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2013年05月18日 (土) | Edit |
今回の実験君では、2次歪み低減テクニックとして知られる「プッシュプル方式」を試してみました。

プッシュプル方式についてはコチラの記事をご覧ください。
この方式は以前Alpair10で試したのですが、明確な効果を確認できませんでした(コチラの記事参照)。その時は40Hz一点で簡単に評価しただけでしたので、今回はAlpair 6を使ってスイープ方式で評価してみました。

実験君セットアップです。
PP Pic
右側のドライバを前後逆向きに取り付けました。

簡単に原理を説明しておきます。
2次歪みは、振動板に働く磁力と機械的バネ力が前進方向と後退方向で対称にならないために発生します。プッシュプル方式は、2つのユニットを互いに前後逆向きに取り付ける事によって、そのような前後の非対称性に由来する2次歪みを相殺する事を狙いとします。この場合、左右のユニットは逆の極性で接続する必要がある事に注意してください。

さて結果です。
グラフには2次と3次だけをプロットしました。見にくいですが、赤が2次、紫(マゼンタ?)が3次です。

まずノーマル状態
pp OFF

右側のドライバを逆にしたプッシュプル状態
PP ON
プッシュプルにすると65Hz付近の2次のピークが激減(というか消滅)します! メッチャ効果あるやん!

Alpair 10でももっと真面目に実験君すれば良かったですね。ホンマ、セッカチ君やから。

グラフを重ね合わせて見ました。
2次
PP 2nd effect
赤がノーマル、青がプッシュプル。2次歪みのピークは激減!

3次
pp 3rd effect
紫がノーマル、水色がプッシュプル。3次は少し増える傾向かもしれません。

Alpair 10でも、あの特徴的な50~70Hzの2次歪みの山を大幅に削減できるかもしれません。ウーハをダブルにするだけでも効果がありますし、元々3次は低いですから、プッシュプルがうまく働くと素晴らしい歪み特性を達成できるでしょう。そうしたら、もうカンペキですよ。カンペキっ!カンペキのペキちゃん!。。。。でも、通常の音量ではノーマルでも歪み特性は非常に良好ですから、実用的な効果は殆ど感じられないでしょう。超オーバースペックですからね。。。。まぁ、しかし、Alpair 10が1個余っている事だし、気が向いたら再挑戦してみたいと思います。ソノウチね。。。

追記
以前のAlpair10のトライでは40Hzでしか評価しなかったため、判断を誤ってしまったようです。セッカチ君はイケマセンね。反省。。。

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2013年05月17日 (金) | Edit |
今回は、Alpair 6Mの馬鹿ブースト方式での歪み計測結果をご紹介します。

久々の馬鹿ブーストです。サブウーハをデジタルフィルタで帯域分割するようになってからは、馬鹿ブースト方式を全く使わなくなってしまいましたからね。

今回のデータは全てサブウーハOFF/帯域分割フィルタなしです。このシンプルさとコンパクトさが馬鹿ブースト方式の真骨頂。さて、歪みの方は如何ほどか?

まずはFrieveAudioでのF特データ
A6 Baka Frieve
青が補正なし、赤が補正ONです。160Hz近辺のディップは部屋の影響です。スピーカに近付けば、このディップは完全に無くなります。僕の経験によると、このように1オクターブより十分に狭い急峻なディップは余りクリティカルではありません。FrieveAudioの補正係数は平滑化しているため、補正ONでもこのディップは少し残ります。

1) 標準ボリューム
まずは標準的ボリューム(標準ピンクノイズで75dBC)でのデータです。
上がAlpair 6M馬鹿ブースト、下は以ZAP 2.1の結果
A6 Baka 75dBC copy
ZAP 75dBC 32
赤ラインの歪み率(%)は67dBを基準に計算しています。馬鹿ブーでは、さすがに2.1に比べると全体的に歪みレベルが高く、50Hz以下で3次の方が2次よりも高くなり、40Hzで3次は2%を超えています。しかし、この程度の歪みであれば、40Hzまでフラットに補正してもマドンナのズンドコビートに問題を感じません。ブースト量は40Hzで約+17dBです。

そもそも2.1システムは「春の祭典」の超絶バスドラをヤッツケヨーという意地と、FrieAudio以外のソース(ラジオやiTuneやCD/DVD)でもLENAUDIOクオリティで聞けるようにと着手したものです。馬鹿ブーでも常用音量域における実用状態では特に問題を感じませんでした。実際、2.1システムにプレートアンプ内蔵のアナログフィルタを使っていた頃は、低音ビートに微妙な違和感を覚えたため、気持ちの良いビートを聴きたいジャズには専ら馬鹿ブーを愛用していました。その事から考えても、今回の歪みデータは「まぁ、コンナモンヤロ」と納得の行くレベルであるように思えます。

しかし、デジタルで帯域分割するようになってからは、自然と2.1方式に手が伸び、馬鹿ブー方式は全く使わなくなってしまいました。低音の歪みの少なさと、ドップラ歪みによる高音域の音質劣化といった面で2.1方式の方が「音楽を聴きやすい」のかもしれません。比較してしまうと、デジタル帯域分割2.1方式の方が総合的クオリティが高いという事なのだと思います。現在のZAP 2.1には全く満足しています。

2) 標準ボリューム+7dB
家族やご近所様を憚る音量です(標準ピンクノイズで約82dBC)。
同じく上がAlpair 6M馬鹿ブー、下が2.1 ZAPです。
A6 Baka 82dBC copy
ZAP 82dBC 60
さすがに馬鹿ブーでは50Hz以下で3次が激増し、40Hzで約10%に達しています。もうブリブリ寸前。これはアキマセン。ただし、欲張らずにブーストを60Hz(+9dB程度)までにしておけば、かなりの音量まで十分に使えそうです。非常に小径/小型のシステムで60Hzまで全くフラットに位相の乱れなく、しかもマンションの6畳間であれば周囲を憚るほどの音量で再生できるのですから、魅力的なポテンシャルを備えていると言って良いでしょう。 8cmクラスドライバであれば、下限周波数は60Hz程度にしておいた方が無難でしょう。

それにしても、Alpair 10の3次歪みの少なさは素晴らしいと思います。僕の使用環境では2.1 ZAPはオーバースペック気味ですが、Alpair 10を2本使って馬鹿ブーまたは2.2ch方式 (2~3"フルレンジ+ Alpair10)方式にすれば、ウーハが1本の2.1方式よりも低音再生にさらに余裕が得られます(同一音量であれば歪み率は低下する)。それでも音量が足りなければ、ウーハの数を単純に増やせば済みます。また、60Hz近辺の特徴的な2次歪みの増加を抑える事に成功すれば、もう完璧でしょう。プロ用モニタヘッドフォン並(3次歪みの低さを考えればそれ以上)の低音が得られます。一家に一台Alpair 10ですね。

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2013年05月13日 (月) | Edit |
低音の実験君をしていると、家族から気分が悪くなるからヤメロ、とレッドカードが出てしまいました。部屋のドアを閉めていても40Hzにもなると筒抜けみたいです。実験君は誰も居ないときを見計らってやるしかありません。またマンションのご近所様にも迷惑をかけないよう、音量は控めにしたいと思います。

という事で、今回は市販スピーカの歪みってどんな具合なの?と調べてみました。

民生用製品では殆ど特性データが公開されていないようですが、プロ用モニタスピーカ製品に関しては比較的詳しいデータがいくつか見つかりました。今回は、JBLモニタのデータをご紹介します。といっても、あのブルーバッフルのやつではなく、以前の記事(コチラ)で紹介したDSP内蔵メカトロ式のJBL LSR4300シリーズです。型番は同じ「43##」ですけどね。詳しくは製品サイトをご覧くださいませ。

JBL_20130513065451.jpg
これは16cmウーハ搭載のLSR4326Pですが、他に20cmウーハ搭載のLSR4328Pがあります。

下がカタログに掲載されていた歪みのデータです。
JBL4326 copy JBL4328 copy
左が16cmウーハの4326、右が20cmウーハの4328です。
共に上段は96dB/1m、下段は102dB/1mで計測されたデータです。
歪み率の縦軸の値は+20dBされていますので注意してください。
図には赤で大まかな歪み率(%)を示すラインを追加しています。上から約2.8%、1.6%、0.9%です。
バスレフ型なので、共鳴周波数の近くでだけ急激に歪みが低下しています(共鳴点では振動板振幅が小さくなるため)。

計測時の音量は1mで96dBおよび102dBですが、これらは一般家庭での標準的な音量に比べると巨大です。また、スタジオでニアフィールド モニタとして使う場合、以前の記事に書いたように彼らも常識的な音量(80dBAを大きく超えない音量)でモニタリングしているようですから、こんなに大音量では使わないはずです。大切な商売道具の耳が壊れますからね。そのような常用音量域では2次も3次もこのデータよりずっと低いでしょう。

下は以前の記事で紹介したリスニング距離と音圧レベルの関係を示すグラフです(関連記事はコチラ)。
ds-303(8)_20130513070909.jpg
図には部屋の広さを表す「畳」が示されていますが、これは壁に背中をはり付けて聴いている状態に相当し、現実的ではありません。例えば12~16畳であれば3~4mくらいの距離が現実的でしょう。図では3m離れると音圧レベルは1mから約10dB低下しています(距離2倍で-6dB)。しかし、これは無響室または開放空間での特性であり、実際の部屋では反射を伴うため、この傾きはもっと緩やかになるでしょう(特に低音は)。

という事で、1mの距離で96dBまたは102dBというのはかなり大音量状態である事に注意してください。僕の普段のリスニング音量設定(楽曲でmax 80dBA程度)だと、-12dBのスイープ信号を使ってF特を計測した場合の音圧レベルは75dBを超えません。歪み率を評価する場合は音量の設定に注意が必要です。当然ですが、実用音量レベルでの歪み率を評価しないと意味がありません。

上段の96dBのグラフで2つのスピーカを比較してみます。
この場合、小径ウーハと大径ウーハを同じ音量レベルで比較する事になります。
小径の4326では2次よりも3次の方が高く、100Hz以下で3次は1%を超え、下限周波数では2%に達しています。対して、大径の4328では3次は全域で1%以下と良好ですが、2次は4326よりも大きくなっています。両者でTHD (全高調波歪み)は余り変わらないかもしれませんが、前の記事に書いたように、聴感的には4328の方が好ましく感じられるはずです。そもそもウーハのサイズが違うのに同じ音量で比較すれば、小径の4326が不利になるのは当然です。小径のウーハで大径のウーハと同じ音量の低音を出そうとすると、振動板の振幅が増加するからです。そして振幅が磁気回路の線形限界(Xmax)に近付くと3次が急増します。上段の96dBと下段の102dBを比べれば、音量が増加すると歪み率もテキメンに増加する事が分かります。特に4328の3次の増加が顕著です。

同一音量であれば、基本的に大径ウーハの方が歪み率は小さくなります(振幅が小さくなるため)。歪み率は実用音量域で評価する必要があります。10cmウーハを非現実的な大爆音で評価しても意味がありませんし、38cmウーハをニアフィールドレベルの小音量で評価しても意味がありません。

再三申しているように、密閉型を基本とするLEANAUDIO方式の場合、再生下限周波数は振動板のサイズに依存しません。振動板サイズは必要音量によって決まります。この場合、音量(リスニング距離)に見合ったサイズのスピーカを選択する事が重要です。基本的に振動板は小さい方が音質面(特に剛性面、動的レスポンス、アンプの負担)はもちろんコスト面および設置スペース面でも有利だからです。その究極がイヤフォンです。ニアフィールド/小音量で聴くのに大径ウーハは不要です。十分に低い下限周波数(例えば40Hz)まで良好な歪み率(例えば3次が1%以下)を維持できるならば、できるだけ小径のウーハを選ぶべきでしょう。

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2013年05月11日 (土) | Edit |
暖かくなると実験君の虫が動き始めるようです。

前の記事で、「リスニング位置における40~10kHzの周波数特性」が音楽再生における第一等の重要特性であると述べました。

これに次いで重要なのが、「低音領域(100Hz以下)の歪みと遅れ」です。100Hz以下と限定するのは、それ以上の周波数領域では、今時の真面目に作られたオーディオ用スピカであれば安価な物でも十分な性能(再生クオリティ)を有しているからです(主に「コノミの問題」という事)。

今日の音楽再生装置において、最も不完全であるのが100Hz以下の低音再生です。オーディオ技術者は、全力をあげて世の全ての家庭用音響装置で、たとえ安価なTVの内蔵スピーカや小さなドックシステムであっても、音楽を聴くに十分な低音を正しくリスナの耳に届けられるよう取り組まなければアキマセン。もう21世紀ですからねぇ。。。

一般的に再生音の「歪み」と言う場合、一定周波数の定常正弦波信号を入力した時に出力音に含まれる高調波成分の割合(「定常的な歪み率」)を指します。つまり周波数ドメインでの評価です。これに対してタイムドメイン的に評価する「遅れ」は「動的歪み」と言えるかも知れません。特に遅れが「時間的に」大きくなる超低音領域では、本当の「歪み」(ソース音からの乖離度合)は、最終的に動的に評価しないとホンマの事は分かりません。でも、動的評価はトッテモ面倒クサイので後まわしにして、まずは「定常歪み」について考えてみます。

多くの場合、歪み(率)はTHD (全高調波歪み)という1つの値で表されます。これは「高調波成分全体の基本波成分に対する比」を意味します。説明はメンドクサイのでコチラを参照してください。しかし、音楽再生においては、このTHDを鵜呑みにするのは非常に危険です。何故ならば、THDは高調波の全ての次数成分を同じに扱いますが、実際には高調波の次数に応じてヒトに知覚される歪み感が異なるからです。THDの値が同じでも、2次成分が多いのか3次成分が多いのかによってヒトには異なって感じられるという事です。また、一般的に奇数次数が強いとヒトは不快に感じるとも言われます。

一体全体、低音に含まれる各次数の高調波成分はどの程度以下であればヒトは「まぁエーンチャウ?」と感じるのでしょうか。僕の今までの経験によると、波形を見てまぁ概ねサインカーブやねっと感じれば、音の方もまぁ概ね正弦波音に聞こえました。なので波形の観測を重視し、「何次高調波が何%」という数字は余り重視しませんでした。しかし、それでは一般的な指標となり得ません。そこで今回はより具体的な指標値を得るために、波形生成ソフトウェア(WaveGene)で各種の高調波成分を含む正弦波を生成し、モニタヘッドフォンで聴き比べて見ました。

左は50Hz/-6dBの正弦波に2次成分(100Hz/-20dB)を加えた波形、右は3次成分(150Hz/-20dB)を加えた波形です
2nd -20 3rd -20
どちらもTHDは約20%に相当しますが、耳には3次成分を加えた方が明らかに元の正弦波音から大きく異なって聞こえます。僕の経験では、100Hz以下の低音再生において最も厄介に感じられるのが3次高調波です。2次高調波は多少多くても余り気になりません。また、4次以上の成分は元々それ程大きくありません。

という事で、以下では、どの程度まで高調波成分が増えると「明らかに歪んでるヤン(正弦波音とチャウやん)」と感じられるのか、モニタヘッドフォンで聴感評価してみた結果をご紹介します。

基本周波数(40/50/70/100Hz)のレベルを-6dBで固定し、2/3/4/5次の高調波成分を-80dBから-60/-40/-30/-20dBと増やして行き、どの時点で明らかに正弦波の音とチャウ(明らかに歪んでいる)と感じるのかを確認しました。本当はもう少し細かく高調波のdBを変化させたかったのですが、ソフトウェアの都合上できませんでした。なお、基本周波数が変わっても歪みを感じ始める条件は同じでした。以下では50Hzでの波形を載せています。

高調波成分のdB値と歪み率の関係は以下の通りです(基本周波数成分は-6dB)。
-80dB = 0.02%
-60dB = 0.2%
-40dB = 2%
-30dB = 6.3%
-20dB = 20%

以下、各次数での結果です。

2次
左は-30dB、右は-20dBです。-30dBはOKと感じました。-40dBから微妙に音は変化しますが、単独で聴けば余り違和感を覚えないと思います。-20dBは明らかに歪んでいると感じました。これはアキマセン。
2nd -30 2nd -20

3次
左が-40dB、右が-30dBです。-40dBは-60dBからの音の変化をかなり明確に知覚できますが、まあぁギリギリOKかな?。-30dBはNG。お馴染みの三角波形です。
3rd -40 3rd -30

4次と5次
左は4次/-30dB、右は5次/-40dBです。共にNGです。
4th -30 5th -40

以上の結果を歪み率に換算すると下記のように言えます。
2次: 2%はOK、6.3%はまぁまぁOK、20%はNG
3次: 2%はギリギリOK、6.3%はNG、20%は全くNG
4次: 0.2%はOK、2%は微妙
5次: 0.2%はOK、2%はNG

以上から、ごく大雑把な目標値は下記のようになるでしょうか。
2次は5%以下
3次は2%以下(1%以下が望ましい)
4次以上は1%を大幅に下まわる事


次回は、ZAPシステムでの定常歪みの計測準備に入ります。オッタノシミニ!

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2012年12月31日 (月) | Edit |
お待たせしました。やっと、GAMA君の評価結果をお見せできます。ZAP君に関しては来年までお待ちください。

GAMAの標準的なリスニング距離は約50cmを想定しています。このため、騒音計をバッフルから50cmの距離に設置し、ベト5第1楽章(ブロムシュテット盤)を全曲再生して最大音圧レベルを計測しました。ICアンプのボリュームは最大で固定し、サウンドブラスタのマスターボリュームで音量を調整しました。

ベリンガ製グライコは最終的に下図のように設定しました。
Ftoku copy
超ニアフィールドで聴く場合の高域のキツサを緩和するために最終的にこのような設定としました。特性図のピンクの線はDIATONEの30cm密閉型DS-2000の特性です。50Hzまでほぼ同等の低域特性が得られています。このような大型スピーカは、リスニング距離5m以上、最大瞬時音圧100dBレベルを想定して設計されています(参考記事)。しかし、より現実的な住環境に即したリスニング距離と再生音量を想定する事により、低域性能を犠牲にする事なく装置を大幅に小型化できます。KEROやGAMAはそのミニマムな実施例です。殆どの人々にとって巨大な装置は全く不要でしょう。

それでは、テスト結果をご覧ください。

まず、サウンドブラスタのマスターボリュームを70%に設定したところ、ベト5第1楽章の再生中に数カ所で80dBAを超え、最大で83.5dBA max(FASTフィルタ)が記録されました。これはエンディングではなく第1楽章の中ほどで発生しました。

次に、70%ボリュームで-12dBの正弦波を再生してスピーカの出力音響波形を観測しました。
gama -12dB
63Hzでの波形をFFTで解析したところ、5次までを含めた総高調波歪み(THD)は1.5%でした。まぁ許容できるレベルと言えるでしょう。その他の周波数でのTHDは1%を超えません。

下は同じボリュームで観測した-6dB正弦波の再生波形です。
gama -6dB
63Hzでは大きく歪み、音も明らかに異常(ブリブリ)です。この時のTHDは13.6%となりました。前の記事で書いたように、この時代の交響曲では低周波成分が強くないため、特に問題を感じる事はありませんが、他のジャンルの楽曲では問題を感じる事があるかもしれません。ただし、このボリュームでジャズやロックを再生すると、奥さんからレッドカードをくらいます。

下は各種マスターボリューム レベルでの63Hz/-6dB波形です。このボリュームは5%ステップでしか調整できず、1ステップで音量は約2.5dB変化します。
gama vol
ボリュームを70%から65%に1段絞るだけでTHDは6.5%まで改善されます。-6dBを超える大振幅の低周波信号は大概はドラムスによる瞬間的な現象であるため、この程度の歪みであればさして気にならないと思われます(春の祭典のドラム音での経験による)。65%ボリュームにおいてベト5第1楽章の最大音圧は80.9dBA(fastフィルタ)を記録しました。普段交響曲を聴く時は、このくらいのボリュームになると思います。ジャンルを問わず推奨できるGAMA君の最大ボリュームは65%、ジャンルをクラシックに限れば70%でも大丈夫というところでしょうか。

一般的なジャズ/ロックのソースであれば、55%ボリュームでmax80dBAに達する十分な音量が得られるため、再生中に問題が生じる事はまずありません。普段は50%ボリュームで聞いている事が多いと思います。マドンナであれば、さらにボリュームを下げられます。

なお、70%ボリュームで例の標準ピンクノイズ(-18dBFSrms)を再生したところ、50cmの距離で76.8dBA(SLOWフィルタによるMax値、スピーカ1本)を記録しました。これは以前の記事で紹介した国際規格の提案値(78dBA)に近い値であると言えます。参考にCフィルタで計測すると78.8dBCでした。ただし、再生装置の低域が十分に伸びていないため、特性がフラットなCフィルタでの値は余り正確ではないと思います。

以上から、リスニング距離50cm程度、80dBA以下の快適音量レンジで使う事を想定した場合、GAMA君は必要にして十分な音量で音楽を再生できると言えるでしょう。今回のデータから推測するに1m程度までは十分に使えそうです。

このように、リスニング距離と必要音量によってシステムの基本設計が決まります。日本の一般的家屋での実用性を考えた場合、それほど巨大な装置は必要ないと思われます。真に実用的で、真に再生クオリティの高い、真にリーズナブルな価格の、断じて趣味道楽のマニア用ではない、日常的に音楽を愛聴する人々向けの、本当に真面目なオーディオ装置を、根本から真面目に開発すれば、需要は十分にあるように思えます。

慌ただしく駆け込みのような投稿になってしまいました。それでは良いお年を!

m01_01_08_kadomatu.jpgお年玉クリックくださいなm01_01_08_kadomatu.jpg

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2012年10月23日 (火) | Edit |
今回は密閉箱でのテスト結果を簡単にご紹介します。

Arrestorの作動を確認するために、最初は密閉箱に取り付けた状態で試験を行ったのですが、密閉箱ではArrestorの作動を明確には確認できなかったため、オープンエア状態での試験を行ったというのが、そもそもの経緯です。

密閉箱では内圧が働くため、オープン状態とは挙動が少し異なります。

Alpair6でボリュームを同じにして比べてみました。
A6M Open 2-3 A6M Sealed 2-3
IconAMP全開で、パッシブプリが約2/3の位置です。左がオープン右が密閉(2.5L)。密閉では内圧が働くので、同じ入力であれば少し振幅が下がって歪みが減少するように見えますが、波形のパターンが大きく変わるという事はなさそうです。

さて、限界ブリブリ試験の結果です。

まずはAlpair 6M
下はオープンでArrestorにヒットした時の波形です。
A6M Arrestor copy
Alpair 6MのArrestorは振動板振幅がコイル長を大きく超えないとヒットしません。もう少し浅くしても良いかもしれません。

下は密閉箱(2.5L)でArrestorにヒットしたと思われる波形です。
MM 0dB 40Hz
赤がArrestorあり、青がなしです。40Hz/0dB信号、IconAMP全開、パッシブプリも全開!(つまり僕のシステムの完全フルパワー条件)でやっとヒットしたみたいです。完全に3次の波形になっています。超ブリブリ!いゃぁぁぁ。。。怖かったです。。が、別に壊れたりはしませんでした。。。今も元気に鳴っています。

下は同じくフルパワー状態でのAlpair10の波形です。密閉箱の容積は4L。
Arresto 4_4
さすがのAlpair10も超ブリブリです。赤がArrestorあり、青がなし。Arrestorがヒットしたようには見えませんねぇ。。。。

下は、限界よりもボリュームを上げた時のAlpair 10の波形の変化を示しています。
A10 7_8
信号は全て40Hz/0dB、IconAMPは全開です。
青がパッシブプリが約3時の状態。オープンでは、この状態からボリュームを少し上げるとArrestorにヒットします。しかし密閉箱では、ここからボリュームを上げると波形が一気に崩れて緑の状態になり、フルボリュームで赤の状態になりますが、赤の状態でもArrestorにヒットしているようには見えません。

ついでに他の13cmウーハと同じボリュームで比べたデータも。。。
13cm woofer 3_4
13cm woofer 4_4
説明は不要ですね。

今回のデータは以上です。

40Hzのフル信号を入力してフルパワー(24W)をかけると、波形は殆ど3次成分だけになりますが、ドライバはへっちゃらでした。40Hz信号程度では、コイルが勢い余って過剰に飛び出す事は無いようです。ブリバリっと破壊するには、とんでもない信号レベルをステップ状に印加してコイルを一気に加速する必要がありそうです。僕が壊した時は、アンプのボリューム位置から考えてスピーカへの入力は100Wを大きく超えており(100Wステレオアンプをブリッジモードで使っていた)、その状態でアンプの入力信号ラインをブチッと抜いたので、凄まじいステップ信号が発生したのでしょう。もし壊れたら完全にユーザーの責任ですね。

お気づきだと思いますが、Alpair 10の歪み方は、今回テストした他のドライバとは大きく異なります。
他のドライバでは三次歪みの増加に伴って、
正弦波が尖り始める → 三角形 → 中腹が痩せ始める → 中腹が凹む → 波形が3山になる(ブリブリ)
といったパターンを見せますが、Alpair 10だけは完全に破綻するまで3次歪みはあまり顕著ではなく、全く突然に波形が崩れます。一体何が他と違うのでしょうか???不思議です。

他のドライバでは、振幅が大きくなるにつれて3次歪みが顕著に増加します。3次歪みは耳障りですので、できるだけ抑えたいところです。Daytonウーハのように、線形限界(Xmax)よりも随分小さな振幅であのように3次成分が多くて波形が三角では困りますよね。普通のウーハーってあの程度なのでしょうか???

そこで次回は、なんで3次歪みが増加するのか?ナニユエ波形は三角になるのか?ドーシテ波形は尖りだすのか?を簡単なシミュレーションを使って解明します。なかなかオモシロイですよ。オッタノシミニ!

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2011年09月21日 (水) | Edit |
前の記事からの続きです。今回は50Hz以下の超低音の再生波形を確認してみました。LEANAUDIOでは50Hzより下を「超低音」と呼ぶ事にしますね。なお、今回でスピーカシステムの開発は一端終結します。その締めくくりとして長文となってしまいました。ご容赦を。。

今までに再三申しているように、LEANAUDIOでは音楽再生装置の最低要件として50Hzまでフラットな低域特性を掲げています(密閉型による-12dB/Octの減衰を前提とする: 30Hzで-10dB程度)。ジャズやロックを聴く場合、この要件を満たしていれば十分に楽しめるように思えます(これ以上伸ばしても嬉しさはあまり感じない。それよりも低音ビートの位相が重要)。しかしクラシックの交響曲を聴く場合(ほとんどベトベンしか聴かないが)、レスポンスがそれ以下に伸びていると微妙に嬉しく感じる事があります。FOSTEXによると、これは「弱音で演奏される低音楽器のうなりや響き」というヤツだそうで「フルオーケストラの醍醐味のひとつ」としています。

以上を念頭に、今回は下記の条件で計測してみました。
1) 音量はハチマル快適音量の上限
- 約65cmのリスニング距離におけるベト5第1楽章の最大音圧レベルで約80dBA相当(参考記事)のアンプ ボリュームとする
2) 現実的な信号レベルとして、フルスパンに対して-6dBAの正弦波信号を再生
- CDにフルスパンの純正弦波が記録されている事はまずないため(参考記事)
- ハチマル コレクションの最強低音である「春の祭典」(シャイー指揮/クリーブランド、参考記事)のバスドラピークでも35Hz/-12dB程度(参考記事))

以下、スピーカ前方約20cmで計測した波形です。赤がAlpair 6M 2本の馬鹿ブースト、青がDAYTONウーハです。両者の絶対音量は同じに調整しています。クリックで拡大してご覧ください。

50Hz
875.jpg
両者ほぼ同等。どちらも、不安になるくらい音量を上げても顕著には崩れません。下段のFFTを見ると、DAYTONの方が2次、3次の高調波成分が少し低い事がわかります。

40Hz
874.jpg
これも両者ほぼ同等ですが、波形が明らかに歪んで尖ってしまいました。FFTを見ると、3次の高調波が強い事がわかります。ボリュームを少し下げれば正弦波に近付きます。40Hzまでは余裕で正確に再生して欲しいと思います。Alpair6Mはともかく、ウーハにはも少し頑張ってもらわないとね。今後の課題だな。

30Hz
873.jpg
波形はさらに崩れます。Alpair 6Mは4次の高調波が強く出るために、DAYTONよりも歪んで見えます。どちらのドライバでも、ボリュームを下げて行くと40Hzと同様のトンガリ波形を経て正弦波に戻ります。50Hzでもボリュームを思いっきり上げると、波形が尖り始めます。つまり、周波数が変わっても歪みのパターンは同じだと言う事です。なお、周波数が30Hzまで下がると、フルスパン信号をカナル型イヤフォンで聴いても微かにしか聞こえないので、ここまでの低周波はあまり重視していません。Frieve Audioでは振動板の無用な振幅を避けるために30数Hzから20Hzにかけて急峻にローカットしています。

以上から下記が言えます。
1) DAYTONウーハ 1本とAlpair 6M 2本はほぼ同等か、ややDAYTONが優れる
2) 両者とも50Hzまでは十分な余裕を持つが、それ以下では高調波が急激に目立ち始める
3) 歪みのパターンはドライバが変わっても周波数が変わっても基本的に同じであり、単純に振動板の「振幅」によって支配されているように見える(歪みの主要因はスピーカの構造的限界(大振幅時の非直線性)に起因するらしい)
- しかし、何故波形が尖るのか? 不思議。。普通に考えれば、振幅が頭打ちになって波形は丸くなると思うのだが。。。調査が必要。

-6dBの単音正弦波というのはかなり厳しい条件であり、通常、50Hz以下の信号レベルはそれほど高くないため、大概の楽曲の再生では聴感上問題ありません。特にベトベン交響曲やアコースティック ジャズでは50Hz以下の信号レベルが十分に低いため、30Hzまで馬鹿ブーストしても歪み領域に全く入りません。また、古典ロック(新しいのは知らない)も、50Hz以下の重いビートは意外と含まれていません。

ハチマルのコレクションの中で最強の低音は、再三取り上げた「春の祭典」の中に1発だけ含まれている超絶バスドラ(曲中他のバスドラは問題なし)と、マドンナの曲中延々と通奏されるズンドコ ビートです。これらの楽曲を再生して波形を確認してみました。

手順は下記の通りです。
1) 音量をハチマル快適音量の上限に調整
- 実際の曲を普通に再生し、約65cmのリスニング距離における大音量時の平均的音量が75dB~80dBになるようにアンプのボリュームを調整。普段は平均75dB前後、あるいはそれ以下で聴いているので、かなり頑張ったボリュームです。家内のイエローカード必至の音量。
2) 楽曲の問題の部分だけ(数秒間)を抜き出したWAVファイルを作成(左右をミックスしてモノラル化)
3) 高調波の発生を見やすくするために、Frieve Audioで60Hz以上を急峻にカットして、上記で決めたアンプ ボリュームでリピート再生

結果は以下の通りです。

マドンナの Erotica
数秒間を抜き出したサンプル音源のスペクトル
mad spe
約45Hzのビートが曲中延々と続きます。ピーク信号レベルは-12dB弱。マドンナの曲の典型的パターンです。

下がスピーカ前方で計測した波形です。
青がソース信号の波形、赤がマイクロフォンで計測した出力波形です。

Alapri6M馬鹿ブースト(30Hzフルフラット)
baka_mad copy
Daytonウーハー
sub_mad copy
どちらも、顕著な高調波歪みは観測されません。ズシッと重くてビシッとタイトなビートを聴くことができます。3"クラスのフルレンジSPだけでこの低音を再生するとは、Alpair 6M君は頑張りますね。凄いぞ。
なお、マイクは手持ちですし、環境騒音が結構影響するため、波形の細かい部分はサイクルごとにかなり変動しています。多少の波形の変形は多めに見て下さい。

春の祭典 第一楽章
最強バスドラ1発だけを抜き出したサンプル音源のスペクトル
haru spe copy
この1発のバスドラだけを抜き出すと、ピークは約40Hzに表れます。ピークレベルは-12dB弱ですから、ソース信号レベルとしては上のマドンナとほぼ同等です。しかーし、この曲は最強バスドラを収録するためにダイナミックレンジが非常に広い(すなわち、平均的な録音レベルが非常に低い)ため、上記の平均音量に設定するにはアンプのボリュームを大幅に上げる必要があります(プリのボリューム位置で比較すると、マドンナが約1/2開度に対して春の祭典はほぼ全開!)。ですから、ソース信号レベルが同じでも、スピーカに入力されるパワーはマドンナの比ではありません。この最強バスドラは全く尋常ではありません。

Alpair6M馬鹿ブースト(30Hzフルフラット)
baka_haru copy
DAYTONウーハー
sub_haru.jpg
注: 横軸のスケールはマドンナとは異なります。
吸音材たっぷりの密閉型なので基本波形をかなり正確に追従しますが、さすがに、このアンプボリュームでは高調波出まくり状態です。尖りモードを飛び越えて4次の高調波が顕著に出ています。しかしAlpair6Mは頑張りますね。偉いぞ!
この曲中の、これ以外のバスドラは難なく再生できますが、この1発だけはどうしようもありません。この曲を聞くときは、最強君のところだけボリュームを下げるか、イコライザで50Hz以下を減衰させるしかありません。それともWAVファイルをここだけ編集するか。。。
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赤はブーストなし、青はフルブーストで再生したAlpair6Mスピーカ出力波形。一箇所だけ青の振幅がデカイのが問題の1発です。上の波形グラフは1本抜きん出ているヒゲの部分を時間軸方向に拡大したものです。このように強烈なのは全曲中1発だけ。こいつのために全体の録音レベルが低くなっています。他の盤ではどうなんでしょうか?

そこそこ大型のスピーカでも、この最強の一発をサイズに見合ったそれなりの音量で正確に再生するのは簡単ではないと思います。特にバスレフ型だと、余程大型のもの(共鳴点が40Hz以下、JBLだと4365以上)でないと、波形はかなり崩れるでしょう。どうあがいても、穴っぽこから噴出する音と振動板前面から直接送り出される音は異なります(特に打撃音)。

自分が聴く楽曲、自分が聴く音量がはっきりと限定されており、システムの限界を認識した上で使用するのであれば問題無いのですが、このようなシステムを広く一般に製品として市販する場合、そうも行きません。どのような楽曲でも(例え春の祭典でも)大音量で破綻せぬ事を保証するために、例えば50Hz以下を減衰させるローカット フィルタを適用べきであると言えます。実際、Victor製13cmパワード サブウーハのアンプは約50Hzのローカットフィルタを実装しています(解除不能)。このアンプは現在ケロに使用しており、その特性は下図のように50Hz以下で急激に減衰します(密閉型なのでフィルタが無ければ-12dB/Octで減衰するはず)。
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余談となりますが、デジタル信号処理をフルに活用すれば、振幅がある一定量を超えぬように制御しながらドライバの能力をギリギリまで使い切る事ができるはずです。最も単純な方法として、アンプのボリュームと連動したイコライザ設定が考えられます(ボリュームと連動して低域信号レベルを制限する事により、振幅を安全な範囲に保つ。低ボリューム時はフルフラット)。さらに進めれば、波形を先読みしながらダイナミックに処理する事もできます(例えば、春の祭典の最強バスドラだけ信号レベルを少し下げる)。そのような方式を前提とするならば、ハードウェア(スピーカ)の設計自由度も大幅に向上するはずです。ソースだけ、アンプだけ、スピーカだけというのではなく、信号入力から音響出力(さらにルーム アコースティック)を含むシステムトータルで考える事により、音質(音楽再生クオリティ)、サイズ、コストを飛躍的に改善できるはずです。スピーカ屋はスピーカだけ、アンプ屋はアンプだけを見るのではなく、トータルなシステムで考える事が重要です。システムの中で最も大きな問題を抱えるのがスピーカ(さらに言えば部屋の音響特性)であり、この弱点をシステム全体で補う事が肝要かと思います。

さて、上記したように、このような超低域での高調波歪みは、振動板振幅とドライバの構造的限界(直線性の限界)の関係に支配されると考えられます。これを改善する方法として、同一振幅でも低音レベルを上げられる大径ドライバを使用するか、あるいはドライバの数を増やすのが最も直接的です。これとは別に、サイズ据え置きでドライバの構造的限界(線形性をある程度維持できる最大許容振幅: Xmax)を向上させる方向性があります。コンパクトさを追究するLEANAUDIOでは当然後者の方向性に興味が向かいます。そこで、2つ前の記事で紹介した各ドライバの公称Xmax値を調べてみました。

MarkAudio Alpair10v2 13cmフルレンジ: 7.5mm
HiVi M5a マグネシウム・アルミ合金 13cmウーファー: 3mm
DAYTON AUDIO DA135-8 13cmウーファー: 3mm

MarkAudio CHR-70v3 10cmフルレンジ: 4.5mm
MarkAudio Alpair 6Mフルレンジ: 3.4mm
HiVi M4N メタルコーン10cmフルレンジ: 3mm

FOSTEX M100HR-W: 不明

10~13cmクラスだと、判で押したようにXmax = 3mmと記載しているドライバが多く、あまり重視されていないように見受けられます。これに対し、Mark Audioは常にXmaxを重視する姿勢を前面に打ち出し、カタログ値を見る限り同サイズのドライバに比べてXmax値が異様に大きくなっています。13cmクラスで見るならば、HiVi M5aおよびDAYTON AUDIO DA135-8がともに3mmと記載しているのに対し、MarkAudio Alpair10v2は7.5mmを掲げています(実に2.5倍!)。以前製造されていた13cmのAlpair 10ウーハのXmaxは9.0mmにも達します。これは別にズンドコを狙った物ではなく常用振幅領域での直線性を重視した結果だと思われますが、ヤクザなLEANAUDIOコンセプトにとっても好適なドライバであると言えそうです。

メーカによってXmaxの定義や計測方法が異なる可能性があるため、単純には比較できないかもしれませんが、Mark AudioがXmaxを重視する姿勢は明らかです。Alpair6Mがここまで頑張れるのも、その基本姿勢に因るところが大きいかもしれません。このように飛び抜けたXmaxは、全ての部品を専用設計するという基本方針によって可能になったものと思われます。他社製のドライバは標準的なコンポーネント(内部部品やフレームまで)を組み合わせて使用している例が多く、部品をよく見ると他メーカのドライバと同じ部品だったりします。Xmaxがどのメーカでも同じような値になっているのは、そのへんに起因するのかもしれません。

まだ何も知らなかった初期の頃にたまたまMark Audioドライバを採用したわけですが、偶然にもそれらが気密性と大Xmaxという特性を備えていたからこそ、現在のLEANAUDIOがあると言えます。もし、LEANAUDIO初期に例えばフェイズプラグ付きの標準的なXmaxを持つドライバを採用していたとしたら、小容積密閉箱に入れて信号ブーストまたは別アンプで強引に駆動するという基本コンセプトには絶対にたどり付かなかったでしょう。Mark Audioドライバとの出会いは幸運であったと言わざるをえません。また、当ブログを見てLEANAUDIO方式をちょこっと試してみたけど駄目だったという方は、今一度ドライバの適性(まずは気密性)を確認してみてください。フェイズプラグ付きやコアキシャル型ではまず駄目だと思います。センター(ダスト)キャップ付きでも布製や真ん中に穴の開いたタイプでは駄目です。

現在のシステムの50Hz以下のタフネスを向上させるには、ウーハ用にAlpair 10(できればウーハバージョン)を選択するか、あるいは、面倒くさい2.1ch方式は捨ててAlpair10 (または7) 2本の馬鹿ブーストってのがシンプルで良いかもしれません。今回改めてAlpair馬鹿ブーストのポテンシャルを再認識しました。また来年の夏くらいですかね。何か変えるとすれば。

今回サブウーハを追加したそもそもの目的は、iTuneやネットラジオをイコライザなしで聴くためであって、Frieve Audio用には馬鹿ブーストを前提としています。しかし、ブースト方式には欠点が2つあります。すなわち、1)デジタル信号のオーバーフローを回避するために全体の信号レベルを下げる必要がある(アンプのボリュームを上げる必要がある、つまり信号クオリティとS/N比が多少低下する)、2)振動板が大振幅で動くため高域音が多少劣化する、という事です。従って、メタルコーン ウーハを採用した事によって今まで感じていた違和感が無くなるのであれば、2.1ch方式を常用する可能性もあります。

とりあえずは毎日聴いてみないと何とも言えません。無意識にどちらに手が伸びるか? 駄目なシステムには自然と手が伸びなくなり、全く使わなくなります。3つも電源を入れる手間をかけてでもウーハ付きに手が伸びるようであれば大成功と言えましょう。「音質?」の事なんか念頭になく、意識が自然に「音楽」を追いかけている時に、違和感や、不自然さや、聴き取りにくさを感じるようであれば「音楽再生装置」としてNGです。

冒頭でも述べたように、かれこれ3年以上続けてきたデスクトップ スピーカの開発は今回で一端終結します。
基本的にAlpair6M + Frieve Audio自動音場補正による耳幅配置超ニアフィールド馬鹿ブーストでハチマルが望んでいた「音楽再生クオリティ」言い換えれば「音楽の聴きやすさ(自然さ、違和感のなさ、正確さ、明瞭さ)」を十分に達成できたという事です。従来になく「音楽が聴きやすい」システム(そう、ハチマルの欲しかった「ミュージック マシーン」)となりました。また、数々の実験を通して多くの貴重な知見を得る事ができました。それらの経緯は全て当ブログに記載していますので、是非ご参考にしてください。「春の祭典」はめったに聴かないし、これ以上のものはとりあえず不要かなと思えますが、今まで年に1回ペースで何か作っているので、来年の今頃には新しい物をリリースするかもしれません。

マークさんに英語の要約版を約束しているので、そちらが終わるまで暫くブログの更新はお休みになると思います。以降はヘッドフォン再生がメインテーマとなる予定です。既に、ハチマルとしては大奮発のハイエンドなヘッドフォンを購入して早朝に愛用しています(最近奥さんからのイエローカードが頻発しているので。。)。オタノシミニ。

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テーマ:オーディオ
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