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2013年07月14日 (日) | Edit |
今回はパッシブネットワークのバンドパス フィルタの位相特性を実験君で確かめてみました。

前回の記事で、ハイパスフィルタは「入力に対して反転した上でカットオフ点で90°遅れるらしい」という事を書きました。ではバンドパスにした場合、ローパスフィルタの位相はどうなるのでしょうか???

という事で早速実験君です。
今回も意外な事が分かりましたよ。

下がバンドパス フィルタの回路図です。
Filterjpg.jpg
- HPFは12mH/300μF、計算カットオフは83Hzです。
- LPFは3mH/100μF、計算カットオフは290Hzです。

下は周波数特性です。
F特 copy
- FrieveAudioでフィルタなしのF特をフラットにした状態にフィルタを適用しました。
- 赤がアナログ パッシブフィルタ青がFrieveAudioで設定した等価のデジタルフィルタです。
- 実際のカットオフは60Hz/300Hzあたりでしょうか。

いつものようにスピーカ出力の正弦波応答です。
60Hz (概ねHPFのカットオフ)
波形60
- グレーが信号、青がフィルタなし緑がフィルタあり(逆相)です。
- 正相波形は暗い赤でプロットしています。
- 前回の記事通り、フィルタありはフィルタなしに対して反転して約90°分時間的に遅れています(反転しないと出力の位相が入力よりも進む)。

ではローパス挙動はどうなのでしょうか?
290Hz (概ねLPFのカットオフ)
波形290
- グレーが信号、青がフィルタなし赤がフィルタあり(正相)です。
- フィルタありはフィルタなしに対して反転せずに約90°分時間的に遅れています。
- これは意外な結果です。僕はLPFも反転したママHPFの180°+LPFの90° = 270°分時間的に遅れると予測していました。
- という事で、以前の3WAYフィルタに関する記事はまたまたスットコドッコイな大間違いでした! スミマセン。

ぢゃぁ、中間の周波数ではどうなんでしょうか???
160Hz (概ねHPFとLPFのカットオフの中間)
波形160
- グレーが信号、青がフィルタなし赤がフィルタなし(正相)です。
- フィルタありはフィルタなしとピッタリ重なります。
- HPFとLPFの中間ではフィルタの影響は生じないという事でしょうか。
- じぇじぇじぇ。。。ですね。なんだか良くワカリマセン。

次に春の祭典の波形で確認してみました。
60、160、290Hzを中心とする非常に急峻で非常に帯域幅の狭いバンドパスフィルタをFrieveAudioで設定しました。
60Hz (概ねHPFのカットオフ)
春 63
- グレーが信号、青がフィルタなし緑がフィルタあり(逆相)です。
- フィルタありはフィルタなしに対して反転した上で約90°分時間的に遅れます(反転しないと、出力の位相が信号よりも進んでしまうし、波形の対応も取れない)。

160Hz (概ねHPFとLPFのカットオフの中間)
春160
- グレーが信号、青がフィルタなし赤がフィルタあり(正相)です。
- 正弦波での結果と同様、フィルタの影響は消えて無くなったかのように見えます。

290Hz (概ねLPFのカットオフ)
春290
- グレーが信号、青がフィルタなし赤がフィルタあり(正相)です。
- フィルタありはフィルタなしに対して反転せずに約90°分時間的に遅れています。

さらに、FrieveAudioの急峻なバンドパスを外して全域の信号を入力しました。
FrieveAudioの周波数特性の補正だけONにしています。
アナログ パッシブ フィルタ
春 バンド フィルタアリ正相
春 バンド フィルタアリ逆相
- グレーが信号、赤が正相スピカ出力緑が逆相スピカ出力です。
- 正相も逆相も信号波形との対応はヨックワッカリません。
- 低い周波数(大きなウネリ)には逆相、高い周波数(細かい波)には正相の方が対応しているように見えなくもアリマセンが。
- このように様々な周波数成分を含み過渡現象の嵐である実際の音楽信号をアナログフィルタに通すと、出力波形は時間ドメイン的に大きく崩れ(歪み)ます。

FrieveAudioデジタル フィルタ
春バンド フィルタ無し
- 上のF特図の青のフィルタです(FrieveAudioで設定したアナログ パッシブ フィルタと等価のデジタル バンドパス フィルタ)。
- グレーが信号、青がスピカ出力(正相)です。
- 信号と出力の対応は明確になりました。
- これはアナログ ネットワークを持たない密閉型フルレンジSPの良いトコロです。やはりアナログネットワークによるマルチウェイ方式では絶対に得られない自然さというのがありますよね。
- この密閉型フルレンジを核とし、その足りないトコロ(主に低音)をデジタル方式で補おうというのがLEANAUDIOの基本的アプローチです。ソーチのオトや付帯的オト現象のナンチャラカンではなく「音楽」の聞こえ方の自然さ(聴きやすさ)を求めれば、自然とそこに行き着くでしょう。
- しかし、密閉型フルレンジと言えどもドライバ自体の位相回転(最大で180°)が生じるため、波形の細かいところは信号に対応していないように見えますね。

FrieveAudioの位相補正をONにしました。
春バンド Frieve
- グレーが信号、ピンクが位相補正ONのスピカ出力です。
- マイク手持ちのエーカゲンな計測ですが、スピカ出力は信号に非常によく対応しています。
- いつもの事ながらFrieveAudioのDSPはさっすが!ですね。
- でも僕はこの補正の効果を明確に感じる事はできません。

今回の結果は以上です。
バスレフと同様、アナログフィルタも、使わずに済むなら使いたくないですね(特に低い周波数では使いたくない)。デンセンやデンゲンやヂッタの影響に比べれば、それはもうアンタ遙かに巨大な「音楽再生上の問題」ですよ。オッキクテジューヨーなモンダイから潰さないと。。何事も。ホンマニ。。。

しかし、HPFの挙動に完全に納得できていません。なんかまだ気色悪い。追加実験するかな? スミマセン。。。

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2013年07月11日 (木) | Edit |
相変わらず「位相」です。スミマセン。
お付き合いくださいませ。

今回は正弦波信号とスピカ音響出力でアナログフィルタの挙動を確認します。

まずはDACの出力電圧信号です。

下はFrieveAudioで-3dB@290Hz(12dB/Oct)のHPFとLPFを設定した場合のDAC出力波形です。
290Hz Frieve
- 信号周波数は290Hz(カットオフ周波数)です。
- 青がHPF赤がLPF、グレーがフィルタなし信号です。
- HPFもLPFも極性を反転せずにそのままの波形をプロットしています。
- オシロで見る限りHPFもLPFも位相は全く回転していません。これがデジタルフィルタです。

下はDACチャンデバでの結果です。このDACチャンデバの挙動はアナログフィルタに等価です。
290Hz DAC
- HPFもLPFもカットオフ(-3dB点)が概ね290Hzになるよう、シミュレーションを参考にしてDACチャンデバのクロス周波数(-6dB)を調整しています(HPFは225Hz、LPFは400Hz)。あまり正確な調整ではアリマセンので、その点を理解の上でデータをご覧ください。
- 信号周波数は290Hz(カットオフ周波数)です。
- 青がHPF赤がLPF、グレーがフィルタなし信号です。
- HPF出力(青)は極性を反転して表示しています。
- HPFもLPFも、出力は信号に対してほぼ90°遅れています。これはフィルタの理論に一致します。

次にスピカ出力波形です。
Alpair6 MのLchをウーハ、Rchをツイータとして使用し、L/Rの中央に置いたマイクで収録した波形です。フィルタの設定は上記と全く同じです。

まずはFrieveAudioデジタル チャンデバ
290Hz スピカ Frieve
- ツイータもウーハも波形を反転せずにそのままプロットしています。
- ウーハもツイータも信号に対して90°強遅れています。
- これは密閉型の位相回転によるものです(ドライバの共振周波数(100Hz)よりも周波数が高いため、90°より多めに回転する)。
- 従って、デジタルチャンデバではツイータを逆相接続する必要はありません。

次はDACアナログ チャンデバ
290Hz スピカ DAC
- ツイータの波形(青)は極性を反転しています。
- ツイータもウーハも位相は270°弱(180°強)回転しています。
- これは密閉型(90°強)+フィルタ(90°)に概ね一致します。
- アナログ二次フィルタの場合、ツイータを逆相にして-3dBでクロスすると、ウーハとツイータの位相と遅れ時間は両方とも一致します。

DAC出力波形の過渡部を拡大してみました。
Analog Digital HPF
- 左がLPFです(赤がFrieve黄がDAC)
- 右はHPFです(青がFrieve緑がDAC反転)
- 過渡部の波形を見ると、アナログフィルタ出力がデジタルフィルタ出力に対して綺麗に遅れている事がよく分かります。
- やはりアナログHPFの出力波形は反転して見るのが正解ですね。どう考えても。
- デジタルフィルタの出力挙動は入力信号の事象よりも先行しているように見えますね。これは移動平均のような処理によって信号を先読みするからだと思われます(信号をある程度先まで読んでから現在の出力値を計算して決める。従って実際には出力事象は入力事象(データの読み出し)に対して常に一定時間遅れている)。
- アナログフィルタでは信号が動き出してから応答が始まる(出力の事象は入力の事象よりも絶対に進めない)ため時間的遅れが生じます。その結果として位相の回転が生じます。

という事で、アナログ二次HPF出力は入力信号に対して反転した上でカットオフ点で90°遅れると考えてまず間違いないでしょう。

なお、二次フィルタでは全部で180°(fcで90°)遅れますが、三次フィルタでは270°(fcで135°)遅れます。高次フィルタほど位相はグルグル回るという事です。FrieveAudioでは断崖絶壁のようなフィルタを設定しても、オシロで観測可能は位相回転は発生しません(「FrieveAudio直線位相FIRフィルタの実力」参照)。

次回のテーマは3Wayのミッド(バンドパス: HPF+LPF)の場合ドーナルノ?です。またまた「位相」です。スミマセン。

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2013年07月06日 (土) | Edit |
今回は、パッシブネットワークを使ってサブウーハをアドオン(メイン側にHPFを使わないで接続)する場合の接続極性と遅れについて調べてみました。

スピーカはメイン側にAlpair6M+2.5L密閉(ZAP)、サブウーハ側にAlpair6M+8L密閉/バスレフ(TONO)を使いました。
LPFは22mH+400μF (fc=約70Hz、-12dB/Oct)のパッシブネットワークです。バスレフポート稼働領域(50弱~約100Hz)下限でのクロスオーバとなります。

まずはF特です。
赤が正相接続のトータル、黒が逆相接続のトータル、青がメインの密閉型緑がサブウーハです。

密閉型サブウーハのアドオン
F特 密閉 アドオン 

バスレフ型サブウーハのアドオン
F特 バスレフ アドオン 
- 150Hzあたりの段差は部屋の影響です。
- どちらも逆相で綺麗に繋がります。
- どちらも実質的なクロスオーバーは95Hzあたりです。
- どちらも正相接続ではクロス周波数で急峻なディップが発生します。
- バスレフの場合、逆相接続で綺麗に繫がりますが、位相が大きく回転するため70Hz以下ではメインスピカと逆相になって出力が低下しています。
- バスレフ単体だと60Hzから出力は低下するのですが、フィルタを接続すると出力が50Hz以下までフラットに延びています。

次に、いつものシミュレーションです。
- 例によって入力の位相を黄色の水平線で示しています。これが位相遅れゼロの基準です。
- 位相曲線の60Hzと100Hzに緑のをプロットしています。
密閉型メイン
SIMU 密閉
- 100Hzの位相は約-90°

密閉型サブウーハ
SIMU 密閉サブ
- 100Hzの位相は約-270°(スピカの180°+フィルタの90°)です。
- 100Hzにおいてメイン(-90°)とは180°差(つまり逆相)になります。
- 60Hzの位相は-180°弱。

バスレフ型サブウーハ
SIMUバスレフサブ
- 位相は激しく回転し、100Hzで-450°(スピカの360°+フィルタの90°)にもなります。
- 100Hzにおいてメイン(-90°)とは360°差(つまり同相)ですが、バスレフの応答は反転しているため、結局メインとは逆相になります。アーヤヤコシー。
- 60Hzの位相は約-270°です。
- シミュレーションでも出力は低周波側へ延びていますね。そーゆものなのね?

100Hzのメインとサブウーハの波形を重ね合わせました。正相接続の状態です。
上が密閉、下がバスレフ
アドオンクロス波形 密閉 
アドオンクロス波形 バスレフ
- 正相接続ではどちらもメインスピーカとは完全な逆相になっています。これでは急峻なギャップが発生するのが当然ですね。

いつものように、信号に対する出力の位相(タイムドメイン的位相)を調べてみました。
 バスレフの応答遅れを見るには波形を上下反転する必要があります。
上が密閉、下がバスレフ
100Hz
アドオン100密閉波形
アドオン100バスレフ波形
- 密閉は信号に対して270°(信号に対して7.5ms、メインスピカに対して5ms)弱の遅れです。
- バスレフは信号に対して450°(信号に対して12.5ms、メインに対して10ms)弱の遅れです。
- 上のシミュレーションとよく一致していると言えるでしょう。

60Hz
アドオン60密閉波形
アドオン60バスレフ波形
- 密閉は信号に対してほぼ180°(信号に対して8ms)の遅れです。
- バスレフは信号に対してほぼ270°(信号に対して12.5ms)の遅れです。
- これもシミュレーションとよく一致しています。

下は、位相と時間の遅れをプロットしたグラフです。
赤がバスレフサブ青が密閉サブ緑が密閉メインです。
アドオン位相遅れ アドオン時間遅れ
フィルタなしのバスレフは密閉アドオンと等価です。

100Hz以下のカットオフを持つアナログLPFを使ってサブウーハをアドオンすると、低音が信号に対して時間的に大きく遅れるだけでなく、クロス点においてメインスピーカからも遅れます(クロス点におけるタイムアラインメントは出鱈目)。
- 共鳴60Hzのバスレフの場合(フィルタなし60Hzで入力に対し約8ms遅れる)、フィルタを付加すると12.5ms(4.25m)まで遅れています。 共鳴周波数の低い大型バスレフは、周波数に反比例してもっと遅れます。
- 密閉型のアドオンでは約8ms(2.7m)遅れます。これはフィルタなしの60Hzバスレフと同等です。フィルタなしの密閉(デジタルフィルタを使った密閉型サブウーハ)だと遅れは4ms(1.35m)弱です。
- アドオン方式の場合、100Hzのクロス点において、メインスピカ(密閉型)に対してバスレフ型サブウーハで約10ms(3.4m)、密閉型サブウーハで約5ms(1.7m)遅れます。つまりクロス点におけるタイムアラインメントは全く出鱈目です。

大型メインシステムに共鳴周波数の低い大型バスレフ サブウーハを極端にカットオフの低いアナログLPFを使ってアドオンする場合、その時間的遅れは想像を絶します。またメイン側にもバスレフ型を使う場合、急激に変化するお互いの位相がどのように干渉し合うのか、これもまた想像を絶します。このような構成は、「デカイ重低音が出れば良い」というシアタ向けには使えるかもしれませんが、繊細な音楽再生用には到底適さないでしょう。

このように遅れの大きなアナログ式サブウーハをアドオンする場合、リスナのすぐ近くに設置した方が良好な結果が得られるかも知れません。さもなくばアドオン式には、位相回転が殆ど(というか全く)生じないFrieveAudioのような高性能デジタルフィルタが必須であると言えるでしょう。

今回はパッシブネットワーク(アンプの後で分割)を使いましたが、アクティブ方式(アンプの前で分割)でもアナログフィルタを使う限り遅れの様相は殆ど同じです。次回は、サウンドブラスタDACのチャンデバ(多分アナログ式)を使ったアクティブ クロスオーバ方式について調べてみます。オッタノシミニ!

結局「位相」の話は続きますね。。。スミマセン。

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2013年06月29日 (土) | Edit |
今回はポート音だけを分離して波形を観測しました。

実験君セットアップです。
_1000332_20130629082108.jpg
TONO君をZAP君の隣に置き、ZAP君にはTONO君とは逆相の信号を入力します。すると2つの振動板からは互いに逆相の音が発生し、両者から等距離のマイクロフォン位置では2つの音が互いに打ち消し合あうため、ポートからの音だけをマイクでピックアップできるはずです。これはヘッドフォン等のノイズキャンセレーション機能と同じ原理です。

そんなにウマイ事行くんでしょうか?
それがウマイ事行くんですよ。
F特ポート copy
緑はこの方法で計測したポート音のF特です。黒はポート直前に置いたマイクで計測した特性です。よく一致していますね。

下はそのようにして計測した60Hz(概ねヘルムホルツ共振周波数)の波形です。
説明1
ピンクはTONOポート塞ぎ(振動板音のみ) + ZAP密閉(逆相の振動板音)の合成音波形です。TONOのポートは塞いだ状態ですから、振動板の音どうしが見事に打ち消し合って合成音の振幅は非常に微小です。作戦大成功!ってヤツですね。

はTONOバスレフ状態(振動板音+ポート音) + ZAP密閉(逆相振動板)の合成音波形です。振動板からの音は打ち消し合うので、マイクはほぼポートの音だけを拾っているはずです。

はTONOポート塞ぎ(密閉)、はTONOバスレフの音です。これらは逆相ZAPを使わずに計測した通常のTONO密閉型とTONOバスレフ型の波形です。

赤(バスレフ)の音は、青(振動板)緑(ポート)の音が合成された音である事が分かります。

信号波形(白)に対してポート音(緑)の位相が進んでいるように見えます。しかし、入力に対して出力の事象が時間的に進む事は有り得ません。実は、このポート波形の山(+)は、信号の1つ前の谷(-)に対する反転かつ遅延した応答です。
説明2
振動板音(青)の山は信号の山(白)から約45°遅れており、ポート音(緑)の山は1つ前の信号の谷(反転した山を紫で表示)から約135°遅れています。波形の位相は進んでいるかのように見えますが、入力の事象に対する出力の応答事象は遅れて発生します。アーヤヤコシイ。。

これは、正弦波信号が突然始まる際の過渡挙動を見るとよく分かります。
1発目の正弦波の山に対する応答波形だけを抜き出してみました。
1発
信号に「山」が突然発生すると、先に振動板(青)から音波の「山」が発生し、かなり遅れてポート(緑)から音波の「谷」が発生しています。バスレフ型では、我々はその合成音を聞かされているという事です。

このようにバスレフ型システムは遅れ(位相)も極性も異なる2つの音の合成音を発生するため、過渡挙動は非常に複雑となります。定常正弦波信号はとても綺麗に再生できても、過渡信号の再生波形は大きく崩れます。時間ドメイン的にはかなり出鱈目だという事です。そして、再三申しているように、音楽信号は一時たりとも留まらぬ激しい過渡現象の嵐です。

次回は、他の周波数での挙動を調べてみます。

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2013年06月27日 (木) | Edit |
バスレフ型の挙動は非常に複雑であり、未だによく分からない事があります。という事で、これから何回かに分けてバスレフ型の謎に迫ってみたいと思います。

あ、結局、「位相」のお話しですね。スミマセン。。。。

今回は基本となるデータだけを掲載しておきます。

実験君に使うバスレフ型の実測特性です。
F特 copy
いつものAlpair6M + TONO箱(約8L)
青が穴を塞いだ密閉状態、赤がバスレフ状態、緑がポート出口の音、ピンクが振動板直前(3cmくらい)の音です。ポート音のピークは約60Hzです。バスレフの効果は40~200Hzの領域に現れています。たまたまですが、今回の波形観測も40~200Hzで行いました。

いつものシミュレーション
密閉
F特 copy
インピダンスピークは約80Hz

F特 copy
共鳴は約60Hz、インピダンスピークは約40Hzと90Hz

下は、40~200Hzの正弦波信号を突然入力した時のスピーカ音響出力の応答波形です。拡大してご覧ください。
密閉型
密閉カラー
バスレフ型
バスレフ 非反転カラー
全ての波形の周期と振幅を揃えて表示しています。振幅は波形が十分に安定した定常部で合わせ込みました。
白:ソース波形、水色: 40Hz青: 50Hzピンク:63Hz赤: 80Hzオレンジ: 100Hz黄: 160Hz緑: 200Hz
こんなに丁寧に波形を並べてみたのは始めてですが、なんかもう、これを見ただけでバスレフって嫌だナァ。と思ってしまいます。

過渡部の波形を拡大しました。
密閉
密閉生波形 振幅揃え カラー 過渡
バスレフ
バスレフ生波形 振幅揃え カラー 過渡
バスレフの過渡挙動はとってもバラエティに富みます。特に共振点の60Hz(ピンク)の振幅の立ち上がり挙動が鈍い事が分かります。また、40Hzの実際の音圧振幅は微小ですが、音圧振幅が同等の密閉型に比べて大きく乱れています。

定常部の波形を拡大しました。
密閉
密閉カラー1 サイクル
理論的には、共振点で位相は90°遅れるはずですが、80Hz(赤)の波形はやはり90°弱遅れています。
40~200Hzのトータル位相回転量は90°強です。

バスレフ
バスレフ 非反転カラー 1サイクル
40~200Hzのトータル位相回転量は密閉型の2倍を軽く超えているようです。
バスレフの40、50、60Hzの波形は信号より進んでいるように見えますが、これはポートからの音の極性(±)が反転しているためです。このまま波形から読み取った位相はシミュレーションとゼンゼン一致しません。

下は上下を反転した波形です。
バスレフ 全反転カラー 1サイクル
反転した波形から位相をざっと読み取ると、最初のインピダンスピークに近い40Hz(水色)が90°弱の遅れ、共鳴点の60Hz(ピンク)の波形は180°弱の遅れ、2番目の共振に近い100Hz(オレンジ)の波形は270°弱遅れており、シミュレーションにほぼ近い結果が得られます。

やっぱりシミュレーションと同じヤン。。。とは片付きません。バスレフ君はなかなか難儀なヤツなんです。次回からその秘密に迫りたいと思います。

なお、前記事のバスレフ型に関する考え方に誤りがある可能性があるため非公開にしました。バスレフ型の挙動が明らかになってから訂正版を公開する予定です。

では、次回以降もオッタノシミニ!

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2013年06月22日 (土) | Edit |
しつこいですが、ちょっと補足しておきます。

位相というやつはホントニ、ヤヤコシイです。

だいたい位相、位相と申しますが、位相はあくまでも計算しやすくするために便宜上使うパラメータであって、最終的には時間を基準に考える必要があります。フィルタは一種の時間遅延回路として働き、出力が入力に対して時間的に進む事はありません。でないとタイムマシンになってしまいます。そして位相回転とは、この遅れ時間を、便宜上、信号周波数の周期に置き換えた値に過ぎません。この定義による位相は、入力に対して絶対に進む事はアリマセン。だって、時間が進めないわけですからね。。。音響出力のタイミング(従って位相)は入力信号に対して絶対に進まないという事です。

位相が「進む」というのは、入力の位相から遅れた任意の状態を基準にして、それに対して「相対的に」進むと言っているに過ぎません。音響の世界では、位相は相対的なものであるかのように扱いますが、これが認識をややこしくしているように僕には思えます。

下はネットで拾ったフィルタの解説です(出展はこちら)。
位相説明
解説には「正弦波形を入力しはじめた直後には、過渡的な応答がありますが、やがて定常状態になり、出力も正弦波形 になります。」とありますね。そして、出力が正弦波形になるまでの時間(図ではΦ)が、フィルタの遅れ時間(位相)です。

無信号状態から正弦波がいきなり始まる現象は、まごう事なき過渡現象であり、高周波成分を多く含むわけですが、フィルタであれバスレフであれ共振要素の出力は、各種の要因により過渡期間にヘンテコリンな現象を生じます。これらのヘンテコリン君達の一部は、理想的にはあってはならない一種のノイズであると言えるかも知れません。

ローパスフィルタの場合、無信号状態から正弦波信号が始まると、最初に信号とは逆向きの小さな山が現れます。これは「位相が進んだ」フィルタ応答などでは決してアリマセン。これは主にローパスフィルタによって高周波のゲインが減衰する事に起因すると考えられるフィルタの正常な過渡挙動です(正常なヘンテコリン君)。正弦波がいきなり始まる場合、そこで正弦波周波数以外の高い周波数成分が発生しますが、ローパスフィルタは高い周波数を通さないため、応答波形にはヘンテコリン君が現れるという事です。ですから、入力に対するローパスフィルタ出力の遅れ時間なり位相なりを評価する際に、このような過渡領域の波形を云々する事に意味はアリマセン。

その事をステップ応答でお見せします。
ローパスフィルタを通した音響波形です。
ステップ1
赤がアナログフィルタ(22mH、400μF)、青がほぼ同じ特性のデジタルフィルタ(Fc=70Hz、-12dB/Oct)です。
アナログ(赤)では例によって初期に信号と逆の波が出ています。過渡正弦波応答でも最初にこの逆相の波が出ますが、これは位相が進んだフィルタ応答などでは全くアリマセン。デジタル(青)では信号が立ち下がる前に既に尖った山が出ていますが、これはデジタルフィルタが移動平均処理を行うためです。アナログの最初の波は、デジタルのこの波が遅れて出ているように見えます。

このような山が出る1つの原因は、ローパスフィルタによって高周波成分がカットされている事にあります。
FrieveAudioで-12dB/Oct/70Hzのハイパスフィルタを設定し、高周波成分も追加してみました。要は高音まで出力できる2Wayスピーカにしたという事です(Lチャンネルにローパス、Rチャンネルにハイパスを設定し、中央で合成波を観測)。

まずデジタルフィルタの場合
ステップ2
最初の山がフラットになり急峻なパルスに変わりました。DC成分を出力できないスピカは、矩形波に対して理想的にはパルスしか発生しません。

次にアナログフィルタの場合
ステップ3
高周波振動が激しかったため500Hz以上をカットしています。デジタルと同様の傾向ですが、アナログフィルタでは位相の回転が大きいため、デジタルほど綺麗にはなりません。

このように、2Wayにして別のスピカから本来あるべき高周波成分が出力されると、過渡領域の合成波の形状は大きく変化します。ですから、ローパスフィルタ出力の過渡領域のチョイトした山について、アレコレ気にする必要は無いという事です。

フィルタであれバスレフであれスピカ自体であれ、このようなヘンテコリンな過渡挙動問題の最大の元凶は、遅延時間(位相ではない)が周波数によって異なる(一定ではない)という点にあります。再三お見せしたように、低音ほど遅延時間が長いデスヨね。つまり高い周波数成分から先にスピカから出てくるという事です。

時間遅れが周波数に対して一定ではないという難儀な性質を持つ共振現象(フィルタなり、バスレフなり、スピカ自体なり)の出力は、多数の周波数成分を含み激しく過渡的に変化する音楽信号入力に対して多かれ少なかれヘンテコリンな挙動を示します。その典型例がバスレフですよね。条件によっては、ドレガドレヤネン、ドナイナットンネン!というくらい、入力に対する出力の関係が分からなくなります。

このような共振要素が、入力とピッタリ同じ波形を出力できるのは、「単一周波数の定常正弦波(始まりも終わりもないズーーート続く一定周波数の正弦波)」ダケです。バスレフは定常正弦波を素晴らしく綺麗に出力しますが、過渡になるとガタガタに崩れましたよね。

このヘンテコリン現象(ソースの信号波形通りに音が出てこない現象)は、システム内に共振要素の個数が多ければ多いほど強まります。再三実測とシミュレーションでお見せしたように、共振要素が増えるとどんどん低音が時間的に遅れますよね。共振要素の数は密閉型で1個、バスレフ型で2個、アナログフィルタを追加すると1個増える。。。という具合です。

現時点では、僕は専ら低音の時間的遅延を問題視しています。従って、アナログフィルタを十分に高い周波数で使う分には大して問題は無かろうと考えます。しかし、バスレフ型は正に最下限周波数で共振を起こすため、問題の現象(低音の時間的遅れ)が非常に顕著に表れます。僕がバスレフを嫌う原因の1つはこの点にあります。

ですから、システムにはスピカ(密閉型)以外の共振要素を追加しないに超した事はアリマセン。昔から言われるように密閉型フルレンジが理想だというのはこの意味で当を得ています。この密閉型フルレンジを、デジタル技術で補おうというのがLEANAUDIOの基本アプローチです。これは、ダイナミック型スピカシステムの改善に向けた最も基本的/根源的アプローチであると言えるでしょう。

密閉型と言えども共振要素を1個含みます(全体で180°回転する)。LEANAUDIO初期においてAlpair5で馬鹿ブーストを採用して以来、仕事中に音楽を聴いていて違和感を覚えるたびに吸音材を増やしてゆき、ほぼ1年かけて吸音材が満杯になるに至りました。これは密閉型の共振現象(インピダンスピーク)を殺す(緩やかにする)行為に他なりません。

また、大分以前の記事で、密閉型モニタヘッドフォンではダイナミック型でありながら低音が全く遅れない(つまり殆ど位相が回転していない)というデータをお見せしました。これは恐らく、振動板が非常に軽量であるため共振周波数が非常に高いからではないかと思われます。超小径ダイアフラムを使うカナル型イヤフォンの場合、共振周波数はもっと高いでしょう。この点でも、ヘッドフォン・イヤフォンは有利であると言えます。

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2013年06月18日 (火) | Edit |
前の記事からの続きです。

今回は、アナログフィルタ回路による位相回転の影響を実験君で確認してみました。いつものシミュレーションがどの程度正確なのかも検証してみます。

使用したネットワーク回路(LP)です。
photo_20130618122844.jpg
ガラクタ箱のパーツを使って22mH + 4x100μF の二次フィルタ回路をでっち上げました。サブウーハ用を想定して、100Hz以下のクロスオーバーを狙っています。

下図ののプロットが、この回路をZAP Alpair6M (2.5L密閉型)に取り付けて計測したスピーカの出力特性です。
Fileter Ftoku
のプロットは、この後の比較テスト用に用意したデジタルフィルタによる特性です。カットオフ=70Hz&-12dB/Octの設定で、アナログフィルタとほぼ同等の特性が得られました。下図はFrieveAudionoのフィルタ設定です。
Digital Filter

下はシミュレーション結果です。スピーカは Alpair6M (2.5L密閉型)。
フィルタなし
SIMU OFF

アナログフィルタ適用
SIMU ON
上記の回路パラメータ(22mH、400μF)を正直にプログラムに入力した結果です。部屋の影響もあるため、実測とはピーク周波数が多少異なりますが、全体的な形状(山の中心位置)はよく一致しています。全然期待していなかったので驚きました。という事で、回路のパラメータは一切修正せずに、そのまま使いました。

この後の計測結果と照らし合わせるため、ここでシミュレーション結果の100Hzでの位相を確認しておきます。

上図には黄色の水平線で「遅れゼロ」の位置を示しています。これが入力(ソース信号)の位相です。位相曲線(緑のライン)がこのラインから下に離れれば離れるほど位相は遅れます。つまり、高音ほど入力に対して位相が遅れるという事です。フィルタ適用のグラフでは緑の位相曲線が-180°から+180°に折り返していますが、実際には1本の曲線で周波数の増加に伴って単調に遅れます。今回は100Hz以上の事は気にしなくて構いません。

上の「フィルタなし」では、100Hzで入力(黄ライン)に対してほぼ90°遅れています。これに対し「フィルタあり」では、入力に対して目分量で読んで約250°遅れています。

さてさて、実際にはどうなんでしょうか? 早速実験君で確かめて見ましょう。ワクワク。。

僕は波形観測を行う場合に、信号にパルスを挿入して時間の基準としています。このパルスはCDフォーマットで表現できる最も急峻なパルス(22.1kHz)です。このような超高音になると、周期が非常に短いため(20kHzで0.05ms)、位相が数回転したところで時間的には無視できるため、絶対的な時間基準として利用できます。

今回は、ZAPのLチャンネルにローパス(デジタルまたはアナログ)、Rチャンネルにハイパス(デジタル)を適用し、マイクロフォンを左右スピカの中央に置いて左右の合成音を観測しました。こうする事により、ローパス側音響出力の時間を揃えて波形を比較する事ができます。

では結果です。

下は100Hzの6発正弦波の再生波形です。
SINE
グレーがDACの出力、青がデジタルフィルタ、赤がアナログフィルタです。このデジタルフィルタは位相が殆ど(というか全く)回転しない事は、以前の記事で確認すみです。

下は上図の先頭部分を拡大した図です。
SINE enl
図からざっと読み取ると、デジタルフィルタ(青)は入力信号(DAC出力)対してほぼ90°遅れており、アナログフィルタ(赤)はざっと見て225°遅れています。これはシミュレーションの結果とよく一致していると言えるでしょう。

なお、このデジタルフィルタは位相が事実上全く回転しないため、結果は「フィルタなし」と同じと考えて問題ありません。

最後に例の「春の祭典」最強バスドラの波形です。
ハイパス側には10kHzのフィルタを適用しているためほとんど基準パルスしか出力しません。従って下の波形はローパス側だけの音響波形です(クリックすると拡大します)。
HARU ON OFF
このバスドラの中心周波数は40~45Hzです。この周波数での位相の回転量は100Hzよりもかなり小さくなります。
正弦波の場合、波形は全ての周期で同じであるため、遅れているんだか進んでいるんだか、分かりにくいのですが、このように実際の音楽波形を使うとよく分かりますね。

と言う事で、いつものシミュレーションはナカナカ使えるヤツであると言えそうです。次回は、各種のシミュレーション結果を基に考察を加えます。オッタノシミニ!

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2013年05月27日 (月) | Edit |
密閉型とバスレフ型の動的歪みの比較データを追加掲載します。
条件は前の記事と基本的に同じです。

下は1サイクル正弦波(40、60、80Hz)の再生波形です。横軸のスケールは周期で合わせています。灰が信号、赤が40Hz、青が60Hz、緑が80Hz。
上が密閉型、下がバスレフ型です。FrieveAudioはどちらも50Hzまでフラットで位相遅れ補正はOFF。
密閉40-70 copyバスレフ40-70 copy
バスレフ型の場合、立ち上がりが遅く、信号停止後もだらだらと波形が続きます。また周波数がたった40Hz変化するだけで波形が大きく変化しています。理想的な再生では、全ての周波数の波形がピッタリ揃います。FrieveAudioで20Hzまで完全フラット/位相遅れONにすると、かなり理想に近付くのですが、データを保存し忘れました。

横軸のスケールを時間のままとし、信号停止後の減衰振動部の波形で揃えてみました。
上が密閉型、下がバスレフ型です。
密閉40-70 最後
バスレフ40-70 最後
減衰振動部は、システム(ドライバ、箱、アンプとの電気回路)によって決まり、信号には関係ありません(だって信号は既にゼロですからね)。信号周波数がどう変わろうが最後屁の周波数は一定だという事です。バスレフ型では、最後屁の振幅が大きくて長い事がわかります。というか、実際の信号部と同等の部分を占めています。

最後に、実際の楽曲音として、おなじみ「春の祭典」最強パスドラの再生波形を比較しました。グレーが信号波形、緑が音響波形です。図が小さいのでクリックで拡大してご覧ください。
密閉型
密閉春
バスレフ型
バスレフ春
密閉型の再生波形は、少し遅れながら信号波形にキッチリと追従していますが、バスレフ型では信号波形との関係がかなりデタラメです。単純に位相が遅れているのとは全く異なります。大阪弁で言えば「ドレガドレヤネン?ドナイナットンネン?」という感じですね。

下は、上の波形ののFFT解析結果です。
灰が信号、赤が密閉、水色がバスレフ型です。
バスレフ密閉春FFT
40~50Hzにバスドラの強いピークがあります。密閉もバスレフも50Hzまでしかフラットに補正していないため、50Hz以下では信号よりもレベルが下がっています。また、バスレフ型の方がF特の減衰が急激であるため密閉型よりもレベルは下がります。その点を差し引いて見れば、波形(時間ドメイン的挙動)があんなに違うのにも関わらず、周波数ドメイン的に評価すればバスレフ型でも問題なく見えます。

今回の実験君データは以上です。

定常評価や周波数ドメイン的評価だけでは、過渡現象の嵐である音楽信号の再生クオリティを正しく評価できない事がお分かり頂けたかと思います。また、バスレフ型が原理的に抱える低音の動的挙動問題もご理解頂けたかと思います。これは共鳴原理に由来する問題であり、ポートをどうチューニングしようが逃れる事は決してできません。これを嫌う場合、箱内部やポートに吸音材を適度に充填して共鳴現象を弱めるしか方法はアリマセン。で、LEANAUDIO初期の頃、聴いているうちに半ば無意識にドンドン吸音材をつぎ込んで、気が付いたら「密閉型と変わらんヤン」にナッチッタを何度も繰り返しました。そして、密閉型で不足する低音を補うために、まずサブウーハを試し、次にデジタル信号ブーストに辿り付きました。現在のZAP 2.1はその集大成です。

僕のように低音ビートに敏感なリスナ、または真にクオリティの高い音楽再生を望むリスナには、密閉型システムを強くお勧めします。

追記
このように計測で評価可能な再生クオリティが向上すると、「ヨイオト?」や「ナンタラカン?」とやらがドータラコータラになるのではなく、確実に「音楽」が自然で聴きやすくなります。僕はこのように計測していますが、これはイヤフォン並の「音楽の聴きやすさ」を求めて、聴感を頼りに、最初はバスレフ型から、アレコレ開発してきた結果を後追いで検証しているに過ぎません。

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2013年01月17日 (木) | Edit |
今回はバスレフ型およびバスレフ型に-12dB/Octのフィルタを組み合わせた場合の位相特性について考えます。最後にいつものシミュレーションと比較する事により、僕の考え方が正しいかどうかを検証してみます。

下はバスレフ型の模式図です。
p3_20130117043119.jpg
バスレフ型では、ヘルムホルツ共鳴周波数(縦の青破線、図では40Hz)を挟んで2つのインピーダンスピークが発生します。密閉型と同様に各ピークを中心として位相が±90° (1ピークあたり計180°)回転します。このため、各ピークにおける遅れは、下側が90°、上側が270°となり、全部で360°位相が回転します。2つのピークの中間に位置するヘルムホルツ共鳴周波数での位相は180°遅れます。バスレフ型の場合、密閉型に比べて位相が遅れるだけでなく、2つのピークの間(50Hz前後)という狭い周波数範囲で位相が180°回転します。

下はバスレフ型に-12dB/Octのローパスフィルタを組み合わせた場合の模式図です。
p4 copy
一般的な2Wayバスレフ型のウーハーに相当します。位相は全部で540°(180°x3)回転する事がわかります。フィルタ カットオフ周波数での遅れは450°です。カットオフが十分に高ければ、下限周波数(例えば40Hz)における遅れ量には殆ど影響しないと思われます。つまり、高い周波数での位相の回転は気にせず下限周波数の時間的遅れだけを問題にするのであれば、アナログフィルタでも別に構わないと言えるかもしれません。ただし、後で書きますが、サブウーハのように極端にクロスオーバー周波数が低い場合にはモロに影響するため注意が必要です。

上図をシミュレーション結果と比較してみます。

下はAlpair 6P + TONO箱(約7L)を想定した結果です。
P0.jpg
模式図の条件とは異なり、バスレフの共鳴周波数は50Hz、ローパスのカットオフは3kHzです。折り返しを展開した位相曲線を明るい緑で示しています。2本のピンクの水平線は、上が位相0°(遅れナシ)、下が-540°(540°遅れ)です。シミュレーションでも全部で540°回転していますね。

各周波数における位相を読み取ると、下側のインピーダンスピーク(1番左の赤縦線:約38Hz)では-90°、ヘルムホルツ共鳴周波数(左から2番目の青縦線: 約50Hz)では-180°、上側のピーク(80Hz)では-270°、フィルタのカットオフ周波数(1番右の赤縦線: 3kHz)では-450°となり、上の模式図とよく一致しています。また、アナログフィルタのカットオフ周波数は十分に高いため、下限周波数における遅れには影響していません。カットオフ周波数(3kHz)で450°遅れますが、時間に換算すると約0.4msですから、一般的に言われる人間の時間分解能(20~30ms)に比べれば非常に僅かです。

最後に極端な例として、アドオン式サブウーハを想定して、フィルタのカットオフを70Hzまで下げてみました。
p6.jpg
50Hzの位相は-180°からさらに-90°回転して-270°になりました。また、100Hzで-450°まで急激に位相が変化しています。サブウーハのように極端に低いカットオフ周波数を使う場合は、明らかにデジタルフィルタの方が有利であると言えます。特にバスレフ型のサブウーハでは位相が大きく変化するため、この問題は密閉型よりも深刻となります。

次回は、実測値と照らし合わせて見たいと思います。

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2013年01月16日 (水) | Edit |
位相特性のグラフの解釈方法について書きます。

下はいつものシミュレーションのグラフです。
P00.jpg
バスレフ型に-12dB/Oct ローパスを組み合わせた特性を示しています。このグラフでもスケールは±180°で折り返して表示されます。

この図を折り返さないように改造しました。
p000.jpg
位相は全体で約540°回転しています。

僕は、縦軸のプラス方向が遅れを示し周波数が低くなるほど「位相」は遅れる(遅れ角度が増加する)というふうに誤って解釈していました。しかし、先日の実測データから、実際には低周波数ほど時間的には遅れるものの位相は逆に進んでおり、周波数が高くなるにつれて位相は遅れるという事が分かりました。つまり縦軸のスケールは+が進み、-が遅れを示すという事にやっと気付いたという事です。初期の頃に実験君で周波数が下がるほど「時間的」遅れが増加するという事を知り、以後、下限周波数(通常40Hz)でしか評価を行わなかったために、この事に気付くのが遅れてしまいました。トホホ。。。

しかしですよ。。。とすると、マタマタよく分からなくなってきます。上のような位相グラフの0°は一体全体どのような状態を意味するのでしょうか?実は0°には絶対的な意味はなく、上のグラフは相対的な位相の変化だけを示すものなのでしょうか??絶対的な遅れ角度をこのようなグラフから読み取る事はできないのでしょうか???

僕が知りたいのはソース信号に対するスピーカ音響出力の絶対的な遅れ時間です。これを知るには絶対的な遅れ角度を知る必要があります。では、どうやったらソレを位相曲線から読み取る事ができるんヤロ????と、随分悩んだのですが、ナンノコトハナイ。。。ボード線図で考えればエーヤンという事に気付きました。

ボード線図とは、フィルタや制御系のゲインと位相の関係を解析するために使われる最も基本的なグラフです。ボード線図を知らない方はインターネットで検索してみてください。ここではボード線図について詳しく説明しません。

以下は、現在のところの僕の理解です。またトンチンカンな事を書いていたら是非ご指摘くださいね。

下は12dB/Octフィルタの模式的なボード線図です。
P1.jpg
緑は位相、ブルーはゲイン、縦の赤破線はカットオフ周波数fc(-3dB点)です。縦軸の0°は絶対的な遅れナシの状態であり、マイナス側が「遅れ」です。原理的にfc において位相は90°遅れ、周波数が下がるにつれて位相は0°(遅れナシ)に漸近します。逆に周波数が上がるにつれて位相は-180°(180°遅れ)に漸近します。縦軸の0°は、絶対的な遅れナシ(入力に対して出力の遅れナシ)の状態であるため、位相特性がこのようなスケールで示されていれば、簡単に絶対的な遅れ量を読み取る事ができます。

一般的な特性図は何故このようなスケールにしないのでしょうか?計測の便宜上、共振周波数における位相を基準(0°)として±180°でプロットしているのかもしれませんが、必ずそのようにプロットされるというワケでも無いようです。なお-6dB/Octのフィルタの遅れ量は半分になり、高周波数側で最大90°遅れます。

下は密閉型スピーカの特性です。
P2.jpg
赤がインピーダンス曲線。青は出力特性です。縦の赤破線は共振周波数f0 です(図では100Hz)。青の縦破線は40Hz です。
実は、スピーカもフィルタと同様の挙動を示し、密閉型ではf0 で位相が90° 遅れるようです。つまりフィルタのfc がスピーカのf0 に相当するという事です。

さて、このようにプロットされた位相特性図からは、絶対的な遅れ量を容易に読み取れます。例えば、40Hz における遅れ量を知りたければ、40Hz で位相はマイナス何度かな?とプロットからそのまま読み取れば良いわけです。

密閉型ブースト方式の場合、f0 よりも下の周波数をフラットにブーストします。つまり、アンプ等の遅れが全くなければ、下限周波数における位相遅れは90°よりも小さくなるはずです。図を見ると40Hz における遅れは僅かですね。

破線の特性曲線は、吸音材を大量にブチ込んで共振をなだらかに潰した場合の特性を模式的に表しています。この場合、インピーダンスのピークがなだらかに潰れて位相の変化もなだらかになりますが、f0 以下(例えば40Hz)の遅れ量は少し増加します。また、箱の容積を小さくしてf0 を高くした方が、同一周波数(例えば40Hz)での遅れは小さくなります。

さらに、ヘッドフォンで低音が遅れないのは、今井さまからコメントを頂いたように、振動板が非常に軽いためではないかと考えられます。つまり、振動系の質量が非常に軽量であればfoが非常に高くなり、そうすると音楽の低周波数領域で位相特性はほとんどフラット(ほぼ遅れナシ)になるのではないでしょうか。タブンね。1つ宿題を解く鍵が見つかりましたね。

次回は、バスレフ型およびバスレフ型とアナログフィルタを組み合わせた場合の位相特性について書きます。オッタノシミニ!

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2013年01月11日 (金) | Edit |
前の記事に関連して、低音の遅れについて書きます。

下はZAP 2.1で計測した波形です。
位相遅れ
グレーがソース波形(DAC出力)、赤がスピーカからの音響波形です。ソース信号は40Hzと5kHz正弦波の合成波です。40Hzが4周期ですから、信号の長さは100msです。信号の前後には、基準信号として急峻なパルスを挿入しています。FrieveAudioの補正はOFFです。なお、Alpair 6M単独でも計測しましたが、遅れ量はピッタリ同じでした。さすがデジタルフィルタですね。

赤のスピーカ出力を見ると、5kHzの音はソースに対して「時間的に」ほとんど遅れる事なくスピーカから出力されるのに対し、40Hzの音は約135°(約9ms)遅れて出て来る事がよくわかります。信号の最後の方を見ると、5kHzの音が止まっても、40Hzの音はまだ続いていますね。このように、ソースでは5kHzと40Hzの音が同時に発生していても、スピーカからは40Hzの音が「時間的に」遅れて出てきます。なお、以前のデータによると、アナログフィルタを使った場合、40Hzの音はこれの約2倍(約270°/約19ms)遅れて出てきます。

下図は遅れの異なる正弦波を並べたものです(実測音響波形ではありません)。
phase_20130111022250.jpg
左端の位相角度値の下の時間値は40Hz(25ms/cycle)を想定した場合の値です。黄色は上図の波形に相当する100msの区間です。一番下のように40Hzが5kHzに対して720°遅れた場合、半分の50msが過ぎてからやっと40Hzの音が出てきます。つまり、5kHzの音がピーっと鳴り始めてから50ms後に40Hzの音がボーっと鳴り始めるという事です。

次に、右の方の白い領域を見てください。0°、360°、720°は全く同じ位相に見えます。また、180°と540°の位相も全く同じです。このように、定常波形(波形の始まりと終わりが無い一定状態の波形)を観測した場合、360°を超える「時間的」遅れは正しく認識できません。実際には360°または720°遅れていても、全く遅れていないかのように見えてしまうという事です。

このため、よく見かける位相特性のグラフは、0°を中心に-180~+180°のスケールで示され、値が+180°に達すると-180°に折り返してプロットされます。下は以前の記事で紹介したYAMAHAのPA用スピーカ(2Way バスレフ型)の位相特性図です。
AEE5163A834841E0BAF166DA0B2842D5_12083_20130111024621.jpg
左がアナログフィルタ、右がデジタルフィルタによる特性です。このグラフでも、プロットは-180と+180°の間で折り返していますね。しかし、これでは現象の絶対的な遅れ時間を見る事はできません。そこで、以前の記事では下図のようにグラフを改造しましたよね。
phase_20130111024621.jpg
このグラフから5kHzと40Hzの絶対的位相差を読み取ると、アナログフィルタの場合700°弱、デジタルフィルタの場合360°弱遅れる事になります。僕のいつものシミュレーションより遅れ方が随分大きくなっています。

下はいつものシミュレーション結果です。
まずFOSTEXドライバによる2Wayバスレフ型の結果
fos_20120129095422_20130111031058.jpg
このグラフでも位相(緑)は折り返して表示されるため、上と同じ方法で絶対的な遅れがわかるように改造しています。これによると5kHzに対する40Hzの遅れ進みは約540°です。

次にAlpair10密閉型の結果
A10_20130111031058.jpg
遅れは120°くらいでしょうか。

以上のように、小型スピーカとしては最も一般的な2Wayバスレフ型ではアナログフィルタとバスレフポートによって低音の遅れ位相の変化が増加します。3Wayや4Wayではどうなるのか、興味深いですね。

では、どの程度遅れると聴覚で感じる事ができるのでしょうか? 例によってネットで調べてみたところ「リズム知覚の基礎としての時間知覚に関する精神物理学研究」という非常に興味深いサイトを見つけました。是非ご一読ください。
関係しそうな内容を抜粋すると、
[1.時間分解能]の項目から
高さや、到来方向の異なる二つの音に、時間的なずれを与え、どのくらいのずれがあれば前後関係が正しく知覚されるかを検討した。その結果、充分に訓練を積んだ被験者では、20 ms くらいのずれがあれば、前後関係がぎりぎりで判断できることが判った。
[2.リズムを生ずる時間間隔]の項目から
二つの音が 40 ms 程度離れていれば、その前後関係がはっきりと判るので、部分的には 40~100  ms くらいの時間間隔も、リズムを構成する単位となりうる。
とあります。これに従えば、上のYAMAHAのアナログフィルタ型2Wayバスレフのようなスピーカ(700°/約50msの遅れ)では、ピー(5kHz)に対するボー(40Hz)の遅れを十分に知覚できるという事になります。グルーブ感とかスイング感等のノリは非常に微妙なリズムの揺らぎによって表現されるので、こういうSPでジャズは聴きたくないかなぁ。。。周波数によって遅れ具合も大きく変化するため、僕なんか酔ってしまうかもしれません。

また、人間の視覚的な時間分解能は30ms程度であると言われ、聴覚も視覚もほぼ同程度の時間分解能となります。この事から、人間は時間を完全に連続的に知覚しているのではなく、30ms前後の分解能で離散的に知覚しているのではないかと言われています。僕が音楽帯域の現実的下限周波数と考える40Hzの1周期は25msです。この事から、一応の目安としては、40Hzにおける遅れが360°以下であれば、時間的遅れの観点からはまずOKであろうと言えるかもしれません。あ、でも、僕はフルレンジのバスレフ型(位相回転は360°以内)でも違和感を覚えるので、これも何とも言えないですねぇ。やなり、僕が懸念しているもう1つの問題要因「狭い周波数領域での急激な位相変化」がどのように音楽の知覚に影響するのか?という疑問は残ります。なお、例えば100Hzでは720°遅れても時間的遅れは20msですから、これより高い周波数での時間的遅延はあまり気にする必要は無いかもしれません。

前の記事に書いたように、音楽は一時も留まらない過渡的現象です。ですから、定常的な波形解析だけで装置の性能を評価するのは非常に危険であると言えるでしょう。とはいえ定常的な評価ももちろん重要です。例えば、位相の違いが音色に及ぼす影響については、複数周波数の合成波を生成し、位相を変えながら聴き比べてみるとおもしろいかもしれません。下はWaveGeneというフリーソフトウェアを使った例です。
wave.jpg
wave2.jpg
このソフトウェアでは、3つの波形を合成でき、その内1つの波形の位相を変更できます。上の例では200Hz、400Hz、600Hzの合成波を生成し、200Hzの位相を変更しています。位相を変更すると波形は全く異なって見えますが、僕には同じ音色に聞こえます。以前から言っているように、僕は高い周波数における位相問題が音色に及ぼす影響については重視していません。敏感な人なら聞き分けられるのでしょうか。WaveGeneはコチラでダウンロードできますので、興味のある方は是非試してみてください。

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2012年01月31日 (火) | Edit |
多機能なFrieve Audioにはチャンデバ機能も組み込まれています。今回は、この機能を使ってデジタル方式で帯域を分割してみました。

方法はメチャクチャややこしいので、まずは結果をご覧ください。

いつもの40Hzにおける過渡応答性のチェック波形です。
DIGI hake1i
DIGI hake2i
グレーがソース信号、青が位相補正OFF、赤が位相補正ON。もともと密閉型なので、補正しなくても殆ど遅れません。前記事のようにアナログ式だと270°遅れましたが、デジタル式だとこのように位相的に正確なフィルタリングが可能です。

このように、極めて良好な結果が得られるのですが、残念ながらFrieve Audioのチャンデバ機能は非常に使い難いため、普段使う気にはなれません。それに、Frieve Audio以外のソースでも十分に高品位な低音が聴けるようにする事がZAP 2.1chの本来の狙いですからね。

さて、後は、Frieve Audioのチャンデバ機能の使い方について、簡単にご紹介しておきます。CPU負荷自体は大した事なく、Atomプロセッサ搭載のPCでも楽勝で動作しました。

まず、マルチチャンネルのDACが必要です。また、ビット数が同じであれば、2ch DACを2台使って同じ事ができそうです(2台のDACのビット数が異なるとダメ)。今回は、Sound Blaster X-Fi Surround 5.1 Proという5.1ch対応のDACを使ってみました。お値段は実売6K円程度と安価です。お仕事PC用に使っていたDenDACが壊れたので、試しに買ってみました。
814_20120131061716.jpg
Sound Blaster X-Fi Surround 5.1 Pro
メーカの製品紹介はコチラ

しばらく音楽用PCに繋いで仕事中に使って見ましたが、特に違和感を覚える事もなく、ハチマルが音楽を聴く分には全く十分なような気がします。というか、添付のドライバをインストールすると、普段使っているDACより少し良いように聞こえるような気がしないでもないような気もします。ドライバをインストールすると、ASIOはこのDACを8ch x 32bit/192kHzとして認識します。カタログでは24bit/96kHzなんですけど。。ドイウコト?。。。実際のところは不明ですが、普段の24bit DACよりもCPU負荷がやたら増えるので32bitで実際に動作している可能性はあります。まあ、とにかくハチマルには十分なクオリティです。

下はASIO4ALLの設定画面です。
ASIO.jpg
ドライバをインストールすると、出力は192kHz/32bitとして認識されます(カタログ上は96kHz/24bit)。しかも、5.1ch用なのに8chが認識されています。ドシテ?

ところが、このドライバが厄介で、こいつをインストールすると、Frieve Audioでは肝心のマルチチャンネルが使えなくなってしまいます。という事で、今回はドライバをインストールせずに使いました(標準ドライバを使用)。この場合、ASIOはこのDACを24bit/48kHzと認識します。また、ドライバをインストールしないと、DAC本体に付いているボリュームも使えなくなります。マルチチャンネルの場合、これが使えると非常に便利なのですが、使えないのでFrieve Audio側でボリュームを調整しなければなりません。

以下Frieve Audioの設定についてです。

環境設定の[ASIOドライバ]タブです。
kankyo.jpg
ここでは、L/RとC/SWチャンネルにDACのチャンネルを割り当てます。

DSPの[マトリクス]タブです。
matx.jpg
ここでは、各チャンネルの入力と出力を割り当てます。今回、サブウーハにはCチャンネルを使いました。Cチャンネルには、LとRの信号を入力として割り当てます。これにより、L/Rをミクスしたモノ信号をCチャンネルから出力します。

DSPのイコライザ画面です。
woo.jpg
main.jpg
上がCチャンネル(Alpair10)。下がLチャンネル(Alpair6)です。赤が帯域分割用のフィルタの特性です。この図では12dB/Octのフィルタ特性とし、200Hzでクロスさせています。青が実際に適用されるイコライザ曲線です。RチャンネルにはLチャンネルと同じフィルタを設定します。

L/RチャンネルをIcon AMP + A6、CチャンネルをCP400(ブリッジ) + A10で再生します。アンプのボリュームを連動できないので、F特がフラットになるように両方のアンプのボリュームを調整した後、Frieve Audioのマスタボリュームで音量を調整する必要があります。DACのボリュームが使えると便利なんですけどねぇ。。。

Masterボリュームをマウスで調整します。
vol.jpg
ボリュームのUP/DOWNをキーボードの任意のキーに割り当てる事もできます。

以上は再生時の設定です。

再生する前に音場の計測が必要ですが、これには手こずりました。

PC側の問題なのかも知れませんが、2チャンネルずつしか計測できませんでした。4チャンネルを一度に計測する事は可能なのですが、どういうわけか、計測結果は2チャンネル分しか保存されません。このため、L/Rチャンネル(Alpair6)とC/SWチャンネル(Alpair10)を別々に計測して、後で計測ファイルを操作する必要がありました。なお、各計測では必ず2チャンネルを計測しないとFrieve Audioは設定を保存してくれません。このため、サブウーハ用の計測でも、CおよびSWチャンネルに信号を入力して、2回計測する必要があります。

それぞれの計測結果を例えば「チャンデバ1」(メインSP用)と「チャンデバ2」(サブウーハ用)として設定を保存した場合、下図のように「Program Files/Frieve Audio M-Crass/IRs」フォルダに、設定ファイルを収めたサブフォルダが作成されます。

dir.jpg
各サブフォルダにはir0.wavとir1.wavが格納さます。2チャンネルの場合、ir0がLチャンネル、ir1がRチャンネルの計測結果です。

2回の計測を行った後、Frieve Audioを一端終了して、エクスプローラ上で以下の操作が必要です。
1) サブウーハ用「チャンデバ2」サブフォルダ内のir0.wavをir2.wav、ir1.wavをir3.wavにファイル名を変更します。
2) これら2つのファイルを「チャンデバ1」サブフォルダにコピーします。使うのは片方だけですが、2つともコピーする必要があります。

以上の操作により、「チャンデバ1」フォルダに4つのファイルを格納します。
dir2.jpg

以上のファイル操作を行った後にFrieve Audioを再起動し、DSPの「イコライザ」タブで計測結果に「チャンデバ1」を選択すると、やっと2.1チャンネルで再生できるようになります。メンドクサ。

最後に、もう1つ問題があります。「音響補正結果の計測」では、各チャンネルごとの補正結果しか計測できません。L+CまたはR+Cの全域特性を計測できないという事です。難儀ですね。

仕方ないので、マドンナを再生して、聴感でコンナモンヤネと2台のアンプのボリュームのバランスを調整しました。確認のために、以前の記事で紹介したWaveGeneでホワイトノイズのWAVファイルを生成し、これをFrieve Audioでリピート再生して、リスニング位置のマイクロフォンで録音し、そのWAVファイルをExactAudioCopyでFFT解析しました。アーーーーーーメンドクサイ!
Ftoku DIGI
赤がサブウーハON、青がOFF。まぁ、こんなもんちゃう? 後は、アンプのボリュームを固定したまま、Frieve Audioのマスタボリュームで音量を調整します。

暫くこの状態で聴いてみましたが、アナログ式に比べて低音がタイトに引き締まっているように聞こえないでもないような気もしないでもないかもしれませんが、デジタルで聴いているという先入観も絶対あるし、どちらにしろ実用的ではないので、二度と使う事はないでしょう。アーメンドクサカッタ。。。ホンマニ。。

という事で、2.1ch方式についてはこれ以上深追いせずに、アナログ チャンデバでアドオン方式を採用する事に決定!

40Hzで約270°の遅れは出ますが、市販のマルチウェイ バスレフに比べればずっとマシだという事で納得しましょう。最近は専らiTuneでベトベン全集とネットラジオでヘビーなラップを聴いていますがスコブル具合ヨロシ(って、どういう組み合わせだ!)。マイルスクインテットのクールでタイトなロンさんベースや、ジャコの天才グリングリン16ビートを楽しみたいときは、馬鹿ブーで聴けばヨロシ。

ZAPシステムの「音質」(再生クオリティとオンシツ)をこれ以上深追いする必要は無かろうと判断します。これ以上やっても、日常的に音楽を楽しむ上での決定的な効果は得られず、富士の樹海にはまり込みそうな気がします。ここでオッシマイにしましょう。次なる課題は使い勝手ですね。

次の計画としては、
1) サブウーハ用のプレートアンプを砂岩君(マツイ君)ボックスに組み込んでパワードサブウーハ化する
かさばるCP400とベリンガーのチャンデバは読者プレゼントとして放出して、身辺整理したいですね。これでシステム全体がスッキリコンパクトにまとまり、全てがデスクトップで完結します。オンシツも大事だけど、日常使う道具としては、こういうのも非常に大切だと考えるハチマルです。

2) AURA 1"を使った深夜用の超超ニアフィールド サウンドスコープ
使わなくなった電気スタンドがあるので、こいつの可動アームを利用して、A6Mの半分の距離に設置できるサウンドスコープという感じのヤツを狙いたいですね。ヘッドフォンは慣れてきたとは言え、鬱陶しいですから。。使わない時は可動アームで移動してしまえば邪魔になりません。A10サブウーハとの距離が一致しませんが、もともと位相がずれている(100Hz以下で数メートル)ので、30cmくらいの距離差は気にならない。カナ?

次回は、真空管バッファとパッシブプリの合体君についてご報告する予定です。

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2012年01月28日 (土) | Edit |
今回はZAP君スピーカシステムについて、計測結果を交えてご紹介します。

まずは細部の写真から。

Alpair 6Mのフランジ部です
A6.jpg
締め付けネジを8本に増やしました。実は、前の黒ZAPで使っていた合成皮革が比較的厚めであったため、ネジ部だけが沈み込んでフランジが変形し、一部クラックが発生していました。このため、今回の薄い本革貼りで4本締めしたのでは盛大にエアが漏れしてしまったというわけです。

Alpairの樹脂製フランジの取り扱いには注意が必要ですね。バッフル面は堅くて平滑である事が重要です。

という事で、フランジ裏面にエアコン配管の穴埋め用パテを詰めた上で、8本締めにしました。これでエア漏れは完璧に退治できましたが、数々の実験君を経験したAlpair 6Mは満身創痍。もうZAP君の改造は止めにしましょう。

小容積密閉箱では気密性が極めて重要であり、細心の注意を払う必要があります。特にドライバのフランジ部からの漏れには注意が必要です。箱に小さな穴を開けて空気を写真用ブロアで吹き込む方法でもチェックできますが、この場合、余計な穴を開ける必要があります。

これを嫌う場合、実際に音を出してチェックする事もできます。信号には40または50Hzの正弦波を使います。これを再生して振動板を大振幅で振動させた時、エア漏れがあると直ぐに音で分かります。フェイズプラグ付きのドライバだと明らかに異常に聞こえるでしょう。

今回はフランジが歪んでいた事もあり、各ネジの締め付けトルクも、この音を聴きながら微調整しました。ボリュームを上げてゆくと、ある時点からボビンの接触によると思われるビビリ音(エア抜け音とは異なる)が出たため、これが出なくなるように各ネジのトルクを調整し、ビビリ音が消えたら、さらにボリュームを上げながら、トルク調整を追いみました。つまり、フレーム全体の歪みをフランジの締め付け具合で取り除いたという事です。この結果、限界振幅をかなり改善する事ができました。このような調整は、スピーカを立てた状態(すなわち実際に使用する状態)で行う必要があります。ボビンは重力によって偏心するため、ドライバを水平にした状態(上に向けた状態)で調整してから立てたのでは良好なな結果は得られません。

新品ドライバにこのような調整が必要かどうかは分かりませんが、今回のように何度も組み付けをしてフレームが歪んでいる可能性のあるドライバや、バッフルの平面度に問題がある場合には、効果があるかもしれません。

A6TOP.jpg
これはZAP君の上面です。いかにも「電線」という感じのスピーカケーブルを引き回すのが鬱陶しいので、Icon AMPを直結できるようにしました。電線がゴチャゴチャいっぱいあるのは見た目も良くないので大嫌いです。

ZAP箱の表面には、ユザワヤで安売りしていた半端物(穴、傷あり)の本革を貼ってみました。本革は、湿らせると良く伸びるので、作業は楽です。合成皮革ではこうは行きません。凹凸のあるフロント側も1枚で貼れました(濡らした皮を引っ張りながら各所をステープラで仮止めし、これを完全に乾かすと、そのままの形になる)。とても綺麗に貼れたのですが、チョコレート色がどうもヂヂクサク見えて気に入らなかったので、憧れの4311風つや消しグレーで塗装し、ついでにスピーカのフランジ部とIconAMPのケースも同色に揃えてみました。イカガでしょうか???

お次はZAP BAS君です。
A10.jpg
まず、振動板に放射状のシワが見えますね。実は、アンプ(CP400)の電源が入った状態で、誤って入力信号ラインを抜いてしまい、「ブー、バリ!」と大音響が発生。その時に振動板がビローンと前に付きだして、シワができてしまいました。トホホです。恐るべし、業務用ハイパワーアンプ。。一個ずつMさんが手作りした貴重なドライバを、こんな事にしてしまい、申し訳ないやら情けないやら。。。幸い、F特にも超低音の正弦波にも、明らかな影響は見られませんでしたが、Alpair10をサブウーハーに使うなんぞという不埒な行為に天罰が下ったのでしょうか?

箱はDENONコンポの超補強改造箱ですが、表面をジルコンサンドでコーティングしています。箱の表面に透明ニスを厚めに塗り、その上にジルコンサンドを均等に撒いて固めました。別にオンシツ的効果を狙ったわけではなく、砂吹きつけ塗装風を狙ったのですが、上からラッカーを塗装するとゴジラ松井の顔面風になってしまい、大失敗です。塗装前の状態は、砂岩でできた箱みたいで、とっても頑丈そうに見えたのですが、グレーを吹き付けるとコンクリートの塊みたいになってしまいました。ちょっと見るに堪えないので、フロントバッフルにはインクジェットでグレーに印刷した高級画材用紙を貼り付けて応急措置。そのうち綺麗に仕上げたいと思います。

BAS君の後部です。
A10 rear
ケロ君と同様に3mHのコイルを挿入しています。これは無信号時のサー音を完全に除去してくれます。支柱にはZAP君と同じく、不要になった卓袱台の脚を使っています。スピーカの上部と下部を支柱に固定しているので、ビクともしません。

細部の紹介は以上です。

次に、いつもの計測結果をお見せします。
ftoku_20120128081605.jpg
リスニング位置(65cm)で計測。赤がBAS OFFです。180Hz近辺のディップは部屋の影響。チャンデバの目盛り上のカットオフは60Hz。今回はメインSP側もチャンデバを通してローカットしています。マイクは左右の中央に設置しているので高域は落ち気味ですが気にしないでください。このように、デジタルイコライザでブーストしなくても、ソースを選ばず、十分にフラットな低音特性が得られます。

次は過渡応答性の評価です。

F特補正をONにした状態で、位相遅れ補正のONとOFFを比較しました。最近、200mほど離れた所で工場の解体工事をやっており、かなり低周波の騒音が入るため、あまり精度の良い計測はできていません(波形がフラフラする)。

BAS ONの2.1chでの結果
21 phase
赤が位相補正OFF、青が補正ON。補正無しで約90°の遅れに見えます。補正しても少し遅れが残ってしまいましたが問題ないでしょう。補正しても1発目の波形はかなり崩れています。

BAS OFFの馬鹿ブーでの結果
A6 phase
同じく赤が位相補正OFF、青がON。アナログフィルタを全く介さない馬鹿ブー方式の方が応答性に優れます(今回はリスニング位置で計測しているので、以前にお見せした20cmでの計測結果ほど完璧には補正できていませんけどね)。特に1発目の波形の再現性は馬鹿ブー方式が明らかに優れます。今までに試した2.1または2.2方式でも、1発目のアタックの再現性が馬鹿ブー方式に比べると明らかに劣るという事を、様々な楽曲の波形で確認しています。このあたりが、特にジャズを聴く場合に、馬鹿ブー方式に手が伸びてしまう理由かもしれません。

今までに馬鹿ブー方式から主役の座を奪ったパワードウーハー方式はありません。はてさて、今回はどうでしょうね。暫く使って見ないと何とも言えません。

バスレフ型では、この初期のアタック波形がさらに崩れます。ハチマルが思うに、位相の多少の遅れは大して重要ではなく、アタックに対する初期応答性が重要なのではないかという気がしています。そのへんについては、追々確認したいと思います。

今回は、メインSPもチャンデバを通してみましたが、なんかイラッとさせられる事があるので、結局従来通りのアドオン方式に戻しました。次回は、そのへんについて書いて見ますね。

ではでは。。

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