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2013年05月22日 (水) | Edit |
今回は、信号処理(DSP)による低音歪みの劇的な改善の可能性を実験君で確かめました。

結果をお見せする前に例によってツラツラグダグダです。スンマセン。読んでやってくださいな。

スピーカというのは極めて単純で原始的な構造を持つ「機械部品」であり、電気信号を音響波に変換する「変換器」としては様々な原理的問題を抱えています。でありながら、この科学技術が進化した21世紀においても、スピーカにはアンプで単純に増幅した音楽信号をそのままブチ込んで「後はスピーカ君よろしく!」と成り行きにまかせているのが現状です(根本的問題に対処しようとせず、微細なオトの違いにティマティマ拘りグルグルするばかり)。

スピカに限らず単純な構造を持つ「機械」とはそういうモノです。「機械」は基本的にアホで単純なんです(インテリジェンスを持たない)。

例えば内燃機関(エンジン)も極めて単純な原理で作動する「機械」であり、特性は速度/負荷とエンジン条件(水温、油温、燃料温度)および周囲条件(温度、気圧、湿度)に応じて様々に変化します。大ムカシは、自動調整機構として簡単な機械式ガバナ程度しかなく、人間が多くの調整を行う必要がありました。しかし現代のエンジンでは、非常に精密な電子制御により、莫大な量の情報を高速に処理しながらエンジンを常に最適な状態で稼働させ、有毒ガスの排出量と燃料消費量をソレハソレハモウ劇的に削減しています。

カメラでも全く同様です。昔は全てが機械式であり、様々な調整は全てヒトまかせでした。しかしカメラは今やレンズの付いたコンピュータあるいはメカトロマシンの感があります。

このように、機械と電子制御を組み合わせる事により、機械の性能、機能、効率を飛躍的に高める事ができます。このようなご時世において、ましてや、長年にわたって「ツイキュ」し「ショージン」し続けて来たオヂオ界において、様々な難儀を抱えるスピーカが未だにほとんど裸同然の機械部品である事には全く驚かされます。ナンデヤネン? ナニ?をツイキュしてきたのか??「音楽再生」ではなく趣味の「ヨイオト?」とやらをグルグル追っかけマーしてきただけか?

再三申しているように、スピーカとアンプとDSP(デジタル信号処理)ユニットを一体のシステムとして構築する事により、スピーカが抱える多くの問題を劇的に改善できます。アンプはアンプ屋、スピカはスピカ屋が別々にツイキュするなんて、もうウルトラ超アナクロですよ。何事もシステム全体で考えないと飛躍的な進化は望めません。 進化とはナニも「オンシツ」だけの事ではアリマセン。コンパクト化、低コスト化、使いやすさも実用道具として「オンシツ」と同等または、オンシツが必要十分レベルに達した後はそれ以上に重要な技術課題です。

オーディオシステムの中で最も多くの難儀を抱えるスピーカユニットの特性に合わせて(あるいは特性を補うように)アンプとDSPを最適化し、スピーカと一体のシステムにしてしまう事により、オーディオシステムの音質を改善しながらサイズとコストを飛躍的に低減できるはずです。これが僕の言う「メカトロ」スピーカです(「メカトロ」とは「メカニズム(機械)」と「エレクトロニクス(電子制御)」の融合という意味ですよ!。今のシステムは原始的な「電気/機械装置」に過ぎません)。(関連記事:こんな装置が欲しいなぁ-3. システムの統合が鍵ですよ! )

今時、電気回路は非常に低コストで高性能ですから、どこの業界でもメカトロ化(さらに進んでインテリジェンス化)はとっくのとおにアッタリマエの技術です。デジタル音源の普及(1982)以来、オーディオ技術がマヂメに進化していれば、多くのヒトビトが家庭で現状よりもずっとお安くお手軽に、ずっと良い状態で「音楽」を聴けるようになっていたはずです。僕がオヂオ界に対して犯罪行為だというのはそう言う意味です。

もちろん、マニア達はこのような進化を嫌うでしょう(トッカエヒッカエできないからタノシクないもんね)。それは自動車界でもカメラ界でも同じです。どの業界でも、マニア達は進化に対して一抹の寂しさを(時には激しい嫌悪感さえ)抱きます。かくいう僕だってライカM2を後生大事に防湿庫で保管していますよ。しかし、良質なオーディオ装置(道具)を必要とするのは、「道具」ソノモノに強い愛着を持つ少数のマニアだけではアリマセン。アッタリマエです。また、どの分野でもマニア達は「ヨイオト?」(趣味性)は求めても「良質な音楽再生」(実用性)を必ずしも求めるわけではありません。マニアはマニアの領域で放っておけばヨロシ。ソレハソレコレハコレです。

さて、そのようなメカトロ スピーカには様々な面で飛躍的な進化を期待できますが、その1つが低音大振幅での歪みの低減です。やっと本題ですね。。。。

例えば、メカトロ サブウーハにそのような技術を適用すれば、「非常にコンパクトなドライバ」を「大振幅」で駆動して「非常に低い周波数まで」「十分な音量で」「低歪みの良質な低音」をリスナに提供できます。アホみたいにデカイ装置は要りません。再三申すようにコンパクト化は非常に重要です。余程の数寄者でない限り、他の分野の製品に比べてどう考えてもブットビ高価で1人では動かせぬようなデカイ装置なんか誰も買いませんて。ホンマニ。多くのヒトビトに良さを納得して買ってもらえる良い品を作らんとアキマセン。

という事で、今回の実験君では、信号処理によって低音歪みを大幅に改善できる事を確認しました。

方法は簡単です。
「スピーカの音響出力に含まれる高調波成分とは逆相の高調波成分を最初から信号に付加する事によって歪みを低減する」というのが狙いです。

信号生成にはいつものWaveGeneを使いました。スピーカはAlpair 6Mです(2.5Lポチ箱)。

下は、補正なし信号(純粋な正弦波信号: 40Hz/-6dB)を再生した時の音響出力です。
3次補正なし 最終 copy
3次歪み率が13.5%もあり、波形は三角を通り越してS字状に歪んでいます。当然ですが、聴感でも明らかな歪みを感じます。

下は波形生成の設定画面です。
3次補正 WG copy
Wave1で40Hz/-6dBを生成し、Wave2で3次(120Hz)を生成しています。FFTを観察しながら、3次歪みが最も小さくなるように、Wave1の位相(図では80°)とWave2のレベル(図では-40dB)を調整しました。この状態で3次高調波成分は2%です。この程度では信号波形は純粋な正弦波とほとんど見分けが付きません。

下が補正済み信号波形を再生した時の音響出力です。
3次補正あり最終 copy
3次歪み率だけが13.5%から0.4%まで激減しました。3次高調波成分の大きさを3/100に低減した事になります。信号では2%しか補正していないのに、出力では大幅に変化する事に驚かされます。波形も綺麗な正弦波に近付いていますね(2次が残っているので上下が少し非対称)。聴感でも、補正をONにすると劇的に音が「静かに」「重く」なります。

次に2次歪みの低減も試してみました。
2次補正WG
補正値は95°/-38dBです。2.5%の2次高調波を追加した状態です。

2次補正あり最終 copy
2次歪み率も0.4%まで激減しましたが、3次成分がそのままなので、見た目の波形はあまり変化しません。聴感の変化も微小です。やはり3次歪みの低減が重要ですね。今までの経験から、100Hzを大きく下まわる超低音の2次歪みは10%くらいまで実用的に許容できるのではないかという気もします。

今回の結果は以上です。

今回は1点の周波数で最適値に調整したため絶大な効果(3/100に低減)が得られましたが、実用化するならば80Hz~40Hzの範囲でまぁまぁソコソコ良好な補正結果が得られれば十分でしょう(1/10の効果で御の字)。補正は極力大雑把かつ最小限に適用する事が肝要です。また、2次歪みはソコソコ許容して3次歪みの低減に重点を置くべきであろうと思われます。

このようなDSP技術が実現すれば、サブウーハを大幅に小型化でき(例えば2”ウーハとか)、小さなドックシステム等の低音再生性能を飛躍的に改善できるはずです。

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テーマ:オーディオ
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