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2013年12月03日 (火) | Edit |
ヘッドフォン3種類のF特を計測してみました。

今回は下記の2通りの方法で計測しました。
1)ヘッドフォンを頭に装着した状態で、イヤパッドの隙間からマイクロフォンの先端を耳穴近辺まで突っ込んで計測(ちょっとコツが要ります)
2)中央に穴を開けた丸い板にマイクロフォンを差し込み、この板をイヤパッドにギュッと強く押しつけて計測

以下が結果です。赤が装着状態の耳位置、黄色が丸板ギュッと押しつけです。

MDR-Z1000 (密閉型モニタ)
F Z100 p

Evo ZxR (密閉型メカトロ、Surround 100%、イコライザON)
F Zxr p

密閉型の場合、イヤパッドをギュッと押し付けると低音が強くなります。これには2つの理由が考えられます
1)イヤパッドの接触面の気密性(シール性)が向上して低音の圧漏れが減った
2)イヤパッドの内面よって低音の圧力変動が吸収されてしまう度合が減った

密閉型の場合、密閉度が高くて、薄くて、堅くて、内周の小さいイヤパッドを使うほど低音を出しやすくなります。そうする事で、小径ダイアフラムでも十分な低音を耳に届ける事ができます。その究極がトップマウント式カナル型イヤフォンです。

Z1000に比べると柔らかくて分厚いイヤパッドを採用し、しかもイヤパッドの締め付け力が弱いZxRでは、パッドをギュっと押し付けると、装着状態よりも低音が大きく増加する事が分かります。つまり、装着状態では、柔らかくて分厚くて締め付けの弱いパッドによって低音が随分減衰してしまっているという事です。でも、そのおかげで、長時間装着しても苦になりません。また、分厚いイヤパッドで多少低音が減ったってヘッチャラです。ドライバ自体がタップリと低音を出してくれるので、イコライザで減衰させているくらいですからね。

MDR-F1 (完全オープンエア型)
F F1 p
完全にオープンな構造を持つMDR-F1では、頭部に装着した方が低音が出ています。計測に使った小さな丸板よりも、実際の頭部の方が大きいので、バッフル効果に差が出たのかも知れません。

装着状態のF特を重ねてプロットしました。
mix2.jpg
- 緑がZ1000、青がF1、赤がZxR(Surround100%、イコライザON)、白がDSPをOFFにした素のZxRの特性。
- オープンエア型のF1(青)では、圧力変動が逃げてしまうため、密閉型に比べると低音は弱くなります。このため、僕はサウンドカードのBassブースト エフェクタを使っていました。
- Z1000(緑)では、約80Hzを中心に低音が少し盛り上がっており、ちょっとブワッと感が気になるので、サウンドカードのイコライザで63Hzバンドを少し落としていました。
- DSPをONにしたZxR(赤)はほぼフラットな特性になっており、僕には音楽を「聴きやすい」状態です。一方、素の状態のZxR(白)では、明らかに低音が出すぎです。買って最初に聴いた時には驚いてしまいました。イコライザによる調整を前提とした製品であると考えるべきでしょう。

データは以上です。
Z1000では、低音に圧迫感があって長時間聴くのは辛いのですが、DSPで調整したZxRの低音には、そのような圧迫感を感じません。イヤパッドが分厚くて柔らかくて締め付けが弱い事が奏功しているのかもしれません。低音の聞こえ方だけでなく全体のF特および左右音のセパレート(音場感)を含めて、ZxRはZAPで聴いている状態に最も近いと言えます。おかげで、ZAPまで殆ど使わなくなってしまいました。。。。。

分厚くて柔らかいイヤパッドでは、装着状態(ユーザの頭部の大きさや形状および装着位置等)によって、耳に届く低音の特性が変化しやすいかもしれません。しかし、イコライザの使用が前提なので、ユーザ各自が調整すれば良いでしょう。内部にF特計測用のマイクロフォンを仕込み、低音のバランスを自動補正できるようにすると良いかもしれませんね。

このようにDSPを内蔵する事で、イヤパッドの設計にも自由度が得られ、低音を確保しながら装着感を改善できます。これを突き詰めれば、オープンエア型でも十分な低音特性が得られるはずです。音漏れを気にしなくて良い自宅専用に使うなら、MDR-F1のような完全オープンエア型の方が長時間の使用に適しているでしょう(特に夏期)。超低音までバッチリピッチシ再生可能なDSP内蔵完全オープンエア型ZxRを作って欲しいですね。SONYのMDR-F1+ZxR DSPって感じのヤツをさ。。。そしたら、また買っちゃうぞ。。きっとね。

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2013年11月13日 (水) | Edit |
ヘッドフォンのF特を簡単に計測してみました。

例によってハチマル流のいたって雑で簡単な方法です。ヘッドフォンを頭に装着した状態で、イヤパッドの隙間からDaytonのマイクロフォンを突っ込んで、先端を耳穴の位置に(といっても、手探りです)来るように保持して計測しました。

下が計測結果です。
EQ Off
5kHz以上の帯域では、マイクとヘッドフォンのちょっとした位置の違いで特性が大きく変化するため、グラフには表示していません。
緑がSONY MDR-Z1000(密閉型モニタ)水色がSONY MDR-F1(オープン型)赤がSoundBraster EVO ZXR (イコライザOFF)です。ご覧の通り、EVO ZXRはかなり低音寄りの特性を示しています。デフォルトのDSP設定では、さらにバスブーストを効かせていたので、とんどもない事になっていたはずです。お店で試聴される場合は、気を付けてください。

ちなみに、MDR-Z1000でも僕には少し低音が出すぎるように聞こえるので、サウンドカード(SoundBraster ZXR)のイコライザ設定では63Hzバンドを-6dBに設定しています。逆にMDR-F1に対しては、サウンドカードのDSPでバスブーストを効かせています。

EQ On
F特を観察しながら、iPod Touchのアプリを使ってEVO ZXRのイコライザを調整しました(赤)。昨日は、この設定でイロイロな曲を聴いてみましたが、ZAPと同様に違和感なく聴く事ができました。ヨロシーノデハナイデショーカ。

下がアプリ画面です。
EQ.jpgDSP.jpg
前記事と同様、イコライザの125/250Hzバンドは-7dBに設定しています。今回の設定では、2/4kHzバンドも調整しています。DSP効果は、基本的に「Surround」だけをONにしています。ライブラリをランダム再生する場合は、ボリュームレベルを揃えるために「Smart Volume」をONにします。

買ったままのデフォルト設定では低音が出すぎて、僕にはとても音楽を聴ける状態ではありませんでしたが、このような調整によって、ZAP君と同様にゴキゲンに音楽を聴けるようになりました。恐らく、今後イコライザを変更する必要は殆どないでしょう。

今回のEVO ZXRの場合、同シリーズの他のモデルよりも大径(50mm)のダイアフラムを採用したせいか、素の状態では低音が出すぎるため、イコライザで減衰させる必要がありました。だったら大径ダイアフラムは無駄なのか?というと、決してそうではありません。イコライザで信号を減衰させる事によって、ダイアフラムの振幅を抑える事ができ、低音の歪みを改善できるからです。つまり、ダイアフラムを小径にして素のF特をフラットにした場合よりも、振幅を下げて歪みを改善できるという事です。特に、ゲームやムービーのような強い「重低音」を含むソースには有利かもしれません(音楽再生専用であれば、40mm径で十分だとは思いますけどね。。)。

追記
DSPを内蔵してメカトロ化を進める事で、メカ側(すなわちスピーカ)の設計自由度が大幅に向上します。すなわち、素のF特をフラットにするために、機械設計に各種の妥協を強いられる事がないという事です。最終的に、システムトータル(リスナの耳位置)で最善の結果が得られれば良いわけですからね。単品だけで最適化したコンポーネントを組み合わせても、システムトータルで最適な結果が得られるとは限りませんし(大概は困難)、莫大なコストがかかり、システムは巨大化/複雑化します。そういう事です、メカトロ化するという事は。。このようなアプローチや考え方は、オヂオに対してヘンテコリンな拘りの無いPC屋さんの方が得意でしょう。きっとね。。。

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EVO ZXRは販売店限定です。
下はノイズキャンセラなしのEVO Zxです。
お間違いなく。

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2012年07月01日 (日) | Edit |
本題の前に、前の記事の追記。。。

アーチストさんは往々にして破滅します。既に書いたように、追い込み過ぎて限界を超えたがために精神的に持ちこたえられなくなるというのも1つのパターンだと思いますが、恐らく、彼らが最も恐怖するのは「テンゴクトツナガラナクナル」という事でしょう。ミューズが降りてこなくなるという奴です。ある日突然、もしかしたら今この瞬間にも、降りてこなくなるんじゃないか。。。という恐怖。。。怖いですねぇ。。成功するまでは怖いものなしですが、大きな成功を収めた後は、それはそれは恐怖でしょう。。。オシマイですもん。他にできる事はナニモナイシ。ヤリタクモナイシ。死んだ方がマシだし。。。。ジャコもマイルスもたぶんジミさんも、そんな恐怖と戦って、ボロボロになったのでしょうねぇ。で、アルコールかドラッグによる束の間のテンゴクに逃げる。。。キッツイですよねぇ。。。アーチストさんという職業は。。。でも、カッコエーなぁ。。。ゆめゆめおろそかには聴けませぬよ。彼らが遺した命懸けの行為の結果を。。。

さて本題です。

今回は、普通に音楽を楽しむための装置が備えるべき基本中の基本性能について書きます。今まで散々書いてきた事の繰り返しになりますが、まぁ、一通り読んでやってください。

LEANAUDIOでアレコレやってみた結論は、

最も聴きやすく、最も楽に、最も自然に、最も飽きることなく、最も深く、全体も細部もバランス良く最もオイシク「音楽」の「内容」を楽しもうとした場合、結局「全く普通に再生」するのが基本である

という事です。

「全く普通に再生する」とは「記録されている音の波形をそのままに近いカタチで耳に届ける」という事です。これは「音楽再生装置」たるオーディオ装置にとって、今さら言うまでも無い、全くアタリ前の基本機能であると言え、ある時代までのオーディオ技術は、専らこれを目指して進んできたはずです。ある時代までは。。。。どこかの時点で再生音楽本来の目的を忘れ、あるいはソモソモ出来もしない事をツイキューとやらし始め、「趣味道楽」の機械として進化の袋小路に彷徨い込んだと思われ、これについては、その経緯を考察してみる価値は十分にあると思います。

逆に、ウォークマンに始まり、音源のデジタル化とPCおよびインターネットの普及/進化の結果としてiPodに代表される携帯型デジタルプレーヤが爆発的に普及し、既に極めて高い音楽再生クオリティを達成している(すなわち既に「全く普通に再生」できる)イヤフォン/ヘッドフォンが、もはや一般民生用オーディオの主流になった感があるのも、極めて妥当な成り行きのように思えます。巨大化/肥大化/趣味化/目的不明化/高額化/高齢化?し、進化の袋小路(根本的再生クオリティは全く進化せず、小型化せず、低価格化しない)にはまり込んだ恐竜に対して、新たな時代の担い手として登場した哺乳類というふうに見えなくもありません。

かくいうLEANAUDIOデスクトップシステムも、元々カナル型イヤフォンでの衝撃的体験から始まり、それを目標として開発を進めてきたわけですが、これからのスピーカ式オーディオというのは、そのように非常に高音質なイヤフォン/ヘッドフォンの音を聴き慣れた人々をターゲットにして開発されるべきでしょう。アチラの進化の方向を修正するのではなく、コチラから改めて進化の枝分かれをした方がもはや現実的であろうかと思えます。既にコチラがオーディオの基準であるという気がします。

「全く普通に再生する」とは、早い話が、「リスナの耳に、音楽帯域のほぼ全域でフラットな周波数を持ち、位相遅れのない音を届ける」という事です。そうする事により、ソースの波形を正確に再現できます。これについては、FrieveAudioで周波数特性と位相特性の両方を補正する事によって、ソース波形にほとんどドンピシャの音を届ける事ができる事を実証済みです(参考記事)。また、ヘッドフォンでは、何も補正せずとも、いとも簡単にそのような再生が可能である事も、同じ記事で実証しています。ハチマルの実感では、密閉型を使うかぎり、位相についてはそれほど神経質になる必要はなかろうと思います。従って、周波数特性が最重要特性であると言って良いのではないでしょうか。

なぜ、それが重要なのか。。。について、シツコイですが、もう一度おさらいします。

再三述べたように、西洋音楽というのは、楽聖ベトベンだろうが帝王マイルスだろうがポップスの女王マドンナ嬢だろうが、ジャンルに関係なく、ほぼ可聴帯域の全域(主要帯域としては40Hz~10kHz)で、人間が耳で感知できる音のスペクトル(ラウドネス補正済みのスペクトル)が、高い方にも低い方にも極端に偏ることなく、ほぼ左右対称またはほぼ均等に分布しています(参考記事)。これが、教会音楽に始まり、いわゆる我々がクラシックと呼んでいる時代に飛躍的に高度化し、その後、より大衆化マスプロダクト化された現代にも引き継がれている西洋音楽の基本構造、あるいは基本の調和だという事です。

ベト5第1楽章の周波数スペクトルの事例についてもう一度振り返ります。ハチマルが所有する、指揮者も楽団もホールも録音年代も全く異なる5枚のCDのスペクトルは非常によく一致しており、さらに、鎌倉のさるホールのほぼ中央席で計測された生演奏のスペクトルも、これらに驚くほどよく一致しています(参考記事)。おそらく、ベトベンが作曲した時点で(彼の頭の中で)既にこれに近いバランスにできており、最終的にはリハで指揮者さんがコンナモンヤネと具合良く調整したら、このようなスペクトルになってしまう。。という事ではなかろうかと思われます。そして、レコーディングのコンソールでの調整においても、スペクトルを計測しながら調整しているとは思えないため、生演奏を何度も聴いたであろう、繊細な専門的感覚を持つレコーディング技術者/アーチストさん達音楽のプロフェッショナルが、耳を頼りにコントロールルームで最終的にコンナモンヤネと調整した結果も、やはりこのようなスペクトルになってしまうという事なのでしょう。

そして、マドンナであれマイルスであれ、やはりスタジオでモニタして、耳で確認して具合エーントチャウ?と最終的に承認した結果も、やはり40Hzと10kHzがほぼ同等の大きさに聞こえ、その間がほぼ均等に分布したスペクトルになっています(参考記事)。音楽の専門家達が「具合エーントチャウ?」という調和を求めると、どのようなジャンルであれ、やはり自然とそのようになってしまう。。という事のようです。

これ以上グダグダ言う必要はないですよね。

「周波数特性なんかジューヨーではない」とか「周波数をフラットにするとオンガクがツマラナクナル」。。。。。なんて、もし、音楽を本当に楽しもうと思ったら(オトじゃないですよ、オトじゃぁ。。音楽ね)、口が裂けても出てくる発言ではありませぬ。そりゃアンタがツマランというだけヤロ!。ドシロートが自分勝手にイヂクリマースのは、それは個人の勝手です。「趣味」ですから。しかし、少なくとも世間に対してそれなりの影響力を持つ業界の玄人さん達が、堂々とそのような発言をしている事には、重大な問題があるとハチマルは激しくそう思います。プリプリ。

さて、ハチマルが以上のような事を書くと、理屈でそんな事を言っているだけだと思われるかもしれませんので、補足しておきます。

以前のハチマルはトランジスタラジオで聴こうがJBLパラゴンで聴こうが「ベトベンはベトベン、ピ○ミGOはピ○ミGO」をモットーとし、再生機械にはゼンゼン拘りませんでした。上等のラジカセ級のやつで十分だと。。。しかし、携帯電話にフルトベングラさんのベトベン交響曲全集とジャコさんの全コレクションをコピーして、そこそこ上等のカナル型イヤフォンで聴いた時にショックを受け(電車の席でトリハダが。。。)。。。そして、DENONコンポのブワブワ スピーカを激怒のあまり破壊し、イヤフォン付けっぱなしで1日中仕事するわけにゆかぬため、また、いろいろ試聴した結果市販品でハチマルの要求を満たせそうな装置が存在せぬため、デスクトップシステムの開発に着手し、試行錯誤の結果ほぼイヤフォン並に聴きやすい現在のZAPの基本ができ上がった時点で、波形計測やスペクトルの解析をして後追いで理論的裏付けを取ったに過ぎません。まぁ、開発屋さんの典型です。

結局、その道の専門家さん達が、具合エーヤロと調整してくれたのを素直に聴くと、概ねどんな楽曲でもバランス良く調和がとれて聴きやすいという事です。アーチストさんの表現の全体と細部を感じ取りやすいという事です(シロートの身勝手なジョーカンとやらではナイヨ)。ウチラのために、そのように作ってくれてはるという事です。アタリ前の事です。そこにドシロートくさいオンガクセーたらナンタラを追加する必要性は感じませんし、あまり露骨にやられると、元々の音楽が聴きにくくって、そのうち激怒してハンマーで破壊したくなります。

以上が、ハチマルが「音楽」を普通に聴くためのスピーカ式オーディオ装置がまず目標とすべきと考える基本中の基本中の基本中の基本の考え方です。

次回から、もう少し具体的なオハナシに入りたいと思います。次回のキーワードは「インテグレイション」の予定です。

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2012年01月08日 (日) | Edit |
少なくとも音楽再生に拘るのであれば、あるいは音楽再生を趣味としてツイキューするのであれば、現在自分はどのような状態で音楽を聴いているのか? 自分のシステムはどのような特性なのか?を簡単に計測して、定量的に把握しておく事がとても大切だと思います。今回はハチマルがお薦めする最低限の計測についてご紹介します。

計測内容は2つだけ。
1) 周波数特性
2) 下限周波数の正弦波再生波形

普段の「リスニング位置」と、「スピーカの近く」(数10cm~1m)で計測する事をお薦めします。近くで計測するのは、部屋の影響を少なくして装置自体の特性を知るためです。

極めてシンプルな計測ですが、これだけで必要十分だと思います。これ以上精密な計測をしても、あまり実用的な意味は無いでしょう。必要十分な物理特性を満たした上で、後は好みに応じてオンシツを微調整すれば宜しいかと思います。

必要なハードウェア
まずPCが必要です。正弦波を観測するには、「再生」と「計測」を同時に実行する必要があります。僕のデスクトップPCでは、1台のPCで「再生」と「計測」を同時に実行できました。同時にできない場合は、PCをもう一台用意するか、正弦波信号のWAVファイルをiPod等で再生してアンプで増幅すれば問題ありません。ネットブック等のAtomプロセッサ搭載PCでも性能的に十分でしょう。また、DACが無くても、オンボードのサウンド機能を使用して計測できます。

あと必要なのはPC用の安物マイクロフォンだけ。

ハチマル愛用のマイクロフォン
087_20120107172552.jpg
ELECOM MS-STM54
定格 20Hz~16,000kHz
1,312 YEN
マイク先端の穴あきキャップを取り外して、ダイアフラムむき出しで使用しています。今までコレを使って様々な計測を行いましたが、特性的にこれで十分だと思います。

1) 周波数特性の計測
当ブログでもお馴染みの基本中の基本の計測ですね。Alpair 6Mと6Pを比較をして分かったのですが、両者のオンシツ的キャラクタの違いは、周波数特性のちょっとした凹凸の違いによってほとんど決まります。フラットに補正すると、聴感上の差は極端に縮まり、コーン材質による微妙なオンシツの違いだけが残ります。

このように周波数特性は聴感に最も直接的に影響するため、音楽再生において最も基本的で最も重要なファクタであると言えます。このため、制作現場のスタジオモニタの特性には厳しい要件が課せられます(参考記事)。装置自体の「音」の個性等に徒に拘るのではなく、真っ当に「音楽」を楽しもうとするならば、再生時の周波数特性を努々疎かにできないのは自明です。

計測にはまずソフトウェアが必要です。スピーカ計測用に特化した高機能なフリーソフトもあるようですが、ハチマルはFrieve Audioでシンプルに計測しています。FrieveAudioのダウンロードはコチラ。無料版でも計測できますが、たったの3200YENで購入できる音場補正機能付きの有料版を強力にお薦めします。この機会に是非お試しあれ。

Frieve Audioは計測用にASIOドライバを必要とします。PCのサウンドボードがASIOに対応していない場合は、ASIO4ALLというドライバが必要です。このドライバはコチラからダウンロードできます。

Frieve Audioの使用方法については、当ブログの「FrieveAudio音場補正」ジャンルに詳しく記載していますので、そちらを参照してください。

下はおなじみの測定結果です。スピーカはAlpair 6M。測定距離は約65cm (リスニング位置)です。
raw.jpg

普段は40Hz~8kHzの範囲で補正して、下図の状態で聴いています。
comp.jpg
このような下限周波数までの補正を行うには、密閉型である事が基本です。バスレフ型での低域の補正はお薦めしません。

ハチマルは、今まで様々な設定でいろいろなジャンルの曲を聴いてみた結果、40Hz/-3dBを一応の音楽再生要件と考えています。NHKに採用されたFOSTEXのモニタスピーカもこの要件を満たしています。ただしベトベン交響曲を聴く時だけは30Hzまで伸ばします(30Hzの信号レベルは非常に低いのですが、なんだかヨロシイ。。。とはいえ、最近交響曲はもっぱらSONYのモニタヘッドフォンで聴く事を好みます。こいつは30Hzでもバリバリに再生してくれます)。

スピーカから離れて聴くフルサイズのオーディオ装置の場合、部屋が比較的狭いと(部屋の中央より後で聴いていると)、定在波の影響で200Hz以下に激しいディップが発生する可能性があります。また、一般的に50Hz以下のレスポンスは逆に増加すると思います。あまり細かいディップやピークを気にする必要はありませんが、酷い場合はリスニング位置やスピーカの位置を変えると大きく改善できるかもしれません。そのような場合、大型スピーカを移動するのは大変ですから、13cm程度のウーハを小型の密閉型に入れた物を用意し、これをフルブーストして音源にすると便利です。

2.1ch方式は低域のセッティング自由度の面で非常に有利です。フルサイズの一般家庭用システムとしては、密閉型ウーハによる2.1chまたは2.2ch方式が最も理に適っているように思います。サブウーハがいまひとつ普及しないのはセッティングが難しいからではないかと思います。メーカは簡単なマイクとソフトウェアを製品にバンドルすべきでしょう。

100Hz以下の吸音は現実的に不可能と考えた方が良いと思います。カーペットやカーテンはもちろん、市販の吸音ボードでも効果は殆ど期待できないでしょう。それらの効果も計測で簡単に確認できます。最も手っ取り早いのは、スピーカに近付いてニアフィールドで聴く事です。

2)下限周波数の正弦波
周波数特性で40Hzまでフラットにレスポンスがあるように見えても、それだけでは安心できません。超低音領域で高調波歪みが多いと「ズン」と来る低音は聴けませんし、ダンピングが不足したり遅れているとビシッとバシッとしたノリノリのビートは楽しめません。すなわち時間ドメインでの評価が必要だと言う事です。ビシッとバシッとした低音再生を実現すると、低音の量感は下がったように感じると思います。ダンピングが不足したブワブワの低音のままフラットに再生すると、低音過多に感じるかもしれません。そのへんはカナル型イヤフォンなり、密閉型モニタヘッドフォンと聴き比べるとよくわかります。

低音再生のクオリティは、下限周波数の正弦波信号を再生してみるとよく分かります。位相遅れを見たい場合は、正弦波信号にパルスを重畳した信号を使用します。このような信号を生成するために、僕はWaveGeneというフリーソフトを使っています。コチラからダウンロードできます。

WaveGeneの画面
wg.jpg
この図では、40Hz/-6dBの正弦波に、40Hz/-10dBのパルスを重畳してLチャンネルだけに出力しています。デフォルトでは、パルスはゼロ交差タイミング(位相0°)で発生します。このソフトは波形を直接出力するだけでなく、WAVファイルも生成できます。そのように生成したファイルをFrieveAudioなりiTuneなりのソフトウェアで再生するか、あるいはiPod等にコピーして再生します。いずれの場合もリピート再生が便利です。

スピーカからの音響波形をマイクロフォンで収録してオシロスコープで観察する必要があります。波形観察用には、フリーソフトウェアのHandyOscilloを使用しています。コチラからダウンロードできます。

計測を行う前に、正弦波の再生に使用するソフトウェア(FrieveAudio、Itune等)またはiPod等で、普段よく聴く曲を再生してみて、普段の音量+αになるようにアンプのボリュームを調整します。そして、そのボリューム位置のままで-6dBの正弦波がどの程度正確に再生されるのかを観察します。

以下は実際にAlpair 6MとIcon AMP(+真空管バッファ)を使用してリスニング位置(65cm)で計測した結果です。ボリュームは標準より高めです。

まず50Hz/-6dBの正弦波です。少なくとも50Hzは楽勝でクリアして欲しいものです。
0sc 1
見た目には綺麗な正弦波となっています。オシロの重要設定箇所を黄色の丸でマークしていますので、参考にしてください。3本のスライダは波形が見やすくなるように調整してください。

次に、下側の時間軸のスライダ(赤でマーク)を調整してFFTを見やすくしました。
0sc 2
3次のピークは2次のピークより低くなっています。3次が2次より大きくなると音も波形もはっきりと変わります。

次に40Hz/-6dBの波形です。
0sc 3
波形が明らかに正弦波から崩れています。

40HzのFFTです。
0sc 7
3次のピークが2次のピークよりも高くなっていますね。通常の楽曲では、40Hzの信号レベルはそれほど高くないため、ほとんどの場合これでも問題ありません。マドンナのズンドコ(40Hz/-12dB程度)であれば問題無く再生できます。ただし「春の祭典」のバスドラだけは激しく歪みます。

常用音量範囲において、少なくとも50Hz、願わくば40Hzまでは、-6dBの正弦波を大きく歪ませる事なく再生して欲しいと思います。楽曲の信号レベルから考えて、余程特殊な楽曲でも聴かない限り、30Hzまでそれを求める必要性はないと思います。

最後に、興味があれば、低域の位相遅れを確認してみても良いかもしれません。例え密閉型スピーカであっても、低域の位相遅れは必ず発生します。密閉型SPを使用してFrieveAudio等のデジタル処理で補正しない限り、位相遅れを無くす事はできません。一般的に、密閉型SPであれば位相遅れをそれほど気にする必要はないと思いますが、ハチマルは共鳴点が50Hzよりも高い小型のバスレフ型でピチカートベース等に位相的な不快感を覚える事があります。

50Hzのパルス入り正弦波を再生してみました。
osc5.jpg
ソース信号のパルスはゼロと交差するタイミングで発生しますが、再生波形を見ると50Hzの正弦波がパルスに対して約45°(1/8周期)遅れています。この程度の遅れであれば、僕の聴感では全く問題を感じません。これは位相遅れの極端に少ないIcon AMPと密閉型スピーカの組み合わせによる結果です(ただし今回、例の真空管バッファを使っているためか、Icon AMPにしては遅れ気味です)。バスレフ型では一般的に密閉型の2倍以上遅れると言われます。また、Icon AMPはかなり特殊であると思われ、一般的なアンプではこれよりも遅れると思います(参考記事)。さらにアナログフィルタ(チャンデバ)によっても遅れが増加します。通常の古典的大型システムでどの程度の遅れが出るのか僕は知りませんが、興味深いところではあります。

計測は以上です。全て、「リスニング位置」と「スピーカ近く」で計測してみてください。そうする事により、システム自体の問題と部屋の問題を分けて考える事ができます。

このように簡単で大雑把な計測でも、システムの基本的な音楽再生クオリティを十分正確に把握できます。これらは最低限の基本的クオリティ要件であると言えます。実用的観点から、これ以上精密な計測は必要ないでしょう。計測条件をいつも同じにしてデータを残しておけば、装置を大幅に変更した際に比較できます。また、以前の状態に戻したい時にも参考になります。

計測結果に基づいて問題点をできるだけ解消した後に、FrieveAudioの自動音場補正を適用すれば、位相も含めて極めて簡単に良好な特性が得られます。ただし、補正前の状態を可能な限り整える事(特に定在波)と、密閉型システムを使う事が重要です。今までかなり癖のある状態で音楽を聴いていた場合、フラットに再生すると最初は随分温和しく聞こえるかもしれません。こういうのを「ツマラナイ」と感じるのでしょう。しかし、これが我々よりも遙かに高い音楽的素養を持つ制作者/表現者が調整して最終的に世に問うた状態です。数日聴いて耳が慣れてから補正をOFFにすると、今度はとんでもなく癖のある聴きにくい状態に感じると思います。

システムの基本的な物理特性が必要十分に整えば、後はそれこそ自分の好みに応じてオンシツを微調整すれば良いと思います。僕は真空管バッファを追加してみました。

自分の好みに合わせて装置を調整する場合、常に基準として戻るべき状態をしっかりと把握しておく事が大切だと思います。何事もそうですよね。何らかの絶対的基準を持つという事です。たとえ、その基準状態が嫌いであってもかまいません。

感覚だけを頼りに変更前の状態と変更後の状態を相対的に比較しながら、徒にミクロな「オンシツ」的現象に拘って調整に没入すると、それを繰り返すたびにどんどん「音楽再生」の全体像を見失い、ある方向にどんどんエスカレートするか、魔境に彷徨い込んでグルグルする事必至でしょう(感覚的な相対比較を繰り返すと、いつの間にか以前の状態に戻っていてもその事に気付かず、延々と彷徨う富士の樹海となる)。計測がめんどくさければ、カナル型イヤフォンやモニタヘッドフォンをリファレンスにすると便利です。これらは、何も補正しなくとも、極めて正確にソースを再生してくれます。

「音」そのものではなく、「音」で精緻に構築された「音楽」(アーチストさんの表現)を楽しみたいのであれば、上記の基本アプローチは大きく役立つはずです。是非お試しあれ。


追記
上の計測だけでは本当の過渡応答性を見る事はできません。それを評価したい場合、実際の楽曲のデータを切り出すか、上記で作成した信号に手を加えた特殊なテスト信号を使用します。それについてはまたの機会にご紹介します。

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2010年11月07日 (日) | Edit |
Alpair6のP(紙コーン)とM(メタルコーン)をAlpair5用のポチ2型(2.5L密閉)に取り付けて、仕事しながら聴き比べていました。例によって吸音材はタップリと詰め込んでいます。1個づつ使用しているので、FrieveAudioでR/L信号をミックスしてモノラル信号を生成し、出力チャンネルをRのみまたはLのみに切り換えながら比較しました。

最初はFrieveAudioの自動音場補正(イコライザ)を使用せずに、未補正の素の音を聴き比べたのですが、驚いた事にAlpair6 P(紙)はAlpair5に非常に近い聞こえ方がするのに対し、M(メタル)は明らかに他の2つと傾向が異なって聞こえました。Alpair6 M(メタル)は他の2つに比べて、やや籠もった(こもった)、音が前に出て来ない印象を受けました。これに対し、Alpair6 P(紙)では、ハイハット等の微妙なシャープさを除けば、非常にAlpair5に近い好印象を受けました。しかも低音は明らかにA5よりも出ています。

という事で、
結論-1: イコライザによるフラット化を行わないという前提であれば、迷わずP(紙)を選びます。

これは以外な結果でした。当初はM(メタル)の方が同材質のA5に近い音がするだろうと予測していたのですが、完全に裏切られました。さらに言えば、A5とA6Pを比較した場合でも、サブウーハーまたはバイアンプ駆動のウーハーを使用せずにフルレンジ1発(かつイコライザなし)で使用するという前提であれば、高域のシャープ感がA5よりも僅かに劣るものの低音で有利なA6Pを選びます。要は、フルレンジスピーカーとして単体でバスレフボックス等と組み合わせて普通に使うのであれば、この3つの中ではA6Pが総合的なバランスで最も優れているように思います。

A6P。。良いです。

で、慣らしもある程度ついたので、本日計測してみました。続きをご覧ください。

616.jpg
黒がA5、緑がA6P(紙)、赤がA6M(メタル)です。全て同じ2.5L密閉+吸音材タップリです。まだあまりパワーをかけたくないので、前方約10cmの距離で計測しています。規格の標準ボックスで計測されたカタログデータとは特性が異なりますのでご注意ください。バッフルが小さいのでバッフルステップの傾向が出ています。またマイクロフォンが安物のPC用なので、10kHz以上の絶対レベルはあてになりません。FrieveAudioはグラフの絶対レベルを自動修正するので、この図では200Hzを基準にレベルを揃えて重ね書きしています。実際のSPLはA6P>A6M>A5になります。ご注意ください。

A5(黒)とA6P(緑)の200Hz~10kHzの特性は非常によく似ています。200Hz以下ではダイアフラム径の大きいA6Pの方がレベルが高くなり、10kHz以上ではA5の方がレベルが高くなっています。
これに対してA6M(赤)では、約3kHz以上の応答レベルが他の2つに比べて3~6dB低くなっています。その反面、50Hz以下の極低域ではA6Pよりも若干レベルが高くなっています。

これらは上記の聴感による印象を概ね裏付ける結果となっています。

しかーし、僕はA6を1発馬鹿ブーストで使用する予定です(A5はバイアンプ駆動のウーハーと組み合わせる)。ということで、この計測結果を基にして自動音場調整を行い、周波数特性を35Hz~15kHzで完全にフラットに補正して2つのAlpair6を聴き比べてみました。

すると当然ですが、両者の聴感上の差は小さくなり、いつも聴き慣れているA5馬鹿ブーの音に近づきます。A5とA6 P(紙)は200Hz~5kHzの区間でほぼ直線状であるため、補正しても印象は大きく変わらないのですが、A6 M(メタル)は補正によって大きく印象が変わります(というか他の2つに近づく)。吸音材をタップリと入れているので箱内部の定在波の透過音がほとんど無いためか、周波数特性さえ揃えてしまえばコーンの材質違いによる音の違いは思いの外小さいようです。

フラットに補正した状態で比較すると、僅かにA6 Pの方が高域で好印象(明るくてスムースな感じ)ですが、バスドラムはA6 Mの方が好印象です(Pは少しだけ「パコ」と軽い感じを受ける)。僕の耳では差はそれほど大きく感じないので、別にどちらでも良いかなぁ。。と迷うところですが、ベースとドラムを重視するハチマルとしてはA6 M(メタル)に傾きつつあります。ちなみに、A5では「ブリブリ」とコーンの異常振動が発生した「春の祭典」や「マドンナ」等の高信号レベルの低音でも、両方のA6のコーンは変な振動を起こさずに難なく再生してくれました。これは狙い通り。アリガタイ。。。

もう少し慣らしを行って、最終的にリスニング位置で音場補正した上で聴き比べて見たいと思います。

ではでは。。続報をお待ちください。

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2010年07月07日 (水) | Edit |
まあ散々デジタルの肩を持つような意見ばかり書いてきましたが、これは余りにも根拠の無い、多分に問題を含むアナログ処理された音に単に「耳慣れている」という事だけに依拠したとしか思えないような発言がアチコチで散見されるので、ちょっと見かねたものでね。これヂャ デジタルが余りにも可哀想。。。

アナログもデジタルも手段に過ぎません。早い話ドーデモ良いのよ。アナログでもデジタルでも。ドッチデモ。重要なのは「目的」すなわち「アーティストによって記録された媒体上の音をどのようにリスナーに伝えるべきなのか」という事です。重要なのはね。で、その目的を達成するのに最も効率の良い手段を選べば良いのです。単純に。

で、オーディオ装置の「目的」は何度も言うように記録されている可聴帯域の音を(位相の乱れも無く)できるだけそのまま(と言っても狂信的ではなく必要十分なクオリティで)リスナーの「耳」に届ける事にあります。何故ならば「音楽という芸術は可聴帯域をフルに使って表現された芸術」だからです。ですから僕は「実際に体験した上で」フラットな周波数特性を基本中の基本として強調している訳ですが、これを「そんなもん、どうでも良い」と言った瞬間に音楽再生装置に関する全ての議論は吹き飛んでしまいます。正に「お好きなように」の無法地帯となりますので。

ただ、これをシツコク言うと「データ」ではなく「感性」が重要とかワケの分からない事言って嫌うオーヂオおマニヤさん多いんですよね。あのですね、我々凡人にとってマズは天与の才をを授かった音楽家達が世に出した「作品」をできるだけ「素直」に「聴き取る」事が先決であって、「感性」というのはそうやって「素直」に聴いた「音楽」をどう受け止めるかという部分において重要になるわけで、それ以前の再生「音」の部分に身勝手な「ドシロート」の「感性」(というのもおこがましい)を持ち込んで「音」を自分の好きなようにイヂリ過ぎてしまうってのは如何なものでしょうか。いや、いや、個人的に楽しむのは全然問題ないんですよ。全くお好きにどうぞ。それは趣味道楽ですから。ただそれがあたかもオーヂオの主流のように扱われている事には極めて違和感を覚えます。コマケー事をアーダコーダ言う前に「音楽を素直に聴け」と言いたいのよ。千秋君も言ってるヂャないですか「俺様の音を聴け!」と。それが表現者というものです。それをまずは尊重するのが鑑賞者としての礼儀です。

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2010年07月03日 (土) | Edit |
今回は信号入力部つまりプレーヤー部とデジタル信号処理部について書いてみたいと思います。最後にアンプについても書きます。

その前に、
きっと「デジタルでイコライジングなんかしたら音の「鮮度」が落ちるのでそんな方法は駄目」とお思いの方がいらっしゃるでしょうね。果たしてそうでしょうか?
このブログの以前の記事をお読みの方ならお分かりでしょうが、バスレフポートには明らかに位相上の問題があります。マルチウェイのネットワーク回路やトーンコントロールも同様に位相の問題を避けられません。これらの問題は簡単な波形測定でも露呈してしまう程の大きなものです。もちろん聴感上も明らかに違和感があります。結局方法は異なりますが従来のアナログ方式でもスピーカーの特性を改善するために音に劣化を招いているのは同じなのですよ。で、冷静に考えなければならないのは「果たしてどっちの方が被害が少ないか」という事です。今まで聴き慣れたアナログ処理の音が必ずしも(えてして多くの場合)「ソースの信号に正確に対応する」音だとは限らないという事を肝に銘じる必要があります。「ただ聴き慣れているから」というだけで安易に判断されている傾向が度々見受けられます。ただし「好きか嫌いか」は全く各個人の自由ですので。お好きに。

さて音源はPCを前提とします。iPod等を使用するユーザーは当然PCを所有し、そこに音楽データを保存しているからです。従ってシステムコストにプレーヤーは含まれません。ちなみに超高機能のFrieveAudioはAtomプロセッサ搭載のネットブック レベルで十分に機能します。ですから現在出回っているPCであれば、ほぼ何でもOKのはずです。

もちろんメーカーはユーザーに対してできるだけ非圧縮WAVデータの使用を推奨すべきですが、圧縮データの再生も念頭に置く必要があります。VictorのK2テクノロジ等も必要でしょう。オプションで装置とデザインを統一した音楽用PCを用意しても良いかもしれません(HD内蔵のEeePCみたいなので十分。ソニーさんのチッコイVaioなんか素敵だと思う)。無線接続できればなお宜しい。

DSP(デジタル信号処理部)に関しては2つの方法が考えられます。

1)1つはFrieveAudioのように全てPC上で処理を行う方法です。この場合PC以外からのソース(例えばCDプレーヤー、iPodのドック システム)に対して処理を行う事はできません。ただし装置側にはDACとアンプだけが必要なのでコストを抑える事ができます。欠点としてはPC側の状態(他のソフトウェアの動作等)に影響される点が挙げられます。ノイズ的にも不利でしょうが、僕自身はマニヤがとやかく言うほどには問題を感じません。

2)もう1つの方法は、装置側にDSP演算回路を内蔵してPCを単なるユーザインターフェイスと音源として使用する方法です。この場合はCDプレーヤー等のデジタル出力も接続できます。PC側の動作環境にも影響を受けにくくなります。その反面コストが増加します。高級タイプ用ですね。

いずれもソフトウェアは接続されているアンプのタイプと現在のボリューム位置およびスピーカーのタイプとそのイコライザ特性を正しく認識する必要があります(1つ前の記事参照)。まあこれは問題無く出来るでしょう。DSPソフトウェアはこれらの情報に基づいてスピーカーの周波数特性をフラットに補正すると共に、スピーカーに過大な信号が入力されないように低域信号のピークを制限する必要があります。

その他のDSP処理の内容はFrieveAudioと基本的に変わりません。すなわち;
1)選曲機能 (iTune、MediaPlayerに準ずる。これらのデータベース フォーマットに対応すること)
2)基本イコライジング機能 (スピーカーの出力周波数特性をフラットにする。ユーザによるOFFは不可)
3)自動音場補正機能(部屋の特性を補正する。マイクロフォン同梱のこと。任意に使用)
4)ユーザ用イコライジング機能(好みに合わせた微調整用。任意に使用)

これだけあれば十分です。これらのイコライザを全て掛け合わせた1つの総合イコライザ特性がDSPに適用されます。従って何度もイコライザ処理を行って信号を改変する訳ではありません。3)と4)は必要に応じて使用すれば宜しい。ニアフィールドで聴くユーザーは面倒臭ければデフォルトでもOKでしょう。もちろんデジタル信号の飽和を避けるAVC機能も必要です。メーカーは適正なスピーカーサイズを選ぶガイドラインと正しくスピーカーを配置する方法を懇切丁寧に説明しなければなりません。音量が許すのであればスピーカーは小さい程宜しい。正しい情報をユーザーに伝えてください。

オマケ的な機能として欲しいもの
1)ダイナミックレンジ圧縮
例えば交響曲を小音量で聴きたい場合、大音量のところでボリュームを合わせると小音量部の音が聴き取り辛いので、ダイナミックレンジを多少圧縮する機能。僕はこれが非常に欲しい。

2)真空管風味
パナソニックが既に実用化済み。きっと特許の問題があると思います。要は高調波歪みを人工的に発生させるのだと思う。

3)曲の自動レベル調整(iTuneには装備済み)
様々な曲をランダムに聴く場合に、録音レベルに合わせてボリュームを調整しなくて済むので便利。これも是非欲しい。

DSPの出力ビット数には最低24bit必要です(イコライジングするので16ビットでは明らかに不足)。

ソフトウェアはそのメーカーの全機種に共通で使用できるはずですからコスト的に有利です。DSPソフトウェアの性能もさる事ながら、ユーザインターフェイスの使いやすさが何よりも重要です。ちなみにONKYOのHDC-1L(オーディオPC)に付属のプレーヤー ソフトウェアは最悪です。あのようなレベルでは使い物になりません。このコンセプトが市場で受け入れられるかどうかの最大の鍵はユーザーインターフェイスにあります。オーディオメーカーはこのへんの経験が全く無いでしょうから、優秀なソフトウェア開発者(FrieveAudioの作者みたいな優秀な方)をヘッドハンティングするか、アウトソースする必要があるでしょう。プロジェクトの正否の半分(もしかしたらそれ以上)はソフトウェア(特にユーザインターフェイス)にかかっていると思います。努々良い加減に考えてはなりません。

最後にアンプについて。。

アンプのボリューム位置をソフトウェアに知らせるためのセンサが必要になります。また、スピーカーのイコライザ情報を取得するために4線接続が必要です(Nuforceの特許かな?)。ユーザが勝手に非対応のスピーカーを接続できないようにするために、コネクタは特殊な形状にする必要があるでしょう。スピーカー情報はCD-ROMでソフトウェアに設定しても良いのですが、例えばスピーカーを別の機種につなぎ換えた時に設定を変更し忘れたりする可能性があるため、接続によって自動認識させた方が安全です。

その他の基本的なアンプ性能に関しては極普通で良いのではないでしょうか。僕は馬鹿ブースト用にIcon AMP (2万7千円くらい)を使用していますが何ら問題を感じません。こんなに小さくても十分な音質で鳴らしてくれます。DACは24bit/96kHzとして、例えばONKYO WAVIOが1万円弱で販売しています。このクラスで十分でしょう。

真空管アンプを使いたいところですがサイズ、コスト、耐久性的になかなか難しそうです。例えばDAC出力とアナログ入力の間に挿入する1ゲインのバッファアンプなんかをオプションで用意しても良いかもしれません。2万円以下で作ってね。

まあ、アンプはそんなもんでしょう。

まずはパイロット製品としてオールインワンの一体型が無難でしょう。PC抜きで4~5万円くらい(ちと厳しい?)。

これで独断シリーズはオシマイ。
勝手な事を随分書き殴りましたがお付き合い有り難うございました。

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2010年07月03日 (土) | Edit |
オーディオ装置の最も基本的な機能は、媒体に記録されている可聴帯域(一般的に20Hz~20kHzとされる)をリスナーの耳に確実に届ける事です。何故ならば音楽は可聴帯域のほぼ全域を使用して表現される芸術だからです。この最もアタリマエの要件を満足に満たす実用装置は未だに存在しません。驚き桃の木山椒の木です。ホンマニ。これはスピーカーの低域性能の限界によるものですが、これをほったらかしにして、聞こえるか聞こえないかも未だに議論の的にまっているような20kHz以上の再現性や電線にウツツを抜かしておるこの業界は一体全体どうなっておるのでしょうか????理解に苦しみます。

僕は全域再生の重要性を理屈の上からだけで観念論的に言っているのではありません。実際に自分のデスクトップでそれを実現して毎日10時間程度実用使用した上で、その重要性を説いているのです。しかも、それはオーヂヲをイヂリ始めて2年もたたないド素人が3年前から存在するシェアウェアソフトウェア(3800円)を利用してできてしまう程度のものに過ぎないのです(実際には1年もかかっていません。スピーカーで音楽をマトモに聴きたい→バスレフさんざんやって駄目→どうしよう→密閉→低音聞こえない→デジタル馬鹿ブースト)。音源がデジタルであるという事を素直に受け止めれば誰でも思い付きます。

アナログ時代にはスピーカーの低域限界を延ばすのは非常に困難でした。このため大径ウーハーの使用、バスレフ/共鳴/ホーン等の音響効果の利用、低域用ユニットが大型になるため高域性能を確保するためのマルチウェイ化等々の数々の手法が必要とされました。長年それらが使われてきたため意外と認識されていないようですが、これらは何らかのネガティブな面を持つ一種の「必要悪」であるという事を忘れてはなりません。すなわち、サイズ/コスト的問題、バスレフポート等による位相上の問題(データによる検証済み)、マルチウェイ ネットワーク(アナログフィルタ)による位相上の問題(データで検証済み)と多点音源の問題。。。。。アナログ時代では、十分な低域を確保するために、これらの手法を多少の欠点に目を瞑ってでも使用せざるを得なかったという事です。

さて、

音源がデジタル化されたのは何十年前でしたっけ。
デジタル化によって失われた面もあるでしょうが(センチメンタルな面が大部分だと思いますけどぉ。。)、得られるメリットもまた莫大です。プロフェッショナルな製作現場ではとっくのとおにそのメリットを使い倒しているのに、そのように製作された音源を再生するリスニング オーディオの分野が何故このような状態なのか、僕の理解の範疇を全く超えています。おそらく前の記事で書いたこの業界とユーザーの奇妙な体質がその主な原因なんだと思いますが。。。

別に良いのですよ。アナログに拘りたい方は徹底的に拘ってください。電線に拘りたい方も徹底的に拘ってください。100kHzが必要だと言う方はどうぞお聞き下さい。ヒャクマンエン以下の音は駄目という方はせいぜい散財してください。それらはスーパーカーやクラシックカーを愛でるのと同じ趣味道楽だから好き勝手やってください。誰も文句を言う筋合いは御座いません。

しかし「アナログでもデジタルでもなんでもえーから、手軽に適正価格でちゃんとマトモニ音楽聴かせてよ」という一般リスナー向けの良質なシビックが存在しないのは全くの大問題です。

と、いつもの事ですが前置きが長くなりました。

デジタル時代の新しい(と今更言うのも恥ずかしいくらいですが。。)オーディオ装置では、デジタル信号処理(DSP)ソフトウェアと、それに合わせて最適化されたスピーカーが重要となります。アンプに関しては、DSPソフトウェアとの連動を必要とする以外は今のままで全く十分です。

という事で、今回はスピーカーについて。。とやっと本題です。

僕が考えるに、スピーカーはフルレンジ1本(もちろん密閉箱)で十分です。容積も今の一般的なバスレフ型よりも小さくできます。ただしドライバーにはAlpairシリーズ並の最新技術のクオリティが必須です。安物の2ウェイなんぞ全く不要。
もちろんドライバーには低域ブーストを考慮した最適化設計が必要です。すなわち、大振幅に対応できる磁気回路とサスペンション システム、および、限界振幅時の急激な破綻を回避するためのダンピング特性(A5はこのへんに問題あり。。なにせダンパレスですから)等の対策が必要であろうという事です。
このようなシステムではスピーカーが命です。システムコストの1/2以上はスピーカーにかけても良いのではないかと思います(残りはフツーのアンプとDACとソフトウェア)。箱を絶対に疎かにしてはならないのも当然です。別に木でなくてもこれだけ材料技術とCAE設計技術が発達した世の中ですから、最低コストで最適な箱が作れるはずです。美しく造形されたプラスチック シェルの内側に内部損失の高いパテ材を塗ったくっても良いと思います。下手に響かせる必要なんぞ全くありません。ややこしいアンカーシステムも不要です。ガッチリと響かないように作ってください。

デジタルイコライジングを前提とするならば、低域以外の面でもスピーカー設計に自由度がもたらされます。すなわち、裸の周波数特性は多少凸凹でも構わないという事です。たとえば、高域の特性をフラットにするために泣く泣くサブコーンを付ける等の妥協は不要になります。多少高域出力が落ちてでも音色(振動モード)を最適に設計して、レベルの不足分はイコライザで修正すれば良い訳ですから。従ってツイーターの必要性もますます薄れます。このように、デジタルイコライジングを前提とするならば、スピーカー設計には大きな変革がもたらされます。

ただーーし。
このようなシステムでは、スピーカーと本体(またはソフトウェア)間で情報の伝達が必要となります。すなわち正しくイコライジングを行うためにスピーカーの裸の周波数特性を本体(またはソフトウェア)に入力する必要があるという事です。最近のカメラではボディとレンズの間で情報を交換する必要があるのと同じです(最近はレンズ収差まで補正します)。ちなみにNufroceのIconでは専用スピーカーにこの情報を埋め込んで、4線のラインを用いてアンプ側で何らかのイコライジングを行うようになっているようですが、それと同じです。従ってメーカー間で共通の規格を制定しない限り、装置の組み合わせに制約が生じるという問題をはらみます(カメラ業界と同じ。最近はフォーサーズという共通規格が普及しつつある)。音場測定を前提とするならば、そのような制約はある程度回避可能ですが、一般リスナーを対象とする製品では正常動作を保証する上で難しいと思います。何故ならばスピーカーに限界以上の低域大信号が入力されないように制御する必要があるからです。

僕のAlpair5を馬鹿ブーストした場合、極たまに低域の大振幅信号によって音が破綻します。上記の新しいスピーカー設計手法が成功すれば実用音量レベルでは問題を回避できるでしょうが、一般消費者向け工業製品である以上、フルボリュームでも30Hzの最大入力レベル(すなわちCD上の16ビットの全てが1。現実には恐らくありえない)でスピーカーが破綻しないようにするための保護措置が必要です。このため、アンプのボリューム位置に応じて各周波数における最大信号レベルまたはブースト係数(すなわちスピーカーの最大振幅)を制限する手法等が必要となります。

このようなレベル制限を単純に行うと、波形の頭が平にカットされて不自然に聞こえるため、なだらかに波形をなます手法が必要ですが、ソフトウェア(DSP)で処理を行うため、それほど難しくはないでしょう。いずれにせよ、低域でそのような大振幅の信号が入るのは稀であり瞬間的であるため、ほとんどリスナーに違和感を与えずに修正できるはずです。プロセスが複雑なように思われるかもしれませんが、このようなアルゴリズムを含む総合的なイコライザ特性が1度だけ信号処理に適用されます。何度も信号に改変を加える訳ではありません。また、アナログイコライザのように位相に乱れが生じる事もありません。

デジタルイコライジングはアナログ式に比べて「音が痩せる」と言われる事がありますが、果たしてそうでしょうか。実はアナログ式では位相が遅れるために多少音が膨らむのに対して、デジタルではそのような現象が出ないために相対的に「痩せる」と感じられるのではないかと考えられます。というのは僕の測定した波形を見る限り、デジタルイコライジングでは正確に原信号波形を追従するのに対して、アナログフィルタでは明らかに波形が崩れます。これに似た「デジタル」への批判はアチコチで散見されますが、それは従来のアナログ式の問題をはらんだ音に慣れ親しんだ方の好みの問題であって、デジタルが音質的に劣るとは言えない(多分にその逆の)場合が多いような気がします。

恐らくダンピングを効かせた密閉箱の音に対しても同様の批判が出ると思います。しかし媒体に記録されている音楽作品を素直に聴き取るにはこの方式が最良です。オーディオには興味がなくて音楽を聴くために始めてオーディオセットを購入されるリスナーにはどのように聞こえるのでしょうか(特に日頃イヤフォンで音楽を聴いておられる方々には)。ちなみに僕は量販店の試聴室でも何度か試聴させてもらいましたが、いかにも「ステレオ臭い」オーヂオの音には馴染めません。この趣味の世界で長年「良い音」とされてきた特定傾向の音が、再生音楽を聴く上で本当に「良い」音(自然な聴きやすい音)なのかどうか、僕には甚だ疑問です。

スピーカーのサイズはリスナーの望む音量(リスニング距離)に応じて8~16cmクラス(すなわちAlpairラインナップ程度)を揃えておけば十分でしょう。一般的日本の家屋を考慮すれば、それ以上のサイズは必要ないと思います。ライブと同等の音圧での再生を望む一般リスナーも稀ではないでしょうか。そのような大音量で再生すると、一般的なサイズの部屋では音楽を聴くのが苦痛になるはずですから。例えば4面囲まれた四角い六畳間でクインテットにライブと同音量でブンチャカやられたらたまった物ではありません。部屋中ワンワン鳴りまくって僕なら5分と耐えられないでしょう。

それはさておき、このようなシステムによって非常にコンパクトなスピーカーでも実用的音量において30Hzから20kHzをフラットに再生する事が可能になります。何度も言いますが、これが音楽再生装置の原始的アタリマエの状態です(こういうのを「ピュアオーディオ」と言うんぢゃないすか?)。デジタル技術を最大限に活用する事によって、そのアタリマエが実用レベルで実現します。何よりの証拠に、僕のデスクトップではそのような状態で毎日一日中音楽が鳴っています。

次回はDSPおよび信号入力部について書いてみたいと思います。

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2010年07月01日 (木) | Edit |
さて、久しぶりに独断シリーズを再開したいと思います。またまた勝手な事を書きたい放題に書かせて頂きます。ご容赦を。

僕がここで取り上げるオーディオ装置は、自動車で言えばフェラーリではなくシビックやアコードに相当する実用オーディオ装置です。と言っても僕はフェラーリを否定するつもりは毛頭ありません。逆にフェラーリ信者と言っても良いかもしれません。フェラーリは人間のポジティブな面(人生は、人間は、素晴らしい!という事)を自動車という工業製品を媒体として表現した芸術だとすら思っています。355以降はちょっと「ジドーシャ」に成り下がってしまって信仰心は薄れましたが348以前のフェラーリは「ジドーシャ」以外のナニカ(?)でした。348は150km/h以上出すと平気で一車線くらい突然横っ飛びするとか、逆火で吸気チャンバーが爆発してリアカウルが吹っ飛ぶとか。。それでもリコールにはならずオーナーは自費で修理するとか(それをツベコベ言うヤツにはフェラーリ様を所有する資格は無いのよ)。実は348は箱根ターンパイクで1往復だけ運転した事があって、あたしゃ一生忘れませんよ。あの日の事は。NSXと乗り比べましたがこちらは完全にフツーの「工業製品」です。

同様にパラゴンやオートグラフあるいはノーチラス等のハイエンドを否定する気も毛頭御座いません。自動車を趣味とする方々にはスーパーカーをコレクションする羨ましい方も居ますし、クラシックカーのリビルトに熱心な方、はてはF1のようにキチガイ沙汰のレーシングの世界もあります。オーディオの世界でも当然ですが、ナンビャクマンエンもするフェラーリ級の装置を愛でたり、電線等の違いによる微少な音の違いを探求したり、音源を素材として自分の理想とする音を創出したり(つまり半ば楽器のようにオーディオ装置を扱う)、いろんな楽しみ方があって良いと思います。それぞれ結構な趣味だと思います(F1は趣味ではないけどね)。こういうのを一種の「数奇者」と言います(数寄者(すきしゃ、すきもの)は芸道に執心な人物の俗称。「数奇者」と書く場合もある。)。

しかし、

僕が最近オーヂオイヂリに手を染めてこの業界を覗いた時に非常な違和感を覚えたのは、そのような数奇者的なオーディオがあたかもオーディオ技術の本流であるかのように扱われている点です。ちょっとましな音で音楽が聴きたくなってオーディオ専門店へ行くと「まともな音で聴くには最低ヒャクマンエンは必要です」なんぞとと言われるなんて話はアチコチで聞きますが、ただ良い音で音楽を聴きたいと思っている一般的リスナーの感覚からすれば全く常軌を逸しているとしか思えません。雑誌を見てもそれを煽るような記事ばかり。ほんとにヒャクマンエン出さないとまともに音楽が聴けないのであれば、それは全くのメーカーの怠慢としか言いようがありません。シビック買いに行ってNSXじゃないとまともなクルマではありませんと言われるようなものですね。蛇足ですが、スーパーカーを買えるレベルの方のオウチならまだしも、標準的な日本のオウチにあんまりご立派な物をぶち込んでも、まともな音で聴けるとは思えません。

これに対し、安全快適に移動するための道具としての普通の乗用車に相当するオーディオ装置、すなわち本来最も充実していなければならないセグメント(価格的には10万円以下、千歩譲って20万円以下で一式揃うレベルが)が余りにも貧弱過ぎます。数奇者用ハイエンドの縮小廉価版をテキトーに作ったようにしか見えません。これはオーディオ装置を「音楽を聴くための実用工業製品」と考えた場合、極めて不健全で異常な状態のように僕には思えるのです。NSXをテキトーにお安く作ったのがシビックではありません。逆にシビックの開発にかけるリソースの方がNSXよりも圧倒的に大きいのです。またユーザーはNSXが買えないからシビックに乗る訳でもありません(まあ実際には買えないんだけど)。

フェラーリやクラシックカーは爆発しても横っ飛びしても文句を言う人はいません(かな?)。パラゴンがどのようなf特を持っていようが伏して拝聴するのみです(ははぁーー)。
しかし一般的な大量生産の製品がそれでは困ります。実用自動車に求められる最も基本的な性能は、安全に走って曲がって止まれる事ですが、オーディオ装置に求められる最も基本的な性能とは何でしょうか。それは「媒体に記録されている可聴帯域(一般に20Hz~20kHz)のほぼ全域の音をリスナーの耳に明確に届ける事」です。もちろん音色的な魅力や商品的魅力も重要です。自動車でも快適性や洒落たデザインが求められるのと同じですよね。しかし、まず最も根源的な基本性能が必要十分なレベルで満たされていなければならないのは当然です。いくら格好良くて乗り心地が良くても安全に止まれない車じゃ困りますし、いくら高域のストリングが美しく響いても怒濤のティンパニーがスカスカでフラフラでも困るのです。メーカーは、このような「音楽再生装置」として至極アタリマエの最低限の性能を備えた一般リスナー向けのリーズナブルな装置を最優先で開発しなければなりません。

その一方でオーディオ装置を趣味とされる数奇者の方々向けの「ハイエンド」な製品ももちろん必要ですし、小規模なビルダーさん達が趣味性の高い個性的な製品を提供する事ももちろん必要です。ただしそれらは「音楽を聴くための装置」としてのオーディオ技術の本流では決してありません。スーパーカーやクラシックカーやF1が自動車技術の本流でも頂点でもないのと同じです。そんな事は自動車メーカーもユーザーもアタリマエとして認知しています。そのあたりの認識がこのオーヂオ業界(とユーザー)の間であまりにアヤフヤなので僕としては非常に違和感を覚えるのです。はっきり言って健全な状態には見えません。

別にこの業界がどうなろうがアタシャ一向構わないのですが、健全なオーディオ装置がアタリマエの価格で一般リスナーに提供されないと、それは人類にとって大きな損失になると思うのでイライラするのです。優れた音楽(のみならず芸術)は我々にとって計り知れないほど大切なものです。オーディオ装置はその一般大衆に向けての伝達装置として非常に重要な役目を担っている事を開発者は肝に銘じて欲しいのです。あの、、、、また繰り返しますが、狂信的なコマケー事じゃないのよ。一般リスナーにとっての「必要十分」を見極めてお安く作ってね。それがホントの技術者のお仕事ですから。かといってセットコンポみたいに吸音材も入って無くてペラペラのパーチクルボードで見栄えだけ立派な3ウェイとか作っちゃ駄目よ。ホンマニ。最低だから。技術者として恥ずかしい事だけは止めようね。

という事で次回から具体的に「こういうの作ってよ」というのを書いてみたいと思います。

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2010年06月13日 (日) | Edit |
先の記事にも書いたように、僕は耳位置での周波数特性のフラット化(30Hzまで)と音質的な癖の無さを重視します。その理由は、そうする事によって僕の求める音楽全体の見通しの良さと明瞭さ/自然さが得られるからですが、もうひとつの理由としてアーティストとその作品に対する「敬意」という意味も含んでいます。

僕は高校生の時に部活で写真を始め、10年程前からはかなり真剣に写真作品の製作に取り組んで来ました。一昨年まで毎年なにかしらコンペに出品するなり個展を開くなりの活動を続けてきたのですが、最近は次のステップへ進む方向が見えないため休止中です。で、写真展やコンペ用の外に対して発表するための作品では、僕に限らず同様の活動をしている仲間達も、自分が納得できる色調やトーンを求めて他人が見でも分からないような小さな差にも拘って神経をすり減らしながらセレクションとプリントに没頭します。作品が全てできあがった後の没プリントと空インクカートリッジの山(僕はデジタル)を見ると、その費用を考えて愕然とするのが常です。たかがアマチュアの僕らでもそんなですからねぇ。ましてや天才達がアルコールや麻薬に逃げ場を求めざるを得ない程に自分を追い込んで刻み込んだ音ですから、「自分が組むオーヂオ装置では作品に最大限の敬意を払って、できるだけ全ての音をできるだけそのまま聴けるようにしたい」と、カナル型イヤフォンで初めて音楽を聴いた時にそのように感じた次第です。

で今日は、可聴帯域(20Hz~20kHz)を可視光域(赤~紫)にみたてて、周波数特性をフラットにして聴く事の大切さを考えてみたいと思います。

original.jpg
画像1 ori.jpg

この画(画像1)は有名なモネの「睡蓮」の一部です(適当にネットで拾って来た画像なのでホントにモネの「睡蓮」なのか確かではありません)。色が本物にどれだけ近いのかも分かりませんが、とりあえずこの画像1をCDまたはLPに刻まれた「モネ演奏」のソース音に見立てる事にします。まあCD/LPでも厳密な「原音」は「不明」である点では同じです。。(しかし作家がクレジットしている点に意味がある)

No red
画像2 red.jpg

画像2は、画像1の波長の長い(従って周波数の低い)「赤」の彩度だけを落とした画像です。これは低域の不足したスピーカーで聴いた時の状態に相当します。左上の赤い花の色が見えなくなって(聞こえなくなって)しまいました。この画(音楽)にとって非常に重要な情報が欠落してしまったと言えます。

Green.jpg
画像3 gre.jpg

画像3では、可視域(可聴域)の中では中間的な波長(周波数)を持つ「緑」の極狭い範囲の色域(音域)だけ彩度を上げてみました。これは定在波や箱鳴り等による特定周波数の付帯音に相当します。

これらの画像では、分かりやすいように大げさに彩度を変化させていますが、多かれ少なかれ再生装置の周波数特性がフラットではない状態で音楽を聴くと言う事を絵画で例えればこのようになります。

オーディオ装置を「音楽を聴くための装置」とするならば(って、そうですよね?)、十分に低域までフラットな周波数特性を耳の位置で実現する事がまず達成されるべき基本的要件あるいは基準条件と考えるのが極めてアタリマエではないでしょうか? 少なくともこの状態がどのように聞こえるのかを認識しておく必要があると思います(高性能カナル型イヤフォンで聴いてみるのが一番手っ取り早い)。

とはいえ、ここから音色を自分の好みに合わせてイヂルのがオーヂオの楽しみでもあります。僕は比較的小音量で聴くので細部(細かい輪郭線)が明瞭に聞こえるAlpair5をメインスピーカーとして選択し、輪郭線のまわりにすこし色(音)を滲ませるために真空管アンプ(TU-870)を使用しています。

tube_20100614062130.jpg
画像4 TU copy
画像1に対して輪郭強調処理を施した画像と、ぼかし処理を施した画像をレイヤで重ね合わせた画像です。ちょっと微妙過ぎて分かりにくいかもしれません。

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2009年04月05日 (日) | Edit |
昨日からAlpair5をチューニングもせずに聴いていますが、ますます気に入ってきました。特にオーケストラのストリングの響きが素敵です。F80AMGでは何を聴いても全体的にどっしりとしていて反響の少ないホールで録音したように聴こえるのに対して、Alpair5ではもう少しライブなホールで録音したように聴こえます。f特は両方ともフラットにして比較しているのですが、やはりユニットの性格の違いがはっきりと聴き取れます。これからエージングが進むのが楽しみです。

今回は昨日測定したデータを紹介します。エージングもチューニングもほとんど行っていない状態でのデータですが、とりあえず全く問題なくシステムに組み込めそうである事が分かってひと安心。結局今日は聴きほれてしまって、塗装は明日以降から開始です。

それでは測定結果をどうぞ

まずは軸上20cmの距離で測定。スピーカーは通常の位置ではなくデスクの前端に置いているので周囲の影響は最も少ない状態です。
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いわゆるバッフルステップの影響と思われる段差が1kHz前後にあります。10kHz以上の盛り上がりはカタログ特性どおりです。ピーク前後のディップは慣らしと共に少なくなっていくと思われます。密閉型なので120Hz以下の低域が素直に低下しています。

標準のリスニング位置での測定値です。赤がA5、黒がF80。全く同一形状(2.5L)のボックスによる比較です。
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ユニット自体の最低共振周波数FsはF80が89Hzに対してA5 Grayが136Hzなのでもっと差がでるかと思ったのですが、80Hzくらいまではほとんど差がありません。結構やるやん。。
Mark Audioのホームページではサブウーハーとの併用を容易にするためにQtotalを高めに設定して低域をシャープに減衰させている旨の説明がありますが、確かにそのような特性になっています。
軸から約15°ずれた位置で測定していますが、Alpairの高域はフラットに伸びています。マイクの定格が16kHzまでなので20kHz以上は全くゲインがありません。
この状態ではスピーカー横のディスプレイやデスクトップ面のバッフル効果によってバッフルステップはほとんど見られません。スピーカーというのは単体で評価してもあまり意味がないことが分かります。

以下は全てAlpair5の測定値です。
サブウーハーなしで無理を承知で50Hzまでフラットになるように音場補正しました。赤が補正OFF,黒が補正ON。
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これが驚いたことに平気で鳴ってくれます。しかも低域まで非常にクリアでタイトです。ただし僕がいつも低域のチェックに使用しているマイルスデイビス So What(Kind of Blue、1997リマスター)イントロ部のウッドベースで音が不安定になります。アンプが原因かと思って4Ωの抵抗を入れてみましたがあまり改善されない様子。しかし、それ以外の曲では特に目だった問題は感じられません。さすがにシンフォニーではバスドラ等に不足を感じますし、ジャズのコントラバスの胴鳴りでは上記のような問題が稀に気になりますが、エレキ系であればサブウーハーなしで十分以上に楽しめるはずです。僕はデスクトップ上にフルサイズ以上のf特を求めるので要求が厳しいですが、密閉箱でイコライジングを行えば一般的なデスクトップスピーカーとしては全く問題なくフルレンジをカバーしてくれます。どこがツイーターやねん。ですよ。。。

最後にサブウーハーとのマッチングです。低域特性がF80と大きく異ならないので普通にマッチングできました。赤がサブウーハーONでイコライジングなし、黒がイコライジングONです。
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F80と全く事情は変わりません。普通に30Hz/-3dBが達成可能です。もしサブウーハーを経験していなかったら上記の50Hzフラットの状態でも大満足だったと思うのですが、一度味を占めてしまうとサブなしでは特にオーケストラは聴けません。ジャズのウッドベースの聴こえ方も全く違います。

しかしA5の低域音の魅力には捨てがたいものがあります。いっそサブウーハーもAlpair10(ウーハー)で作ってしまおうかと考え初めてしまいました。ペア売りなので左右に置いて1台のプレートアンプでモノラル駆動するのも悪くないかも。

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