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2012年11月13日 (火) | Edit |
音楽再生システムの設計において、まず最初に決めなければならないのが、目標とする再生音量(音響パワー)です。これによって、システムの基本要件(スピーカ振動板のサイズ、振幅、アンプの出力)が決まるからです。ユーザは、自分が必要とする再生音量(音響パワー)に見合ったシステムを選択する必要があります。

今回は、ちょっと興味深いグラフを見つけたので、今一度再生音量について考えて見たいと思います。

ds-303(8).jpg
これはDIATONE DS-303のカタログに記載されていたデータのようです。出典は「オーディオの軌跡」さんです。そこには、
DS-303では、音楽鑑賞をする場合にどの程度の出力を持ったアンプで駆動すれば良いかという使用上の検討が加えられています。12畳から16畳にかけての大きなリスニングルームで聴取レベル100dB(瞬時値)をステレオ再生で確保するためには、能率を考慮すると100Wの耐入力性た必要となります。また、4.5畳や6畳程度の小さい部屋で条件を満たすためにも最低40W程度の出力た必要となります。このため、DS-303では40W~100W程度の出力を持ったアンプで駆動することが推奨されていました。
と記載されています。

いくつか興味深い点があるので、順番に見て行きます。

まず、HiFi再生に必要な音圧レベルの瞬時値を100dBに設定している点が挙げられます(ステレオ再生する場合、2本のSPで受け持つため、一本あたりの旬時値は最大97dB)としている模様)。なお、このスピーカの効率は約90dB@1m/1Wです。

以前当ブログで紹介した、とあるホールで計測されたベト5第1楽章の最大瞬時レベルは、最前列中央席で106.7dB、ホールの中央付近で89.9dBでした(参考記事)。従って、100dBというのは、かなりカブリ付きの状態を想定しているものと思われます。これらの値は、フィルタを一切通さない全くの瞬時値であり、中央席の89.9dBをFASTフィルタ(時間フィルタ)とAフィルタ(人間の聴感を考慮したフィルタ)を通した場合の騒音レベルは80dBAを大きく超えないであろうと考えられます。

また、さる機関(独立行政法人産業技術総合研究所)が実施した調査では、音楽を聴く際に80%以上の人が80dBA未満の音量で快適であると感じるという結果が得られています(参考記事)。僕自身も、時々リスニング位置の音量を計測してみるのですが、概ね70~80dBAの音量で聞いています。それ以上音量を上げると圧迫感を感じ始め、また周囲への影響も気になり出します。さらに、85dBAを超える音量を日常的に聴いていると聴覚にダメージを受けるとも言われます。

次に、この図で想定しているリスニング距離を見てみます。
この図では、リスニング距離を4.5畳間で約2.5m、6~8畳間で約3.5mと見積もっています。今時京間(955mmx1910mm)を使っている家は少ないでしょうから、畳の寸法をざっと0.90mx1.80mと見積もった場合(中京間、江戸間に相当)、4.5畳間は約2.7m x 2.7m (僕の部屋(3x3m)よりも狭い)、6~8畳間の長手方向の寸法は約3.6mです。つまり、上図では、スピーカを壁にピッタリくっつけて、リスナも反対の壁にピッタリと背中をくっつけた状態を想定している事になります。なんだか、オッキイソーチ(アンプとスピーカ)を売りたくてこのように極端な条件を想定したのではないかと勘ぐりたくもなりますね。これは再三申しているように、定在波の観点からは最悪の条件であり、良好なリスニング条件を得るには、少なくとも部屋の中央付近で聴く必要があります。さもなくば、イコライザが必須でしょう。

余談になりますが、オートグラフについて考えてみます。
オートグラフはコーナー設置を前提とするモノラル用スピーカですが、どのような使われ方を想定してチューニングされたのでしょうか。非常に高価な製品ですから、相当に裕福な顧客層を対象としていたはずです。さて、暖炉のある広いお部屋のコーナーにオートグラフを設置した場合、部屋の主はどこに陣取って音楽を楽しむでしょうか。そう、普通に考えれば、部屋の中央付近ですよね。たぶん、暖炉の正面あたりに座るのではないでしょうか。そんなお部屋で何もワザワザ壁にへばり付いて聴くはずがありませんよね。オートグラフは部屋のコーナーを使って低音を増強していると思われますが、そのようなスピーカを狭いお部屋にブチ込んで、壁にへばり付いて聴く場合、リスニング位置でどのような周波数特性が得られるか、興味深いところではあります。

以上のような事から、日本の一般的家屋において、部屋の中央付近に座って適度な音量で音楽を楽しむのであれば、上図で見る限りアンプの出力は瞬時最大値でも数W~10数W(L/R合計)もあれば十分であろうという事になります(下図の黄色の領域)。
ds-303(8) copy

部屋のサイズによってリスニング距離がほぼ決まり、必要音響パワーがほぼ決まります。つまり、部屋のサイズに応じて必要なシステムのサイズ(振動板面積x振幅とアンプ出力)がほぼ決まるという事です。また、リスニング距離が近い程(部屋が狭い程)、心理的にもスペース的にも装置のサイズは小さくしたいですよね。4.5畳間で38cmウーハの4wayを目の前に置いて聴くのは非現実的でしょう。僕が提唱している密閉型ブースト/2.1ch方式であれば、低音再生限界は振動板サイズと箱容積に基本的に依拠しないため、音量(部屋のサイズ、リスニング距離)に見合った適度なサイズでも低音再生帯域を犠牲にせずに音楽再生システムを設計する事ができます。つまり、リスナは自分にピッタリサイズのシステムを、音楽再生において不可欠の低域再生を犠牲にする事なく、選ぶ事ができます。そのミニマムな形態がケロ君です。

密閉型2.1chまたは2.2chパワードウーハ システムの様々なコンフィグレーション
719 copy
大きさは異なっても周波数特性は全て同じです。異なるのは最大音量だけ。ZAP君はSMALLクラスですが、デスクトップ用としては過剰性能です。普通の6畳間の中央で聴くのであればこのクラスで十分でしょう。

追記
余程のマニアでもない限り防音を施された専用のリスニングルームなぞ持たないでしょうし、普通は自分にとって最もリラックスできる快適な住環境(リビングなり自室なり)で音楽を楽しみたいと願うでしょう。従って、装置には快適な住環境を乱さない事、つまり十分にコンパクトであり、住人のライフスタイルやセンスにマッチした外観を持つ事が求められます。必要十分な音量(なにもフルオーケストラの最前列席の音量をサイゲンする必要など全くナイ)で必要十分な音楽再生クオリティ(なにもデンセンやアンプのチガイをワザワザシューチューとかショージンとかして聞き分ける必要など全くない)を達成できていれば、ヤタラコマケー オンシツなどをツイキューとやらするよりもコンパクト化とデザインの方が余程重要です。もちろん低価格化もね。。

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2012年10月08日 (月) | Edit |
お約束通り、再生音の付帯的現象に関するデータをご紹介します。

音の付帯的現象に問題の多いバスレフ型を題材とし、下記の内容で2回にわけて書く予定です。
1回目: 箱内部の定在波とポート自体の共振音の影響と吸音材の効果
2回目: バスレフ型における応答の遅れ

いずれもTONO君(Alpair 6P、7L)を使って一連の計測を行いました。現象をシンプルにするために、ポートは前面のスピーカのすぐ近に配置しました。

おなじみのシミュレーションです。
シミュレーション
約60Hzを同調点としました。

約30cm前方での実測値です。吸音材は一切入れていません。
20cm F特
青が密閉、赤がバスレフです。相変わらず計算とよく一致しています。50Hzで-6dB程度ですから10~13cmウーハを使った市販の小型2Wayクラスに相当します。バスレフ効果は同調点(60Hz)で7~8dB程度です。なお、4~5kHzの盛り上がりはドライバ固有の特性です。

緑は密閉型をベリンガのグライコでブーストした特性です(63Hzバンドを約+7dB)。以前にも書きましたが、密閉型をトーンコントローラ等でチョイト6dB程度ブーストするだけでも、ロールオフ周波数をバスレフ型並に下げる事ができ、しかもバスレフ型よりもなだらかな減衰特性が得られます。

図中の黄色の帯は、ポート自体の最初の(基本モードの)共振領域を表しています。上のシミュレーションの「ポート出力」曲線(青)の最初のポート共振領域(約800Hzから約2.5kHz)に対応します(実際の周波数は、シミュレーションよりもやや低めです)。詳しくは後で説明します。2本の赤の縦線は箱の定在波の周波数です。低い方は箱の前後と左右壁(ほぼ同じ)、高い方は上下壁による定在波に対応します。

それでは詳細なデータをご覧ください。

1. ポートからの音
まず、どのような現象が起こっているのかを、ポート前方3cmの位置で計測したデータで見てみましょう。
a)吸音材なし
ポート吸音材なし
黄色が最初のポート共振領域です(ディップからディップ、シミュレーションよりもやや低め)。この領域に箱の定在波のピーク(赤の2本の縦線)が重なっています。

b)吸音材を3面にはる
ポート吸音材3枚
最小限の吸音措置として、吸音材(ミクロンウール)を3面にだけはりました。この状態では、肝心のバスレフ効果はほとんど低下しませんでした。データを見ると、定在波の急峻なピーク/ディップが明らかに減少してる事がわかります。しかし、最も面積の広い上下壁の定在波の影響はまだ残っているようにも見えます。また、ポート共振領域(黄色領域)の盛り上がりは残ったままです。

C)ポート塞ぎ/吸音材たっぷり
ポート吸音材たっぷり
マイクロフォンはポート前方3cm位置ですが、ポートを粘土で完全に塞いでいます。従って振動板だけの音です。上の2つのグラフには振動板からの音も多少含まれています。

2. 振動板からの音
今度は振動板の前方約3cmにマイクロフォンを置きました。
a)密閉/吸音材なし
振動板 吸音材なし密閉
b)バスレフ/吸音材なし
振動板吸音材なし
c)バスレフ/吸音材3面
振動板吸音材3枚
d)密閉/吸音材たっぷり
振動板吸音材たっぷり

振動板前面では、密閉もバスレフも付帯音の大きさはあまり変わらないように見えます。また、吸音材を3面にはると定在波のピークが明らかに減少します。それでも、前後/左右の定在波の影響はわずかに観測できます(左側の赤線)。上下壁面の定在波(右側の赤線)がほとんど観測されないのは何故でしょうか??ポート音では、吸音材を3面にはっても上下の定在波はしつこく残ったように見えたのとは対照的です。ポチ箱とも傾向が異なるため、とりあえず謎のまま保留。

3. 両方の音の計測
今度は、マイクロフォンを少し離して、振動板+ポートの音を計測しました。マイクロフォンはスピーカのセンターではなく、ポート側に少しオフセットしています(両方の音をほぼ均等に拾うため)。最初にお見せしたF特グラフではプロットがギザギザ過ぎてみにくいため、約15cmの距離で計測しています。
a)密閉/吸音材なし
吸音材なし密閉
b)バスレフ/吸音材なし
吸音材なし
C)バスレフ/吸音材3面
吸音材3枚
d)密閉/吸音材たっぷり
吸音材タップシ

ポート共振による比較的広い周波数領域の盛り上がりと、内部定在波による比較的鋭いピークから成る付帯音成分がはっきりと現れています。上の振動板直前で測定した結果とは異なり、吸音材なしの密閉型とバスレフ型を比べると、バスレフ型の方が付帯音成分が明らかに大きい事がわかります。これは密閉型には皆無であるポートの共振音が発生するのと、ポートから箱内部の定在波を含む音が放出されるためであると考えられます。吸音材を3面にはると、定在波のピークはそれなりに減少しますが、ポート共振による盛り上がりはそれほど改善されません。吸音材たっぷりの密閉型では、そのような鋭いピークや盛り上がりがほぼ平坦になっている事がわかります。1.3kHz近辺の凹みは原因不明ですが、部屋の影響ではないかと思われます。

4. 考察
今回の計測データは以上です。

このように、バスレフ型ではポート自体の共振音が生じる事と、穴からボックス内部の音が漏れる事により、密閉型に比べるとどうしても付帯音が多くなります。定在波は吸音材を使って容易に低減できますが、バスレフ型の場合、肝心の共鳴効果を十分に確保するために吸音材は最小限に留めたいところです。そう考えると、バスレフ型では、箱形状の工夫による定在波の低減が非常に効果的ではないかと思います。対して、密閉型であれば、直方体の箱であっても、吸音材を大量に充填する事により、定在波の影響をほぼ完全に抑える事ができます。

肝心のバスレフ共鳴効果を得るには、ポートは必ず筒として働く必要があるため、ポート自体の共振音を抑制する根本的な方法は無いでしょう。なぜならば筒としての特質が無くなれば、肝心の共鳴効果も無くなってしまうからです。

また、今回のように、ポートの最初の共振領域と定在波が重なってしまうのも良くないかもしれません。箱の寸法は、容積が決まれば、見た目のバランスもあるため、それほど極端にプロポーションを変える事はできないでしょう。しかし、共鳴周波数を変えずにポートを「太く/長く」するか「短く/細く」する事により、ポートの共振周波数を移動する事は可能です。ただし、太く/長くすると、下図のようにポート共振の音がより盛大に出てしまうため、注意が必要です。

シミュレーション2
同調周波数を約60Hzに維持したまま、ポートを極端に太く長くしました。この場合、ポートの共振周波数を低周波側へ移動できますが、共振音のレベルが上がってしまいます。

逆に細く/短くすると共振音のレベルを下げる事ができますが、風切り音に注意が必要でしょう。。と考えれば、結局それほど選択の自由度はないかもしれません。箱の形状を工夫して定在波を極力抑えた上で、風切り音が問題にならない範囲でポートをできるだけ細く短くするというのが最良の手かもしれません。また、設置条件によっては、背面ポートにした方が耳に届くポートからの付帯音を低減できるかもしれません。ただし、背面ポートの場合、設置場所によって低域の特性が変化しやすいといった問題を抱えます。ちょっとした家具の上等に気軽に設置する事はできぬでしょう。本来、コンパクトなスピーカほど、設置自由度は高くあるべきだと思います。

なお、ウーハーのローパスフィルタのカットオフが十分に低く(たとえば100Hz以下)かつ十分に急峻であるために、ウーハーの出力帯域が箱定在波周波数にもポート共振周波数にも重ならない場合、以上のような付帯音問題は基本的に解消されます(起振源がなくなる)。従って、僕が常々提唱しているように、密閉型小径フルレンジ(あるいはワイドレンジツイータ)を基本とし、そのロールオフ領域だけを別のウーハーに受け持たせる場合、バスレフ型であっても付帯音的な問題は深刻ではなくなるでしょう。しかし一般的な市販大型マルチウェイの場合、38cmウーハーでも700~800Hzでクロスオーバし、当然箱のサイズも相応に大きい(すなわち定在波周波数は相応に低い)ため、定在波問題を逃れる事はできないでしょう。

バスレフ型は、このような付帯音以外に、応答の遅れが生じるという問題を抱えています。次回は、そのような問題によって生じる現象について、計測データを交えながら考察を加えたいと思います。オッタノシミニ!

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2012年10月05日 (金) | Edit |
今回は、主にスピーカによる付帯的な音の現象について書いてみます。

僕は「音質」をシューチューして聞き分けるのではなく「音質」なんか気にせずに「音楽」を聴いている時に「気に障る」(違和感を覚える、不自然に感じる、不快に感じる、聞こえ難く感じる)現象を重視します。「オンシツ」を聞き分けたり「ツイキュー」したりするのが目的ではなく「音楽」を快適に聴けるようにする事が目的だからです。「オンシツ」を「シューチュー」して聞き分けている時の聴き方と、「オンシツ」なんか全く気にしないで「聞く」という意識が遠のいて無意識に「音楽」を追いかけて楽しんでいる時の聴き方は基本的に全く異なるように思えます。だいたいライブで聴いている時にナンチャラカンたらテーイたらクーキカンなんざ気にしないですよね。それと同じです。当初、この点がわからず、無駄な試行錯誤をたくさんしてしまいました。

そのように「音楽」を聴いている時に気に障った現象をコツコツと潰してきた結果が現在のZAPシステムです。「気に障る成分」とは、大雑把に言って「ソースには含まれていない余分な音成分」または「ソースとは異なる(ソースから歪んでいる)音成分」です。それらの成分が過剰に含まれていると「音楽」が聴き辛くなるという事です。考えてみれば当然の事です。ソースに記録されている「内容」を楽しもうとした場合、ソースとは異なる成分は端的に言って「ノイズ」だからです。

僕が「付帯音」と言う時、それは主に前者「ソースには含まれていない余分な成分」の事を指します。これには、箱内部の定在波が振動板の前面に透過(伝播)してくる音、箱の表面振動によって放射される音、箱の振動が床や机に伝わって放射される音、バスレフポートの筒自体の共振音、ポートから漏れる内部定在波の音が含まれます。特に、定在波やポートの共振音等、一定周波数の付帯的音成分は長く聴いていると、凄く気になりだします。

例えば、吸音材を入れないと、「音楽」を聴いているうちに、特にピアノソナタで、一定周波数の「コーーーー」という地下鉄で聞こえるようなというかなんというか、気に触る音の癖が耳につき始めます。これはハチマル用語で「箱臭い音」と呼びます。

もう1つの「ソースから歪んでいる音成分」には、主にスピーカの出力特性のロールオフによる低音不足、部屋の定在波による主に低音部の周波数特性の乱れ(ピーク/ディップ)、バスレフポートによる恐らく過渡応答的な波形の乱れが含まれます。前回の記事で書いた位相の遅延による影響も後者に含まれますが、少なくとも僕のフルレンジ+密閉型システムにおいてはそれほどクリティカルであるとは思えません。

例えば、僕はジャズを聴く時、常に半ば無意識にピチカートベースの音を追いかけますが、バスレフ型でずっと聞いていると不自然さが気に障りだして結局穴を塞いでしまいます。また、交響曲の低音部で時々遅れて聞こえるようなボーといういつも同じ音程の変な音が気になりだします。

上記のような現象は、僕の場合、いずれも短時間のシチョー(試聴)ではあまり気になりません。

「気に障る成分」を2つに分類しましたが、これらは結局「ソースの信号波形にソコソコ近い音を耳に届けられれば「音楽」は聴きやすくなる」に帰結します。マニア達がツイキューするいわゆる「良い音?」になるのではありません。そこに記録されている「音楽」が自然な音で聴きやすくなる、そこに記録されている「音楽」の全体と細部をより楽に聴き取れる感じ取れる楽しめるようになるという事です。

そのようにして現在までに施した具体的な対策を以下にざっと上げてみます
○ ニアフィールドリスニング(部屋の影響の低減)
○ 密閉型(低音のたぶん単純な遅延ではなく動的挙動の改善、付帯音の低減)
○ 吸音材たっぷり(付帯音の低減、恐らく低音の動的挙動の改善)
○ 箱のアホみたいな補強(そこまで必要かは不明、たぶんヤリスギ)
○ DSPやアナログイコライザによる低音ブースト
○ 密閉型パワードサブウーハによる低音補強
○ DSPやアナロググライコによる特性のフラット化、ピーク/ディップの緩和
○ スピーカをデスクトップに置かずに窓枠に固定
○ 左右SP間距離を縮めるまたはモノラル化(おそらく左右間の干渉の低減)

これらの対策のおかげで、最近は音楽を聴いていて気に障るところも無くなったためネタ切れ状態です。低ビットレートのラジオを聴くために真空管アンプを復活させた事くらいでしょうか。。。。TONO君用のTU-870をオークションでお安く落札しました。結局これが一番安上がりですね。

真空管アンプを使うという事は、歪みを付加している事になるわけですが、これはあまり気になりません。恐らく箱の定在波やポートの共振音とは異なり特定周波数だけに発生する共振現象ではないからだと思われます。楽曲によっては聴きにくく感じる事もありますが、低ビットレートのラジオを聴くにはとても効果的なような気がします。

次回は、付帯音に関連する計測データをいくつかご紹介できれば。。。と思います。キガムケバ。。。

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2012年05月30日 (水) | Edit |
今回は、前回の計測結果をシミュレーションで検証してみます。

以前にも何度か紹介したStandwave2という定在波シミュレーション ツールを使いました。なかなか使えるソフトですので、ご興味のある方はコチラからダウンロードしてください。お薦めします!

まずは前回の計測結果を再掲します。
meas.jpg
シミュレーションが500Hzまでなので、計測結果も500Hz以下だけを切り出しました。赤が前方約20cm、緑が部屋の中央、青がベッドの枕の位置です。

次にシミュレーション結果です。
simu copy
プロットの色は上図と対応しています。計測結果と非常に良好に一致していると言えます。シミュレーション結果は、20Hzまで全くフラットな音源を使って計測した状態に相当します。これに対しAlpair6P+密閉箱を音源として使った実測データの100Hz以下は、概ね12dB/Octの傾きで減衰しています。そこのところの違いは頭の中で差っ引いて考えてくださいね。

シミュレーションの条件は下記の通りです。
部屋の幅x奥行き: 3x3m
天井の高さ: 2.4m
部屋の反射率: 6面全て0.7 (デフォルトよりかなりデッドです)

下はスピーカとリスナの配置です。
simu ichi
赤四角がスピーカ。青丸がリスナ(部屋中央とベッド枕)。これは平面図ですが、各点の高さも設定しています。
実際のハチマルの仕事部屋は長方形ですが、作り付けのクローゼットがあるため、音響的に実効約3x3mの正方形に近い状態です(とにかく狭いのよ)。当然ですが、正方形は音響的に好ましくありません。

以上でシミュレーションが十分な精度を持つ事を確認できたため、各種条件で計算してみました。

1) コーナーの効果
スピーカの設置場所を変更して、音源から距離20cmでの特性を計算しました。下は配置図です。
near ich
スピーカとリスナを同じ高さに設定し、スピーカ正面20cmにマイクを置いて計測した状態をシミュレートしています。
near.jpg
赤が実際のTONO君の位置です(すなわち天井と正面および右側面の3面が交わるコーナー)。リスナの高さもスピーカと同じです(すなわち真正面で計測した状態)。青は、高さはそのまま、スピーカとリスナを右側面の中央に移動した状態(すなわち天井と右側面の2面が交わるコーナー)。緑は青の位置からスピーカとリスナの高さを1.2mまで下げた状態(すなわち右側面の中心)です。
コーナーでは100Hz以下のレスポンスが増加し、2面が交わるコーナー(青)よりも3面が交わるコーナー(赤)の方が影響が大きい事がわかります。緑に対する赤のゲインは6~8dBあります。これは同一容積の密閉型に対するバスレフ型のゲインとほぼ同等です。

次にリスナをベッドの枕位置に固定してスピーカだけを移動してみました。
far.jpg
色は上図と対応しています。緑(壁中央)に対して青(2面コーナー)の効果は少ないですが、赤(3面コーナー)の低音増強効果は最大で12dBにも達します。おかげでTONO君の場合、8cmフルレンジの密閉箱だけで、バスレフ効果や信号ブーストの助けを一切借りずに、十分以上の低音レベルを得る事ができました(ディップは酷いけどね)。

2) スピーカと壁の距離
2つ上の図の緑の状態(右側面中心)から、スピーカとリスナを部屋の中央まで移動しました。
kabe ichi
スピーカとリスナの距離は20cmのまま。高さは共に1.2mです。
kabe.jpg
スピーカを壁から離すと、約60Hz以下の低音のレベルが下がりました。影響の大きさはコーナー部ほどではなさそうです。

3) 部屋の広さ
天井の高さは2.4mのまま、幅と奥行きを2倍の6mにしてみました。
6m ichi
黄色の部分が実際のハチマル部屋の大きさです。

6m.jpg
赤は3mの実際の部屋の状態(枕位置)です。緑は、スピーカとリスナの関係を固定したまま、部屋だけ大きくした状態です(すなわち6m部屋のほぼ中央で聴いている状態)。青は、リスナを左下隅まで移動した状態です。
スピーカとリスナの距離を変えずに部屋だけ広くすると、ピークが減少してF特は平坦に近付きますが、部屋に合わせてリスナも後方に下がった場合、ピークの高さ自体はほとんど変わりません(ただしピークの周波数は低い側に移動)。

以前にも書きましたが、ニアフィールド効果が十分に得られる(低域のF特が十分に平坦になる)リスニング距離というのは、一概に何メートルという事はできず、部屋の大きさとの相対的な関係が強く影響します。一般的な目安としては、部屋の中央より前寄りで聴く事により、それなりの効果が得られます。部屋の前寄り1/3くらいまでスピーカに近付く事ができれば理想的ではないでしょうか(ZAP君はこの状態)。要は、できるだけ広い部屋をできるだけ小さく使えば、定在波の影響から逃れる事ができるという事です。いくら部屋が広くても、それに合わせてスピーカから離れたのでは、良好な結果は得られません。離れて聴かざるを得ない場合(狭い部屋に大きなSPを置いている場合等)は、TONO君のようにイコライザによる低域の補正が効果的であると思われます。バスレフ型で低音が出すぎる場合は、ポートに詰め物をするのも効果的でしょう。

いずれにせよ、真っ当な音楽再生を目指すのであれば、一度リスニング位置で計測してみる事を強く推奨します。何もFrieveAudioで補正したように真っ平らにする必要はなく、40~10kHzの帯域が±6dBの範囲に、顕著なディップなく、全体的に自然な形状で概ね収まっていれば、まず十分であろうと思われます。しつこいですが、これは音楽再生における基本中の基本です。全ての「コマケーコノミノモンダイ」や「ナンチャラカン」とかは、これが必要十分に達成された後の「オタノシミ」という事ではないでしょうか?

計算結果は以上です。

このシミュレーションは500Hzまでしか計算できません。また、ハチマル部屋での実測でも、500Hz以上の特性には部屋の影響が殆ど見られませんでした。次回は、ほぼ可聴帯域の全域を使う西洋音楽において、500Hz以下の帯域がどのような位置付けにあるのかについて考察し、音楽再生における重要性について考えてみたいと思います。

追記
いやぁしかし、ファーフィールド(というか一般的な距離)では低域に対する部屋の影響が凄まじいですね。今回TONO君を試してみて改めて実感した次第です。バスレフだ密閉だとチマチマやるのがアホらしくなるくらいです。

最近はポートを完全に塞いだTONO君で専らラヂオを聴いていますが、かなり良い線を行っているように思います。撤収の憂き目に合う事はどうやら無さそう。。。ですね。合格!としましょう。全くモノラルで十分だし、聴きやすいし。イコライザの方も、シンプルに250Hzバンドをブーストするだけでエーンチャウ?という所に落ち着きそうです。ネットラジオの音質(192kbps)もハチマルには全く十分。近いうちにTONO君も綺麗にお化粧しないとね。。。

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2012年05月27日 (日) | Edit |
構成がほぼ固まったので、大雑把に周波数特性を計測してみました。

まずはAlpair6Pの設置状態
tono_20120526152348.jpg
いつものオシゴト ポジションからの視点。デスクトップ右上方の部屋のコーナーに天井からぶら下げました。例によってバラックの実験君状態です。箱は以前使っていたVictor製パワードウーハーの箱を流用。容積は約7L。ベッドの枕位置に真っ直ぐ向くように下方に傾けると高音がきつく聞こえるので、それよりは上向きです(少しだけ下に向けた状態)。完全にできあがったら、AirMac、イコライザ、アンプを本棚の上に移動して、ケーブル類を最短にする予定です。デンセン大嫌い。

まず、参考データとしてZAP君の周波数特性を再掲しておきます。zap.jpg
仕事中のいつものリスニング位置(距離は約65cm)で計測。補正は一切無し。赤はサブウーハON。黄色の領域は±6dBの範囲を示しています。実際のリスニング位置で計って40Hz~10kHzのレスポンスが±6dBに概ね収まれば、まぁえーんちゃう?というのが一応のハチマル基準です。

ではTONO君のデータをお見せします。データは全て背面ポートを塞いだ密閉型の状態で計測しています。吸音材は、内壁に貼り付けるだけでなく、内部空間全体に軽くフンワリと満たした状態です。ZAP君よりは大分少なめです(ZAP君はすり切り一杯という感じで充填している)。

1) まず、ドライバの真正面約20cmの距離でで計測しました。全てマイク手持ちなのであまり正確ではありません。
1.jpg
青がデスクの前端に置いて約20cmの距離で計測した結果です。典型的な密閉型の特性を示しています。赤が天井から吊り下げた状態で正面約20cmで計測した結果です。全く同じスピーカですが、こちらは50Hz近くまでフラットに伸びています。これがコーナー設置のソモソモの狙いです。ただし200Hz前後は低下しています。後の計測結果をご覧になれば分かると思いますが、どこかの帯域が増加すると、必ずと言って良い程、その隣の帯域が減少します。これは、音響系をイヂル場合の典型として心得ておく必要があります。

通常、このような部屋のコーナーへの設置は良くないとされますが、今回のトライは、それを逆手にとって、敢えて利用してしまおうという事です。最初は正三角形の平面バッフルだけ作って、壁/天井に直接固定して密閉箱にしようかと考えていました。しかし、使わない箱が邪魔でしょうがないので廃物利用の精神を発揮してしまいました。

2) 何度でもシツコク言いますが、重要なのはあくまでもリスニング位置での特性です。下は枕位置の特性。
bed.jpg
どしぇー!というくらい凄まじいディップが発生。100Hz以下はモリモリだし。。(ソモソモこれが狙いなんですけどね)。50~500Hzはベースの重要帯域です。ここで激しく凸凹するとベースが非常に聴き辛くなるため、ハチマルとしてはゼッタイに捨て置くわけには行きませぬ。ちなみに、ベースに関してイコライザーの使い方で良く言われるのは、「厚み 80-100Hz 抜け 200-500Hz」とか 「輪郭、重み 150Hzブースト250Hzブースト」です。
シャープ(狭帯域)なディップなら、何dB落ち込んでも大して気にする必要はないのですが、コイツは1オクターブにわたって落ち込んでいます。このようにF特曲線の全体的形状が明らかに変わるようなディップは問題です。これを埋める事ができれば、100Hz以下の盛り上がりは大した問題ではないでしょう。

各所の特性を重ね書きしました。
2.jpg
赤は正面約20cm、緑は部屋の丁度中央、青がベッドの枕の位置でのデータです。SP前面から枕の中央までの距離はざっと見積もって約3mあります。スピーカと枕は互いに直方体の対頂角を成す関係に近く、この部屋で現実的に取り得る最も長い距離だと言えます。
部屋中央(緑)では、約125Hzにピーク、約250Hzにディップが生じ、100Hz以下で赤(20cm)よりもレスポンスが低下しています。枕位置(青)まで離れると、250Hz前後のディップがさらに顕著となり、逆に100Hz以下ではレスポンスが赤よりも増加しています。一方、500Hz以上の領域は、測定位置にほとんど影響されない事がわかります。既に述べた理由により、青(枕)と緑(中央)はスピーカの軸線から下方に外れているため、10kHz以上では真正面で計測した赤よりもレスポンスが低下しています。

これらはiTuneのイコライザである程度補正できる事を確認済みです。しかし、前の記事で書いたように、iPadのラジオチューナーを使う場合イコライザは使えないため、9バンドのイコライザを購入しました。

3) 9バンド イコライザを使って補正した結果です。まずは枕位置。
3.jpg
青がイコライザOFF、マゼンタがONです。9バンドしかないため、大雑把な補正しかできませんが、特に200Hz前後のディップを埋める事によって、ベースが随分聴きやすくなりました。聴感上の効果も明らかです。そもそも、用途(ラヂオ、BGM)からして、ZAPのようなダイレクト感や位相の正確さを求めるわけではないため、今のところイコライザの弊害と思えるような違和感は感じません。後はイロイロな曲を聞いている中で、気に障る所があればチョコッと微調整を繰り返して設定を煮詰めれば良いでしょう。

イコライザの設定はこんな感じです。
eq1.jpg
兎にも角にもナニハトモアレ250Hzのディップを埋めた後、他のバンドで全体の帳尻を合わせました。1kHz以上はフラットなまま一律-6dBとしています。4kHzバンドは少し落とした方が良いかもしれません(ドライバの癖)。

ブーストする場合、信号のクリッピング(飽和)に注意が必要ですが、このイコライザには入力および出力の信号レベルを示すLEDインジケータが付いており、クリッピングには十分な余裕がある事を確認済みです。
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さすが業務用。iTuneのイコライザは飽和しても何もしてくれないので注意が必要です。

参考に中央位置での補正結果も掲載しておきます。
4.jpg

eq2.jpg
こちらは比較的小さな補正で済みました。やはり距離が近いと補正も楽です。この位置は、仕事に疲れた時に、椅子に座ったまま足をうーんと伸ばして後にふんぞり返った時の耳の位置に相当します。小休止モードですね。以前にも書いたように、低音の定在波を嫌う場合、できるだけ部屋の中央より前で聴く事をお薦めします。一般的住居において、100Hz以下の吸音は現実的に不可能だと考えた方が良いでしょう(お金とスペースの無駄使い)。どうしても離れて聴く必要がある場合はイコライザが必須でしょう。

最終的には、どちらの位置で聴いてもソコソコOKなイコライザ設定を見つけて、後は一切さわらないようにする予定です。メンドクサイのは嫌い。。。

4) 最後にオマケとしてバスレフ型の計測結果をお見せします。
5.jpg
枕位置で計測。緑がバスレフ。明らかに低音過多です。これではイコライザでも補正しきれません。バスレフ型としては異常なほど大量に吸音材をブチ込んだのですが、それでもこの状態です。背面ポートなので、背後のコーナーの影響を受けてポートの効果が大きく出るのかもしれません。じゃあ、というのでポートを思いっきり長くして同調を下げたのですが、そうすると時々ボーボーと鳴ってダメでした。もちろん、デスクトップに置いた状態で計測すれば、吸音材を最小限入れた状態でほぼ50Hzまで綺麗にフラットになる事を事前に確認済みです。

いつものシミュレーション結果
sim.jpg
デスクトップで計測すれば、ほぼシミュレーション通りの結果が得られるのですが。。設置場所や部屋の影響は凄まじいですね。ほんとに厄介です。特に背面にポートを持つバスレフ型は設置場所の影響を受けやすいので注意が必要です。部屋の隅近くに置く場合、ポートの詰め物(製品に同梱される場合が多い)が必要かもしれません。

という事で、やはり例によって密閉型に落ち着きそうです。

次回は、これらの結果を基に考察を加えたいと思います。

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2011年05月05日 (木) | Edit |
バッフルが極小なせいもあり、かなりハイ上がりな特性となるため、これを修正すべくチューニングしてみました。デジイコで修正してしまえば問題ないのですが、iTuneでそのまま気軽に聴けるようにするために、素の特性をもう少しフラットにしようというのが狙いです。

以下はリスニング位置でのF特です(吸音材5x2枚)。
ポートを塞いだ状態
790.jpg
ポートを明けた状態
789.jpg
部屋が干渉して200Hzでディップが発生しています(振動板直前の音にもポート音にもこのディップは存在しない)。部屋の定在波シミュレーションでも200Hzに強いディップが再現されました。右側の壁が悪さしている見たいです。測定点の高さを少し下げるとディップは減少。とりあえず仕方ない。

上図のように、1k~5kでレスポンスが6dB程度盛り上がっており、高音が出過ぎに感じます。このような傾向は、ドライバの素の特性に加えてバッフルが極小である(というか無い)ために、より強まっていると考えられます。

最初のチューニングでは、吸音材を1枚、2枚、3枚と増やしたのですが、定在波がなかなか減衰しないので4枚を飛ばして一気に5枚にしてしまいました。下はその時のデータです。赤が吸音材なし、黒は1、2、3枚(x2)、緑が5枚(x2)です。
766.jpg
強い定在波が300Hzから1kHzで発生しています。この定在波を適度に利用して、この周波数領域の出力を少し持ち上げようというのが今回の狙いです。

下は、吸音材を左右で1枚ずつ減らした(4x2枚)時のリスニング位置での特性です。
788.jpg
良い感じになりました。狙い通り300~1kHzが持ち上がってハイ上がり傾向が緩和されました。さらに、200Hz以下の領域でもレベルが増加しています。これは吸音材を減らす事によってバスレフ効果が高まったためだと考えられます。イコライザ無しでも聴いてもハイ上がり感は随分和らぎました。

3つを重ね合わせました。
787.jpg

下は4枚x2のポート音です。
791.jpg
定在波の鋭いピークは十分に潰れていますが、300~1kHzの領域が全体的に盛り上がっています。1kHzより上のピークはポートの筒っぽ共振音だと思われますが、十分に低く抑えられています。

下はポートからマイクを内部に挿入して測定した内部音です。
792.jpg
直管部には吸音材を一切入れていませんが、管長手方向の定在波(300~1kH)以外の顕著な定在波は全く見られません。これは円断面である事と、スピーカー背面からの高域音が吸音材によって効果的に遮断されているためと考えられます。

塩ビ管って結構使えますね。これに比べると四角い箱は厄介です。スピーカーを四角い箱に入れるというのは、単に製作が楽というだけであって、音響的には「無謀」とさえ思えてきた。

次回はバッフルプレートの効果について調べてみたいと思います。

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2010年10月17日 (日) | Edit |
部屋の定在波の影響は「音楽の聴きやすさ」を阻害する大きな要因となります。

以前の記事でベッド位置での特性をお見せしましたが、今回は部屋の数カ所で測定してみました。
測定箇所を下図に示します。
600_20101017123648.jpg

今回は13cmウーハーだけを使用しました(測定位置が離れるとそれだけボリュームを上げねばならず、虎の子のAlpair5をあまりイヂメたくなかったのよ)。このウーハーは5kHz以上で出力が低下するため、測定データは5kHz以下だけを表示します。定在波の影響が顕著に表れるのは低域だけなので、目的上なんら問題はありません。

601_20101017124008.jpg
赤がウーハー前方20cmでの測定値(実はこの位置でも既に部屋の影響が見られます)。黒が補正後の出力です。20Hzまでほぼフラットな出力が得られています。今回はこのフラットな出力を用いて、部屋の各位置での応答を測定しました。

602_20101017124212.jpg
通常のリスニング位置よりやや後方の約80cmでの測定結果です。すでにかなり凸凹している事が分かります。約1kHzのディップは部屋の影響ではなくデスクトップの反射の影響です。通常この帯域はAlpair5に受け持たせていますが、Alpair5はウーハーより高い位置にあるため、通常の使用状態ではこれほど顕著なディップは発生しません。

603.jpg
上記から60cm後退した140cmでの結果です。100Hzを中心に大きく落ち込み、60Hz以下ではゲインが発生しています。

604.jpg
さらに60cm後退した200cmでの測定値です。基本的に140cmでの結果と大きく変わりません。100Hz前後の落ち込みはやや改善されますが、60Hz以下のゲインは逆にやや増加しています。

605.jpg
200cmの位置から左右に1m程度移動してみましたが、傾向はほとんど同じです。

今回の結果を見る限り、スピーカーからある程度以上離れると応答特性は場所によってあまり変化せず、部屋の形状でほぼ決まってしまうように見受けられます。

このような現象は、平行な壁面の間を音波が行ったり来たりして測定位置で互いに強めあったり弱めあったりして生じるワケですが、波長が部屋の寸法と同等以上となる低音域ではその影響が大きく出ます。何度も行ったり来たりした音を聴くことになるため、周波数ドメインだけでなくタイムドメイン的にも影響が出ます。これは周波数ドメイン的音場補正だけでは補正しきれません。

低音になるほど吸音は困難となり、一般的住居で効果的な吸音を施す事は極めて困難です(実験用無響室の壁面があのように巨大な凸凹で覆われているのはそのため)。オーディオルームを専用に設計するのであれば、平行面をなくす等の対応も取れますが、通常の住居ではそれも適いません。

最も手っ取り早いのは、とにかくスピーカーに近づいてできるだけ耳に届く直接音の割合を増やす事です。これがニアフィールドリスニングの最大の利点であり、すなわち音楽の聴きやすさを求めならば「スピーカーは小さくて近いに超した事はない」の所以です。

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2010年06月12日 (土) | Edit |
僕は一日中自分の机で仕事をしており、その間ほぼ常時音楽を流しています。1時間に1度程度の休憩をとるので、その際には多少ボリュームを上げて音楽に聴き入りますが、ほとんどは「ながら」で聴いています。

そんな僕が普段やっている試聴法をご紹介します。
特徴を挙げると
1) 仕事をしながら半ば無意識に音楽を聴く
2) 長時間聴く
3) 様々なジャンルの曲を聴く
の3点になります。

僕の経験からすると、オーディオ装置の何かを変えた後に「音質」に「集注」して「聴き比べても」あまり良い結果は得られません。短時間聴いただけだと良く聞こえても、長時間聴くと駄目という事が多々ありました。仕事をしながら「様々なジャンル」の「音楽」を「音質を気にせず」に半ば「無意識」に「長時間」聴いていると、楽器音の変な癖が鼻(ではなく耳ですね)に付き出します。そうなった時点でなんらかの変更を加えて同じように暫く聴く、という事を繰り返しながら現在の状態に至っています。ですから、吸音材があのような満杯状態になるまでに数ヶ月はかかっています。

バスレフポートや箱の定在波にしても、ちょい聞きだと「別にエーンチャウン」と思うのですが、
例えば顕著な定在波が存在する場合には、特にピアノソナタ等を聴いている時になんか「コーーーーー」という、例えるとトンネルの中を電車が走っている時に聞こえるような感じの音が、常に耳のどこかで鳴っているように感じて違和感を覚え始めます(僕はこれを「箱くさい音」と言って嫌う)。バスレフポートの場合、ピチカートはもちろんですが、交響曲を聴いていても時々「ボー」と一瞬浮いたような(周囲の音程は変化しているのにそれだけ一定音程の)変な音が耳に付いて気になり始めます。

一定周波数に何らかの癖を持つ音を長時間聴いていると、それらが時間的に脳に蓄積されるためか(ホンマ?)耳障りに感じるようです。結局記録されている楽器音をそのまま聴いた方が最も自然に音楽全体が聞こえるように思えます。特に癖を無くしてゆくとピアノの響きが澄んでくるので僕は好きです。また、交響曲等ではホールの残響もしっかりと収録されているようですから、きっちりと低音まで再生して耳に届かせれば、下手な小細工をするよりもホールの響きが楽しめるのではないでしょうか。

以上のように、僕は「音楽」を聴いた時の「違和感」を除去する方向でチューニングして行きます。そうすると「音楽が自然に聴きやすく」なるためです。結果的に「信号の楽器音をそのまま(フラットな周波数特性で)聴く」という事になります。

ただし僕だって好みの音色、心地よい音色で音楽を聴きたいので、多少歪みの多い真空管アンプ(TU-870改)で全体的に少し響きを加えています。これは別に特定周波数にピークを持つわけではないので特に違和感はありません。ただし、ソリッドなピンクフロイドを聴くと真空管アンプでは違和感を覚えます。

オーディオ趣味の方にはボーカルとストリングを主体に愛聴される方が比較的多いように見受けられますが、両方とも僕にとっては最も縁遠いジャンルなので、好みの傾向が分かれるところだとは思います。僕はジャズ、クラシック、ロックを見境無く聴く雑食性なのですが、ボーカルはビリーホリデー1枚とマリアカラス3枚を極たまに聴くだけです。チェロソナタとピアノソナタ/協奏曲は良く聴きますが、バイオリン系は1枚も持っていません。

追記
オーヂオを始める以前は仕事中ほとんど無音だったのですが、そうするとPCのハードディスクのかすかな回転音を無意識に聴く事になり、PCに近い側の右耳の耳鳴りに悩まされた事があります(かなりの高周波)。ところが音楽を常時流すようになってから症状が完全に治まりました。やはり特定周波数の音に長時間さらされるのは身体に良くないようです。

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2010年06月05日 (土) | Edit |
2つ前の記事では密閉型スピーカーを使用して吸音材の効果を確認しましたが、今回はバスレフ型で測定してみました。

ドライバーにはTangBandの8cmフルレンジ ユニットを使用しました(型番忘れました。。ペーパーコーン(銀色に塗装)にアルミ削り出しのフェイズコーンが付いているやつ。コイズミで2000円弱で購入)

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箱はポチ一型。写真はポートを塞いだ状態です。箱の寸法は現在Alpair5に使っている二型と全く同じ(2.5L)。ポートは標準的なフロントポート。ポートには内径23mmx長さ80mmの塩ビ管用継ぎ手を利用しています。肉厚が非常にごついのでへんな振動は絶対に出ません。中の段差はヤスリで削りました。ポート出口はパテ材でファンネル状に成型して風切り音を回避しました。左手に見える白いのがマイクロフォン。距離は約15cm。

545.jpg
吸音材なしの測定結果。赤がバスレフ、黒が密閉です。寸法が同じなのでAlpair5の時と同様の周波数ではっきりと定在波の影響が観測できます。バスレフでは穴からも音が聞こえるので、定在波の影響も密閉型より多めに出ています。約80Hzの共鳴点から下は、位相反転効果でレスポンスが急激に低下し、約60Hzで密閉型とクロスします。ポートはあと2~3cm長くした方が良いかもしれませんね。

548.jpg
ポートの出口にマイクロフォンの先端を置いて測定した結果です。ほぼポートの音だけが含まれていると思われます。ピークはやはり約80Hz。定在波の影響が800Hz~2kHzの範囲に顕著に表れています。このようにポートからも定在波の音が出てきます。

吸音材を入れてみました。
547.jpg
ミクロンウールを横下後の3面に貼りました。緑がその結果です。定在波のピークは綺麗に消えましたが、ポートの低音増強効果が半減してしまいました。吸音材が必要悪と言われる所以ですね。箱のサイズに対してミクロンウールが厚すぎるようです。もっと薄くて吸音効果の高いものを選んだ方が良いですね。

と、まあ、アタリマエの結果です。正直バスレフには全く興味がないので深追いはしません。バスレフのチューニングは以前散々やりましたが、何度やってもそのうち吸音材の量がどんどん増えていって、しまいには密閉型になって終わり。。。次回は、ハチマルが何故そこまでバスレフを嫌うのか?についてデータで検証してみたいと思います。

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2010年05月30日 (日) | Edit |
吸音材は必要悪のように言われる事が多いようですし、吸音材なんぞ全く不要という極端なご意見まで聞かれますが、はたしてそうでしょうか?

僕は今まで聴感だけを頼りに吸音材の量を決めてきましたが、今回は測定でその効果を確かめてみたいと思います。

まずは、僕の聴感による吸音材調整方法を書いてみます。

ハチマルの吸音材チューニング法
1) 中高域では主にピアノの音を重視します。ストリングだと分かりにくい (定在波があった方が華やかに聞こえてしまう事すらある) のですが、打撃音のピアノを聴くと違いが分かりやすいように思います。それに、ジャズ聴き始めのころに妹のピアノを借りて理論書みたいなのを読みながらコードをイヂッテでさんざん遊んだ事もあるので、記憶音としても一番確かだからです。吸音材を入れない場合、ピアノの音が不自然な響きに聞こえます。
僕はこういう音を箱くさい音と言って嫌います。

2) 低域は例によってウッドベースの聞こえ方を重視します(これもやはり弦を弾くパルシブな音ですね)。この場合、吸音材を増やすにつれて低域がタイトに引き締まります。僕は「ボゥン」とか「ボン」ではなくて「ボン・」と聞こえるダンピングが効いた音が好きなので、結局何度やっても箱の内部を吸音材で隙間無く埋める事になってしまいます。これは密閉箱限定の手法です。もう少し容積を減らしても良いのかもしれません。

542.jpg
臓物を出してみました。聴感を頼りにだんだんと増やしていったのですが、引きずり出してみて改めて驚きました。
コイズミ無線で売っている「ミクロンウール」を使っています。

僕のスピーカーはご存じのように密閉型ですが、バスレフでこんなに入れたらポートの効果がなくなってしまいます。
オーヂオイヂリを始めた当初は僕もバスレフのチューニングに散々トライしたのですが、何度やっても、好みの方向にチューニングしてゆくとポートと箱内部の吸音材の量がどんどん増えて「結局密閉と変わらんやん」という結末になりました。

それでは測定で確認してみましょう。。。。。

測定データ
非常に微妙な測定であるため、マイクロフォンはスピーカーの前方約5cmの位置に置きました(S/Nを上げるため)。スピーカーはいつものAlpair5 2.5L密閉型です。アンプにはIcon AMPを使用しました。はたして定在波の影響はスピーカー前方でも観測できるのでしょうか?

1) まず吸音材を全て取り出して測定しました。
536.jpg
おやおや、それらしきピークが800Hz~2kHzの領域に見られます。

2) 次にサーモウールを左側面/底面/背面に一枚ずつ貼り付けてみました。
538.jpg
見事にピークが消えましたね。やはりピークは箱の定在波だったようです。箱の内寸から定在波の周波数を予測すると、前後(210mm: 810Hz)、上下(140mm: 1.2kHz)、左右(85mm: 2kHz)となります(音速=340m/sec)。前後と上下はほぼ計算に一致するみたいですが、左右方向のピークは2kHz前後に分散して発生しています(ナンデ?)。あと、スピーカー軸方向(前後)の定在波の影響が一番大きく出ていますね。ちなみに箱をいくらゴツク作っても無駄ですよ。これはいわゆる「箱鳴り」ではなくて内部の定在波が薄い振動板を通して(あるいは動かして)出てくる音ですから。

これで箱内部の定在波の影響が振動板前方の音にも表れるという事が分かりました。こいつが「箱くささ」の原因だと思われます。また、対面する壁の一方に吸音材を貼れば、かなり効果的に定在波を抑え込める事も分かりました。苦労して丸いエンクロージャ作る必要もないかな??
3kHzのディップは定在波ではなくてユニット/バッフル/部屋のいずれかの影響のようです。

3) では吸音材をたっぷり詰め込んだハチマル チューニングはどうでしょうか?
539.jpg
約150Hzを中心とする盛り上がりが低下して、ビシッとフラットになりました。これによって低音の「締まり」を出している模様です。
この150Hzの盛り上がりは、Alpair5の共振周波数にほぼ一致します(下図)。
543.jpg
スピーカー設計プログラムによる計算結果

この盛り上がりがスピーカーの共振によるものだとすると、ダンピングファクタ(DF)の低い真空管アンプで違いが出るはずです。そこでTU-870につなぎ換えて測定してみると。。。
540.jpg
ビンゴ! 150Hzがポッコリ盛り上がりました。まず間違いなくスピーカーの共振の影響ですね。
注: 僕はTU-870の高域および低域補正用のコンデンサを外しているので、オリジナル回路のTU-870とは特性が若干異なります。イコライザで調整するので特性調整用のコンデンサは不要なんです。。。

より高出力のONKYO F-905FXでも測定してみましたが、Iconとほとんど変わりませんでした。半導体アンプでも共振の影響が結構出るのかなぁ?? アキュフェーズとかの上等のアンプだとどうなんでしょうね?

スピーカーの共振についてちょっと簡単に説明
スピーカーの振動板を手前に引っ張り出してからパッと手を離すと、振動板はしばらく前後に振動してから最終的に中立位置(元の位置)に戻ります(減衰振動と言う)。この時の前後振動の周波数が共振周波数です。共振周波数は運動する物体の質量(振動板の等価質量)とバネ定数(スピーカー内部の機械的バネと密閉箱の空気バネのバネの強さ)によって決まります。このため、箱の容積を小さくすると共振周波数は高くなります(空気バネが強くなるため)。
この周波数を持つ信号入力に対してスピーカーは非常に動きやすく、DFの低いアンプでは制動しきれずに振動板が動き過ぎてしまいます。このためパルシブな信号に対して音が「ボン・」と止まりにくくなります。バネとして働く空気に吸音材を入れる事によって、空気バネの伸び縮みを妨げる効果(ダンピング効果)が得られます。この効果により、スピーカーと空気で構成された振動系全体の共振の強さを緩和する事ができます。


マイクロフォンを20cmまで離して測定してみました。なお、2kHz以上の形状は、マイクロフォン位置が少し変わっただけで大きく変化するので気にしないでください。
541.jpg
S/Nが下がるので見にくくなりますが、この距離でも定在波の影響は明らかに見て取れますね(見やすくするためにグラフを上下にずらしてます)。

最後に吸音材を元に戻してから、Icon AMPとTU-870を比較してみました。
544.jpg

やはりTU-870の方が低域で盛り上がりますが、吸音材なしよりは傾向が弱まっています。新システムをチューニングする際に、メインスピーカーの共振周波数を避けるためにクロスを200Hzまで上げて見た事があるのですが、やはりAlpair5でできるだけベース音を聴いた方がシャープに聞こえるので、最終的に100Hzクロスに落ち着いています。

まとめ
今回の測定から次の事が分かりました。
1) 箱内部の定在波の影響は、スピーカー振動板の前方でも観測できます。つまり密閉型でも定在波の音がスピーカーを透過して聞こえるという事です。ましてや、土手っ腹に風穴の空いたバスレフ型では、吸音材で対策しない限り盛大に定在波を聴く事になります。 (ただし、それがそのスピーカーの個性として好きであれば、別に殺してしまう必要はありません。ワザワザ箱鳴りするように作られた高級スピーカーもあるくらいですから、要は自分の好きな音にチューニングしてしまえば良いという事ですので)

2) 今回試した吸音材(ミクロンウール)で見る限り、対面する壁の一方に1層の吸音材を貼る(つまり3面貼る)だけで劇的に定在波の影響を下げる事ができるようです。通常のバスレフ等ではこれで十分だと思います。

3) 密閉箱の場合、吸音材を増やす事によってスピーカーの共振周波数におけるダンピングを改善できるようです。聴感上もそのように感じます(というか聴感を頼りにチューンしたらこうなった)。

4) 以上から、吸音材の調整はスピーカーのチューニングにおいて非常に重要かつ効果的であると言えます。

如何でしたか。結構貴重なデータをお見せできたと思います。是非ご参考にしてください。最近集中的にブログを更新しましたが、また暫くご無沙汰します(仕事しなくっちゃ!)。ブログ村の応援もヨロシコ!

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2009年05月15日 (金) | Edit |
リスニングルームの音響特性に関しては、基本的にデッドな方が良いという意見と、ある程度ライブな方が良いという意見があるようです。今回はこれについてちょっと考えてみたいと思います。

僕の意見としては、重大な定在波が回避できているのであれば、部屋の反響特性はリスナーのお好みで調整すれば良いんじゃないかと思います。

イヤフォンによる再生では、部屋の反響を受けない全くデッドな状態で聴くことになりますし、ニアフィールドで聴く場合も部屋の影響は極端に少なくなります。僕は雰囲気とか臨場感よりも明瞭性を重視するのでデッドな状態を好む傾向にあると言え、従ってオーディオシステムはスタジオモニタのようになってしまいます。このような条件では音が味気ないといって嫌う方も多いのではないでしょうか。

そもそも録音がどの程度の残響時間のスタジオあるいはホールで行われたのか?マイクロフォンで収録された音に含まれる直接音と反射音の比率がどの程度あるのか?によって丁度良く感じられるリスニングルームの反響特性は変わってくると思います。

例えばピアノ、バイオリン、チェロのトリオ演奏の録音を考えてみます。

1) 3つの独立した録音ブースに各奏者を入れて、ヘッドフォンで互いの音をモニタしながら演奏してもらい、各楽器に対して1つのマイクロフォンを使用して録音した場合 (実際にクラシックでそんな録音方法が行われているかどうかは知りませんが)。
各奏者の定位は2chへのミクスダウンの時に人工的に作られることになります。前後方向の定位は位相の調整で行えると思われます。このような録音では実質的に直接音しか収録されていないので、デッドな部屋で聴くとまるで無響室内で演奏を聴いているように全く味気なく感じるのではないでしょうか。逆にコンサートホール並に音響特性が整えられたリスニングルームではとてもリアルに聞こえるかもしれません。

2) 貴族がかつてモーツアルトの演奏を聴いたであろうお城のとある部屋 (かなりライブ) の貴族達が座ったであろう場所に2本のマイクロフォンを置いてステレオ録音した場合 (このような録音方法も極めて稀らしい)。
この場合は石造りの部屋の反響音がそのまま収録されます。この録音をホールと同等の反響特性を持つリスニングルームで再生すると響き過ぎるのではないでしょうか。逆にデッドな方がその部屋の雰囲気をそのまま感じられるかもしれません(かな?)。

3) 音響特性に優れたとある小ホールで、複数の吊り下げマイクやスタンドマイクを使用して奏者近くの音を収録した場合(多分こういう録音が多いはず)。
この場合は2)よりも直接音の比率が高くなります。従って1)ほどではないにしろ各楽器の音がより明瞭に録音されるはずです。再生音は最前列のかぶりつきで聴いた状態に近いかもしれません。リスニングルームに適度な反響があった方が後方の普通の客席で聴いているのに近い感じを受けるかもしれません。
雰囲気よりも明瞭性を好む僕のは3)をデッドな状態(カブリツキ?)で聴くのを好みます。
ちなみに、このような録音では一般的な客席で聴くよりも直接音が強くなるので、再生すると高音がきつめに感じられる傾向にあるようです。というのは客席で受ける反響音は低音が主体で高音があまり含まれないためです。従って高域をイコライザで減衰させた方が自然に聞こえると一般に言われています。僕も交響曲では1000Hzから20kHにかけて9dB減衰させて聴いています。

いずれの録音方法にせよ、家庭でステレオ再生した時に快適に聴けるように様々なイコライジングや特定の楽器音の強調が行われるのが普通です。いたずらにリアリティにこだわらずに自分の部屋を好みに合わせてチューニングすれば良いんじゃないでしょうか。はなからステレオ再生と生演奏は違うものと考えるべきでしょう。

ウェザーリポート等のエレキ音楽は、スタジオで楽器別に録音した音源を複雑にオーバーダブしたりエフェクトをかけたりして最初からステレオ再生を前提に念入りに作り込まれており、もはや生演奏の代替ではなく全く独立したアートですから、生演奏の臨場感もへったくれもありません。自分の好みに合わせて如何様な状態で聴いても誰も文句を言う筋合いはありませんね。
僕はクラシック (ほとんどベトベン) を聴く場合でも再生音を生演奏の代替とは考えず、作曲者 (ベトベン) を聴くための単なるインターフェイスとして扱う傾向にあるようです。。。て、そんなヤツが書いているオーディオ ブログなので、その辺はさっ引いて読んでやってください。

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2009年03月12日 (木) | Edit |
今度は2.1chシステム(サブウーハー)の優位性を計算で検証してみます。
200Hz以下の領域だけに注目してください。

前の記事「ニアフィールドリスニングの優位性を計算で検証する」と「定在波計算ソフトウェアを使用してみる」をまだ読まれていない方は、そちらを先に読んでください。
162a_20090807205550.jpg
これが基準状態です。すなわち大型ウーハーを持つフルサイズのステレオ スピーカーを設置した状態です。この状態では70Hzに激しいディップが予測されます。

一般的な家庭のオーディオルームのサイズでは、100Hz以下の帯域の波長は部屋のサイズに対して同等以上となるため、サブウーハーはどこに置いても音源の定位に影響を与えないとされ、低音楽器の定位と音色はメインスピーカーから発せられる倍音によって支配されると言われています。これが正しいとするならば、メインスピーカーには100Hz以上の領域だけを持たせて、100Hz以下を担当するサブウーハーはリスニング位置の周波数特性がベストになる適当な位置に設置する事ができます。

一般的にサブウーハーとメインスピーカーはリスナーを中心とする同一円周上に配置する事が推奨されます。これはリスナーから各スピーカーへの距離を等しくする事によって音の位相(遅延)を揃える事ができるためです。

これに従ってベストなサブウーハーの位置を探ると下図のようになります。
166_20090807205630.jpg
右側のスピーカー()をサブウーハーと見立てて、リスナーから等距離を保ちつつベストな位置を探りました。この位置では極めてフラットな低域特性が得られます。メインスピーカーのウーハーを取り去って100Hz以下の出力を減衰させれば、リスナー位置の70Hzディップはほとんど無くなるはずです。

さらに、デジタル信号処理を使用してサブウーハーの出力を自由に遅延させる事ができれば、サブウーハーをリスナーへ近づける事ができます。この場合サブウーハーの音はメインスピーカーより早く到達しますが、その時間差をデジタル信号処理で補正するわけです。
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低域だけニアフィールドリスニングとなり、当然ですが極めて理想的な低域特性が得られます。サブウーハーの位置はリスナーのすぐ近くであれば前後左右は問いません。

非常に重要な事は、サブウーハーを使用する場合はメインスピーカー側の低域出力は全く不要だという事です。3箇所から発せられる低音が複雑に干渉してエライ事になると思われます。ですから低域に優れる大型ステレオ スピーカーとサブウーハーを組み合わせても良好な結果が得られるとは思えません。メインスピーカーには口径8cm~10cmのフルレンジまたは2wayが適すると言えます。当然ですが低音増強を一切行わない密閉型が理想的なのは言うまでもありません。

このブログでたびたび紹介しているALPAIR 5という8cmフルレンジスピーカー(というよりは超広帯域ツイーター)は、正にこのようなシステムのために開発されたユニットであると言えます。
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2009年03月12日 (木) | Edit |
部屋の定在波の様相を簡単に計算できるフリーのソフトウェアを見つけたので紹介します。

計算結果をそのまま信用するのは危険ですが、実際の測定結果と照合する事によって部屋の吸音対策がよりいっそう効率的に行えるはずです。測定はPCさえあれば簡単にお金をかけずに行えますので、決して計算だけに頼らずに必ず測定も行ってください。計算はあくまでも測定結果を解釈するための補助的なものと考えた方が間違いがありません。
測定方法に関しては「リスニング位置の音響特性を測定してみよう!」を参考にしてください。

今回紹介するのはStandwave2というフリー ソフトウェアです。
ダウンロードサイトはコチラ

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上は計算結果の一例です。
右側に部屋の平面図が表示されます。この枠内で2つのスピーカー()とリスナーの位置()をマウスでドラッグして設定します。中央のスライダーでは各スピーカーとリスナーの床面からの高さが設定できます。
リスナー位置における周波数特性は左側のグラフに表示されます。この特性は20Hzまで完璧にフラットな出力特性を持つスピーカーを使用した場合に得られる周波数特性に相当します。実際にはこの特性にスピーカーの出力特性を掛け合わせた特性となります。

この例では部屋のサイズは3.4m x 3.4mに設定しています。計算結果からは70Hz近辺に強烈なディップが発生する事が予測できます。

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これが設定画面です。部屋のサイズ、各壁の反射率、計算条件をここで設定します。部屋の反射率は僕の手持ちの測定値から大ざっぱに見積もって全て0.7に設定しました。デフォルトの反射率は0.8から0.9に設定されており、これは部屋に家具やカーペットを置いていない引っ越し前の部屋の特性に近いと思われます。この値はご自分の部屋の測定値と見比べながら大ざっぱに設定してみてください。反射回数では何回目の反射まで計算するのかを指定します。10回より増やしても大きく変わりません(デフォルトは20回)。

計算結果が測定結果に近い傾向を示す事を確認したら、どれか1つの壁の反射率を0に設定して計算結果の変化を観察してください。最も望ましい変化が得られた壁から対策を行えば効率的に作業が進められるはずです。
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上の図は後面の反射率だけを0に設定した場合の結果です。問題のディップはほとんど無くなります。従ってリスナー背後の壁に集中的に吸音対策を行えば効果的であると予測できます。まずはマットレス等を簡単に置いて測定してみて、本当に効果が高いようであれば本格的な作業に入れば良いかと思います。
注意: 部屋の形状やスピーカーの配置によって最も効果的な壁面は変わりますので注意してください。つねに後面の対策が効果的という訳ではありませんのでハヤトチリしないでください。

あるいは吸音対策をしなくてもスピーカーの位置を移動するだけで良い結果が得られるかもしれませんので、スピーカーが実際に移動できるのであればマウスであちこちに移動させてみてください。

以上のように計算と測定を組み合わせれば、効率良く対策が進められます。ただし計算を使用する場合は下記を肝に銘じてください。
○ 計算はあくまでも対策の方向性を探るための参考データとして考えてください。常に測定データと照らし合わせて、その計算結果が信用に足る物かどうかを冷静に判断する事が大切です。
○ 計算と測定は決して完全には一致しません。支配的なピークやディップの傾向がそれなりに合っていれば、それで満足とすべきです。結果を精密に合わせるために反射率を細かく調整する必要はありません。あくまでも大ざっぱに設定する事がコツです。

ここで、ニアフィールドリスニングの優位性を検証してみましょう。

スピーカー位置以外の計算条件は上の条件と全く同じです。部屋のサイズは3.4mx3.4mです。
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こちらが一般的なスピーカー配置
70Hzに激しいディップ

スピーカーを極端にリスナーに近づけてみました
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説明の必要は全くありませんね。

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