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2011年12月11日 (日) | Edit |
民生用アンプに比べると、業務用パワーアンプは驚くほど安価です(コチラをご覧ください)。以前から興味があったので、SOUND HOUSEさんで一番安価なパワーアンプを試しに購入してみました。

cp_cp400a.jpg
Classic Pro製 CP400
価格はなんと15,800円なり!(ゼロの桁数にご注意)
■タイプ:パワーアンプ、2ch
■ステレオ出力:100W+100W(8Ω)、130W+130W(4Ω)
■ブリッジ出力:280W(8Ω)
■周波数特性:20~20,000Hz(0.5dB)
■スルーレート・ステレオ:20 V/us
■高調波歪率: <0.05%
■入力感度:+4dBu
■入力インピーダンス:11KΩ
■ダンピングファクター:200
■ハム&ノイズ:> 100dB
■クロストーク:> 60 dB (TYPICAL @ 1 KHz)
■消費電力:110W
■寸法:48.3W×4.4H×27.1D cm
■重量:6.6kg
内部
うるさいファンを止めるためにカバーを開けました。
耐久性が重視されるプロ用なので内部の作りもしっかりとしています。
結構大きなトロイダルトランスを使っています。

仕事中に暫く使ってみましたが、ハチマルにはこれで十分という感じがします。ICON AMPと比べた場合、IA7-Eは少しジョートー風というか微妙なオーヂオ臭というか、微かな味付けを感じるのですが、このCP400には全くそのような癖を感じません。ハチマル好みと言えましょう。無信号時のノイズも他の民生用アンプと同等レベルです。逆にIA7-Eは回路が特殊であるため、無信号時に独特のノイズが出ます(信号が入るとノイズは消えるとメーカは言っている)。Icon AMPおよびCP400と比べた場合、IA7-Eではブラスが若干金臭く聞こえます。反面、ピアノの響きにハッとさせられる事があります。しかし、いずれにせよ、その差は、ハチマルが「音楽」を聴く上でさして重要であるとは感じられません。Alpair 6のMとPをフラットに補正して聴き比べた時の違いに似ているかもしれません。ハチマルは結局地味なメタルコーンを選択しました。

それにしても、CP400のこの低価格ぶり(15.8K円)は一体全体どういう事なのでしょうか? 入力切り換えやリモコンが無いにしても、民生用に比べるととんでもなく低価格です(Icon AMPと機能的に同等)。プロ用ですので、筐体も頑丈ですし、シャンパンゴールドの分厚いフロントパネルには高級感すら漂います。

ハチマルは、やたら微妙なオンシツの違いをワザワザ苦労して聞き分ける気など毛頭ありませんので、「音楽」を聴いている時に違和感や不快感を感じさせない自然さと正確さを何よりも重視します。そういう意味で、CP400は全く十分な音楽再生クオリティを備えていると思います。極々真っ当に信号を増幅してくれているという事です。たかだか20数kHz程度の電気信号増幅では、今時のアンプに大きな性能差は無いでしょう。

ただし、密閉型スピーカ+デジタル低音ブーストを愛用するハチマルの場合、アンプには低音再生の正確さを強く求めます(低音時のスピーカー駆動の正確さ、巷ではスピード感と言われているヤツかな?、ハチマル用語では「ビシッとバシッとした」低音)。このような特性を得るには、一般的にアンプのダンピングファクタ(DF)が重要であるとされます。

以下Audio Designというアンプメーカのダンピングファクタに関する説明です(コチラからの抜粋です)。

ダンピングファクター
ダンピングファクター(DF)が大きいことはパワーアンプの出力インピーダンスが小さいことを意味しています。DFが大きいパワーアンプはスピーカーからの逆起電力を抑制する力が大きい事を意味しており、ダンピングの効いた低音が期待できます。

ダンピングファクターとは
ダンピングファクター(DF)とはパワーアンプのスピーカーに対する制動力を表すと考えられている指標で、一般にパワーアンプの出力インピーダンスとスピーカーのインピーダンスの比で表されます。
         DF=Zsp(Ω)/Zamp(Ω)
ここでZspはスピーカーのインピーダンス、Zampはパワーアンプの出力インピーダンスです。
一般的なに半導体アンプで100程度の値を示します。この場合スピーカーのインピーダンス8Ωに対して、パワーアンプの出力インピーダンスは80mΩである事を意味しています。

ダンピングファクターの音質に与える影響
一般的にダンピングファクターに関しては次に様なことが言われています。

DFが大きいほうが低音に締りが出てくる。
DFが極端に小さいと(>10)低音の量感は増す(実際に低音の音圧レベルが上がる

ダンピングファクターが音質に与える効果についての考察
DFが1と10では音質も大きく違うかもしれませんが、100を超えると例えば低音の締りが良くなるということを必ずしも実感できるわけでないかもしれません。ただ数百以上のDFの効果というのは低音域の大信号に対して高音域が濁らないですとか、低音域の音階がはっきりわかる、低音が静かに聞こえるという様な聴感上の効果があるように感じます。


普及品民生用半導体アンプのDFは概ね100以下のようです。駆動力が高い事で評判のONKYO A-7VLでもカタログのDFは60となっています。NuForce社は、同社のアンプ回路は特殊であるため一般的なDFの定義をそのまま適用する事はできないとしながらも、IA7-Eのスピーカ端子で計測されるDFは約160に相当するとアナウンスしています。これは民生用としては非常に高い値であると言えます。

真空管アンプのDFは一般的に10以下しかないと言われます。このため、スピーカのインピーダンス変化の影響を受けやすく、ハチマルもTU-870での実測で下図のような影響を確認しています。
540_20111210043939.jpg
吸音材なしのポチ型ボックスでの比較。赤がIcon AMP、青がTU-870改(出力トランスを大きめのに交換)です(参考記事)。約150Hzにスピーカのインピーダンスピークがあるため、DFの低いTU-870ではレスポンスが増加しています。上のコメントにあるDFの低いアンプを使用すると「低音の量感が増す」というのは、こういう事だと思われます(ただし締まりのない低音になる)。

業務用アンプでは、長いスピーカケーブルを引っ張り回したり、複数台のスピーカを駆動する必要があるためか、総じてダンピングファクタが重視されるようです。大概の業務用アンプはDF 200以上をカタログで掲げており、CP400のカタログ値も200です。民生用でもかなり高級なアンプになるとDFが100を超える物もありますが、15.8K円という超低価格でこのDFは驚異的と言えます。以下で実験君データをお見せしますが、CP400の低音時のスピーカ駆動能力はIA-7Eに全く引けを取らず、カタログのDF値は伊達ではないと思われます。

50Hz以下の正弦波の歪みに関しては、CP400とIA7-Eは全く同等でした。やはりIcon AMPが極わずかに優れています。コチラの記事で使用した5kHz正弦波の一部データを間引いた波形でも3者は全く同等でした。48kHzの計測サンプリングレートでは、スピーカ出力の高域特性に違いは殆ど見られなかったという事です。これらのデータの掲載は省略します。

新しい評価方法を試してみましたので、その結果をお見せします。

今回の実験君では、40Hzの正弦波に1発/1サイクルのパルスを重畳した信号を使用しました。パルスの位値は毎サイクル同じです。これにより、パルスに対して40Hzのスピーカ出力波形がどの程度遅れるのかを見る事ができます。マイクはスピーカ前方約10cmに設置しました。スピーカはAlpair 6Mです。

グレーが信号波形、緑がIcon AMP、青がIA7-E、赤がCP400です。スピーカの出力音量を全て同じに揃えています。
40Hz アンプ位相 copy
IA7-E(青)とCP400(赤)は殆ど同じですが、驚いた事にIcon(緑)が飛び抜けて良好な結果を示しています。

下は信号の先頭部です。ゼロからいきなりマイナス側最大まで信号が変化します。上の図は安定した状態での波形です。
40Hz始め
ここでもIconが非常に良好な追従性を見せています。IA7-EとCP400はほぼ同等ですが、CP400の方が若干優れているように見えます。

次は、信号の終端部です。プラス側最大からゼロまでいきなり信号が変化します。
40Hz 終わり
やはりIconが最も俊敏な反応を示しています。しかし、その分マイナス側へのオーバーシュートも大きめに出ます。IA7-Eの波形はどういうわけか歪みが大きくなってしまいました。再計測が必要かもしれませんが、スピーカ出力の収束性はCP400の方が若干優れているように見えます。

という事で、上記の結果を見る限り、超低音のスピーカ駆動性能としてはIcon AMPが明らかに優れており、IA7-EとCP400は殆ど同等か若干CP400が優れていると言えそうです。値段、定格出力、大きさから考えると、完全に裏切られた形の結果となりました。

しかしIcon AMPのビシバシさには驚かされます。正に馬鹿ブーのためのアンプであると言えましょう。これがNuForceの原点というやつでしょうか? それに比べるとIA7-Eにはもっと頑張って欲しいですね。多分初代V1はIcon以上だったのでしょう。。。そして超低価格のCP400の性能にも驚かされました。やっぱりハチマルにはハイエンドなIA7-Eは不要かなぁ。。。。

なお、HSC(超高音信号付加機能)をONにした時のシュワシュワ感は、IA7-E程ではないにしろ、CP400でも感じました。超高域はIconよりも出ているように思われます。

以下はNuForce社のハイエンドのサイトからの抜粋です。
NuForceはこの方式をアナログスイッチングアンプと名付けました。NuForceアンプは超広帯域幅再生(20~80kHz)を位相シフト無しで実現します。出力段は十分にコントロールされ、極めて高いダンピングファクターを獲得し、低域周波数まで再生を前例の無いレベルでコントロールしています。
Icon AMPこそ正にそのようなアンプであると言えましょう。それに比べるとIA7-EがCP400と同等という結果には正直ガッカリさせられました。やはり世間様の嗜好に合わせて、バージョンが進むにつれてマイルド化しているのでしょうか?低音のブワッと拡がる感じの味付けのせいでしょうかねぇ?

とはいえですね、アンプをつなぎ変えながら実際に音楽を聴き比べても、ハチマルには大して重要な違いがあるようには感じられません。結論としては「ドレデモエーンチャウ?」ってところかなぁ。。。ハチマルにはハイエンドなアンプは宝の持ち腐れのようです。

さて、大概の業務用ステレオパワーアンプは、2つのアンプを並列に使用して大出力のモノラルアンプとしても使用できるようになっています。これを「ブリッジモード」と呼ぶようです。CP400の場合、ステレオモードとブリッジモードを背面のスイッチで切り換えるようになっており、8Ωでの出力はステレオで100W x2、ブリッジで280W x1となります。4Ω負荷での使用は保証されていませんが、実験君としては試さないわけに行きません。

上と同様に、パルス入り40Hz正弦波でのスピーカ出力波形で比較してみました。
ブリッジ copy
赤がステレオモード、青がブリッジモードです。波形の歪みは全く変わらなかったのですが、ブリッジモードでは位相遅れが若干改善されました。とはいえ、Iconには遠く及びません。このアンプはAlpair 10をアシストウーハとして駆動するために購入したのですが、その際にはブリッジモードを使えます。はやくAlpair10の箱をつくらないとね。。

以上のように、民生用装置の価格に関して、改めて考えさせられる結果となりました。コーキュー感を演出したようなオーヂオ臭いナンチャラ感や、蝙蝠さん的超音波領域の再生によるクーキ感とかを求めず、音楽を高い「クオリティ」で「素直」に聴きたいだけなら業務用アンプで全く問題無いように思われます。というか、癖が無いので「音楽」を聴きやすいように思えます。また、少し「味」が欲しいという場合は、安価で駆動力のある業務用パワーアンプに真空管プリアンプやラインアンプ、あるいはサンバレーさんとこの真空管組込みDAC等を組み合わせると、優れたスピーカ駆動力を確保しながら「オンシツ」を好みに合わせる事ができるかもしれません。

業務用アンプを使用する場合、下記の点に注意が必要です。
1) コネクタの形状が民生用と異なる
信号ラインのコネクタは基本的にXLR(バランス)です。また、スピーカ出力端子にも「スピコン」と呼ばれる特殊な形状を採用しているアンプも多くあります。幸い、CP400のスピーカ端子は民生用でおなじみのタイプでした。アンプ購入時に、民生用機器と接続するためのアダプタなりラインなりも併せて購入する必要があります。業務用の場合、アクセサリ類の価格も極めてリーズナブルです。僕が使用しているXLR/ピン変換コネクタは1個250円でした。

2) ファンがうるさい
大概のパワーアンプはファンを内蔵しています。CP400のヒートシンクは筐体の両サイドに露出しており、内部はそれほど高温にならないため、買って直ぐにファンのコネクタを抜きました。暫く使っていますが、筐体内部の温度はそれほど上がらないようです。側壁のあるラックケース等に組み込まない場合、設置場所に配慮すればホームユースではファンを止めても大丈夫かもしれません。温度は電解コンデンサの寿命に影響しますが、アンプ自体の価格がこれなので、まいっか。。あるいはカバーにドリルで穴を開けるか、パンチングメタルに交換しても良いかもしれませんね。

3) 左右のボリュームが独立している
僕は手元にパッシブプリを置いているので、特に不便を感じませんが、そうでない場合は少し煩わしいかもしれません。CP400のボリュームはクリックを備えているため、左右を同じ位置に揃えるのは容易です。ボリューム位値を同じにした場合の左右の音圧差はほとんどありませんでした。

4) ラック収納が前提
CP400にはシールで貼り付けるゴム脚が付属していましたので、単独の据え置きでも問題ありませんが、例えば電源モジュール、複数台アンプ、チャンデバに全て業務用を使用する場合、レールマウントにすると「プロ」の雰囲気が楽しめるかもしれません。

僕は次に電源モジュールを狙っています。
cp_pd12ii.jpg
CLASSIC PRO製 PD12II
7,980円なり
■ACコンセント前部4(その内、常時ON:1)・後部8
■リアライト端子(XLR)
■使用電源:AC100V±10%、 50/60Hz
■最大電流:14.9A/ユニット
■最大消費電力:2000W/ユニット
■サージ電圧:5,000V
■サージ電流:20,000A
■ノイズ減衰:トランスバース >20dB、1.5kHz~200mHz
■サーキットブレーカー
■保護回路:スパイク・サージ、ノイズフィルター、過剰電源保護回路
■電源ケーブル長:3.0m、3ピン、2ピン変換アダプター付属
■寸法、重量:48.3(W)×4.45(H)×31(D)cm、4.9kg
スパイク、サージフィルター、ノイズフィルター保護回路、過剰電源保護回路、サーキットブレーカー

別に「音質」に期待するわけでなく、ごちゃごちゃの電源ラインをすっきり格好良くまとめたいというのが狙いです。価格が手ごろなので、高級テーブルタップのノリで使って見たいと考えています。

業務用には他にも使えそうな機器があるかもしれません。とにかく価格がリーズナブルなので、気楽に試してみても良いかもしれません。サウンドハウスさんが価格と品揃えの面でお薦めです。

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テーマ:オーディオ
ジャンル:趣味・実用

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