FC2ブログ
2011年04月23日 (土) | Edit |
前の記事からの続きです。

今回は小型密閉型スピーカーに密閉型サブウーハーをアドオンする場合の調整方法について書いてみます。

739.jpg
13cmウーハー(3L密閉箱)にチャンデバ(Behringer SuperXーPro)の各種ローパスフィルタを適用した時の特性です。ウーハーに近接して測定しました。フィルタをかけない素の特性では100Hz以上がフラット、100Hz以下が約-12dB/Octでロールオフしています(密閉型の典型的特性)。図には3種類のフィルタ設定で測定した特性を重ねています。チャンデバの目盛りに従うカットオフ周波数は、下からそれぞれ44Hz(下限)、60Hz、120Hzです。このチャンデバは-24dB/Octのフィルタ特性を持つため、最終的な音響出力の減衰特性はロールオフ領域(100Hz以下)で約-12dB/Oct、フラット領域(100Hz以上)で-24dB/Octとなります。図中のピンクの直線は-12dB/Octと-24dB/Octの傾きを示しています。一般的に、アドオン方式(メイン側にハイパスをかけずにサブウーハーを追加するだけの方式)では、サブウーハーの分担帯域は100Hz以下となります。従って特性がフラットな領域はほとんど使用されません。

チャンデバのカットオフを60Hzに設定してAlpair5を重ねると下図のようになります。
741.jpg
Alpair5も密閉型(1L)なので、これも約-12dB/Octでロールオフしています(ピンクの直線)。太い黒の水平線は全帯域の平均レベルです。このレベルから-6dBでクロスさせると、全体的にほぼフラットな特性が得られます。これにより30Hzで-6dB以上という十分な低域特性を得る事ができます。ここで注意が必要なのは、フィルタの公称カットオフ周波数と実際のクロスオーバー周波数は一致しないという事です。この例では、フィルタのカットオフ=60Hzに対して実際のクロス周波数は約100Hzとなっています。これは元々の特性がフラットではなく右上がりである事に起因します。

このクロス点はメインスピーカーのロールオフ特性(-6dB点)によって決まります。従ってメインスピーカーの径を大きくすると、クロス点は徐々に低周波側へ移動します。その場合、チャンデバのカットオフ設定を少し下げる必要があります。結果として、システム全体の特性も少し低域側に伸びます。

では、Alpair5を使用してチャンデバのカットオフをもっと下げれば、低域をもっと延ばす事ができるか?というと、そうは問屋が卸しません。下図はカットオフをこのチャンデバの下限である44Hzに設定した場合を示しています。
743.jpg
-6dB点でクロスさせようとすると、低音が出すぎてしまいます。そこでサブウーハーのレベルを下げると、クロス領域で谷ができてしまいます。逆にカットオフを上げた場合は低音レベルが下がってしまうか、低音レベルを合わせると、クロス領域が盛り上がります。

すなわち、厳密に言えば、ベストなカットオフ周波数は、メイン側スピーカーの-6dB点の周波数によって完全に決まり、選択の余地はないという事です。サブウーハーの調整を行う際は、2つのパラメータメータ(カットオフ周波数と出力レベル)を調整しながら、このベスト状態を見つけ出す必要があります。3"(8cm)から4"(10cm)の密閉型スピーカーに24dB/Octのフィルタを備えた密閉型サブウーハーをアドオンする場合、フィルタのカットオフ周波数は50~60Hzで概ね良好な結果が得られると思います。

下図が実際に使用している状態の特性です。カットオフは60Hzです。
742.jpg
離れて測定しているので部屋やデスクトップの影響が出ています。ピンクのラインは基準となる12dB/Octの傾きを示しています。

基本的にアドオン方式は、特に大型バスレフ型スピーカーのように低域が100Hz以下までフラットに伸びたスピーカーには適さないと思われます。そのようなスピーカーでは、メイン側にハイパス(ローカット)を適用する必要があるかもしれません。

以上、ハチマルのサブウーハー設定方法と理論をご紹介しました。これからサブウーハーの導入をお考えの方はご参考にしてください。

追記
しかし、100Hz以下の低音は部屋の影響をモロに受けます。ハチマルはニアフィールドで使用しているので、ほぼ上記の理論通りに設定できますが、離れて聞く場合には部屋の影響を激しく受けます。この場合何よりも重要なのは、まずサブウーハーのベストな設置位置を見つける事です。細かい調整を始める前に、リスニング位置で測定しながらベストな設置位置を見つける必要があります。基本的には、リスナーから3つのSPまでの距離が等距離になる位置、できれば左右SPの間にサブウーハーを設置するのが良いとされています。また、100Hz以下の低音は定位感に影響しないため、位置的にはかなり自由度があるとも言われます。

別のアプローチとして、メインSPとサブをとりあえず近付けて設置して、近接音を測定しながら上記のように精密に調整し、その後でサブの設置位置を決めて微調整する事も可能かもしれません。ハチマルのようにバイアンプ駆動のパワードウーハーを左右に設置する場合は、この方法が良いかもしれません。

追記2
前記事のFOSTEX GX100(密閉改造) + CW200Aの組み合わせの場合、サブを2台買って、左右のSPスタンドの上に重ねて設置すれば、バイアンプ駆動のステレオシステムと同じ事になります。低音を2台で分担するので振幅も下がり、音質的にも有利でしょう。サブの入力にはアンプからのSP出力をパラで接続すれば簡単です。この場合、近接測定で左右それぞれを完璧にフラットに調整してしまえば、普通のステレオSPの設置と同じ事になります。最終的にリスニング位置で測定して、サブのレベルをRとL別々に微調整すれば、部屋の影響もある程度修正できます。

追記3
13cmウーハー(3L密閉)の-6dB点は約60Hzまで下がる。従って13cm径のドライバをメインスピーカーに使用する場合、フィルタのカットオフも相応に下げねばならず(概ね40Hz)、装置の調整可能範囲でうまく設定できるかどうかが問題になってくる。このため、20cm程度の小型サブに組み合わせるには8cm~10cmクラスがベストであろう。そもそも、サブを使うと決めた時点で、メイン側の特性を100Hz以下に延ばす必要性はなくなる。余程の大音量が必要でない限り、メイン側には10cmを超えるドライバは不要と思われる。また、同様の理由により、メイン側のボックスには小容積の密閉型が適する。低域を延ばすための機構(バスレフポート、大容積)は邪魔にしかならない。

お役に立てたらクリックしてください。ランキングに参加してますにほんブログ村
関連記事
スポンサーサイト



テーマ:オーディオ
ジャンル:趣味・実用
2011年04月22日 (金) | Edit |
前の記事からの続きです。

FOSTEXのGX100は10cmウーハーの2ウェイSPですが、コンパクトでデザインも良いため、なかなか魅力的な製品だと思います。こいつを前記事の密閉型サブウーハーCW200Aと組み合わせると良い感じかもしれません。部屋が大きければCW200Aを左右に使うか、あるいは25cm径のCW250Aを使用しても良いかもしれません。
736.jpg
737.jpg
ポートの共鳴周波数は約70Hz。それ以下は出力が急激に低下する典型的なバスレフ型の特性です。交響曲を楽しむには明らかに低音不足。ジャズでもこれでは物足りないでしょう。こいつの低音をサブウーハーで補おうというのが今回の眼目です。

で、問題となるのがGX100はバスレフ型であるという事。

何が問題かというと、
バスレフ型の場合、共鳴点の前後でポート音の位相が大きく変化し、共鳴点より下の周波数では位相が振動板と完全に逆転してしまいます。従ってサブウーハーをメインSPと同相で接続すると、共鳴点以下の周波数領域ではポート音がサブウーハーの音を弱めます。では、というので逆相で接続すると、今度は振動板どうしで音を弱めあいます。ややこしい。。また、周波数特性がフラット状態から突然ストンと落ちるというのも、自然なクロスオーバーを難しくします。つまり、バスレフ型スピーカーをサブウーハーとうまく繋げようとすると、非常に急峻なローパスフィルタが必要になるという事です。

この点、密閉型SPは12dB/Octで緩やかに減衰するため、苦労なく自然な繋がりを得る事ができます。FOSTEXの密閉型サブウーハーでは、ローパスの減衰特性を12dB/Octに設定しているそうです。これはフィルタ回路そのものの特性値ではなく、最終的な音響出力の減衰特性を指すものと思われます。以前の記事で書きましたが、密閉型サブウーハーの特性は概ね右上がり約12dB/Octになるため、これに対して-24dB/Octのローパスフィルタをかける事によって、最終的な音響出力として-12dB/Octの傾きを得ていると思われます。だとすると、これはハチマルのパワードウーハー方式と全く同じですから、密閉型SPとは非常に良好に繋がるはずです。

そもそもサブウーハーで低音を増強するわけですから、その時点でメインSP側にバスレフによる低音増強効果は不要となります。というかバスレフ効果は上記の理由で逆に邪魔にしかなりません。ですから、ハチマルであれば迷わずGX100のポートに粘土を詰めて密閉型にした上でサブウーハーと組み合わせます(幸い背面ポートなので見えない)。また必要に応じて吸音材を増やしてもよいかもしれません。

この組み合わせにより、少なくとも-6dB/30Hzの特性をバスレフポート無しで得る事ができます。これは同社の最上級機G2000 (-10dB/30Hz、バスレフ型、一本60マンエン)を上回る低域特性です。しかもよりコンパクトで経済的。GX100をお持ちの方、ドデスカ?

CW200Aは定価¥39,800(税抜き)、MFB付きのCW250Aは定価¥79,800(税抜き)と価格も極めてリーズナブル。キッチリ調整された密閉型パワードウーハーでしっかりと正確な低音が聞こえるようになると、音楽の楽しさが倍増する事うけあいですよ。ビシッとタイトなピチカートベース、ズシッとおもいバスドラ、そして交響曲のダイゴミ。。。お試しアレ。

追記
最初から密閉型の10cm 2Wayといえば逸品館さんのAirbow IMAGE11/KAI2が断然オススメ。ペアで ¥42,900!
詳しくはコチラ
738.jpg
サブウーハーをアドオンで組み合わせるなら、このクラスがベストでしょう。

追記2
ア。それとね。調整する時は必ず測定しましょうね。これ、サブウーハーを正しく使うための鉄則だと思います。経験からすると、測定できっちりとフラットになっていると間違いなく聴感上も違和感を覚えません。測定しながらでも最初は調整に苦労すると思います。ベストな状態が全くわからないのに、最初から聴感だけで調整するというのは無謀以外の何物でもありません。

お役に立てたらクリックしてください。ランキングに参加してますにほんブログ村
テーマ:オーディオ
ジャンル:趣味・実用
2011年04月21日 (木) | Edit |
3"フルレンジドライバを含む小型密閉型SPとの組み合わせに適しそうな小型のパワードサブウーハーとして、FOSTEXのCW200Aをご紹介。20cmサブを1本使用した場合、ハチマルの13cm2本方式よりも低音音量的には余裕があると思います。シアター用の馬鹿低音を求めないのであれば、もう一回り小さくても良いかもしれません。
735.jpg
メーカーサイトはコチラ

以下は本製品の商品説明からの抜粋です。
超高級モデル以外の従来のサブウーハーはバスレフによるLFE(低音効果音)の大音量再生を重視した設計であり、低音楽器の最低音域の表現は困難でした。CW200Aは密閉型キャビネット設計により、フルオーケストラの醍醐味のひとつである弱音で演奏される低音楽器のうなりや響きを再生できる音楽性 能と、シアターでのLFE再生の両立を目指しました。音楽が持っている楽しさ、感動を伝えるためには自然な低域の広がりが不可欠です。(ソノトーーリ。。。タケモトピアノ風に)

以下は本製品の上級グレードにあたるCW250Aの商品説明からの抜粋です。
独立したサブウーハーの最大の問題点は、群遅延時間の増加です。極端な例は、バスレフ型でジャズトリオを再生するとベースの演奏が後打ちに聞こえてしまうこともあり、興醒めしてしまいます。密閉型の遅延はバスレフ型の約半分になりますが、更なる改善にはMFBが有効です。本機は密閉型である上に60Hzにおいて24dBものMFBを掛けることにより更に改善しており、ベーシストがジャズを的確なテンポでしっかりと下支えしている快感が楽しめます(これもソノトーーーリ)

というように、ハチマルがこのブログで再三強調しているのと全く同じような事が書かれています。そこまで言いながら、何故通常のスピーカー向けには大型も含めてバスレフ型ばかりを作り続けるのか?このサブウーハーとの組み合わせに適した小型密閉型スピーカーをどうして作らないのか?フシギ。。。

追記1
MFBとは、モーショナル・フィード・バックの略であり、スピーカーコーンの振動速度を検出し、アンプ入力と比較する事によってコーンの動きを制御するフィードバック制御の事。ハチマルの場合、FrieveAudioの位相補正によってオープンループで同じような事をしている。その効果は下図をご覧ください。

バイアンプ駆動ウーハー方式での測定結果。ピチカートベース音。赤がCDのソース信号、青がマイクで拾った音響出力信号。
565_20110421065447.jpg
遅延補正なし↑
564_20110421065445.jpg
遅延補正あり↑

MFB方式はリアルタイムで赤(アンプ信号)と青(音圧またはコーンの運動)を比較しながら、両者が一致するようにアンプのゲインを閉ループ制御する方式の事です。これに対しオープンループ方式は、事前に測定した遅延特性を基にフィードバックなしで固定的に補正する方式です。後者の方が精度的に劣る反面、フィードバック制御に伴う複雑な問題的挙動を伴わないという利点があります。FrieveAudioを使用した経験から、この種のアプリケーションではオープンループ方式で十分ではないかと思います。なんにもしなくてもバスレフ方式よりはずっとマシですし。

追記2
ハチマルは以前から、ジャズ等では30Hzまでの再生の必要性をさほど感じないが、交響曲を聴く時には30Hzまでフラットだと嬉しく感じると書いてきました。それはFOSTEX言うところの「フルオーケストラの醍醐味のひとつである弱音で演奏される低音楽器のうなりや響きを再生できる音楽性能」というやつなのかもしれません。ダイゴミだったのね。。。50Hz以下の信号レベルは高くないのですが、これが聞こえると交響曲を聴く楽しみがグッと増すような気がするのですよ。ハチマルは。もともとはカナル型イヤフォンで聞いて気が付いたんですけどね(しかも携帯電話で再生)。

お役に立てたらクリックしてください。ランキングに参加してますにほんブログ村
テーマ:オーディオ
ジャンル:趣味・実用