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2013年09月17日 (火) | Edit |
僕が40Hz~10kHzを音楽再生における重要周波数帯域であると考えている事は再三書きました。この帯域を「リスニング位置」で十分フラットに、かつ「時間ドメイン的にも正しく」再生する事が音楽再生における最も重要で基本的な第1の課題であるという事です。ヨイオトたらリンヂョカンたらをツイキュする以前のウルトラスーパーアルチメットに基本的な課題です。自動車の「安全に走る/曲がる/止まる」に相当すると言えるでしょう。

未だに古典的技術が幅を効かせる現状では、40Hzまでの低音を「リスニング位置」で(時間ドメイン的にも)十分に正しく再生する事は、大型で高額なハイエンド装置を使っても容易ではなく、特に多くの人々が愛用する小型システムでは全く悲劇的な状態にあると言えます。それを放ったらかしにして、聞こえるか聞こえぬか未だに議論されている蝙蝠さん領域への帯域拡大にウツツを抜かしておるのが現状です。ナンデソーナルカ?

スピカの(特に小型装置の)低域を改善する方法は、当ブログで再三紹介してきましたし、今現在この記事を書きながら、そのような自作装置でゴキゲンに音楽を楽しんでいます。現在の周辺技術を以てすれば困難な事でもコストがかかる事でもアリマセン。

とは言え、現在市場にナイモンはナイわけですから、低音不足の装置でもできるだけ音楽を「良い状態で」(マニアご執心のオンガクセー?とかヨイオト?とやらではナイヨ)楽しむにはどうすれば良いか?について考えてみます。

下は2つ前の記事に載せたデータを重ね合わせたものです。
マドンナベトベン
グレーがベトベン交響曲第5番第1楽章、赤がマドンナのNothing Falseです。ニンゲンの聴覚感度特性で補正した楽曲のスペクトル(ピーク値)をプロットしています。

2つ前の記事をご覧になると分かるように、時代を追う毎に楽曲の低域(40~100Hz)と高域(4~10kHz)がバランスしながら増加する傾向にあります(広帯域化している)。上の図は、その中で最も古典的なベトベンと、最も最近のマドンナを重ね合わせています。

これらの比較から非常に重要な事が分かります。
「ベトベンであろうとマドンナであろうと、西洋音楽の重要帯域は40Hz~10kHzである事に全く変わりなく、また、40Hzと10kHzの(あるいは積が40万になる2つの周波数の)耳に聞こえる(ニンゲンが感じる)音の大きさはほぼ同じである」という事です。つまり、上図のようにプロットすると、約700Hzを中心として概ね左右対称のプロファイルを示し、低域(40~100Hz)と高域(4~10kHz)は常にバランスしています。これがジャンルや時代を超えた西洋音楽の普遍的基本構造であり、「(西洋的)音楽性」(マニヤの言うオンガクセーではない)を表す1つの重要な特徴であると言えるでしょう。

マドンナはベトベンに比べて、ズンドコピートのために低域の音が随分大きくなっていますが、それとバランスするように高域の音も大きくなっていますよね。低音を強く含む曲では、必ず高音も強くなっています。そのようにバランスを取らないと、人間には「エーグアイ」に聞こえないと言う事でしょう。

このような西洋音楽を、不本意ながら帯域の狭い(すなわち低音の出ない)装置で再生せざるを得ない場合、上記のバランス(西洋音楽の基本法則、音楽性)を保つ事が重要であろうと考えるのが極めて自然でしょう。デスヨね。

これはFrieveAudioで各種のフィルタを設定しながら聴いてみると良く分かりますが、僕の実体験に基づく良い例をご紹介します。

僕はAlpair6Mをメインのドライバに使っていますが、時々誤ってサブウーハも補正もなしの素の状態で随分長いこと気付かずに聴いている事があります。この状態でもあまり違和感を覚えず、なんかこのママでも十分聴けるヤン。。。と思えなくもありません。

以前Alpair5をメインに使っていた頃は、そのような事は決してありませんでした。明らかに低音不足に聞こえましたからね。
aplair6M.jpg
上図は約20cmの距離で計測したAlpair6MAlpair6PAlpair5のF特です。Alpair6Mは、他のドライバに比べて低音に強い反面、高音は明らかに減衰したカマボコ型の特性を示します。さらに、実際のリスニング位置では10kHz以上がこれよりも減衰します(軸上ではないため)。さすがに40万の法則を満たす事は無理ですが、50万くらいのバランスにはなっているでしょう。このため、素の状態でも「音楽」の「全体像」をそれほど違和感なくバランス良く聴く事ができるのだと思います。

ちなみに、マークさんによると、Alpair6Mは小容積の箱を使ったデスクトップ/ニアフィールド アプリケーションを狙っているので、高域を敢えて延ばさなかったそうです。なんだか絶妙な特性ですよ。実は、コレ。。。
チョイ聞きの第一印象は他のAlpairに比べると地味でナンダカ冴えないのですが(ハチマル用語でヂミヘン)、実際に長く「音楽」を聴くと実は具合が良いというのがAlpair6M君です(フラットに補正してしまえば関係ないですけどね)。

A6Mを比較的大きめのバスレフ箱で使う場合はツイータを追加した方がバランスが良いかもしれません。フィデリテムさんのDuo60(コチラ)はその好例でしょう。僕はサブウーハまたはデジタルブーストで低音を補強しますが、高域を8kHzまでフラットに補正する事でバランスを取っています。

さて、市販のスピカではどうでしょうか。大小2つのFOSTEX製品で見てみましょう。
02gx250mg copy
スケールを大体揃えて並べてみました。GX100MA(左)のウーハは10cm、GX250MG(右)のスコーかは13cmです。古典的技術では、帯域を低周波側へホンノ数10Hz延ばすために極端な大型化が必要である事が良く分かります。たとえ小さな部屋で小音量で聴く場合でも、低音までシッカリ再生しようとすると巨大装置が必要になるというのは、全く馬鹿げています。マッタクです。これに対し、LEANAUDIO方式の場合、サイズは必要音量によって決まります。

GX100MA.jpg
FOSTEX GX100MA (10cm 2WAY ブックシェルフ型)
10cmのバスレフ型であるため60Hz以下は急激に減衰し、50Hz以下の音は殆どキッコエません。すなわち、ロンさんのベースを十分に再生できず、マドンナさんのズンドコは完全に帯域外です。また、この帯域では時間ドメイン的にもかなりデタラメです。反面、高音側は蝙蝠さん領域の40kHz近くまでほぼフラットに延びています。これではサブウーハを追加しない限り、西洋音楽本来のバランス(音楽性)を楽しむ事はできないでしょう。これだったら、密閉型にして100Hz以下をなだらかに減衰させ(チョイとブーストしても良い)、高域側をそれとバランスするように減衰させた方が、「音楽」を自然なバランスで(音楽性を保って)聴く事ができるはずです。

GX250MG.jpg
FOSTEX GX250MG (25cm 3WAY フロア型)
このクラスの立派なフロア型になるとさすがに低音は大幅に改善されます。設置方法(ツイータの軸上から少し外す、部屋を利用して低音を少し増強する等)で十分にバランスを取る事ができるでしょう。この製品では、バスレフの同調を極端に低くする事で低音をなだらかに減衰させていますね。吸音材も多めに使っているのではないでしょうか。バスレフ臭さを改善する良い方法だと思います。でも、これだったら密閉型にしちまえば良いのに。。。「バスレフ」と書かないと売れないのでしょうか?もしかして。。。

いずれにせよ、特に一般のヒトビト向けの比較的小型の装置において、アホみたいに蝙蝠さんの超音波領域へ帯域を延ばすよりも、低域をしっかりと補強するか、それが適わぬのであれば、高域を適度にバランスさせる方が、「音楽」の全体をより良く聴く(すなわち本来の目的)ために、遙かに重要であろうかと思います。

帯域を闇雲に一方へフラットに延ばすのではなく、40万の法則に従って高/低のバランスを保つ事が重要でしょう。それが本当の意味での(西洋音楽の)「音楽性」(マニヤのいうオンガクセーではない)を保つという事になるでしょう。また、減衰具合もバスレフのように急激なものではなく、できるだけなだらかな方が良いでしょう(上のAlpair6M+密閉は高/低両側に非常になだらかに、しかもほぼ左右対称に近い形状で減衰していますよね)。特にある程度低音を犠牲にせざるを得ない非常に小型の装置においては、努々この点を疎かにしてはならぬでしょう。蝙蝠さんは全く重要ではないと思います。

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2013年05月27日 (月) | Edit |
密閉型とバスレフ型の動的歪みの比較データを追加掲載します。
条件は前の記事と基本的に同じです。

下は1サイクル正弦波(40、60、80Hz)の再生波形です。横軸のスケールは周期で合わせています。灰が信号、赤が40Hz、青が60Hz、緑が80Hz。
上が密閉型、下がバスレフ型です。FrieveAudioはどちらも50Hzまでフラットで位相遅れ補正はOFF。
密閉40-70 copyバスレフ40-70 copy
バスレフ型の場合、立ち上がりが遅く、信号停止後もだらだらと波形が続きます。また周波数がたった40Hz変化するだけで波形が大きく変化しています。理想的な再生では、全ての周波数の波形がピッタリ揃います。FrieveAudioで20Hzまで完全フラット/位相遅れONにすると、かなり理想に近付くのですが、データを保存し忘れました。

横軸のスケールを時間のままとし、信号停止後の減衰振動部の波形で揃えてみました。
上が密閉型、下がバスレフ型です。
密閉40-70 最後
バスレフ40-70 最後
減衰振動部は、システム(ドライバ、箱、アンプとの電気回路)によって決まり、信号には関係ありません(だって信号は既にゼロですからね)。信号周波数がどう変わろうが最後屁の周波数は一定だという事です。バスレフ型では、最後屁の振幅が大きくて長い事がわかります。というか、実際の信号部と同等の部分を占めています。

最後に、実際の楽曲音として、おなじみ「春の祭典」最強パスドラの再生波形を比較しました。グレーが信号波形、緑が音響波形です。図が小さいのでクリックで拡大してご覧ください。
密閉型
密閉春
バスレフ型
バスレフ春
密閉型の再生波形は、少し遅れながら信号波形にキッチリと追従していますが、バスレフ型では信号波形との関係がかなりデタラメです。単純に位相が遅れているのとは全く異なります。大阪弁で言えば「ドレガドレヤネン?ドナイナットンネン?」という感じですね。

下は、上の波形ののFFT解析結果です。
灰が信号、赤が密閉、水色がバスレフ型です。
バスレフ密閉春FFT
40~50Hzにバスドラの強いピークがあります。密閉もバスレフも50Hzまでしかフラットに補正していないため、50Hz以下では信号よりもレベルが下がっています。また、バスレフ型の方がF特の減衰が急激であるため密閉型よりもレベルは下がります。その点を差し引いて見れば、波形(時間ドメイン的挙動)があんなに違うのにも関わらず、周波数ドメイン的に評価すればバスレフ型でも問題なく見えます。

今回の実験君データは以上です。

定常評価や周波数ドメイン的評価だけでは、過渡現象の嵐である音楽信号の再生クオリティを正しく評価できない事がお分かり頂けたかと思います。また、バスレフ型が原理的に抱える低音の動的挙動問題もご理解頂けたかと思います。これは共鳴原理に由来する問題であり、ポートをどうチューニングしようが逃れる事は決してできません。これを嫌う場合、箱内部やポートに吸音材を適度に充填して共鳴現象を弱めるしか方法はアリマセン。で、LEANAUDIO初期の頃、聴いているうちに半ば無意識にドンドン吸音材をつぎ込んで、気が付いたら「密閉型と変わらんヤン」にナッチッタを何度も繰り返しました。そして、密閉型で不足する低音を補うために、まずサブウーハを試し、次にデジタル信号ブーストに辿り付きました。現在のZAP 2.1はその集大成です。

僕のように低音ビートに敏感なリスナ、または真にクオリティの高い音楽再生を望むリスナには、密閉型システムを強くお勧めします。

追記
このように計測で評価可能な再生クオリティが向上すると、「ヨイオト?」や「ナンタラカン?」とやらがドータラコータラになるのではなく、確実に「音楽」が自然で聴きやすくなります。僕はこのように計測していますが、これはイヤフォン並の「音楽の聴きやすさ」を求めて、聴感を頼りに、最初はバスレフ型から、アレコレ開発してきた結果を後追いで検証しているに過ぎません。

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2013年05月17日 (金) | Edit |
今回は、Alpair 6Mの馬鹿ブースト方式での歪み計測結果をご紹介します。

久々の馬鹿ブーストです。サブウーハをデジタルフィルタで帯域分割するようになってからは、馬鹿ブースト方式を全く使わなくなってしまいましたからね。

今回のデータは全てサブウーハOFF/帯域分割フィルタなしです。このシンプルさとコンパクトさが馬鹿ブースト方式の真骨頂。さて、歪みの方は如何ほどか?

まずはFrieveAudioでのF特データ
A6 Baka Frieve
青が補正なし、赤が補正ONです。160Hz近辺のディップは部屋の影響です。スピーカに近付けば、このディップは完全に無くなります。僕の経験によると、このように1オクターブより十分に狭い急峻なディップは余りクリティカルではありません。FrieveAudioの補正係数は平滑化しているため、補正ONでもこのディップは少し残ります。

1) 標準ボリューム
まずは標準的ボリューム(標準ピンクノイズで75dBC)でのデータです。
上がAlpair 6M馬鹿ブースト、下は以ZAP 2.1の結果
A6 Baka 75dBC copy
ZAP 75dBC 32
赤ラインの歪み率(%)は67dBを基準に計算しています。馬鹿ブーでは、さすがに2.1に比べると全体的に歪みレベルが高く、50Hz以下で3次の方が2次よりも高くなり、40Hzで3次は2%を超えています。しかし、この程度の歪みであれば、40Hzまでフラットに補正してもマドンナのズンドコビートに問題を感じません。ブースト量は40Hzで約+17dBです。

そもそも2.1システムは「春の祭典」の超絶バスドラをヤッツケヨーという意地と、FrieAudio以外のソース(ラジオやiTuneやCD/DVD)でもLENAUDIOクオリティで聞けるようにと着手したものです。馬鹿ブーでも常用音量域における実用状態では特に問題を感じませんでした。実際、2.1システムにプレートアンプ内蔵のアナログフィルタを使っていた頃は、低音ビートに微妙な違和感を覚えたため、気持ちの良いビートを聴きたいジャズには専ら馬鹿ブーを愛用していました。その事から考えても、今回の歪みデータは「まぁ、コンナモンヤロ」と納得の行くレベルであるように思えます。

しかし、デジタルで帯域分割するようになってからは、自然と2.1方式に手が伸び、馬鹿ブー方式は全く使わなくなってしまいました。低音の歪みの少なさと、ドップラ歪みによる高音域の音質劣化といった面で2.1方式の方が「音楽を聴きやすい」のかもしれません。比較してしまうと、デジタル帯域分割2.1方式の方が総合的クオリティが高いという事なのだと思います。現在のZAP 2.1には全く満足しています。

2) 標準ボリューム+7dB
家族やご近所様を憚る音量です(標準ピンクノイズで約82dBC)。
同じく上がAlpair 6M馬鹿ブー、下が2.1 ZAPです。
A6 Baka 82dBC copy
ZAP 82dBC 60
さすがに馬鹿ブーでは50Hz以下で3次が激増し、40Hzで約10%に達しています。もうブリブリ寸前。これはアキマセン。ただし、欲張らずにブーストを60Hz(+9dB程度)までにしておけば、かなりの音量まで十分に使えそうです。非常に小径/小型のシステムで60Hzまで全くフラットに位相の乱れなく、しかもマンションの6畳間であれば周囲を憚るほどの音量で再生できるのですから、魅力的なポテンシャルを備えていると言って良いでしょう。 8cmクラスドライバであれば、下限周波数は60Hz程度にしておいた方が無難でしょう。

それにしても、Alpair 10の3次歪みの少なさは素晴らしいと思います。僕の使用環境では2.1 ZAPはオーバースペック気味ですが、Alpair 10を2本使って馬鹿ブーまたは2.2ch方式 (2~3"フルレンジ+ Alpair10)方式にすれば、ウーハが1本の2.1方式よりも低音再生にさらに余裕が得られます(同一音量であれば歪み率は低下する)。それでも音量が足りなければ、ウーハの数を単純に増やせば済みます。また、60Hz近辺の特徴的な2次歪みの増加を抑える事に成功すれば、もう完璧でしょう。プロ用モニタヘッドフォン並(3次歪みの低さを考えればそれ以上)の低音が得られます。一家に一台Alpair 10ですね。

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2013年05月13日 (月) | Edit |
家内が出かけたの見計らって、DAYTONの計測システムでZAP 2.1ch君の歪み特性を手っ取り早く計測してみました。

計測はリスニング位置(距離約75cm)です。マイクは手持ち。相変わらずエーカゲンです。
音量設定には業界標準の-18dBFSrmsピンクノイズを使いました(詳しくはコチラの記事参照)。ピンクノイズは2つのスピーカで再生。再生ソフトはFrieveAudio。補正は全てOFF。ICON AMPのボリュームは1/2。

音量設定は
1) 昼間の標準的ボリュームよりやや高め
標準ピンクノイズで約75dBCに設定。PCのボリューム目盛りは32/100
2) ご近所にビクビクしながらかなり頑張ったボリューム
標準ピンクノイズで約82dBCに設定。PCのボリューム目盛りは60/100

DAYTON計測システムでは歪み計測用に-12dBのスイープ信号(R/Lモノラル)を使います。
「春の祭典」の超絶バスドラ(約40Hz/-6dB)を除けば、僕のコレクション中で低音信号レベルの最も高いマドンナのズンドコが約45Hz/-12dBです。通常のジャズやクラシックの超低音レベルは、マドンナよりもずっと低いので、-12dB信号でOKであれば実用上全くOKと言えます。また、マドンナの曲はコンプレションを効かせているので、再生時のボリュームは標準よりも絞ります。ソンナコンナを鑑みれば、このテストで良い結果が出れば大概のソースで実用上全くOK!と言えそうです。

では結果です。

グラフの色分けは以下の通りです。
Color.jpg
2次:赤、3次:紫、4次:緑、5次:水色、2~5次の合計:青

1) 標準ボリューム
ZAP 75dBC 32
2次(赤)が支配的なので2~5次(青)と殆ど重なっています。
2次歪み率は2%以下、3次歪み率は0.8%以下しかありません。
マイク手持ちという事もあり、計測するたびにグラフの凸凹が微妙に変化しますが、何度計ってもこのレベルでした。結構ヨロシーのではないでしょうか。

2) 標準ボリューム+7dB
ZAP 82dBC 60
2次が5%に達しましたが、3次の歪みはほとんど増えずほぼ1%以下を維持しています。これがAlpair10の凄いトコロと言えましょう。ブリッと完全に破綻するまで(Arrestorにヒットするまで)、3次は決して急増しません。前の記事の正弦波による聴感評価に基づくと、まだ許容範囲内にあると言えます。特に3次歪みが殆ど増加していないため、聴感的にはまだまだ余裕がありそうです。

Alapir10に比べればかなり低音歪み(特に3次)の多かったAlpair5および6の馬鹿ブーでも十分に実用に耐えた事から、様々な周波数成分を含みダイナミックに変化する実際の楽曲音では、純粋な定常正弦波で比較試聴するよりも聴感上の歪み許容範囲はかなり拡がると思われます。いずれにせよ、ZAP 2.1は僕の実用条件において全く十分、というかオーバースペックであるとすら言えるでしょう。Alpair6 4本使いくらいで丁度良いかも知れません。

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2013年05月13日 (月) | Edit |
低音の実験君をしていると、家族から気分が悪くなるからヤメロ、とレッドカードが出てしまいました。部屋のドアを閉めていても40Hzにもなると筒抜けみたいです。実験君は誰も居ないときを見計らってやるしかありません。またマンションのご近所様にも迷惑をかけないよう、音量は控めにしたいと思います。

という事で、今回は市販スピーカの歪みってどんな具合なの?と調べてみました。

民生用製品では殆ど特性データが公開されていないようですが、プロ用モニタスピーカ製品に関しては比較的詳しいデータがいくつか見つかりました。今回は、JBLモニタのデータをご紹介します。といっても、あのブルーバッフルのやつではなく、以前の記事(コチラ)で紹介したDSP内蔵メカトロ式のJBL LSR4300シリーズです。型番は同じ「43##」ですけどね。詳しくは製品サイトをご覧くださいませ。

JBL_20130513065451.jpg
これは16cmウーハ搭載のLSR4326Pですが、他に20cmウーハ搭載のLSR4328Pがあります。

下がカタログに掲載されていた歪みのデータです。
JBL4326 copy JBL4328 copy
左が16cmウーハの4326、右が20cmウーハの4328です。
共に上段は96dB/1m、下段は102dB/1mで計測されたデータです。
歪み率の縦軸の値は+20dBされていますので注意してください。
図には赤で大まかな歪み率(%)を示すラインを追加しています。上から約2.8%、1.6%、0.9%です。
バスレフ型なので、共鳴周波数の近くでだけ急激に歪みが低下しています(共鳴点では振動板振幅が小さくなるため)。

計測時の音量は1mで96dBおよび102dBですが、これらは一般家庭での標準的な音量に比べると巨大です。また、スタジオでニアフィールド モニタとして使う場合、以前の記事に書いたように彼らも常識的な音量(80dBAを大きく超えない音量)でモニタリングしているようですから、こんなに大音量では使わないはずです。大切な商売道具の耳が壊れますからね。そのような常用音量域では2次も3次もこのデータよりずっと低いでしょう。

下は以前の記事で紹介したリスニング距離と音圧レベルの関係を示すグラフです(関連記事はコチラ)。
ds-303(8)_20130513070909.jpg
図には部屋の広さを表す「畳」が示されていますが、これは壁に背中をはり付けて聴いている状態に相当し、現実的ではありません。例えば12~16畳であれば3~4mくらいの距離が現実的でしょう。図では3m離れると音圧レベルは1mから約10dB低下しています(距離2倍で-6dB)。しかし、これは無響室または開放空間での特性であり、実際の部屋では反射を伴うため、この傾きはもっと緩やかになるでしょう(特に低音は)。

という事で、1mの距離で96dBまたは102dBというのはかなり大音量状態である事に注意してください。僕の普段のリスニング音量設定(楽曲でmax 80dBA程度)だと、-12dBのスイープ信号を使ってF特を計測した場合の音圧レベルは75dBを超えません。歪み率を評価する場合は音量の設定に注意が必要です。当然ですが、実用音量レベルでの歪み率を評価しないと意味がありません。

上段の96dBのグラフで2つのスピーカを比較してみます。
この場合、小径ウーハと大径ウーハを同じ音量レベルで比較する事になります。
小径の4326では2次よりも3次の方が高く、100Hz以下で3次は1%を超え、下限周波数では2%に達しています。対して、大径の4328では3次は全域で1%以下と良好ですが、2次は4326よりも大きくなっています。両者でTHD (全高調波歪み)は余り変わらないかもしれませんが、前の記事に書いたように、聴感的には4328の方が好ましく感じられるはずです。そもそもウーハのサイズが違うのに同じ音量で比較すれば、小径の4326が不利になるのは当然です。小径のウーハで大径のウーハと同じ音量の低音を出そうとすると、振動板の振幅が増加するからです。そして振幅が磁気回路の線形限界(Xmax)に近付くと3次が急増します。上段の96dBと下段の102dBを比べれば、音量が増加すると歪み率もテキメンに増加する事が分かります。特に4328の3次の増加が顕著です。

同一音量であれば、基本的に大径ウーハの方が歪み率は小さくなります(振幅が小さくなるため)。歪み率は実用音量域で評価する必要があります。10cmウーハを非現実的な大爆音で評価しても意味がありませんし、38cmウーハをニアフィールドレベルの小音量で評価しても意味がありません。

再三申しているように、密閉型を基本とするLEANAUDIO方式の場合、再生下限周波数は振動板のサイズに依存しません。振動板サイズは必要音量によって決まります。この場合、音量(リスニング距離)に見合ったサイズのスピーカを選択する事が重要です。基本的に振動板は小さい方が音質面(特に剛性面、動的レスポンス、アンプの負担)はもちろんコスト面および設置スペース面でも有利だからです。その究極がイヤフォンです。ニアフィールド/小音量で聴くのに大径ウーハは不要です。十分に低い下限周波数(例えば40Hz)まで良好な歪み率(例えば3次が1%以下)を維持できるならば、できるだけ小径のウーハを選ぶべきでしょう。

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2013年01月17日 (木) | Edit |
今回はバスレフ型およびバスレフ型に-12dB/Octのフィルタを組み合わせた場合の位相特性について考えます。最後にいつものシミュレーションと比較する事により、僕の考え方が正しいかどうかを検証してみます。

下はバスレフ型の模式図です。
p3_20130117043119.jpg
バスレフ型では、ヘルムホルツ共鳴周波数(縦の青破線、図では40Hz)を挟んで2つのインピーダンスピークが発生します。密閉型と同様に各ピークを中心として位相が±90° (1ピークあたり計180°)回転します。このため、各ピークにおける遅れは、下側が90°、上側が270°となり、全部で360°位相が回転します。2つのピークの中間に位置するヘルムホルツ共鳴周波数での位相は180°遅れます。バスレフ型の場合、密閉型に比べて位相が遅れるだけでなく、2つのピークの間(50Hz前後)という狭い周波数範囲で位相が180°回転します。

下はバスレフ型に-12dB/Octのローパスフィルタを組み合わせた場合の模式図です。
p4 copy
一般的な2Wayバスレフ型のウーハーに相当します。位相は全部で540°(180°x3)回転する事がわかります。フィルタ カットオフ周波数での遅れは450°です。カットオフが十分に高ければ、下限周波数(例えば40Hz)における遅れ量には殆ど影響しないと思われます。つまり、高い周波数での位相の回転は気にせず下限周波数の時間的遅れだけを問題にするのであれば、アナログフィルタでも別に構わないと言えるかもしれません。ただし、後で書きますが、サブウーハのように極端にクロスオーバー周波数が低い場合にはモロに影響するため注意が必要です。

上図をシミュレーション結果と比較してみます。

下はAlpair 6P + TONO箱(約7L)を想定した結果です。
P0.jpg
模式図の条件とは異なり、バスレフの共鳴周波数は50Hz、ローパスのカットオフは3kHzです。折り返しを展開した位相曲線を明るい緑で示しています。2本のピンクの水平線は、上が位相0°(遅れナシ)、下が-540°(540°遅れ)です。シミュレーションでも全部で540°回転していますね。

各周波数における位相を読み取ると、下側のインピーダンスピーク(1番左の赤縦線:約38Hz)では-90°、ヘルムホルツ共鳴周波数(左から2番目の青縦線: 約50Hz)では-180°、上側のピーク(80Hz)では-270°、フィルタのカットオフ周波数(1番右の赤縦線: 3kHz)では-450°となり、上の模式図とよく一致しています。また、アナログフィルタのカットオフ周波数は十分に高いため、下限周波数における遅れには影響していません。カットオフ周波数(3kHz)で450°遅れますが、時間に換算すると約0.4msですから、一般的に言われる人間の時間分解能(20~30ms)に比べれば非常に僅かです。

最後に極端な例として、アドオン式サブウーハを想定して、フィルタのカットオフを70Hzまで下げてみました。
p6.jpg
50Hzの位相は-180°からさらに-90°回転して-270°になりました。また、100Hzで-450°まで急激に位相が変化しています。サブウーハのように極端に低いカットオフ周波数を使う場合は、明らかにデジタルフィルタの方が有利であると言えます。特にバスレフ型のサブウーハでは位相が大きく変化するため、この問題は密閉型よりも深刻となります。

次回は、実測値と照らし合わせて見たいと思います。

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2013年01月11日 (金) | Edit |
前の記事に関連して、低音の遅れについて書きます。

下はZAP 2.1で計測した波形です。
位相遅れ
グレーがソース波形(DAC出力)、赤がスピーカからの音響波形です。ソース信号は40Hzと5kHz正弦波の合成波です。40Hzが4周期ですから、信号の長さは100msです。信号の前後には、基準信号として急峻なパルスを挿入しています。FrieveAudioの補正はOFFです。なお、Alpair 6M単独でも計測しましたが、遅れ量はピッタリ同じでした。さすがデジタルフィルタですね。

赤のスピーカ出力を見ると、5kHzの音はソースに対して「時間的に」ほとんど遅れる事なくスピーカから出力されるのに対し、40Hzの音は約135°(約9ms)遅れて出て来る事がよくわかります。信号の最後の方を見ると、5kHzの音が止まっても、40Hzの音はまだ続いていますね。このように、ソースでは5kHzと40Hzの音が同時に発生していても、スピーカからは40Hzの音が「時間的に」遅れて出てきます。なお、以前のデータによると、アナログフィルタを使った場合、40Hzの音はこれの約2倍(約270°/約19ms)遅れて出てきます。

下図は遅れの異なる正弦波を並べたものです(実測音響波形ではありません)。
phase_20130111022250.jpg
左端の位相角度値の下の時間値は40Hz(25ms/cycle)を想定した場合の値です。黄色は上図の波形に相当する100msの区間です。一番下のように40Hzが5kHzに対して720°遅れた場合、半分の50msが過ぎてからやっと40Hzの音が出てきます。つまり、5kHzの音がピーっと鳴り始めてから50ms後に40Hzの音がボーっと鳴り始めるという事です。

次に、右の方の白い領域を見てください。0°、360°、720°は全く同じ位相に見えます。また、180°と540°の位相も全く同じです。このように、定常波形(波形の始まりと終わりが無い一定状態の波形)を観測した場合、360°を超える「時間的」遅れは正しく認識できません。実際には360°または720°遅れていても、全く遅れていないかのように見えてしまうという事です。

このため、よく見かける位相特性のグラフは、0°を中心に-180~+180°のスケールで示され、値が+180°に達すると-180°に折り返してプロットされます。下は以前の記事で紹介したYAMAHAのPA用スピーカ(2Way バスレフ型)の位相特性図です。
AEE5163A834841E0BAF166DA0B2842D5_12083_20130111024621.jpg
左がアナログフィルタ、右がデジタルフィルタによる特性です。このグラフでも、プロットは-180と+180°の間で折り返していますね。しかし、これでは現象の絶対的な遅れ時間を見る事はできません。そこで、以前の記事では下図のようにグラフを改造しましたよね。
phase_20130111024621.jpg
このグラフから5kHzと40Hzの絶対的位相差を読み取ると、アナログフィルタの場合700°弱、デジタルフィルタの場合360°弱遅れる事になります。僕のいつものシミュレーションより遅れ方が随分大きくなっています。

下はいつものシミュレーション結果です。
まずFOSTEXドライバによる2Wayバスレフ型の結果
fos_20120129095422_20130111031058.jpg
このグラフでも位相(緑)は折り返して表示されるため、上と同じ方法で絶対的な遅れがわかるように改造しています。これによると5kHzに対する40Hzの遅れ進みは約540°です。

次にAlpair10密閉型の結果
A10_20130111031058.jpg
遅れは120°くらいでしょうか。

以上のように、小型スピーカとしては最も一般的な2Wayバスレフ型ではアナログフィルタとバスレフポートによって低音の遅れ位相の変化が増加します。3Wayや4Wayではどうなるのか、興味深いですね。

では、どの程度遅れると聴覚で感じる事ができるのでしょうか? 例によってネットで調べてみたところ「リズム知覚の基礎としての時間知覚に関する精神物理学研究」という非常に興味深いサイトを見つけました。是非ご一読ください。
関係しそうな内容を抜粋すると、
[1.時間分解能]の項目から
高さや、到来方向の異なる二つの音に、時間的なずれを与え、どのくらいのずれがあれば前後関係が正しく知覚されるかを検討した。その結果、充分に訓練を積んだ被験者では、20 ms くらいのずれがあれば、前後関係がぎりぎりで判断できることが判った。
[2.リズムを生ずる時間間隔]の項目から
二つの音が 40 ms 程度離れていれば、その前後関係がはっきりと判るので、部分的には 40~100  ms くらいの時間間隔も、リズムを構成する単位となりうる。
とあります。これに従えば、上のYAMAHAのアナログフィルタ型2Wayバスレフのようなスピーカ(700°/約50msの遅れ)では、ピー(5kHz)に対するボー(40Hz)の遅れを十分に知覚できるという事になります。グルーブ感とかスイング感等のノリは非常に微妙なリズムの揺らぎによって表現されるので、こういうSPでジャズは聴きたくないかなぁ。。。周波数によって遅れ具合も大きく変化するため、僕なんか酔ってしまうかもしれません。

また、人間の視覚的な時間分解能は30ms程度であると言われ、聴覚も視覚もほぼ同程度の時間分解能となります。この事から、人間は時間を完全に連続的に知覚しているのではなく、30ms前後の分解能で離散的に知覚しているのではないかと言われています。僕が音楽帯域の現実的下限周波数と考える40Hzの1周期は25msです。この事から、一応の目安としては、40Hzにおける遅れが360°以下であれば、時間的遅れの観点からはまずOKであろうと言えるかもしれません。あ、でも、僕はフルレンジのバスレフ型(位相回転は360°以内)でも違和感を覚えるので、これも何とも言えないですねぇ。やなり、僕が懸念しているもう1つの問題要因「狭い周波数領域での急激な位相変化」がどのように音楽の知覚に影響するのか?という疑問は残ります。なお、例えば100Hzでは720°遅れても時間的遅れは20msですから、これより高い周波数での時間的遅延はあまり気にする必要は無いかもしれません。

前の記事に書いたように、音楽は一時も留まらない過渡的現象です。ですから、定常的な波形解析だけで装置の性能を評価するのは非常に危険であると言えるでしょう。とはいえ定常的な評価ももちろん重要です。例えば、位相の違いが音色に及ぼす影響については、複数周波数の合成波を生成し、位相を変えながら聴き比べてみるとおもしろいかもしれません。下はWaveGeneというフリーソフトウェアを使った例です。
wave.jpg
wave2.jpg
このソフトウェアでは、3つの波形を合成でき、その内1つの波形の位相を変更できます。上の例では200Hz、400Hz、600Hzの合成波を生成し、200Hzの位相を変更しています。位相を変更すると波形は全く異なって見えますが、僕には同じ音色に聞こえます。以前から言っているように、僕は高い周波数における位相問題が音色に及ぼす影響については重視していません。敏感な人なら聞き分けられるのでしょうか。WaveGeneはコチラでダウンロードできますので、興味のある方は是非試してみてください。

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2012年10月03日 (水) | Edit |
最近、音楽再生におけるタイムドメイン的特性に関してお二方よりコメントを頂きましたので、僕の考えるところをまとめておきたいと思います。

微小な「音質」の違いにはさして興味のない僕の経験から言える事は、リスナの「部屋」で彼の「」に実際に届く音響波形が源信号波形に「ソコソコ」近付けば(つまり周波数領域的にも時間領域的にもソコソコ再現できれば)、「音楽」が聴きやすくなる、自然に聞こえる、違和感を覚えない、長時間聴いても疲れない、すなわち、より快適により楽に「オト」ではなく「音楽」を楽しめる(アクセスできる)という事です。

さて、音楽再生を評価する際、まず基本となるのがおなじみの周波数特性(F特)です。これは周波数を横軸として、各周波成分の出力(音の大きさ)をプロットします。このような評価方法は周波数領域(ドメイン)解析と呼ばれ、時間方向の現象(位相)は評価に含まれません。高音に対して低音が遅れていようが進んでいようが結果は同じです。

これに対し時間領域(タイムドメイン)解析では、時間を横軸とします。早い話が色々な信号を入力して波形を見るという事です。このブログでも、各種の信号を入力した時のスピーカ音響波形を再三掲載しましたね。また、各周波数における遅延(位相の遅れ)を計測し、これを周波数を横軸とするグラフにプロットする場合もあります。

下はおなじみのシミュレーション結果です。
sim 000
Alpair6Mを2.5Lの密閉箱に入れた状態です。つまりZAP君をシミュレートしています。一番下の緑のラインが位相です。プラスが側が遅れ方向です。このグラフでは位相は20kHzまでダラダラと進みますが、Alpair6の場合、1kHzから上はほぼ一定と考えた方が実測とよく一致します。1kHzを基準にすると、50Hzで約90°(5ms)位相が遅れる事がわかります。

このようにアナログフィルタやバスレフポートを持たない単純なフルレンジ+密閉箱でも低域で位相が遅れます。しかし、何故このように遅れるのか? その原理を僕は未だ理解していません。明確な説明を見た事がありません。どなたか原理をご存じの方は、是非ご教示願います。

遅れが位相角度(°)で示されている事にも注意が必要です。例えば360°の遅延を時間に換算すると、1kHzでは1msですが100Hzでは10倍の10msです。このように、遅延の位相角が同じでも低音になるほど時間的遅れは大きくなります。僕は低音の「時間」的遅れが重要ではないかと考えています。例えば、10kHzのシンバルに対して50Hzのベースの一発目のアタックが何ms遅れるのか? あるいはどの程度崩れるのかという事です。

下は、再三ご紹介したベースとトランペットの音が重なった波形です。
位相 ON OFF
FrieveAudioで周波数特性だけを補正した波形です。大きなうねりのベース波形に、倍音をタップリと含んだトランペットの波形が重なっています。グレーの源信号波形に対して、ベース波形は90°弱遅れています。また、トランペットの波形も源信号とは随分異なります。各倍音成分の出てくる順番が異なるようにも見えます。

位相 ON ON
FrieveAudioの位相補正もONにしました。今度はベースもトランペットも源信号にピッタリ一致します。でもね。。。実際に聴くと僕には違いがよく分かりません。。

ヘッドフォン
これは密閉型ヘッドフォンです。何も補正してませんが、源信号波形によく一致しています。ベース波形は遅れるどころか若干進み気味です。オープンエア型のヘッドフォンでも殆ど同じでした(こちらは密閉に比べて僅かに遅れ気味でほぼぴったりの位相でした)。これもまた謎で、同じダイナミック型なのに、何故ヘッドフォンでは遅れないのでしょうか??不思議です。
補足: DACなりアンプなりでほんの少し低域の位相が進んでいるケハイがあります。そのうち確認してみますね。

以上のように、最もシンプルなフルレンジ+密閉箱でも、位相遅れによって再生波形はかなり変形しています。しかし、僕の耳では位相遅れ補正のON/OFFによる違いを聴覚で感じ取る事はできません。もともと、音楽を聴くにあたって必要以上に微細な再生音質の違いをワザワザ聞き分けようという強い意志を持たぬ僕には、この程度の違いは普通に音楽を鑑賞する上でさして重要ではないという事なのでしょう。ただ、はっきりと言えるのは、このように雑な波形観測では、デンセンやナンダカンダの違いは観測不能なくらい微小であろうという事です。

下は典型的な2Wayバスレフ型のシミュレーション結果です。
fos_20121003040049.jpg
アナログフィルタとバスレフポートの影響により、フルレンジ+密閉やヘッドフォンに対して凄まじく位相が変化する事がわかります。このツイータの10kHzを基準とするならば、50Hzで約540°(30ms、ZAPの6倍)遅れます。これだと僕にも位相遅れ補正の効果を聞き分けられるかな??? 現在広く一般に普及している形態のスピーカはこのような状態にあると思われます。上の波形はどの程度変形するのでしょうか。。。なお、12dB/Octのフィルタを使っていますが、ツイータを反転していないため、クロスオーバー領域で特性が凹んでいます。これは、位相遅れの値を正しく表示するために敢えてそうしています。反転すると、見かけの位相差は小さくなりますが、実際の位相遅れ(時間的遅れ)が改善されるわけではないので注意が必要です(反転したツイータの波形と、ウーハの次の(遅れた)波形がたまたま一致するだけ)。

このような位相変化が聴感上どの程度影響するのか定かではありませんが、デンセン等のやたら微小な影響に比べれば、根幹的かつ巨大な現象と言って良いでしょう。なお、デジタルフィルタを使えば、このような問題は生じません。僕がデジタルチャンデバ内蔵DACを強く望むのはそのためです。ベリンガの業務用超多機能デジタルスピーカマネジメント装置の値段を考えれば、今時そんなもん超安価に作れるはずです。ホンマニ。。。ナンデヤネン。。。です。

下はAlpair6M+Alpair10のZAPシステムをシミュレートしたものです。
sim ZAP
位相(緑)のラインは、Alpair6MとALpair10単独の特性です。この計算ソフトではバイアンプ状態をシミュレートできないため、別々に計算して重ね合わせました。プレートアンプに内蔵のアナログフィルタを使っているため、Alpair10の低域の位相はこのように遅れます。1kHzを基準とした場合の50Hzの遅れは約270°で、実測とよく一致しています。

下は波形です。
sub hakei
源信号(グレー)に対して音響波形(赤と青)は約270°(赤の水平線)おくれている事がわかります。

この遅れを時間に換算すると50Hzで約15msになりますが、普段音楽を聴いている分にはあまり気になりません。FrieveAudioで位相を全くフラットにした馬鹿ブースト方式と切り換えながら聴き比べると僅かながら差を感じますが、単独で聴いている分にはエーンチャウというのが正直なところです。

シミュレーションでは、バスレフ型の位相遅れは共鳴周波数において180°程度です(1kHz基準)。従って、アナログフィルタを使った密閉型サブウーハ方式よりも位相遅れは少なくなります。しかし、再三申しているように、僕はジャズを聴いている時にピチカートベースにどうしても違和感を覚えて、何度やっても穴を塞いでしまいます。これは、単純な群遅延というよりは、ドンと信号が入った時の初期の過渡挙動(箱の中の空気を一定の共振状態まで励起するのに要する遅延時間)に問題があるように思えます。この点については7LのTONO箱を使って近々検証する予定です。

という事で、現在の一般的なスピーカでは、スピーカそのもの、アナログフィルタ、バスレフポートによって、周波数が低くなるほど位相が遅れます。しかし、バスレフポートと中域でのクロスオーバーを持たない僕の密閉型フルレンジ システム(+密閉型サブウーハ)に限って言えば、時間領域的特性(位相遅れ、過渡挙動)はそれほどクリティカルではなく、やはり周波数特性が「音楽」再生における最も支配的な要因であるように思えます。

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2011年12月11日 (日) | Edit |
民生用アンプに比べると、業務用パワーアンプは驚くほど安価です(コチラをご覧ください)。以前から興味があったので、SOUND HOUSEさんで一番安価なパワーアンプを試しに購入してみました。

cp_cp400a.jpg
Classic Pro製 CP400
価格はなんと15,800円なり!(ゼロの桁数にご注意)
■タイプ:パワーアンプ、2ch
■ステレオ出力:100W+100W(8Ω)、130W+130W(4Ω)
■ブリッジ出力:280W(8Ω)
■周波数特性:20~20,000Hz(0.5dB)
■スルーレート・ステレオ:20 V/us
■高調波歪率: <0.05%
■入力感度:+4dBu
■入力インピーダンス:11KΩ
■ダンピングファクター:200
■ハム&ノイズ:> 100dB
■クロストーク:> 60 dB (TYPICAL @ 1 KHz)
■消費電力:110W
■寸法:48.3W×4.4H×27.1D cm
■重量:6.6kg
内部
うるさいファンを止めるためにカバーを開けました。
耐久性が重視されるプロ用なので内部の作りもしっかりとしています。
結構大きなトロイダルトランスを使っています。

仕事中に暫く使ってみましたが、ハチマルにはこれで十分という感じがします。ICON AMPと比べた場合、IA7-Eは少しジョートー風というか微妙なオーヂオ臭というか、微かな味付けを感じるのですが、このCP400には全くそのような癖を感じません。ハチマル好みと言えましょう。無信号時のノイズも他の民生用アンプと同等レベルです。逆にIA7-Eは回路が特殊であるため、無信号時に独特のノイズが出ます(信号が入るとノイズは消えるとメーカは言っている)。Icon AMPおよびCP400と比べた場合、IA7-Eではブラスが若干金臭く聞こえます。反面、ピアノの響きにハッとさせられる事があります。しかし、いずれにせよ、その差は、ハチマルが「音楽」を聴く上でさして重要であるとは感じられません。Alpair 6のMとPをフラットに補正して聴き比べた時の違いに似ているかもしれません。ハチマルは結局地味なメタルコーンを選択しました。

それにしても、CP400のこの低価格ぶり(15.8K円)は一体全体どういう事なのでしょうか? 入力切り換えやリモコンが無いにしても、民生用に比べるととんでもなく低価格です(Icon AMPと機能的に同等)。プロ用ですので、筐体も頑丈ですし、シャンパンゴールドの分厚いフロントパネルには高級感すら漂います。

ハチマルは、やたら微妙なオンシツの違いをワザワザ苦労して聞き分ける気など毛頭ありませんので、「音楽」を聴いている時に違和感や不快感を感じさせない自然さと正確さを何よりも重視します。そういう意味で、CP400は全く十分な音楽再生クオリティを備えていると思います。極々真っ当に信号を増幅してくれているという事です。たかだか20数kHz程度の電気信号増幅では、今時のアンプに大きな性能差は無いでしょう。

ただし、密閉型スピーカ+デジタル低音ブーストを愛用するハチマルの場合、アンプには低音再生の正確さを強く求めます(低音時のスピーカー駆動の正確さ、巷ではスピード感と言われているヤツかな?、ハチマル用語では「ビシッとバシッとした」低音)。このような特性を得るには、一般的にアンプのダンピングファクタ(DF)が重要であるとされます。

以下Audio Designというアンプメーカのダンピングファクタに関する説明です(コチラからの抜粋です)。

ダンピングファクター
ダンピングファクター(DF)が大きいことはパワーアンプの出力インピーダンスが小さいことを意味しています。DFが大きいパワーアンプはスピーカーからの逆起電力を抑制する力が大きい事を意味しており、ダンピングの効いた低音が期待できます。

ダンピングファクターとは
ダンピングファクター(DF)とはパワーアンプのスピーカーに対する制動力を表すと考えられている指標で、一般にパワーアンプの出力インピーダンスとスピーカーのインピーダンスの比で表されます。
         DF=Zsp(Ω)/Zamp(Ω)
ここでZspはスピーカーのインピーダンス、Zampはパワーアンプの出力インピーダンスです。
一般的なに半導体アンプで100程度の値を示します。この場合スピーカーのインピーダンス8Ωに対して、パワーアンプの出力インピーダンスは80mΩである事を意味しています。

ダンピングファクターの音質に与える影響
一般的にダンピングファクターに関しては次に様なことが言われています。

DFが大きいほうが低音に締りが出てくる。
DFが極端に小さいと(>10)低音の量感は増す(実際に低音の音圧レベルが上がる

ダンピングファクターが音質に与える効果についての考察
DFが1と10では音質も大きく違うかもしれませんが、100を超えると例えば低音の締りが良くなるということを必ずしも実感できるわけでないかもしれません。ただ数百以上のDFの効果というのは低音域の大信号に対して高音域が濁らないですとか、低音域の音階がはっきりわかる、低音が静かに聞こえるという様な聴感上の効果があるように感じます。


普及品民生用半導体アンプのDFは概ね100以下のようです。駆動力が高い事で評判のONKYO A-7VLでもカタログのDFは60となっています。NuForce社は、同社のアンプ回路は特殊であるため一般的なDFの定義をそのまま適用する事はできないとしながらも、IA7-Eのスピーカ端子で計測されるDFは約160に相当するとアナウンスしています。これは民生用としては非常に高い値であると言えます。

真空管アンプのDFは一般的に10以下しかないと言われます。このため、スピーカのインピーダンス変化の影響を受けやすく、ハチマルもTU-870での実測で下図のような影響を確認しています。
540_20111210043939.jpg
吸音材なしのポチ型ボックスでの比較。赤がIcon AMP、青がTU-870改(出力トランスを大きめのに交換)です(参考記事)。約150Hzにスピーカのインピーダンスピークがあるため、DFの低いTU-870ではレスポンスが増加しています。上のコメントにあるDFの低いアンプを使用すると「低音の量感が増す」というのは、こういう事だと思われます(ただし締まりのない低音になる)。

業務用アンプでは、長いスピーカケーブルを引っ張り回したり、複数台のスピーカを駆動する必要があるためか、総じてダンピングファクタが重視されるようです。大概の業務用アンプはDF 200以上をカタログで掲げており、CP400のカタログ値も200です。民生用でもかなり高級なアンプになるとDFが100を超える物もありますが、15.8K円という超低価格でこのDFは驚異的と言えます。以下で実験君データをお見せしますが、CP400の低音時のスピーカ駆動能力はIA-7Eに全く引けを取らず、カタログのDF値は伊達ではないと思われます。

50Hz以下の正弦波の歪みに関しては、CP400とIA7-Eは全く同等でした。やはりIcon AMPが極わずかに優れています。コチラの記事で使用した5kHz正弦波の一部データを間引いた波形でも3者は全く同等でした。48kHzの計測サンプリングレートでは、スピーカ出力の高域特性に違いは殆ど見られなかったという事です。これらのデータの掲載は省略します。

新しい評価方法を試してみましたので、その結果をお見せします。

今回の実験君では、40Hzの正弦波に1発/1サイクルのパルスを重畳した信号を使用しました。パルスの位値は毎サイクル同じです。これにより、パルスに対して40Hzのスピーカ出力波形がどの程度遅れるのかを見る事ができます。マイクはスピーカ前方約10cmに設置しました。スピーカはAlpair 6Mです。

グレーが信号波形、緑がIcon AMP、青がIA7-E、赤がCP400です。スピーカの出力音量を全て同じに揃えています。
40Hz アンプ位相 copy
IA7-E(青)とCP400(赤)は殆ど同じですが、驚いた事にIcon(緑)が飛び抜けて良好な結果を示しています。

下は信号の先頭部です。ゼロからいきなりマイナス側最大まで信号が変化します。上の図は安定した状態での波形です。
40Hz始め
ここでもIconが非常に良好な追従性を見せています。IA7-EとCP400はほぼ同等ですが、CP400の方が若干優れているように見えます。

次は、信号の終端部です。プラス側最大からゼロまでいきなり信号が変化します。
40Hz 終わり
やはりIconが最も俊敏な反応を示しています。しかし、その分マイナス側へのオーバーシュートも大きめに出ます。IA7-Eの波形はどういうわけか歪みが大きくなってしまいました。再計測が必要かもしれませんが、スピーカ出力の収束性はCP400の方が若干優れているように見えます。

という事で、上記の結果を見る限り、超低音のスピーカ駆動性能としてはIcon AMPが明らかに優れており、IA7-EとCP400は殆ど同等か若干CP400が優れていると言えそうです。値段、定格出力、大きさから考えると、完全に裏切られた形の結果となりました。

しかしIcon AMPのビシバシさには驚かされます。正に馬鹿ブーのためのアンプであると言えましょう。これがNuForceの原点というやつでしょうか? それに比べるとIA7-Eにはもっと頑張って欲しいですね。多分初代V1はIcon以上だったのでしょう。。。そして超低価格のCP400の性能にも驚かされました。やっぱりハチマルにはハイエンドなIA7-Eは不要かなぁ。。。。

なお、HSC(超高音信号付加機能)をONにした時のシュワシュワ感は、IA7-E程ではないにしろ、CP400でも感じました。超高域はIconよりも出ているように思われます。

以下はNuForce社のハイエンドのサイトからの抜粋です。
NuForceはこの方式をアナログスイッチングアンプと名付けました。NuForceアンプは超広帯域幅再生(20~80kHz)を位相シフト無しで実現します。出力段は十分にコントロールされ、極めて高いダンピングファクターを獲得し、低域周波数まで再生を前例の無いレベルでコントロールしています。
Icon AMPこそ正にそのようなアンプであると言えましょう。それに比べるとIA7-EがCP400と同等という結果には正直ガッカリさせられました。やはり世間様の嗜好に合わせて、バージョンが進むにつれてマイルド化しているのでしょうか?低音のブワッと拡がる感じの味付けのせいでしょうかねぇ?

とはいえですね、アンプをつなぎ変えながら実際に音楽を聴き比べても、ハチマルには大して重要な違いがあるようには感じられません。結論としては「ドレデモエーンチャウ?」ってところかなぁ。。。ハチマルにはハイエンドなアンプは宝の持ち腐れのようです。

さて、大概の業務用ステレオパワーアンプは、2つのアンプを並列に使用して大出力のモノラルアンプとしても使用できるようになっています。これを「ブリッジモード」と呼ぶようです。CP400の場合、ステレオモードとブリッジモードを背面のスイッチで切り換えるようになっており、8Ωでの出力はステレオで100W x2、ブリッジで280W x1となります。4Ω負荷での使用は保証されていませんが、実験君としては試さないわけに行きません。

上と同様に、パルス入り40Hz正弦波でのスピーカ出力波形で比較してみました。
ブリッジ copy
赤がステレオモード、青がブリッジモードです。波形の歪みは全く変わらなかったのですが、ブリッジモードでは位相遅れが若干改善されました。とはいえ、Iconには遠く及びません。このアンプはAlpair 10をアシストウーハとして駆動するために購入したのですが、その際にはブリッジモードを使えます。はやくAlpair10の箱をつくらないとね。。

以上のように、民生用装置の価格に関して、改めて考えさせられる結果となりました。コーキュー感を演出したようなオーヂオ臭いナンチャラ感や、蝙蝠さん的超音波領域の再生によるクーキ感とかを求めず、音楽を高い「クオリティ」で「素直」に聴きたいだけなら業務用アンプで全く問題無いように思われます。というか、癖が無いので「音楽」を聴きやすいように思えます。また、少し「味」が欲しいという場合は、安価で駆動力のある業務用パワーアンプに真空管プリアンプやラインアンプ、あるいはサンバレーさんとこの真空管組込みDAC等を組み合わせると、優れたスピーカ駆動力を確保しながら「オンシツ」を好みに合わせる事ができるかもしれません。

業務用アンプを使用する場合、下記の点に注意が必要です。
1) コネクタの形状が民生用と異なる
信号ラインのコネクタは基本的にXLR(バランス)です。また、スピーカ出力端子にも「スピコン」と呼ばれる特殊な形状を採用しているアンプも多くあります。幸い、CP400のスピーカ端子は民生用でおなじみのタイプでした。アンプ購入時に、民生用機器と接続するためのアダプタなりラインなりも併せて購入する必要があります。業務用の場合、アクセサリ類の価格も極めてリーズナブルです。僕が使用しているXLR/ピン変換コネクタは1個250円でした。

2) ファンがうるさい
大概のパワーアンプはファンを内蔵しています。CP400のヒートシンクは筐体の両サイドに露出しており、内部はそれほど高温にならないため、買って直ぐにファンのコネクタを抜きました。暫く使っていますが、筐体内部の温度はそれほど上がらないようです。側壁のあるラックケース等に組み込まない場合、設置場所に配慮すればホームユースではファンを止めても大丈夫かもしれません。温度は電解コンデンサの寿命に影響しますが、アンプ自体の価格がこれなので、まいっか。。あるいはカバーにドリルで穴を開けるか、パンチングメタルに交換しても良いかもしれませんね。

3) 左右のボリュームが独立している
僕は手元にパッシブプリを置いているので、特に不便を感じませんが、そうでない場合は少し煩わしいかもしれません。CP400のボリュームはクリックを備えているため、左右を同じ位置に揃えるのは容易です。ボリューム位値を同じにした場合の左右の音圧差はほとんどありませんでした。

4) ラック収納が前提
CP400にはシールで貼り付けるゴム脚が付属していましたので、単独の据え置きでも問題ありませんが、例えば電源モジュール、複数台アンプ、チャンデバに全て業務用を使用する場合、レールマウントにすると「プロ」の雰囲気が楽しめるかもしれません。

僕は次に電源モジュールを狙っています。
cp_pd12ii.jpg
CLASSIC PRO製 PD12II
7,980円なり
■ACコンセント前部4(その内、常時ON:1)・後部8
■リアライト端子(XLR)
■使用電源:AC100V±10%、 50/60Hz
■最大電流:14.9A/ユニット
■最大消費電力:2000W/ユニット
■サージ電圧:5,000V
■サージ電流:20,000A
■ノイズ減衰:トランスバース >20dB、1.5kHz~200mHz
■サーキットブレーカー
■保護回路:スパイク・サージ、ノイズフィルター、過剰電源保護回路
■電源ケーブル長:3.0m、3ピン、2ピン変換アダプター付属
■寸法、重量:48.3(W)×4.45(H)×31(D)cm、4.9kg
スパイク、サージフィルター、ノイズフィルター保護回路、過剰電源保護回路、サーキットブレーカー

別に「音質」に期待するわけでなく、ごちゃごちゃの電源ラインをすっきり格好良くまとめたいというのが狙いです。価格が手ごろなので、高級テーブルタップのノリで使って見たいと考えています。

業務用には他にも使えそうな機器があるかもしれません。とにかく価格がリーズナブルなので、気楽に試してみても良いかもしれません。サウンドハウスさんが価格と品揃えの面でお薦めです。

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2011年11月20日 (日) | Edit |
久しぶりの実験君です。なかなか興味深い結果が得られたのでご紹介します。

普段は相変わらずFrieveAudio + Nuforce Icon AMP + Alpair 6Mの馬鹿ブースト(40Hzフラット)で快適に音楽を楽しんでいます。僕には、やはりこの馬鹿ブー方式が最も自然で気持ち良く聞こえます。「春の祭典」さえ聴かなければ全く問題を感じません。

フルレンジ ドライバ一発で真に音楽のフルレンジを再生できるというのは、「音楽全体の自然な聞こえ方、調和のとれた聞こえ方」という面で圧倒的に優れているように感じます。どの周波数で分割しようが、この自然さには適わないでしょう。音楽の周波数帯域に「ココ」という切れ目はありません。それを複数の出音源(ドライバ)に分割するというアプローチは、考えようによっては、デジタルブースト方式よりも、余程「無理矢理」で「強引な」やり方に思えなくもありません。

さて馬鹿ブーに関して、50Hz以下の超低音領域での正弦波の再生波形が、なぜあのような形態で歪むのか、以前から釈然としませんでした。超低域の歪みがドライバの機械的な限界に起因するのであれば、波形は単純に頭打ちになって丸くなるはずです(振幅が過大であるために非線形領域に入るため)。しかし、実際には、高調波が顕著に現れて波形が尖ります。変ですね????どして????

これが機械的な問題によるものではなく、電気的および磁気的な問題によるものだとすると、アンプによって歪み方が変わるかもしれないぞ、と考えるのが実験君というもの。そこで手持ちのアンプ4台で波形を比較してみました。

供試アンプは下記の通りです。
- Nuforce Icon AMP: 24W (4Ω)、18W (8Ω)
- ONKYO A-905FX: 60W (4Ω)、40W (8Ω)
- KENWOOD KA-S10: 12W (8Ω)
- ELEKIT TU-870R改: 2W (8Ω)

スピーカにはAlpair 6M (1本だけ)を使用し、マイクロフォンをスピーカ前方約10cmに設置して音響波形を計測しました。

以下に、50、40、30Hzの0dB正弦波信号を再生した時の各アンプによる再生音響波形を示します。50Hzの音響波形の最大振幅がほぼ同じになるように、各アンプのボリュームを調整しています(50Hzで音量を同じに揃えたという事です)。普段の標準的ボリューム位置くらいだと思います。TU-870を含めるために、あまり大音量にはできませんでした。なお、グラフ中の数値は気にしないでください。カーソル位置の設定が正しくありませんでした。

●まずは50Hzの波形です。
50Hzまでは危なげなく確実にビシッと再生して欲しいものです。

Icon AMP /50Hz、ボリュームは12時
ICON 50

A-905FX /50Hz、ボリュームは9時半くらい
ONKYO 50
Iconに比べて2次が多く、4次が少なめ。波形はIconよりもやや尖り気味に見えます。

KA-S10 /50Hz、ボリュームは1時半くらい
KEN 50
波形を見ただけでも結構歪んでいるように見えます。FFTで見ても高調波は上の2つに比べると多めです。

TU-870 /50Hz、ボリュームは3時半くらい(ほぼ全開)
TU 50
50Hzでもかなり歪んでいます。これは比べるのが可哀想かもしれません。真空管式シングルアンプの場合、プラス側とマイナス側で振幅と波形が多少異なるのは、真空管の特性上ある程度仕方ない事です。また、それが独特の心地よさを演出してくれるわけですからね。

●次は40Hzです。
通常の曲では、この周波数領域の信号はそれほど高くありません。この周波数まである程度ビシッと再生してくれれば、過激なズンドコ系や最強バスドラにも対応できます。
Icon AMP /40Hz
ICON 40 copy
2次、3次によって波形が尖ります。ただし、マドンナのズンドコ信号レベルでも-12dB程度ですので、通常の再生時にここまで歪む事はありません。

A-905FX /40Hz
ONKYO 40
Iconよりも明らかに歪んでいます。2次が多めです。

KA-S10 /40Hz
KENWOOD 40
波形は905FXとほぼ同等。さらに3次が増加しています。

TU-870 /40Hz
TU 40
チッコイTU-870にこの領域の再生クオリティを求めるのは酷すぎです。

●最後に30Hzです。
この周波数ではソースの信号レベルは一般的に非常に低いため、あまり重要ではないと思います。
Icon AMP /30Hz
ICON 30
結構頑張っていると思います。

A-905FX /30Hz
ONKYO 30
Iconよりも明らかに歪んでいます。

KAーS10 /30Hz
KEN 30
意外にもIcon同等以上ですね。

TU-870 /30Hz
TU 30
。。。。。

と言う事で、アンプによって超低音の歪み方が異なる事がわかりました。この周波数領域で見る限りIcon AMPが最も優れているように思えます。A-905FXは定格出力が大きい割りには、ちょっと期待外れでした。定格出力の低いKA-S10が良く健闘しています(注: このアンプは4Ω負荷での動作を保証していない)。なお、トランスの小さいTU-870にこの領域の再生能力を求めるのは全く酷だと思います。ケロでは200Hz以下をサブウーハー用デジタル アンプに受け持たせているので問題はありませんが、この結果だけを見て真空管アンプは駄目だとは決して思わないでください。そこんとこヨロシク。

以上の結果を見ると、定格出力はあまり関係無さそうです。EIAJ(日本電子機械工業会)の定める実用最大出力というのがあって、これは1kHzで歪み率(THDだと思う)が10%!に達する出力とされているようです。TU-870の実測データを見た事がありますが、2Wというカタログ値はほぼ正確にこの実用最大出力に一致していました。ただし、各メーカがカタログに記載している出力値がこのEIAJに必ず準拠しているかどうかは定かではありません。

このような超低音の再生能力において、重要なのは「駆動力」と言われるやつなのでしょうか? あるいはダンピング ファクタと言われるやつなのでしょうか? 出自が機械屋さんなので電気系はどうも苦手です。「駆動力」というのが理論的にどのような電気的特性値によって定義されるのかよく理解できませんが、そのような「駆動力」の高いアンプを使用すれば、馬鹿ブーの限界を改善できる可能性があります。「駆動力」あるいは「ドライブ力」というのは、多くの場合、例によって極めて感覚的に捉えられているようですが、このへんを特性値としてキチンと定量化して欲しいものです。

今回の結果を見る限り、Icon AMPは安くて小さい割りに極めて優秀だと言えます。デザインがクールで超コンパクト。お値段は超お手頃。素晴らしい製品だと思います。国産品も頑張らないと。。

なのでNuforce社の上等のプリメインアンプIA-7 (最新はV3)には凄く興味があります。評判を見る限り、超ニュートラルで癖は一切なし、スピード感ブリブリ(ドラマーの方がドラムの音が他のアンプに比べて圧倒的にリアルだと言っている)、非常に明瞭、しかし音はカリカリし過ぎないという、ソース波形を素直に正確に再生してくれる「音楽再生マシーン」的アンプであるように思えます。
nuforce.jpg
普段聴いている生音に近い音が聞けるという事で
Nuforceを好むミュージシャンも多いとか
しかも、ハイエンド機としては超コンパクト
デザインもGOOD
価格以外はLEANAUDIOにぴったり
定格出力は100W

ドラムスがリアルって事は、きっと「駆動力」「瞬発力」が素晴らしく高いのだろうなぁ。試してみたいなぁ。とは思うのですが、定価が22マンエン。アンプだけに二ジューマンエン以上。これはもうハチマル的経済観念による許容範囲を遙かに超えています。Iconでも十分に満足できているわけで、50Hz以下の駆動力が大幅に上がったとて、実際に音楽を日常的に聴く上で、如何ほどの効果を実感できるのやら? せめてジューマンエン以下なら考える余地もあるのですが。中古を探しても、ほとんど出回っていませんでした。気長に探してみますか。。。デスクトップとハイエンドの中間的プロダクトラインを出して欲しいなぁ。。。

「音質」というと、どうしても「中高音」のキャラ(ナンタラ感)に耳目が集まるように見受けられますが、徒にディティールのオンシツに拘らず「音楽」を全体的に捉えながら聴く場合、僕には低音領域がビシッとバシッとしている事(スピード感というやつ?)が、「音楽再生クオリティ」にとって極めて重要な因子であるように思えます。音波波形の基本形状を決定付ける低音の再生クオリティこそが、音楽再生のキモだと言っても過言ではないかもしれません。Alpairドライバを非常に高く評価しているのも、大信号がドンと入った時にスパッと動いてビシッと止まるという、運動性能の高さ故ではないかと考えています。恐らく、Alpairに出会っていなければ、馬鹿ブーには辿りつかなかったでしょう。

Nuforceは、Mark audioと並ぶLEANAUDIOお気に入りブランドになるかもしれません。どちらもクオリティの高さを視覚的にもうまく表現しており、クールで理知的な製品イメージをしっかりと訴求しています。重厚長大ジョーカンタップシ木目調オーヂオとは明らかに異なる、新しくてカコイー オーディオを予感させてくれると言えるでしょう。音楽に限らずアートとは、常に若者が憧れる時代の最先端を行くカコイーものであるはずです。そんなカコイー音楽に深く関わるオーヂオも、もっとクールてファッショナブルにならないとね。

今時はヘッドフォンという事ですかね?
確かに、セッティングなんかで何も苦労せず、スピーカよりも圧倒的に高いクオリティの再生音を、安価に、周囲を気にせず、手軽に聞けるわけですから、人気があるのも納得です。僕は極めて現実的で賢明な選択だと思いますよ。特に密閉型ヘッドフォンやカナル型イヤフォンで低音ビートの正確なノリを体験してしまうと、そんじょそこらのスピーカでは満足できませんやね。

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ヘッドフォン少女、いいですね

オッチャン達のように大層な装置で、コマケーオンシツやリンジョーカンにやたら拘って聴くよりも、余程素直に「音楽」を楽しめますよね。装置なんぞに苦労せずに、高いクオリティの再生音で大好きな音楽に集中できる事は、とても大切です。若者がヘッドフォン再生で気軽に音楽に親しむ事に、とかくアータラ言う向きもあるようですが、大層な装置をトッカエヒッカエして、オンシツやリンジョーカンにやたら拘って聴くのが「エラク」て「ジョートー」な音楽の聴き方では決してありませぬ。「エラソー」にしてるけど、あれはアーユー「趣味」だと言うだけです。装置の事など一切気にせず、必要十分な本当の意味での良質な再生クオリティで、自分の大好きな音楽を、自分なりのスタイルで、カッコよくガンガン楽しむのが何よりです。

でも、オウチで聴くには鬱陶しくないかい? 僕は最近とっても上等な密閉型モニタ ヘッドフォンを早朝に愛用していますが、CD 2枚が限度だな。音は申し分ないのだけど、あの装着感がね。。。ま。。だから苦労してLEANAUDIOを開発したというコトです。

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2011年05月06日 (金) | Edit |
もう少し部屋が広ければ欲しいなぁ。。と思うのがJBLのコントロールモニタ(43###)シリーズです。音質がどうのこうのというのでは無く「カッコイー」から。オトコノコ心をくすぐるメカッポさというか。。。特にグレーの4311なんか欲しいですね。1本だけで良いのだけれど。モノラルで十分。

520_20110506212148.jpg
4311 こいつが1台だけ欲しい

さて今回はJBLモニターシリーズをネタにしてバスレフ型のサイズと周波数特性の関係についてチョコッと考察してみます。

下はカタログデータです。容積は外寸から推測しました。
796.jpg
もし本当に30Hzまでほぼフラットに再生しようとすると38cmウーハーと100Lを軽く超えるボックスが必要だと言う事です。ここに「低音出るスピーカ」= 「デカイ/高価」という古典的ヒエラルキーが産まれます。しかし、「音楽再生装置」にとっての可聴帯域下限近くまでの再生というのは、自動車にとっての「安全に走る/曲がる/止まる」と同じ基本的要件のはずです。すなわち、大きかろうが小さかろうが、キチント低音を再生できてこそ「音楽再生装置」と呼べるという事です。と、それはさておき。。

下図はシミュレーション結果です(4319は4312とサイズ的に同じなので省略)。
797.jpg
ドライバにはデータベース内のテキトーなJBL製ウーハー(30cmと38cm)を選び、容積と-6dB周波数(カタログ値)に基づいてポートを適当に設定しました。まあ、ごく大ざっぱな計算として見て下さい。吸音材は全て「普通」です。ついでにAlpair 6Pのハチマル最終バージョン(容積11L、ポート:φ34 x 70mm)も載せました。

JBLの計算結果を見ると、いずれも綺麗な2山のインピーダンス曲線を描く典型的なバスレフ チューニングである事が分かります。当然ですが、ウーハー径が大きい方、あるいは同一径であれば容積が大きい方が低域が伸びています。

また、低域が伸びるモデルほど共鳴点が低周波側にシフトするため、低域の位相遅れも低減します。小容積のバスレフ型では共鳴周波数が高くなるため、低域が伸びないだけでなく、バスレフ臭さが強く出てしまうのは仕方ないところと言えるでしょう。今回のバスレフトライアルの経験から、共鳴点を50Hz以下に持って行ければ、バスレフっぽさもあまり気にならないのではないかという気がします。

さて、以上のように、30Hzまでフラットに再生しようとした場合、バスレフ型では38cm径のウーハーと100Lを大幅に超える巨大な箱が必要です。低域をたった20Hz延ばすのに如何に大きな代価が必要な事か。。。また、このようなスピーカーを使用できる恵まれた住環境と経済的余裕を持つ人は如何に希少な事か。。

なんでこんな馬鹿デカイSPが作られる(必要とされる)か?と言えば、それは本当に西洋音楽を楽しもうとすれば、そのような低音が聞こえる事が重要だからです(参考記事)。しかし小さい部屋で快適音量で聴きたい人でも、交響曲の低音部を聴こうとすると、こんな馬鹿デカイモンが必要になるというのは大変馬鹿げた話だとハチマルは思います。

普通の部屋で快適音量で日常的に音楽を楽しむ大多数の音楽愛聴者(オーディオ愛好者ではない)は、それなりのサイズのSPで不十分な低音で、何も知らされずに我慢しろ。。。というのが現在のオーディオ装置のあり方です。信号再生面での基本技術が十分に成熟した現段階において、これを解決して万人が安価に当たり前に何も知らなくても低音までキチント聴けるようにする事が「音楽再生装置」としての技術的最優先課題であろうとするのが普通の業界の技術者の考えるトコロだと思うのですが、どうもこの業界の目指すトコロは違うらしい。しかも、それは現在の技術レベルで容易に解決可能であるにもかかわらず。。。激しく違和感を覚えるのよね。ハチマルは。。また批判的になってしまった。この辺で。。。

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2011年04月14日 (木) | Edit |
前の記事からの続きです。仕事の合間にイタズラ半分でAlpair 6Mをウーハーとして使ってみました。

前の記事で、基本的にこのコンセプトではウーハーのサイズによって低域限界周波数は大きく変わらないと書きました。ウーハーが大きくても小さくても基本的に100Hz以下の周波数特性は変わらないという事です。

これを証明するために、13cmウーハーのかわりに8cm(実際には少し大きめ)のAlpair 6Mを低域アシスト用に使ってみました。Alpair6 Mの実効振動板面積は13cmウーハーの1/2弱しかありません。

下がその結果です。
726.jpg
緑が今回測定したAlpair 5 + Alpair 6M、黒が前の記事に載せたAlpair 5 + 13cmウーハーです。チャンデバの設定も、ウーハー用アンプのボリューム位置も一切変更していません。多少Alpair 6Mの方がレベルが低いですが、ウーハー用アンプのボリュームをほんの少し上げれば全く同じレベルになります(13cmウーハーは8Ω、A6Mは4Ω)。

ただし最大音量の面では13cmウーハーの方が当然有利です。ボリュームを上げて行くとAlpair6の方が先に限界(低音の歪みが急激に増える音量)に達します(参考記事)。すなわち、ウーハーのサイズは低域周波数限界には大きく影響せず、最大音量に直接影響するという事です。

ケロの場合、サブウーハー用アンプに50Hz以下をカットするローパスフィルタが内蔵されているため、ここまで低域は伸びていませんが、ローパスフィルタを解除できればほぼこれと同等の特性が得られるはずです。

また、この方式はドライバの機械的共振も吸音材で殺してしまうため、ボックスの容積にもほとんど影響を受けません。従って非常にコンパクトにできるという利点も持ちます。いったいぜんたい容積はどこまで小さくできるのか?というのが現在の疑問点です。そのうち実験してみたいと思います。実際、最近の密閉型サブウーハーの箱って、ドライバの大きさの割に極端に小さいですよね。ドライバとアンプを収納して設置しやすいカタチに作りました。。という感じ?

ちなみに100Hz以下の低音だけ聴くと「ボーボー」「ゴーゴー」鳴っているだけなので、全体の音色には殆ど影響しないように思われます。ただし、いわゆるスピーディーな低音とかタイトな低音とか締まった低音とかを求める場合(ハチマルはこれを強く求める)、バスドラやピチカートベース等の再生における過渡応答性(突然大振幅になったときの応答性)を決定付けるのはウーハーの動特性だと考えられます。

デスクトップ用であれば、10cmのCHR-70クラスがウーハー用に丁度良いかも知れません。

追記
なんでこうなるか?というと、それはスピーカーを小さい密閉箱に入れて吸音材で機械的共振を殺してしまえば、大きかろうが小さかろうが、この周波数領域ではほぼ-12dB/Octの左下がり(右上がり)の特性になるからです。で、高域側を右下がり-24dB/Octのローパスフィルタでカットすると、元々右上がり-12dB/Octの特性なので、差し引き右下がり-12dB/Octの特性になります。で、これをフルレンジSPの右上がり(左下がり)-12dB/Octの特性(こちらも密閉型なので自然とそうなる)と重ね合わせると、合成した特性はほぼフラットになります。従ってフルレンジSP側にハイパスフィルタは不要です。ウーハーの音量レベルは小径であるほど小さくなりますが、それはウーハー用アンプのボリュームで調整できてしまいます。というわけです。。

バスレフ型ではこのように簡単にはゆきません。箱も大きくなるし。。市販の密閉型サブウーハーを使用する場合は、メインSPのポートを塞いで密閉型にした方が繋がりは良いでしょう。基本的にサブウーハには密閉型スピーカーを組み合わせるべきだとハチマルは考えます。

追記2
基本的に100Hz以下の音は音色や定位にはほとんど影響しないと言われていますので、2chパワードウーハー(または1chサブウーハー) システムを1つ作っておけば、いろいろ応用が利くと思います。今回は1つの箱にフルレンジとウーハーを組み込みましたが、例えば3Lの小さなサイコロ型の箱に13cmウーハーだけを組み込んで、その上に1Lのフルレンジ箱を乗っけるようにした方が自由度に優れます。例えば、リスニング位置に合わせてフルレンジSPの向きを自由に変える事ができます。また、何種類かの3"フルレンジドライバをそれぞれ1Lの箱に組み込んでおけば、楽曲や気分に合わせて個性の違うフルレンジドライバを手軽にとっかえひっかえできます(箱に番号を付けておけばサンダーバード2号の気分?)。3"クラスのフルレンジドライバは種類も極めて豊富ですし、値段も手頃ですので、非常に経済的かつ手軽に楽しめますよ。一般的な家屋の個室であれば、音量的にも十分です。

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2010年12月21日 (火) | Edit |
これも何度も書きましたが、ハチマルはそこそこ上等のカナル型イヤフォンの低音の聴きやすさに感動し、そのような低音がスピーカーでも聴けるようにとアレコレやってきたワケです。この歳にして、十分な低音まで明瞭に聞こえると音楽を聴く楽しみが倍増するコト、今までそのような低音を聴いていなかったというコトに遅ればせながら気付いたという次第です。

このためLEANAUDIOを振り返ると、低音再生(主に100Hz以下)の事ばかり書いてきたような気がします。100Hz以上であれば、現在の技術レベルでなんら苦労なく普通に再生できる(例えば8cmフルレンジ1本で十分に再生できる)ため、この領域は専ら「好みの問題」と考えて細かい事は敢えて書かなかったという面もあります。しかし100Hz以下の正確な再生となると、前の記事で書いたようなスピーカー本体の問題のみならず部屋の音響特性も含めて様々な困難が伴う事、そして何よりも、カナル型イヤフォンで聴いて100Hz以下の正確な再生が音楽を楽しむ上で決定的に重要だと気付いた事から、このブログの首題も自ずと「低音」寄りになったと言う次第です。

今回は、様々なジャンルの楽曲の周波数分布(スペクトル)から低音再生の重要性をあらためて考えてみます。

まずはCDのトラックのスペクトル解析結果をざっとご覧ください。

以下のグラフでは100Hz~40Hz帯域を黄色、40Hz~25Hz帯域を緑で示しています。

1)ベートーベン交響曲(全てブロムシュテッド指揮)
No.4 第1楽章
bet4.jpg

No.5 第1楽章
bet5.jpg

No.7 第1楽章
bet7.jpg

2)アコースティックJAZZ
マイルス/RIOT
Miles Riot copy

コルトレーン/至上の愛-1
 Coltrane A love supreme 1

3)エレキJAZZ
ウェザーリポート/Volcane for Hire
WR Volcano for Hire

ジャコパストリアス/Invitation(Japanライブ)
Jaco Invitation

4)ロック/ポップ
マドンナ/Bad Girl
Madonna Bad Gir

ピンクフロイド/吹けよ風、呼べよ嵐
PF One of These Days

いずれのジャンルでも、40Hzまでの黄色の帯域には明瞭なピークが見られ、重要な音楽情報が含まれている事が分かります。この帯域まではしっかりと再生したいものです。

ちなみに下記はオーケストラの低音楽器の最低音階です。
コントラバス E1 (41.2 Hz)
ベースクラリネット D2 (73.4 Hz)
バスーン Bb1 (58.3 Hz)
コントラバスーン Bb0 (29.1Hz)
ベーストロンボーン B1 (61.7 Hz)
40Hzまで再生できれば、コントラバスーンを除く低音楽器の最低音階をカバーできると言えます。
ジャズのウッドベースはもちろんエレキベースの最低音階もコントラバスと同じです。

打楽器の場合、ティンパニは F2 (87.3 Hz)、バスドラムは30~80Hzとされています。ハチマル所有の「春の祭典」には35Hzの強烈なバスドラが録音されています。ピアノの最低音階は27.5Hz、パイプオルガンになると20Hz以下なんてのもあるそうです。ベトベン最晩年のピアノソナタでは32Hz(C1)まで使っています。まあ、パイプオルガンはともかく、30Hzまで確かなレスポンスを確保できればほぼ理想的と言えるかもしれません。というか、それ以下の周波数では聴覚だけで知覚する事は難しく、大型装置で部屋全体の空気を揺るがさないと感じないと思う。

以上は全て西洋音楽ですが、日本古来の音楽ではどうでしょうか?

5)雅楽
ツタヤで雅楽のCDを借りてきました。雅楽は中国から伝来した音楽で、日本音楽の中では珍しいとされる多種楽器の合奏形態をとり、CDのサブタイトルには「平安のオーケストラ」と書かれています。その中から比較的長い「喜春楽」序と破のスペクトルを下に示します。
喜春楽」序
gagaku.jpg
「喜春楽」破
gagaku2.jpg

これらと比べると、西洋音楽のスペクトルはどのジャンルでも随分左上がり(低音寄り)である事が分かります。よく言われるように「西洋音楽は低音を土台として、様々な音域の楽器のハーモニーを積み重ねる事によってピラミッドのように構築されている」というのがよく分かりますね。ハチマルがカナル型イヤフォンで過去に聞き込んだ音楽をもう一度聴き直してみて気が付いたのもこの点です。この構造を土台の低音までしっかりと正確に耳に届けて聴く事ができれば、今までよりももっともっと音楽を楽しめると。。。

低音再生において、周波数ドメインのみならずタイムドメイン的クオリティ(位相、トランジェント特性)も重要なのは言うまでもありません。ジャズを聴く場合は特にそうだと思います。ジャズではスイング感とかグルーブ感とか言われる絶妙なビートのユラギが非常に重要です。例えば4ビートの場合、均等に四分音符を刻むのではなく、絶妙かつダイナミックにタイミングをゆるがしています。そして、その重要な役目を担うのがベースとドラムスです。ベースとドラムスがヘボなジャズバンドはとても聴けたモノではありません。例として、ジャコは16ビートの超高速ベースでバンドをグリングリン加速します。加速といってもペースそのものは一定なのですが、まるでエッシャーの騙し絵の階段を駆け上るように、無限に加速していくかのような錯覚にとらわれる事があります(このグルーブ感というかドライブ感がジャコの真骨頂だと思うぞ)。エンディングに向かって大編成のビッグバンドをベース1本で無限に加速し続けるジャコのベースを聴く時、僕は未だに鳥肌が立ちます。このようなジャズの醍醐味を味わうには、タイムドメイン的に正確な低音がとても重要だと感じます(これがバスレフ型を受け入れられない主要因だと思う)。クラシックの場合、交響曲ではそれほどタイムドメイン的重要性は感じません。しかし、ベトベン最晩年のピアノソナタの低音部にゾクゾクっとする時に、その重要性をつくづく感じる事があります。

まあ、ハヤイハナシが西洋音楽を楽しむには「可聴帯域の下限近くまで位相を乱さずに十分なレスポンスで耳に届かせる事が重要」という事です。これがハチマルの言う「微視的な音質以前に最優先で達成せらるべき総合的音楽再生クオリティ」です。別にそれが観念論的にあるいは技術論的に理想だからそうあるべきだと言っているのではありません。記録されている音楽の聴きやすさを求めれば、より良く聴こうと求めれば、より深く楽しもうと求めれば、自然とそうなるという事です。それがLEANAUDIOトライアルを通してハチマルが得た結論でもあります。

次回に続く。。。

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2009年02月13日 (金) | Edit |
使い始めた頃は低域(200Hz以下)の補正がうまくできませんでした。

部屋の影響で約150Hzに左右とも大きなピークが発生し、左のみ約75Hzに大きな穴が発生するんですが、今のように綺麗にフラットには補正できませんでした。

これはイコライザのタップ数を増やす事で解決できました。タップ数は「環境の設定」内の「フィルタ」タブで行えます。このタップ数のデフォルトは確か2047でしたが現在は8191に設定しています。
低域が綺麗に補正できない方は試してみてください。
 
以下ではタップ数2047と8191で比較してみます。ちなみに以前の記事のデータは全てタップ数=8191によるものです。

DSPの「イコライザ」画面で「イコライザ係数の確認」ボタンをクリックすると、実際に適用されるイコライザ曲線を見る事ができます。イコライザ画面に青でプロットされている曲線がそのまま補正に適用されるわけではないので注意が必要です。

「イコライザ係数の確認」ボタンを押すと下のようなグラフが表示されます。
067_20090807202612.jpg
068_20090807202628.jpg

これが実際に適用されるイコライザ係数のグラフです。全く同じ測定データに基づいています。
上がタップ数=8191で、下がデフォルトのタップ数=2047です。補正範囲はともに0~20kHzにしています。

こちらが補正結果です。
065_20090807202656.jpg
066_20090807202719.jpg

同様に上が8191、下が2047です。2047では150Hzのピークがポッコリ残ります。現在のスピーカーは例の尻尾を付けてバスレス効果を出していませんが、以前のバスレフタイプではもっと激しい凸凹が低域に出ていました。

低域ほどタップ数の影響が大きくなりますが、これは周波数領域がリニアに分割されているためだと思われます。周波数特性は通常横軸を対数にしますが、リニアで考えれば100Hz幅のピークなどは高域では単なる線になってしまいますから。

タップ数を4倍に増やしてもCPU消費率が顕著に増加する等の弊害は見られませんので、現在はタップ数に8191を設定しています。ただし少ないに超した事はないので、デフォルトで問題がない場合は変更しない方が良いと思います。

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