FC2ブログ
2013年01月21日 (月) | Edit |
前の記事では、ボード線図で考えると密閉型の場合 f0 より低い周波数での遅れは90° 以下になるはずなのに、実測では40Hzで180°近くも遅れていると書きました。今回はこの遅れの要因について考えてみます。

とりあえず、20Hzから640Hzまでパルス入り正弦波の音響出力を観測してみました。アンプはIconAMP、スピカはA10です。
A10遅れ
周波数は20, 40, 80, 160, 320, 640Hzです。例によって周波数が高くなるにつれて「位相」は遅れます(時間的には低音の方が遅れます)。
20Hzで丁度90°遅れていますね。20Hzを基準とした場合、高周波の遅れは-270°弱に漸近しそうです。理論的には-180°に漸近するはずですが、これはスピーカのインピーダンスの変化(高周波で増加する傾向)、アンプおよびDACの位相変化(高周波で遅れる傾向)によるものかもしれません。

下は典型的な密閉型のシミュレーションです。
Simu10.jpg
以前の記事のボード線図で考えると、20Hzでほぼ遅れナシ(グラフのスケールでは+90°)です。

では実測の90°分の遅れは何に起因するのでしょうか?

スピーカでは、コイルに電流が流れる事によって駆動力が発生します。原理的に、この電流はコイルに印加される電圧に対して90°遅れます(電圧を時間積分した電流が流れる)。アンプが入力信号に比例した電圧を遅れなく出力するよう動作するならば、コイルに流れる電流は入力信号に対して90°遅れるかもしれません。しかし、アンプが入力信号に比例した「電流」を遅れなく供給するよう作動するならば、この遅れは生じないかもしれません。

確か、普通のオーディオアンプは前者の動作ですよね(電圧駆動っていうんでしたっけ?)。。。後者は「電流駆動型」と呼ばれており、コッチの方がエーンチャウ?と一部で言われているヤツですよね? 違っていたら、どなたかご教示くださいませ。

もし、上の原理(電圧駆動)によって電流が90°遅れるとするならば、この遅れは原理的に周波数に関係なく一定です(でも、時間に換算すれば低周波ほど遅れます(40Hzの90°の時間は4kHzの90°の時間の100倍長い))。ところが。。ところがですよ。。。ダイナミック型マイクロフォンはダイナミック型スピーカの逆の変換をやっているので、「原音」対「再生音」で考えるならば、この90°は相殺されるかもしれません。つまり、マイクは原音→電流→電圧に変換するので、記録された信号の位相は原音に対して90°進んでおり、スピーカはそのように記録された信号を電圧→電流→再生音に変換するので、再生音の位相は信号に対して90°遅れます。なので結局、原音と再生音で比較すれば位相差は生じない。。という事になるはず。。。アーヤヤコシイ。あれ??でも。。コンデンサ型マイクロフォンを使った場合はどうなのでしょうか???アレレ??もし上の逆変換という考え方が正しいとすれば「電流駆動」のアンプって原音に忠実と言えるんだっけ??と、イロイロ疑問点が出てきます。

という事で、当ブログの新年の挨拶で書いたように、マイクロフォンからスピーカに到るシステム全体のメカニズムについて、今年はよーーーく考えてみようかなと思っています。もう実用というよりは単なる知的興味だけですけどね。

この後に予定している実測とシミュレーションの検証では、とりあえず90°を差し引いて位相を比較しても良いかもしれません。あるいは密閉型の20Hzを基準(遅れナシ)としても良いでしょう。絶対的な遅れ時間を知りたいが故に始めた検討ですが、位相を絶対的に評価するというのはホントに困難ですね。なので一般的に位相は相対的に評価するものだと考えられています。しかし、本当にそれで良いのか今のところ僕には納得できていません。真に絶対的な評価をしようとすると、マイクロフォン(つまり原音)まで遡る必要がありそうです。まぁ、そのへんは今年中に気長にやってみましょう。もう実用的な意味はありません。あくまでも知的趣味として。。

他にも色々分からない事があります。例えば、以前の記事で、音圧波形は振動板の変位波形の微分(つまり速度波形)に対応すると書きました。これはスピーカの非常に近くで観測する場合には正しいのですが、マイクをスピーカから離して行くと、音圧波形は振動板の加速度波形(速度の微分)に近付きます。このような現象も、観測される波形の位相に影響すると思われます。

Xmaxを超えて歪んだ音圧波形(A6、40Hz)
hakei.jpg
緑がスピーカの5cm前方、赤がリスニング位置のやや後方(70~80cmくらい)で観測。相互の位相や振幅はデタラメです。FFTによる高調波成分の値は殆ど変化しません。

シミュレーション結果
hakei simu
青が振幅、緑が速度、赤が加速度。相互の位相関係は正しいです。振幅は適当に揃えています。上の実測波形とよく一致していますね。このように、スピーカから常識的な距離をとると、音圧波形は振動板の加速度波形に対応します。そして加速度波形は電流波形に対応します。つまり、音圧波形は電流波形に対応します。電流波形は電圧波形から90°遅れています。なので音圧波形は信号波形から90°遅れます。という事ですかね。。。アアヤヤコシー。

位相を計測する時はマイクを近付け過ぎず、一定距離を保つべきであると言えるでしょう。

いやぁ、音響ってホンットニ、ヤヤコシイですね。気が狂いそう。。。

お役に立てたらクリックしてください。ランキングに参加してます にほんブログ村ランキング参加中
関連記事
スポンサーサイト
テーマ:オーディオ
ジャンル:趣味・実用