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2013年05月11日 (土) | Edit |
暖かくなると実験君の虫が動き始めるようです。

前の記事で、「リスニング位置における40~10kHzの周波数特性」が音楽再生における第一等の重要特性であると述べました。

これに次いで重要なのが、「低音領域(100Hz以下)の歪みと遅れ」です。100Hz以下と限定するのは、それ以上の周波数領域では、今時の真面目に作られたオーディオ用スピカであれば安価な物でも十分な性能(再生クオリティ)を有しているからです(主に「コノミの問題」という事)。

今日の音楽再生装置において、最も不完全であるのが100Hz以下の低音再生です。オーディオ技術者は、全力をあげて世の全ての家庭用音響装置で、たとえ安価なTVの内蔵スピーカや小さなドックシステムであっても、音楽を聴くに十分な低音を正しくリスナの耳に届けられるよう取り組まなければアキマセン。もう21世紀ですからねぇ。。。

一般的に再生音の「歪み」と言う場合、一定周波数の定常正弦波信号を入力した時に出力音に含まれる高調波成分の割合(「定常的な歪み率」)を指します。つまり周波数ドメインでの評価です。これに対してタイムドメイン的に評価する「遅れ」は「動的歪み」と言えるかも知れません。特に遅れが「時間的に」大きくなる超低音領域では、本当の「歪み」(ソース音からの乖離度合)は、最終的に動的に評価しないとホンマの事は分かりません。でも、動的評価はトッテモ面倒クサイので後まわしにして、まずは「定常歪み」について考えてみます。

多くの場合、歪み(率)はTHD (全高調波歪み)という1つの値で表されます。これは「高調波成分全体の基本波成分に対する比」を意味します。説明はメンドクサイのでコチラを参照してください。しかし、音楽再生においては、このTHDを鵜呑みにするのは非常に危険です。何故ならば、THDは高調波の全ての次数成分を同じに扱いますが、実際には高調波の次数に応じてヒトに知覚される歪み感が異なるからです。THDの値が同じでも、2次成分が多いのか3次成分が多いのかによってヒトには異なって感じられるという事です。また、一般的に奇数次数が強いとヒトは不快に感じるとも言われます。

一体全体、低音に含まれる各次数の高調波成分はどの程度以下であればヒトは「まぁエーンチャウ?」と感じるのでしょうか。僕の今までの経験によると、波形を見てまぁ概ねサインカーブやねっと感じれば、音の方もまぁ概ね正弦波音に聞こえました。なので波形の観測を重視し、「何次高調波が何%」という数字は余り重視しませんでした。しかし、それでは一般的な指標となり得ません。そこで今回はより具体的な指標値を得るために、波形生成ソフトウェア(WaveGene)で各種の高調波成分を含む正弦波を生成し、モニタヘッドフォンで聴き比べて見ました。

左は50Hz/-6dBの正弦波に2次成分(100Hz/-20dB)を加えた波形、右は3次成分(150Hz/-20dB)を加えた波形です
2nd -20 3rd -20
どちらもTHDは約20%に相当しますが、耳には3次成分を加えた方が明らかに元の正弦波音から大きく異なって聞こえます。僕の経験では、100Hz以下の低音再生において最も厄介に感じられるのが3次高調波です。2次高調波は多少多くても余り気になりません。また、4次以上の成分は元々それ程大きくありません。

という事で、以下では、どの程度まで高調波成分が増えると「明らかに歪んでるヤン(正弦波音とチャウやん)」と感じられるのか、モニタヘッドフォンで聴感評価してみた結果をご紹介します。

基本周波数(40/50/70/100Hz)のレベルを-6dBで固定し、2/3/4/5次の高調波成分を-80dBから-60/-40/-30/-20dBと増やして行き、どの時点で明らかに正弦波の音とチャウ(明らかに歪んでいる)と感じるのかを確認しました。本当はもう少し細かく高調波のdBを変化させたかったのですが、ソフトウェアの都合上できませんでした。なお、基本周波数が変わっても歪みを感じ始める条件は同じでした。以下では50Hzでの波形を載せています。

高調波成分のdB値と歪み率の関係は以下の通りです(基本周波数成分は-6dB)。
-80dB = 0.02%
-60dB = 0.2%
-40dB = 2%
-30dB = 6.3%
-20dB = 20%

以下、各次数での結果です。

2次
左は-30dB、右は-20dBです。-30dBはOKと感じました。-40dBから微妙に音は変化しますが、単独で聴けば余り違和感を覚えないと思います。-20dBは明らかに歪んでいると感じました。これはアキマセン。
2nd -30 2nd -20

3次
左が-40dB、右が-30dBです。-40dBは-60dBからの音の変化をかなり明確に知覚できますが、まあぁギリギリOKかな?。-30dBはNG。お馴染みの三角波形です。
3rd -40 3rd -30

4次と5次
左は4次/-30dB、右は5次/-40dBです。共にNGです。
4th -30 5th -40

以上の結果を歪み率に換算すると下記のように言えます。
2次: 2%はOK、6.3%はまぁまぁOK、20%はNG
3次: 2%はギリギリOK、6.3%はNG、20%は全くNG
4次: 0.2%はOK、2%は微妙
5次: 0.2%はOK、2%はNG

以上から、ごく大雑把な目標値は下記のようになるでしょうか。
2次は5%以下
3次は2%以下(1%以下が望ましい)
4次以上は1%を大幅に下まわる事


次回は、ZAPシステムでの定常歪みの計測準備に入ります。オッタノシミニ!

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