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2013年09月22日 (日) | Edit |
何度か書いたように、一般的に、多くの人が音楽を再生して快適に楽しむにおいて、楽曲中の大音量時に耳元で瞬間的に80dBAを超えるか超えないか程度の音圧が得られれば十分であると思われます。また、コンサートホールにおける大部分の座席での交響曲の音圧レベルもその程度であり、媒体制作時のモニタリング中の音量も、このような「快適」音量レベルと同等あるいは大きくかけ離れていないという事も、以前の記事でご紹介しました。

また、そのような音量レベル(アンプボリューム)で再生した時に、40Hz/-12dB (望むらくは-6dB)の正弦波を十分に低い歪み率と十分に正確なタイミングで(位相遅れなく)再生できれば、実用的音楽再生において全く十分であろうと僕は考えています。

そのような実用音量での40Hzにおける大まかな理想的目標値を挙げると

- 歪み率
2次: 5%以下
3次: 2~1%以下

- 位相遅れ
100~40Hzでの回転が90°以下
40Hzでの遅れ時間が5ms以下

となるでしょうか。

これらは十分にロングストローク(リニアXmaxが十分に大きい)良質のドライバ(Alpair10等)を密閉型で使い、デジタルフィルタで帯域分割する事で達成できます。これについては再三実証済みですよね。

当然ですが、部屋が広くてリスニング距離が大きくなればなるほど、条件は厳しくなります。逆に、ニアフィールド条件では小さなドライバで達成できます。再三申しているように、LEANAUDIO方式では、振動板サイズは必要音量(耳元の音圧ではなくスピーカの出力パワー)によって決まります。ちなみに、僕のデスクトップ条件では、Alpair10ウーハはオーバースペック気味です。

さて、今回は、オッキナお部屋でオッキナ音響パワーで再生する事が必要な場合、徒に大径のウーハーを使用するよりは、適度な径のウーハーを多数個マトリクスにして使用した方が、ナニカと有利ですよ。。。。というオッハナシです。

今回は極端な例として、FOSTEXの80cmウーハFW800HS (1個で35万YENなり)とAlpair 10で比較してみますね。

80cm.jpg
FOSTEX FW800HS 80cmウーハー
1個 35万YENなり
データシートはコチラ


以下はFW800HSとAlpair10V2の主要パラメータです。
LEANAUDIO方式の場合、最低共振周波数f0は関係ないので記載していません。

FW800HS
有効振動板面積 Sd: 4013cm2
リニア片振幅 Xmax: 2.3mm
有効排除体積 Vs: 922cm3
等価振動板質量 Mms(Mo): 629g
価格: 350K YEN

Alpair10V2 (1個)
有効振動板面積 Sd: 88.25cm2
リニア片振幅 Xmax: 5.5mm
有効排除体積 Vs: 48.53cm3
等価振動板質量 Mms: 7.269g
価格: 16K YEN

Alpair10のXmaxは、カタログ値ではなくコイル長とギャップ高から求めたリニアXmax(片振幅)です。FOSTEXは通常この定義に従う一般的なXmax値を提示していると思われます。
有効排除体積(Vs)とは、僕が勝手に定義する「有効振動板面積 x Xmax」で求まる振動板がXmax(片振幅)まで変位した時に排除する空気の最大体積です。この値はエンジンの排気量に相当し、ウーハの空気駆動能力はほぼこの値によって決まります。

Alpair10を使ってFW800HSと同等の空気駆動能力を得るには、有効排除体積が同等になるよう個数を増やしてビッシリとマトリクス状に並べればよろしい。単純に計算すると、その必要個数は19個となります。

では、FW800HSx1個とAlpair10x19個で比較してみましょう。
- ドライバ: FW800HS / Alpair10 x 19
- 有効排除体積 Vs: 922 / 922 (cm3)
- 等価振動系質量 Mms: 628 / 138 (g)
- 価格: 350K / 304K (YEN)

等価振動系質量はAlpair10 x 19個の方が圧倒的に軽い事が分かります。何故ならば、巨大な1つの振動板で十分な剛性を確保するにはどうしても重くならざるを得ないからです。この重量でも、振動板の剛性はAlplair 10に遙かに及ばないでしょう。変換器として軽量で高剛性である事が、特に動特性において、非常に重要である事は今さら言うまでも無いですよね。であるからこそ、マークさんは「まるでF1エンジンのように」してAlpairドライバの開発に心血を注いでおられるわけです。また、コストもAlpair10 19個の方が有利です。

デジタルフィルタ/イコライザを前提とし、密閉箱に吸音材をタップリとぶち込んで機械的共振(f0)を殺してしまうLEANAOUDIO方式では、箱の容積も重要ではありません。Alpair10 1個あたり3~4Lもあれば十分でしょう。つまり、20個使っても60~80Lもあれば十分だという事です。ちなみにFOSTEXはFW800Hz向けに600~800Lのバスレフ箱を推奨しています。

部屋や音量あるいは下限周波数の要件に応じた最適な構成の低域再生装置を一度部屋にしっかりと作り付けておけば、後は100Hz以上を受け持つブックシェルフサイズの密閉型スピカをお好みでトッカエヒッカエするヨロシ。低域再生のために巨大化したハイエンド装置をトッカエヒッカエするよりも遙かに経済的です。

また、ウーハは定在波の面で最も有利な位置に固定し、メインスピカだけをオンヂョの面で理想的な位置に配置できるため、クオリティ的にも遙かに有利です。大型の一体型だと、オンヂョベストで配置すると低音の定在波が強く出ちゃう。。。ってな事も頻繁に起こり得るでしょう。ニアフィールドではないオッキナシステムでは、低域再生をオッヘヤと一体で考えるヨロシ。これ重要。

如何でしょうか?

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テーマ:オーディオ
ジャンル:趣味・実用
2010年10月03日 (日) | Edit |
今回は、必要なスピーカーのサイズは何によって決まるのか? について考えて見ます。

従来、大径スピーカー(ウーハー)が必要とされたのは、低音再生能力を伸ばすためでした。低音再生に大きな振動板が必要な理由を説明するために、よく「小さい団扇(うちわ)と大きい団扇」の話が使われます。小さい団扇をゆっくりとした周期(周波数)で動かしたのでは風が起こらないが、大きい団扇では同じ周期で動かしても風が起こる」というやつです。小さい団扇をゆっくりと動かすと、空気が縁から周りへ逃げてしまってなかなか前方に風が届かないのですが、大きい団扇だと縁の近くの空気は逃げても中央の空気は逃げる間もなく前方へ送られるという原理です。

このような原理から、スピーカーユニット単体の低域再生限界周波数は振動板のサイズ(直径)でほぼ決まってしまうという事になります(他にも要因はありますが、サイズが決定的要因)。このため、例えば30Hzまでフラットに再生しようとすると、巨大なウーハーが必要となるワケです。つまり、従来においては、スピーカーのサイズは目標とする低域再生限界によってほぼ決まると言えます。大ざっぱに言えば、低域限界を延ばしたければでかいウーハーを使えという事です。

では小さな団扇をゆっくりとした周期(周波数)で動かしても風が送れるようにするには、どうすれば良いのでしょうか?それには、団扇の振り幅(振幅)を増やせば良いのです。周期は同じで振り幅(振幅)を増やすわけですから、団扇の移動速度は振幅に比例して速くなります。これによって、前方へ送られる風を増やす事ができます。

さて僕は、8cmのドライバを使って2つの方法で低域限界を大幅に延ばせる事をお見せしました。1つはフルレンジスピーカーにデジタルイコライジングを適用して低域信号だけ信号振幅を増やす方法(いわゆる馬鹿ブースト)、もう1つは低域信号だけ別のアンプで増幅率を増やして別のドライバで再生するする方法(いわゆる2.1システム、ケロのこと)。

つまり、このような方法を適用すれば、スピーカーのサイズは低域限界を決定する要因ではなくなります(少なくとも決定的要因ではなくなります)。別に大径ウーハーを使わずとも、「音量を限定すれば」という前提の下に、呼称8cmクラスの振動板(実際には5cm程度)でも30Hzまでフラットな再生能力を簡単に得る事ができます。

密閉型を前提とするこの方法では、スピーカユニットのみならずエンクロージャ容積も大幅に小型化できます。すなわち、バスレフ型のように共鳴周波数の制約を受けないという事です。ヘルムホルツ共鳴箱で例えば50Hzという共鳴周波数を、適度な太さ/長さのダクトで(細すぎ長すぎはイロイロモンダイあり)で得るには、それなりの箱容積が必要になります。従っていくらドライバを小さくできたとしても箱容積は極端に小さくできません。しかし密閉型をこのような方法で使用する場合、ドライバの共振による低域増強効果(参考記事)も不要となるため(というか僕はこの効果も嫌いなため吸音材で殺す)、箱容積を極端に小さくできます(例: ケロは700ccしかない)。しかも、密閉型であるためバスレフが持つ致命的な位相上の欠陥からも完全に開放されます(ただし、2.1システムではデジタルフィルタを使用しないと位相問題が残る。ただしバスレフのようにトランジェント特性には大きく影響しないので致命的ではない)。

このようなシステムにおいては、極低域におけるドライバの最大振幅によってそのシステムの再生可能最大音量が決まります。低域でスピーカーの振幅が許容値を超えると音が大きく歪みます。限界音量を上げるには、振動板のサイズを上げるか、ドライバの数を増やす必要があります。
すなわち、このようなコンセプトではスピーカーシステムのサイズは必要音量によってのみ決まるという事です。

では必要音量(スピーカーから出る音響パワー)はナニで決まるか?ですが、いくつか考えられます。
1) 個人的好み
2) スピーカーから耳までの距離(近いほど小さくて済むし、部屋の影響を受けない)
3) 部屋の音響特性(反射率、大きさ、形)

「ライブと同等の音量で聴くのが理想」というのがオーヂオマニアの間ではお作法となっているようですが、これは甚だ疑問です。かなりの大音量になると思うのですが(特にフルオーケストラ)、ホールや会場と一般的な家屋の四面囲まれた部屋では、余りにも音響環境が異なりすぎます。その論理的根拠が何なのかよく分かりませんが、もしこれを良好な状態で実現したいのであれば、部屋をまず実験用無響室並に完璧に吸音した上で適所に反射物を置いて調整するか、あるいはヘッドホンなり超ニアフィールドなりで部屋の影響を回避した上で、耳位置の音圧をライブに揃える必要があると思います(ただしそれだと音場感が駄目って言うんですよね。きっと。)。バイノーラル録音をヘッドホンで聴けば、かなり正確な「音場」が再生できるのですが、ヘッドホンは好まれないようだし。。。

本当に良い「音質」で聴きたいのであれば、絶対音量は控えめの方が電気的、機械的、音響的に有利になると思います。

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2010年10月03日 (日) | Edit |
よく見かけるご意見に「小径ウーハーでいくら頑張って周波数特性を同じにしても、大径ウーハーの低音には適わない。それは別物だよ。」といった趣旨の発言が見受けられますが、果たしてどうなんでしょうか?

実用状態を前提にちょっと考えて見たいと思います。

38cmウーハーを一般的な日本家屋のリビングに置いて離れて聴く場合と、極端な例としてケロを50cmの距離に置いて聴く場合を考えて見ましょう。耳位置での音圧は同等としましょう。ちなみにケロは、付属のサブウーハーアンプ(50Hz以下ローカット内蔵)ではなく外付けのチャンデバとFrieveAudio(要はハチマル新システム)へ接続すれば、38cmウーハーと同等のF特を楽勝で得られます。

さて、ダイアフラムは大きくなるほど重くなり、スケーリング剛性も低下します。これらは当然音質上不利に働きます。スケーリングして考えればAuraの3インチ メタルコーンは一般的な大径ウーハーに比べて圧倒的に高剛性なはずです。また大径ウーハーは重いダイアフラムを駆動するためにより大パワーを要しますし、離れて聴くために、その分の音量もさらに上げる必要があります。これは音質上不利に働くか、あるいは駆動する側の装置により高い要求が課せられます。しかし、これらの要因は次に述べる要因に比べれば大した事ではありません。

最も致命的な要因は「部屋」です。大きくなるほど離れて聴く事になります。38cmの3ウェイシステムを50cmの距離で音量を絞って聴くなんてことはあり得ませんよね。さてこのような一般的実用条件において、38cmの本領を発揮する100Hz以下の低域ではモロに部屋の定在波の影響を被ります。恐ろしいくらいに。。ほとんど「部屋」の音を聴いている状態。

このような大型スピーカーの真価を発揮させるには、それなりに広い部屋、高い天井、入念な音響処理が不可欠なのは当然です。一般庶民には非現実的な条件と言えましょう。千秋君の実家の三善さんチくらいあれば大丈夫だろうけど。。。

さてさて、おっしゃる通り、実際の耳に届く両者の低域音は一般的実用状態において全く別物となるでしょう。ではでは実際に耳に届く低域音の「クオリティ」はどっちの方が一般的に高いと言えるのでしょうか?トクト考えて見てください。これがハチマルの言う「(「音楽」を真剣に聴きたいなら。。)スピーカーは小さくて近いに超した事はない」の意味です(ただし小っちゃくても低音がバッチシ出ているというのが前提ですよ。普通に小っちゃいだけじゃ駄目。)。。それとね、スピーカーだけで議論しても無意味だと言う事を言いたかったんです。部屋の影響が馬鹿デカイ。。

ただし「好き嫌い」は別のハナシ。。。

次は「大きなスピーカーの必然性」について考えて見たいと思います。

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