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2011年11月05日 (土) | Edit |
ぼくは「音楽再生クオリティ」と「音楽の聴きやすさ」を強調します。要は、ソースの波形をある程度正確に「耳」に届ける事ができれば、「音楽」の内容(アーチストさんがやらはった事、言わはった事)を聞き取りやすくなるという事です。最終目的は「音」ではなく「音」で表現された「音楽」をより良いクオリティでリスナーの「耳」に伝達する事にあります。

オーディオ分野で一般的に言われる狂信的「原音再生」とは下記の点で異なります。

1) あくまでも「耳」に届く(すなわちリスニング位置)での音を基準とし、いたずらに微細なあるいは近視眼的な「音」そのもの(オンシツ)にこだわるよりも、まずは総合的な「音楽」の聞こえ方としての再生クオリティを求める
要は、可聴帯域(少なくとも40Hz~10kHz)の耳に実際に届く音が「概ね」ソースの波形およびスペクトルに一致すれば(すなわち周波数ドメインと時間ドメインで「概ね」正しく再生されていれば) OKチャウ?という事。これがある程度十分に達成されていれば、後の細かいオンシツはお好み次第。例として、好みの「オンシツ」に合わせてスピーカや真空管アンプを選べば良い。

2) 「原音」すなわち楽器から直接発せられた「生」の音を求めず、あくまでも「ソース」に記録された信号の正確な再生を求める
「原音」を求めても詮ないこと。マイクロフォンで電気信号に変換された時点で既に異なり、さらに様々な処理が加えられて最終的な媒体として我々の手元に届くわけですから、そこから「生」の音を求めるのは、幻影を追いかけるのに近い行為となるでしょう(我々にそれを正しく遡る手立てはありません)。というか、Alpairのような良質な最新ドライバを使用してソースを正確に再生すれば「必要十分に」生の音に近い自然な音を聞けるように思います(録音が悪けりゃしようがないけど、それは受け入れて聴くしかない)。輝かしい記憶音をたよりに、苦労して装置をアレコレしても、録音時に使用したマイクも、その後の信号加工プロセスもソースごとに異なるため、結局は富士の樹海を彷徨う事になるでしょう。これは以前の記事でさんざん書いたステレオによる「音場再現」の追究と同じ事です。そんな事に意識と労力を消耗するよりは、媒体そのものを一個の作品ととらえ(実際アーチストさんはそれを自分の作品として承認した上でリリースしている)、ソースに記録されている音楽を素直に受け入れて聴いた方が、せっかくソースに含まれているイチバン美味しいところ(アーチストさんがやらはった事)を楽しめると思います。

僕の求める「音楽再生クオリティ」とは、音楽再生における基本中の基本です。大きかろうが小さかろうが、高価だろうが安価だろうが、少なくとも「音楽再生装置」と称する装置が最低限満たすべき条件であると言えます。例えばアイスクリームの場合、乳脂肪が8%以上ないと「アイスクリーム」と呼べないのと同様に、トータルシステムまたはスピーカシステムにも、業界として一定の「音楽再生用装置」としての基準(例えばX0Hz~X0kHzのレスポンスが±XXdB以内、位相遅れがXX°以内等)を設けても良いのではないかとすら思います。あるいは、いくつかのグレードを設けても良いかもしれません。

この条件を満たすのに、なにもアホみたいに高額/巨大なハイエンド装置を狭いお部屋にブチ込む必要はありません。当ブログで紹介してきた方法を適用すれば、ミニコンポレベルの価格とサイズでも最低限の目標を達成可能です。ケロがその良い例と言えるでしょう。十分な低音クオリティを確保しながら部屋のサイズ/リスニング距離/音量に見合った最適なサイズを選択できるため、部屋の影響を含めた実用状態での総合的な音楽再生クオリティを飛躍的に高める事ができます。装置を身近に置けば、大層なリスニングルームを必要とせずに、極めて高いクオリティで音楽を楽しめます。

やたら感覚的な言句を並べるだけでなく、正確な情報をユーザに提供する事が重要です。この業界ではスペックは重要ではないと声高に言われますが、少なくともスピーカを選ぶ上で基本的スペックは極めて重要です(アンプ等は十分なレベルに達しているので大して重要ではないが)。スピーカ製品の周波数特性グラフと性能値の表記方法を統一し、表記を義務付けるべきでしょう。

業界が発展するには、ユーザに正しい情報と基礎知識を提供する事が重要です。他の業界では、雑誌等がそれに努めているおかげで、一般ユーザの基礎知識のレベルは十分に正しく高いように見受けられます(ジャーナリズムはそれなりに役目を果たしている)。しかしこの業界では、本当に重要な基本的な知識や情報がユーザに行き渡っているのか、極めて疑問に感じます。やたら感覚的な言句でユーザを惑わしていないでしょうか?本懐を忘れ宣伝媒体になってはいないでしょうか? 僕が記憶する限り、昔(30~40年前?中高生の頃)のオーディオ雑誌では、そのあたりも極めて真っ当であったように思うのですが。。。

一般的常識を持つ人間から見て魑魅魍魎が跋扈する魔界のように感じられるようでは発展は望めません。

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2011年10月12日 (水) | Edit |
英語版に掲載したデータを転載します。

僕のコレクション中で最強の低音信号であるストラビンスキー「春の祭典」(シャイー指揮/クリーブランド)の超絶バスドラをなんとかやっつけたどー。という自己満データです。

haruru.jpg
haruwave.jpg
haru wave2

グレーがCDのソースデータ、赤と青がリスニング位置でマイクロフォン(モノラル)で計測した実際の音です。赤は超低音をウーハーでアシストして30Hzフラットにイコライジングした最強仕様、青がAlpair 6Mだけでイコライジング全くなしの素の状態です。以前の記事に書いた「耳に届く音を信号波形から歪ませている最大の要因は、特に小型のスピーカの低音特性の減衰(ロールオフ)にある」という意味がよくお分かり頂けると思います。

プリのボリュームは最大です。この時リスニング位置で計測した音圧レベルは概ね75~85dBAの範囲で変化し、SLOWフィルタで計測したピーク音圧レベルは91dBA(高音の金管パート)でした。僕としては、かなりの大音量です。家内の外出中に計測しました。これは、以前の記事で紹介したホール中央席におけるベト5第一楽章の最大音圧レベル(単純なピーク値で89.9dB、Aフィルタなし)を余裕で超えています。

ご覧のように、スペクトル、生波形ともにソースに非常に良く一致しています。スペクトルをよく見ると、127Hz前後に3次高調波の影響が少し見られます。また180Hzには、イコライザでは補正しきれなかった部屋の影響による急峻なディップが見られます。

このような超低域(約40Hz)の極めて強烈なアタック音をこのように正確にリスニング位置で再現できるというのは、なかなか大したもんだと思います。通常はカナル型イヤフォンか密閉型のモニタヘッドフォンでもない限り聴けません。古典的スピーカの場合、共鳴点が40Hz以下の最大級バスレフ型でもない限り正確な再生は困難であろうと思われます(通常サイズのバスレフ型では低くて大っきなナンカの音が出ているという程度。位相の遅れはもちろん、ソース信号と並べてもどの山がソースのどのピークに対応するのかすら定かではなくなる程波形は変形し、果ては基本周波数すら一致しなくなる)。さらに、そのような大型スピーカを小さなお部屋にぶち込んで離れて聞く場合、この周波数領域では部屋の定在波が猛威を振るうため、正確な低音再生はさらに困難となります(部屋を何度も行ったり来たりした音を聴く事になる)。通常の古典的スピーカシステムを通常の部屋で離れて聞いている場合、超低音ではレスポンスがあっても波形はかなり出鱈目であると考えた方が良いでしょう。

ということで、自分の限界ボリューム設定でコレクション中最大最強の低音を退治できたと言えましょう。まあ、ここまで来ると単なる自己満ですけどね。「春の祭典」自体は滅多に聴かないのでドーデモヨイのですが、プリ全開でも全コレクションの低音をズッコケなしで正確に聞けるという安心感は大きいです。マドンナのズンドコくらい屁でもありません。究極の最悪条件でも十分に良好な結果が得られた事から、通常の音量(プリ開度1/2~3/4程度)では30Hzまで完全にフラットにしても全曲を十分以上に高品位な低音再生で楽しめていると自信を持って言えるという事です。アンシン アンシン。

追記
クラシックのオーケストラ曲の場合、低音部におけるタイムドメイン的正確さはさほど重要であるとは感じない。量感があればOKなような気もする。これは、もともと広いホールで比較的離れて聴く事を前提に製作された音楽だからであろう。そういう意味でも、交響曲には真面目に録音されたバイノーラル盤の出現を切に望む。ホールという巨大な楽器の内部で聴いている状態を表現するには、ステレオ方式ではどうあがいても無理。土台ムリ。それなりに受け入れて聴くしかない。無理にやっても所詮は嘘っぱち。交響曲の再生は別格だと思う。

ただしクラシックでもピアノ曲は全く別。ピアノの再生ではタイムドメイン的にビシッとバシッとしてないと気色悪い。そいえば、関係ないかもしれないけど、カセットテープの時代にピアノ曲ではワウフラが非常にシビアに感じられた事を思い出した。ピアノの再生は難しいと思う。全てアタック音で、しかも音域がやたら広いからだからだろう。

ジャズ等の場合、低音部はほぼビート(ピアノ含む)で構成され、とりわけジャズではこのビートの絶妙な「ノリ」(グルーブ、スイング)が極めて重要であるため、タイムドメイン的にビシッとバシッとしていると俄然楽しめる。ビシッとバシッとしないと気色悪い。そんなスピーカはハンマーで破壊したくなる。

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2011年03月09日 (水) | Edit |
最近音量についてイロイロ調べているうちに見つけた貴重なデータをご紹介します。

名古屋にある「愛知県芸術劇場」(ホームページはこちら)のかなり詳細な音響解析の報告書です。この施設はなかなか立派なコンサートホールを備えているようです。
報告書全文のPDFはコチラからダウンロードできます。
座席表のPDFはコチラからダウンロードできます。

最近の記事では音楽を聴く時の音圧について書いてきましたので、今回も報告書の中から客席の音圧分布のデータを取り上げてみました。残響特性等、かなり詳しいデータが掲載されていますので、ご興味のある方はPDFをダウンロードしてご覧ください。

下は当該コンサートホール客席の音圧分布測定結果の抜粋です。
701.jpg
ステージ中央に12面体スピーカ(音響パワー100dB)を置いて、ホール中心線上の各位置で音圧を測定した結果です。画像の質が悪かったので、プロットに色を付けました。緑が125Hz、青が500Hz、赤が2KHzです。測定点⑤が最前列席あたり、測定点⑧がホールのほぼ中心に位置します。④がスピーカ位置です。

結果を見ると、周波数の高い2kHzは⑤から⑧に向けて急激に低下し(約-8dB)、周波数の低い125Hzは比較的緩やかに低下しています。低音は壁面等の反射で吸収されにくいのに対し、高音は比較的吸収されやすためにこのような傾向が出るのだと思われます。この傾向は周波数が高くなればもっと顕著に表れると考えられます(後述のベト5データ参照)。

以上の結果から、最前列では後方の席に比べて高音(2kHz)のレベルが極端に高くなる傾向にあり、これが最大音圧レベルの値に強く影響していると言えます。また、高音レベルはステージに近い領域(上図では測定点⑤から⑧にかけて)で急激に低下し、それより後方では他の周波数(125Hz、500Hz)と同程度の傾きで緩やかに減衰する事が分かります。上図では測定点⑥~⑦近辺で3つの周波数のレベルが同等になります。これはコメントで頂いた5列目あたりに相当するのではないでしょうか。

高音(2kHz)の減衰が収まる測定点⑧より後の席(全席の8割くらい?)では、後に行くほど徐々に音圧レベルが低下するものの、ほぼ一定した周波数特性(つまり2kHzが他に比べて低い特性)が得られている事が分かります。

さらに、以前の記事で紹介した鎌倉芸術館でのベト5音圧測定データから興味深い知見が得られました。

ちょっと見にくいですが、最前列席のスペクトル(赤)とホール中央席のスペクトル(緑)を重ね合わせてみました。クリックで拡大してご覧ください。
702.jpg
500Hz近辺の音圧差は6dB程度に過ぎませんが、後方の席では2kHzより上で急激に音圧が低下する事が分かります。このデータでは4kHz以上で20dBも低下しています。やはり、周波数が高いほど減衰は顕著に表れるようです。このため全周波数の音圧ピーク値は、最前列席(106.7dB)に対して中央席(89.9dB)で15dB以上も低下するという結果になっています。すなわち、中域音の減衰量は6dB程度に過ぎないわけですから、全周波数で15dBを超える大きな差は高域音の減衰に強く影響されていると言えます。先のコンサートホールの音圧分布に4kHzのデータをプロットしたら、ステージ近くの領域で2kHzよりも大幅に急激な減衰が見られるはずです。A特性は約800Hz~8kHzに強い感度を持つため、高域レベルの低下はdBAレベルにもモロに影響します(つまり人間が感じる音の大きさにもモロに影響する)。従って、最前列席とその他大部分の席との間に10dBAかそれ以上の音圧レベル差が生じる事は十分に考えられます。

さらに、この2つのベト5実測スペクトルをCDの信号スペクトルと比較してみたところ、興味深い結果が得られました。CDはいつものブロさん指揮ベト5第一楽章(全部)です。もちろん縦横のスケールを合わせて重ねています。

まずは最前列の測定データと比較してみます(クリックすると拡大します)
703.jpg
最前列の実測値だと、約2kHz以上の高域がCDに比べて随分高くなっています。また、50Hz以下の低域も実測の方が随分高いですね。40Hz付近にホールの定在波かなにかが影響しているのかも知れません。

ではホール中央部の測定データではどうでしょうか。
704.jpg
なんと高域も低域も非常に良く一致しています。嘘みたい。。。。

ブロムシュテット、フルトベングラ、カラヤン、チェリビダッケ指揮の4つのベト5第1楽章のスペクトルを重ね合わせてみました。
705.jpg
どれも同じようなもので、やはり高域はかなり減衰しています。そんなに遠くのマイクロフォンで収録しているとは思えませんので、ホール中ほどで聴く状態に合わせてイコライジングしているのかなぁ?

まぁとにかく、フルオーケストラを最前列席で聴くと、ホール中ほどの大部分の席で聴くよりも、あるいはCDやLPで聴くよりも約2kHz以上の高音がかなり強く聞こえてしまう事だけは確かなようです。CDやLPの高域が減衰した信号をピーク105dBとか110dBを目指して再生したら、実際の最前列で聴く音よりもやたら中低音のでかい音を聴くことになっちゃうですね。。。そりゃたいへんだ!家揺れるぞ。

まとめ
交響曲における最前列席または指揮者位置の最大音圧レベルが95dBA(ピークで110dB近く)であるという定説は、いろいろ調べたところほぼ信頼できるもののようです。しかしこれはホール全体の中でも極めて特異な周波数分布を持つ極狭い範囲での極端なデータに過ぎず、その他の座席での一般的な最大音圧はホールにもよりますが概ね85~80dBAあるいはそれ以下のレベルに分布すると考えられます。従ってホール全席の音圧分布は前記事の快適音量分布にかなり近いものになると思われます。また、CDやLPに記録されている信号のスペクトルも、ホール内の平均的な座席で聴くのに近い特性を持つ事が分かりました。

追記
「生演奏の再現」というのに拘るのであれば、交響曲の場合、音量を上げたとしても耳元の音圧でせいぜい85dBA(ピークで100dB未満、95dBくらい)もあれば十分であり、どうしても最前列席あるいは指揮者位置での音を「再現」したいというのであれば、CDなりLPなりのソース信号の高域をイコライザで相当量ブーストした上でピーク110dBなり95dBAなりの最大音量に合わせて再生する必要があると思われます。再三申しているように、僕は再生音楽を「生演奏の再現」とは考えませんし、自分にとって快適な音量で聴けば良いと思いますが、一般的な快適音量レベルとホール中ほどの音量レベルはそれほど違わないようです(当然と言えば当然かもしれませんけど)。

追記2
上記の快適音量は、マンションの小部屋(6畳程度)であれば、8cmフルレンジドライバと20WそこそこのIcon AMPでも十分に達成できる音量であると言えます(2mくらいの距離でも大丈夫、馬鹿ブーしないサブウーハー使用ならばさらに余裕あり)。

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2011年03月05日 (土) | Edit |
以前から一度測ってみたかった普段聞いている再生音の音圧レベルを測定してみました。

騒音計はコチラを使用。
699.jpg
ちょっともったいないかな?とも思いましたが、5K円を切る値段をみてポチしてしまいました。日本国内の公式な騒音計としての仕様は満たしていませんが、米国の規格には合格しており個人的に使用する分には全く問題ないでしょう。iPhoneまたはiPod Touchをお持ちの方なら、こんな大層なモノを購入しなくても騒音計アプリを利用できますよ(精度は?ですが目安にはなると思う)。

で、問題となるのが、実際のフルオーケストラの音圧レベルが一体どの程度あるのか?という点です。今までに見つけた情報では、大音量時に85~95dB(瞬間最大では100dBを超える事もあるらしい)という程度の情報しかなく、どの位置で測定したのか(大概は指揮者位置、ステージ上、ステージ直前の近距離での測定値らしい)も、正確な測定条件も全く明記されていませんでした。そこでネットでいろいろ検索したところ、この記事を見つけました。詳細はそちらをご覧ください。

この記事では、ベトベン5番第1楽章の生演奏を最前列中央席と後方のホール中央席の2箇所で測定しています。これは非常に貴重なデータだと思います。しかし、残念な事に重み付けなし(FLAT)で測定したピーク値しか掲載されていません。これらの値は、他のどのような測定を行ってもこれより大きな値は絶対に測定されないと言える値であると考えるべきです。

測定値を見ると、全周波数のピーク最大値(すなわち生(FLAT)音圧波形の瞬時実効値の最大値)が最前列で106.7dB、ホール中央で89.9dBとなっています。後の席では音圧レベルが15dB以上も低下しているのには驚きました。

通常の騒音計では、125ms(FAST)の時間重みとA特性またはC特性の周波数重みを適用した「時間重み付きサウンドレベル」を計測します。つまり上記の単純な全周波数の音圧波形ピーク値よりは必ず低くなります。最前列席で測定された106.7dBというピーク値は、上で言っている「瞬間最大では100dBを超える」という意味に対応すると思われます。スペクトルを見ると、当然ですが低周波数に強い音圧を持つ左上がりの特性になっており、特に低周波数の重み付が小さくなるA特性では大幅に騒音レベル値が低下します。従って、このスペクトルデータと照らし合わせても一般に言われるステージに近い位置(指揮者位置、ステージ直前)で85~95dBAというのは、ほぼ妥当な線であると思われます。また、ホールのサイズや反響特性にもよりますが、後方の席では音圧レベルが相応に低下すると考えられます(上の-15dBが真だとすると70~80dB?、さすがに-15dBは大きすぎるように思われるが、スペクトルを見てもA特性に大きく影響する1kHz以上での低下が大きいので、dBA換算でも10dBかそれ以上は確実に低下していると思われる)。

下に周波数重み付け特性を示します。上記の参考データはFLATで計測されたものです。
698.jpg

ではでは、ということで僕のデスクトップシステムで再生音の騒音レベルを測定してみました。
音源はブロムシュテッド指揮のベトベン交響曲第5番第一楽章のうち、音圧が最大になるエンディング部です。
バイノーラル録音をご試聴ください(30Hzフラットの馬鹿ブー、ボリューム位置は12時、距離50cm):
bet5 end

アンプ(Icon AMP、定格24W)のボリューム位置ですが、デジタルオーバーフローを避けるためにFrieve Audioでベースレベルを-12dBした状態で、時間帯と気分に応じて10時~1時で聞いています。録音レベルの低いソースでも1時以上に上げる事は絶対にありません。
測定結果は以下の通りです。5回程度繰り返し再生した時の最大値(ホールド機能あり、ピーク値ではない)です。アンプのボリューム位置は全て12時です(交響曲を気合いを入れて聴く時の標準位置)。

距離50cm A特性: 79.7 dBA
距離50cm C特性: 84.6 dBC
距離200cm A特性: 77.0 dBA
距離200cm C特性: 81.6 dBC

信号が正弦波の場合、ピークレベル値と最大騒音値では3dB異なるとされます。バースト信号の場合はもっと差が大きくなります。ホール中央部で計測されたピーク値が89.9dBですから、その最大騒音レベルは少なくとも86.9dBよりも低いと考えられ、さらにFLATからC特性への換算によって多少値が低下するはずです。この事から考えても、上記の50cm位置で84.6dBCという結果はホール中央部での音量に非常に近いと思われます。

以上から、僕の日頃のリスニング条件の範囲でも、ホール中央席で聴くフルオーケストラの音圧とさしてかけ離れていない音量が得られていると推測されます。これはチョット意外でした。さすがにカブリ付きでの音圧は無理ですが、爆音派ではないので僕には十分です。というかこれ以上の音量で聴くのは苦痛です。なお、僕の部屋ではリスニング位置が50cmから2mに離れると音圧は約3dB低下しています(無響室や広いリビングならもっと激しく低下する)。これも部屋の音響特性によりますが、一般的に音圧一定とした場合、距離が離れればそれだけパワーをかける必要があります。小さなパワーでも耳元で十分な音圧を確保できるのがニアフィールドリスニングの強みです(僕の小さな部屋でも、50cmから2mに離れるだけで、同等音量を得るには2倍のアンプ出力が必要です)。

追記1
今回ご紹介したデータはもう1つ貴重な点を示しています。すなわち、ステージから離れると2kHz以上の高域音のレベルが顕著に低下するという事です。通常、レコーディングは近接マイクで録音されるので、ステージかぶりつきで聞く状態に近いと言えます。しかしこれだと高域がきつく聞こえる場合があるため、特にフルオーケストラ曲では高域を多少落とした方が聴きやすくなる場合があります。

追記2
今回驚いたのは、後方の席ではフルオーケストラでも最大音量で80dBAをちょっと超えるか超えないかといったレベルにしか聞こえないという点です。何も指揮者の気分になる必要はないので、最大ピークが100dBを超えるような爆音で再生する必要は全く無かろうと思いました。だいたい最前列というのは音楽を鑑賞する際にベストな位置だとは思えませんし、ホールも中央を中心にできるだけ多くの人が最適に聴けるように設計されているはずですよね。大音量嫌いの僕はコンサートでも映画でもやや後ろよりの席を選びます。それでも映画館の音は必要以上にデカイと感じますけど。

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2010年12月21日 (火) | Edit |
これも何度も書きましたが、ハチマルはそこそこ上等のカナル型イヤフォンの低音の聴きやすさに感動し、そのような低音がスピーカーでも聴けるようにとアレコレやってきたワケです。この歳にして、十分な低音まで明瞭に聞こえると音楽を聴く楽しみが倍増するコト、今までそのような低音を聴いていなかったというコトに遅ればせながら気付いたという次第です。

このためLEANAUDIOを振り返ると、低音再生(主に100Hz以下)の事ばかり書いてきたような気がします。100Hz以上であれば、現在の技術レベルでなんら苦労なく普通に再生できる(例えば8cmフルレンジ1本で十分に再生できる)ため、この領域は専ら「好みの問題」と考えて細かい事は敢えて書かなかったという面もあります。しかし100Hz以下の正確な再生となると、前の記事で書いたようなスピーカー本体の問題のみならず部屋の音響特性も含めて様々な困難が伴う事、そして何よりも、カナル型イヤフォンで聴いて100Hz以下の正確な再生が音楽を楽しむ上で決定的に重要だと気付いた事から、このブログの首題も自ずと「低音」寄りになったと言う次第です。

今回は、様々なジャンルの楽曲の周波数分布(スペクトル)から低音再生の重要性をあらためて考えてみます。

まずはCDのトラックのスペクトル解析結果をざっとご覧ください。

以下のグラフでは100Hz~40Hz帯域を黄色、40Hz~25Hz帯域を緑で示しています。

1)ベートーベン交響曲(全てブロムシュテッド指揮)
No.4 第1楽章
bet4.jpg

No.5 第1楽章
bet5.jpg

No.7 第1楽章
bet7.jpg

2)アコースティックJAZZ
マイルス/RIOT
Miles Riot copy

コルトレーン/至上の愛-1
 Coltrane A love supreme 1

3)エレキJAZZ
ウェザーリポート/Volcane for Hire
WR Volcano for Hire

ジャコパストリアス/Invitation(Japanライブ)
Jaco Invitation

4)ロック/ポップ
マドンナ/Bad Girl
Madonna Bad Gir

ピンクフロイド/吹けよ風、呼べよ嵐
PF One of These Days

いずれのジャンルでも、40Hzまでの黄色の帯域には明瞭なピークが見られ、重要な音楽情報が含まれている事が分かります。この帯域まではしっかりと再生したいものです。

ちなみに下記はオーケストラの低音楽器の最低音階です。
コントラバス E1 (41.2 Hz)
ベースクラリネット D2 (73.4 Hz)
バスーン Bb1 (58.3 Hz)
コントラバスーン Bb0 (29.1Hz)
ベーストロンボーン B1 (61.7 Hz)
40Hzまで再生できれば、コントラバスーンを除く低音楽器の最低音階をカバーできると言えます。
ジャズのウッドベースはもちろんエレキベースの最低音階もコントラバスと同じです。

打楽器の場合、ティンパニは F2 (87.3 Hz)、バスドラムは30~80Hzとされています。ハチマル所有の「春の祭典」には35Hzの強烈なバスドラが録音されています。ピアノの最低音階は27.5Hz、パイプオルガンになると20Hz以下なんてのもあるそうです。ベトベン最晩年のピアノソナタでは32Hz(C1)まで使っています。まあ、パイプオルガンはともかく、30Hzまで確かなレスポンスを確保できればほぼ理想的と言えるかもしれません。というか、それ以下の周波数では聴覚だけで知覚する事は難しく、大型装置で部屋全体の空気を揺るがさないと感じないと思う。

以上は全て西洋音楽ですが、日本古来の音楽ではどうでしょうか?

5)雅楽
ツタヤで雅楽のCDを借りてきました。雅楽は中国から伝来した音楽で、日本音楽の中では珍しいとされる多種楽器の合奏形態をとり、CDのサブタイトルには「平安のオーケストラ」と書かれています。その中から比較的長い「喜春楽」序と破のスペクトルを下に示します。
喜春楽」序
gagaku.jpg
「喜春楽」破
gagaku2.jpg

これらと比べると、西洋音楽のスペクトルはどのジャンルでも随分左上がり(低音寄り)である事が分かります。よく言われるように「西洋音楽は低音を土台として、様々な音域の楽器のハーモニーを積み重ねる事によってピラミッドのように構築されている」というのがよく分かりますね。ハチマルがカナル型イヤフォンで過去に聞き込んだ音楽をもう一度聴き直してみて気が付いたのもこの点です。この構造を土台の低音までしっかりと正確に耳に届けて聴く事ができれば、今までよりももっともっと音楽を楽しめると。。。

低音再生において、周波数ドメインのみならずタイムドメイン的クオリティ(位相、トランジェント特性)も重要なのは言うまでもありません。ジャズを聴く場合は特にそうだと思います。ジャズではスイング感とかグルーブ感とか言われる絶妙なビートのユラギが非常に重要です。例えば4ビートの場合、均等に四分音符を刻むのではなく、絶妙かつダイナミックにタイミングをゆるがしています。そして、その重要な役目を担うのがベースとドラムスです。ベースとドラムスがヘボなジャズバンドはとても聴けたモノではありません。例として、ジャコは16ビートの超高速ベースでバンドをグリングリン加速します。加速といってもペースそのものは一定なのですが、まるでエッシャーの騙し絵の階段を駆け上るように、無限に加速していくかのような錯覚にとらわれる事があります(このグルーブ感というかドライブ感がジャコの真骨頂だと思うぞ)。エンディングに向かって大編成のビッグバンドをベース1本で無限に加速し続けるジャコのベースを聴く時、僕は未だに鳥肌が立ちます。このようなジャズの醍醐味を味わうには、タイムドメイン的に正確な低音がとても重要だと感じます(これがバスレフ型を受け入れられない主要因だと思う)。クラシックの場合、交響曲ではそれほどタイムドメイン的重要性は感じません。しかし、ベトベン最晩年のピアノソナタの低音部にゾクゾクっとする時に、その重要性をつくづく感じる事があります。

まあ、ハヤイハナシが西洋音楽を楽しむには「可聴帯域の下限近くまで位相を乱さずに十分なレスポンスで耳に届かせる事が重要」という事です。これがハチマルの言う「微視的な音質以前に最優先で達成せらるべき総合的音楽再生クオリティ」です。別にそれが観念論的にあるいは技術論的に理想だからそうあるべきだと言っているのではありません。記録されている音楽の聴きやすさを求めれば、より良く聴こうと求めれば、より深く楽しもうと求めれば、自然とそうなるという事です。それがLEANAUDIOトライアルを通してハチマルが得た結論でもあります。

次回に続く。。。

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2009年02月10日 (火) | Edit |
再生にはFriev Audioというシェウェア ソフトウェアを使用しています。スピーカーと並んで僕のシステムの中核をなす最重要パートです。

このソフトウェアはコチラからダウンロードできます。フリー版とシェアウェア版がありますが、音場補正のできるシェアウェア版(M-Class)が圧倒的にお勧めです。たった3千200円で絶大な効果が得られます。PCで音楽を聴いておられる方は、スピーカーやアンプやDACをチョコマカいぢる前に、音場補正をまずお試しあれですよホンマニ。

032_20090807204729.jpg
操作画面の全体像
この図の設定ではだいたい下記のような事をやってます。
- 44.1kHz/16bitを2倍にアップサンプリングしてから48kHz/24bitでASIO出力
- 22kHz以上の領域の高音補完「HSC」(いわゆるハーモネータのような機能)
- イコライザでR/L別々に音場補正
- 低音側で顕著になる位相遅れも補正
- 40Hz以下をシャープにカット

その凄さの割にネット上であまり話題になってないのが不思議なくらいです。
おそらくこのような機能がデジタルプレーヤーやデジタルアンプに組み込まれるのが当たり前となる日は近いと思います。また、それによってスピーカーの設計も大きく影響を受けるのではないでしょうか。

その高機能ぶりを次回から数回にわけて紹介してみたいと思ってます。

034.jpg
L側のリスニング位置におけるf特です
上が補正前、下が補正後
L/R別々に補正します
自動機能があるので、マイクさえあれば極めて簡単に測定が行えます。

スピーカーの特性がフラットであっても、よほど念入りに設計されたリスニングルームでも無い限り部屋の影響を強く受けてリスニング位置のf特はかなり凸凹になっていると思われます。僕の場合、リスニング位置はスピーカからたった1mしか離れていないにもかかわらず、特性は左右でかなりはっきりと異なります。このソフトウェアを使用すると、リスニング位置の特性を左右別々にフラットに調整する事ができます。

また、原理はよく理解できていませんが、スピーカーからの音は低音になるほど位相が遅れる傾向にあります(下の計算結果を参照してください)。特にバスレフ形式ではその遅れが大きくなる傾向にあるようです。上図の右側のイコライザ画面には測定された位相遅れがグレーの線で示されています。やはり低音になるほど位相遅れが大きくなっています(ただし計算グラフとは符号の取り方が逆)。このソフトウェアでは、このような位相遅れも補正する事ができます。

040.jpg
2.2Lのバスレフタイプの例
20kHzに対して50Hzの位相が約360°遅れている
50Hzで位相反転

この位相遅れに関しては「リンク」内の「スピーカー関連の技術資料」を参照してください。「群遅延特性について」という記事が参考になります。

この音場補正をONにすると最初は全体的に音が温和しくなる(あるいは引っ込む)感じがしますが、イヤフォンで聴くように細部まで聴き取りやすくなります。これで聴き慣れてからOFFにすると、ものすごく癖のある音に聞こえて耐えられなくなります。仕事しながらのBGM的聴感評価でも、OFFにするとすぐにONにしたくなってしまうのでもう手放せません。

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