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2013年11月23日 (土) | Edit |
前の記事では、Evo ZXRのSurroundエフェクタの効果を周波数ドメイン解析(F特計測)で確認しましたが、今回は時間ドメイン的に解析しました。はやい話が、位相を波形で観測したという事です。

バイノラル録音用のマイクを両耳に付けて、サインスイープ信号を右チャンネルだけに入力しました。Surround効果は100%です。

下のグラフでは、水色が右耳、赤が左耳での波形です。時間軸の1目盛りは10ms、図中の黄色四角の横幅は約1msです。

約50Hz~約120Hzの波形
delya1.jpg
前の記事で書いたように、500Hz以下の低音では左右の信号が均等に混ぜられて、左右の音の大きさはほぼ同じになります。しかし、単純に混合してモノラル化するのではなく、反対側(左耳)の信号を1ms弱遅らせている事がわかります。

約260Hzから1.4kHzの波形
delay2.jpg
前の記事で書いたように、500Hz以上の高音では左右信号の混ぜ具合は弱まります(セパレーションの度合が強まる)。右耳の遅れ時間は低音よりも若干小さくなるようですが、大きくは変わりません。

以上のように、このエフェクタは、左右の信号を単純に混ぜるのではなく、反対側の信号を1ms弱遅らせています。1msは距離にすると約34cmに相当します。僕の顔の横幅を測ってみると約20cmでした。ですから、このエフェクタは、ほぼ人間の耳の左右の間隔に相当する距離(時間)分だけ、反対側の音を遅らせているという事になります。要は、「右側スピカから左耳に届く音は右耳よりも少し遅れる」という現象をシミュレートしているという事です。

という事で、前の記事の結果と併せて、周波数ドメインおよび時間ドメイン的にほぼ予想通りの処理をしている事が分かりました。つまり、頭部における音の回析現象とスピカから左右耳への距離差を考慮して信号を改変しているという事です。

ステレオスピカ再生用に制作された音楽ソースをヘッドフォンで聴く場合、本来このようなDSPエフェクタは(少なくとも周波数ドメイン的処理は)必須であり、ヘッドフォン自体に内蔵されるなり、携帯型プレーヤやヘッドフォンアンプに内蔵されるべき機能であると言えます。今や、ヘッドフォン・イヤフォンが家庭における音楽再生の主役を占めつつある現在、このような信号処理技術は、「音楽」を自然に快適に楽しむ上で、ヤッタラコマケーオンシツの違いよりもヒャックオックマンバイ重要な事であるように僕には思えます。

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2013年11月20日 (水) | Edit |
Evo ZXRをすっかり気に入ってしまい、最近では他の装置をほとんど使っていません。他の装置ではなくコイツに自然と手が伸びてしまうという事です。コマケーオンシツがドーノコーノではなく、音楽再生クオリティと利便性を含めて総合的に、コイツで聴くのが最も快適に感じるという事でしょう。

ZXRの良い点としては、
- F特さえフラットにしてしまえば、音に意図的でヘンテコリンな味付けがなくナチュラル
- 40Hzまでしっかりとした低音をフラットに再生してくれる
- イヤパッドの締め付けが弱いため長時間着用しても苦にならない
- Surround効果のおかげで音場が自然で、音楽を聴きやすい

といったトコロでしょうか。
他のヘッドフォンでは、iPodで聴く場合はもちろん、PCで聴く場合もBluetoothで無線化するとZXRサウンドカードのSurroundエフェクタを使えないため、抵抗入りアダプタを使わざるを得ません。DSPをヘッドフォンに内蔵してしまえば、ソースを選ばず常に同じエフェクタを使えるという大きな利点が得られます。Bluetooth + DSP内蔵は最強のコンビネーションと言えるでしょう。これはヘッドフォンに限らず、スピカにも言える事です。

さて、このSurroundエフェクタの具合がナカナカ良いわけですが、今回は左右の信号をどんな風に混ぜているのか、簡単にF特を計測して調べてしました。

全てSurroundを100%に設定しています。
Surround_20131120111101736.jpg
- 黄色は、左右チャンネルに同じ(モノラルの)サインスイープ信号を入力して、右耳で計測した結果です。
この条件で特性がほぼフラットになるよう、イコライザを調整しています。

- 赤は、右チャンネルにだけスイープ信号を入力して、右耳で計測した結果です。
通常は(エフェクタがOFF)ならば、F特は全く変化しません。しかし、エフェクタを効かせた事で、500Hz以下の出力だけが減衰しています。つまり、低音成分だけが一部左側に割り振られたという事です。

- 青は、右チャンネルにだけスイープ信号を入力して、左耳で計測した結果です。
通常は(エフェクタがOFF)ならば、反対側(左)のチャンネルに音は全く出力されません。しかし、エフェクタを効かせる事で、かなり大きな音が左チャンネルにも出力され、特に500Hz以下では右耳とほぼ同じレベルになっています。これはつまり、500Hz以下の低音はほぼモノラル状態だという事です。一方、500Hz以上の出力は直線的に減衰しており、高音ほど左右のセパレートが強まる事がわかります。

「低音はたくさん混ぜて、高音はあまり混ぜない」という、正に前の記事に書いた通りの混ぜ方ですね。

抵抗入りアダプタの場合は、周波数に関係なく一律に混ざってしまうのに対し、DSPを使うと、このようにより実際の現象に近い混ぜ方ができます。

今回はF特(周波数ドメイン)だけで解析しましたが、左右間の位相差(遅延)に関しても(時間ドメイン的に)ナニカやっているかもしれません。そのうち調べてみたいと思います。

追記
ZXRは100Hz以下の低音もエー感じです。SONYのMDR Z1000の場合、イヤパッドの密閉性が高いためか、低音に圧迫感があるのですが、パッドの締め付けが弱いZXRでは、耳位置のF特が同程度でも圧迫感をそれほど感じません。イヤパッドの気密性が下がると、圧が漏れて低音のレスポンスは下がるのですが、ZXRではドライバ自体で低音を強く出しておいて、イヤパッドの密閉性を下げるという考え方かも知れません。このへんについても、そのうち実験君してみますね。。PC屋さんの製品ですが、侮れませんよ。。。ホントに。

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2013年11月17日 (日) | Edit |
EVO ZXRは期待していた以上にエー具合です。仕事中もZAPを使わずに、ほとんどコイツで聴いています。イヤパッドの締め付けが弱いため、長時間着用でも苦になりません(ただし、うつむくと落ちてしまいます。外出時は注意が必要そう)。

イコライザやDSPの設定もほぼ固まりました。という事で、今回はDSPがどのようにF特に影響するのか、簡単に調べてみました。マイクを挿入するコツを掴んだので、高域まで安定して計測できるようになりましたよ。

まずはSurroundエフェクタの効果から。
普段は効果を最強(100%)に設定しています。ですから、イコライザもSurround 100%でほぼフラットになるように設定しています。
SR.jpg
赤がSurround(効果100%)、水色がSurround OFFです。効果をOFFにすると約1kHzを中心とする中域が盛り上がります。これはSurround 100%の状態を基準にしてイコライザを設定した場合の結果ですから、逆にOFF状態を基準にすると、Surround効果によって低域と高域が強調される(ドンシャリ化される)と言えます。

次にCrystalizerというエフェクタの影響を調べてみました。
説明には「自然なダイナミックレンジを適切に最適化します」と書いてありますが、具体的にどのような処理をしているのかは不明です。
Cr1.jpg
赤がCrystalizer OFFです(Surround 100%)。緑がCrystalizer効果を30%に設定した場合、黄が100%に設定した場合です。F特で見る限り、約1kHzを中心に低域と高域を盛り上げる「ドンシャリ化エフェクタ」のように見えます。ほとんど使いませんが、音に少しメリハリ感が欲しいと感じた時等にこのエフェクタを20~30%効かせています。

基本的に、どちらのエフェクタも、効果を効かせるとF特はドンシャリ化されるようです。僕は、Surround 100%でF特がほぼフラットになるようイコライザを設定し、必要に応じてCrystalizerでメリハリを付けるといった使い方をしています。

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2013年11月12日 (火) | Edit |
実家の父母も年老いて、そろそろ介護が必要になりそうです。今は、近所に住んでいる妹に頼りっぱなしなのですが、これから大変になるかもしれないので、僕も実家にちょくちょく滞在して、妹と2人体制でお世話をさせて頂こうと準備中です。

という事で、実家に滞在中もオシゴトできるようにと、ノート型PCを購入しました。DELLの法人向けキャンペーンとクーポン(1万円)を使ったので、十分に高性能な機種を驚くほどお安く購入できました。なので余った予算を使って、以前から注目していたサウンドブラスターのメカトロヘッドフォンを購入しちゃいました! というオハナシです。

100000001001889821_10204_001.jpg
SOUND BLASTER EVO ZXR
アクティブ ノイズキャンセラー付きのシリーズ最上級型です!(製品ページ)

EVO ZXRはBluetoothレシーバ(AAC、aptx対応)、ヘッドフォンアンプ、DSP、アクティブ ノイズキャンセラーを内蔵しており、現在最も先進的なヘッドフォンであると言えます。一番の売りは、なんと言ってもPCやスマホから自由に設定可能な高機能DSPを内蔵している事でしょう。

愛用中のPC内蔵型5.1ch サウンドカード(DAC)とほぼ同じDSP機能をヘッドフォン本体に内蔵しています(コチラの記事参照)。
100000001001889821_10204_001.jpg
SoundBlaster ZXRサウンドカード

特に、左右の信号を適当に混ぜてくれる「Surround」機能はヘッドフォン再生には必須であると言えます。もちろん、グライコも内蔵しているため、再生機側でいちいちイコライザを設定する必要はありません。色々な再生装置に接続して使う場合は、とても便利です。

DSPは、PCからUSBケーブル経由で、またはスマートフォン等からBluetooth経由で設定できます。同時に2系統のBluetooth接続が可能であるため、PCからBluetooth経由でiTuneを再生しながら、スマートフォンで設定を変更できるため非常に便利です。なかなか良く出来ています。

DSP機能の詳細については、アクティブノイズキャンセラーを内蔵していないEVO Zxの詳しいレビュー記事(コチラ)を参照してください。

さて、音質の方ですが、デフォルトのDSP設定では低音が出すぎて驚いてしまいました。

このヘッドフォンは、DSPを完全にOFFにした状態でも低音が出すぎる傾向にあります。デフォルトの設定では、さらにBASSブーストまでONになっていたため、普段ほとんどフラットな特性で聴いている僕には非常に不自然に聞こえました。そこで、聴感を頼りにイコライザを調整したところ、下記の設定でとりあえず自然に聞こえるようになりました。
31Hz: 0dB
62Hz: -3dB
125Hz: -6dB
250Hz: -6dB
500Hz: -3dB
1kHz以上は0dBで補正なし

ごく大雑把に計測してみましたが、そこそこフラットでした(これでも、やや右下がりですけど)。一応、この状態を標準として、気分やソースに合わせてiPodTouchでチョコヨコと調整しています。そのうち、ドコカに落ち着くでしょう。

その他の音質に関しては、僕には全く十分です。スイッチ類は非常に操作しやすいですし、仕事中に長時間装着しても苦になりません。ソフトウェアも含めて、全体的に非常に良く造り込まれていて、好感が持てます。音楽再生以外にムービー用とゲーム用のDSP機能や設定もあるため、幅広く使えるのではないでしょうか。ヘッドセットなので、高性能な通話用のマイクも内蔵しています。あとは、帰省する際の新幹線の中でノイズキャンセラがどの程度効果的なのかを確認してみます。

今後は、Bluetoothはもちろん、このようなDSP機能を内蔵した音楽再生用ヘッドフォンが増えると思います。最近JBLも、有線式ですが、DSPとアンプを内蔵したヘッドフォンを発売しました(製品ページ)。スピーカ再生用に制作されたステレオソースをヘッドフォンで快適に聴くには、DSPが非常に効果的です。必須と言ってよいかもしれません。

ノイズキャンセラーが不要な方には、1つ下のグレードのEVO Zxをお薦めします。DSP機能は全く同じです。ダイアフラム径はZxRが50mmに対してZxが40mmと小さくなりますが、ZxRでは低音が出すぎるくらいですので、Zxの方がかえってバランスは良いかも知れません。オウチの中ではキャンセラーは全く不要です(何の効果も確認できませんでした)。

オヂオ界の泥沼に全く毒されていないPC屋さん系の自由な発想によるオーディオ装置に今後ますます期待したいと思います。

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