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2013年05月13日 (月) | Edit |
低音の実験君をしていると、家族から気分が悪くなるからヤメロ、とレッドカードが出てしまいました。部屋のドアを閉めていても40Hzにもなると筒抜けみたいです。実験君は誰も居ないときを見計らってやるしかありません。またマンションのご近所様にも迷惑をかけないよう、音量は控めにしたいと思います。

という事で、今回は市販スピーカの歪みってどんな具合なの?と調べてみました。

民生用製品では殆ど特性データが公開されていないようですが、プロ用モニタスピーカ製品に関しては比較的詳しいデータがいくつか見つかりました。今回は、JBLモニタのデータをご紹介します。といっても、あのブルーバッフルのやつではなく、以前の記事(コチラ)で紹介したDSP内蔵メカトロ式のJBL LSR4300シリーズです。型番は同じ「43##」ですけどね。詳しくは製品サイトをご覧くださいませ。

JBL_20130513065451.jpg
これは16cmウーハ搭載のLSR4326Pですが、他に20cmウーハ搭載のLSR4328Pがあります。

下がカタログに掲載されていた歪みのデータです。
JBL4326 copy JBL4328 copy
左が16cmウーハの4326、右が20cmウーハの4328です。
共に上段は96dB/1m、下段は102dB/1mで計測されたデータです。
歪み率の縦軸の値は+20dBされていますので注意してください。
図には赤で大まかな歪み率(%)を示すラインを追加しています。上から約2.8%、1.6%、0.9%です。
バスレフ型なので、共鳴周波数の近くでだけ急激に歪みが低下しています(共鳴点では振動板振幅が小さくなるため)。

計測時の音量は1mで96dBおよび102dBですが、これらは一般家庭での標準的な音量に比べると巨大です。また、スタジオでニアフィールド モニタとして使う場合、以前の記事に書いたように彼らも常識的な音量(80dBAを大きく超えない音量)でモニタリングしているようですから、こんなに大音量では使わないはずです。大切な商売道具の耳が壊れますからね。そのような常用音量域では2次も3次もこのデータよりずっと低いでしょう。

下は以前の記事で紹介したリスニング距離と音圧レベルの関係を示すグラフです(関連記事はコチラ)。
ds-303(8)_20130513070909.jpg
図には部屋の広さを表す「畳」が示されていますが、これは壁に背中をはり付けて聴いている状態に相当し、現実的ではありません。例えば12~16畳であれば3~4mくらいの距離が現実的でしょう。図では3m離れると音圧レベルは1mから約10dB低下しています(距離2倍で-6dB)。しかし、これは無響室または開放空間での特性であり、実際の部屋では反射を伴うため、この傾きはもっと緩やかになるでしょう(特に低音は)。

という事で、1mの距離で96dBまたは102dBというのはかなり大音量状態である事に注意してください。僕の普段のリスニング音量設定(楽曲でmax 80dBA程度)だと、-12dBのスイープ信号を使ってF特を計測した場合の音圧レベルは75dBを超えません。歪み率を評価する場合は音量の設定に注意が必要です。当然ですが、実用音量レベルでの歪み率を評価しないと意味がありません。

上段の96dBのグラフで2つのスピーカを比較してみます。
この場合、小径ウーハと大径ウーハを同じ音量レベルで比較する事になります。
小径の4326では2次よりも3次の方が高く、100Hz以下で3次は1%を超え、下限周波数では2%に達しています。対して、大径の4328では3次は全域で1%以下と良好ですが、2次は4326よりも大きくなっています。両者でTHD (全高調波歪み)は余り変わらないかもしれませんが、前の記事に書いたように、聴感的には4328の方が好ましく感じられるはずです。そもそもウーハのサイズが違うのに同じ音量で比較すれば、小径の4326が不利になるのは当然です。小径のウーハで大径のウーハと同じ音量の低音を出そうとすると、振動板の振幅が増加するからです。そして振幅が磁気回路の線形限界(Xmax)に近付くと3次が急増します。上段の96dBと下段の102dBを比べれば、音量が増加すると歪み率もテキメンに増加する事が分かります。特に4328の3次の増加が顕著です。

同一音量であれば、基本的に大径ウーハの方が歪み率は小さくなります(振幅が小さくなるため)。歪み率は実用音量域で評価する必要があります。10cmウーハを非現実的な大爆音で評価しても意味がありませんし、38cmウーハをニアフィールドレベルの小音量で評価しても意味がありません。

再三申しているように、密閉型を基本とするLEANAUDIO方式の場合、再生下限周波数は振動板のサイズに依存しません。振動板サイズは必要音量によって決まります。この場合、音量(リスニング距離)に見合ったサイズのスピーカを選択する事が重要です。基本的に振動板は小さい方が音質面(特に剛性面、動的レスポンス、アンプの負担)はもちろんコスト面および設置スペース面でも有利だからです。その究極がイヤフォンです。ニアフィールド/小音量で聴くのに大径ウーハは不要です。十分に低い下限周波数(例えば40Hz)まで良好な歪み率(例えば3次が1%以下)を維持できるならば、できるだけ小径のウーハを選ぶべきでしょう。

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