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2012年11月19日 (月) | Edit |
アコースティック サスペンションについては今回が最終回です。

60~80代に多く見られた国産の密閉型ブックシェルフ タイプについて書こうかな。。と思っていたのですが、DIATONE以外は特性図が公表されていませんでした。という事で今回はDIATONEの30cm密閉型ブックシェルフのデータを基に考察を進めます。データは全て「オーディオの足跡」さんから拝借しました。各モデルの詳細はそちらを参照してください。

下はDIATONEの30cm密閉型であるDS-301 (1970年)と、DS-303 (1974年)の特性です。
ds-301(1)_20121119042840.jpg
ds-303(2)_20121119042838.jpg
ともに70Hzくらいからロールオフが始まり、40Hzで約10dB程度減衰しています。前の記事のAR-3aに比べると、随分控えめな特性である事がわかります。

DIATONEでは、これらのスピーカの形式を「アコースティック エア サスペンション」と呼んでいます。一般的に、吸音材による空気バネのダンピングを積極的に行わない通常の密閉型を「エア サスペンション」タイプと呼ぶようです。DIATONEはAR式の真正「アコースティック サスペンション」のような過激な事はせずに、折衷案的な方式を採用したという事でしょう。いかにも日本的アプローチであると思います。板厚がわからないので、外容積で比較すると、AR-3aの60L に対し、DS-301が66L、DS-303が73L と、DSシリーズはやや大きめ。国産他社の同クラスのスピーカも似たようなものだと思います。

カタログ上の能率は両機とも90dBとなっています。DIATONEに限らず、この頃の国産スピーカのカタログ値の能率は、判で押したように90dBと記載されています。上の特性を見ても、中域の特性を敢えて少し盛り上げる事によって、なんとかカタログ上の90dBを死守しようとしたのではないかと見えなくもありません。このように、低域をARのように極端に延ばさ(せ)なかった1つの理由は、能率を落としたくなかったからではないかと推測できます。能率「90dB」の死守は、マーケティング上非常に重要であったのかもしれません。

参考に、下は20cmウーハ搭載のアコースティック エア サスペンション型であるDS-15B (1979年)の特性です。
ds-15b(2).jpg
このモデルのカタログ値も90dBです。ここまで来ると露骨ですよね。如何に「90dB」の呪縛が強かったかが伺い知れます。雑誌やマニヤ達が例によってさしたる根拠もなく「90dB以下はスピカぢゃない!」という風潮を広めたのでしょうか?このようなイビツな傾向が助長されたとするならばそれは問題でしょう。

下は1985年発売の30cm密閉型DS-2000の特性です。
ds-2000(5).jpg
このモデルでは「密閉型」と呼んでいます。外容積は105L とさらに大きくなります(DS-303は73L)。低域のロールオフはあいかわらず70Hz程度から始まりますが、中域を盛り上げる事なくフラットに90dBを「死守」できていますね。

同年に発売された受注生産のDS-10000 Klavierが、DSシリーズにおける密閉型ブックシェルフの実質的な最終型かもしれません。硬派なイメージのDSシリーズも、このモデルになると「楽器のような暖かい音がする慈しみの心があるスピーカー・システムを目指し、ダイヤトーンの技術者たちが持てる全ての技術を投入し、持てる全ての感性を注ぎ入れて開発したスピーカーシステム。」となります。イヨイヨ出てきましたよ!!「楽器のような」「暖かい」「イツクシミノココロ」(なんじゃソレ?意味不明やん)そして御大「カンセー」様が!。。。出たな妖怪!ですよ。ホンマニ。。この頃からバブルが始まり(「癒し」はバブル崩壊後かな)、90年代に入るとDSシリーズでもバスレフ方式のブックシェルフ型が主流となります。また、特性データも掲載されなくなりました。魔境化のヂダイが到来したという事でしょうか???

と、DSシリーズについては以上です。

以下、アコースティック サスペンションに関する3つの記事を通しての考察です。

まず、アコースティック サスペンションという方式についての僕の率直な感想としては、「小容積密閉箱に吸音材をタップリぶち込んで共振を抑制した上で低域を信号ブーストするのと同じやん」という事です。前の記事にも書きましたが、密閉型である以上、ブーストしようが共振を利用しようが、最終的な出力レベルが同じであれば振動板振幅は全く同じです(密閉型の場合、振動板の運動がそのまま音として放射される)。振動板を敢えて重くしてf0と能率を下げるというのは、デジタル式であれアナログ式であれイコライザで高域を相対的に減衰させる(低域をブーストする)のと、結果としては等価です。

再三申しているように、今後オーディオ技術が正常に進化するのであれば、アンプ/DSPを内蔵したメカトロ スピーカが主流となるでしょう。そのようなシステムでは、ドライバに合わせたイコライジング特性をプログラミングする事により、簡単に密閉+ブースト方式を実現できます。しかもソフトウェア処理により、部屋の特性補正だけでなく、過大な振動板振幅を抑制したり、調波歪みを補正したりする事も極めて容易です。その程度の処理を行う電子回路は、今時極めて安価にできるはずです。

ちなみに、グライコを使ってAlpair 6M ZAPを63Hzバンドでちょいとブーストすれば、上記のDIATONE 30cmウーハ モデルと同等以上の特性が得られます。騒音計で計測してみたところ、僕の3x3mの部屋の中央付近において、ZAPは63Hz正弦波を極端に歪まさずに(THD(5th)で約2.5%)、音圧90dB(2本)を達成します。つまり、4.5畳程度の中央付近に座って適度な音量(最大80dBA程度)で音楽聴くならば、実用的にZAPブーストでも十分であろうかと思われます。このように、ユーザは、低音性能を犠牲にする事なく、自分のリスニング環境に見合った最小のスピーカサイズを選ぶ事ができます。これは、オヂオそのものを趣味とするのではなく、日常の生活空間の中で快適に音楽を楽しむという事において極めて重要です。

もう1点、思ったのは、80年代で既にスピーカの基礎技術は十分なレベルに達しているという事です。恐らく、あの時代のスピーカと現代のスピーカを比較しても、実用的クオリティは殆ど変わらず、単なるコノミの(ナンタラカンとか流行の)レベルの違いしか無いのではないでしょうか。音楽再生にまつわる根幹的技術において何も進歩していないという事です(グルグルしてるだけ)。もし、あの時点から魔境(バブル)に入らずにオーディオ技術が正常に進化の過程をたどったならば、現時点で既に、僕が上で書いたようなメカトロシステムに帰結しているはずです。

そのような技術的試みとして、YAMAHAが1989年頃に発売したAST-S1という画期的スピーカシステムが挙げられます。極めて小型(A4サイズ、16cmウーハ)でありながら28Hzまでの超低音再生を可能にしたとされます。このシステムは、アナログ式補正回路を組み込んだ交換式のカートリッジと専用アンプを使い、カートリッジを交換する事により他のモデルにも対応するという方式でした。ただ、専用アンプを必要とした事もあり、市場的には成功しなかった模様です。後のデジタル技術の進化を考えるならば、やや速すぎた技術と言えるかもしれません。僕が提唱するDSP内蔵メカトロ式は、このYAMAHAシステムの延長線上にあります。このような極めて真当な技術的アプローチが継続されなかった事は本当に惜しまれます。また、何故このように真っ当なアプローチが市場に受け入れられなかったのか?という事を考察する事も重要でしょう。

次回は、このYAMAHAシステムについて書いて見ようかな。。。と考えています。十分な情報が集まれば良いのですが。。。

追記
バブル期は一般的に'86~91とされています。この時期に世の中の様々な風潮が大きく変化したように思えます。音楽も一気にツマラナクなったように僕には思えます。ジャコの死(1987)をもって探求し進化し続けて来たジャズは終焉を迎えました(と僕は勝手に思っている)。もうギリギリ死にそうな血みどろの音楽ではなくなったと言う事。オシマイ。ツマラン。。。僕は85年に就職して直ぐに血みどろのプロジェクトに放り込まれ、それからバブルが終焉するまで一切世の中や音楽の変化を感じる余裕が無かったため、随分後になってからイロイロな面でその影響の大きさをヒシヒシと感じます。ジャコの悲惨な破滅を知ったのも、バブル後にプロジェクトが一段落してからでした。。。。本当にショックでした。

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