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2012年10月19日 (金) | Edit |
シリーズ2回目の今回は、Xmaxとはナニなのか? について書きます。計測データは次回の記事に掲載します。スミマセン。。。

下はドライバの断面図です。
Xmax 1
赤丸の部分を拡大したのが下図です。
Xmax2.jpg
この図には2つの重要な寸法を記載しています。1つはコイルの長さ(当ブログでは「Hc」とする)、もう1つはギャップを形成するワッシャの厚さ=ギャップ高(当ブログでは「Hg」とする)です。

下図は、ギャップに対するコイルの位置関係と、各状態で発生する力の大きさを示しています。
Xmax1.jpg
A: コイルの上端がギャップの下端に一致(コイルがギャップから完全に出てしまった状態)
B: コイルの上端がギャップの中心に一致
C: コイルの上端がギャップの上端に一致
D: コイルの下端がギャップの下端に一致
E: コイルの下端がギャップの中心に一致
F: コイルの下端がギャップの上端に一致(コイルがギャップから完全に出てしまった状態)

C~Dの範囲では、ギャップの全幅にコイルが存在するため、一定の入力から得られる力は一定です(線形領域)。コイルの運動がこの領域内に収まっていれば、概ね理想的やね?と言える領域です。ただし、実際にはギャップの外側のコイルもある程度の範囲で影響するため、実際に発生する力は細線で示したような形状になるはずです。

さて、Xmaxの値ですが、全く公表していないメーカもありますし、公表していても定義が異なる場合もあるため、なかなか厄介です。いろいろ調べてみましたが、上記の線形可動範囲の1/2(片振幅)をXmaxとする場合が多いようです。つまり、中心からCまたはDまでの距離をXmaxとするという事です。仕様表に「Maximum Linear Excursion」と書かれていれば、まずこの定義に従うと考えて良いと思います。片振幅で示される場合が多いのですが、両振幅(pp)で表記しているメーカーもあるので注意が必要です。コイル長とギャップ高の値が記載されている製品もあり、そのような場合はXmaxを簡単に計算できます。

以降、当ブログでXmaxという言う場合は、この定義に従い、「最大線形片振幅」と呼ぶ事にします。
Xmaxは下式により求まります。

Xmax = [コイル長(Hc) - ギャップ高(Hg)]/2

Mark Audioが公表しているXmax値は、この定義には従わず、概ねコイル長の半分(Hc/2)に一致します。上図で言えば、中心からBまたはEまでの距離に相当します。ちなみにB~Eの距離はコイル長に一致します。つまり、Mark Audioでは、コイルの端がギャップの中心に達するまでを有効可動範囲と考えているという事です。従って、上記の標準的なXmax値よりも1/2Hg大きな値となります。

例えば、Alpair 6M のコイル長は7.2mm、ギャップ高は4mmです(マークさんが教えてくれた)。これに従うと、最大線形片振幅 Xmax = 1.6mm となります。これに対しMarkAudioが公表しているXmax値は3.4mmです。随分大きいですね。なぜMarkAudioがこのような定義のXmax値を使うのか?は分からないでもありません。機械的運動性能に優れるMarkAudioドライバはXmax内で掛け値無しに動いてくれるのですが、そのへんの設計がエーカゲンなドライバでは、Xmax内でもかなり歪むようです。つまり、そのようなドライバの実質的なXmaxは公称値よりもずっと低いという事です。そのへんのデータは次回の記事でお見せします。

Alpair 6MのXmax = 1.6mmという値は、TangBand等のトラディッショナルな3"ドライバ(Xmax = 0.5~1mm)に比べると大きいですが、最新のかなりアグレッシブな設計の小径フルレンジ ドライバの中には同等以上のXmax値を持つ物もあります。例えばVifa NE95W-04のXmaxは1.75mmですからA6Mとほぼ同等です。

Alpair 10のコイル長は16mm、ギャップ高は5mmです。これに従うと、最大線形片振幅 Xmax = 5.5mmとなります(MarkAudio公表値は7.5mm)。市販されている13cmウーハのXmax値を調べてみましたが、僕が調べた範囲では最大で4mm、平均的には3mm前後でした。Xmax = 5.5mmというのは、同等サイズのウーハに比べて非常に大きな値です。しかも、Alpair10は、この線形範囲内で掛け値無しにガシガシ動いてくれます。凄まじいと言えるかもしれません。これについても次回または次々回の記事でデータお見せします。

実験君は振動板の振幅を簡単に計測する事ができました。次回は、振動板振幅と再生波形を照らし合わせながら、Xmaxがどのように波形に影響するのかを、お見せする予定です。オッタノシミニ!

追記
なお、Alpari 6Pのコイル長は6Mに比べて随分短く、低音ブーストのような使い方には適さないと、マークさんがおっしゃっていました。従って、6Pは今回の検討対象から除外します。ちなみに、TONO君に6Pを使っていますが、部屋がブーストしてくれるので、イコライザの63Hzバンドは-12dBです。つまり振幅をブーストするのではなく12dBも減衰させているという事です。従って低音苦手コンビである6P+TU-870でも特に問題を感じません。信号ブーストを必要としない「お部屋でブースト」は、ある意味理想的かもしれません。いやマジで理想的かも。よく考えてみましょう。。

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2011年08月15日 (月) | Edit |
最近モノラルの聴きやすさが気に入ってずっとモノラルで聴いていたのですが、2週間ほど前にAlpair6M馬鹿ブーをディスプレイ上方の真正面に置けるようにして、仕事の合間にイロイロと配置を試していました。その結果、L/Rの軸間距離を約23cm(ケロと同じ、ほぼ両耳の左右距離と同じ)にしたステレオレイアウトが、ステレオ感をホンノリ感じながらモノラルなみに聴きやすいという結論に達し、写真のようなレイアウトを採用しました。
825.jpg
ポチ2型ボックスの底面同士を付き合わせて合体すると、L/R軸間距離は偶然ですがケロと同じ230mmになります。ニアフィールドだと左右耳の距離と同じくらいのLR距離って聴きやすいのでしょうかねぇ? ケロ開発の時も、聴きやすさを求めてイロイロ試した結果、この距離に落ち着きました。ちょうど小型のステレオラジカセという感じです。ちなみに、上に乗っけているのはスピーカー セレクターと、ディスプレイ清掃用のピジョン君です。

826.jpg
YAMAHA製のスピーカーブラケットを使用して前方の窓枠に固定しました(製品情報)。ジャズを聴くにはコイツが一番。低音までほとんど直射音で聞けるので、タイミングが正確でタイトなベースを存分に楽しめます。ジャコの超高速ベースやマイルス クインテットのロンさんのベースの、スピーディでタイトなウネリというかドライブ感というか、神業的微妙なユラギというか、ソイツを最高に気持ち良く聴けます。やっぱりコレでしょう。ジャズは。ベースとドラムスのインパクトのタイミングがビシッとせんと。ビシッと。。ビシッとしないと酔ったみたいになって気色悪いのよ。

デスクトップ全景です。
824.jpg
Alpair5 + バイアンプ駆動13cmウーハーを撤去したので、レイアウトがすっきりしました。A6M馬鹿ブーストで30Hzまでブーストしても殆どの楽曲で全く問題ないし、こちらの方が低音がビシッとタイトで自然に聞こえるので、バイアンプシステムは全く使用しませんでした。なのでボツ。。。邪魔だし。
ディスプレイのセンターが右にシフトしているのは、オシゴト中に左半分をメイン(正面)に使うためです(左側に翻訳原稿を置いて、右側に辞書(英辞ろう)や参考文書を開く)。左方の小さなディスプレイは音楽用PCのUSBディスプレイです。FrieveAudioやiTuneの操作だけなのでこれで十分。。。

で、Alpair5は窓枠の上(Alpair6Pバスレフの下)に移動しました。なぜかAlpair6 Pは上向いてるし。。
次回はAlpair5 + Alpair6Pバスレフの交響曲用システムについてご紹介します。まだ実験君段階ですが、こいつはナカナカ手応えアリですよ。オタノシミニ。。。

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2011年04月07日 (木) | Edit |
という事で、Alpair6 Pはオーソドックスなバスレフボックスで使用してみたいと考えています。

例の「スピーカー設計プログラム アプレット版」で検討したところ、6Pでは概ね7~9Lくらいで約50Hzまでフラットな素直な特性が得られそうです(6Mの場合は5 L前後の小さめの箱で同等の低音特性が得られる、関連記事)。以前購入したVictorのパワードサブウーハーの箱がちょうど8 Lくらいなので、こいつを実験用に利用しようと考えています。ちなみに、このサブウーハーが内蔵していたアンプは現在ケロ用に使用しています。

で、容積が決まったので、今回はポートの径と長さについて検討してみます。

同じヘルムホルツ共鳴周波数が得られるポート径/長さの組み合わせは無数に存在します。箱容積と共鳴周波数を一定とした場合、細くすると短くする必要があり、逆に太くすると長くする必要があります。

容積を8L、共鳴周波数を約53Hzに合わせて、3種類のポート仕様について計算してみました。

ケース1: 内径=4cm x 長さ=12cm
ケース2: 内径=2.8cm x 長さ=4.5cm
ケース3: 内径=2cm x 長さ=1.5cm

ケース1: 内径=4cm x 長さ=12cm
717.jpg

ケース2: 内径=2.8cm x 長さ=4.5cm
716.jpg

ケース3: 内径=2cm x 長さ=1.5cm
715.jpg

3つとも共鳴周波数がほぼ同じなので、得られる周波数特性もほぼ同じです。このシミュレーションは空気抵抗の影響を考慮していないのかもしれません。ポートが細くなると流速が上がって空気抵抗も大きくなるので、共鳴周波数が同じでも実際の出力に影響が出るかもしれませんのでご注意。。。。

さて、ここで注目すべきは、ポートから出てくる音の特性です(グラフの緑の線)。太くて長いケース1では、約1kHzにポート(筒っぽ)自体の共振ピークが発生し、そこから高域側に倍数周波数のピークが発生しています。この1発目のピークは、ポートを短く細くするにつれて高周波側へ移動し、そのレベルも低下します(ケース1では1kHz/67dBに対してケース3では4.5kH/36dB)。

このように、同じチューニング周波数でも、ポートを細く短くする事によって、ポート自体が発生する筒っぽ臭い音を抑える事ができます。また、バスレフ型の場合、十分な共鳴効果を得るには吸音材を最小限にせざるを得ず、箱内の定在波の音もポートから放射されるため、その意味でもポート径は小さめの方が有利かもしれません。

ただし、ポート径を小さくすると流速が上がるため、空気抵抗と風切り音の影響が無視できなくなる可能性があります。また、過渡特性にも悪影響が生じる可能性もあります。これは実際に使用する時の音量にも影響を受けます(音量が大きいとポートを出入りする空気の量が増える → 流速も上がる)。例えばドライバの限界近い大音量で聴く場合には、あまり小径にはできないかもしれません。しかし、控えめの音量でしか聴かない場合には、ポートをかなり小径にしても大丈夫かもしれません。市販製品の場合、当然限界近い音量での再生も想定してポートを選定せざるを得ませんが、自作の場合は自分の音量に見合ったチューニングが可能です。

という事で、近々バスレフのスタディを始めますのでオタノシミニ。。。

追記
この場合もそうだけど、最大音量をどこに見積もるかによって装置の設計は大きく影響を受けますね。たとえば馬鹿ブーストにしてもそうです。最大音量を制限する事によって音質面のみならず設計自由度が大きく広がります。そういう意味でもニアフィールドリスニングは極めて有利です。また、デジタル処理によって信号を制御する事により、使用条件を確実にハードウェアの限界以下に制限できるようになれば、ハードウェア側の設計自由度はさらに向上します。それには、信号入力から音響出力(スピーカー)までを含めたトータルなシステムコンセプトが必要なのは言うまでもありません。このようなコンセプトにより、「本質的」な「音楽再生クオリティ」の向上のみならず「コンパクト化」も可能です。まだまだ技術的にやることが一杯あると思うのだが。。。。

追記2
6Mは6Pよりもf0が低いが、6Pと同じ箱に入れて低域が伸びるのではなく、6Pよりも小さい箱で同等の低域特性が得られると考えた方が良さそうだね。

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2011年04月04日 (月) | Edit |
Alpair6 MとPを録音で比較してみました。

箱は例によって2.5L密閉型+吸音材タップリ仕様(ポチ2型)ですので、ブーストしないと低音は出ませんが、箱自体の癖はほとんど皆無ですからドライバの裸の音を聴けると思います。なお、吸音材によってドライバの機械的共振を殺しているので、fo(ドライバの最低共振周波数)の差はほとんど出ていません。カタログデータが測定された標準状態とは条件が全く異なりますのでご注意ください。

今回はできるだけ条件を揃えて録音するために、バイノーラル録音ではなく、1ch (ユニット1本)のモノラル録音としました。FrieveAudioでR/Lをミックスした信号を1本のSPで再生しています。2本のマイクロフォンをSP前方20cmに設置して録音しているので左右の音は基本的に同じです(マイクの感度差によってR側のレベルがやや低め)。

例によってまずは周波数特性
下図はFrieveAudioが自動的に左(M)/右(P)のレベル調整をした状態です。黒がM、赤がP。録音データのR/Lレベルはほぼこの状態です。
713.jpg

Pのグラフを上にずらして低周波側でレベルを揃えてみました。
714.jpg

大まかに言うと、PはややHigh上がりの特性(バッフル面積が小さい事(バッフルステップ)が影響していると思われる)。Mは2kHzくらいまでほぼPと同じ傾向で、それ以上の高域で3~6dB減衰させたような特性になっています(前記事のマークさんのコメントによると、これは意図的に狙った特性)。このためMとPを直接比較すると、Mが高域不足のように聞こえてしまうのは否めません。この小さな箱では、PはややHigh上がり気味になるため、マークさんが言うようにMの方がフラットな特性と言えなくもありませんが、Pに対して2kHzから上だけを削り取ったような特性になっているため、結果としてMは800Hz~2kHzが盛り上がったカマボコ型傾向となっています。この中域の盛り上がりがフラットになっていれば、高域の不足感もかなり和らぐと思われます。今回使用した小さな箱(ポチ2型)での測定結果に限って言えば、高域不足というよりは中域出過ぎと言えなくもありません。また、大きめの箱を使用した場合、800Hz以下の落ち込みが和らぐ(バッフルステップと機械的共振の効果)ため、相対的にさらに高域不足に聞こえる可能性もあります。スピ研さんのAlpair6Mバスレフの測定結果が参考になると思います。マークさんも言うように、6Mには低音の出すぎない(大きすぎない)デスクトップ用の小さめの箱が適していると言えそうです。

では録音データを添付します。各曲でMとPの未補正の音と、FrieveAudioでフラットにした音を録音しました。今回はAlpai6を一般的なバスレフボックスで使用した場合を想定して50Hz/-3dBまでブーストし、50Hz以下を急峻に減衰させています。ご試聴には、できるだけ癖のないイヤフォンかヘッドフォンまたはモニタスピーカをご使用ください。

マドンナ/American Dream
M 未補正
P 未補正
M 補正あり
P 補正あり

マイルス/Freedum Jazz Dance
M 未補正
P 未補正
M 補正あり
P 補正あり

ベートーベン/交響曲No.5
M 未補正
P 未補正
M 補正あり
P 補正あり

ベートーベン/ピアノソナタNo.32
M 未補正
P 未補正
M 補正あり
P 補正あり

補正なしでは、MはPに比べて高域が伸びない感じを受けると思います。また、僕には籠もり気味の「癖」が少し感じられます。これは1~2kHzにある中域の盛り上がりの影響ではないかと思われます(これはポチ2型特有、大きい箱だとスピ研さんのように段差になると思われる)。Mはトーンコントローラかデジタルイコライザで高域を少し上げるなり、中域を少し落とすなりすると、印象がかなり変わると思います。そのような装置をお持ちの方は積極的に試してみてください。

さらに、FrieveAudioイコライザの自動音場補正でフラットにしてしまえば、MもPも差はほとんどなくなります。微妙にPの方が音が明るくMの方が大人しめに聞こえるような気もしますが、ブラインドで聞きわけられるか僕には自信がありません。また、その差が音楽を聴く上で僕にとってはさほど重要だとは思えません。今回のMとPの比較に限って言えば、両者の個性の違いの大部分は周波数特性の違いによるものではないかと思われます。いずれにせよPでもMでも未補正よりもフラットに補正した音の方が僕には自然に聞こえ、非常に音楽を聴きやすく感じます。という事で、デスクトップの馬鹿ブースト用には、ブースト係数を低く抑えられ(相対的に低域が出ているため)かつブースト耐性の若干高いMを基本的に選択しています。近いうちにPを使用したバスレフのスタディを開始する予定です。

追記
僕は別にスピーカーを始めとする装置の音の個性を楽しみたいという気は毛頭なく、できるだけ自然かつ明瞭な音で音楽を楽しみたいだけなので、デジタルイコライザを非常に重宝しています。デジイコを前提とするならば、ユーザー側のスピーカーの選択だけでなく、製造者側の設計面(サイズ、コスト含む)でも極めて大きな自由度が得られると思います。ヴィンテージSPの音を愛でるのも良いと思いますが、そいうのだけがオーディオではないと思います。原点に戻って「生活の中で音楽を聴くための装置」という観点から、新しいオーディオのあり方をもっと考えるべきだとハチマルには思えてなりません。

追記2
録音データを細かく頻繁に切り換えながら聴いてみたら、補正あり同士でも違いが結構はっきりと分かりますね。やはりPは明るめ、Mはシットリ大人しめのキャラクタ。


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