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2013年09月04日 (水) | Edit |
超高域音をヒトが弁別可能かどうか?については、学術的にも未だ明らかにされていないというのが現状のようです。いずれにせよ、そのくらい効果は微小で微妙だと言えるかもしれません。

学術的にどうであれ、重要なのは、それによって「ヒトビトが音楽をより善くより豊かに楽しめるようになるのかどうか?」という事です。ドコマデモ分別なくチガイを追究しても実用的な意味はありません。

可聴帯域を超える音を再生する事で、どのようなメリットが得られるのでしょうか?
今回はそのアタリについて考えて見たいと思います。

バイオリン、ピッコロ、ピアノの最高音階は概ね4kHzであり、様々なジャンルの音楽のスペクトルを解析すると、一般的に10kHz以上でレベルは急激に減衰します。また、多くのクラシック曲では3kHz前後から約-12dB/Octの傾きで高音が減衰する傾向が見られます。一方、ヒトの耳の感度は、年齢にもよりますが、10kHz以上で極めて急激に低下します(下図参照)。ですから、一般的な音楽を再生した時に20kHzを超えるような超音波領域の音が「耳に聞こえない」のは当然であるように思えます。

超音波1
超音波

超高域音は「音楽の内容」(音楽家の表現意図)には含まれないと言って良いでしょう。実際、前記事の論文では、音源の演奏者達自身(バイオリニスト(30代の女性)を含む)も被験者として含まれていましたが、彼らは超高域音を弁別できませんでした。つまり、彼らが楽器を演奏する際、超高域音は彼らの表現意図には含まれていない、あるいは、少なくとも彼らにとって表現上の重要な要素では無いと言えるでしょう。

また、超高域音は提示時間を長くすると関知されやすいという説もあります。実際、例の論文の結果でも、提示時間を長くした場合にのみ(85~120秒)、2名の被験者が琵琶の超高域音をなんとか弁別しました。この2名でも、20秒では琵琶の超高域音を弁別できていません。つまり、長時間の提示によって超高域音を関知できたとしても、それは一時たりとも留まらずに激しく変化する「音楽の内容」にリアルタイムに連動しているわけではないと言えます。実際、ランダムな超高域信号(ノイズ)を「擬似的」に生成する機器が売られていますし、FrieveAudioにもそのような機能が備わっています。

さらに、超高域音を弁別した上記2名の被験者の聴覚感度(純音、22kHz)は、琵琶の超高域音を「聞き取れる」レベルではありませんでした(SPL感度は90dBを超えていた-上図の縦スケールを超えている)。彼らは超高域音を「耳」で「聞き」分けたとは言えず、彼らが超高域音を弁別したメカニズムは不明であると著者は結論付けています。これに関しては、「ヒトは超音波を聴覚器官以外の部位(皮膚の表面等)で感じ取る事ができる」という説があります。この説も、まだ学術的に証明されたわけではありません。しかし、その可能性はあるように思えます。

さて、以上から僕が勝手に推測するに。。。
- 音楽再生における超高域音は「音楽の内容」(表現者の意図)には直接関係しない一種の環境騒音のようなものであろう
- ヒトはそれを耳ではなく身体のドコカで感じる事ができるのかもしれない
- 超高域音には、オヂオマニア達がやたらと執心する「ケハイ」とか「クーキカン」とかの「場」を演出する効果があるのかもしれない

特に、スタジオでピュアに録音されたソースの場合、ソースに含まれるランダムな環境騒音は皆無に近くなります。そのようなソースを閉め切った暗騒音の低い部屋で1人静かに聞く場合、再生音楽にライブ感を強く求める傾向にあるマニア達には寂しく感じられるのかも知れません。例えば、CDよりもLPを好む方が居られますが、これも、LP再生の方が超高域までランダムノイズを大幅に多く含む事が理由の1つではないでしょうか。

以前にも書きましたが、自然界の暗騒音のスペクトルは1/f 分布に従い、時間的にも1/f 的に揺らいでいます。ヒトはそのような暗騒音に囲まれて普段生活しています。ですから、暗騒音が極端に低い完全無響室に入ると異様な圧迫感を覚えます。

閉め切った暗騒音の低い部屋で、暗騒音の少ないソース(例えばスタジオ録音盤)を、S/Nの高い媒体で(例えばCDで)、S/Nの高いコーキュシステムを使って再生した場合、「音楽の音」(部屋の反射音を含む)に対する部屋のランダムな暗騒音の比率は非常に低くなります。この傾向は、再生音量が大きい程顕著となるでしょう(部屋の暗騒音に対して音楽の音の相対強度が極端に高くなる)。これは実質的に無響室に近い状態と言え、通常の感覚の持ち主であれば、閉め切った部屋で快適音量を大きく超えるような大音量で再生すると、圧迫感を覚えて耐えられないはずです。おそらく心拍数も上がり、健康上望ましくないでしょう。

大きな装置を所有するせいか比較的大音量で、閉め切ったリスニング専用ルームの1点にマンヂリともせずにヂット留まって再生したがる傾向の強いマニア達が、真空管やLPやその他諸々の装置由来のヒビキ等、付帯的音現象(ノイズの付加)にエラクご執心な理由は、この辺りにもあるように思えます。雑味ってやつですか? なんだかワザワザ苦労しているような気もしないではない。。。

以前の記事で紹介した日本のさる機関によるヘッドフォン・イヤフォンの音量に関する調査報告では、周囲の騒音レベルが低い静かな環境では80%上の被験者が80dBA以下を快適だと感じ、周囲の騒音レベルが上がると同じ被験者の快適音量レベルは顕著に増加するとしています。つまり、周囲が静かだと快適音量は下がり、環境騒音が増加するにつれて快適音量も増加するという事です。ヒトは、環境騒音とのバランスで音楽の音量を快適なレベルに調整するという事でしょう。このバランスを敢えて無視して静かな環境で徒に音量を上げると、何らかの付帯的オト(ヒビキとかザツミとかのノイズ成分?)が恋しくなるという事でしょうか。。。。やっぱりワザワザ苦労しているように見える。

このようなリスナには、例えば、コンサートホールの客席での「シーン」と静まりかえった状態での暗騒音(超高域成分と時間的揺らぎを含む)を模した環境音をリスニングルームで再生する別体の装置があると良いかも知れません。この場合、暗騒音は音楽に連動する必要はアリマセン。あるいは、環境音(海の音、森の音、滝の音等)のCDを最小限の音量で流しておいても効果があるかもしれません。これらを行う場合、音楽を邪魔せぬよう、適度なフィルタ処理(例えば10kHzハイパス等)が必要かもしれません。かな?

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