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2013年07月03日 (水) | Edit |
いよいよシリーズ最終回です。

今回は1発正弦波による過渡応答について詳しく見てみます。

以前の記事にも、バスレフの1発正弦波に対する応答が大きく崩れる事は書きました。しかし、どうしてあのように激しくヘンテコリンに歪むのか不思議に思えました。
今回は、ポート音だけをピックアップする例の方法を使ってこの謎に迫ります。

とりあえず波形です。
80Hz
1発80時間
60Hz
1発60時間
80Hz
1発50時間
いつもの通り、白が信号、青が振動板音緑がポート音赤が合成音です。

60Hzの波形で詳しく見てみましょう。
1発概要
- 各ピークに番号を振っています。
- ポート音(緑)の山(+) 1は、1つ前の信号の谷(-) 1 に対応する反転した応答でしたよね。これを念頭に波形を見てください。
- 番号0のピークは、以前の記事に書いたように様々な要因によって生じる過渡期の挙動です。ここでは気にしません。
- 黄色の縦線のところで信号は終わります。振動板音は素早く応答していますが、バスレフはとっくに信号が終わった後に信号の山(2)に対応する応答として谷(2)を出力した後も3?、4?、5?とダラダラと音を出していますね。

下は信号に対応する部分だけを示しています。
1発実際応答
- バスレフは信号が終わってから音が収束するまでに随分長く掛かっています。信号に対応しない部分、つまり付帯音あるいはノイズが多いという事です。

信号が終わった後の減衰振動部だけを抜き出して見ました。
最後屁
50、60、80Hzの減衰部を全て重ね合わせています。また、図には60Hzの正弦波を参考に表示しています。

- 信号周波数が変わっても減衰振動部の周波数は変わらず一定です。そして、その周波数はほぼバスレフの共鳴周波数(60Hz)に一致する事がわかります。つまり、信号音が何Hzであれ、最後屁として常に60Hz(共鳴周波数)の音がボーと出ると言う事です。
- これは僕にはトッテモ困った性質に見えます。といのは、箱の定在波にしろ筒っぽの共振音にしろ、長時間「音楽」を聴いていると、そのような常に一定周波数で動かない音の「癖」は、僕にはスゴク気に障るように思えるからです。
- 再三申すように、音楽信号は一時たりとも留まらぬ過渡の嵐です。このような動的挙動に起因する付帯的現象(音)が多かれ少なかれノベツクマナク発生しているはずです。

もう少し長い時間スパンで観測してみました。
7発 
60Hzの7発正弦波信号の再生波形です。上がバスレフ型、下が密閉型。
-  バスレフ型は位相が遅れるのみならず、立ち上がりも立ち下がりもダラダラとしています。ビシットバシットとは行きません。
-  どちらも一切の補正なしの状態です。密閉型はFrieveAudioでF特を50Hzまでフラットに補正すると、過渡期の応答がもっと信号波形に近付きます。

今回のデータは以上です。

という事で、LEANAUDIO初期から僕にはどうしても違和感を覚えて聴感的に受け入れる事できず、波形を観測してもヨウワカラン事が多くてずーーーっと気になっていたバスレフ君の謎を、今回の5回のシリーズでほぼ解明できたのではないかと思います。

バスレフ型というのは、実質的に密閉型にアナログLPFを介して密閉型サブウーハを逆相接続でアドオンしたのと似たような特性を筒っぽ一つで実現するという、極めて巧妙な機構です。しかし、今回のシリーズでお見せしたように、時間ドメイン的に問題も多く(密閉に比べて時間的遅れが大きく、動的挙動が複雑であるためこれに由来する付帯的現象(音)が多い)、またポートから各種の付帯音(ポート自体の共振音、箱内部の定在波音、風切り音)も放出するという、音楽再生装置としては様々な基本的問題を抱えています。

僕がどうしても不思議に思うのは、金に糸目をつけずに超ウルトラ微細な現象に拘りながら音質(オンシツ?)だ原音再生だ高忠実度だをツイキューしたと高らかに謳う何十万エンも何百万エンもする最先端のハイエンド装置に、このように明らかに超基本的な音楽再生上の問題を抱える古典的技術が、未だに何の疑問も無くアッタリマエに採用されている事です。そして、日々精進して耳を鍛えデンセンをキキワケル方々が、それらをアッタリマエのように受け入れているという事です。

もちろん、30年も前には十分な代替技術も無かったでしょうが、もう21世紀ですよ。ニジューイッセーキッ!+13年。周辺技術が素晴らしく発達し極めて低コストで利用できる中、なんぼでもやりようはアリマンガナ。。と思うのですが。。。不思議です。

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2013年07月01日 (月) | Edit |
今回は、前回のポート音計測結果をシミュレーションと照合してみます。

下はいつものシミュレーションです。
実測では、ポート音のピークが63Hzあたりにあるため、それに合わせて微調整しています。
バスレフ
SIMU BR
密閉
SIMU Cloased
緑の位相曲線には、実測と照合するための各共振点を示すをプロットしています。
バスレフ型では、インピダンスの最初のピーク(-90°)、パスレフ共鳴点(-180°)、インピダンスの2番目のピーク(-270°)を照合点とします。密閉型の照合点はインピダンスピーク1点(-90°)だけです。
注: 僕は常に「入力の位相」をゼロと考えます。従って、シミュレーション グラフの目盛りでは、バスレフの場合+270°、密閉の場合+90°を位相ゼロと考えます。ご注意ください(末尾の「追記」参照)。

計測波形から読み取った振動板音ポート音合成音の振幅をグラフにプロットしました。  
振幅   
- 振動板音をキャンセルするためにマイクをポートの正面に置いたため、ポート音が少し大きめに拾われています。マイクの距離を離すと特性はほぼフラットになります。
- 密閉型にサブウーハ(ポート音)をアドオンした状態に近い事が分かります。
- 100Hzで振動板音とポート音の振幅が同等になります。以下では、これを実質的なクロスオーバー点と呼びます。
- 共鳴周波数以下では、ポート音の見せかけの位相が振動板音よりも90°以上進むため、互いに音を弱め合って合成音はポート音よりも小さくなります。共鳴周波数以上では互いに強め合うため合成音はポート音よりも大きくなります。
- 200Hzではポート音はほとんど影響せず、合成音と振動板音の大きさはほとんど同じです。

波形から読み取った振動板音ポート音合成音の位相をグラフにプロットしました。  
位相  
グラフの上ほど位相は遅れます。ご注意ください。
- 青(実線)が振動板音(密閉)の位相です。
- 緑(破線)がポート音、(破線)が合成音(バスレフ)です。これらは波形から単純に直接読み取った見せかけの位相です。このため、60Hz以下では信号よりも進んでいます(0°以下になっている)。
- ポート音の位相は50Hzから100Hzの間で一気に180°近くも回転するのに対し、振動板音の位相回転はわずかです。
- クロスオーバー点(100Hz)において、振動板音とポート音の見せかけの位相が揃います。しかし、ポート音は極性が反転しているため、実際には信号に対して270°遅れており、振動板に対して180°遅れています。
- この事は、反転を考慮した実際のポートの位相(時間ドメイン的位相)を示す(実線)を見るとよく分かります。。

- 青は、上図のシミュレーションから読み取った位相です。
今回は、密閉型の共振点(80Hz)でシミュレーション(-90°)に一致するよう、実測のプロットを全体的にシフトしています。というのは、信号から音響出力の間にアンプの位相特性も影響し、今のところそれは不明だからです(特にIconAMPは他のアンプ(IA7E、ClassicPro等)に比べて低音の位相が少し進み気味(あるいは高音の位相が遅れ気味))。結果として、実測のプロットは全て一律に約20°補正しています。これにより、ポート音の実際の位相(反転を考慮した時間ドメイン的位相)もシミュレーションと非常によく一致します。
- 40Hzでは波形の振幅が極端に低くなるため、位相の読み取り値は正確ではありません。また、最初のインピーダンスピークの実際の周波数はシミュレーションよりも少し高く、50Hz弱にある模様です。

さて、合成音(バスレフ)の見せかけの位相はポート音の見せかけの位相と殆ど一致していますが、実際の位相は単純に「X°」と言う事はできません。何故ならば、合成音は「極性と位相と位相変化挙動が異なる」2つの音が合成された音に過ぎないからです。正確に表現するなら「振動板とポートの音はx : yの割合で含まれ、信号に対して振動板音はX°遅れており、ポート音は反転した上でY°遅れている」としか言いようがありません。

図中の細い赤破線は、合成音の「合成位相」を便宜的に表現したものです。ポート音と振動板音の振幅の比率に基づいて平均的な位相を算出してプロットしています。しかし、厳密には正しい表現とは言えません。

下は、上図の位相から求めた遅れ時間のグラフです。   
遅れ時間    
このように、ポート音(バスレフの低音)は振動板(密閉型)に対して時間的に急激に遅れます。 しかも極性は反転しています。 また、共鳴周波数を下げれば下げるほど、周波数に反比例して遅れ時間は増加します(1周期の約1/2遅れる)。60Hzの共鳴ポートは約8ms遅れますが、50Hzでは約10ms、40Hzでは約12.5msです。

結論として、バスレフ型は密閉型にサブウーハをアドオンした状態に近いと言えるでしょう。そしてそのサブウーハは、クロス点において位相が密閉型に対して約180°遅れるものの、極性が反転しているためにうまく同相で繫がります。つまり、クロス点において180°位相が遅れたサブウーハを「逆相」で接続して相対的位相を揃えるのと同じ事を「筒っぽ」が勝手にやってくれるという事です。非常に巧妙に作動する事には驚かされます。 昔の人は偉い!

その事を確かめるために、実際の楽曲信号に対する挙動を調べてみました。

下は、春の祭典の例のバスドラに「100Hz~200Hz」 の非常に急峻なバンドパスを適用した信号に対するバスレフ型と密閉型の応答波形です。
春100-200 
赤がバスレフ、青が密閉です。ポート音のクロス周波数(100Hz)以上の帯域では、両者の挙動は殆ど同じです。

下は、同じ信号に「50~100Hz」 (つまりポート作動帯域)の非常に急峻なバンドパスを適用した場合の波形です。
春50-100jpg 
密閉型は信号を非常に正確にトレースしますが、バスレフの波形はなんだかゼンゼン違って見えます。また、バスレフの方が密閉よりも位相が進んでいるようにも見えます。

そこでバスレフの波形を上下反転してみました。
春50-100反転 
すると、密閉型ほどではないですが、信号との対応が明確になります。また、バスレフ型は密閉型に対して遅れています。

このように、バスレフ型の場合、ポート音が効果的に作用する低音領域の音は、密閉型に対して反転した上で遅れています。そして、これらを合成するとドレガドレヤネン?ドナイナットンネン?状態になるという事です。 周波数ドメイン的には正しく応答しますが、時間ドメイン的にはかなり出鱈目な応答です。

追記
シミュレーションから僕が読み取った「入力をゼロとする絶対的位相」はあくまでもポート音の位相を表すに過ぎず、ポートの作動領域よりも高い周波数では、バスレフ型は密閉型と全く同じ挙動になると考えられます。そして、バスレフ型(ポート共振周波数)から密閉型(クロス周波数)への移行は、単純に2つの異なる音(振動板音とポート音)の強弱関係の変化として捉える事ができます。

このシミュレーションの元々の位相プロット(縦軸の目盛り)は「相対的位相」しか考えていません。これは僕の言う「見せかけの位相」です。従って、グラフの目盛りを素直に読むと、100Hzにおいて両者の位相は共に0°で一致します。しかし、実際には、100Hzにおいてポートの音は180°遅れて反転しています。その結果として見せかけの位相が一致しているに過ぎません。時間ドメインで考えると様相は全く異なるという事です。この点にご注意ください。僕は常に信号の位相を基準にして時間領域で現象を捉えます。つまり、シミュレーションの目盛りでは、バスレフ型の場合+270°、密閉型の場合+90°を「遅れゼロ」の基準とみなすという事です。

次回は、バスレフ型の動的挙動に焦点を合わせてみたいと思います。

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2013年06月30日 (日) | Edit |
前回からの続きです。

今回は各周波数でのポート音波形を観測します。

まず、60Hzから高周波側に向かって見てみましょう。
60Hz
キャンセル正弦波60
80Hz
キャンセル正弦波80
100Hz
キャンセル正弦波100
200Hz
キャンセル正弦波200
周波数の上昇に伴ってポート音(緑)の振幅は減少し、逆に振動板音(青)の振幅は増加します。両者は100Hzでほぼ同じになります。

振動板音の位相は大きく変化しないのに対してポート音の位相は急激に遅れます。これはバスレフ特有の2つのインピダンスピークの中間にある共振点(理論的には-180°)から2つめのインピダンスピーク(理論的には-90°)に向かって一気に90°回転するためです。これは2つ前の記事のシミュレーションの傾向とよく一致しています。

100Hzでは振動板とポートはほぼ同相になります。しかしポートは上下反転した波形であるため、実際にはポート音は振動板音よりも180°遅れています。振幅もこの周波数で同等になる事から、100Hzが実質的なクロスオーバー点であると見なせます。クロスオーバー点において、低音側の位相は180°遅れた上に逆相になっています。

200Hzではポートの効果は殆ど見られません。

次に60Hzから低周波側を見てみましょう。
キャンセル正弦波60
50Hz
キャンセル正弦波50
40Hz
キャンセル正弦波40

周波数が下がるにつれてポート音も振動板音も振幅は減少します。

ポート音の位相は60Hzから急激に進み、振動板に対して逆相の度合が強まります。理論的には、共振点(-180°)から1つめのインピダンスピークに向けて+90°一気に回転します。

共振点では、ポート音が振動板音に対して90°弱進んでいましたが、90°以上進むと合成音(赤)の振幅はポート音(緑)よりも小さくなります。振動板音とポート音が互いに打ち消す合う傾向が出始めるという事す。共鳴点より高周波側では 2つの音が互いに強め合って「合成音(赤)の振幅 > ポート音の振幅(緑)」でしたが、低周波側では互いに打ち消し合って「合成音(赤)の振幅 < ポート音の振幅(緑)」 になります。

共振点より周波数が下がるにつれて、互いの位相は逆相に近付くため打ち消し合う度合いが強まり、合成波の振幅は急激に減少します。このため、バスレフ型(合成音)の出力周波数特性は共鳴周波数以下で急激に減衰します。

次回は、シミュレーションと照合してみます。

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2013年06月29日 (土) | Edit |
今回はポート音だけを分離して波形を観測しました。

実験君セットアップです。
_1000332_20130629082108.jpg
TONO君をZAP君の隣に置き、ZAP君にはTONO君とは逆相の信号を入力します。すると2つの振動板からは互いに逆相の音が発生し、両者から等距離のマイクロフォン位置では2つの音が互いに打ち消し合あうため、ポートからの音だけをマイクでピックアップできるはずです。これはヘッドフォン等のノイズキャンセレーション機能と同じ原理です。

そんなにウマイ事行くんでしょうか?
それがウマイ事行くんですよ。
F特ポート copy
緑はこの方法で計測したポート音のF特です。黒はポート直前に置いたマイクで計測した特性です。よく一致していますね。

下はそのようにして計測した60Hz(概ねヘルムホルツ共振周波数)の波形です。
説明1
ピンクはTONOポート塞ぎ(振動板音のみ) + ZAP密閉(逆相の振動板音)の合成音波形です。TONOのポートは塞いだ状態ですから、振動板の音どうしが見事に打ち消し合って合成音の振幅は非常に微小です。作戦大成功!ってヤツですね。

はTONOバスレフ状態(振動板音+ポート音) + ZAP密閉(逆相振動板)の合成音波形です。振動板からの音は打ち消し合うので、マイクはほぼポートの音だけを拾っているはずです。

はTONOポート塞ぎ(密閉)、はTONOバスレフの音です。これらは逆相ZAPを使わずに計測した通常のTONO密閉型とTONOバスレフ型の波形です。

赤(バスレフ)の音は、青(振動板)緑(ポート)の音が合成された音である事が分かります。

信号波形(白)に対してポート音(緑)の位相が進んでいるように見えます。しかし、入力に対して出力の事象が時間的に進む事は有り得ません。実は、このポート波形の山(+)は、信号の1つ前の谷(-)に対する反転かつ遅延した応答です。
説明2
振動板音(青)の山は信号の山(白)から約45°遅れており、ポート音(緑)の山は1つ前の信号の谷(反転した山を紫で表示)から約135°遅れています。波形の位相は進んでいるかのように見えますが、入力の事象に対する出力の応答事象は遅れて発生します。アーヤヤコシイ。。

これは、正弦波信号が突然始まる際の過渡挙動を見るとよく分かります。
1発目の正弦波の山に対する応答波形だけを抜き出してみました。
1発
信号に「山」が突然発生すると、先に振動板(青)から音波の「山」が発生し、かなり遅れてポート(緑)から音波の「谷」が発生しています。バスレフ型では、我々はその合成音を聞かされているという事です。

このようにバスレフ型システムは遅れ(位相)も極性も異なる2つの音の合成音を発生するため、過渡挙動は非常に複雑となります。定常正弦波信号はとても綺麗に再生できても、過渡信号の再生波形は大きく崩れます。時間ドメイン的にはかなり出鱈目だという事です。そして、再三申しているように、音楽信号は一時たりとも留まらぬ激しい過渡現象の嵐です。

次回は、他の周波数での挙動を調べてみます。

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2013年06月27日 (木) | Edit |
バスレフ型の挙動は非常に複雑であり、未だによく分からない事があります。という事で、これから何回かに分けてバスレフ型の謎に迫ってみたいと思います。

あ、結局、「位相」のお話しですね。スミマセン。。。。

今回は基本となるデータだけを掲載しておきます。

実験君に使うバスレフ型の実測特性です。
F特 copy
いつものAlpair6M + TONO箱(約8L)
青が穴を塞いだ密閉状態、赤がバスレフ状態、緑がポート出口の音、ピンクが振動板直前(3cmくらい)の音です。ポート音のピークは約60Hzです。バスレフの効果は40~200Hzの領域に現れています。たまたまですが、今回の波形観測も40~200Hzで行いました。

いつものシミュレーション
密閉
F特 copy
インピダンスピークは約80Hz

F特 copy
共鳴は約60Hz、インピダンスピークは約40Hzと90Hz

下は、40~200Hzの正弦波信号を突然入力した時のスピーカ音響出力の応答波形です。拡大してご覧ください。
密閉型
密閉カラー
バスレフ型
バスレフ 非反転カラー
全ての波形の周期と振幅を揃えて表示しています。振幅は波形が十分に安定した定常部で合わせ込みました。
白:ソース波形、水色: 40Hz青: 50Hzピンク:63Hz赤: 80Hzオレンジ: 100Hz黄: 160Hz緑: 200Hz
こんなに丁寧に波形を並べてみたのは始めてですが、なんかもう、これを見ただけでバスレフって嫌だナァ。と思ってしまいます。

過渡部の波形を拡大しました。
密閉
密閉生波形 振幅揃え カラー 過渡
バスレフ
バスレフ生波形 振幅揃え カラー 過渡
バスレフの過渡挙動はとってもバラエティに富みます。特に共振点の60Hz(ピンク)の振幅の立ち上がり挙動が鈍い事が分かります。また、40Hzの実際の音圧振幅は微小ですが、音圧振幅が同等の密閉型に比べて大きく乱れています。

定常部の波形を拡大しました。
密閉
密閉カラー1 サイクル
理論的には、共振点で位相は90°遅れるはずですが、80Hz(赤)の波形はやはり90°弱遅れています。
40~200Hzのトータル位相回転量は90°強です。

バスレフ
バスレフ 非反転カラー 1サイクル
40~200Hzのトータル位相回転量は密閉型の2倍を軽く超えているようです。
バスレフの40、50、60Hzの波形は信号より進んでいるように見えますが、これはポートからの音の極性(±)が反転しているためです。このまま波形から読み取った位相はシミュレーションとゼンゼン一致しません。

下は上下を反転した波形です。
バスレフ 全反転カラー 1サイクル
反転した波形から位相をざっと読み取ると、最初のインピダンスピークに近い40Hz(水色)が90°弱の遅れ、共鳴点の60Hz(ピンク)の波形は180°弱の遅れ、2番目の共振に近い100Hz(オレンジ)の波形は270°弱遅れており、シミュレーションにほぼ近い結果が得られます。

やっぱりシミュレーションと同じヤン。。。とは片付きません。バスレフ君はなかなか難儀なヤツなんです。次回からその秘密に迫りたいと思います。

なお、前記事のバスレフ型に関する考え方に誤りがある可能性があるため非公開にしました。バスレフ型の挙動が明らかになってから訂正版を公開する予定です。

では、次回以降もオッタノシミニ!

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2013年05月27日 (月) | Edit |
密閉型とバスレフ型の動的歪みの比較データを追加掲載します。
条件は前の記事と基本的に同じです。

下は1サイクル正弦波(40、60、80Hz)の再生波形です。横軸のスケールは周期で合わせています。灰が信号、赤が40Hz、青が60Hz、緑が80Hz。
上が密閉型、下がバスレフ型です。FrieveAudioはどちらも50Hzまでフラットで位相遅れ補正はOFF。
密閉40-70 copyバスレフ40-70 copy
バスレフ型の場合、立ち上がりが遅く、信号停止後もだらだらと波形が続きます。また周波数がたった40Hz変化するだけで波形が大きく変化しています。理想的な再生では、全ての周波数の波形がピッタリ揃います。FrieveAudioで20Hzまで完全フラット/位相遅れONにすると、かなり理想に近付くのですが、データを保存し忘れました。

横軸のスケールを時間のままとし、信号停止後の減衰振動部の波形で揃えてみました。
上が密閉型、下がバスレフ型です。
密閉40-70 最後
バスレフ40-70 最後
減衰振動部は、システム(ドライバ、箱、アンプとの電気回路)によって決まり、信号には関係ありません(だって信号は既にゼロですからね)。信号周波数がどう変わろうが最後屁の周波数は一定だという事です。バスレフ型では、最後屁の振幅が大きくて長い事がわかります。というか、実際の信号部と同等の部分を占めています。

最後に、実際の楽曲音として、おなじみ「春の祭典」最強パスドラの再生波形を比較しました。グレーが信号波形、緑が音響波形です。図が小さいのでクリックで拡大してご覧ください。
密閉型
密閉春
バスレフ型
バスレフ春
密閉型の再生波形は、少し遅れながら信号波形にキッチリと追従していますが、バスレフ型では信号波形との関係がかなりデタラメです。単純に位相が遅れているのとは全く異なります。大阪弁で言えば「ドレガドレヤネン?ドナイナットンネン?」という感じですね。

下は、上の波形ののFFT解析結果です。
灰が信号、赤が密閉、水色がバスレフ型です。
バスレフ密閉春FFT
40~50Hzにバスドラの強いピークがあります。密閉もバスレフも50Hzまでしかフラットに補正していないため、50Hz以下では信号よりもレベルが下がっています。また、バスレフ型の方がF特の減衰が急激であるため密閉型よりもレベルは下がります。その点を差し引いて見れば、波形(時間ドメイン的挙動)があんなに違うのにも関わらず、周波数ドメイン的に評価すればバスレフ型でも問題なく見えます。

今回の実験君データは以上です。

定常評価や周波数ドメイン的評価だけでは、過渡現象の嵐である音楽信号の再生クオリティを正しく評価できない事がお分かり頂けたかと思います。また、バスレフ型が原理的に抱える低音の動的挙動問題もご理解頂けたかと思います。これは共鳴原理に由来する問題であり、ポートをどうチューニングしようが逃れる事は決してできません。これを嫌う場合、箱内部やポートに吸音材を適度に充填して共鳴現象を弱めるしか方法はアリマセン。で、LEANAUDIO初期の頃、聴いているうちに半ば無意識にドンドン吸音材をつぎ込んで、気が付いたら「密閉型と変わらんヤン」にナッチッタを何度も繰り返しました。そして、密閉型で不足する低音を補うために、まずサブウーハを試し、次にデジタル信号ブーストに辿り付きました。現在のZAP 2.1はその集大成です。

僕のように低音ビートに敏感なリスナ、または真にクオリティの高い音楽再生を望むリスナには、密閉型システムを強くお勧めします。

追記
このように計測で評価可能な再生クオリティが向上すると、「ヨイオト?」や「ナンタラカン?」とやらがドータラコータラになるのではなく、確実に「音楽」が自然で聴きやすくなります。僕はこのように計測していますが、これはイヤフォン並の「音楽の聴きやすさ」を求めて、聴感を頼りに、最初はバスレフ型から、アレコレ開発してきた結果を後追いで検証しているに過ぎません。

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2012年10月12日 (金) | Edit |
今回はバスレフ型の動的挙動についての計測結果を簡単にご紹介します。

条件をできるだけ揃えるために、どちらもFrieveAudioイコライザを使って周波数特性だけ50Hz~20kHzの範囲で完全にフラットに補正しています。位相はもちろん補正していません。

スピーカ前方約30cmで計測しました。3つの波形は上から、ソース信号、密閉、バスレフです。
80Hz
BR 80
60Hz
BR 60
50Hz
BR 50
50Hzの波形にはピークを結んだ包絡線も表示しています。

如何でしょうか?バスレフ波形は単純に遅れるというのではないように見えます。密閉型の場合、ソース波形とのピークの対応は一目瞭然ですが、バスレフ型の場合どれがどれに対応するのかよくわかりません。一発目の波形が崩れていて後に余計なピークがあるように見えなくもありません。また、僕がよく使う表現「ビシッと動いてバシッと止まる」という観点でもなんだか間延びして見えます。

全部を重ねて、時間ではなく周期を合わせてみました。
BR all
赤が50Hz、青が60Hz、緑が80Hzです。

密閉型の場合、周波数が変わっても波形(位相)は殆ど変化しませんが、バスレフ型の場合はたった30Hzの範囲でかなり大きく波形(位相)が変化しています。密閉型に比べて現象が複雑である事は明らかです。

僕はバスレフ型のピチカートベースの音に違和感を覚えますが、それが専らこのような現象に起因するのかどうかは定かではありません。しかし密閉型と比較した場合、単純な位相のシフトというのではなく、信号波形の再現性という観点でもかなり問題があるように思えます。様々な周波数成分を含み、様々に変化する実際の楽曲の信号を再生した場合、ある特定の条件で違和感を覚える可能性はあるかもしれません。

次に、ベリンガ製グライコを使って密閉型をブーストした波形をお見せします。F特は前の記事に掲載しています。
digi ana
青がFrieveAudioのマニュアルイコライザで60Hzを約+7dBデジタル ブーストした波形、赤がベリンガ製グライコの63Hzバンドだけ約+7dBアナログ ブーストした波形です。それぞれ2回の計測波形を重ねています。青がデジタル、赤がアナログです。

アナログでも位相は殆ど変わらない事が分かります。ナカナカやりまんがな。。しかし、ダンピングが低下するのでしょうか、信号波形が終わった後に1山余計なピークが発生し、その後の減衰具合もデジタルに比べると劣ります。それでもバスレフ型に比べれば明らかに波形再現性に優れていると言えるでしょう。

前回の付帯音と今回の動的挙動の計測結果から、共鳴効果というキワドイ現象を利用するバスレフ方式というのはナニカと難儀な機構であると言えます。使わなくて済むなら使いたくない。。。。と考えるのが普通でしょう。ですよね?

しかし、密閉型ブースト方式にも致命的と言ってよい欠点があります。バスレフ型の場合、共鳴周波数における振動板の振幅は大幅に小さくなります。これに対し、密閉型ブースト方式では振動板振幅が大幅に増加します。次回は、このへんについての実験君データをご紹介しようかと予定しています。その後、いよいよ「真空管サウンドのヒミツを探る!」に挑戦してみるかな? オッタノシミニ!

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2012年10月08日 (月) | Edit |
お約束通り、再生音の付帯的現象に関するデータをご紹介します。

音の付帯的現象に問題の多いバスレフ型を題材とし、下記の内容で2回にわけて書く予定です。
1回目: 箱内部の定在波とポート自体の共振音の影響と吸音材の効果
2回目: バスレフ型における応答の遅れ

いずれもTONO君(Alpair 6P、7L)を使って一連の計測を行いました。現象をシンプルにするために、ポートは前面のスピーカのすぐ近に配置しました。

おなじみのシミュレーションです。
シミュレーション
約60Hzを同調点としました。

約30cm前方での実測値です。吸音材は一切入れていません。
20cm F特
青が密閉、赤がバスレフです。相変わらず計算とよく一致しています。50Hzで-6dB程度ですから10~13cmウーハを使った市販の小型2Wayクラスに相当します。バスレフ効果は同調点(60Hz)で7~8dB程度です。なお、4~5kHzの盛り上がりはドライバ固有の特性です。

緑は密閉型をベリンガのグライコでブーストした特性です(63Hzバンドを約+7dB)。以前にも書きましたが、密閉型をトーンコントローラ等でチョイト6dB程度ブーストするだけでも、ロールオフ周波数をバスレフ型並に下げる事ができ、しかもバスレフ型よりもなだらかな減衰特性が得られます。

図中の黄色の帯は、ポート自体の最初の(基本モードの)共振領域を表しています。上のシミュレーションの「ポート出力」曲線(青)の最初のポート共振領域(約800Hzから約2.5kHz)に対応します(実際の周波数は、シミュレーションよりもやや低めです)。詳しくは後で説明します。2本の赤の縦線は箱の定在波の周波数です。低い方は箱の前後と左右壁(ほぼ同じ)、高い方は上下壁による定在波に対応します。

それでは詳細なデータをご覧ください。

1. ポートからの音
まず、どのような現象が起こっているのかを、ポート前方3cmの位置で計測したデータで見てみましょう。
a)吸音材なし
ポート吸音材なし
黄色が最初のポート共振領域です(ディップからディップ、シミュレーションよりもやや低め)。この領域に箱の定在波のピーク(赤の2本の縦線)が重なっています。

b)吸音材を3面にはる
ポート吸音材3枚
最小限の吸音措置として、吸音材(ミクロンウール)を3面にだけはりました。この状態では、肝心のバスレフ効果はほとんど低下しませんでした。データを見ると、定在波の急峻なピーク/ディップが明らかに減少してる事がわかります。しかし、最も面積の広い上下壁の定在波の影響はまだ残っているようにも見えます。また、ポート共振領域(黄色領域)の盛り上がりは残ったままです。

C)ポート塞ぎ/吸音材たっぷり
ポート吸音材たっぷり
マイクロフォンはポート前方3cm位置ですが、ポートを粘土で完全に塞いでいます。従って振動板だけの音です。上の2つのグラフには振動板からの音も多少含まれています。

2. 振動板からの音
今度は振動板の前方約3cmにマイクロフォンを置きました。
a)密閉/吸音材なし
振動板 吸音材なし密閉
b)バスレフ/吸音材なし
振動板吸音材なし
c)バスレフ/吸音材3面
振動板吸音材3枚
d)密閉/吸音材たっぷり
振動板吸音材たっぷり

振動板前面では、密閉もバスレフも付帯音の大きさはあまり変わらないように見えます。また、吸音材を3面にはると定在波のピークが明らかに減少します。それでも、前後/左右の定在波の影響はわずかに観測できます(左側の赤線)。上下壁面の定在波(右側の赤線)がほとんど観測されないのは何故でしょうか??ポート音では、吸音材を3面にはっても上下の定在波はしつこく残ったように見えたのとは対照的です。ポチ箱とも傾向が異なるため、とりあえず謎のまま保留。

3. 両方の音の計測
今度は、マイクロフォンを少し離して、振動板+ポートの音を計測しました。マイクロフォンはスピーカのセンターではなく、ポート側に少しオフセットしています(両方の音をほぼ均等に拾うため)。最初にお見せしたF特グラフではプロットがギザギザ過ぎてみにくいため、約15cmの距離で計測しています。
a)密閉/吸音材なし
吸音材なし密閉
b)バスレフ/吸音材なし
吸音材なし
C)バスレフ/吸音材3面
吸音材3枚
d)密閉/吸音材たっぷり
吸音材タップシ

ポート共振による比較的広い周波数領域の盛り上がりと、内部定在波による比較的鋭いピークから成る付帯音成分がはっきりと現れています。上の振動板直前で測定した結果とは異なり、吸音材なしの密閉型とバスレフ型を比べると、バスレフ型の方が付帯音成分が明らかに大きい事がわかります。これは密閉型には皆無であるポートの共振音が発生するのと、ポートから箱内部の定在波を含む音が放出されるためであると考えられます。吸音材を3面にはると、定在波のピークはそれなりに減少しますが、ポート共振による盛り上がりはそれほど改善されません。吸音材たっぷりの密閉型では、そのような鋭いピークや盛り上がりがほぼ平坦になっている事がわかります。1.3kHz近辺の凹みは原因不明ですが、部屋の影響ではないかと思われます。

4. 考察
今回の計測データは以上です。

このように、バスレフ型ではポート自体の共振音が生じる事と、穴からボックス内部の音が漏れる事により、密閉型に比べるとどうしても付帯音が多くなります。定在波は吸音材を使って容易に低減できますが、バスレフ型の場合、肝心の共鳴効果を十分に確保するために吸音材は最小限に留めたいところです。そう考えると、バスレフ型では、箱形状の工夫による定在波の低減が非常に効果的ではないかと思います。対して、密閉型であれば、直方体の箱であっても、吸音材を大量に充填する事により、定在波の影響をほぼ完全に抑える事ができます。

肝心のバスレフ共鳴効果を得るには、ポートは必ず筒として働く必要があるため、ポート自体の共振音を抑制する根本的な方法は無いでしょう。なぜならば筒としての特質が無くなれば、肝心の共鳴効果も無くなってしまうからです。

また、今回のように、ポートの最初の共振領域と定在波が重なってしまうのも良くないかもしれません。箱の寸法は、容積が決まれば、見た目のバランスもあるため、それほど極端にプロポーションを変える事はできないでしょう。しかし、共鳴周波数を変えずにポートを「太く/長く」するか「短く/細く」する事により、ポートの共振周波数を移動する事は可能です。ただし、太く/長くすると、下図のようにポート共振の音がより盛大に出てしまうため、注意が必要です。

シミュレーション2
同調周波数を約60Hzに維持したまま、ポートを極端に太く長くしました。この場合、ポートの共振周波数を低周波側へ移動できますが、共振音のレベルが上がってしまいます。

逆に細く/短くすると共振音のレベルを下げる事ができますが、風切り音に注意が必要でしょう。。と考えれば、結局それほど選択の自由度はないかもしれません。箱の形状を工夫して定在波を極力抑えた上で、風切り音が問題にならない範囲でポートをできるだけ細く短くするというのが最良の手かもしれません。また、設置条件によっては、背面ポートにした方が耳に届くポートからの付帯音を低減できるかもしれません。ただし、背面ポートの場合、設置場所によって低域の特性が変化しやすいといった問題を抱えます。ちょっとした家具の上等に気軽に設置する事はできぬでしょう。本来、コンパクトなスピーカほど、設置自由度は高くあるべきだと思います。

なお、ウーハーのローパスフィルタのカットオフが十分に低く(たとえば100Hz以下)かつ十分に急峻であるために、ウーハーの出力帯域が箱定在波周波数にもポート共振周波数にも重ならない場合、以上のような付帯音問題は基本的に解消されます(起振源がなくなる)。従って、僕が常々提唱しているように、密閉型小径フルレンジ(あるいはワイドレンジツイータ)を基本とし、そのロールオフ領域だけを別のウーハーに受け持たせる場合、バスレフ型であっても付帯音的な問題は深刻ではなくなるでしょう。しかし一般的な市販大型マルチウェイの場合、38cmウーハーでも700~800Hzでクロスオーバし、当然箱のサイズも相応に大きい(すなわち定在波周波数は相応に低い)ため、定在波問題を逃れる事はできないでしょう。

バスレフ型は、このような付帯音以外に、応答の遅れが生じるという問題を抱えています。次回は、そのような問題によって生じる現象について、計測データを交えながら考察を加えたいと思います。オッタノシミニ!

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2011年05月06日 (金) | Edit |
もう少し部屋が広ければ欲しいなぁ。。と思うのがJBLのコントロールモニタ(43###)シリーズです。音質がどうのこうのというのでは無く「カッコイー」から。オトコノコ心をくすぐるメカッポさというか。。。特にグレーの4311なんか欲しいですね。1本だけで良いのだけれど。モノラルで十分。

520_20110506212148.jpg
4311 こいつが1台だけ欲しい

さて今回はJBLモニターシリーズをネタにしてバスレフ型のサイズと周波数特性の関係についてチョコッと考察してみます。

下はカタログデータです。容積は外寸から推測しました。
796.jpg
もし本当に30Hzまでほぼフラットに再生しようとすると38cmウーハーと100Lを軽く超えるボックスが必要だと言う事です。ここに「低音出るスピーカ」= 「デカイ/高価」という古典的ヒエラルキーが産まれます。しかし、「音楽再生装置」にとっての可聴帯域下限近くまでの再生というのは、自動車にとっての「安全に走る/曲がる/止まる」と同じ基本的要件のはずです。すなわち、大きかろうが小さかろうが、キチント低音を再生できてこそ「音楽再生装置」と呼べるという事です。と、それはさておき。。

下図はシミュレーション結果です(4319は4312とサイズ的に同じなので省略)。
797.jpg
ドライバにはデータベース内のテキトーなJBL製ウーハー(30cmと38cm)を選び、容積と-6dB周波数(カタログ値)に基づいてポートを適当に設定しました。まあ、ごく大ざっぱな計算として見て下さい。吸音材は全て「普通」です。ついでにAlpair 6Pのハチマル最終バージョン(容積11L、ポート:φ34 x 70mm)も載せました。

JBLの計算結果を見ると、いずれも綺麗な2山のインピーダンス曲線を描く典型的なバスレフ チューニングである事が分かります。当然ですが、ウーハー径が大きい方、あるいは同一径であれば容積が大きい方が低域が伸びています。

また、低域が伸びるモデルほど共鳴点が低周波側にシフトするため、低域の位相遅れも低減します。小容積のバスレフ型では共鳴周波数が高くなるため、低域が伸びないだけでなく、バスレフ臭さが強く出てしまうのは仕方ないところと言えるでしょう。今回のバスレフトライアルの経験から、共鳴点を50Hz以下に持って行ければ、バスレフっぽさもあまり気にならないのではないかという気がします。

さて、以上のように、30Hzまでフラットに再生しようとした場合、バスレフ型では38cm径のウーハーと100Lを大幅に超える巨大な箱が必要です。低域をたった20Hz延ばすのに如何に大きな代価が必要な事か。。。また、このようなスピーカーを使用できる恵まれた住環境と経済的余裕を持つ人は如何に希少な事か。。

なんでこんな馬鹿デカイSPが作られる(必要とされる)か?と言えば、それは本当に西洋音楽を楽しもうとすれば、そのような低音が聞こえる事が重要だからです(参考記事)。しかし小さい部屋で快適音量で聴きたい人でも、交響曲の低音部を聴こうとすると、こんな馬鹿デカイモンが必要になるというのは大変馬鹿げた話だとハチマルは思います。

普通の部屋で快適音量で日常的に音楽を楽しむ大多数の音楽愛聴者(オーディオ愛好者ではない)は、それなりのサイズのSPで不十分な低音で、何も知らされずに我慢しろ。。。というのが現在のオーディオ装置のあり方です。信号再生面での基本技術が十分に成熟した現段階において、これを解決して万人が安価に当たり前に何も知らなくても低音までキチント聴けるようにする事が「音楽再生装置」としての技術的最優先課題であろうとするのが普通の業界の技術者の考えるトコロだと思うのですが、どうもこの業界の目指すトコロは違うらしい。しかも、それは現在の技術レベルで容易に解決可能であるにもかかわらず。。。激しく違和感を覚えるのよね。ハチマルは。。また批判的になってしまった。この辺で。。。

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2011年05月05日 (木) | Edit |
今回はバッフルプレートの効果について調べてみました。

不要な棚板が見つかったので、穴を空けて簡単にバッフルプレートを作成してみました。ただし、無垢板ではなく中空ぺこぺこの安物なので、あくまでも実験君レベルとして見て下さい。

795.jpg
こんな板を取り付けました。中央部と左右は別体です。写真ではL側にだけ黒いバッフルが付いていますが、測定時には両方に取り付け、中央部と隙間無く接合しました。

まずバッフルなし(前記事の吸音材4枚x2)。
788.jpg

中央のバッフルのみ
794.jpg
一見してもっとフラットになりました。でも3~5kHzが盛り上がったのは??。やっぱり板が鳴っているかな?でもイコなしでも良い感じに聞こえるので暫くコイツを使用してみるか。。。

さらに左右のバッフルを追加(中空部に吸音材ぎゅう詰めです)
793.jpg
400~1kHzが盛り上がってしまいました。200Hzのディップは改善されました。吸音材を減らす前の状態であれば良い方向に働いたかもしれません。とりあえず、不要でしょう。

という具合にバッフル板も周波数特性に結構影響する事がわかりました。見た目を良くするために、左右のアングル間に綺麗なしっかりとした板を取り付けても良いかもしれません。

今回はこれだけ。。。

追記
多少部屋のゲインで助けられている面もあるが、3"クラスのフルレンジドライバで50Hzまでフラットな特性が得られている。これはケロ君と同等。LEANAUDIOが求める「音楽再生装置」としての最低基準を満たしているという事。例えば、JBLの30cmコンパクトモニタ(4312等)のカタログデータは45Hz/-6dBなので、特性的にはほぼ同等となる。クラシックのフルオーケストラを聴くには不足だが、モダンジャズを聴く分には十分と言えそうだ。
また、付帯音を抑制した明確で自然な音という意味でもLEANAUDIO基準を満たしていると思う。ただ、サイズが。。。。

追記2
これはあくまでもハチマル部屋での結果です。ルームチューニングするのではなく、部屋に合わせてスピーカーをチューニングするためにバッフル板を使用したという事です。部屋が異なれば、ベストな設定も全く異なると思いますのでご注意ください。

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2011年05月05日 (木) | Edit |
バッフルが極小なせいもあり、かなりハイ上がりな特性となるため、これを修正すべくチューニングしてみました。デジイコで修正してしまえば問題ないのですが、iTuneでそのまま気軽に聴けるようにするために、素の特性をもう少しフラットにしようというのが狙いです。

以下はリスニング位置でのF特です(吸音材5x2枚)。
ポートを塞いだ状態
790.jpg
ポートを明けた状態
789.jpg
部屋が干渉して200Hzでディップが発生しています(振動板直前の音にもポート音にもこのディップは存在しない)。部屋の定在波シミュレーションでも200Hzに強いディップが再現されました。右側の壁が悪さしている見たいです。測定点の高さを少し下げるとディップは減少。とりあえず仕方ない。

上図のように、1k~5kでレスポンスが6dB程度盛り上がっており、高音が出過ぎに感じます。このような傾向は、ドライバの素の特性に加えてバッフルが極小である(というか無い)ために、より強まっていると考えられます。

最初のチューニングでは、吸音材を1枚、2枚、3枚と増やしたのですが、定在波がなかなか減衰しないので4枚を飛ばして一気に5枚にしてしまいました。下はその時のデータです。赤が吸音材なし、黒は1、2、3枚(x2)、緑が5枚(x2)です。
766.jpg
強い定在波が300Hzから1kHzで発生しています。この定在波を適度に利用して、この周波数領域の出力を少し持ち上げようというのが今回の狙いです。

下は、吸音材を左右で1枚ずつ減らした(4x2枚)時のリスニング位置での特性です。
788.jpg
良い感じになりました。狙い通り300~1kHzが持ち上がってハイ上がり傾向が緩和されました。さらに、200Hz以下の領域でもレベルが増加しています。これは吸音材を減らす事によってバスレフ効果が高まったためだと考えられます。イコライザ無しでも聴いてもハイ上がり感は随分和らぎました。

3つを重ね合わせました。
787.jpg

下は4枚x2のポート音です。
791.jpg
定在波の鋭いピークは十分に潰れていますが、300~1kHzの領域が全体的に盛り上がっています。1kHzより上のピークはポートの筒っぽ共振音だと思われますが、十分に低く抑えられています。

下はポートからマイクを内部に挿入して測定した内部音です。
792.jpg
直管部には吸音材を一切入れていませんが、管長手方向の定在波(300~1kH)以外の顕著な定在波は全く見られません。これは円断面である事と、スピーカー背面からの高域音が吸音材によって効果的に遮断されているためと考えられます。

塩ビ管って結構使えますね。これに比べると四角い箱は厄介です。スピーカーを四角い箱に入れるというのは、単に製作が楽というだけであって、音響的には「無謀」とさえ思えてきた。

次回はバッフルプレートの効果について調べてみたいと思います。

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2011年05月03日 (火) | Edit |
バスレフ型のチューニングを一通り終えたので、これから数回にわたって3種類のAlpairシステムについて比較してみたいと思います。

ハチマルは3"クラスのAlpairフルレンジ ドライバを使用して、低音増強方式の異なる下記の3システムを構築しました。

- システム1: Alpair 6M (2.5L密閉) : 馬鹿ブースト
- システム2: Alpair 5 (1L密閉) + 13cm PPウーハー(3L密閉) :バイアンプ駆動
- システム3: Alpair 6P (11L バスレフ) :共鳴部はR/L共有

今回は、ハチマルにとって非常に重要な音質評価指標であるピチカートベースの再生について比較してみました。ざっと聴いてみた限りでは、今回のバスレフ型のベースラインの聞こえ方はハチマルの許容範囲に入ったと言えそうです。3年前にDENON製MD/CDコンポの13cm/6Lバスレフの低音に激怒し、その箱を使用してバスレフ型をさんざんトライした末に断念してLEANAUDIOを始めたというのがソモソモの経緯ですが、今回のバスレフ トライアルには満足できそうな予感がしています。マダワカリマセンケド。。。

で、今回は、そのピチカートベースの再生波形を確認してみました。

まず、以前にも使用した Footprints 冒頭のロンさんのベースソロ波形を比較してみました(詳細はコチラを参照してください)。
ソース: Footprints ベースソロ
今回はボ・ポ・ポ・ポーンの最初の「ボ」の音に注目します。基本周波数は約65Hzです。R/Lをミックスしてモノラルで再生し、普段のリスニング位置で1本のマイクロフォンを手持ちして録音しました。

下はシステム2(バイアンプ方式)の波形です(システム1は今までに数回測定して確認済み)。
784.jpg
赤がCDのソース信号、青がリスニング位置での実測波形です。FrieveAudioで10kHz~30Hzをフラットにイコライジングし、位相補正を適用しています。相変わらず嘘みたいに良く一致しています。

下は、出来たばかりのシステム3(バスレフ方式)の波形です。以前作成した小容積バスレフ型に比べるとベース音の違和感も随分改善されたと思うのですが。。。果たしてどうでしょうか?
785.jpg
この場合もFrieveAudioの自動音場補正を使用して、8kHz~45Hzをフラットにイコライジングしています(50Hz以下は急激にレスポンスが低下するので補正できない)。青が実測波形です。出だしの音で波形がやや崩れ、その後も細かい凹凸が鈍っていますが、以前の小容積型では100Hzでももっと大きく崩れましたから、確実に改善されていると言えそうです(今回使用した65Hz音は小型ボックスの共鳴点以下であったため比較すらできなかった)。

以上の比較では時間軸の絶対基準がないため、波形を重ね合わせる際の横の水平(時間)方向の置関係(位相関係)は波形を見ながら適当に調整しました。ですから波形の形状は比較できますが、位相の遅れ度合を正確に知る事はできません。そこで、他の楽器音も含まれるパートを録音する事によって再生波形の位相関係を明確にできないか試してみました。

Footprintsでは、ロンさんのソロイントロ(Lチャンのみ)に続いてトニさん(ドラムス、Rチャンのみ)、とハビさん(ピアノ、両チャンネル)が加わるので、トニさんのシンバル音を基準にして位相関係を割り出す事にしました。Rチャンでは、シンバル以外の区間の信号を消去(無音化)しました。
ご試聴ください: Footprints トリオ.mp3

この信号をモノラル再生し、上記と同じ方法で録音した波形から、シンバル音(シャープな波形ピーク)を基準にして位相関係を正しく合わせました。以下の図では、赤がソース信号、青が位相補正なし、緑が位相補正ありです。全て上記と同じ周波数範囲でイコライジングしています。

システム1 (馬鹿ブー方式)の結果
781.jpg
密閉型でも位相は遅れますが、FrieveAudioの位相遅れ補正を適用するとソース信号と殆ど一致します(数ヶ月前に測定した係数を使用しているので、補正精度は高くないです。直前に測定したデータで補正して、同じマイク位置で録音するとピッタリ一致します)。

システム2 (バイアンプ方式)の結果
782.jpg
位相遅れ補正なしだと激しく位相が遅れます。これはアナログ式チャンデバによるものと思われます。手軽に使えるデジタルチャンデバ内蔵DACが欲しいですね。とはいえ位相補正を適用すると殆ど信号波形に一致します(こちらのスピーカーボックスは動かないようにネジで完全に固定しているためか補正精度が良いですね)。こういうデータを見るとアクティブ フィードバックは要らないなぁ。。と思います。

システム3 (バスレフ方式)の結果
780.jpg
補正なしの位相遅れは密閉型より大きいですが、システム2よりはずっとマシです。位相遅れ補正を適用しても完全には補正されませんが、補正なしの密閉型とほぼ同等まで改善されます。なんで補正しきれないのか? は良くわかりません。。。。多分、振動板以外(ポート)からも音が出るからだと思うけど。。あ。それと、シミュレーションによると、共鳴点が50Hzの場合、65Hzくらいまでであれば位相は密閉型に対して大きくは遅れず、ここから共鳴点(50Hz)に近付くに従って急激に遅れる模様です(下図参照)。

786.jpg
黄色の線が密閉型。緑の線がバスレフ型の位相遅れ。

コンクライの遅れなんか大した事ではないと思いますし、短時間「音」に集注して聴き比べても別に問題を感じないのですが、「音」を気にしないで「音楽」を半ば無意識に追いかけているうちに「音」に癖があると違和感が溜まってポートに吸音材を詰めてしまう。。というのが過去のバスレフトライアルでの経験です。さて、今回のはどうでしょうか?

以上、バスレフ型にはちょっと酷な比較でしたが、以前の小容積型に比べると聴感上も格段に改善されています。最終的にFrieveAudioでイコライジング(極小バッフルによるハイ上がり傾向の補正)と位相遅れ補正を適用する事によってハチマルの許容範囲に入ったかなぁ。というのが現在の実感です。共鳴容積を十分に大きくしたので、吸音材を十分に入れて筒っぽ臭い音や箱臭い音を抑えてもバスレフ効果を維持できた事が改善の主な要因だと思われます。以前の小容積型では、音の癖を嫌って吸音材を増やしてゆくうちに結局密閉型にナッチッタの繰り返しでしたから。。。。ハチマルの場合、デスクトップサイズだとバスレフ型は厳しいかもしれません。これから暫くオシゴト中にイロイロな曲を長時間聴いてから最終的な結論を出したいと思います。

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2011年05月02日 (月) | Edit |
今回のバスレフ チューニングでの測定結果をご紹介します。

まずは吸音材を入れずにポートと振動板前方の近接音を測定しました。ポートと振動板が離れているので、近接して合成音を測定する事はできません。ポート径はφ34mmです。なお、以下の全ての測定は、左右のSPを直列接続した状態で実施しています。
765.jpg
黒がポート長70mm、赤が40mmです。凄まじい定在波が出ています。初めて音を出した時に愕然としたのも頷けます(こりゃ駄目かと思いました)。1/2波長ではなく1波長の定在波のようです。ポートの位置を中央ではなく左右どちらかにずらした方が良いかもしれません。共鳴周波数は容積11Lで計算にほぼ一致しました。

767.jpg
振動板前方数cmでの測定です。同調点では振動板の出力が低下します。振動板からも激しく定在波の音が出てきます。

10cmx10cmの正方形に切った吸音材(厚さ25mmのミクロンウール)を左右の両端に入れました。ポート長は40mmです。
766.jpg
768.jpg
赤が吸音材なしです。この状態から吸音材を1枚ずつ増やして行きました。1枚入れるだけで高周波放射音は大幅に低下しますが、周波数が低いほど吸音率が下がるため、300Hzの定在波を殺すには左右に5枚ずつ計10枚(厚さ計250mm)の吸音材が必要でした(緑のプロット)。しかし狙い通り、細い筒の両端にだけ吸音材を入れるため、全体の共鳴効果に対する吸音材の影響はそれほど大きくなく、共鳴効果は劇的には低下していません。以前試した小容積ボックスでは、吸音材を少し入れるだけで共鳴効果は激減しました。なお、ピーク点がやや高域側に移動したため、最終的にポート長70mmを採用する事にしました。

次に、約1m離れて合成音を測定してみました。ポート長は40mmです。
774.jpg
スピーカーをデスクの上に置いて、中央前方約1.2mで測定しました。部屋の影響が凄まじく出ています。50Hzの激しいディップは部屋の特性です。無響室が欲しい。。。
黒が密閉(ポート塞ぎ)、赤が吸音材なし、緑が吸音材5x2枚です。100Hz~50Hzのバスレフ効果は吸音材を入れてもほとんど低下していない事が分かります。

下が前方の壁に設置してリスニング位置で測定した状態です。距離は約1m。ポートは最終的に70mmを採用。
777.jpg
吸音材の詰め方を少し修正し、前記事の測定データよりも音量を上げて測定しています。青が中央のリスニング位置、赤がドライバの正面で測定した結果です。50Hz以下で急激に減衰する典型的なバスレフ型の特徴が見られます。なお、特性のディップは部屋の影響です。吸音材で各種付帯音を十分に殺しながらほぼ狙い通りの50Hzまでフラットな特性が得られました(JBLの30cmコンパクトモニタ4312等と同等)。これは主にドライバのサイズに対して余裕のある容積を選択したおかげです。

以上のように事前のシミュレーションと、チューニング中の簡単な測定によって非常に効率的に作業を進める事ができました。もちろんそこから先は聴感による微調整が必要ですが、計算と測定は基準となるスタートラインへ素早くたどり付くために非常に有効な手段だと思います。

追記
今のところ筒とエルボーは普通に差し込んだだけの状態です。接合部で振動を遮断する必要性はそれほど感じません。エルボーのバッフル直後のストレート部には、内側にエアコン用の穴埋めパテを貼って補強/制振/マス付加しています。バッフル板(というかリング)には厚さ9mmの合板を使用しました。塩ビ管は木に比べて響かず、爆音を望まないのであれば、肉厚が薄くても意外とそのままSP用に使えそうです。お安く手っ取り早く実験/製作するには好適かもしれません。ただし、基本は長細い筒っぽなので管の長手方向で激しく定在波が発生します。断面が円なので、管端にだけ吸音材を挿入すれば効果的に吸音できるようです。波長の長い定在波は吸音が大変なので、管を長くする場合には注意が必要です。

追記2
測定しやすいようにモノラル接続のままで聴いていますが、別にモノラルでもエーンチャウ??というのが正直な感想。かえって聞きやすいかもしれません。ステレオってホンマに必要なのか???

追記3
Frieve Audioを使用して45Hz~8kHzの範囲でフラット化と位相補正を適用したところ、少し残っていた臭さが抜けてぐっと音楽が聴きやすくなった。思いの外効果が大きい。やはりフラットな特性が最も自然で聞きやすいと思う。最低音域の締まりと重みはデスクトップの密閉型システムに及ぶべくもないが、完全にハチマルの許容範囲に入ったと実感できる。このような周波数特性の微妙な修正を機械的/電気的/音響的にチューニングするのは大変手間がかかるが、デジイコを使用すれば極めて簡単に良好な結果が得られる。軽くて明るい音調もバリエーションとしては良いかもしれない。たぶんこれでOKなのでステレオ接続に戻した。
778.jpg
イコライザ係数。これで50Hz~8kHzが完璧にフラットになる。バッフル板を大きくすればハイ上がりの度合を低減できると思うので、不要な板が見つかればそのうち実験してみる。

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2011年05月01日 (日) | Edit |
もうできてしまいました。一月ほど仕事しながら聞いてみて小修正を加えるかもしれませんが、恐らくほとんど変更なしでOKだと思います。今のところ例によって雑な実験君状態ですが、最終的には綺麗に色を塗って仕上げたいと思います(いつになるやら?)。

設置状態です。邪魔にならないように前方の窓の上の壁に固定しました(エアコンは壊れて使っていないので問題ありません)。
771.jpg
塩ビ管のサイズは呼び径100 (内径107mm)です。長さ1mのを買って来てそのまま使用しています。容積は左右のエルボーを含めて約11Lになります。もう1サイズ太い管を使いたかったのですが、近所のホームセンターでは売っていませんでした。呼び径100でもいざ購入の段になって、こんなゴツイモン狭い部屋に置きたくないなぁぁ。と二の足を踏んでしまいました。コンパクト好きのハチマルには、これでも十分に巨大に見えます。共鳴ボックスを左右で共有するので1本で済みますが、こいつを左右に1本ずつというのは完全に許容範囲を超えます。

お決まりのリスニング位置での周波数特性です。縦軸の1メモリは6dBです。
773.jpg
黒が密閉(ポート塞ぎ)、赤がバスレフ状態です。60Hz前後で約6dBのバスレフ効果を得ています。左右SPから耳までの距離は約120cm、左右スパンは約115cmなので、ほぼ正三角形の配置になります。SPは真正面を向いているので、高域の特性はかなり低下しますが、聴感ではそれほど高域不足には感じません。というか、1k~5kが盛り上がったややハイ上がり傾向なので、FrieveAudioの手動イコライザで1k以上を約6dB落とすと丁度良く感じます。自動音場補正は適用していません。

下はポート部です。実験君なので汚くてスミマセン。
772.jpg
ポートにはキッチンペーパーか何かの芯(紙の筒)をとりあえず使用しました(内径34mm x 長さ70mm)。風切り音対策としてポート出口の周りに厚さ約5mmのフェルト材を鉢巻きのように巻いています。LEANAUDIO以前にバスレフ型をさんざん試した時に発見したハチマルお薦めの方法です。もう一端にも同じ処理を施しています。共鳴周波数の正弦波を再生しながら調整すると効果がよく分かりますよ。お試しあれ。。。普段聴く上限以上のボリューム設定で50Hzの16ビット フルスパン正弦波を再生した時に変な風切り音が発生しない事を確認しました。太さ的には十分みたいです。

今回のトライアルで非常に大きな役割を果たしてくれたのが吸音材です。吸音材が皆無だと定在波が凄まじくてとんでもない音でした。こりゃ駄目かな?と思ったのですが吸音材を適量入れる事によって十分に対策できました。

という事で、正味半日ほどで結構エーンチャウという状態にできました。計算で十分に事前検討した上で簡単な測定で確認しながらチューニングすると非常に効率的です。ここから先は聴感による微調整の段階ですが、今回はほとんど修正なしでOKではないかと思います。過去に小容積(4L、2.5L)のバスレフ型ではどうしても満足できる音が得られなかった事を踏まえ、今回は容積に余裕を持たせたのが良かったのかも知れません。デスクトップの2つの密閉型システムに比べると当然低音の重みでは劣りますが、Alpair6 Pの明るくて伸びやかな音を楽しむにはベリグッドだと思います。左右で1つの共鳴ボックスを共有していますが、別段違和感も覚えません(定位感とか全然気にしないので分からないだけかも)。省スペース化にはなかなか良いアイデアではないでしょうか(1/2の容積で左右に割り振ったらエーンチャウって? それでは駄目なんですよ。密閉型だったら単純にそれでも良いのですが)。

次回から詳しい測定データをご紹介します。オタノシミニ。。。

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2011年04月30日 (土) | Edit |
今回はバスレフ型以外の、各種低音増強方式をシミュレーションで比較してみます。

共通条件はユニット「Alpair6 P」、容積「12L」、吸音材の量「普通」です。
12Lという容積は「共鳴管」モデルで「ざっと計算」(ソフトウェアのお薦め設定)した結果、容積が12Lになったので、全ての計算条件をこれに合わせたというだけです。従って今回の計算は各モデルごとに最適化していません。同一容積で比較した場合の大まかな傾向として見てください。

各グラフはクリックで拡大してご覧ください。

まずは密閉型
759.jpg
このソフトウェアでは密閉型の吸音材量を設定できません。その他のモデルの吸音材量は全て「普通」です。以下の各グラフでは、比較基準として密閉型の特性を黄色のラインで重ね合わせています。

バスレフ型
760.jpg
共鳴周波数を約50Hzに合わせています。黄色の線は密閉型の特性。

共鳴管(ストレート)
761.jpg
断面積変化のないストレートな共鳴管です(管径φ96mm x 長さ1700mm、容積約12L)。ソフトウェアのお薦め設定をそのまま使用しました。音道長が170cmですので、その4倍の波長(50Hz)が基本共鳴周波数となっています。200、400、600、800Hzに高次の共鳴ピークがかなり強く表れています。共鳴点(50Hz)前後の位相の変化はバスレフ型に比べるとなだらかです。

共鳴管(先細りテーパー)
762.jpg
音道長は170cmのまま、管径がφ132mmからφ66mmに絞られる先細りテーパー管を設定しました。容積はほぼ同じ12Lです。管長は同じですが、基本共鳴周波数が40Hz以下に低下しています。先細りにすると共鳴周波数は低域側へ移動するようです。また、高次のピークの振幅も大幅に減衰しています。共鳴点が低周波側へ移動したため、位相遅れも全体的に減少しています。ダラ下がりの低域特性を嫌って管長を短くすると前記事のペンシル型に近付き、位相遅れも増加します。このタイプをうまくチューニングすると、顕著な位相遅れを伴わずにダラダラとかなり低域までレスポンスを延ばす事ができるかもしれません。そのへんが欧米のDIYビルダーに好まれる理由かもしれませんね。この方式はバックロード型を逆に使用すると簡単に試せます。ハセヒロ工業さんではコンバート用のバッフルプレートもオプションで販売しています。

蛇足ですが、欧米のDIYビルダーはスピーカー内部にコイルと抵抗を組み合わせた緩やかな高域減衰回路を平気で組み込みます。これにより低域のレベルを相対的に引き上げようというのが狙いです。あるいはバッフルステップ修正用の回路を組み込む場合もあります。日本人ではまずやらないですよね。ハチマルなんかデジイコでやりゃしまいじゃん。と思うのですが。

共鳴管(先太りテーパー)
763.jpg
今度は逆にφ66mmからφ132mmに拡がるテーパー管を設定しました。長さと容積は上記2例と同じです。まず、ホーン効果によって全体の音圧レベルが増加しています。基本共鳴周波数は先細りとは逆に高周波側へ移動します(約65Hz)。高次のピークはストレート管ほど顕著には表れませんが、全体的なレスポンスの変動幅は先細りよりもかなり大きくなっています。

バックロードホーン
764.jpg
音道長と管径は上記の先太りテーパー モデルと同じ値に設定しました(ソフトウェアのお薦め設定でも似たようなものです)。ただし、こちらはエクスポーネンシャル形状です。チャンバー容積はソフトウェアのお薦めを採用しました。200Hz以下の低域特性は先太りテーパーとほとんど同じですが、ホーンからの高周波放射音が減衰しています。これはバックチャンバーの効果だと思われます(試しにチャンバー容積を0Lに設定して確認)。また、低域の位相遅れも緩やかです。この方式で低域限界を延ばそうとするとかなり大型になると思われますが、ホーンから出てくる元気な中低域音が真骨頂というところでしょうか。欧米のDIYフォーラムではこのタイプをあまり見かけませんが、日本のDIYビルダーの間ではこのタイプの人気が非常に高く、お国柄が顕著に出ていて興味深いですね(形状的に真逆ですもんね)。

という具合に、各種低域増強法には長短があって、悪い癖を抑えつつ良いところを引き出すというのがビルダーの腕の見せどころという事でしょう。また、それぞれの音の癖によってリスナーの好みも分かれるのだと思います。大手メーカー製スピーカーの圧倒的大部分はバスレフ型か密閉型ですが、癖のない無難な特性とサイズ的制約からそこに落ち着くという事だと思います。

ハチマルが提唱する小容積密閉型を基本とするデジタルブースト方式またはパワードウーハー方式は、それらの癖を徹底的に取り除きつつ位相乱れのないフラットな低域レスポンスを確保する事により、記録されている音楽作品のオモシロミを最大限に楽しむ事を目的としています。従って、独特の癖による音のオモシロミは全くありません。そのへんを物足りなく感じる人には全くツマラナイ方式だと思います。また、上記の各種方式に比べて容積を極端に小さくできるという利点も備えます(Alpair6の馬鹿ブーだと2.5L、Alpair5パワードウーハー方式で4L、ケロはチャンネルあたりたった0.4L)。

追記
今年の連休はどこにも行かず、基本的にお仕事とバスレフ製作にあてる予定。ムスコ(中3)も受験準備だし(勉強半分、スポーツ推薦狙い(幅跳び)半分で未だどっちつかず)、自転車仲間とのお伊勢参りツアーも地震で立ち消え。。自粛過剰は良くないと言われますが気分的にどうもドンチャンやる気がしません。今年は近所で飲むだけ。

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2011年04月27日 (水) | Edit |
今回は、もう一度容積を見直してみます。

下図は、今のところ標準的と考えている8Lでの計算結果です(クリックで拡大してご覧ください)。
747.jpg
ポート径φ34mm/ポート長80mmで約50Hzの共鳴周波数が得られています。吸音材は「なし」です。

容積を20Lまで増やしてみました。共鳴点は同じく約50Hzに合わせています。
748.jpg
ポート径はφ34mmのままですが、ポート長は10mmしかありません(穴ですね)。この状態ではポート効果が出すぎです。

そこで吸音材を入れて調整してみました。
749.jpg
このシミュレーションでは吸音材の量を4段階に調整できます。上図では最大の「多め」に設定しています。この結果8Lの場合とほぼ同等の50Hzまでフラットな特性が得られます。箱を大きくしたのに低域特性が同等以下じゃぁ駄目じゃん。。てな事はありません。共鳴効果が緩やかになり、位相遅れも緩和されています。またポートからの高域放射音も低減しています。共鳴点以下の減衰の傾斜も少し緩やかになります。
このように大きな箱を使用し、吸音材の量で共鳴効果の強さを調整する事によって、バスレフ型が持つ独特の癖を和らげる事ができそうです。

容積20Lどうしで密閉型とバスレフ型(上図)を比較してみました。
751.jpg
典型的なバスレフチューニングではインピーダンス曲線が綺麗な2山になりますが、この場合のインピーダンス曲線は密閉型に似てきます。位相遅れは改善されたとは言え、密閉型に比べるとかなり遅れます。これはバスレフ型の宿命ですね。

前の記事で紹介した共鳴ボックス共有案を採用し、共鳴ボックスの容積を可能な範囲で大きくしてみるのも良いかもしれません。

こんな感じ?
751_20110427072744.jpg

追記
バスレフ型を検討しながら、こんな事を言うのもなんですが。。。
このようなデータを見ると、密閉型のままでアンプのトーンコントロール(例えば中心周波数50Hz)を8~10dB程度持ち上げるだけでバスレフ型と同等の低音特性が得られます。アナログフィルタの場合、位相は多少遅れますが、果たしてバスレフ型と比べてドッチがお得なのかなぁぁぁぁぁぁぁぁ?????と考えてしまいます。ましてやデジイコなら位相遅れ皆無ですし。。。そんなにイコライジングって嫌われ者なのかなぁぁ?????。。。フシギ。ふしぎ。不思議。。。コチラの記事も参照されたし。。

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2011年04月26日 (火) | Edit |
全体にもっとコンパクト/低コストにできないかと考えた案。

共鳴箱(50Hz目標)は左右で共有したらエーヤンというアイデア。
ドライバ背後の吸音材で中高域音をどの程度の周波数までカットできるか?
多少のクロストークは許容しましょう。定位とかセパレーションはさして気にしない質なので(別にモノラルでも良い)、これでもエーンチャウ?
746.jpg
この形態だと前方の窓枠の上方に水平に設置できるので全く邪魔にならないし、材料費(パイプ1本分)を節約できる。

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2011年04月25日 (月) | Edit |
暇なのでAlpair6 P用のバスレフボックスのアイデアを考えていました。備忘録を兼ねて思い付いたアイデアを書いておきます。

LEANAUDIOを始める前に、3"ドライバを使用したバスレフ型をいろいろ試しましたが、その時は満足できる結果を得られませんでした。今回もただ箱を作ってポートを調整するだけでは芸がないので、イロイロ考え中です。

定在波と箱鳴りを抑えつつ、しっかりと共鳴効果を出せて、しかも手っ取り早くお安く作れる事。というのが主な技術命題。極力付帯音を抑えつつ共鳴効果を利用したいというのが狙いです。あ、それと部屋が狭いので壁への取り付けが前提となるため、設置のしやすさと軽量化というのも大切です。

バスレフ型の場合、共鳴効果を十分に得るために吸音材を極力減らしたいところです。ですから平行面を持つ四角い箱型ではなく丸っこいカタチが良かろうとは思うのですが、簡単には作れません。そこで塩ビ管を使用しててっとり早く作れそうなアイデアを考えてみました。歩いてすぐのホームセンターで内径107mm x長さ90cmの塩ビ管(容積約8L)を売っているので好都合です。

とりあえず思い付いたのが下図
744.jpg別案→745.jpg

この形態だと、筒の長手方向に発生する定在波を除去するために吸音材が必要です。吸音材の位置としては2箇所が考えられます。ドライバと反対側の筒の下端に吸音材を入れるのが最も一般的でしょう。これに対し、ドライバ背面に吸音材を入れると、ドライバ背面からの高域音を吸収して周波数の低い音だけを透過させ、ポートからの高域音の放射を低減できるかもしれません。両端以外の空間は吸音材なしのフリーな空間として十分に共鳴箱として機能してもらいます。

長さ90cmでは約188Hzに定在波が発生します。周波数が低いので吸音材で十分に吸収できるのか?が問題かもしれません。本当はノーチラス風先細りテーバー管が理想的だと思うのですが作るのが大変なのでトリアエズ。。。ただし、バッフル面積が小さいため、200Hz付近が盛り上がるとバッフルステップを補ってくれる可能性もあります。長さを調整しながら逆にうまく利用できるかも知れません。

さらに、エルボー部と筒部の間にはクッション材を入れてドライバの振動が筒部に伝わらないようにして箱鳴りを抑えます。エルボー部にはガッチリと補強を入れますが、筒部は塩ビ管そのママ(重くしたくないのよ)。

設置方法としてはエルボー部を窓枠に固定し、下の筒はぶら下げるだけ。こいつが50Hzで共鳴した時にどの程度振動するかは???

以上、とりあえずのアイデア。ハテサテ。

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2011年04月07日 (木) | Edit |
という事で、Alpair6 Pはオーソドックスなバスレフボックスで使用してみたいと考えています。

例の「スピーカー設計プログラム アプレット版」で検討したところ、6Pでは概ね7~9Lくらいで約50Hzまでフラットな素直な特性が得られそうです(6Mの場合は5 L前後の小さめの箱で同等の低音特性が得られる、関連記事)。以前購入したVictorのパワードサブウーハーの箱がちょうど8 Lくらいなので、こいつを実験用に利用しようと考えています。ちなみに、このサブウーハーが内蔵していたアンプは現在ケロ用に使用しています。

で、容積が決まったので、今回はポートの径と長さについて検討してみます。

同じヘルムホルツ共鳴周波数が得られるポート径/長さの組み合わせは無数に存在します。箱容積と共鳴周波数を一定とした場合、細くすると短くする必要があり、逆に太くすると長くする必要があります。

容積を8L、共鳴周波数を約53Hzに合わせて、3種類のポート仕様について計算してみました。

ケース1: 内径=4cm x 長さ=12cm
ケース2: 内径=2.8cm x 長さ=4.5cm
ケース3: 内径=2cm x 長さ=1.5cm

ケース1: 内径=4cm x 長さ=12cm
717.jpg

ケース2: 内径=2.8cm x 長さ=4.5cm
716.jpg

ケース3: 内径=2cm x 長さ=1.5cm
715.jpg

3つとも共鳴周波数がほぼ同じなので、得られる周波数特性もほぼ同じです。このシミュレーションは空気抵抗の影響を考慮していないのかもしれません。ポートが細くなると流速が上がって空気抵抗も大きくなるので、共鳴周波数が同じでも実際の出力に影響が出るかもしれませんのでご注意。。。。

さて、ここで注目すべきは、ポートから出てくる音の特性です(グラフの緑の線)。太くて長いケース1では、約1kHzにポート(筒っぽ)自体の共振ピークが発生し、そこから高域側に倍数周波数のピークが発生しています。この1発目のピークは、ポートを短く細くするにつれて高周波側へ移動し、そのレベルも低下します(ケース1では1kHz/67dBに対してケース3では4.5kH/36dB)。

このように、同じチューニング周波数でも、ポートを細く短くする事によって、ポート自体が発生する筒っぽ臭い音を抑える事ができます。また、バスレフ型の場合、十分な共鳴効果を得るには吸音材を最小限にせざるを得ず、箱内の定在波の音もポートから放射されるため、その意味でもポート径は小さめの方が有利かもしれません。

ただし、ポート径を小さくすると流速が上がるため、空気抵抗と風切り音の影響が無視できなくなる可能性があります。また、過渡特性にも悪影響が生じる可能性もあります。これは実際に使用する時の音量にも影響を受けます(音量が大きいとポートを出入りする空気の量が増える → 流速も上がる)。例えばドライバの限界近い大音量で聴く場合には、あまり小径にはできないかもしれません。しかし、控えめの音量でしか聴かない場合には、ポートをかなり小径にしても大丈夫かもしれません。市販製品の場合、当然限界近い音量での再生も想定してポートを選定せざるを得ませんが、自作の場合は自分の音量に見合ったチューニングが可能です。

という事で、近々バスレフのスタディを始めますのでオタノシミニ。。。

追記
この場合もそうだけど、最大音量をどこに見積もるかによって装置の設計は大きく影響を受けますね。たとえば馬鹿ブーストにしてもそうです。最大音量を制限する事によって音質面のみならず設計自由度が大きく広がります。そういう意味でもニアフィールドリスニングは極めて有利です。また、デジタル処理によって信号を制御する事により、使用条件を確実にハードウェアの限界以下に制限できるようになれば、ハードウェア側の設計自由度はさらに向上します。それには、信号入力から音響出力(スピーカー)までを含めたトータルなシステムコンセプトが必要なのは言うまでもありません。このようなコンセプトにより、「本質的」な「音楽再生クオリティ」の向上のみならず「コンパクト化」も可能です。まだまだ技術的にやることが一杯あると思うのだが。。。。

追記2
6Mは6Pよりもf0が低いが、6Pと同じ箱に入れて低域が伸びるのではなく、6Pよりも小さい箱で同等の低域特性が得られると考えた方が良さそうだね。

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2010年12月18日 (土) | Edit |
バスレフ型というのは、密閉型では不足しがちな低音を補強するために発明された巧妙な手法です。この手法では箱に適当な長さ/太さのダクトを設ける事により、ヘルムホルツの共鳴効果を利用して特定周波数領域の音響出力を増強します。しかし、当ブログで再三取り上げているように、この方式には避けて通れない様々な欠点が存在します。今回は、そのあたりをシミュレーションを使用して再検討してみます。

例によって「スピーカー設計プログラム アプレット版」を使用しました。このツールは、当ブログでも再三にわたって実験結果と比較し、十分な精度を持つ事を確認しています。

ツールのデータベースからMarkaudioのAlpair 6 MetalのTSパラメータをそのまま使用し、ポートの共鳴周波数を50Hzに合わせ、吸音材の量は「なし」に設定しました。

まず、50Hzに共鳴点を合わせた時に50Hzまでフラットな周波数特性が得られる容積をトライアンドエラーで探しました。その結果、容積=5L、ダクト長=120 mm、ダクト直径=30 mmで良好な結果が得られました。結果を下図に示します。クリックで拡大してご覧ください。
650.jpg
緑が振動板前方からの出力、濃い青がポートからの出力、水色がトータル出力です。赤の二山はドライバのインピーダンス、紫は振動板の振幅、一番下の緑は位相です。

100 Hz以下で振動板の出力は低下し始め、これをポートからの出力が補って共鳴点の50Hzまでほぼフラットな特性が得られています。共鳴点では振動板はほとんど動かず、専らポートから音が出ている事が分かります。共鳴点以下では、ポートと振動板の音が逆位相となるために、互いに弱め合って出力は急激に低下します。

次に容積は同じ5Lのまま密閉型にしてみました。
651.jpg
これを比較のためにバスレフ型のグラフに重ねたのが下図です。密閉型のデータは全て白でプロットしています。
652.jpg

密閉型の容積を2.5Lまで下げた結果を下に示します。
653.jpg
白抜きは5Lの結果です。容積を半分にしても、40Hzの出力は1.5dB程度しか低下しません。下はもっと極端に5.5Lから0.2Lまで容積を変化させた計算結果です(参考記事)。
567_20101218125009.jpg
密閉型の場合、容積を小さくするとドライバの機械的共振効果が下がるだけで、それ以外の領域のレスポンスはほとんど変化しません。LEANAUDIOではこの機械的共振効果をタップリの吸音材で殺してしまうので容積は重要ではなくなります。

バスレフ型を2.5Lにしてみました。共鳴点は50Hzに合わせています。この容積ではフラットな特性は得られません。
654.jpg
この容積で50Hzに同調するには、ダクト径30mmに対して300 mmものポート長が必要になります(ポチ型ボックスには入らないっす)。また、ポート自体の共振もより強くなります(音もより筒っぽ臭くなるということ)。

以上からバスレフ型の問題点を挙げてみます。
1) ポートの位相反転により、共鳴点以下で出力が急激に低下する
グラフから読み取ると、50Hz以下では-28dB/Octの傾きで急激に減衰します。これは密閉型の-12dB/Octの2倍以上の傾きです。上から3番目のグラフの左側の赤いラインは-12dB/OCtの傾きを持ち、密閉型を50Hzまでフラットにデジタルブーストした時の特性を表しています。

2) 位相遅れが大きい
グラフの最下段の緑の線が位相特性です。グラフが上に行くほど位相が遅れます。バスレフ型の場合、共鳴点前後で位相が急激に遅れる事が分かります。グラフ左上隅の時計の針は40Hzにおける位相を表しています。20kHzでの位相は時計の3時15分くらいの位置です。密閉型でも40Hzで約120度の遅れが発生しますが、バスレフ型ではその約2倍の遅れが発生しています。ちなみにFrieveAudioは、このような位相遅れも非常に正確に補正してくれます。

3) ポートからポート自体の共振音が出てくる
ポートからの出力を見ると、約1kHz に大きなピークがあり、そこから高周波側にいくつものピークが見られます。これはポート自体の共鳴によるものです。このため、本来の狙いである低音以外にもポートの「筒っぽい音」がどうしても出てしまいます。
この周波数は下式でザット見積もれます。
共振周波数 = 34000/(ダクト長(cm)+ダクト径(cm))x2) Hz
この計算だと、共振周波数は1.1 kHzとなり、グラフにほぼ一致します。
箱に十分な吸音材を入れない場合は、箱の定在波の音もポートから放出されます。

4) 共鳴周波数を下げるには、それなりの容積が必要
一般にバスレフ型の方が密閉型より小型にできると言われていますが、デジタルブーストを前提にするならば、その関係は逆転します。

以上を過去に計測したデータと照らし合わせてみます。

1)下図は2.5Lでのバスレフvs密閉比較です(参考記事)。吸音材を全く入れていないので、定在波の影響がモロに出ています。
545_20101218114616.jpg
バスレフ型は共鳴点の80Hzから40Hzにかけて1 Octで実に36dB以上も出力が低下しています。同区間の密閉型の低下量は例によって12dB/Octです。

2) 下は、ピチカートベース音の再現性を比較したものです。554_20101218112849.jpg
556_20101218112925.jpg
赤のラインがCD内の信号波形、青がスピーカ前方で測定した音波形です。上がバスレフ、下が密閉+デジタルブーストです(参考記事)。これは共鳴点よりかなり高い周波数での結果です。共鳴点では、影響がさらに顕著になると考えられます。上の波形では、位相遅れというよりは、音の出だしのトランジェント部の波形に大きな問題が見られます。このため、ピチカートベースの音を重視するハチマルにはバスレフ型がどうしても受け入れられませんでした。ちなみに、上図のデジイコは手動でテキトーに設定したものですが、全域フラットに自動音場補正すると、下図のように信号と音波波形はほとんど一致します。
659.jpg


3) 下図はダクト音の実測値です(参考記事)。
548_20101218114040.jpg
この時のダクトの長さ8 cm、太さ2.3cmから共振周波数を計算すると約1.6kHzとなります。800Hzの立ち上がりは箱の定在波の影響が強いと思われますが、2発目のピークは明らかにポート(筒っぽ)の固有振動の影響だと考えられます。結構レベルがでかいのには驚かされますね。上の周波数特性グラフにも、定在波以外のポートの影響が見て取れます。

以上、このブログで再三述べてきた事を敢えて再度しつこく取り上げました。

バスレフ型は、信号処理技術が発達していなかった当時に低音を稼ぐために考え出された極めて巧妙な手段だと思います。過去のオーディオ技術者達の叡智に敬意を払うに吝かではありません。しかし、音源がデジタル化されたこの時代において、数多の欠点を背負いながら未だにアタリマエのように使われ続けている事には大きな疑問を感じざるを得ません。やたらと微細な「音質」に拘泥する以前に、100Hz以下の低音を正確/明確に聞き取れるようにする事は、「音楽をより楽しく深く聴くため」の「総合的な音楽再生クオリティ」にとって極めて重要であると認識するハチマルには不思議でなりません。オーディオ技術が真っ先に解決しなければならない長年の最大の課題がかくもお座なりにされ、微細な「音質?」とか「ナンタラ感」を追い続ける現在の「ピュアオーディオ」とやらには憤りすら禁じ得ません。ホンマニ。。。

マニアはどうでもヨロシイ。。。。しかし、装置の事なんか何も知らずに普通に音楽を聴く人々が、アタリマエのようにしっかりとした低音を聴けるようになる事は非常に重要だと思います。まあ、今はイヤフォンの性能が素晴らしく向上したので、根本的に進化しないオーヂオ装置で聴くよりも、そちらで聴く方が余程良いといえばそうかもしれませんが。。。

次回に続く。。。。

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2010年06月05日 (土) | Edit |
前々回の記事「音楽再生の基準てなんやろか?」では、ソース音の忠実な再生を妨げている最大の要因として、
1) スピーカーと耳の距離(すなわち部屋の音響特性の影響)
2) スピーカーの低域再生限界(特に小型スピーカーでは問題)
を挙げ、「敢えて追加するならば」の前置きをしてから
3) バスレフポートの音
を挙げました。これはデータによる検証ができていなかったためです。
1)と2)に関しては、このブログで度々測定データを紹介してきましたが、バスレフポートに関しては全くの聴感によるコメントしかできませんでした。そこで今回はデータによる裏付けを試みました。

前置き
僕はジャズのピチカートベースの聞こえ方を非常にというか異常に重視します。これはジャズを聴き始めた時からの癖なので仕方ありません。ピチカートはパルス音なので、バスレフ型では問題が表れやすいように思います。交響曲を聴く場合には僕もバスレフ型でほとんど問題を感じません。というのは楽器の音がほとんど連続音だからです。背面バスレフにすると若干響きが広がって、逆に良く感じる場合もたまにありました。一般的にポート音に限らず、パルス状の音に注目した方が音の変な癖を感じやすいような気がします。例えば箱の定在波の場合、僕はピアノの音に注目します。ストリングだけに注目すると、このような問題が分かりにくくなるか、あるいは逆に綺麗に響いて聞こえてしまったりします。

測定条件
スピーカー: 前の記事で使用したポチ1型+TangBand 8cmフルレンジ、ポートの設定も前回と同じ(同調80Hz)
音源: マイルスのアルバム「Miles Smiles」から「Foot Prints」のベースソロの4音 (ご試聴ください)。
この曲は、何か変えた時にまず最初に試聴する僕のリファレンス的な曲です。今回は冒頭のベースソロ4音だけ抽出しました。最初は正弦波信号で比較したのですが、それでは明確な差がでないため、実際の音楽信号を使用した次第です。

録音方法: 16bit/44.1kH WAV、モノラル、マイクロフォンはいつものパソコン用、マイクロフォン位置はスピーカー前方15cm (f特測定位置と同じ)

アンプ: ONKYO A-905FX(一部トーンコントロールを使用)

再生装置: 録音を行うPCとは別のPC上でFrieveAudioにて再生(24bit/96kHz出力)。基本的にイコライザはOFF。ただし最後の実験だけイコライザを使用。


測定結果

まずはお決まりの周波数特性です
553.jpg

基本的に前回記事のデータと変わりません。水色はアンプのトーンコントロール(70Hz/最大+10dB)を使用して密閉型の低域を増強したものです(約3/4位置=+7.5dB)。スピーカーからの音圧レベルをできるだけ揃えるために、以下の比較ではこの「密閉+トーンコントロール」と「バスレフ」を比較します。アンプのボリュームと入力信号レベルは全ての測定で同一としました。

ではマイクロフォンから測定した音波の波形とCDに記録されているデータの波形を比較してみます。つまり「タイムドメイン」的に評価してみます。

なお複数波形を重ね合わせて比較していますが、時間的同期情報が無いため、時間方向(左右方向)の位置合わせは見た目で適当に行っています。

これがソース信号。約2秒間です。以下ではまず4番目、次に2番目の音の出だし部の波形を比較します。
560.jpg

まずはベース4音「ポポポポーン」の最後の「ポーン」の出だしの波形を比較します(約0.05秒)。基本周波数は約150Hz。
まずは密閉型(トーンコントロールON)
550_20100605140625.jpg
クリックで拡大して見てください。赤がソースの信号データ。青が測定波形です。測定波形は頑張って信号波形をトレースしているように見えます。測定繰り返し性を確認するため、グラフには3回の測定波形を重ねてプロットしています。ほとんど完全に重なるので、測定繰り返し性は問題ないと思います。

次にバスレフ型(トーンコントロールOFF)
549.jpg
これも3回の測定結果を重ねています。2、3、4番目の波形が明らかにずっこけ気味ですね。信号の基本周波数は150Hzですが、上の周波数特性を見ると150Hzでもポートの効果が見られます。

以上の結果では、明らかに密閉型の方が信号をより正確にトレースしていると言えそうです。

次に「ポポポポーン」の2番目の「ポ」の出だしの波形です。基本周波数は少し下がって100Hz。
まずは密閉型(トーンコントロールON)
555.jpg
ありゃりゃ。3つめくらいから動きが怪しくなりますね。「密閉よ、もおまえもか?」

お次はバスレフ型(トーンコントロールOFF)
554.jpg
波形の変形の仕方が密閉とは明らかに異なりますが、これでは五十歩百歩かな。ただ、上の結果でもそうですが、全体的にバスレフ型は音の出だしの波形(最初の2~3山)の崩れが大きいと言えます。その後の波形は大して崩れていません。ピチカートでは問題を感じるけどクラシック(弓弾き)ではあまり問題を感じないのは、このへんが原因のようです。正弦波信号の比較では差が明確に出なかったのもうなずけます。

密閉型の方は、周波数が下がってトーンコントロールが影響する範囲に入ったのが問題の原因かもしれません。トーンコントロールをOFFにして、かわりにFrieveAudioのデジタル イコライザで150Hz~70Hzにかけて+7.5dBしてみました。
イコライザはこんな感じ。
559.jpg

さて波形は?
密閉型(トーンコントロールOFF、デジタルイコライザON)
556.jpg

ビンゴ! やはりアナログ式のトーンコントロールが悪さをしていたようです。以前も聴感上違和感を感じて使うのを止めたのですが(関連記事)、こういう事だったのかと納得です。ここまで明らかに違いが出るとは予想していませんでした。これに対してデジタルでブーストした波形はかなり頑張って信号をトレースしています。アナログフィルタとは異なり、デジタルフィルタは位相の問題を一切生じないとは聞いていましたが、確かにそのように見受けられます。ソース信号がデジタルになったこの時代にわざわざアナログ フィルタを使用するのは馬鹿げていると言えるでしょう。

結果は以上です。
密閉型とバスレフ型の波形の違いをどう思われますか。波形の違いなんて「コマケー」違いでしょうか?
例えば今のアンプを100万円のアンプに変えても、こんな雑な測定で分かるような違いが出るとはまず思えません。ましてや電線を変えた時の変化量に比べたら、天変地異くらいの大変化ではないでしょうか。

以上をまとめてみます。

1) ピチカートベースの信号を再生した場合の再生音波形には、密閉型とバスレフ型で明らかな違いが確認できました。この信号に対しては、密閉型の方が明らかに高い信号忠実度を示しました。バスレフ型では音の出だし(トランジェント部)の波形に顕著な崩れが見られました。つまり「タイムドメイン」的に劣るという事です。

2) 同じ信号に対してアンプ内蔵のアナログ式トーンコントロールとFrieveAudioのデジタルイコライザーで同等量のブーストを適用した場合、スピーカーから再生される音波の信号忠実度は、明らかに後者の方が優れる事が分かりました。

また、僕の基本コンセプトである密閉型スピーカ+デジタルブーストの優位性も改めて確認できたと思います。

今まで、どうしてもバスレフの音に馴染めずに違和感を憶えていたのですが、波形を見てもやはり少し変な事が分かりました。もう少し下の70~80Hzでも測定してみたかったのですが、適当な信号が見付かりませんでした。このように小型のスピーカーをバスレフ型にすると、ポートの音域がベース帯域にもろに被さりますが、大型スピーカーでポート帯域を50Hz以下に持ってゆければ、違和感はかなり解消できると思います。

世間に出回っているスピーカの大部分はバスレフ型ですので、それに馴染んだ耳には密閉型は「地味」「響かない」「沈んだ」感じに聞こえるかもしれません。しかし暫く耳を密閉型に馴染ませた後にバスレフ型に戻すと凄く「癖」のある音に聞こえると思います。自動音場補正でも使い始めは違和感を覚えるのですが、一度馴染むと手放せなくなるのと似ているかもしれません。

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2009年05月31日 (日) | Edit |
以前の記事に何度か書きましたが、僕の場合、バスレフ型ではジャズのピチカート ベースの音にどうしても違和感を感じてしまいます。逆にクラシックのオーケストラを聴く場合はバスレフ型の方が好ましく聞こえます。今回はこれについて考えてみます。

僕がバスレフに対して敏感な理由の1つは、スピーカーから近い距離で聴いている事に起因するのではないかと考えています。

バスレフポートからの音と振動板前面からの音の間には周波数によって変化する位相のずれがあり、ある周波数から下では位相が逆転してしまいます。一般的なステレオ装置のセッティングで聴く場合、リスナーはスピーカーからある程度の距離を置くため、特に低域においては部屋からの反射音の影響を近接距離で聴くよりも強く受けます。反射音は様々な経路を通って耳に届くため、最短距離で届く直接音に対して様々に遅れた位相を持ちます。従ってこのような条件で聴く場合には、バスレフポートの位相差はそれほど目立たなくなるはずです。
しかし僕のようにニアフィールドで聴く場合は反射音の影響が弱まるために、ポートの位相差が上記よりもはっきりと感じられるのではないかと考えられます。

もうひとつは、ジャズのベースラインの聞こえ方を重視する僕の癖が影響していると思われます。
クラシックのコントラバスは基本的に弓弾き(連続音)ですが、ジャズではピチカート(断続音)を多用します。パルシブな音では位相遅れの影響がより大きく感じられるはずです。バスレフ型でピチカート ベースを聴くと、弦を弾いたときの「ボン」という主体音に混じって「ボー」という感じで主体音とは分離したような不自然な低音が聞こえる事があり、これがバスレフ嫌いの最大の要因になっています。多分距離を置いて聴けば反射音と混じり合って気にならなくなるのかもしれません。

一方、クラシックのオーケストラを聴く場合にバスレフの方が好ましく感じられる点については、位相の遅れた低音が含まれる事によって擬似的な反響音(エコー)の効果が得られるためでは無いかと考えています。密閉型を近接距離で聴くと、オーケストラの低音の響きがソリッドすぎて味気なく感じる場合がありますが、音階情報の希薄な50Hz以下でバスレフ効果を使用する事によって、この傾向が和らぐように思えます。クラシックの場合、50Hz以下の信号は交響曲でも強くないのですが、「響き」の奥行きや広がりを再現する上でとても重要な帯域ではないかと思います。この部分をバスレフポートに受け持たせると響きの広がったような良い感じに聞こえます。

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