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2013年07月19日 (金) | Edit |
今回は、今までアナログネットワークについてイロイロとお勉強した結果に基づいて、3Wayネットワークの接続について考えます。

これに関しては、最初に書いた記事が全くスットコドッコイな大間違いであり、一度改訂しましたが、それも相変わらずスットコドッコイでした。エーカゲンな記事ばかりを書いてしまい、誠に申し訳御座いません。今回の考え方が正しければ良いのですが。。。

現象をシンプルに考えるために下記を前提とします。
1) スピーカ自体の遅れやインピダンスの変化を考慮せず、フィルタの特性だけを考える
2) カットオフ周波数(-3dB点)でクロスさせる

下は、全て正相で接続した場合の位相特性です。
3Way位相
- 0°が信号の位相、プラス側が進み、マイナス側が遅れです。
- 信号より進み側の位相は破線で示しています。時間ドメインで考える場合、入力より位相が進んだ出力は、入力に対して反転した上で遅れていると見なします。
ウーハ
- ウーハのLPFは、十分に低い周波数で信号をそのまま通過させ(遅れも反転もしない)、カットオフで90°遅れます。
MID
- MIDのHPFは、十分に低い周波数で信号を完全に反転させ(遅れはないが反転する)、反転した出力はカットオフで90°遅れます。
- MIDのバンドパスは、HPFとLPFの中間で信号をそのまま通過させます(遅れも反転もしない)。
- MIDのLPFは、カットオフで90°遅れます。
ツイータ
- ツイータのHPFは、十分に低い周波数で信号を完全に反転させ(遅れはないが反転する)、反転した出力はカットオフで90°遅れます。
- ツイータのHPFは、十分に高い周波数で信号をそのまま通過させます(遅れも反転もしない)。

下は、全て「正相」で接続した場合の各クロス点における波形です。
3Way波形
- 最上段の黒の波形が入力波形です。
- クロス点「A」では、ウーハLPF(90°遅れ)とMID HPF(反転して90°遅れ)が逆相となるため、クロス点でディップが発生します。
- 「A」点と「B」点の中間では、MIDは入力波形をソノママ出力します(グレーの波形、時間的遅れも反転もない)。
- クロス点「B」では、MID LPF(90°遅れ)とツイータHPF(反転して90°遅れ)が逆相となるため、クロス点でディップが発生します。

下は、MIDだけを逆相で接続した場合の各クロス点における波形です。
3Way位相 逆相
- クロス点「A」では、ウーハLPFとMID HPF(逆相)が共に入力に対して90°遅れとなり、同相で繫がります。
- 「A」点と「B」点の中間では、MID(逆相)は入力波形を反転して遅れなく出力します(グレーの波形、時間的に遅れないが反転する)。
- クロス点「B」では、MID LPF(逆相)とツイータHPFは共に入力に対して反転して90°遅れとなり、同相で繫がります。
- つまり、MIDだけを「逆相」で接続すれば、3つの帯域はディップを生じる事なく繫がるという事です。
- ただし、MIDのHPFとLPFの中間帯域では、出力波形は入力波形と逆相になります(遅れはしないが完全に反転する)。

下は、MIDを逆相接続した場合の時間的遅れです(角度に換算)。
3Way時間
ウーハ
- 正相接続したウーハのLPFは、十分に低い周波数において、信号をそのまま出力します(反転もしないし遅れもしない)
- 正相接続したウーハのLPFは、クロス点「A」において、入力に対して90°分時間的に遅れます。
MID
- 逆相接続したMIDのHPFは、クロス点「A」において、入力に対して90°分時間的に遅れます(従って、ウーハとMIDは同相で繫がり、時間的にも一致する)
- 逆相接続したMIDのHPFは、中間帯域で、入力を反転して(だって逆相接続だから)、時間的遅れなく出力します。この遷移領域の時間的遅れをプロットする事はできないため、矢印で表しています(前記事参照)。
- 逆相接続したMIDのLPFは、クロス点「B」において、入力に対して反転した上で(だって逆相接続だから)、90°分時間的に遅れます。
ツイータ
- 正相接続したツイータのHPFは、クロス点「B」において、入力に対して反転した上で、90°分時間的に遅れます(従って、MIDとツイータは同相で繫がり、時間的にも一致する)
- 正相接続したツイータのHPFは、十分に高い周波数において、信号をそのまま出力します(反転もしないし遅れもしない)。この遷移領域の時間的遅れをプロットする事はできないため、矢印で表しています(前記事参照)。

以上です。この考え方で正しければ良いのですが。。。。

実際にネットワークを組む場合、スピカのインピーダンス特性や、各ドライバの前後位置関係や、回路素子の特性のばらつき等が影響するため、実測しながらチューニングする必要があるでしょう。

アー、ヤヤコシイ。。。遅れたり反転したりを繰り返すので、波形は時間ドメイン的にかなり歪むはずです。特に、MIDではHPFのカットオフ(反転90°遅れ)~LPFのカットオフ(非反転90°遅れ)で位相が180°グルッと回転します。このため、時間ドメインで出力(波形)を観測すると、かなり乱れます。

下は2つ前の記事に掲載したパッシブ バンドパスを通過した春の祭典のスピカ出力波形です。
春バンド フィルタ無し
春 バンド フィルタアリ正相
春 バンド フィルタアリ逆相
- 青はFrieveAudioの等価デジタルフィルタを使った場合の出力波形です。フィルタの位相は遅れも反転もしないため、密閉型スピカによる遅れだけが観測されます。
- 赤はパッシブ バンドパスを使った場合の出力波形です。緑は赤を上下反転した波形です。
- アナログバンドパスでは下側のカットオフから上側のカットオフまで位相がグルっと180°回転するため、入力波形に対する出力波形の対応が大きく乱れます。よく見ると高い周波数(細かい波)は非反転波形(赤)で対応し、低い周波数(大きなウネリ)は反転波形(緑)で対応するように見えます。
- 特に、反転波形(緑)の中央付近の大きなウネリ(低周波信号)は、ドライバ自体の遅れとの相乗効果によって大きく遅れているように見えます。

ただし、このような現象(サブウーハ領域を除く)が実際どの程度「音楽の知覚」(音楽の聞きやすさ)に影響するのかは定かではありません。言えるのは「このような現象はマニア達がツイキュして拘る非常に微細な諸々の現象に比べて遙かに巨大かつ根源的問題である」「こんな現象は無いに超した事は無い」「密閉型フルレンジ1発で全域をキチント再生できるのなら、それに超した事は無い」という事だけです。密閉型フルレンジ1発(デジブースト)ではどうしても足りない場合、デジタルフィルタを使って帯域分割すれば(例えばサブウーハを追加すれば)、こんな問題に頭を悩ませる必要は全くなくなります。

あと残っている不明点は、ドライバの影響(パッシブ方式とアクティブ方式の違い)、-3dBクロスと-6dBクロスの比較といったアタリでしょうか。次回で最終回にしたいものです。しかし、その後のネタが無い。。

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2013年07月06日 (土) | Edit |
今回は、パッシブネットワークを使ってサブウーハをアドオン(メイン側にHPFを使わないで接続)する場合の接続極性と遅れについて調べてみました。

スピーカはメイン側にAlpair6M+2.5L密閉(ZAP)、サブウーハ側にAlpair6M+8L密閉/バスレフ(TONO)を使いました。
LPFは22mH+400μF (fc=約70Hz、-12dB/Oct)のパッシブネットワークです。バスレフポート稼働領域(50弱~約100Hz)下限でのクロスオーバとなります。

まずはF特です。
赤が正相接続のトータル、黒が逆相接続のトータル、青がメインの密閉型緑がサブウーハです。

密閉型サブウーハのアドオン
F特 密閉 アドオン 

バスレフ型サブウーハのアドオン
F特 バスレフ アドオン 
- 150Hzあたりの段差は部屋の影響です。
- どちらも逆相で綺麗に繋がります。
- どちらも実質的なクロスオーバーは95Hzあたりです。
- どちらも正相接続ではクロス周波数で急峻なディップが発生します。
- バスレフの場合、逆相接続で綺麗に繫がりますが、位相が大きく回転するため70Hz以下ではメインスピカと逆相になって出力が低下しています。
- バスレフ単体だと60Hzから出力は低下するのですが、フィルタを接続すると出力が50Hz以下までフラットに延びています。

次に、いつものシミュレーションです。
- 例によって入力の位相を黄色の水平線で示しています。これが位相遅れゼロの基準です。
- 位相曲線の60Hzと100Hzに緑のをプロットしています。
密閉型メイン
SIMU 密閉
- 100Hzの位相は約-90°

密閉型サブウーハ
SIMU 密閉サブ
- 100Hzの位相は約-270°(スピカの180°+フィルタの90°)です。
- 100Hzにおいてメイン(-90°)とは180°差(つまり逆相)になります。
- 60Hzの位相は-180°弱。

バスレフ型サブウーハ
SIMUバスレフサブ
- 位相は激しく回転し、100Hzで-450°(スピカの360°+フィルタの90°)にもなります。
- 100Hzにおいてメイン(-90°)とは360°差(つまり同相)ですが、バスレフの応答は反転しているため、結局メインとは逆相になります。アーヤヤコシー。
- 60Hzの位相は約-270°です。
- シミュレーションでも出力は低周波側へ延びていますね。そーゆものなのね?

100Hzのメインとサブウーハの波形を重ね合わせました。正相接続の状態です。
上が密閉、下がバスレフ
アドオンクロス波形 密閉 
アドオンクロス波形 バスレフ
- 正相接続ではどちらもメインスピーカとは完全な逆相になっています。これでは急峻なギャップが発生するのが当然ですね。

いつものように、信号に対する出力の位相(タイムドメイン的位相)を調べてみました。
 バスレフの応答遅れを見るには波形を上下反転する必要があります。
上が密閉、下がバスレフ
100Hz
アドオン100密閉波形
アドオン100バスレフ波形
- 密閉は信号に対して270°(信号に対して7.5ms、メインスピカに対して5ms)弱の遅れです。
- バスレフは信号に対して450°(信号に対して12.5ms、メインに対して10ms)弱の遅れです。
- 上のシミュレーションとよく一致していると言えるでしょう。

60Hz
アドオン60密閉波形
アドオン60バスレフ波形
- 密閉は信号に対してほぼ180°(信号に対して8ms)の遅れです。
- バスレフは信号に対してほぼ270°(信号に対して12.5ms)の遅れです。
- これもシミュレーションとよく一致しています。

下は、位相と時間の遅れをプロットしたグラフです。
赤がバスレフサブ青が密閉サブ緑が密閉メインです。
アドオン位相遅れ アドオン時間遅れ
フィルタなしのバスレフは密閉アドオンと等価です。

100Hz以下のカットオフを持つアナログLPFを使ってサブウーハをアドオンすると、低音が信号に対して時間的に大きく遅れるだけでなく、クロス点においてメインスピーカからも遅れます(クロス点におけるタイムアラインメントは出鱈目)。
- 共鳴60Hzのバスレフの場合(フィルタなし60Hzで入力に対し約8ms遅れる)、フィルタを付加すると12.5ms(4.25m)まで遅れています。 共鳴周波数の低い大型バスレフは、周波数に反比例してもっと遅れます。
- 密閉型のアドオンでは約8ms(2.7m)遅れます。これはフィルタなしの60Hzバスレフと同等です。フィルタなしの密閉(デジタルフィルタを使った密閉型サブウーハ)だと遅れは4ms(1.35m)弱です。
- アドオン方式の場合、100Hzのクロス点において、メインスピカ(密閉型)に対してバスレフ型サブウーハで約10ms(3.4m)、密閉型サブウーハで約5ms(1.7m)遅れます。つまりクロス点におけるタイムアラインメントは全く出鱈目です。

大型メインシステムに共鳴周波数の低い大型バスレフ サブウーハを極端にカットオフの低いアナログLPFを使ってアドオンする場合、その時間的遅れは想像を絶します。またメイン側にもバスレフ型を使う場合、急激に変化するお互いの位相がどのように干渉し合うのか、これもまた想像を絶します。このような構成は、「デカイ重低音が出れば良い」というシアタ向けには使えるかもしれませんが、繊細な音楽再生用には到底適さないでしょう。

このように遅れの大きなアナログ式サブウーハをアドオンする場合、リスナのすぐ近くに設置した方が良好な結果が得られるかも知れません。さもなくばアドオン式には、位相回転が殆ど(というか全く)生じないFrieveAudioのような高性能デジタルフィルタが必須であると言えるでしょう。

今回はパッシブネットワーク(アンプの後で分割)を使いましたが、アクティブ方式(アンプの前で分割)でもアナログフィルタを使う限り遅れの様相は殆ど同じです。次回は、サウンドブラスタDACのチャンデバ(多分アナログ式)を使ったアクティブ クロスオーバ方式について調べてみます。オッタノシミニ!

結局「位相」の話は続きますね。。。スミマセン。

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