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2013年08月31日 (土) | Edit |
前の記事の続きです。

前記事では、「ハイレゾリューションオーディオの研究 -西口敏行、電気通信大 情報システム研究科 博士(工学)の学位申請論文」という論文の実験結果についてご紹介しました。

そこでは、192kHz/24bitで生録音されたさまざまな音源を使って、21kHz以上の帯域の再生をON/OFFする事で、被験者が超高域の音を弁別できるかどうかをブラインドテストによって評価していました。その結果、特殊な条件(特殊なマイクで録音、琵琶音源のみ、長時間提示、36名中2名のみ弁別)を除いて、被験者が超高域を弁別している(聞き分けている)という有意な結果は得られませんでした。

この結果を見る限り、一般的に可聴帯域の上限と言われる20kHz以上の音成分が再生されても、リスナが(本実験では被験者に演奏家や音源制作者が含まれていたにも関わらず)それを弁別できるケースは非常に稀であろうと思われます。

しかし、音源のハイレゾ化は、可聴帯域の再生音にも影響するはずです。特にビット分解能は周波数には関係アリマセン。また、例えば40kHzでサンプリングした場合、10kHzの波形はたったの4サンプル点で表現されるのに対し、200kHzでサンプリングした場合は20サンプル点で表現されます。つまり、可聴帯域の音でも、より細かく記録されるという事です。前記事の実験では、全て192kHz/24bitの音源を使用し、超高域(21kHz以上)を受け持つ再生装置をON/OFFしていただけなので、このような効果を評価する事はできません。

実は、この論文では、前記事で紹介した実験1と実験2の後で、音源のフォーマットの影響についても実験しており、僕は見落としていました。今回は、その実験結果についてご紹介します。この実験結果は第4章「標本化フォーマットと可聴帯域内の音質」に書かれています。

標本化フォーマットと可聴帯域内の音質

実験条件
- 音源収録では、アナログ出力を3並列にして、48kHz/24bit192kHz/24bitDSDの三種のフォーマットで動作する3台のADCに接続
- ADCには機種とファームウェアが同一のものを使用
- 再生環境は実験1、2と同じだが、21kHz以上を受け持つスーパーツイータをOFFにしている
- 可聴帯域における3種のフォーマットのF特には全く差は見られない

被験者
- 音大生4名(30代男性1名、20代女性3名)、、音源の演奏に加わったバイオリニスト1名(30代女性)、録音技術者1名(30代男性)の計6名

音源
- 邦楽(箏、尺八)、ボサノバ(ギター、女性ボーカル)、「ピアノトリオ」(ピアノ、チェロ、バイオリン)の3種(ステレオ生録)
- マイクは通常の音楽録音用を使用(実験2に使った特殊マイクではない)
- 提示時間は約20~30秒

実験方法
- 微小な差の検出に適したペアテスト法を採用(フォーマットが異なるサンプルAとBから、AA、BB、AB、BAの4種の対をつくり、ランダムに提示し、被験者は音が同じか違うかを判定)
- 30分を1セッションとし、1セッションで24試行、セッション間に10~15分の休憩をはさみ、1日に3セッションを実施
- 各被験者は3日で計9セッションの実験に参加し、全ての比較条件(3フォーマット × 3音源)について24回繰り返し評価を行った

実験結果
- 最も高い正答率は66.7%であった
- 24試行の場合、有意水準5%で有意と判定されるには75%以上の正答率が必要
- 従って、今回の結果からは被験者別に見ても、音源別に見ても、フォーマットの違いは有意に弁別されなかった(聞き分けられたとは言えない)

今回の結果からは「録音現場で標準的に使われる48kHz/24bitあれば十分ちゃう?」という事が伺えます。

しかし、今回の音源にCDフォーマット(44.1kHz/16bit)が含まれていない事は非常に残念です。16bitと24bitの違いは果たして有意に弁別できるのか?については、今回の実験からは何も言えません。現在の民生向け標準フォーマットであるCDフォーマットを改良する価値があるのかどうか?という肝心のところが不明です。

学会におけるこのようなハイレゾの研究では、超高域音を感知できるかどうか(あり/なしを弁別できるかどうか)に焦点が置かれます。また結論も、否定的なものもあれば肯定的なものもあります。言い換えれば、それくらい違いは微小で微妙あるという事です。これらはあくまでも学術的見地による研究です。

しかし、現場現実現物主義の血みどろの民生向け開発者的観点からは、「それによって世のヒトビトがより豊かに音楽を楽しめるようになるのか?」「リソースやコストのの増加に対して、その効果は釣り合うのか?」「総合的に見てそれはヒトビトに真に恩恵をもたらすのか?」という観点からの評価が最終的に最重要であると思います。ScienceとEngineeringでは最終的観点が異なるという事です。

一方、商業的観点からは「高音質!」と謳ってビジネスチャンスを拡げたいのも理解できます(実際、ソースの情報量が多い事に偽りはないですからね)。しかし、そのへんのバランスを適正に保つには、真っ当なヂャナリズムの働きが必要です。イヤホンマニ。ゼッタイニ。例えば写真業界では、一時期の行き過ぎた高画素数化競争(これもハイレゾ化ですね)に対して、各誌がこぞって否定的な見解を述べ、実際にそのような動向は抑制されました。最近は知らんけど。。。

また、現在配布されているハイレゾ媒体がどのように制作されているのかについても注意が必要です。例えば、CD盤の元になった48kHz/24bitのデジタルマスタを単純に変換したものなのか、テープから最新機器を使ってリマスタリングして最先端のADCプロセスを適用したものなのかによって、CD盤との音質差は当然違ってくるでしょう。要は、「CD盤よりもハイレゾ盤の方が音質が良い」と実際に聞こえた場合でも、それが純粋にフォーマットのハイレゾ化によるものなのか、それともリマスタリング等の別の要因によるものなのかは分かりません。そのへんが曖昧にされていると言えるでしょう。

この影響を排除するため、この論文では市販の媒体を用いずに自ら生録した音源を使っていました。これは極めて正しい判断であると言えます。この結果を見る限り、ハイレゾ自体の主観的音楽再生音質に及ぼす影響は、超高域音の有無を含めて、極めて微小である(または殆ど無い)と言えるでしょう。

恐らく、僕が思うに、フォーマット自体よりも、録音エンジニアの技能やセンスおよび現場の録音機器/プロセスの技術的レベルの方が、リスナが感じる音質に対して遙かに大きな影響を持つでしょう。センスのない録音のハイレゾよりも、ハイセンスな録音の圧縮音源の方がずっと音楽を楽しめるはずです。

いずれにせよ、正しい本当の情報が消費者に行き渡る事と、消費者が賢く判断する事が重要です。それを助けるのがヂャナリズムです。短期的には商売の妨げになる事もあるでしょうが、長い目で見れば、業界が発展するには消費者に対して健全である事が何よりも重要です。これは衰退/縮小し続けていると言われる現状を見れば明らかでしょう。

最後に、著者の本研究全体に関する総合的な結論(第5章 結論)の結びの部分を掲載します。
ハイレゾ結論
学会(超高域は弁別できると主張するセンセも居る)および業界をおもんばかった結論のように見えます。

追記
原文には、実験結果以外にも貴重な技術的背景が記載されています。ゼヒゼヒご一読くださいませ。
ハイレゾリューションオーディオの研究 -西口敏行、電気通信大 情報システム研究科 博士(工学)の学位申請論文

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2013年08月29日 (木) | Edit |
前の記事で、オーディオ用圧縮コーデックに関しては、ITU-R (国際電気通信連合 無線通信部門)が定める主観品質評価法(ブラインド評価)に則った方法で音質が評価されている事を紹介しました。

では、巷を賑わすハイレゾ音源についてはどうなのでしょうか?

例によってネットでサーチしてみましたが、確たる情報は得られませんでした。「高音質」が喧伝されているわけですが、その根拠はイッタイゼンタイ何処にあるのでしょうか? JAROさんに叱られないのでしょうか?

サーチ中に非常に興味深い論文を見付けましたので、要約をご紹介します。
PDFで113ページに及ぶ博士号申請論文です。

PDFへのリンク
ハイレゾリューションオーディオの研究 -西口敏行、電気通信大 情報システム研究科 博士(工学)の学位申請論文

以下、実験の内容と結果を要約しますが、原文に目を通される事を強くお勧めします。

実験1
実験システム
-信号は192kHz/24bitでデジタル化
-1024タップの直線FIRフィルタを使って21kHzで可聴帯域と超高域を分割
-再生システムは21kHz以下と以上で独立した系統を持つ
-実験はITU-R BS1116に完全準拠した音響評価質で実施
-2チャンネル ステレオ再生(スピカとリスナ間の距離は3m)
-可聴帯域用スピカにはB&Wの800シリーズ(Diamond)を使ったと思われる(図から推測)
-超高域用には別体のスーパーツイータ(上限70kHz)を使用(歪みを計測して機種選定している)

被験者
-男性30名、女性6名の計36名
-音響関係の研究者と音声制作技術者が33名、学生2名、評価音源の演奏家自身1名
-年齢は10代が3名、20代が12名、30代が16名、40代が3名、50代が2名

音源
-様々な音楽ジャンル、楽器からなる全20種を用意
-そのうち16種は独自録音(演奏家による生演奏を録音)
-生録楽器には琵琶、ジャズピアノトリオ、バイオリン、フルート、ピッコロ、サックス、ボーカル、フルオーケストラ!、ギター等が含まれる
-マイクロフォンには音楽録音用を使用してステレオ録音(40~50kHzまでフラットな特性を持つ、全指向性)
-音源のうち2種類は市販のSACD
-超高域を含むホワイトノイズも音源の1つとして用意
-音量は音源の主要なピークが80dBA(FAST)前後となるレベルを標準とする(僕の標準音量と同じだね)
-被験者は上記標準レベルに対し-3~+5dBの範囲で音量を調整してもよい(36名中26名は標準音量で試聴)

実験方法
-3つのサンプル(リファレンスとA、B)を比較試聴
-リファレンスは必ず超高音域を含み、AとBのどちらかは超高音域をカットした可聴帯域のみの音源
-被験者はAとBのどちらがリファレンスと同じに聞こえるかを答える
-被験者はリモコンを使ってサンプルを自由に切り換えながら音源の任意の位置を繰り返し聞くことができる

結果
-音源ごとの正答率を見ると、特に有意な音源はない(被験者が超高域の有無を弁別していると言える音源は1つもない)。敢えて言えば、超高域のレベルが高く、かつ、超高域成分が非定常(変化する)音源の正答率は比較的高いと言えるかもしれない。
-被験者ごとの正答率を見ると、1名だけ(17才の女性)が有意(聞き分けている)とみなせる結果を出したが、追試の結果では有意とみなせる結果は得られなかった。
-結局、実験1では20種の音源を用い、36名の被験者で評価を行ったが、音源別および被験者別どちらで見ても、有意な弁別結果(確かに聞き分けているという結果)は得られなかった。


実験2
実験1の結果で超高域成分が高い音源の正答率が比較的高いように見える事、また音源の提示時間が影響する(ある程度長い時間聞くと超高域を関知できる)とする学説がある事から、追加の実験が行われた。

実験1との相違点
-100kHzまで高い感度を持つ音楽録音用の広帯域マイクロフォンを新たに開発して音源の録音に使用
-このマイクの感度は、10kHz以下よりも超高域感度が10dBも高いやや極端な特性を持つ
-被験者にある程度長い時間聞かせるために試聴方法を変更(音源の提示時間を85~120秒と長くした)
-音源には弦楽四重奏、筑前琵琶、ハープシコードの3種類を用意
-特に琵琶では21kHz以上の超高域が常時40~50dB出ており、70dBに達する箇所もある(帯域も70kHzまでと広い)
-被験者は男性5名、女性8名の計13名
-音楽大学学生7名、音大教員3名、作曲家2名、演奏家1名
-年齢は19~51才

結果
-13名中2名の被験者(20才女性と30才男性、ともに音大学生)が、「琵琶の音源でのみ」超高域の有無を有意に弁別できた(有意水準5%の二項検定)
-音源の提示時間を20秒程度に縮めた場合、上記2名+琵琶音源でも超高域を有意に弁別できなかった
-上記2名に対して純音の閾値測定を行ったところ、22kHzの閾値は90dBを超えており、直接的に琵琶音源の超高域を聴取できたとは考えがたい(単純に耳で聞こえたとは思えない)
-従って、上記2名が超高域の有無を聞き分けたメカニズムは不明である

以上です。

僕の感想としては、
非常に信憑性の高い実験であると思います。リスニング位置での測定で実際に超高域成分が再生されている事も確認されており、再生装置としては申し分ないでしょう。また、被験者の選択も適切だと思いますが、ハイレゾの音質が良いと喧伝するオヂオヒヨロンカ達にもゼヒ参加して頂きたかったと思います。

結局、特殊なマイクを使って録音した特殊な楽器(琵琶)の音源を長時間提示した場合のみ、2名の被験者が辛うじて超高域を弁別できた(正答率70数%)というのが結論です(半ば無理矢理感が漂っている)。そして、その弁別は単純に耳で聞き分けたとは言えないという事です。この実験結果を見る限り、一般的な人が、一般的に市販されているハイエンド装置を買って、一般的に配布されているハイレゾ音源を再生しても、まずその違いは弁別不能であろう。。と言えそうです(プラセボ効果を排除すれば。。。という前提でね)。

共に音大生という事ですから、「あなたは、この音楽を愛聴するにおいて、この超高域が聞こえる事をどの程度重要だと考えますか?聞こえる事が好ましいと思われますか?」という質問も是非投げかけて欲しかったと思います。最終的に重要なのは、聞こえるか聞こえないかではなく、聞こえる事によって何か得る物があるのか、それが音楽を愛聴するにおいて果たして如何ほど重要なのか?という事ですからね。アッタリマエですが。

徒なハイレゾ化は計算処理負荷、通信負荷、ストレージ等のリソースを浪費します。すなわちエネルギや資源を浪費するという事です。また、末端ユーザの経済的負担も増加します。世界的に見て裕福なヒトビトはほんの一部に過ぎません。音楽は全人類の貴重な財産です。世の中に対する真の有用性が明らかにならぬママ、商業的思惑によって、このような媒体がなし崩しに標準的な規格として普及してしまう事は非常に危険です。これからの時代、そいう考え方が必要です。ゼッタイニ!

ソレハソレのソレと明確に位置付けて(つまり、上記のような評価をキチント実施して、一般大衆を徒に煽るのではなく、正しい客観的情報を公開した上で)、「ソレでも、敢えて、、」と言うマニアック層向けに限定的に配布される事を僕は望みます。

また、これは「ハイレゾ」に限った事ではなく、常識的に考えて異常に高額で怪しげな製品や根拠不明の論が横行するオヂオ界全般に言える事でもあると思います。これらの動向をプロフェッショナルな(クロートさんの)観点から監視して警鐘を鳴らすのがヂャナリズムの重要な役割であると思うのですが。。。。。。逆に煽ってね?

追記
ハイレゾに関しては、もう1つの観点からの評価が必要です。すなわち、超高域まで再生できる装置を使ってサンプリングレートとビット分解能の異なるソースを比較する必要があります。例えば24bit/192kHzと24および16bit/44.1kHzの比較です。そのような評価結果もネットで見つかったら、またご紹介したいと思います。

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2013年08月27日 (火) | Edit |
ネットラジオ局は星の数ほどありますが、僕が最もお勧めするのは AccuRadio(コチラ)です。全てのジャンルを極めて多数のチャンネルで網羅しており、完全無料サービスですが鬱陶しい宣伝も殆ど入りません。

最近またAccuRadioをよく聴くのですが、なんだか以前よりも音質が良くなったような気がします。

ラジオ局によっては、比較的高いビットレートでも、特にクラシック曲(バイオリン等)で音質の劣化に違和感を覚える事があります。しかし、AccuRadioでは、クラシック チャンネルをモニタヘッドフォン(有線)で聞いても、そのような違和感を殆ど覚えた事がありません。交響曲でも十分ヤン!という感じ。ただし、この局のクラシック チャンネルでは、1曲の全楽章が通しで流れないので滅多に聴きません。これは改善して欲しいですね。

AccuRadioのビットレートやコーデックは明確には公表されていないのですが、同局のFAQページを見ると、32kbpsでストリーミングしているという局側からのコメントが見つかりました。たったの32kbps???音質が良いので、ちょっと俄には信じがたい値ですが、HE-AAC等の高度なコーデックを使用しているものと思われます。

これらのコーデックの音質評価には、ITU-R (国際電気通信連合 無線通信部門)が定義する各種の主観品質評価法(多数の被験者によるブラインドテスト)が使われます。特に、オーディオの圧縮コーデックの評価にはMUSHARA (ITU-R BS.1534)という評価法が使われるそうです(詳しくはコチラ参照、以下抜粋)。

MUSHRA法では、一度にリファレンス音(原音)と複数の評価対象音、隠れ基準(リファレンス音)、隠れアンカー(最も劣化の大きな音)を提示でき、評価者が自由に切り替えて聞くことができる。リファレンス音以外の提示の順番はランダムに変わり、どれが隠れ基準/隠れアンカーかも分からない。評価は5段階の連続品質尺度を用い、平均オピニオン評点の「非常に良い(Excellent)」~「非常に悪い(Bad)」までの段階を 100 から 0 までの連続値で表す。

以下はジャズ専門ラジオ局JazzRadio (コチラ)の設定画面に記載されていた各コーデックの音質レーティングです。
40kbps HE-AAC: Good (無料サービスはコレのみ、他のは有料)
64kbps HE-AAC: Good
128kbps HE-AAC: Excellent
256kbps MP3: Excellent

MP3 256kbpsはExcellentに格付けされています。以前にも書きましたが、僕はモニタヘッドフォンで真剣に比較視聴してもWAVと256kbps MP3の違いは分かりませんでした。なのでこの「Excellent」ランクには納得できます。128kbps MP3はなんとか聞き分けられましたが192kは試していないので分かりません。

HE-AACだと128kbpsでExcellentにランク付けされています。このように、HE-AACは高い圧縮比でも主観的音質の劣化は少ないとされます(詳しくはコチラ、以下抜粋)。

HE-AAC v1 では、そのレートより若干低いAAC音声データに SBR と呼ばれる部分を追加して記録している。 行程は、はじめに高周波数部分において、圧縮後のサンプリングレートで失われる周波数以上を抜き出す。このとき、エンコード部分に収まる部分との関連性を調べ、SBR部分の情報として圧縮する。その後、低サンプリングレートで通常通りAACとして圧縮を行う。 そして、この二つのデータをセットにして記録する。 デコードする時にはまず、AACをデコードした上で、SBRを使い高音域を予測して生成したデータを合成し、再生を行う。
「48kbps程度のレートでCDの音質を実現している」とされる。48kbpsでMUSHRAが80点 (Excellent) である。24kbpsでは HE-AAC v2 で Good である。全てのビットレートで AAC < HE-AAC v1 < HE-AAC v2 と音質が改善されている。


HE-AACにはv1とv2があり、v2では48kbps以下の音質が改善されているそうです(上記によると48kbpsでCDレベルのExcellent、ホンマ?)。上記の内容からすると、JazzRadioのHE-AACはv1かもしれません。また、AccuRadioがv2を採用しているとすると、32kbpsという値も十分に現実的であるように思えます。AccuRadioの音質がなんだか良くなったように聞こえるような気がしないでもないような気がするのは、v1からv2に変わったからなのかな???それとも単なる気のせいかな???

上で述べた主観評価(ブラインドテスト)では、被験者がサンプルを自由に切り換えながら何度でも試聴を繰り返す事ができます。以前の記事で紹介した自動車の車室内音の主観評価試験でも、そのような方法を採りました。このような評価方法は、学術目的等、正確で公正な結果を公にする場合には当然必要となります。ヂャナリズムもね。

しかし、ご存じのように、僕はトッカエヒッカエによる直接的な相対比較を嫌います。「音」ではなく色々な「音楽」を長時間聴いてみて違和感を覚えず快適に楽しめれば基本的にOKと判断します。だって、それが「目的」ですからね。

その意味で、AccuRadioとBluetoothは「僕にとって」全く「OK」です。そりゃぁアンタ、FrieveAudioのWAV再生と直接比較したら、多少の違いはあるでしょうが、単独で聴いて特に違和感や不快感あるいは不自然さとか聴きにくさを感じなければ、つまり十分快適に音楽を楽しめれば、ヨシとするという事です。つまり最終的に、相対比較ではなく単独で絶対的に評価して「OKヤン」とか「エーントチャウ」と判断する事を重視します。このような「自分なりの」絶対的評価軸をある程度持たないと、グルグル相対評価を永遠に続ける事になるでしょう。

LEANAUDIO初期の経験によると、トッカエヒッカエによる直接的相対比較を繰り返すと、非常に微小な差違に必要以上に囚われてしまい、オトの違いをキキワケル事自体が目的になってしまいがちになります。比較すればするほど微小な違いが気になりだし、しまいにはドッチが良い/悪いではなく単に「違う」という領域に突入するでしょう。そして、本来の目的である「音楽をより快適により深く楽しむ」という目的からどんどん離れてしまうでしょう。頂上(大目的)の方向を見失った樹海内の彷徨(相対比較)に陥るという事です。僕は、ある段階でその事に気付き、以来トッカエヒッカエを殆ど止めました。

これは、オーディオに限らず、人間がある目的をもって行動(例えば開発等のプロジェクト)を開始した後、ある段階まで進むと陥りやすい状況です。これを僕は「泥沼」とか「富士の樹海」と呼びます。彷徨する事自体を趣味として楽しむのでなければ、つまりオーディオ装置を「音楽を日常的により良く楽しむための実用道具」として使うのであれば、その轍を踏む必要はないでしょう。

追記
いわゆる「ハイレゾ」の音質に関しても、上記のような明確な定義に則った評価が行われているのでしょうか?「コーオンシツ」を高らかに謳っているようですが、実際のトコロどうなのでしょうか? CD規格の策定においては、大々的な音質評価が行われたと聞きます。新しい規格のメディアを立ち上げるに際して、それは当然でしょう。ドナンデショウカ???ハイレゾって。

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2013年08月10日 (土) | Edit |
Bluetoothは音質的にどうなんでしょうか?

以下のサイトを参考にさせて頂きました。
ウィキペディア「Bluetooth」
Bluetoothのオーディオ機器を高音質で楽しむための「AAC」と「apt-X」
Bluetoothという名称ですが、これは、10世紀頃に実在したバイキングの王様の名に由来しているそうです(規格を初めに提唱したのはスウェーデンのエリクソン社)。

さて、音質面ですが、
現在のBluetooth仕様ではCD音質のWAVファイル(16bit/41kHz/2ch)をそのまま転送する事はできません。元の音楽ファイルが非圧縮のWAVであっても、転送前に圧縮されて音質的に劣化します。

BluetoothではA2DP (Advanced Audio Distribution Profile)というプロファイルが標準的に使われ、データの圧縮にはSBC (SubBand Codec)というコーデックが使われます(ビットレートは推奨設定の高音質モードで345kbps/ジョイントステレオ)。基本的に、全てのソースはSBCに変換されてから転送されます。SBCは圧縮率が高く、他のコーデックに比べて音質の劣化が大きいと言われており、これが「Bluetoothは音質が悪い」と言われる大きな要因となっているようです(まぁ、例によって業界筋が言う事ですから、果たして実用的に(一般音楽愛聴者にとって)どの程度知覚できる音質劣化なのかは不明です)。

これを改善すべく、最近ではより高音質なコーデック(AACまたはapt-X)に対応した製品が出回っています。このような製品では、例えばソースがAACであればAACのまま転送できるという事です(しかし、実際に一切の変換(音質的劣化)なく転送されるのかどうかは怪しいかも?)。

AACはApple製品でおなじみのコーデックですね。apt-Xは聞き慣れませんが、「動画の再生に使っても音のずれを感じにくい」と言われているようです(圧縮後のビットレートは352kbps)。

ビットレート的には、SBCでも345kbps(推奨)(上限は512kbps)が確保されているのであれば、携帯型プレーヤで標準的に使われる128kbps~256kbpsのソースには十分ではないかと思います。僕の実験君による経験では、256kbpsのMP3とWAVの音質的違いはモニタヘッドフォンでも聞き分けられませんでした(世間では一般的に192kbpsがWAVとのキキワケの限界と言われているらしい。)。オンシツやオンヂョにシューチュしたりショーヂンしたりしてワザワザ超微細なオトのキキワケに多大な意識と労力を割かない限り(オヂオヒヨロンカゴッコしない限り)、つまり普通に大好きな「音楽」を愛聴するのであれば、ビットレート的にはまず十分であろうと思われます。圧縮音源のクオリティが必要十分レベルに達すれば、オーディオ本体(ヘッドフォン・イヤフォン、内蔵アンプ等)のクオリティの影響の方が大きくなるでしょう。

Bluetooth規格にはいくつかのバージョンが存在し、バージョンを追う毎に通信速度や消費電力が改善されています。現在のところバージョン4が最新のようです(コチラ参照)。

BT速度
基本仕様の通信速度はv3まで同じです(下り723.2kbps/上り57.6kbps)。ただし、v2でEDRという高速オプションが追加され、v3で超高速なHSオプションが追加されています。しかし、動画等ではなく圧縮音楽データの転送だけであれば、今のところ標準速度でも十分ではないでしょうか。将来、非圧縮データの転送に対応するようになれば、高速化オプションを活かせるかもしれません(CDデータの必要ビットレートは1.4Mbps)。

下はSONYの高級ワイヤレスヘッドフォンMDR-1RBTのBluetooth仕様です。
BT MDR1
バージョン3.0を採用し、AACに対応している事が分かります。廉価版のDR-BTN200も同じでした。

僕が購入したロジテックのLBT-MPHP06はバージョン2.1+EDRを採用し、コーデックは標準のSBCにのみ対応しています。僕が使っているソースはiPod Touch(128kbps/AAC)ですが、ジムや屋外で聴く分には全く十分です。僕の感触としては、コーデックよりもイヤフォン(ドライバ)自体をもっと高品位なオーディオ用に変更した方が音質改善の効果は大きいように思えます。この製品のイヤフォン本体は音楽鑑賞用として最低限のものですからね。

ロジテック社の最新型(外観は僕のと全く同じ)であるLBT-AVHP06SEBKはバージョン4.0を採用し、コーデックはSBC以外にAACとaptXにも対応しています。このようにBluetooth規格も日進月歩で高音質化が図られているようです。

現時点では、Bluetoothと言えばスマホ用ヘッドセットという感じで、ドライバ本体やアンプ等にあまり高品位な物は使われていません。オーディオ用としては最低限の物という感じでしょうか。今後より高品位なドライバやアンプがが組み合わされるようになれば、音質は飛躍的に改善されるでしょう。上で紹介したSONYのMDR-1RBTは正にそのような製品の先駆け的存在であると言えます。「Bluetoothは音が悪い」と一般に言われ、インターフェイスそのものが音質的に劣るような印象を与えていますが、他に多くの問題があるように思います。インターフェイスそのものの改善と、オーディオ機器本体の高品位化によって音質はまだまだ向上するでしょう(価格も上がるけどね)。

最後に、ヘッドフォン側だけAAC等の高音質コーデックに対応していても、送信側のBluetoothが対応していなければ標準のSBCで圧縮されて送信されます。たとえプレーヤ本体でAACを再生できたとしても(つまり有線イヤフォンでAACを聞けたとしても)、プレーヤが内蔵するBluetoothがAACに対応していないければ、ワイヤレスヘッドホンにはSBCデータが送信されるという事です。機器を選ぶ際に気を付ける必要があるでしょう(コチラ参照)。

僕のZAPシステムからBluetoothヘッドホンに音を飛ばすにはトランスミッタが必要です。次回はBluetoothトランスミッタについて調べて見ますね。オッタノシミニ!

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2012年05月18日 (金) | Edit |
以前にも書いたように、コレクションでは聴く曲が淘汰されてきたため、最近はネットラジオを聴く機会が増えています。ZAP BAS君大活躍中。

ジャズを聴きたい時はジャズ専門局のJAZZRADIO.comをよく利用します。時代別、ジャンル別、楽器別等、30チャンネルに分類されており、嬉しい事に最近Bass Jazz (ベースが主役のチャンネル)が追加されました。ここは有料の局ですが、無料でも全てのチャンネルを聴く事ができます。無料の場合、ビットレートは40kbps (HE-AAC)に制限されます。料金を払えば、192kbps(MP3)、128kbps(AAC)、64kbps(HE-AAC)で聴けるようになりますが、iTuneのラジオのリストからアクセスすると64kbpsで聴けるので、普段はiTune経由で聴いています。この局に限らず、アップル社と局の間で何らかの契約があるようで、iTuneからアクセスした方が高ビットレートで聴ける場合が多いようです。

一般的にMP3形式の音楽ソースの場合、128kbps以上のビットレートが普通だと思うのですが、この局の場合64kbpsという極端に低いビットレートでもたいして問題を感じません。「音質」なんか意識せずに「音楽」を普通に聴く分には、無料でも全然OKチャウ? というのが実感です。そりゃぁ、切り換えながら聴き比べれば、違いも分かるのでしょうが、別に「音質」をわざわざ聞き分けたりツイキューしたいわけではないので、必要十分なクオリティで音楽を再生できているように思えます。

このように極端に低ビットレートでも、大して劣化を感じずに聴けてしまうのは、AACあるいはHE-AACというフォーマットの恩恵によるらしい。。。というのが今回のお話です。

まず、「MP3 vs AAC音質比較!」という記事をご一読ください。

MP3の場合、ビットレートを256kbpsより落とすと上限周波数は直線的に低下します。上記のサイトによると、256kbps以上での上限周波数はオリジナルと同じ22kHzですが、128kpbsでは15.2kHz、64kbpsでは8.3kHzまで低下します。

これに対しAACの場合、高ビットレートの上限周波数は20.0kHzと若干MP3に劣るものの、128kbpsで18.7kHz、、64kbpsでも13.5khzと、低ビットレートでの上限周波数は比較的高く維持されています。一方、ファイルサイズ(圧縮率)はMP3とほぼ同等です。AACは、MP3等の従来方式を超える高音質・高圧縮を目的に標準化された方式とされ、低ビットレートほどAACの優位性が顕著に現れるようです。上限周波数だけで音質が決まるわけではありませんが、音楽を再生する場合、少なくとも10kHzまでは余裕で再生する必要があるように思われます(FrievAudioのフィルタでいろいろ試した実感です)。MP3の場合、ぎりぎり最低限96kbpsが必要だという事です。128kbpsが標準的に使われるのも妥当な選択だと思います。

AACでも、128kbpsよりも低ビットレートになると、上限周波数が顕著に低下しますが、この点を改善したのが上記のネットラジオで使っているHE-AAC方式です。この方式では、48kbpsでも17.7kHzまで再生可能なようです(コチラ参照)。ただし、アルゴリズムで高音域を予測して生成しているようで、波形自体がどの程度正確なのかは不明です。

まぁ、何はともあれ、「音質」にやたら集中して聞き分けたりツイキューしたりせず、専ら「音楽」を楽しむのであれば、64kbpsのHE-AACでも十分許容できるんちゃう?というのがハチマルの実感です。

これとは正反対の技術として、20kHzを超える帯域の再生を謳うハイレゾ音源やスーパーツイータがあります。ハチマルの実感では、そのような超高域の再生が必要だとは余り思えません。音楽の内容を成す重要成分は恐らく10kHzそこそこまでと思われ、それ以上の帯域は半ばランダムな付帯的現象であるように思えます。恐らく、あのシュワシュワとした、ちょっと耳にコソバユイようなHi-Fi的風味(ステレオ臭さ)が強調され、例のクーキカンとかフンイキとかケハイとかが演出されるため、そのへんを重視するマニアには喜ばれるという事ではないでしょうか。ハチマルには逆に鬱陶しく感じられます。だってさぁ、一番リラックスして集中できる自分のお部屋で、ヒトリ静かに誰にも邪魔されずに音楽を聴けるのが再生音楽の良いトコロなわけで、そこに会場のザワザワしたライブ感やフンイキやクーキカンやケハイとやらを過剰に持ち込みたくないのよ。「音楽」に集中しにくいし。。自分を取り巻く現実の時間と空間の中で、大好きな「音楽」を楽しみたいという事です。すなわち仮想体験を求めるのではなく、スピーカから再生される音楽を聴いているその場その時の瞬間瞬間が新しく生々しい実体験だという事です。だから基本的にライブ盤はあまり好きではない。

追記1
という事で、音質的には無料でも良いかな?と思うのですが、時々挿入される有料サービスの宣伝ナレーションが鬱陶しいので、お金払ってしまおうかと考えています。$4,99/月、$49/年ですから大した額ではありません。

追記2
Victorの携帯型プレーヤを購入した時に、いろいろなビットレートで圧縮して聴き比べた事があります(MP3)。256kbpsと128kbpsを聴き比べたところ、集中して比べると、256kbpsの方が良いような気もしないでもないような気もしたので、256kbps (またはサイズが同等の320~128kbpsのVBR)で圧縮していました。256kbpsと非圧縮のWAVも比べましたが、違うような違わないような、そもそも、それほど執念を持って「聞き分けよう」という意思が働かないので、よく分かりませんでした。要は、そのヘンの音質のチガイが「音楽」を楽しむ上でさして重要だとは感じられなかったという事です。そんなのより、スピーカの低音不足とかバスレフ型の低音ビートの不自然さの方が「音楽」を聴いていると余程気に障りました。

次回はクラシックを聴く時によく利用する局をご紹介します。

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2011年11月10日 (木) | Edit |
今回は、電線と並ぶ代表的アクセサリであるインシュレータと音質について考えてみたいと思います。ここでは、スピーカ用のインシュレータだけを考えます。

「音楽再生クオリティ」の観点からは、下記の2点を満たすインシュレータが理想的であると言えます。
1) スピーカボックスの振動を支持体(床またはスタンド)に一切伝達しない事(機械的振動の完全な遮断)
2) スピーカを完全に固定できる事(ドライバの反動でボックスが運動しない事)

1)はスタンドや床の振動による付帯音を除去するためです。2)は柔らかいインシュレータでフローティングした場合に、振動板の運動が箱の運動によって相殺されないようにするためです。現実的に2)がどの程度音質に影響するのかは不明です。振動板に対して箱が十分に重ければ無視可能だと思われます(Alpair6Mの等価振動系質量は約3gであるのに対し、ポチ型ボックスは約2500gですから質量比で約800倍あります。さらに箱に重しを載せると改善されます。どなんすかね?要検討です)。

今回は1)に関してのみ考えます。

オーディオ用に出回っているインシュレータの多くは、金属製のスパイクや木または陶磁器でできた比較的堅いブロックです。これらは、柔らかいゴムや樹脂とは異なり、振動の吸収または遮断を主目的としたものとは思えません。特に、このような堅い材質では、振幅の大きな低周波振動を殆ど吸収/遮断する事はできないでしょう。

以前の記事でも紹介しましたが、「逸品館」さんのサイトに掲載されている興味深いコメントを下に再掲します。

インシュレーターに求められるのは「振動を抑制する能力」ではなく「響きを調和させる能力」なのです。響きを抑制するためだけなら、ブチルゴムやソルボセインなどの響きを完全に吸収するゴム系のインシュレーターが最適だということになりますが、振動を殺すだけでは音の生気が殺がれ鬱々としたおもしろみのない音になるというのは前述したとおりです。

つまり、スピーカボックスの振動を適度または積極的に支持体(スタンド、床)に伝達する事によって、そいつらまで振動させてしまおうというのが狙いのようです。また、スピーカボックスの底面をぺったりと支持体に置くよりも、ボックスが自由に振動できるという効果もあるのでしょう。形状や材質によって振動の伝達特性(周波数-伝達率特性)は明確に変わる事から、トッカエヒッカエすると如実に「オンシツ」も変わるため、アクセサリとして人気があるという事だと思います。インシュレータ自体の表面積は小さいため、インシュレータ自体が発する音の影響は小さいと思われます。

そのような振動の伝達を柔らかめの材質で遮断した方が明らかに付帯音が減る(すなわち「音楽再生クオリティ」は向上する)と思われますが、それでは耳に届く付帯的「響き」が減少するため耳寂しく聞こえるので、一般的に敬遠されるようです。この「響かせ好き」傾向は、オーディオを「趣味」とされる人々に典型的に見られる傾向のように思えます。僕にはある種「響き」の中毒症状のように思えなくもありませんが。。。

僕はスピーカをデスクに置いていたのでよくわかるのですが、木製の円錐ブロックをインシュに使うと、デスク板が振動して音が濁るだけでなく、低音振動がもろにデスク板から手に伝わって気色悪く感じました。このため、オーディオテクニカ製の柔らかいインシュを追加して対策していました。これにより音の濁りは改善されましたが、それでも低音部で微妙に振動を手に感じました。現在はスピーカを窓枠にガッチリ固定して、デスクへの直接的振動伝達を完全に遮断する事により、非常に良好な結果を得ています。しかし、この状態ですら、特定の低音で、おそらく機械的な振動伝達ではなく音響波の伝達によって(すなわち空気を媒介とする伝達で)デスク板が時々微妙に振動します。部屋の床と大型サイズ スピーカの関係は、このデスクトップでの現象をスケールアップした状態であると言えます。

余談ですが、円錐スパイクとスパイク受けによる支持方法は、大型の排ガス分析計の脚に使用されていた記憶があります。このような構造による垂直方向および水平方向の振動伝達率の周波数特性をネットで探しているのですが、見つかりません。どの程度の周波数から効果が出るのか興味があるのですが。。インシュメーカにはこのへんのデータを提供して欲しいものです。

インシュレータに関する宣伝文句やレビュー記事には注意が必要です。このようなインシュレータの効果は、専ら主観的「オンシツ」に関わるものであり(クオリティとは無関係なヒトスキズキな現象であり)、周辺条件に大きく依存する現象(すなわち、その時使ったスピーカ、その時使ったスタンド、部屋の床や壁の構造等によって大きく影響される現象)であるからです。そこに書かれている効果と同じ効果が自分の環境でも得られるかどうかの保証は全くありません。

すなわち振動の様相は、インシュレータを挟む両側の物理的状態によって千差万別だという事です。従って、基本的に高価な材質を使った方が音が「良く」なる(自分の好きなオンシツになる)というものではなかろうと思われます。それこそ、コインや木片や布やゴムやビール瓶の王冠やナンヤカンヤ、堅いの柔らかいの三角や四角や、片っ端に組み合わせて試してみれば良いのではないでしょうか(もしプラシボ効果を完全に排除できるならね)。何故ならば、そこに普遍的な理想状態があろうはずもないからです(他方、冒頭で述べたように、「クオリティ」という観点の理想状態は明らかであり、それは完全に振動を遮断する事です)。

以下ではスピーカの設置方法と周囲の振動について、具体的な例を挙げて考えて見たいと思います。

例として、タンノイの古典的大型スピーカ(オートグラフ等の箪笥みたいなやつ)を想定します。これらのスピーカは、箱を積極的に振動させて(鳴かせて)音づくりをしているとされ、一般的にセッティングが非常に微妙だと言われています。つまり、部屋の中の設置場所または設置方法で音が大きく変わるという事です。

これは置き場所によって床や壁の振動形態が大きく変わるためだと考えられます。例えば床ですが、多くの場合、床は全面がべったりと均質に支持されているわけではなく、何本かの支柱で支持された下地床、または、支柱に差し渡した構造材(根太)の上に張られているため、どの位置に振動を入力するかによって、床の振動形態(周波数、振幅)は大きく変化するはずです。

また、壁に近付けるにつれて、床から壁に機械的に伝わる振動だけでなく、振動するボックスの表面と壁の間に形成される空間も音響特性に大きく影響するはずです(ボックス表面から壁に音響振動が効率良く伝達されやすくなる、とにかく面積が大きいので影響も大きい、平行であれば定在波も影響するかもしれない、コーナー型は2面が影響)。

箱がシッカリ制振されたスピーカであれば、音響波は開かれた空間(すなわち部屋の中央)に向けてのみ直接放射されるため幾分ましでしょうが、このように箱全体を積極的に振動させている巨大スピーカを普通の部屋に設置する場合、部屋の影響には特に注意が必要だと考えられます。せっかく精妙に作り込まれた箱なのに、このような部屋では自分の部屋の鳴りを盛大に聞かされる事になりかねません。本当の箱の鳴りを聴こうとするならば、設置場所近くの床の補強と制振および壁の制振を施した上で、床への振動入力を極力遮断するために、振動遮断性の高いインシュレータを使用する必要があるかもしれません。ただ、重量が重量なだけに、十分な振動遮断効果を得るのは簡単ではないかもしれません。出来るならば、床下からスピーカ設置用のコンクリート基礎を床面まで立ち上げたいところです。これにより、僕がスピーカを窓枠にガッチリ固定して、デスクトップから振動的に完全に分離したのと同じ効果が得られます。

部屋が鳴らなくなると「響き」が減って、最初は耳寂しく感じるかもしれませんが、それがそのスピーカ本来の響きだという事です。歴史に残る名機であればこそ、精妙に作り込まれた鳴りを伏して拝聴してみるのも悪くないでしょう。この種のスピーカはある種それ自体が貴重な「作品」であるわけですから、音楽を「作品」として鑑賞するのと同様に、その時代の技術屋と職人の「表現」を素直に鑑賞してみるのも素敵かもしれません。

50年代のイギリスまたはアメリカでそのような超高級スピーカを購入するような顧客層の住環境は、きっと本物の暖炉があって(床には虎の毛皮?)、壁には勲章なんか付けたお髭のエライご先祖様の肖像画の1枚や2枚は掛かっていそうな邸宅ではないかと思われます。我々の現在の標準的住環境からは、広さおよび構造ともにあまりにかけ離れているのではないでしょうか。そのスピーカの本当の音を愛でたいのであれば、相当な対策を覚悟する必要があるかもしれません。むしろ、畳敷き塗り壁の純和風家屋の方が、このようなスピーカの響きに耳を傾けるには向いているのかもしれません。特注サイズの畳インシュレータシートなんかどうでしょうか。畳屋さんのサイドビジネスとして。。。

しかし部屋というのは厄介です。大型SPを狭い部屋でそれなりの音量で使用する場合、音響面(吸音、反射等)だけでなく機械的振動面での対策も重要となるでしょう。その1つの対策として、インシュレータによる振動遮断が重要となるはずです。

次回はシリーズ最終回として「音楽再生クオリティ」と「オンシツ」に関してまとめてみたいと思います。

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以下参考資料です(出典)
マンションの場合
マンションの床の構造には、大きく分けて「直貼り」と「2重床」の2種類があります。

「直貼り」は、建物の構造体である鉄筋コンクリート床スラブの上に、モルタルを塗り、その上に直接、フローリングを貼る方法です。

「2重床」は、文字通り2重になる床です。鉄筋コンクリート床スラブの上に、束という支柱を立てパーティクルボードなどで床下地をつくり、その上にフローリングを施工する方法です。スラブと下地の間は空間ができるので、遮音性や断熱性が向上するといわれています。また、この空間に給水給湯配管や電気配線を通すことができ、配管のメンテナンスも容易になります。

戸建ての場合
戸建住宅のフローリングの張り方は、主に「根太貼り工法」「捨て貼り工法」の2種類があります。

「根太貼り工法」とは、根太の上に接着剤と釘でフローリングを張って仕上げる方法です。

「捨て貼り工法」とは、根太の上に合板などを下貼りし、その上にフローリングを施工する方法です。床の構造を安定させ、床下からの湿気を防止するために施工されます


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2011年11月08日 (火) | Edit |
もうお気づきかと思いますが、僕は音楽再生にまつわる「音質」を「音楽再生クオリティ」と「オンシツ」に分けて考えています。前者については今まで繰り返し説明してきたので、ここでは詳しく述べませんが、簡単に言えば音楽の総合的な再生品質を表します(ソースの信号を時間ドメインおよび周波数ドメイン的にどれだけ正確にリスナーの「耳」に届けられるか)。従って、この指標は客観的に表す事ができる指標です(とはいえ、僕はかなり大ざっぱに捉えていますが。。)。

さて、もう一方の「オンシツ」ですが、これは専ら主観(好みや感覚)に依存します。従って、この場合の「音質」の「質」は「品質」(クオリティ)というよりは「性質」(キャラクタ)の「質」に相当します。「音調」と言って良いかもしれません。数回に分けてこちらの「オンシツ」について考えてみたいと思います。

今回は、アクセサリの代表格である「電線」を例に考えてみます。

さて、電線で音は変わると人は言います。海外のオーディオ雑誌は、日本とは異なり、ジャーナリズムとしての役割を認識しているのでしょう。一時期、高価な電線の効果について海の向こうでも話題なった際に、各所で様々なブラインドテストが実施され、僕の知る限り、有意な差が出たという結果を見た事がありません。それでも多くの人々が絶対に音が「変わる」と言うのですから、実際に変わっているのだろうと、僕は素直に考えています。

僕も一応、FOSTEX製のスピーカ用電線とホームセンタで買った普通の電線を比較したり、信号ラインの電線を2000円のと700円ので比較したりしてみたのですが、つなぎ変えている間に前の状態を忘れてしまうので、違いはよく分かりませんでした。けど一応気分の問題として、そこそこ見栄えの良い電線を使っています(信号ラインにオーディオテクニカ製、スピーカ用にベルデン製)。そこまで微小な音の違いをワザワザ聞き分けようとする執念がソモソモ僕には欠落しているようで、安物の電線でも「音楽」を聞いている時に違和感や不快感を別段覚えません。。。電線をトッカエヒッカエしながら、微細な音の違いが分かるというのは、それはもう見上げた執念だと思います。

ここから本題です。
信号を伝達する電線の理想状態は「無い」状態(すなわち長さが限りなくゼロに近い状態、つまりLもCもRもその他何らかの物理特性もゼロの状態)です。例えば、電線の長さを半分にした場合、確実にLもCもRも半減し、それだけ理想状態に近付きます。これは電線としての信号伝送「クオリティ」が改善された状態であると言えます。ただし、果たして現実的な状況で、その違いを音質として感知できるのかどうかは、また別の問題です。。。

しかし、ともあれ、電線を交換する事によって、それほど多くの人が、そこまで断定的に「変わる」と言える程に明確に音が変わっているとするならば、それは電線によってLなり、Cなり、Rなり何らかのブツリ特性が、それなりの大きさで変化していると考えざるを得ません。そこで疑問となるのが、音が「良く」なるとされる高級な電線ほど、LもCもRも何らかの不純的ブツリ特性も減少して、信号伝送体として理想的状態に近付いているのか(すなわちクオリティが向上しているのか)?という事です。電線の長さを半分にしたら、各種物理特性は確実に半減するのですが、音が凄く良くなりました!という報告を聞いた事がありません(半減というのは決定的変化です)。

ある程度のレベルのオーディオ用電線(例えばプロがスタジオで愛用する電線)のレベルまでは、物理特性もそれなりに向上していると思うのですが、それ以上の超高価格電線というのは、「音」を変えるために、あるいはなんらかの「音調」を付加するために、恣意的に何らかの物理特性を「追加」している(すなわち「クオリティ」を恣意的に落としている)のではないかと僕は考えています。

仮にそうだとして、そのような電線によって「音」が変わった場合、それは「変わった」というだけであって「信号伝達クオリティ」が、すなわち最終的に「信号再生クオリティ」が向上したわけではありません。つまり、それで音が「良く」なったと感じるかかどうかは、全くその人の「好み」の問題だという事になります。これを僕は「オンシツ」と呼びます。

同様の事は、アンプ等で珍重されるコンデンサについても言えます。オーディオの世界で「音が良くなる」と言われるコンデンサの多くは、純粋な電気的特性としては落第品だという事を聞いた事があります。すなわち、コンデンサとしての純粋なCの成分以外に、付帯的な物理特性を多く含んでおり、例えば厳しい精度や特性が要求される精密電子回路での使用には適さないという事です。このようなコンデンサをアンプ回路内で使用するという事は、増幅信号の「クオリティ」を恣意的に落としているという事になります。これも「オンシツ」の範疇の現象であると言え、さらに言えば、半導体アンプに比べて特性が明らかに劣る真空管アンプや動的性能に明らかに劣るビンテージ ドライバが珍重されるのも同様に「オンシツ」の領域です。

人間はある程度雑味があった方が美味しく感じる場合があるというのは確かだと思います。ただ、「音楽」(アーチストさんのやらはった事)を素直に聴こうとする場合、味付けが過剰だと非常に鬱陶しく感じられます。これは肝心の「音楽」の味が分かりにくくなるからだと思います。酷い場合、バッハの無伴奏チェロが僕にはムード歌謡のイントロのように聞こえる事があり、これには堪えられません。カラオケ化現象? まあ、何事もホドホドにという事でしょう。

僕は電線の違いを聞きわける事はできませんが(あるいは敢えて努力して聞き分けようとはしませんが)、スピーカ開発を完全に終結したら、とりあえず安心のためにプロの世界で実績のある電線に交換してみようかなぁ。。と考えています。プロは無駄な事にはビタ一文出しませんが、必要な事には湯水のようにお金をつぎ込みます。そういうプロが使っている電線なら間違いないだろう。。という素人考えですけどね。コチラ(オーディオケーブル市場さん)では、プロ用の電線にコネクタを付けて売ってくれます。プロ用はアホみたいに高価ではありませんし。

これらの「オンシツ」は全く個々人の「好み」に依存するものであり、実は驚いた事に、往々にして「音が変わる」というその事自体が珍重される傾向にあるようにも見受けられます。

この領域は物理特性として表す事ができず(本当はある程度可能なはずだが、その努力は全く払われていない)、効果も極めて主観的であるため、売る側は「音が良くなるんです」と言いたい放題であり(本人が実際そう信じているのだとは思うが、それは全くの彼の「主観」である場合が多い)、価格も「良いから高いんです」となる傾向もなきにしもあらずであるため、ユーザには冷静な判断が求められます。やはり、ジャーナリズムができる範囲で定量的評価なり、ブラインド評価なりを行って、ユーザに正確な情報を提供する事が必要ではないかと思います。市場が健全でない限り、その市場の発展は望めません。

そもそも「オンシツ」は「クオリティ」とは基本的に無関係であり、「上等な」(高価な)素材や構造を使ったから「好きなオンシツになる」というわけでもないため、逆に「とんでもない低級品を使ってみたら「好きな」オンシツになりました」という可能性すらあると考えて良いと思います(逆プラシボ効果を完全に排除できるならね)。それこそ、ブラインドで評価したらクリーニング屋のハンガーの方が10万円の電線より「オンシツが良い」と感じる人が居ても全く不思議ではありません(実際に海外ではそういうブラインドテストが行われたらしい)。

また、ユーザ自身、オーヂオ装置をイヂル場合、今自分がやっている事が「クオリティ」の領域なのか、それとも「オンシツ」の領域なのか、さらに言えば「変わった」または「変わったように感じられる」事を喜んでいるだけなのか、をはっきりと区別して認識する事も重要だと思います。僕の経験では「オンシツ」の領域は楽曲、気分、環境条件、飽き等でフラフラ変動し、深追いするとキリがありません。これを僕は「富士の樹海」と呼びます。結局どれも決定的ではないため、富士山の麓をグルっと回って元に戻る事が多いように思います。そこで止めないと、何周でも同じトコロをグルグル回りだします(正に富士の樹海だね)。目指すべきは高度(=ほんとのクオリティ)を上げる事、すなわち、螺旋を描きながらでも良いから頂上(=理想)を目指して登る事です。頂上の方向を見失わない事が重要です。何事も。。。

僕が最近スピーカ開発の終結を考えているのは、当初漠然と思い描いた目標高度に達したためです。また、これ以上高度を稼ぐ必要性を今のところさして感じないためです。

次回は、電線に並ぶ人気アクセサリであるインシュレータを例に考えてみたいと思います。

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2011年11月05日 (土) | Edit |
ぼくは「音楽再生クオリティ」と「音楽の聴きやすさ」を強調します。要は、ソースの波形をある程度正確に「耳」に届ける事ができれば、「音楽」の内容(アーチストさんがやらはった事、言わはった事)を聞き取りやすくなるという事です。最終目的は「音」ではなく「音」で表現された「音楽」をより良いクオリティでリスナーの「耳」に伝達する事にあります。

オーディオ分野で一般的に言われる狂信的「原音再生」とは下記の点で異なります。

1) あくまでも「耳」に届く(すなわちリスニング位置)での音を基準とし、いたずらに微細なあるいは近視眼的な「音」そのもの(オンシツ)にこだわるよりも、まずは総合的な「音楽」の聞こえ方としての再生クオリティを求める
要は、可聴帯域(少なくとも40Hz~10kHz)の耳に実際に届く音が「概ね」ソースの波形およびスペクトルに一致すれば(すなわち周波数ドメインと時間ドメインで「概ね」正しく再生されていれば) OKチャウ?という事。これがある程度十分に達成されていれば、後の細かいオンシツはお好み次第。例として、好みの「オンシツ」に合わせてスピーカや真空管アンプを選べば良い。

2) 「原音」すなわち楽器から直接発せられた「生」の音を求めず、あくまでも「ソース」に記録された信号の正確な再生を求める
「原音」を求めても詮ないこと。マイクロフォンで電気信号に変換された時点で既に異なり、さらに様々な処理が加えられて最終的な媒体として我々の手元に届くわけですから、そこから「生」の音を求めるのは、幻影を追いかけるのに近い行為となるでしょう(我々にそれを正しく遡る手立てはありません)。というか、Alpairのような良質な最新ドライバを使用してソースを正確に再生すれば「必要十分に」生の音に近い自然な音を聞けるように思います(録音が悪けりゃしようがないけど、それは受け入れて聴くしかない)。輝かしい記憶音をたよりに、苦労して装置をアレコレしても、録音時に使用したマイクも、その後の信号加工プロセスもソースごとに異なるため、結局は富士の樹海を彷徨う事になるでしょう。これは以前の記事でさんざん書いたステレオによる「音場再現」の追究と同じ事です。そんな事に意識と労力を消耗するよりは、媒体そのものを一個の作品ととらえ(実際アーチストさんはそれを自分の作品として承認した上でリリースしている)、ソースに記録されている音楽を素直に受け入れて聴いた方が、せっかくソースに含まれているイチバン美味しいところ(アーチストさんがやらはった事)を楽しめると思います。

僕の求める「音楽再生クオリティ」とは、音楽再生における基本中の基本です。大きかろうが小さかろうが、高価だろうが安価だろうが、少なくとも「音楽再生装置」と称する装置が最低限満たすべき条件であると言えます。例えばアイスクリームの場合、乳脂肪が8%以上ないと「アイスクリーム」と呼べないのと同様に、トータルシステムまたはスピーカシステムにも、業界として一定の「音楽再生用装置」としての基準(例えばX0Hz~X0kHzのレスポンスが±XXdB以内、位相遅れがXX°以内等)を設けても良いのではないかとすら思います。あるいは、いくつかのグレードを設けても良いかもしれません。

この条件を満たすのに、なにもアホみたいに高額/巨大なハイエンド装置を狭いお部屋にブチ込む必要はありません。当ブログで紹介してきた方法を適用すれば、ミニコンポレベルの価格とサイズでも最低限の目標を達成可能です。ケロがその良い例と言えるでしょう。十分な低音クオリティを確保しながら部屋のサイズ/リスニング距離/音量に見合った最適なサイズを選択できるため、部屋の影響を含めた実用状態での総合的な音楽再生クオリティを飛躍的に高める事ができます。装置を身近に置けば、大層なリスニングルームを必要とせずに、極めて高いクオリティで音楽を楽しめます。

やたら感覚的な言句を並べるだけでなく、正確な情報をユーザに提供する事が重要です。この業界ではスペックは重要ではないと声高に言われますが、少なくともスピーカを選ぶ上で基本的スペックは極めて重要です(アンプ等は十分なレベルに達しているので大して重要ではないが)。スピーカ製品の周波数特性グラフと性能値の表記方法を統一し、表記を義務付けるべきでしょう。

業界が発展するには、ユーザに正しい情報と基礎知識を提供する事が重要です。他の業界では、雑誌等がそれに努めているおかげで、一般ユーザの基礎知識のレベルは十分に正しく高いように見受けられます(ジャーナリズムはそれなりに役目を果たしている)。しかしこの業界では、本当に重要な基本的な知識や情報がユーザに行き渡っているのか、極めて疑問に感じます。やたら感覚的な言句でユーザを惑わしていないでしょうか?本懐を忘れ宣伝媒体になってはいないでしょうか? 僕が記憶する限り、昔(30~40年前?中高生の頃)のオーディオ雑誌では、そのあたりも極めて真っ当であったように思うのですが。。。

一般的常識を持つ人間から見て魑魅魍魎が跋扈する魔界のように感じられるようでは発展は望めません。

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2011年04月19日 (火) | Edit |
前の記事の続きです。

ソフトウェアのデジタル信号ジェネレータで各種周波数の正弦波と鋸波を生成してみました。

信号は全てCDと同じ16bit/44.1kHzで生成しています。グラフ中の赤の波形は400Hzで生成したものです。サンプル点数は1周期あたり100点以上ですから、非常にスムースな波形となっています。

734.jpg
上は一般的に人間の可聴帯域の上限とされる20kHzの波形です。サンプリング点は1周期あたり約2点しかありません。一般的なDACでは、このようなサンプリング点からフィルタ処理によって20kHzの「正弦波」を再現する事ができます(あくまでも「正弦波」は)。しかし、この方式では22kHz以上の信号は生成できず、パルス状(正弦波以外の波形)等の再生で劣るようです(スペクトルは22kHzでストンと落ちる、22kHz以下のゲインはフラット)。

これを改善すべく「フルーエンシ型」と呼ばれるDA方式が一部のDACで採用されたりしています。この方式では、サンプリング点を結んだ波形(図の青線)に近い波形がそのまま出力されますが、補間によって22kHz以上の信号成分を生成できるという利点を持つそうです(スペクトルは22kHz以上でもなだらかに減衰する、しかし22kHz以下のゲインはフラットにならず高域側で若干落ちる)。この方式では周波数の高い正弦波はヘンテコリンになるけどパルス等の波形再生に優れるらしい。どちらも一長一短といったトコロかな。

詳しくはコチラを参照されたし。下図はそこからの抜粋。
20kHzの正弦波(左がフルーエンシ型、右が普通の)
image221.jpgimage251.jpg

2kHzの矩形波(左がフルーエンシ型、右が普通の)
image121.jpgimage151.jpg
ドッチの方が音が良いのかなぁ。。。?

733.jpg
上は9.1188kHzの波形です。20kHzの波形を96kHzで生成(サンプリング)した波形に相当します。サンプリング点は1周期あたり約5点。可聴帯域の上限でこれくらいサンプリングしてくれると安心だね。フルーエンシ型で再生しても心理的にOK?。。。

732.jpg
上は6.666kHzの波形です。20kHzの波形を132.3kHz(44.1kHzの3倍)で生成(サンプリング)した波形に相当します。

731.jpg
上は4kHzの波形です。20kHzの波形を220.5kHz(44.1kHzの5倍)で生成(サンプリング)した波形に相当します。可聴帯域上限でここまでは要らないでしょう。

人間の可聴帯域の上限が一般に20kHzだから、その約2倍の44.1kHz(理論的限界周波数22kHz)でサンプリングすれば十分だろうというのは、かなり際どい判断であるように感じます。普通の技術屋的センスからすると、これはあまりにもギリギリ過ぎる。通常少なくとも1.5倍の60Hzできれば2倍の80Hzは確保したいとマズは考えるはずです。CDの規格を定める際にサイズ、再生時間(ベト9を基準にしたとか)、コスト、技術的問題等の制約の中で本当にギリギリの選択だったと言えるのではないでしょうか。普通に音楽を聴くには十分だとしても、諸条件が許すならもう少し余裕を持たせたかったというのが本音ではないかな。もし2倍の88kHzなり96kHzなりでリリースされていたら、音質面やDA方式で議論が持ち上がる事もそれほど無かったのではないでしょうか。

とは言えこれだけ世の中に受け入れられ普及したという事は、総合的判断として間違いなく正しかったと言わざるを得ません。技術とはそういうものです。重要なのは「音質」だけではないという事です。当時の技術レベルにおけるコスト、サイズ、音質のトレードオフを鑑みた総合的な判断として妥当であったと言えるのではないでしょうか。そのCDの時代も終焉を迎えつつあるようですが、今後主流の規格はどのようになるのでしょうかね。

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2009年04月19日 (日) | Edit |
という事でセッティングも全て終了して毎日Alpair5で音楽を楽しんでいます。

「F80AMGと比較して音質はどうか?」ですがヒトコトで言って

次元が違います

まあお値段的にも結構違いますが。。。
Alpair5ペアがLinfof工房で14,175円
F80AMGペアがコイズミ無線で7,680円

ちょっと値が張るように見えますが、たった7,000円差でこの音質差が得られると考えると妙にお得にも感じられます。

193.jpg
音質には関係ないのですがオマケ情報
TSパラメータで見ると両者の振動板面積は異なる(F80の方が大きい)のですが、
コーンの直径だけを測定するとほとんど同じです(約54mm)。
エッジのどの部分までを有効面積として考えるかはメーカーによって異なるようです。


F80AMG
Alpair5を聴いた後にF80AMGを聴くと全体的に鈍く重たく感じます。角がとれたマイルドな音とも言えるかもしれませんが、やはりダンピングが効き過ぎているように感じられます。以前から音にもう少し艶が欲しいなと思っていましたし、ダンピングを弱めるために例の尻尾を付けたりもしました。ただ、低域から高域にわたって全体的に構造のしっかりとした音を出してくれるという点が何よりも気に入って使用していました。
例えば同じ曲を聴いてもF80AMGは反響の少ないデッドなホールで録音したように聞こえますし、マイルスのミュートトランペットの音もチョークが効き過ぎている(なんか脱脂綿をトランペットに詰めた)ような感じを受けます。

Alpair5
一方のAlpair5は中高域は言うまでもなく、低域(ブースとした時の100Hz以下)も含めて非常に明瞭で輪郭のはっきりした、しかもF80と同様に全域にわたって構造のしっかりとした音を聴かせてくれます。明るすぎたり軽すぎたりする事も決してありません。当初はもっとツイーター的な性格を予測していたのですが、極端なブーストを行っても50Hzまで破綻する事なくソリッドな低音が得られます。F80AMGも低音の「頑丈さ」では他の8cmユニットに比べて優れていると思うのですが、それに負けない重みのある、しかもより明瞭でスピード感のある低音を聴かせてくれます。中高域の素晴らしさは定評通りですので僕が敢えて繰り返す必要はありませんね。特にオーケストラの弦楽器の高音パートの響きが美しく感じられます。今まで試した8cmユニットとははっきりと一線を画すといって良いかもしれません。

しかしAlpair5で最も気に入っている点は「音楽を聴くのがより楽しくなる」と言う事です。細かい事は置いといてそれがイチバン重要な事だと思います。

ちなみに上記は全て音場補正で特性をフラットにした上で比較しています。周波数特性が全く同じでも聞こえてくる音ははっきりと異なります。

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