォンに固定した状態(バイノーラル用の穴はテープで塞いだ)
693.jpg
低音の聞こえ方は良くなったのですが、特にカナル型イヤフォンで聴いた時に高音がややキツメに聞こえました。黄色の領域でディップと盛り上がりが見られます。

3) 今回の状態: 穴を塞ぐのを止めて、かわりに吸音材を穴に当てた状態
694.jpg
高域の特性がスムースになりました。

周波数が高くなるにつれ頭部形状の影響が現れやすくなりますが、上図の高域部の特性差の主要因はマイクロフォン自体にあります。SP前方にマイクだけを置いて測定した時も同じような特性の違いが見られました。

上記は雑な実験的測定の結果です。下に第5交響曲の本番録音のスペクトルを示します。
696.jpg
青がCDのソース信号、赤が録音データ(これはWAV)です。見やすくするために重なった部分を黒で表示しています。10kHzまでは非常に良く一致しています。頭部の影響がどの程度F特に含まれているのかは?です。

今回は各種ジャンルから9曲録音しました。ご試聴ください。

条件: イコライザは45Hzまでフラット(30Hz/-6dB)、試聴距離は約50cm、192kbpsでエンコード、S/Nを上げるために音量は普段よりもやや大きめ(深夜、早朝だとイエローカード級)。

今回、Victorのカナル型イヤフォン、SONYのオープンエア型ヘッドフォンMDR-F1、AudioTchnicaの密閉型ヘッドフォン(安物)で真剣に聴き比べたのですが、特にマドンナを聴くとカナル型イヤフォンでは低音が実際よりもかなりズンドコ気味に聞こえます。密閉型ヘッドフォンはイヤフォンよりもましですが、やはり実際よりもズンドコします。低音に限って言えば、オープン型ヘッドフォンが最も実際の聞こえ方に近いように感じました。耳の外に置いたマイクで録音しているので、耳の外側のオープンな空間で再生した方がリアルに聞こえるのかも知れません。再生も難しいですね。

それではご試聴ください。バイノーラル録音なのでイヤフォンまたはヘッドフォンでご試聴ください。オープンエア型のヘッドフォンがお薦めです。

まずはおなじみの3曲から
ベトベン交響曲第5番
マイルス フリーダムジャズダンス
ストラビンスキー 春の祭典

初録音の3曲
ジミさんのJohnny B. Goode (ゴッキゲーン!、20秒間身体を停止させるのに困難を極めました)
ジャコさんのTeen Town(WR: 8:30) (ひたすらリピートでジャコの無限加速地獄をお楽しみください)
マドンナさんのAmerican Dream (ボリュームにご注意!)

最近よく聴くベトベン晩年の作品から(僕の中では上の3曲とベトベンは何ら隔たり無く共存しています)
大フーガ
ミサソレニムス(だっけ?)
最後のピアノソナタ(32番) ピアノは実際の再生音とは随分違って聞こえます。ピアノの再生が一番難しい気がする。

上記は全て45Hzまでフラットな特性で録音しています。特にクラシックでは高域を少し落とした方が聴きやすくなると思います。僕は気分に応じてそのへんをイコライザで調整しています。しかし、いずれにせよLEANAUDOでは余分な響きを極力抑えているため、一般的なオーディオマニアの方には音がキツク聞こえるかもしれません。

追記
左右のマイクで約3dBの感度差があります。右側が3dB低めです。このため音像はやや左寄りに定位するかもしれません。

追記2
直接SPの音を聴いては、イヤフォンとヘッドフォンをとっかえひっかえ聴き比べてみたのですが、やはりSONYの例のオープンエア型ヘッドフォンMDR-F1で聴くのが最もリアルです。気持ちの持ちようによっては、前方から聞こえるような気もします。バイノーラル録音とMDR-F1はナカナカ良い組み合わせかもしれません。

追記3
ミサソレニムスのソース(MP3)です。ソレニムス

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2011年02月22日 (火) | Edit |
馬鹿ブーストの弱点は、1つの振動板で全帯域をカバーするために、低域をブーストした信号で振動板を大きく振動させがら高域音も再生しなければならないという点にあります。マルチウェイ化して帯域を分割した方が、この点では有利になるのは当然です。しかし僕は、音楽の全体的な聞こえ方の自然さから、100Hz以下を13cmウーハーに受け持たせる新システムよりも、小径フルレンジ1発で可聴帯域のほぼ全域をカバーする馬鹿ブースト方式を好みます。

とはいえ高域の音質がどの程度劣化しているのか気になるところではあるため、今回はそこのところを簡易的に解析してみました。
まずソース信号として、50Hz正弦波と4kHz正弦波を合成した波形(16bit/44.1kHz)をソフトウェア ジェネレータで生成し、これをWAVファイルとして保存しました。ちなみに4kHzは人間の耳の感度が最も高くなる周波数です。
下図にソースの波形とスペクトルを示します。
688.jpg
682.jpg

これをFrieveAudioで再生して、30Hzまでフルブーストした音と、低域ブーストしなかった音をSP前方10cmで収録してWAVファイルに記録しました。次に、4kHの音だけを聴き比べるために、録音したWAVファイルに1kHz以下をカットするハイパスフィルタを適用したファイルを生成しました。このような方法によって、ブーストあり/なしで記録された2つの音の4kHzの音だけを解析する事ができます。

ハイパス処理後の2つのファイルのスペクトルを下に示します。
まずブーストあり
689.jpg

次にブーストなし
690.jpg

上の2つのスペクトルを比較すると、ブーストありの方が4kHzのピークの幅がやや広がっており、高調波のピークも顕著に表れています。このデータを見る限り、ブーストありの4kHzの音はブーストなしに比べて明らかに劣化していると言えます。

次に波形を重ね合わせてみました。青がブーストあり、赤がブーストなしです。
687.jpg
サンプリングレートはCDと同じ44.1kHzなので、4kHzの1サイクルの波形には約10個のサンプル点が含まれます(20kHzだと、たったの2点になってしまいます)。さて、波形の比較ですが、この程度のサイクル数を見ただけでは違いは全く分かりません。波形(周波数)が50Hz周期で微妙に変動しており、その影響がFFTに表れたものと思われます(ドップラ効果?)。

以下に音声ファイルを添付します。

WAVファイルは添付できないので、最高の320kbpsでMP3にエンコードしました。音はLchだけに入っています。高性能イヤフォンでのご試聴をお薦めします。

下の3つのファイルはハイパス処理なしなので50Hz音が聞こえます。
ソース(未処理): SOURCE
ブーストあり(未処理): ブーストON RAW
ブーストなし(未処理): ブーストOFF RAW

こちらはハイパス処理しているので4kHz音だけを聞く事ができます。
ブーストあり(1kHzハイパス): ブーストON ハイパス
ブーストなし(1kHzハイパス): ブーストOFF ハイパス

出だしの音は波形のどの位置から再生が始まるかによって結構聞こえ方が異なります。出だしの音ではなく中間の連続音に注目してください。

どですか?WAVファイルをiPodに入れてイヤフォンで聴き比べたのですが、僕の耳では違いがよく分かりませんでした。実際には低音と一緒に聞く事になるので、高域音だけ分離して聞くよりもっと違いが分かりにくくなると思います。

追記
それ程悲惨な事になっていない事がデータでも確認できて一安心というのが率直な感想です。前の記事の超絶低音の結果も含めて、馬鹿ブー方式のポテンシャルを再認識できたと思います。ネットワークなしで全ての音が1点を中心に放射されるというのは、音楽の全体像を自然に聴き取るという事において、また特にニアフィールドリスニングにおいて非常に重要だと思います。

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2011年02月20日 (日) | Edit |
今回は、僕のコレクションの中では最強の低音信号であるストラビンスキー「春の祭典」のバスドラを録音してみました。ついでに振動板が激しく前後する様子を撮影した動画もお見せします。

サンプル楽曲は今までにも再三取り上げた「春の祭典」(シャイー指揮/クリーブランド)です。
226_20110220113513.jpg
このCD中の最強の一打を馬鹿ブーストで再生すると、Alpair5では振動板が暴れて「ブリブリ」とか「ビチビチ」と下品な音がしました。しかしAlpair6 Mでは多少音が歪みっぽく聞こえはするものの、破綻する事なくなんとか再生してくれます。今回はその最強の一打を録音しました。
下が今回使用した約20秒のソース波形です。後半にある16ビット幅一杯のピークが問題のバスドラです。
679.jpg

下はこのピークを時間方向に拡大した波形です。
678.jpg
下はこの部分のスペクトル分布です。35Hzに強いピークが見られます。
677.jpg
すなわち35Hzのフルスパン信号が記録されているという事です。条件としてはかなり過酷だと思います。

それではご試聴ください。振動板の動画もご覧頂けます。

録音条件は前記事と同じです(バイノーラル録音はイヤフォン/ヘッドフォンでご試聴ください)。

ソース: SOURCE
SP前方20cm/30Hzフラット: SP前20cm EQ30Hz
バイノーラル/30Hzフラット: バイノーラルEQ30Hz
バイノーラル/イコライザなし: バイノーラルEQなし

下は振動板を手持ちで撮影した動画です。
[高画質で再生]

春の祭典 Alpair6 M [ホスティング]

下はソース波形(青)とSP前方20cmで測定した波形(赤)の比較です(片Chずつモノラルで測定したものではないので左右の干渉が含まれます)。
676.jpg
限界に近い条件なので波形はかなり崩れるかと予想していたのですが、思いの外正確に原信号をトレースしているので驚きました。Alpair5の時は悲惨でしたから。。。

よく聴くと最強1発は素早く制動してすかさずもう1発打っています(ドン・ドーーン)。下は2発目まで比較したものです。振動板は打撃の合間にフラフラする事もなく、よく制動が効いているように見えます。
675.jpg

下はバイノーラル録音のイコライザ有り(青)とイコライザ無し(赤)の波形を比較したものです。
680.jpg
イコライザなしでは2発のバスドラ(ドン・ドーーン)を全く表現できていない事が分かります。その他の打撃は別のドラムのようで周波数も高めです。今回試聴位置がやや左寄りであったようで、右側の信号レベルが低くなってしまいました。次から気を付けます。

追記 1
今回、「35Hzという下限近い周波数+フルスパンの大信号+タイムドメイン的に厳しい打撃音」という非常に厳しい条件で納得のゆく低音再生性能を確認できた事には大きな意義があったと思います。さすがに8cm径では限界近いという感じを受けますが、10cmあるいは13cmのドライバを使用すれば十分な余裕が得られると思います。逆にあまりに大径にすると、追従性の面で問題が生じるかもしれません。

追記 2
測定波形と信号波形をもう少し正確に比べるために、FrieveAudioでLchだけ出力して録音した。こうする事により反対チャンネルからの干渉のない波形を比べる事ができる。
681.jpg
案の定、本文中の波形比較よりもさらによく一致している。ここまで一致するとは思っていなかったが。。。Alpair6 Mはよく頑張っていると思います。

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2010年12月23日 (木) | Edit |
このブログを立ち上げる以前は、ハチマルも4Lのバスレフ型から始めて、ポート長/径はもちろん、断面形状、開口端のファンネル形状/風切り音対策、内部音の直射を防ぐためのボックス内外の仕切り板、吸音材の量等々、それはそれは片っ端から試したのですが、何をやっても長時間聴いているとそのうち癖が耳に付きだして結局ポートに吸音材をドンドン詰めて密閉型にナッチッタ。。の繰り返し。
締まりのない低音を嫌って容積を2.5Lへ縮小し、それでも駄目で結局密閉型にして市販のパワードサブウーハー(密閉型に改造)を追加、さらにサブウーハーなしのAlpair5馬鹿ブースト、Alpair5だと時々低音がズッコケルのでバイアンプ駆動の密閉型13cmウーハーによる低音アシスト。。。。を経て、Alpair6 Mの馬鹿ブースト一発が今一番のお気に入りというトコロで落ち着いています。結局全ての帯域の音を振動板の「前面」だけから発生するというのが最もシンプルで最も自然に聞こえるという事だと思います。「音」自体がツマラナイとかツマルとかの問題ではなく、記録されている「音楽」をできるだけ自然な音で明瞭に正確に聴き取って、「音楽のツマルところ」を存分に楽しみたいというのがハチマルの願いです。

。。。。。と偉そうに言ったものの。。。。。思うに。。。チョット脱線しますが、
MarkAudio Alpairシリーズの恩恵が大きいのではないかと最近ふと思います。というのは音が非常に明瞭かつ自然であるため、付帯音を徹底的に取り除いても音が際だつのではないのか? 付帯音を落とせば落とすほど響きが自然で美しく聞こえるのって、もしかしてAlpairのおかげかもしれないゾ?とね。以前使っていたF80/AMGだと音が沈んでしまって確かに「音がツマラン」かったコトを思い出しました。あの頃は吸音材なしで戸澤を入れただけだったし。もうちょっと音に艶が欲しいとか言ってゴニョゴニョとイヂッタ記憶が。。(背圧を抜くためのポチの尻尾とかアホなコトをした)。


で本題に戻りますが、
どのくらいまで低域特性を延ばす必要があるのか?。。。というのも今までにイロイロ試してきました。FrieveAudioイコライザを使えば周波数特性を如何様にも調整できるのでそのへんはトッテモ簡単です。
結論としては
● 50Hzまでフラット(43Hz/約-3dB、30Hzで-9dB)であれば十分
● でも交響曲を聴くと30Hzまでフラットにした方がホンノリ嬉しいゾ
というところかな?

部屋全体の空気を動かすような大ボリュームで再生すれば違ってくるかもしれませんが、それはハチマルの目指すトコロではありません。

下図はA6 Mの馬鹿ブーで20Hz、30Hz、50Hzまでフラットに修正した時のF特です。
655.jpg
赤の測定データはA6 Mの未補正特性、赤の直線は-12dB/Octの減衰ラインです。A6Mは吸音材をタップリ入れて機械的共振を殺しているので50Hzまでは-12dB/Octラインには乗らずにダラ下がりの特性になっています。ピンクのラインは50Hzに共鳴点を合わせた場合のバスレフ型の減衰特性です。2つ前の記事の計算結果を反映しています。

50Hzフラット(-3dB/43Hz)であれば、前の記事の黄色帯域(40Hzまで)を十分に再生できます。また密閉型であるため、それ以下の周波数のレスポンスもなだらかに減衰するので30Hz/-9dBを確保できます。市販の立派なスピーカーと比べても遜色の無い特性だと言えます。
664 copy
カタログデータで30Hz/-10dBの特性を持つFOSTEX G200 (20cmウーハー2本使用した4Wayスピーカー)との比較。13cmドライバを+6dBするだけで、ほぼ同等の特性が小容積の密閉型で得られます。もちろん最大音量では負けますが、一般家庭で常識的な音量できく分には十分だと思います。左側のラインは30Hzフラットの特性。

普通サイズの部屋では、50Hz以下で部屋の音響特性によるゲインが発生するので、一般向け市販品であれば30Hzまでフラットに延ばさない方がかえって良いかもしれません。極低音でブーミーになる可能性があります。音場補正を前提とするか、ハチマルのように1m以内のニアフィールドリスニングを前提とするのであれば30Hzフラットでも良いけれど。。。

609.jpg
ハチマル部屋の距離1.4mでの特性(参考記事)。50Hzから25Hzにかけて約+12dB/Octのゲインが発生しています。小さめの部屋で1m以上離れて聴く場合は50Hz以下をブーストしない方がかえって良いかもしれませんよ。お部屋の影響はとにかくデカイのでご注意!

前の記事のスペクトルを見る限り、交響曲の30Hz以下の信号レベルは大して高くないのですが、どういうワケか30Hzフラットで聴いた方が微妙に嬉しく感じます。理由はよく分かりません。普通のオーケーストラでは、ソンナニ低い音を出す楽器は使っていないと思うのだけれど。。。ホールの残響?それとも多数の楽器によるモジュレーション?

大概の楽曲では50Hz以下の信号レベルは高くないので、別にフルブーストしても振幅レベルは大した事にならないため、普段は30Hzフラットを標準設定としています。しかし、マドンナの曲(前の記事のBad Girlのスペクトルを見てね)ではモロ30Hzまで高い信号レベルが記録されており、これを30Hzフルブーストで再生するとデスクの振動が手に伝わって気色悪いのでブーストを落とします(A6M自体はこの低音でも破綻せず平気で再生してくれるんだけどね)。

低域応答をフラットにするために必要なイコライザ係数を下図に示します。
658.jpg
赤がAlpair6 M+2.5L密閉、青が13cmウーハー+4.0L密閉です(共に吸音材タップリ)。縦軸は200Hzを0dBとしてプロットしています。この図から、A6 Mでは+12dB、13cmウーハーではたったの+6dBで50Hzまでフラット(43Hz/-3dB、30Hz/-9dB)の特性が得られるコトが読み取れます。

FrieveAudioは内部演算を64bit分解能で行い、DACに合わせて24bitで出力するため、+48dBを超えるブーストをしない限り、オリジナルの16ビットデータの最小ビット情報を失う事はありません。また、ビットのオーバーフローが発生すると、自動的にレベルを調整してくれます。iTuneとかのオマケのイコライザとはワケが違います。+12dB程度のブーストで果たしてどの程度の音質劣化が感じられるのか?分かりませんが、バスレフ型に比較した場合の「総合的な音楽再生クオリティの向上」に比べれば、そのような「音質」の劣化は「屁」みたいなものだと思います。

デジタルブーストがどうしても受け入れられない場合は、

バイアンプ駆動の密閉型ウーハーによる低音アシストでも良質な低音再生が得られます(いわゆる新システム: 参考記事)。ただしアナログフィルタを使用する場合にはどうしても位相の問題を避けられません。下図は、アナログチャンデバの位相遅れによる波形の崩れを示しています(ピチカートベース音: 赤がCDの信号、青が再生音波形)
565_20101219084943.jpg
位相遅れによって波形は崩れますが、バスレフのようにトランジェント部で波形が大きく崩れる事がないので、ピチカートベースではほとんど気になりません。ただし、このような波形ではポールチェンバースのアルコ(弓引き)のソロパートで違和感を覚えた経験があります。
FrieveAudioは位相も補正してくれます(ON/OFF可能)。上と同条件で位相補正をONにした波形を下に示します。
564_20101219084914.jpg


。。。。。という具合に、8cmクラスのドライバでも、小容積密閉箱に入れて100Hz以下を約+12dB/Octの傾きで+12dB程度までデジタルイコライジングするだけで、いとも簡単に位相まで含めて極めて正確で十分な低音再生能力が得られます。中高域の音をイヂリたくないというのであれば、全域の音場補正をせずに200Hzなり100Hz以下の低域だけブーストすればヨロシイ。一般にアタリマエのように使用されているアナログ式の-12dB/Octフィルタは、クロスオーバー点で位相が180°もずれます(だから普通はツイータを逆相でつなぐ)。そんな代物が平気で使われているワケですから、デジタルフィルタによる多少のブーストくらい「屁」でもないでしょう。。。と思うのですが。そもそも音源は最初っからデジタルデータなんだし。。。

もちろんブースト領域の最大振幅によって音量的な制限を受けますが、Alpair6 Mにしてからは低音が破綻せず全く音量的な不足を感じません。さすがにAlpair5では無理があったなぁ。。と反省。
ブースト量を+12dB程度に抑えておけば、音量的な制限は大した問題にはならないでしょう。6畳クラスのマンションの小部屋であれば10~8cmクラス一発で全くOKだと思います。13~16cmクラスのドライバを使用すれば、一般家庭のリビングでも快適音量で聴く分には十分ですよ。きっと。

1982年にCDが発売されてからもうすぐ30年になろうとしています。音源がデジタルで配布されるようになって30年。。。。どしてコンナニ簡単な方法が未だに普及していないのか? ハチマルには不思議で不思議で不思議でと百回言っても足りないくらい不思議でなりません。

もしかして簡単過ぎてマニアにはツマライから???
オーディオってのは電線の違いを聞き分けるようなマニアだけのためにあるのではアリマセン。
鉄道だって、前照灯のちょっとした位置の違いで型式を見分ける鉄道マニアのためにあるのではないのと同じです。アタリマエだけど。。

やたらコマケー事は置いといて (前照灯の位置の違いなんか興味ないから)、普通のリスナーに (普通の通勤客を) 必要十分な音質+適正価格で肝心の音楽を低音までマヂメにキチンと聴かせてチョ (低料金で乗り心地よく安全に運んでチョ、鉄道会社はマジメに頑張っていると思うけど)。。と言いたいぞ。ハチマルは。

以上で「シツコイけど」3回シリーズはオシマイ。

追記
LEANAUDIOコンセプトにとって極めて重要なFrieveAudioMarkAudio Alpairについては、あらためてキチントした記事を書きたいと考えています。ただ書くことが多過ぎてまとまらないのよ。あと、ジャコのコトもね。

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2010年05月29日 (土) | Edit |
前回の記事の録音データを使用して、FrieveAudioイコライザの効果を検証してみました。

マイルスの「Hand Jive」の冒頭3.5秒だけを、正確に切り出してスペクトル解析した結果をご紹介します。

535.jpg
全域

534.jpg
低域のみ拡大

黒がCDのデジタルデータをそのまま解析した結果です。基本的に原音再生とは、この信号通りの音がスピーカーから出てくるだけでなく耳に届く事を意味します。

原音再生が必ずしも「好きな音」に聞こえる訳でもないでしょうし、ましてや「最終目標」でもありません。しかーし、これはオーヂオイヂリに手を染める場合の「出発点」あるいは「基準点」で有る事は確かでしょう。これを基準に「好きな」方向へイヂルのが最も効率が良いし、とんでもない方向へズッコケナイ方法だと思います。それがハチマル的アプローチ法なんです。

でと。

青と赤は、黒の信号をスピーカーで再生し、これをマイクロフォンで録音したWAVファイルからの結果です。早い話がマイクロフォン位置で実際に耳に届く音の特性です。
青がイコライザを使用せずにそのまま再生した音、赤がFrieveAudio自動音場補正で作成したイコライザ特性を使用して補正したもの(いわゆる30Hzフラットの馬鹿ブースト)です。8cmのAlpair5一本ですよ。

音を聞いてみる→(補正なし / 馬鹿ブースト):
小さいスピーカーでは違いが分かりません。それなりのイヤフォンで聴いてみてください。

理論上は全くアタリマエの事なのですが、ここまで綺麗に原信号のスペクトルが再現されているのを目の当たりにするとちょっと驚きです。
さあ、赤と青のどっちがとりあえずホントの音に近いと言えるでしょうか?

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2010年05月29日 (土) | Edit |
以前うまくアップできなかった録音データをアップします。

録音方法はコチラの記事を参照してください。
ファイルサイズを抑えるために192kbpsでエンコードしました。

曲はマイルスの「Nefertiti」から「Hand Jive」の冒頭約15秒です。
録音はモノラル。
低音のしっかりと出るイヤフォンでの試聴をお薦めします。

なお1000円のパソコン マイクでの録音ですので、これがAlpair5の音だとはゆめゆめ勘違いされぬようお願いします。

イコライザ有り無し比較
1) 一切の補正なし
2) 30Hz-20kHzフラット(いわゆる馬鹿ブースト: 8cmフルレンジ1本ですよ)

どうです?意外と違いが地味でしょう?
同じに聞こえる? 小さいスピーカーじゃ違いは分からないはずです。
ホンマにブースト効いているの?
という方のためにスペクトルデータをお見せします。

これがCDの信号↓
530.jpg
ブーストなしの録音データ↓
531.jpg
馬鹿ブーストの録音データ↓
532.jpg
ね。ちゃんと効いてるでしょ?

以下、馬鹿ブースト状態に対して帯域フィルタ処理します。

まずは低域だけ取り出してみましょう。
3) 100Hzローパス (聞こえますか? ボソボソ ボンボン。この程度なんですよ。)
4) 200Hzローパス (もうマイルスのペットが聞こえますね)
5) 400Hzローパス (ハビさんのピアノも聞こえました)

次に低域だけカットします。
6) 30Hz-20kHzフラット(馬鹿ブースト再び)
7) 100Hzローカット (ロンさんのベースラインが十分聞こえますが重みがありません)
8) 200Hzローカット (ベースラインが随分小さくなってしまいます)

今度は高域だけをカットします。
9) 30Hz-20kHzフラット(馬鹿ブースト再び)
10) 10kHzハイカット (あまり変わりません。まあMP3だし)
11) 7kHzハイカット (トニさんのシンバルが明らかに落ちます)
12) 5kHzハイカット (もう全然駄目)

どうですか? 聞こえました?
もうちょっとマシな録音ができれば良いのですが。。

少なくとも200Hz~7kHzの間ではクロスオーバーしたくないなぁ。。というのが僕の感想です。

特にニアフィールド リスニングでは高域のクロスは避けたいですね。例えば7kHzの波長は5cmに満たないため、同軸タイプにしないと位置的な違和感が無視できなくなるような気がします。

100Hzの波長は3.4mもありますが、それでもAlpair5とウーハーをできるだけ近付けた方が自然に聞こえます(Alpairの箱を上下逆さまにして比較)。ニアフィールド リスニングではユニット間の距離がとても重要みたいです。ですから今回の新システムも、Alpair5 一発馬鹿ブーストの自然さには微妙に劣ります。

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2009年06月06日 (土) | Edit |
ある意味同じです。

両方のスピーカーをイコライザーで30Hzまでフラットに補正した状態で、8cmスピーカーが30Hz/0dBの信号を許容範囲内の歪みで再生可能な音圧レベルで揃えて、同じ楽曲を再生したときの30Hzの再生音は基本的に同じはずです。すなわち、この状態における30Hzの正弦波信号は、どちらも30Hzの同一振幅の正弦波音圧として再生されるはずです。

つまり「8cmスピーカーが30Hzの信号を歪み無く再生できる音量の範囲内で同一音量で比較すれば」という条件であれば、基本的に38cmも8cmも得られる30Hzの音は同じであると言って良いと思います。

しかし、それ以上の音量になれば当然違います。

そもそも8cmスピーカーでは、それ以上の音量で30Hzの信号を正しく再生する事はできないからです。ですから大音量で再生する場合には当然大径のスピーカーが必要になります。

これは繰り返し言いますが、近接距離による低音量再生だからこそ8cmスピーカーで30Hzまでフラットにできるということです。

すなわち限界ブーストとは、目標とする下限周波数の最大信号がギリギリ再生できる音量にアンプのボリューム調整してから、f特がフラットになるように中高域のゲインを下げる事に他なりません。そして、そのようにして得られる音量が快適な音量より低くなってしまう場合は、下限周波数を上げる必要があります。

つまり、イコライジングの下限周波数は再生音量によって左右され、スピーカーが大きければ同一下限周波数のイコライザ設定で再生可能な音量が大きくなり、あるいは同一音量で比較すればスピーカーが大きい方がイコライザの下限周波数が下げられるということです。基本的にそれだけのことだと思います。









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2009年05月21日 (木) | Edit |
相変わらず馬鹿ブーストで音楽を聴いていますが、「春の祭典」やマドンナ以外は特に問題なく聴けています。しかし、このようにヤクザな方法でほんとうにまともな音が聴けているのかどうか多少不安もあるため、フリーソフトを使用してちょっとした測定を行ってみました。

方法:
1) 単一周波数の正弦波信号ファイル(16bit WAVE)を作成 (WaveGene Ver.1.40を使用)
2) このファイルを再生してスピーカー直前に置いたマイクロフォンで録音 (Windowsのボイスレコーダを使用)
3) 録音されたWAVEファイルの波形を観察 (WAVANA Ver.0.10を使用)

アンプのボリュームは日ごろ音楽を聴く時の標準位置としました(イコライザのベースレベルを-13.5dBとした場合の標準位置: アンプのボリューム調整範囲[7:00~5:00]に対して約8:50の位置(1/5弱)、アンプ最大出力: 60W)。ちなみにイコライザを使用しない場合の標準ボリューム位置は8:00(1/10弱)くらいになります。

以下に測定波形を示します。
0dB信号 (すなわちCDのダイナミックレンジをフルに使用した最大レベルの信号) をスピーカーで再生してマイクロフォンで測定した波形を黒で示しています。赤は上記に対して-6dBの信号の測定波形です。比較のために波形の表示振幅を同一に揃えています。

243.jpg 70Hz 0dB

244.jpg 50Hz 0/-6dB

245.jpg 40Hz 0/-6dB

246.jpg 30Hz 0/-6dB

70Hzでは0dBでも綺麗な正弦波になっていますが、50Hz以下の0dB波形には明らかな歪みが見られ、周波数の低下とともに歪みは大きくなります。-6dBでは30Hzでも大きな歪みは見られません。

以前の記事にも書きましたが、「春の祭典」等の特殊な事例を除くほとんどの楽曲(主にクラシック、ジャズ)では、50Hz以下の信号レベルはもともと低く (多くの場合はピークで-20dB以下)、ごく稀に-10dBに達するピークが発生するに過ぎません。従って現在使用しているイコライザ設定(下図、50Hz以下で約+10dBのブースト)では、デジタルオーバーフローによるAVCの作動は非常に稀にしか発生しません (このブースト設定では50Hz以下のピーク信号レベルは通常-10dB程度)。
248.jpg

このため通常のボリューム位置で音楽を聴いている限り低域に明らかな歪みを感じる事はありません。「春の祭典」もこのボリューム位置で聴く限り問題は無いのですが、あの爆発的ティンパニを収録するために録音レベルが低く(つまり録音ダイナミックレンジが広く)、従ってアンプのボリュームを上げて聴く必要があるために問題が生じるわけです。ベース好きの僕はベースソロのパートでボリュームを9:15くらいまで上げたりするのですが、そのような場合にも歪みを感じる事があります。

下図はボリュームをほんの少し上げて測定した40Hz / 0dBの波形です(ボリューム位置: 9:00)。極端に歪みが増加して「ブー」という音が「ブリブリ」という音に変わるので、はっきりと限界が分かります。しかし振動板やコイルがどこかにぶち当たる音はしないので、スピーカーの機械的な限界に達しているのではなさそうです。このボリューム位置でも上記のベースソロの一部を除くとほとんどの曲では問題を感じません (実際に信号レベルが0dBに達するのは極めて稀であるため)。特にクラシックを聴く場合にはまだ余裕がありそうです。
247.jpg 40Hz 0dB, ボリュームUP

実際の楽曲の信号には様々な周波数成分が重畳されるため、50Hz以下の周波数成分だけで0dBに達する事は考えにくいですが、いずれにせよAlpair5をほぼ限界近くの状態で使用している事は確実です。つまり低域の限界ブーストとは、ユニットを限界入力で駆動している状態から中高域だけを減衰させる事に他なりません。

正直言って音量的にもう少し余裕が欲しいところですが、本来ツイーター的な用途を狙っているAlpair5には酷な要求だと言えます。以前にも書きましたが、サブウーハーなしで低域ブーストを行う場合はAlpair6またはCHR-70以上を推奨します。

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2009年05月10日 (日) | Edit |
前記事の楽曲信号レベルを参考にしてイコライザー設定を2種類作成しました。ほとんど全ての楽曲に適用可能なフルブースト仕様(30Hzフラット)と、「春の祭典」用のブースト制限仕様(50Hzフラット)です。
230.jpg
赤がフルブースト、青がブースト制限仕様
イコライザのベースレベルは-12dB(ピンクのライン)
一般的にデジタルイコライザーで極端なブーストを行うとデジタル信号のオーバーフローが発生します。再生中にそのようなオーバーフローが発生すると、Frieve AudioのAVC機能(自動ボリューム制御機能)が作動してトータルゲインが自動的に下げられます (言いかえれば、ダイナミックレンジが拡大されます)。演奏の途中でAVCが作動するとボリュームが急に下がってしまうため、通常は予めAVCを下げておくか、あるいはイコライザーのベースラインを下げておく必要があります。

このようなゲインダウン (ダイナミックレンジの拡張) を16bitデータのままで行うと、最下位の数ビットの情報が失われますが、Frieve Audioは内部演算を64bitで行い、かつ使用しているDACが24bitデータ入力に対応しているので、理論的には下位bitの情報が失われる事はまずありません (16->24bitであれば48dB(8bit=256倍)まで大丈夫)。ただしアナログ変換後のS/N比は当然低下します (同じ音量で聴くにはアンプのボリュームを上げる必要がある)。僕のオーディオPC (ONKYO HDC-1L) は特に高S/N比 (120dB) を売りにしているので、アンプのボリュームを上げてもノイズはほとんど聞こえませんが、オンボードのサウンドポートを使用するとはっきりとノイズが増えるのが分かります。大ブーストを行う場合はDACの入力bit数とS/N比が非常に重要になりますので、機器選びの際には注意してください。


フルブースト仕様では、イコライザのベースレベルを-13.5dBに設定しています。イコライザの最大係数が約+10dBとなるため、通常の曲であればACVが作動する事はまずありません (前の記事を参照してください)。また極まれに作動したとしても1~2dB程度なので音量の低下はほとんど感じません。

下図は補正後の周波数特性です。
229.jpg
赤がフルブースト(30Hz)仕様、青がブースト制限(50Hz)仕様
黒の線はFOSTEX G2000のカタログデータ
232.jpg
FOSTEX G2000
20cmウーハーx2, 4way

もちろんG2000は広いリスニングルームにおける大音量再生を想定して設計されているので、フェアな比較とは言えませんが、ニアフィールドによる小音量再生だからこそ可能な芸当であるとも言えます。

直径たった5cm程度の振動板だけで反転ポートも使用せずに30Hz~30kHzの音がフラットに再生できてしまいます (20kHz以上はマイクの感度がないので測定できていません)。この状態を一度経験すると、もはやサブウーハーやマルチウェイではどうあがいても絶対に満足できないのではないかと思えてなりません。大振幅による歪みの増加やS/Nの低下はそれ相応にあるのでしょうが(僕の耳では問題は感じない)、そんな瑣末な事はどうでも良いと思わせるほどの根本的な「自然さ」「聴きやすさ」「心地よさ」を感じます。

欲を言えばAlaprir5ではなくAlpair6にしておいた方が良かったかなとは思います。
もともとサブウーハーの使用を前提にAlpari5を選択したわけですが、サブを使用しないのであれば低域特性に優れるAlpair6の方がブースト量が下げられるので有利です (計算では約6dB分下げられる)。「春の祭典」もフルブースト可能かもしれません。

これからやってみようと思っている方には
Alpair6(fs=74Hz)かCHR-70(fs=70Hz)をお薦めします。


さらにデスクトップ使用ではなくブックシェルフ型として1mを超える距離で相応の音量を確保したい方には、Alpair10フルレンジまたはALpair10ウーハー+Alpair5の2wayをお薦めします(ブースト量は約10dB下げられる)。
お試しアレですよ、ホンマニ。

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2009年05月10日 (日) | Edit |
以前にも少し紹介しましたが、もっと多数の楽曲の低域信号レベルを調べたので、その結果をあらためてご紹介します。

下は計45枚のCDで50Hz以下のピーク信号レベルを測定した結果です。
231.jpg

50Hz以下の信号レベルが低い順に左から並べています。
左から
-ピンクフロイド「狂気」全曲
-ベートーベン 交響曲第1から第9全曲、ブロムシュテット指揮
-マイルスデイビス 21枚のCDから全曲、エレキ含む
-ウェザーリポート 12枚のCDから全曲、全てエレキ
-ストラビンスキー「春の祭典」、シャイー指揮
-マドンナ「エロチカ」全曲

縦軸は飽和信号レベルを基準(0dB)としています。
例えばピンクフロイド「狂気」の場合だと、50Hz以下を+11dBまでブーストしても信号飽和は生じません。それ以上ブーストするとFrieve AudioのAVC(自動ボリューム調整)が作動して全体のゲインが下げられます。以前にも紹介したように「春の祭典」と「エロチカ」の低域信号レベルが他に比べて非常に高くなっています。

これらの値は多数の楽曲の中の瞬間的なピーク信号レベルを示しており、平均的にはこれより遙かに低くなります。

下図は1トラックづつピックアップして測定した結果です。
233.jpg

1曲だけ抜き出して測定してみると、上図に比べて信号レベルが遙かに低いことがわかります。
一般的に言って、ジャズ、クラシック、ロックを含めて50Hz以下の信号レベルが-10dBを超える楽曲は極めて稀であり、また超えるとしても極瞬間的な信号ピークでしかありません。このためフルブーストで聴いていても聴感上はほとんど問題を感じません。ただし「春の祭典」と「エロチカ」内の特定の曲だけは極めて例外的に大きな低域信号レベルを持っているため、フルブーストでは明らかな歪みを感じます。

聴感とこれらの測定結果を基に、標準的なイコライザー設定を決めました。

イコライザ設定は次の記事で紹介します。

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