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2013年05月13日 (月) | Edit |
低音の実験君をしていると、家族から気分が悪くなるからヤメロ、とレッドカードが出てしまいました。部屋のドアを閉めていても40Hzにもなると筒抜けみたいです。実験君は誰も居ないときを見計らってやるしかありません。またマンションのご近所様にも迷惑をかけないよう、音量は控めにしたいと思います。

という事で、今回は市販スピーカの歪みってどんな具合なの?と調べてみました。

民生用製品では殆ど特性データが公開されていないようですが、プロ用モニタスピーカ製品に関しては比較的詳しいデータがいくつか見つかりました。今回は、JBLモニタのデータをご紹介します。といっても、あのブルーバッフルのやつではなく、以前の記事(コチラ)で紹介したDSP内蔵メカトロ式のJBL LSR4300シリーズです。型番は同じ「43##」ですけどね。詳しくは製品サイトをご覧くださいませ。

JBL_20130513065451.jpg
これは16cmウーハ搭載のLSR4326Pですが、他に20cmウーハ搭載のLSR4328Pがあります。

下がカタログに掲載されていた歪みのデータです。
JBL4326 copy JBL4328 copy
左が16cmウーハの4326、右が20cmウーハの4328です。
共に上段は96dB/1m、下段は102dB/1mで計測されたデータです。
歪み率の縦軸の値は+20dBされていますので注意してください。
図には赤で大まかな歪み率(%)を示すラインを追加しています。上から約2.8%、1.6%、0.9%です。
バスレフ型なので、共鳴周波数の近くでだけ急激に歪みが低下しています(共鳴点では振動板振幅が小さくなるため)。

計測時の音量は1mで96dBおよび102dBですが、これらは一般家庭での標準的な音量に比べると巨大です。また、スタジオでニアフィールド モニタとして使う場合、以前の記事に書いたように彼らも常識的な音量(80dBAを大きく超えない音量)でモニタリングしているようですから、こんなに大音量では使わないはずです。大切な商売道具の耳が壊れますからね。そのような常用音量域では2次も3次もこのデータよりずっと低いでしょう。

下は以前の記事で紹介したリスニング距離と音圧レベルの関係を示すグラフです(関連記事はコチラ)。
ds-303(8)_20130513070909.jpg
図には部屋の広さを表す「畳」が示されていますが、これは壁に背中をはり付けて聴いている状態に相当し、現実的ではありません。例えば12~16畳であれば3~4mくらいの距離が現実的でしょう。図では3m離れると音圧レベルは1mから約10dB低下しています(距離2倍で-6dB)。しかし、これは無響室または開放空間での特性であり、実際の部屋では反射を伴うため、この傾きはもっと緩やかになるでしょう(特に低音は)。

という事で、1mの距離で96dBまたは102dBというのはかなり大音量状態である事に注意してください。僕の普段のリスニング音量設定(楽曲でmax 80dBA程度)だと、-12dBのスイープ信号を使ってF特を計測した場合の音圧レベルは75dBを超えません。歪み率を評価する場合は音量の設定に注意が必要です。当然ですが、実用音量レベルでの歪み率を評価しないと意味がありません。

上段の96dBのグラフで2つのスピーカを比較してみます。
この場合、小径ウーハと大径ウーハを同じ音量レベルで比較する事になります。
小径の4326では2次よりも3次の方が高く、100Hz以下で3次は1%を超え、下限周波数では2%に達しています。対して、大径の4328では3次は全域で1%以下と良好ですが、2次は4326よりも大きくなっています。両者でTHD (全高調波歪み)は余り変わらないかもしれませんが、前の記事に書いたように、聴感的には4328の方が好ましく感じられるはずです。そもそもウーハのサイズが違うのに同じ音量で比較すれば、小径の4326が不利になるのは当然です。小径のウーハで大径のウーハと同じ音量の低音を出そうとすると、振動板の振幅が増加するからです。そして振幅が磁気回路の線形限界(Xmax)に近付くと3次が急増します。上段の96dBと下段の102dBを比べれば、音量が増加すると歪み率もテキメンに増加する事が分かります。特に4328の3次の増加が顕著です。

同一音量であれば、基本的に大径ウーハの方が歪み率は小さくなります(振幅が小さくなるため)。歪み率は実用音量域で評価する必要があります。10cmウーハを非現実的な大爆音で評価しても意味がありませんし、38cmウーハをニアフィールドレベルの小音量で評価しても意味がありません。

再三申しているように、密閉型を基本とするLEANAUDIO方式の場合、再生下限周波数は振動板のサイズに依存しません。振動板サイズは必要音量によって決まります。この場合、音量(リスニング距離)に見合ったサイズのスピーカを選択する事が重要です。基本的に振動板は小さい方が音質面(特に剛性面、動的レスポンス、アンプの負担)はもちろんコスト面および設置スペース面でも有利だからです。その究極がイヤフォンです。ニアフィールド/小音量で聴くのに大径ウーハは不要です。十分に低い下限周波数(例えば40Hz)まで良好な歪み率(例えば3次が1%以下)を維持できるならば、できるだけ小径のウーハを選ぶべきでしょう。

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2012年12月31日 (月) | Edit |
お待たせしました。やっと、GAMA君の評価結果をお見せできます。ZAP君に関しては来年までお待ちください。

GAMAの標準的なリスニング距離は約50cmを想定しています。このため、騒音計をバッフルから50cmの距離に設置し、ベト5第1楽章(ブロムシュテット盤)を全曲再生して最大音圧レベルを計測しました。ICアンプのボリュームは最大で固定し、サウンドブラスタのマスターボリュームで音量を調整しました。

ベリンガ製グライコは最終的に下図のように設定しました。
Ftoku copy
超ニアフィールドで聴く場合の高域のキツサを緩和するために最終的にこのような設定としました。特性図のピンクの線はDIATONEの30cm密閉型DS-2000の特性です。50Hzまでほぼ同等の低域特性が得られています。このような大型スピーカは、リスニング距離5m以上、最大瞬時音圧100dBレベルを想定して設計されています(参考記事)。しかし、より現実的な住環境に即したリスニング距離と再生音量を想定する事により、低域性能を犠牲にする事なく装置を大幅に小型化できます。KEROやGAMAはそのミニマムな実施例です。殆どの人々にとって巨大な装置は全く不要でしょう。

それでは、テスト結果をご覧ください。

まず、サウンドブラスタのマスターボリュームを70%に設定したところ、ベト5第1楽章の再生中に数カ所で80dBAを超え、最大で83.5dBA max(FASTフィルタ)が記録されました。これはエンディングではなく第1楽章の中ほどで発生しました。

次に、70%ボリュームで-12dBの正弦波を再生してスピーカの出力音響波形を観測しました。
gama -12dB
63Hzでの波形をFFTで解析したところ、5次までを含めた総高調波歪み(THD)は1.5%でした。まぁ許容できるレベルと言えるでしょう。その他の周波数でのTHDは1%を超えません。

下は同じボリュームで観測した-6dB正弦波の再生波形です。
gama -6dB
63Hzでは大きく歪み、音も明らかに異常(ブリブリ)です。この時のTHDは13.6%となりました。前の記事で書いたように、この時代の交響曲では低周波成分が強くないため、特に問題を感じる事はありませんが、他のジャンルの楽曲では問題を感じる事があるかもしれません。ただし、このボリュームでジャズやロックを再生すると、奥さんからレッドカードをくらいます。

下は各種マスターボリューム レベルでの63Hz/-6dB波形です。このボリュームは5%ステップでしか調整できず、1ステップで音量は約2.5dB変化します。
gama vol
ボリュームを70%から65%に1段絞るだけでTHDは6.5%まで改善されます。-6dBを超える大振幅の低周波信号は大概はドラムスによる瞬間的な現象であるため、この程度の歪みであればさして気にならないと思われます(春の祭典のドラム音での経験による)。65%ボリュームにおいてベト5第1楽章の最大音圧は80.9dBA(fastフィルタ)を記録しました。普段交響曲を聴く時は、このくらいのボリュームになると思います。ジャンルを問わず推奨できるGAMA君の最大ボリュームは65%、ジャンルをクラシックに限れば70%でも大丈夫というところでしょうか。

一般的なジャズ/ロックのソースであれば、55%ボリュームでmax80dBAに達する十分な音量が得られるため、再生中に問題が生じる事はまずありません。普段は50%ボリュームで聞いている事が多いと思います。マドンナであれば、さらにボリュームを下げられます。

なお、70%ボリュームで例の標準ピンクノイズ(-18dBFSrms)を再生したところ、50cmの距離で76.8dBA(SLOWフィルタによるMax値、スピーカ1本)を記録しました。これは以前の記事で紹介した国際規格の提案値(78dBA)に近い値であると言えます。参考にCフィルタで計測すると78.8dBCでした。ただし、再生装置の低域が十分に伸びていないため、特性がフラットなCフィルタでの値は余り正確ではないと思います。

以上から、リスニング距離50cm程度、80dBA以下の快適音量レンジで使う事を想定した場合、GAMA君は必要にして十分な音量で音楽を再生できると言えるでしょう。今回のデータから推測するに1m程度までは十分に使えそうです。

このように、リスニング距離と必要音量によってシステムの基本設計が決まります。日本の一般的家屋での実用性を考えた場合、それほど巨大な装置は必要ないと思われます。真に実用的で、真に再生クオリティの高い、真にリーズナブルな価格の、断じて趣味道楽のマニア用ではない、日常的に音楽を愛聴する人々向けの、本当に真面目なオーディオ装置を、根本から真面目に開発すれば、需要は十分にあるように思えます。

慌ただしく駆け込みのような投稿になってしまいました。それでは良いお年を!

m01_01_08_kadomatu.jpgお年玉クリックくださいなm01_01_08_kadomatu.jpg

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2012年12月19日 (水) | Edit |
騒音計で計測すると、僕の普段の音量レベル(リスニング位置)は、日中の比較的ボリュームを上げた状態でもせいぜい75dBA程度です。これはSLOWフィルタを使った平均音圧レベルであり、FASTフィルタを使ったピーク値(MAX)測定でも80dBAに時々達する程度です。当ブログで何度か紹介したように、音楽を鑑賞する際に最も多くの人が70~80dBAレンジで快適と感じるようですし(参考記事)、鎌倉のとあるホールの中央付近の席で計測されたベト5の音量もほぼこのレンジに入るようです(参考記事)。

ちなみに、この後のお話しでフラットなCフィルタを使う基準値が出てきます。僕の実験によると、Cフィルタで音楽を計測すると、読み値はAフィルタよりも約5dB増加します。従って僕の平均的な音圧レベル(75dBA)をCフィルタで計測すると約80dBCとなります。

さて、スタジオでのミクスダウンの際、彼らはどの程度の音量レベルでモニタリングしているのでしょうか? 彼らはツイータを焼いてしまったり、ウーハをボコッてしまったりするらしいですが、そんな大爆音でモニタリングしているのでしょうか??? 気になるところです。

というのは、人間は音量が下がると低音が聞こえ難くなるためです。

loudness1.jpg
これは2003年に改訂された等ラウドネス曲線です。この曲線は1kHzを基準に作られています。例えば赤の80dBの曲線は、各周波数において1kHz/80dBAの音と聴き比べた時に同じ大きさだと感じる音圧レベルを示しています。この80dB曲線の40Hzでの値は105dBです。つまり、人間には40Hz/105dBの音と1kHz/80dBの音が同じ大きさに聞こえるという事です。

グラフ全体を見ると、音圧レベルが下がるほど曲線の左上がりの度合が強くなる事がわかります。つまり、音が小さくなるほど低音は聞こえ難くなり、逆に音が大きくなるほど低音は聞こえやすくなります。

loudness2.jpg
80dB(赤)の曲線に70dB(緑)と90dB(青)の曲線を重ねてみました。1kHz以上では曲線の形状は殆ど変わりませんが、低音側は比較的大きく変化します。40Hzで比較すると、80dBに比べて70dBでは約5dB分低音(40Hz)がバランス的に小さく聞こえ、90dBでは逆に約5dB分低音がバランス的に大きく聞こえます。

つまり、彼らがスタジオで平均80dBAの音圧レベルでモニタリングしながらコンナモンヤネと調整したソースを、オウチで平均70dBAの音圧レベルで全くフラットに再生すると、40Hzの音はバランス的に約5dB不足気味に聞こえるという事です。逆にオウチで90dBで再生すれば40Hzの音はバランス的に約5dB過大に聞こえます。このような小音量時の音の聞こえ方を補正するために、昔のアンプには「ラウドネスコントロール」が付いていましたよね。

という事で、一体彼らはどの程度の音量でモニタリングしながら作品を作っているのでしょうか?果たしてソンナニ大爆音で鳴らさないと正しいバランスで聞こえないのでしょうか?今回はそのへんについて調べてみました。

音楽ソースの制作現場においては、スタジオでのモニタリングレベルに関して基準らしきものはなく、様々な音量で再生してみて大きく破綻せぬよう調整されているようです。ラージモニタで大爆音再生して細かい部分をチェックしたり、ラジカセ級の装置でそれなりの音量で確認したりするという事です。ただ、慎重なミクスダウンには長時間のリスニング作業が必要であるため、大部分はニアフィールドモニタを使って常識的な音量レベルでモニタリングされている模様です。そのへんについては後で紹介します。

いろいろ調べて見ると、ホームシアター(5.1chサラウンド方式)の商品化に伴い、モニタリング条件をある程度標準化しようとする動きがあった模様です。その結果、規格というほど厳格なものではありませんが、提案値またはガイドラインと言える値がいくつか提示されています。

SMPTE(米国映画テレビ技術者協会)が提案するSMPTE RP2000では、ピンクノイズ(-18dBFS(rms))を再生した時のリスニング位置におけるスピーカ1本あたりの音圧レベルを下記のように調整するよう提案しています(dBC、SLOWフィルタを使用)。
映画ソース: 85dBC
音楽ソース: 83dBC

NHKも同じ信号を使い、部屋の大きさやソースの種類に応じて78±2~85±2dBC(チャンネルあたり)という値を提案しています。国際規格案では、やはり同じ信号を使い78dBAという値を提案しています(ほぼ83dBCに相当すると思われる)。

これらの提案で使われているピンクノイズは、信号のRMS値がフルスケール(CDの場合16ビット)の-18dBとなるように調整された基準信号です(-18dBFSrmsと表記される)。早速それらしき信号を生成して楽曲のスペクトルと重ね合わせてみました。

曲全体で音圧レベルの高いマドンナの曲からAmerican Lifeです。音量の小さいイントロとエンディングを除いています。青がピンクノイズです。ピンクノイズは-3dB/Octの傾きを持ちます。
american life
この曲では50Hz近辺にズンドコビートがありますね。

ベト5第1楽章のエンディング(ダンダンダン)だけ抜き出しました。楽章中、この部分で最大音圧が発生します。曲全体の平均スペクトルはもっと低くなります。
B5.jpg
ご覧のように、この基準信号は楽曲の音の大きなパートの平均的な信号を概ね良好に代表していると言えそうです。

上記の提案値はいずれも1本のスピーカでの値ですから、2本に換算するには+3dBする必要があります。従って提案値の78~83dBCはステレオ換算で81~86dBCとなります。これをA特性の値に換算すると約76~81dBAとなります。冒頭に書いたように、僕の比較的音量を上げた時のSLOWフィルタによる平均的な音圧レベルは約75dBAですから、提案値の下限とほぼ同等です。彼らが約80dBAで調整したとして、40Hzでのバランス的な不足分は約2.5dB程度です。まあ、制作現場でのモニタリングレベルとして提案されている値からそれほどかけ離れた音量で聴いているわけではないと言えそうです。ちなみに平均75dBAの音圧は、サウンドブラスタのボリューム表示で65%前後です(IconAMPのボリュームは全開)。80dBAの音圧は85%前後のボリュームで得られますが、僕には音がデカ過ぎますし、奥さんのレッドカード必至です。

他の手がかりとして、Pro Toolsというミクスダウン用ツールの関連サイトを見つけました。コチラをご覧ください。こちらでも83dBを推奨しています。CなのかAなのか明記が無いのですが、ツールの基準信号(-20dBFSのピンクノイズ?)をCフィルタで計測した値であると思われます。「研究によると、人間の耳が最良のサウンド判断を行えるリスニング・レベルは83 dB辺りだということです。」と、ありますが、これは1930年代の研究に基づくものであり、そこに掲載されている等ラウドネス曲線も最新版に比べるとフラットな古いデータですので、鵜呑みにはしない方が良いでしょう。なお、僕が上に掲載した等ラウドネス曲線は2003年に改訂されたものです。

この記事で注目されるのは、
ただし、必ずしもミキシングやマスタリングを83 dBで行う必要はありません。ミキシングやマスタリングの重要な判断において、83 dBは優れたボリューム・レベルとなるかもしれませんが、人によって聞き方は異なるので、ニーズに応じてリファレンス・リスニング・レベルを調整するべきです。プロフェッショナル・エンジニアの多くは、より低いレベル (70 dBから80 dBのレンジ) でミキシングやマスタリングを行っています。
とか
フィルム及びビデオの世界の人は83 dBリファレンス・レベルを使用することが多いのですが、オーディオ畑の一部のエンジニアは、より低い77 dB程度でモニタリングすることを好みます。
です。

映画制作現場に比べると音楽制作現場のモニタリングレベルは概して低く、僕が普段聴いているのと大して変わらないか、ほぼ同等と言って良いレベルでモニタリングしているらしいという事が伺えます。結局プロと言えども快適にオシゴトできる快適音量レベルは我々と同じ70~80dB程度という事のようです。彼らにとって「耳」は大切な商売道具なわけですから、85dBAを超える危険音量で長時間モニタリングしたりするワケがありませんよね。もちろん、時々大音量で鳴らして細部のチェック等は行っているはずです。

という事で、平均75dBA/最大80dBA程度の常識的な快適音量レベルは、音楽制作現場からそれほどかけ離れた条件ではない(あるいは、結構近い)と言えそうです。それが好きなら別ですが、狭くて四角い自分のお部屋で快適音量レンジを大幅に超えるような大爆音を敢えて我慢してまでマンヂリともせずに聴く事の論理的な必然性は無いと言えるでしょう。相当な精神的/肉体的ストレスを受けるはずです。

平均70dBAを下まわる小音量で聞く場合、低音不足が気になるようであればラウドネス補正として500Hzから40Hzにかけて直線的に数dBブーストしてあげても良いかもしれません。

また、日本の平均的な家屋でこのように常識的な音量で音楽を楽しむ分には、再三申しているように巨大な装置は全く不要です。

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2010年11月27日 (土) | Edit |
Alpair6 Mの馬鹿ブーストは相変わらず絶好調です。音量を上げても低音が破綻しないので、つい必要以上にボリュームを上げてしまいます。

で、音量を上げるとデスクの微妙な振動が手に伝わって気色悪く感じる事があります。音も微妙に濁り始めます。デスクに伝わる振動の原因には、スピーカー箱の振動による機械的起振と低周波音による音響的起振が考えられます。

音量を上げて音楽を聴いている時に箱に触ってみると、はっきりと振動している事が分かります。ケロの時にも経験したのですが、箱表面の振動が大きくなると明らかに低音が濁って違和感を覚えます。特にケロはスピーカーまでの距離が近いので敏感に感じたため、制振にいくつかの対策を施しました(参考記事)。ポチも何かやった方が良いかもしれません。イロイロ考え中。。。

箱の振動の原因には2つ考えられます。1つは内圧の変化(特に小容積密閉型では内圧の変動は大きくなる)、もう1つは振動板の反動です(質量を持つ振動板が前後に動くので、その反動が箱に伝わる)。前者に対しては箱の剛性を上げる(板厚を上げる、補強を入れる)、後者に対しては箱の質量を上げるか、アンカーシステムのようにドライバー自体にマスを付けてフロートする事が効果的であると考えられます。ポチもケロも容積の割には厚めの15mm合板を使用していますが、多少音量を上げたとてたかが知れたニアフィールド用の音量と小っちゃな箱でも結構振動します。振動するという事は音を出すという事です。しかも表面積は振動板より圧倒的に大きいし。。

もちろんインシュレータも床やスタンドへの振動の伝達を遮断する上では有効ですが、箱表面の振動そのものを取り除いてくれるわけではありません。ちなみにハチマルはAudioTechnica AT6099という結構しっかりと振動伝達を遮断してくれるタイプをデスクとウーハーBOX間、ウーハーとメインSP BOX間に3個ずつ、計12個使用しています。アホみたいに高価ではないし(6個入り4,200円、普通そんなもんでしょう。どう考えても)、理屈もしっかりしているし、測定データで効果を実証しているので超オススメです(実際に効果大)。

僕の場合は、音量を上げると言っても所詮はニアフィールドなので、小っちゃな箱とせいぜいデスク板(ディスプレイも?)の対策だけで済みますが、一般的家屋の部屋に大型システムを置いて「ライブと同等の音量」での再生を行う場合にはタイヘンだと思います。音響的起振と大型/大出力SPボックスの振動による機械的起振によって部屋中のあらゆる物体(壁、床、天井、ドア、建具、家具、額縁、等々)が振動して出すそれぞれに固有の振動数(周波数)の音が無視できなくなるのではないかと考えられます(ましてや微細な音質を追求する方々には。。)。通常の部屋のサイズだと50Hz以下(僕の小さな部屋だと60Hz以下)で定在波によるゲインが発生します(参考記事)。この領域までしっかりとしたレスポンスを持つ大径ウーハーを大音量で鳴らすと、この定在波はかなりのエネルギーを持つと思われ、それこそ部屋を揺るがしかねません。部屋が揺らぐという事は、その中のあらゆるモノも揺らぐワケですから、それらもそれぞれに固有のテンデ勝手な周波数の音を放出します。(締めきった部屋のスピーカーから出された音響エネルギーは部屋の壁や調度類の微小な振動によって熱に変換されて吸収されます。音響エネルギーが大きくなると、それらの振動も当然大きくなり耳に聞こえる程の音を発し始めます。例えば窓硝子がビリビリとか)。

従って音響的な対策が何も施されていない通常の部屋で大音量を出すというのはかなりのリスクを伴う行為であると思われます。そもそも普通の部屋では、内部でそのような大振幅・低周波の空気振動が発生する事なぞ全く配慮されていないはずですからね。大型の機器を入れてそれなりに大音量で再生したい場合には、吸音だけでなく壁面や床/天井およびドア等の建具の強度(制振)にもそれなりの配慮が必要なはずです。ホールとか映画館のドアってゴツイですよね。そんな場所とオンナヂくらいのデカイ音をチッチャナお部屋で出そうってんですから、尋常な事ではありません。いくら高級な装置を使用しても、部屋が何も対策されていないとイッタイ何をやっているのかワケがわからなくなります。音響波をナメタラアカンゼヨ。ってやつです。

と前置きが長くなりましたが、常々僕が不思議に思うのが「そもそも、それほど大音量で再生音楽を聴く必要があるのか?」という事です。

「ライブと同等の音量(耳での音圧)で聴くのが理想」というオーディオマニアの意見をよく聞くのですが、果たしてどうなのでしょうか? その根拠は恐らく「等ラウドネス曲線」(人間の耳は、音量が低いと低音と高音が聞こえにくくなるという特性)と「ダイナミックレンジ」(音量が小さいと記録されている微小な音が聞こえなくなる)あたりにあると思われます。

例えば2本のマイクだけでオーケストラの音を収録し、一切のイコライザー処理を施さずに録音されたソースであれば、この考え方にも納得できます。しかし実際の録音では、楽器に近接設置した多数のマイクロフォンで収録し、スタジオでモニターしながら慎重に各チャンネル(楽器)のレベル調整とイコライジングが行われます。何故このような手間のかかる方法で録音するのでしょうか? この際エンジニア/アーティストはどの程度の音量でモニタリングしながら調整するのでしょうか? さらに言えば、大切な顧客の平均的なオーディオ環境をどの程度に見積もっているのでしょうか?

例のごとくネットでいろいろと調べたのですが、確たる情報は得られませんでした。
断片的な情報ですが。。。。
● スタジオによってモニタ音量は異なるが、それほど大音量ではないらしい(ヨーロッパのスタジオはアメリカのスタジオに比べて音量が低いらしいという情報もあり)。
● ラジカセレベルでどのように聞こえるかも確認するらしい(そういえばSONYのSP一体型CDプレーヤーが多数のスタジオで愛用されていた(いる)という情報もある - 参考記事)

あまり正確な情報が得られませんでしたが、僕が思うに、そんなに高級な装置でなくても、そんなに大音量でなくても十分に音楽が楽しめるようにとのアリガタイ配慮の下に調整されているのではないかと思います。だって、凄いリスニングルームを持っていて「ライブと同等の音量」で再生する人なんか、世の中にそんなに居るわけないですもんね。。どう考えても。

で、そのように調整されたソースを「ライブと同等の音量」で聴くと、もの凄くよく聞こえすぎてキツク感じるのではないでしょうか。また、限られた空間内で聴くので精神的圧迫感も凄まじいと思います(僕にとっては拷問に近いかも)。オーディオマニアの多くが僕から見れば異常なまでに「響き」とか「音場感」に拘るのは、このヘンに原因があるのではないかと推測されます。

以前に、オーディオマニアと音楽家のオーディオ装置に対する嗜好の違いについて議論している板をご紹介しました(参考記事)。そこでは、音楽家は総じて「音場感」に頓着しないという点と、音楽家の装置の音は総じて「キツイ」という点が指摘されています。しかしこれは「音楽家 VS オーディオマニア」というよりは「オーディオマニアではない一般リスナー(ハチマル含む) VS オーディオマニア」の違いと言っても良いのではないかと思います。そして、このような嗜好の違いの主な原因の1つとして「再生音量」があるのではないかと僕は推測しています。

さらに、この「ライブと同等の音量」という考え方の大元には「再生音楽とは生演奏の再現である」という根強い考え方が見て取れます。しかし、多くの一般リスナーは(ハチマルも含めて)「再生音楽とはスピーカー(またはイヤフォン/ヘッドフォン)で好きな時に好きな場所で好きな音楽を聴くためのモノ」としか考えていないと思います(そのような態度が「音楽」を鑑賞する上で「低レベル」だとは全く思いませんし、ましてやマニアのように微細な事に拘る事が「音楽」を鑑賞する上で高レベルな行為だとも全く思いません)。また、上記したように、製作側も正確な「再現」というよりは「オウチで聴きやすく」にかなり配慮していると考えられます。

音量を上げれば上げるほど、装置側の機械的および電気的な面に加えて再生場の音響的な面でも音質低下のリスクが増加します(健康上のリスクもね)。録音されている「内容」がストレスや圧迫感を感じずに快適かつ必要十分に聞き取れるだけの適度な音量があれば、それで十分ではないでしょうか。また、媒体自体もそのように聴かれる事を意図して製作されているのではないでしょうか。

追記
スタジオのモニターシステムや、エンジニア/アーティストの嗜好によっても録音の傾向は結構異なります。ライブ盤(特にジャコの海賊盤)なんかは酷いのもあります。このため、快適音量に調整した上で、デジタルイコライザによる微調整が非常に有効です。

例:
- 60年代のマイルスとハンコックのリーダーアルバムでは、ハンコックの方が低音寄り、マイルスの方がシャープに聞こえるので、僕はイコライザでチョコッと補正する。
- クラシックではジャズに比べて高域をチョコッと落とす。

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