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2012年10月12日 (金) | Edit |
今回はバスレフ型の動的挙動についての計測結果を簡単にご紹介します。

条件をできるだけ揃えるために、どちらもFrieveAudioイコライザを使って周波数特性だけ50Hz~20kHzの範囲で完全にフラットに補正しています。位相はもちろん補正していません。

スピーカ前方約30cmで計測しました。3つの波形は上から、ソース信号、密閉、バスレフです。
80Hz
BR 80
60Hz
BR 60
50Hz
BR 50
50Hzの波形にはピークを結んだ包絡線も表示しています。

如何でしょうか?バスレフ波形は単純に遅れるというのではないように見えます。密閉型の場合、ソース波形とのピークの対応は一目瞭然ですが、バスレフ型の場合どれがどれに対応するのかよくわかりません。一発目の波形が崩れていて後に余計なピークがあるように見えなくもありません。また、僕がよく使う表現「ビシッと動いてバシッと止まる」という観点でもなんだか間延びして見えます。

全部を重ねて、時間ではなく周期を合わせてみました。
BR all
赤が50Hz、青が60Hz、緑が80Hzです。

密閉型の場合、周波数が変わっても波形(位相)は殆ど変化しませんが、バスレフ型の場合はたった30Hzの範囲でかなり大きく波形(位相)が変化しています。密閉型に比べて現象が複雑である事は明らかです。

僕はバスレフ型のピチカートベースの音に違和感を覚えますが、それが専らこのような現象に起因するのかどうかは定かではありません。しかし密閉型と比較した場合、単純な位相のシフトというのではなく、信号波形の再現性という観点でもかなり問題があるように思えます。様々な周波数成分を含み、様々に変化する実際の楽曲の信号を再生した場合、ある特定の条件で違和感を覚える可能性はあるかもしれません。

次に、ベリンガ製グライコを使って密閉型をブーストした波形をお見せします。F特は前の記事に掲載しています。
digi ana
青がFrieveAudioのマニュアルイコライザで60Hzを約+7dBデジタル ブーストした波形、赤がベリンガ製グライコの63Hzバンドだけ約+7dBアナログ ブーストした波形です。それぞれ2回の計測波形を重ねています。青がデジタル、赤がアナログです。

アナログでも位相は殆ど変わらない事が分かります。ナカナカやりまんがな。。しかし、ダンピングが低下するのでしょうか、信号波形が終わった後に1山余計なピークが発生し、その後の減衰具合もデジタルに比べると劣ります。それでもバスレフ型に比べれば明らかに波形再現性に優れていると言えるでしょう。

前回の付帯音と今回の動的挙動の計測結果から、共鳴効果というキワドイ現象を利用するバスレフ方式というのはナニカと難儀な機構であると言えます。使わなくて済むなら使いたくない。。。。と考えるのが普通でしょう。ですよね?

しかし、密閉型ブースト方式にも致命的と言ってよい欠点があります。バスレフ型の場合、共鳴周波数における振動板の振幅は大幅に小さくなります。これに対し、密閉型ブースト方式では振動板振幅が大幅に増加します。次回は、このへんについての実験君データをご紹介しようかと予定しています。その後、いよいよ「真空管サウンドのヒミツを探る!」に挑戦してみるかな? オッタノシミニ!

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2012年10月03日 (水) | Edit |
最近、音楽再生におけるタイムドメイン的特性に関してお二方よりコメントを頂きましたので、僕の考えるところをまとめておきたいと思います。

微小な「音質」の違いにはさして興味のない僕の経験から言える事は、リスナの「部屋」で彼の「」に実際に届く音響波形が源信号波形に「ソコソコ」近付けば(つまり周波数領域的にも時間領域的にもソコソコ再現できれば)、「音楽」が聴きやすくなる、自然に聞こえる、違和感を覚えない、長時間聴いても疲れない、すなわち、より快適により楽に「オト」ではなく「音楽」を楽しめる(アクセスできる)という事です。

さて、音楽再生を評価する際、まず基本となるのがおなじみの周波数特性(F特)です。これは周波数を横軸として、各周波成分の出力(音の大きさ)をプロットします。このような評価方法は周波数領域(ドメイン)解析と呼ばれ、時間方向の現象(位相)は評価に含まれません。高音に対して低音が遅れていようが進んでいようが結果は同じです。

これに対し時間領域(タイムドメイン)解析では、時間を横軸とします。早い話が色々な信号を入力して波形を見るという事です。このブログでも、各種の信号を入力した時のスピーカ音響波形を再三掲載しましたね。また、各周波数における遅延(位相の遅れ)を計測し、これを周波数を横軸とするグラフにプロットする場合もあります。

下はおなじみのシミュレーション結果です。
sim 000
Alpair6Mを2.5Lの密閉箱に入れた状態です。つまりZAP君をシミュレートしています。一番下の緑のラインが位相です。プラスが側が遅れ方向です。このグラフでは位相は20kHzまでダラダラと進みますが、Alpair6の場合、1kHzから上はほぼ一定と考えた方が実測とよく一致します。1kHzを基準にすると、50Hzで約90°(5ms)位相が遅れる事がわかります。

このようにアナログフィルタやバスレフポートを持たない単純なフルレンジ+密閉箱でも低域で位相が遅れます。しかし、何故このように遅れるのか? その原理を僕は未だ理解していません。明確な説明を見た事がありません。どなたか原理をご存じの方は、是非ご教示願います。

遅れが位相角度(°)で示されている事にも注意が必要です。例えば360°の遅延を時間に換算すると、1kHzでは1msですが100Hzでは10倍の10msです。このように、遅延の位相角が同じでも低音になるほど時間的遅れは大きくなります。僕は低音の「時間」的遅れが重要ではないかと考えています。例えば、10kHzのシンバルに対して50Hzのベースの一発目のアタックが何ms遅れるのか? あるいはどの程度崩れるのかという事です。

下は、再三ご紹介したベースとトランペットの音が重なった波形です。
位相 ON OFF
FrieveAudioで周波数特性だけを補正した波形です。大きなうねりのベース波形に、倍音をタップリと含んだトランペットの波形が重なっています。グレーの源信号波形に対して、ベース波形は90°弱遅れています。また、トランペットの波形も源信号とは随分異なります。各倍音成分の出てくる順番が異なるようにも見えます。

位相 ON ON
FrieveAudioの位相補正もONにしました。今度はベースもトランペットも源信号にピッタリ一致します。でもね。。。実際に聴くと僕には違いがよく分かりません。。

ヘッドフォン
これは密閉型ヘッドフォンです。何も補正してませんが、源信号波形によく一致しています。ベース波形は遅れるどころか若干進み気味です。オープンエア型のヘッドフォンでも殆ど同じでした(こちらは密閉に比べて僅かに遅れ気味でほぼぴったりの位相でした)。これもまた謎で、同じダイナミック型なのに、何故ヘッドフォンでは遅れないのでしょうか??不思議です。
補足: DACなりアンプなりでほんの少し低域の位相が進んでいるケハイがあります。そのうち確認してみますね。

以上のように、最もシンプルなフルレンジ+密閉箱でも、位相遅れによって再生波形はかなり変形しています。しかし、僕の耳では位相遅れ補正のON/OFFによる違いを聴覚で感じ取る事はできません。もともと、音楽を聴くにあたって必要以上に微細な再生音質の違いをワザワザ聞き分けようという強い意志を持たぬ僕には、この程度の違いは普通に音楽を鑑賞する上でさして重要ではないという事なのでしょう。ただ、はっきりと言えるのは、このように雑な波形観測では、デンセンやナンダカンダの違いは観測不能なくらい微小であろうという事です。

下は典型的な2Wayバスレフ型のシミュレーション結果です。
fos_20121003040049.jpg
アナログフィルタとバスレフポートの影響により、フルレンジ+密閉やヘッドフォンに対して凄まじく位相が変化する事がわかります。このツイータの10kHzを基準とするならば、50Hzで約540°(30ms、ZAPの6倍)遅れます。これだと僕にも位相遅れ補正の効果を聞き分けられるかな??? 現在広く一般に普及している形態のスピーカはこのような状態にあると思われます。上の波形はどの程度変形するのでしょうか。。。なお、12dB/Octのフィルタを使っていますが、ツイータを反転していないため、クロスオーバー領域で特性が凹んでいます。これは、位相遅れの値を正しく表示するために敢えてそうしています。反転すると、見かけの位相差は小さくなりますが、実際の位相遅れ(時間的遅れ)が改善されるわけではないので注意が必要です(反転したツイータの波形と、ウーハの次の(遅れた)波形がたまたま一致するだけ)。

このような位相変化が聴感上どの程度影響するのか定かではありませんが、デンセン等のやたら微小な影響に比べれば、根幹的かつ巨大な現象と言って良いでしょう。なお、デジタルフィルタを使えば、このような問題は生じません。僕がデジタルチャンデバ内蔵DACを強く望むのはそのためです。ベリンガの業務用超多機能デジタルスピーカマネジメント装置の値段を考えれば、今時そんなもん超安価に作れるはずです。ホンマニ。。。ナンデヤネン。。。です。

下はAlpair6M+Alpair10のZAPシステムをシミュレートしたものです。
sim ZAP
位相(緑)のラインは、Alpair6MとALpair10単独の特性です。この計算ソフトではバイアンプ状態をシミュレートできないため、別々に計算して重ね合わせました。プレートアンプに内蔵のアナログフィルタを使っているため、Alpair10の低域の位相はこのように遅れます。1kHzを基準とした場合の50Hzの遅れは約270°で、実測とよく一致しています。

下は波形です。
sub hakei
源信号(グレー)に対して音響波形(赤と青)は約270°(赤の水平線)おくれている事がわかります。

この遅れを時間に換算すると50Hzで約15msになりますが、普段音楽を聴いている分にはあまり気になりません。FrieveAudioで位相を全くフラットにした馬鹿ブースト方式と切り換えながら聴き比べると僅かながら差を感じますが、単独で聴いている分にはエーンチャウというのが正直なところです。

シミュレーションでは、バスレフ型の位相遅れは共鳴周波数において180°程度です(1kHz基準)。従って、アナログフィルタを使った密閉型サブウーハ方式よりも位相遅れは少なくなります。しかし、再三申しているように、僕はジャズを聴いている時にピチカートベースにどうしても違和感を覚えて、何度やっても穴を塞いでしまいます。これは、単純な群遅延というよりは、ドンと信号が入った時の初期の過渡挙動(箱の中の空気を一定の共振状態まで励起するのに要する遅延時間)に問題があるように思えます。この点については7LのTONO箱を使って近々検証する予定です。

という事で、現在の一般的なスピーカでは、スピーカそのもの、アナログフィルタ、バスレフポートによって、周波数が低くなるほど位相が遅れます。しかし、バスレフポートと中域でのクロスオーバーを持たない僕の密閉型フルレンジ システム(+密閉型サブウーハ)に限って言えば、時間領域的特性(位相遅れ、過渡挙動)はそれほどクリティカルではなく、やはり周波数特性が「音楽」再生における最も支配的な要因であるように思えます。

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2012年01月29日 (日) | Edit |
今回は、アナログチャンデバによる位相の遅れについて検証してみます。

前の記事で、補正無しの時のウーハの位相について、「約90°の遅れに見えます」と書きました。「見えます」と書いたのは、以前の経験に比べると遅れが少なすぎると思ったためです。そこで他の波形で確認したところ実際には「270°」の遅れである事が分かりました。

今回の計測は、F特補正も位相補正も全くなしの生の出力です。
270_1.jpg
グレーが信号波形、赤がAlapir6もチャンデバに通した場合、青はウーハ(Alpair10)だけチャンデバに通した場合(アドオン)、緑がチャンデバのサブウーハ用モノラル出力を使用した場合です。チャンデバのLOW出力(赤と青)は約270°(3/4周期)遅れています。サブウーハ出力(緑)はさらに遅れます。

アドオン(青)では、チャンデバのR/LのLOW出力をアダプタでモノラルに合成してアンプに入力しています。また、アドオンの場合、クロスオーバー領域を綺麗に繋ぐためにチャンデバの位相を反転させる必要があるため、実際の波形は上下反転します。

サブウーハ出力を使った場合も「アドオン」形式で使う事になるのですが、位相を反転せずにクロスオーバ領域が綺麗に繋がりました。内部でなにかやっている模様です。このためか、サブウーハ出力はさらに遅れています。

前の記事で使った波形をもう一度見てみます。
270_2.jpg
前の記事で位相を見誤ったのは、信号波形を上下逆で比較したためです。このへんは、ホントニややこしいです。

下は、チャンデバを通さずにウーハのAlpair 10を直接駆動した場合の波形です。
270_3.jpg
遅れは45°(1/8周期)くらいしかありません。ステップの所で激しいピークが出ますが、これはF特補正を適用するとなくなります。

過去に試したパワードウーハ方式では、FrieveAudioは270°近い遅れも綺麗に補正してくれたのですが、今回はどういうわけか、FrieveAudioもハチマルと同じ錯覚に陥って90°くらいしか補正してくれません。ウーハを別体にしているためかもしれません。いずれにせよ、主にiTuneと組み合わせて使用するので、位相補正の事はとりあえずヨシとしましょう。

次にシミュレーションで検証してみます。

チャンデバのフィルタは24dB/Octですが、シミュレーションでは18dB/Octを使っています。そのへんが若干不安ですが、現象を理解する上では十分だと思われます。カットオフは実際と同じ60Hzに設定し、ツイータ側のアッテネータでレベル調整しています。ドライバのデータは、ツイータをAlpair6M(2.5L密閉)、ウーハをAlpair10V2(4.0L密閉)としました。グラフの位相曲線(下方の緑)は、200Hz以上で0°より前進していますが、これは無視して、基準は全て0°と考えたてください。

まず、両方をチャンデバに通す場合です。
sim1.jpg
正相どうしの接続で綺麗につながります。40Hzにおける0°に対する遅れは約3/4周期となっており、実測とよく一致します。

下は、ツイータとウーハを別々に表示したものです。
sim2.jpg
sim3.jpg
ツイータもフィルタを通すため、クロスオーバー領域でAlpair6Mの位相が遅れてウーハの位相とうまくつながる事がわかります。

次にアドオン方式です。まず正相どうし。
sim4.jpg
クロスオーバー領域で大きく落ち込みます。これも実測とよく一致します。この領域で位相に急激な変化(約180°の段差)が見られます。

下は、フィルタを通さないツイータ(Alpair6)の特性です。
sim5.jpg
フィルタを通さないので、低域の位相遅れは僅かです。このため、クロス領域では、フィルタを通ったウーハとの位相差が約180°(つまり波形の山と谷が真逆の関係)となり、お互いに音を打ち消しあってしまいます。

ウーハ(Alpair10)の位相を反転しました。
sim6.jpg
180°の位相差があったので、反転する事によりうまく繋がりましたね(山同士、谷同士が合致したという事)。低域の位相遅れも180°以下になっていますが、これに騙されてはいけません。これは、360°近く遅れた波形の極性を単純に反転しただけであり、実際に位相が「進んだ」(遅れ具合が減った)わけではありません(上の実測波形を見れば分かります)。従って、最初の1発目の波形が360°近く遅れる事に変わりはなく、単純に波形の上下が逆になるだけです。すなわち、動特性的には何ら改善されたわけではないという事です。

ついでに典型的な2WAYバスレフ型の例としてFOSTEXのFW168NとFT207Dの計算をしてみました。
fos_20120129095422.jpg
クロスオーバーは3kHz、-12dB/Octです。本来逆相で使いますが、上記の理由により、それでは正しく位相の遅れを見る事はできないため、敢えて正相としています。40Hzにおける位相遅れは、0°に対して実に540°(つまり1回転半)近くにも達します。なんだか凄いですね。3ウェイのミドレンジ(ハイパスとローパス 2つのフィルタを使う)の場合、一体全体どうなるのでしょうか?あまり想像したくありません。やっぱり、「音楽」聴くならフルレンジのデジタル馬鹿ブーがいいなぁ。。。。と。。。思ってしまいます。

と言う具合に、アナログフィルタというのは、ほんとに厄介です。

ただ、ヒトは聴感でどの程度この問題を感じるのか?この程度の遅れが果たして音楽再生上重要なのか?という疑問は残ります。

例えば、ベースとピッコロのデュオを想定してみましょう。50Hzで360°遅れる場合、距離にすると、50Hzの単音を発生するベース奏者は、非常に高音階を発生するピッコロ奏者よりも約7m遠くに居る状態に相当します。もちろん、ベースの音階によって、この距離は変化します。高い音階だと、遅れに相当する距離は減少します(近付きます)。また、ベースの高次の倍音ほど先に届き、50Hzの基音は約20ms遅れて最後に届きます。従って波形もソース信号とは明らかに異なって見えるはずです(位相遅れの非常に小さい馬鹿ブースト方式で再生したマイルスのペット音ですらそうでしたよね-コチラの記事)。

例えば、テンポ120の曲をジャコが16ビートのノリでグリングリンとグルーブする状態を想定してみます。この場合、ビート(実際に弾くかどうかは別としてジャコの頭の中のビート、いわゆるノリ)の平均周期は120msとなります。50Hzで360°遅れる場合、20msの遅れとなります。つまり1/6ビート遅れる事になります。ジャコは高さの異なる音を、1小節内でも一定のテンポではなく微妙にタイミングを揺らがせながら(スイングしながら)ビートを刻んでいるはずです。1/6が大きいのか小さいのか?

さて、どうなんでしょうねぇ?????微妙ですね。そもそも楽器音は単音ではないですし。

ただ、はっきりと言えるのは、これらの位相遅れによる波形(すなわち音)の変化は、アンプやデンセンを10倍、100倍の値段のコーキュ品に交換した時の波形(すなわち音)の変化に対して、比べようもなく巨大だという事です(アンプやデンセンの違いをこのように雑な波形観測で検知する事は殆ど不可能でしょう)。

ハチマルが今まで試したパワードウーハ方式での経験では、ウーーーンと集中して聴き比べた場合、「別にモンダイナイヤン」という結論になるのですが、仕事中に毎日長時間聴いているうちに、結局馬鹿ブーストの方に自然と手が伸びて、ウーハは使わなくなってしまいました(たくさんスイッチを入れるのが面倒だという影響もあると思いますけどね。。)。位相や過渡応答性の素直さという点で、どうしても馬鹿ブーストに軍配が上がるのか、それともウーハがAlpairに比べてヘボだったから音の繋がりが悪かったのか。さて、どうなんでしょうねぇ???????

と言う事で、アナログフィルタを使う以上、厄介な位相の問題は避けられません。前々記事でコメントを頂いたTさんがおっしゃるように、こんなにメンドクサイならA10を素直にステレオで使ってチョイブーストした方が余程賢明ですね。冷静に考えるとハチマルも大納得ですよ。ホンマニ。。。既に嫌気が差してきました。Alpair 6M ZAP馬鹿ブーで実質的にスピーカ開発は終結しているので、スピーカに関しては単なる技術的趣味の領域という感がなきにしもあらず。。ですね。

それでも実験君は続きますよ。

次回はいよいよFrieveAudioのチャンデバ機能を使った方法をご紹介する予定です。お仕事PCのiTuneでラジオを聴くために使っていたDenDACがコネクタの根本から折れ曲がって、片チャンネルが聞こえなくなってしまったため、昨年末に安価な5.1ch対応DACを購入しました。イロイロと厄介な事が多くて、あまり実用的ではないのですが、なんとかFrieveAudioのチャンデバ機能を使える事も確認済みです。めちゃくちゃ面倒臭いのですが、頑張ってレポートしますね。 メンドクサイけど。

オッタノシミニ!

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2012年01月11日 (水) | Edit |
前回からの続きです。

既に説明した方法で十分にシステムの基本的音楽再生クオリティを評価できますが、特殊なテスト信号を作成する事により、スピーカ出力の過渡応答性を詳しく調べる事ができます。このような方法により、360°を超える位相回転も評価できます。今回はその方法について簡単に説明します。

過渡応答性を調べる場合、時間軸の絶対基準となるパルスなりステップを信号に挿入する必要があります。このため、多くの場合WAVファイルの加工が必要となります。

今回は、WAVファイルの編集用に、CDリッピング用フリー ソフトウェア Exact Audio Copy を使用します。このソフトウェアはコチラからダウンロードできます。このソフトウェアは、データを厳重にチェックしながらCDをリッピングしてくれるため、普段から愛用しているのですが、簡単なWAVファイル編集機能も備えているのでとても便利です。

今回は、例として、数サイクルの正弦波信号の先頭と末尾に時間基準となるパルスを挿入する方法について説明します。

まず、2つ前の記事で紹介したWaveGeneを使用して50Hzの正弦波信号(パルスなし)を作成しておきます。今回は2秒間のファイルを生成しました。

このファイルをExact Audio Copyで編集します。
1) Exact Audio Copyを起動し、メニューの[Tools]から[Process WAV]を選択して、作成したWAVファイルを開きます。
CD1.jpg
作成した2秒間の正弦波信号です。1秒間でも良かったかもしれません。

2) まず、信号の先頭区間を加工して、時間基準となるパルスを作成します。
- 下の[Zoom In]ボタンを何度かクリックして、時間方向に適当に拡大し、上の水平スライダを左一杯にスライドしてファイルの先頭に移動します。
- 次に、先頭からマウスをドラッグして、適当な波形のピークまでの区間を選択します。下図では8番目のピークまで選択しています。
CD2.jpg

3) メニューの[Edit]から[Silence Selection]を選択して、選択した部分を無信号状態にします。

4) 同じ方法で、ピークから最初のゼロ交差点までの区間を無信号状態にします。この時[Zoom In]で拡大すると正確に作業できます。
CD4.jpg

5) 正弦波を数サイクルだけ残し、信号の末尾区間でも上と同じ作業を行って最終的に下図のような波形を作成します。下図では5サイクルだけを残しました。最後のパルスは別に無くても構いません。
CD5.jpg

6) このように作成した信号を別の名前で保存します。以上で、信号の加工は終わりです。

この信号をFrieve AudioなりiTuneなりでリピート再生し、スピーカからの音を2つ前の記事で紹介したオシロスコープ(HandyOscillo)で観察します。その波形をソース信号波形と比較する事により、システムの過渡応答性を評価します。

Exact Audio Copyで表示した波形と比較しても良いのですが、同じオシロの画面で比較した方が容易であるため、PCの信号出力をマイクロフォン入力に接続して、ソース信号波形をオシロに表示させます。この際、出力レベルを相当下げないと信号が飽和してしまいますので注意してください。オシロに表示した波形の頭が平になっている場合は、出力レベルを下げる必要があります。下がオシロに表示したソース信号波形です。
oc1.jpg
この画面をキャプチャして、画像ファイルとして保存しておきます。

最後に、マイクロフォンをマイクロフォン入力に接続して、スピーカからの音響波形をオシロに表示します。この際、波形の振幅が上で保存したソース信号波形と同じくらいになるように、オシロの右側の縦スライダとアンプのボリュームで調整します。また、時間スケール(オシロの下の水平スライダ)は、ソース信号を表示した時と必ず同じにする必要があります。

下がマイクロフォンで計測したスピーカからの音響波形です。
oc2.jpg
これもキャプチャして、画像ファイルとして保存します。Frieve Audioで再生した場合、音響波形とソース波形の極性は逆になります(上下逆さま)。このため、実測波形を上下を反転して比較する必要があります。

PhotoShop等のレイヤ機能を備えた画像処理ソフトウェアを使用すると、画像を重ね合わせて比較できますが、そのようなソフトウェアを使用できない場合は、画面のキャプチャ画像を薄い紙またはOHP用紙に印刷して、重ね合わせて透かして見れば比較できます。この際、極性を反転するために片方の紙を上下逆にする事と、パルス位置を合わせて時間を一致させる必要があります。

下はPhoto Shopで重ね合わせた波形です。Alpair6MとIcon AMPによる再生、Frieve Audioの補正は一切なしです。
oc3.jpg
赤がソース信号、青が実測波形です。パルスを基準に時間軸を合わせています。また、実測波形は上下を反転しています。

この結果から、Frieve Audio未補正の実測波形は1/8周期程度遅れている事がわかります。また最初の2発の波形は振幅が小さく、完全に追従できていません。もちろん、再三お見せしたように、Frieve Audioの補正を適用すれば驚く程正確にソース信号に追従させる事ができます。

今までの経験から、バスレフ型では信号初期の応答で波形が大きく崩れます。僕は、バスレフ型の位相遅れそのものはそれほど問題ではなく、ビートが入った時の初期の過渡応答性に問題があるのではないかと見ています。これについては、そのうち実験で確かめてみますね。

今回はシンプルな正弦波信号を使用しましたが、CDの楽曲データの一部だけを切り出してテスト信号を作成する事もできます。例えば、仕事中に音楽を聴いていてオヤッと思う箇所があった場合、僕はまずカナル型イヤフォンで確認し、そちらが問題なければシステムに問題があると考えて、その部分の信号だけを切り出して再生波形を観察します。典型的な事例は、あの「春の祭典」の最強バスドラ信号です。LEANAUDIOでは、そのようなアプローチで対策と効果の確認を積み重ねてスピーカを開発してきました。

ちょっと手間がかかるので、誰にでもお薦めできる方法ではありませんが、工夫次第でいろいろ活用できると思います。高周波の現象になるとオシロのサンプリングレートが問題となりますが、1kHzくらいまでの現象には十分使えると思います。

位相遅れが何度かとか歪み率が何%かを見るだけであれば、スピーカ計測用ソフトで極めて簡単に計測できると思います。しかし開発屋としての経験から、生の波形をじっくりと観察する事が非常に重要だと思います。波形を見る事によって、単純な特性値を並べるだけでは決して得られないインスピレーションを掴む事ができるからです。なので、メンドクサがりやのハチマルでも、波形観測には手間を惜しみません。

とはいえ、深追いは禁物です。デンセンの違いによる最終的な音響出力のブツリトクセーの変化なんぞ、超精密計測器でも検出可能かどうか甚だ疑問です。そんなコマケー事を言っておるのではありませぬ。どうもブツリトクセーという意味を勘違いしている向きもあるようなので敢えて言っておきますが、デンセンだハイエンドだは、ハチマルの言うブツリトクセーとは最もかけ離れた存在です。

ハチマルが言っておるのは、再三再四申しているように、装置の個性や「オンシツ」ではなく「音楽」を真っ当に楽しみたいのであれば、基本中の基本である音楽再生クオリティを最低限整える事がまずは大切だよ!という事です。何もヒステリックな原音再生を求めるのではありませぬ。従って後は好みに応じて適度にオンシツを調整すればヨロシ。基本的に、それ自体を趣味とする者用ではなく、「音楽」を真剣に聴きたいリスナ用装置について申しておるのです。オーディオ装置による「音」の変化を楽しみたいマニアは好きにやればヨロシと思います。主たる目的が異なるという事です。

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2012年01月08日 (日) | Edit |
少なくとも音楽再生に拘るのであれば、あるいは音楽再生を趣味としてツイキューするのであれば、現在自分はどのような状態で音楽を聴いているのか? 自分のシステムはどのような特性なのか?を簡単に計測して、定量的に把握しておく事がとても大切だと思います。今回はハチマルがお薦めする最低限の計測についてご紹介します。

計測内容は2つだけ。
1) 周波数特性
2) 下限周波数の正弦波再生波形

普段の「リスニング位置」と、「スピーカの近く」(数10cm~1m)で計測する事をお薦めします。近くで計測するのは、部屋の影響を少なくして装置自体の特性を知るためです。

極めてシンプルな計測ですが、これだけで必要十分だと思います。これ以上精密な計測をしても、あまり実用的な意味は無いでしょう。必要十分な物理特性を満たした上で、後は好みに応じてオンシツを微調整すれば宜しいかと思います。

必要なハードウェア
まずPCが必要です。正弦波を観測するには、「再生」と「計測」を同時に実行する必要があります。僕のデスクトップPCでは、1台のPCで「再生」と「計測」を同時に実行できました。同時にできない場合は、PCをもう一台用意するか、正弦波信号のWAVファイルをiPod等で再生してアンプで増幅すれば問題ありません。ネットブック等のAtomプロセッサ搭載PCでも性能的に十分でしょう。また、DACが無くても、オンボードのサウンド機能を使用して計測できます。

あと必要なのはPC用の安物マイクロフォンだけ。

ハチマル愛用のマイクロフォン
087_20120107172552.jpg
ELECOM MS-STM54
定格 20Hz~16,000kHz
1,312 YEN
マイク先端の穴あきキャップを取り外して、ダイアフラムむき出しで使用しています。今までコレを使って様々な計測を行いましたが、特性的にこれで十分だと思います。

1) 周波数特性の計測
当ブログでもお馴染みの基本中の基本の計測ですね。Alpair 6Mと6Pを比較をして分かったのですが、両者のオンシツ的キャラクタの違いは、周波数特性のちょっとした凹凸の違いによってほとんど決まります。フラットに補正すると、聴感上の差は極端に縮まり、コーン材質による微妙なオンシツの違いだけが残ります。

このように周波数特性は聴感に最も直接的に影響するため、音楽再生において最も基本的で最も重要なファクタであると言えます。このため、制作現場のスタジオモニタの特性には厳しい要件が課せられます(参考記事)。装置自体の「音」の個性等に徒に拘るのではなく、真っ当に「音楽」を楽しもうとするならば、再生時の周波数特性を努々疎かにできないのは自明です。

計測にはまずソフトウェアが必要です。スピーカ計測用に特化した高機能なフリーソフトもあるようですが、ハチマルはFrieve Audioでシンプルに計測しています。FrieveAudioのダウンロードはコチラ。無料版でも計測できますが、たったの3200YENで購入できる音場補正機能付きの有料版を強力にお薦めします。この機会に是非お試しあれ。

Frieve Audioは計測用にASIOドライバを必要とします。PCのサウンドボードがASIOに対応していない場合は、ASIO4ALLというドライバが必要です。このドライバはコチラからダウンロードできます。

Frieve Audioの使用方法については、当ブログの「FrieveAudio音場補正」ジャンルに詳しく記載していますので、そちらを参照してください。

下はおなじみの測定結果です。スピーカはAlpair 6M。測定距離は約65cm (リスニング位置)です。
raw.jpg

普段は40Hz~8kHzの範囲で補正して、下図の状態で聴いています。
comp.jpg
このような下限周波数までの補正を行うには、密閉型である事が基本です。バスレフ型での低域の補正はお薦めしません。

ハチマルは、今まで様々な設定でいろいろなジャンルの曲を聴いてみた結果、40Hz/-3dBを一応の音楽再生要件と考えています。NHKに採用されたFOSTEXのモニタスピーカもこの要件を満たしています。ただしベトベン交響曲を聴く時だけは30Hzまで伸ばします(30Hzの信号レベルは非常に低いのですが、なんだかヨロシイ。。。とはいえ、最近交響曲はもっぱらSONYのモニタヘッドフォンで聴く事を好みます。こいつは30Hzでもバリバリに再生してくれます)。

スピーカから離れて聴くフルサイズのオーディオ装置の場合、部屋が比較的狭いと(部屋の中央より後で聴いていると)、定在波の影響で200Hz以下に激しいディップが発生する可能性があります。また、一般的に50Hz以下のレスポンスは逆に増加すると思います。あまり細かいディップやピークを気にする必要はありませんが、酷い場合はリスニング位置やスピーカの位置を変えると大きく改善できるかもしれません。そのような場合、大型スピーカを移動するのは大変ですから、13cm程度のウーハを小型の密閉型に入れた物を用意し、これをフルブーストして音源にすると便利です。

2.1ch方式は低域のセッティング自由度の面で非常に有利です。フルサイズの一般家庭用システムとしては、密閉型ウーハによる2.1chまたは2.2ch方式が最も理に適っているように思います。サブウーハがいまひとつ普及しないのはセッティングが難しいからではないかと思います。メーカは簡単なマイクとソフトウェアを製品にバンドルすべきでしょう。

100Hz以下の吸音は現実的に不可能と考えた方が良いと思います。カーペットやカーテンはもちろん、市販の吸音ボードでも効果は殆ど期待できないでしょう。それらの効果も計測で簡単に確認できます。最も手っ取り早いのは、スピーカに近付いてニアフィールドで聴く事です。

2)下限周波数の正弦波
周波数特性で40Hzまでフラットにレスポンスがあるように見えても、それだけでは安心できません。超低音領域で高調波歪みが多いと「ズン」と来る低音は聴けませんし、ダンピングが不足したり遅れているとビシッとバシッとしたノリノリのビートは楽しめません。すなわち時間ドメインでの評価が必要だと言う事です。ビシッとバシッとした低音再生を実現すると、低音の量感は下がったように感じると思います。ダンピングが不足したブワブワの低音のままフラットに再生すると、低音過多に感じるかもしれません。そのへんはカナル型イヤフォンなり、密閉型モニタヘッドフォンと聴き比べるとよくわかります。

低音再生のクオリティは、下限周波数の正弦波信号を再生してみるとよく分かります。位相遅れを見たい場合は、正弦波信号にパルスを重畳した信号を使用します。このような信号を生成するために、僕はWaveGeneというフリーソフトを使っています。コチラからダウンロードできます。

WaveGeneの画面
wg.jpg
この図では、40Hz/-6dBの正弦波に、40Hz/-10dBのパルスを重畳してLチャンネルだけに出力しています。デフォルトでは、パルスはゼロ交差タイミング(位相0°)で発生します。このソフトは波形を直接出力するだけでなく、WAVファイルも生成できます。そのように生成したファイルをFrieveAudioなりiTuneなりのソフトウェアで再生するか、あるいはiPod等にコピーして再生します。いずれの場合もリピート再生が便利です。

スピーカからの音響波形をマイクロフォンで収録してオシロスコープで観察する必要があります。波形観察用には、フリーソフトウェアのHandyOscilloを使用しています。コチラからダウンロードできます。

計測を行う前に、正弦波の再生に使用するソフトウェア(FrieveAudio、Itune等)またはiPod等で、普段よく聴く曲を再生してみて、普段の音量+αになるようにアンプのボリュームを調整します。そして、そのボリューム位置のままで-6dBの正弦波がどの程度正確に再生されるのかを観察します。

以下は実際にAlpair 6MとIcon AMP(+真空管バッファ)を使用してリスニング位置(65cm)で計測した結果です。ボリュームは標準より高めです。

まず50Hz/-6dBの正弦波です。少なくとも50Hzは楽勝でクリアして欲しいものです。
0sc 1
見た目には綺麗な正弦波となっています。オシロの重要設定箇所を黄色の丸でマークしていますので、参考にしてください。3本のスライダは波形が見やすくなるように調整してください。

次に、下側の時間軸のスライダ(赤でマーク)を調整してFFTを見やすくしました。
0sc 2
3次のピークは2次のピークより低くなっています。3次が2次より大きくなると音も波形もはっきりと変わります。

次に40Hz/-6dBの波形です。
0sc 3
波形が明らかに正弦波から崩れています。

40HzのFFTです。
0sc 7
3次のピークが2次のピークよりも高くなっていますね。通常の楽曲では、40Hzの信号レベルはそれほど高くないため、ほとんどの場合これでも問題ありません。マドンナのズンドコ(40Hz/-12dB程度)であれば問題無く再生できます。ただし「春の祭典」のバスドラだけは激しく歪みます。

常用音量範囲において、少なくとも50Hz、願わくば40Hzまでは、-6dBの正弦波を大きく歪ませる事なく再生して欲しいと思います。楽曲の信号レベルから考えて、余程特殊な楽曲でも聴かない限り、30Hzまでそれを求める必要性はないと思います。

最後に、興味があれば、低域の位相遅れを確認してみても良いかもしれません。例え密閉型スピーカであっても、低域の位相遅れは必ず発生します。密閉型SPを使用してFrieveAudio等のデジタル処理で補正しない限り、位相遅れを無くす事はできません。一般的に、密閉型SPであれば位相遅れをそれほど気にする必要はないと思いますが、ハチマルは共鳴点が50Hzよりも高い小型のバスレフ型でピチカートベース等に位相的な不快感を覚える事があります。

50Hzのパルス入り正弦波を再生してみました。
osc5.jpg
ソース信号のパルスはゼロと交差するタイミングで発生しますが、再生波形を見ると50Hzの正弦波がパルスに対して約45°(1/8周期)遅れています。この程度の遅れであれば、僕の聴感では全く問題を感じません。これは位相遅れの極端に少ないIcon AMPと密閉型スピーカの組み合わせによる結果です(ただし今回、例の真空管バッファを使っているためか、Icon AMPにしては遅れ気味です)。バスレフ型では一般的に密閉型の2倍以上遅れると言われます。また、Icon AMPはかなり特殊であると思われ、一般的なアンプではこれよりも遅れると思います(参考記事)。さらにアナログフィルタ(チャンデバ)によっても遅れが増加します。通常の古典的大型システムでどの程度の遅れが出るのか僕は知りませんが、興味深いところではあります。

計測は以上です。全て、「リスニング位置」と「スピーカ近く」で計測してみてください。そうする事により、システム自体の問題と部屋の問題を分けて考える事ができます。

このように簡単で大雑把な計測でも、システムの基本的な音楽再生クオリティを十分正確に把握できます。これらは最低限の基本的クオリティ要件であると言えます。実用的観点から、これ以上精密な計測は必要ないでしょう。計測条件をいつも同じにしてデータを残しておけば、装置を大幅に変更した際に比較できます。また、以前の状態に戻したい時にも参考になります。

計測結果に基づいて問題点をできるだけ解消した後に、FrieveAudioの自動音場補正を適用すれば、位相も含めて極めて簡単に良好な特性が得られます。ただし、補正前の状態を可能な限り整える事(特に定在波)と、密閉型システムを使う事が重要です。今までかなり癖のある状態で音楽を聴いていた場合、フラットに再生すると最初は随分温和しく聞こえるかもしれません。こういうのを「ツマラナイ」と感じるのでしょう。しかし、これが我々よりも遙かに高い音楽的素養を持つ制作者/表現者が調整して最終的に世に問うた状態です。数日聴いて耳が慣れてから補正をOFFにすると、今度はとんでもなく癖のある聴きにくい状態に感じると思います。

システムの基本的な物理特性が必要十分に整えば、後はそれこそ自分の好みに応じてオンシツを微調整すれば良いと思います。僕は真空管バッファを追加してみました。

自分の好みに合わせて装置を調整する場合、常に基準として戻るべき状態をしっかりと把握しておく事が大切だと思います。何事もそうですよね。何らかの絶対的基準を持つという事です。たとえ、その基準状態が嫌いであってもかまいません。

感覚だけを頼りに変更前の状態と変更後の状態を相対的に比較しながら、徒にミクロな「オンシツ」的現象に拘って調整に没入すると、それを繰り返すたびにどんどん「音楽再生」の全体像を見失い、ある方向にどんどんエスカレートするか、魔境に彷徨い込んでグルグルする事必至でしょう(感覚的な相対比較を繰り返すと、いつの間にか以前の状態に戻っていてもその事に気付かず、延々と彷徨う富士の樹海となる)。計測がめんどくさければ、カナル型イヤフォンやモニタヘッドフォンをリファレンスにすると便利です。これらは、何も補正しなくとも、極めて正確にソースを再生してくれます。

「音」そのものではなく、「音」で精緻に構築された「音楽」(アーチストさんの表現)を楽しみたいのであれば、上記の基本アプローチは大きく役立つはずです。是非お試しあれ。


追記
上の計測だけでは本当の過渡応答性を見る事はできません。それを評価したい場合、実際の楽曲のデータを切り出すか、上記で作成した信号に手を加えた特殊なテスト信号を使用します。それについてはまたの機会にご紹介します。

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2011年05月03日 (火) | Edit |
バスレフ型のチューニングを一通り終えたので、これから数回にわたって3種類のAlpairシステムについて比較してみたいと思います。

ハチマルは3"クラスのAlpairフルレンジ ドライバを使用して、低音増強方式の異なる下記の3システムを構築しました。

- システム1: Alpair 6M (2.5L密閉) : 馬鹿ブースト
- システム2: Alpair 5 (1L密閉) + 13cm PPウーハー(3L密閉) :バイアンプ駆動
- システム3: Alpair 6P (11L バスレフ) :共鳴部はR/L共有

今回は、ハチマルにとって非常に重要な音質評価指標であるピチカートベースの再生について比較してみました。ざっと聴いてみた限りでは、今回のバスレフ型のベースラインの聞こえ方はハチマルの許容範囲に入ったと言えそうです。3年前にDENON製MD/CDコンポの13cm/6Lバスレフの低音に激怒し、その箱を使用してバスレフ型をさんざんトライした末に断念してLEANAUDIOを始めたというのがソモソモの経緯ですが、今回のバスレフ トライアルには満足できそうな予感がしています。マダワカリマセンケド。。。

で、今回は、そのピチカートベースの再生波形を確認してみました。

まず、以前にも使用した Footprints 冒頭のロンさんのベースソロ波形を比較してみました(詳細はコチラを参照してください)。
ソース: Footprints ベースソロ
今回はボ・ポ・ポ・ポーンの最初の「ボ」の音に注目します。基本周波数は約65Hzです。R/Lをミックスしてモノラルで再生し、普段のリスニング位置で1本のマイクロフォンを手持ちして録音しました。

下はシステム2(バイアンプ方式)の波形です(システム1は今までに数回測定して確認済み)。
784.jpg
赤がCDのソース信号、青がリスニング位置での実測波形です。FrieveAudioで10kHz~30Hzをフラットにイコライジングし、位相補正を適用しています。相変わらず嘘みたいに良く一致しています。

下は、出来たばかりのシステム3(バスレフ方式)の波形です。以前作成した小容積バスレフ型に比べるとベース音の違和感も随分改善されたと思うのですが。。。果たしてどうでしょうか?
785.jpg
この場合もFrieveAudioの自動音場補正を使用して、8kHz~45Hzをフラットにイコライジングしています(50Hz以下は急激にレスポンスが低下するので補正できない)。青が実測波形です。出だしの音で波形がやや崩れ、その後も細かい凹凸が鈍っていますが、以前の小容積型では100Hzでももっと大きく崩れましたから、確実に改善されていると言えそうです(今回使用した65Hz音は小型ボックスの共鳴点以下であったため比較すらできなかった)。

以上の比較では時間軸の絶対基準がないため、波形を重ね合わせる際の横の水平(時間)方向の置関係(位相関係)は波形を見ながら適当に調整しました。ですから波形の形状は比較できますが、位相の遅れ度合を正確に知る事はできません。そこで、他の楽器音も含まれるパートを録音する事によって再生波形の位相関係を明確にできないか試してみました。

Footprintsでは、ロンさんのソロイントロ(Lチャンのみ)に続いてトニさん(ドラムス、Rチャンのみ)、とハビさん(ピアノ、両チャンネル)が加わるので、トニさんのシンバル音を基準にして位相関係を割り出す事にしました。Rチャンでは、シンバル以外の区間の信号を消去(無音化)しました。
ご試聴ください: Footprints トリオ.mp3

この信号をモノラル再生し、上記と同じ方法で録音した波形から、シンバル音(シャープな波形ピーク)を基準にして位相関係を正しく合わせました。以下の図では、赤がソース信号、青が位相補正なし、緑が位相補正ありです。全て上記と同じ周波数範囲でイコライジングしています。

システム1 (馬鹿ブー方式)の結果
781.jpg
密閉型でも位相は遅れますが、FrieveAudioの位相遅れ補正を適用するとソース信号と殆ど一致します(数ヶ月前に測定した係数を使用しているので、補正精度は高くないです。直前に測定したデータで補正して、同じマイク位置で録音するとピッタリ一致します)。

システム2 (バイアンプ方式)の結果
782.jpg
位相遅れ補正なしだと激しく位相が遅れます。これはアナログ式チャンデバによるものと思われます。手軽に使えるデジタルチャンデバ内蔵DACが欲しいですね。とはいえ位相補正を適用すると殆ど信号波形に一致します(こちらのスピーカーボックスは動かないようにネジで完全に固定しているためか補正精度が良いですね)。こういうデータを見るとアクティブ フィードバックは要らないなぁ。。と思います。

システム3 (バスレフ方式)の結果
780.jpg
補正なしの位相遅れは密閉型より大きいですが、システム2よりはずっとマシです。位相遅れ補正を適用しても完全には補正されませんが、補正なしの密閉型とほぼ同等まで改善されます。なんで補正しきれないのか? は良くわかりません。。。。多分、振動板以外(ポート)からも音が出るからだと思うけど。。あ。それと、シミュレーションによると、共鳴点が50Hzの場合、65Hzくらいまでであれば位相は密閉型に対して大きくは遅れず、ここから共鳴点(50Hz)に近付くに従って急激に遅れる模様です(下図参照)。

786.jpg
黄色の線が密閉型。緑の線がバスレフ型の位相遅れ。

コンクライの遅れなんか大した事ではないと思いますし、短時間「音」に集注して聴き比べても別に問題を感じないのですが、「音」を気にしないで「音楽」を半ば無意識に追いかけているうちに「音」に癖があると違和感が溜まってポートに吸音材を詰めてしまう。。というのが過去のバスレフトライアルでの経験です。さて、今回のはどうでしょうか?

以上、バスレフ型にはちょっと酷な比較でしたが、以前の小容積型に比べると聴感上も格段に改善されています。最終的にFrieveAudioでイコライジング(極小バッフルによるハイ上がり傾向の補正)と位相遅れ補正を適用する事によってハチマルの許容範囲に入ったかなぁ。というのが現在の実感です。共鳴容積を十分に大きくしたので、吸音材を十分に入れて筒っぽ臭い音や箱臭い音を抑えてもバスレフ効果を維持できた事が改善の主な要因だと思われます。以前の小容積型では、音の癖を嫌って吸音材を増やしてゆくうちに結局密閉型にナッチッタの繰り返しでしたから。。。。ハチマルの場合、デスクトップサイズだとバスレフ型は厳しいかもしれません。これから暫くオシゴト中にイロイロな曲を長時間聴いてから最終的な結論を出したいと思います。

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2011年04月27日 (水) | Edit |
今回は、もう一度容積を見直してみます。

下図は、今のところ標準的と考えている8Lでの計算結果です(クリックで拡大してご覧ください)。
747.jpg
ポート径φ34mm/ポート長80mmで約50Hzの共鳴周波数が得られています。吸音材は「なし」です。

容積を20Lまで増やしてみました。共鳴点は同じく約50Hzに合わせています。
748.jpg
ポート径はφ34mmのままですが、ポート長は10mmしかありません(穴ですね)。この状態ではポート効果が出すぎです。

そこで吸音材を入れて調整してみました。
749.jpg
このシミュレーションでは吸音材の量を4段階に調整できます。上図では最大の「多め」に設定しています。この結果8Lの場合とほぼ同等の50Hzまでフラットな特性が得られます。箱を大きくしたのに低域特性が同等以下じゃぁ駄目じゃん。。てな事はありません。共鳴効果が緩やかになり、位相遅れも緩和されています。またポートからの高域放射音も低減しています。共鳴点以下の減衰の傾斜も少し緩やかになります。
このように大きな箱を使用し、吸音材の量で共鳴効果の強さを調整する事によって、バスレフ型が持つ独特の癖を和らげる事ができそうです。

容積20Lどうしで密閉型とバスレフ型(上図)を比較してみました。
751.jpg
典型的なバスレフチューニングではインピーダンス曲線が綺麗な2山になりますが、この場合のインピーダンス曲線は密閉型に似てきます。位相遅れは改善されたとは言え、密閉型に比べるとかなり遅れます。これはバスレフ型の宿命ですね。

前の記事で紹介した共鳴ボックス共有案を採用し、共鳴ボックスの容積を可能な範囲で大きくしてみるのも良いかもしれません。

こんな感じ?
751_20110427072744.jpg

追記
バスレフ型を検討しながら、こんな事を言うのもなんですが。。。
このようなデータを見ると、密閉型のままでアンプのトーンコントロール(例えば中心周波数50Hz)を8~10dB程度持ち上げるだけでバスレフ型と同等の低音特性が得られます。アナログフィルタの場合、位相は多少遅れますが、果たしてバスレフ型と比べてドッチがお得なのかなぁぁぁぁぁぁぁぁ?????と考えてしまいます。ましてやデジイコなら位相遅れ皆無ですし。。。そんなにイコライジングって嫌われ者なのかなぁぁ?????。。。フシギ。ふしぎ。不思議。。。コチラの記事も参照されたし。。

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