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2013年07月19日 (金) | Edit |
今回は、今までアナログネットワークについてイロイロとお勉強した結果に基づいて、3Wayネットワークの接続について考えます。

これに関しては、最初に書いた記事が全くスットコドッコイな大間違いであり、一度改訂しましたが、それも相変わらずスットコドッコイでした。エーカゲンな記事ばかりを書いてしまい、誠に申し訳御座いません。今回の考え方が正しければ良いのですが。。。

現象をシンプルに考えるために下記を前提とします。
1) スピーカ自体の遅れやインピダンスの変化を考慮せず、フィルタの特性だけを考える
2) カットオフ周波数(-3dB点)でクロスさせる

下は、全て正相で接続した場合の位相特性です。
3Way位相
- 0°が信号の位相、プラス側が進み、マイナス側が遅れです。
- 信号より進み側の位相は破線で示しています。時間ドメインで考える場合、入力より位相が進んだ出力は、入力に対して反転した上で遅れていると見なします。
ウーハ
- ウーハのLPFは、十分に低い周波数で信号をそのまま通過させ(遅れも反転もしない)、カットオフで90°遅れます。
MID
- MIDのHPFは、十分に低い周波数で信号を完全に反転させ(遅れはないが反転する)、反転した出力はカットオフで90°遅れます。
- MIDのバンドパスは、HPFとLPFの中間で信号をそのまま通過させます(遅れも反転もしない)。
- MIDのLPFは、カットオフで90°遅れます。
ツイータ
- ツイータのHPFは、十分に低い周波数で信号を完全に反転させ(遅れはないが反転する)、反転した出力はカットオフで90°遅れます。
- ツイータのHPFは、十分に高い周波数で信号をそのまま通過させます(遅れも反転もしない)。

下は、全て「正相」で接続した場合の各クロス点における波形です。
3Way波形
- 最上段の黒の波形が入力波形です。
- クロス点「A」では、ウーハLPF(90°遅れ)とMID HPF(反転して90°遅れ)が逆相となるため、クロス点でディップが発生します。
- 「A」点と「B」点の中間では、MIDは入力波形をソノママ出力します(グレーの波形、時間的遅れも反転もない)。
- クロス点「B」では、MID LPF(90°遅れ)とツイータHPF(反転して90°遅れ)が逆相となるため、クロス点でディップが発生します。

下は、MIDだけを逆相で接続した場合の各クロス点における波形です。
3Way位相 逆相
- クロス点「A」では、ウーハLPFとMID HPF(逆相)が共に入力に対して90°遅れとなり、同相で繫がります。
- 「A」点と「B」点の中間では、MID(逆相)は入力波形を反転して遅れなく出力します(グレーの波形、時間的に遅れないが反転する)。
- クロス点「B」では、MID LPF(逆相)とツイータHPFは共に入力に対して反転して90°遅れとなり、同相で繫がります。
- つまり、MIDだけを「逆相」で接続すれば、3つの帯域はディップを生じる事なく繫がるという事です。
- ただし、MIDのHPFとLPFの中間帯域では、出力波形は入力波形と逆相になります(遅れはしないが完全に反転する)。

下は、MIDを逆相接続した場合の時間的遅れです(角度に換算)。
3Way時間
ウーハ
- 正相接続したウーハのLPFは、十分に低い周波数において、信号をそのまま出力します(反転もしないし遅れもしない)
- 正相接続したウーハのLPFは、クロス点「A」において、入力に対して90°分時間的に遅れます。
MID
- 逆相接続したMIDのHPFは、クロス点「A」において、入力に対して90°分時間的に遅れます(従って、ウーハとMIDは同相で繫がり、時間的にも一致する)
- 逆相接続したMIDのHPFは、中間帯域で、入力を反転して(だって逆相接続だから)、時間的遅れなく出力します。この遷移領域の時間的遅れをプロットする事はできないため、矢印で表しています(前記事参照)。
- 逆相接続したMIDのLPFは、クロス点「B」において、入力に対して反転した上で(だって逆相接続だから)、90°分時間的に遅れます。
ツイータ
- 正相接続したツイータのHPFは、クロス点「B」において、入力に対して反転した上で、90°分時間的に遅れます(従って、MIDとツイータは同相で繫がり、時間的にも一致する)
- 正相接続したツイータのHPFは、十分に高い周波数において、信号をそのまま出力します(反転もしないし遅れもしない)。この遷移領域の時間的遅れをプロットする事はできないため、矢印で表しています(前記事参照)。

以上です。この考え方で正しければ良いのですが。。。。

実際にネットワークを組む場合、スピカのインピーダンス特性や、各ドライバの前後位置関係や、回路素子の特性のばらつき等が影響するため、実測しながらチューニングする必要があるでしょう。

アー、ヤヤコシイ。。。遅れたり反転したりを繰り返すので、波形は時間ドメイン的にかなり歪むはずです。特に、MIDではHPFのカットオフ(反転90°遅れ)~LPFのカットオフ(非反転90°遅れ)で位相が180°グルッと回転します。このため、時間ドメインで出力(波形)を観測すると、かなり乱れます。

下は2つ前の記事に掲載したパッシブ バンドパスを通過した春の祭典のスピカ出力波形です。
春バンド フィルタ無し
春 バンド フィルタアリ正相
春 バンド フィルタアリ逆相
- 青はFrieveAudioの等価デジタルフィルタを使った場合の出力波形です。フィルタの位相は遅れも反転もしないため、密閉型スピカによる遅れだけが観測されます。
- 赤はパッシブ バンドパスを使った場合の出力波形です。緑は赤を上下反転した波形です。
- アナログバンドパスでは下側のカットオフから上側のカットオフまで位相がグルっと180°回転するため、入力波形に対する出力波形の対応が大きく乱れます。よく見ると高い周波数(細かい波)は非反転波形(赤)で対応し、低い周波数(大きなウネリ)は反転波形(緑)で対応するように見えます。
- 特に、反転波形(緑)の中央付近の大きなウネリ(低周波信号)は、ドライバ自体の遅れとの相乗効果によって大きく遅れているように見えます。

ただし、このような現象(サブウーハ領域を除く)が実際どの程度「音楽の知覚」(音楽の聞きやすさ)に影響するのかは定かではありません。言えるのは「このような現象はマニア達がツイキュして拘る非常に微細な諸々の現象に比べて遙かに巨大かつ根源的問題である」「こんな現象は無いに超した事は無い」「密閉型フルレンジ1発で全域をキチント再生できるのなら、それに超した事は無い」という事だけです。密閉型フルレンジ1発(デジブースト)ではどうしても足りない場合、デジタルフィルタを使って帯域分割すれば(例えばサブウーハを追加すれば)、こんな問題に頭を悩ませる必要は全くなくなります。

あと残っている不明点は、ドライバの影響(パッシブ方式とアクティブ方式の違い)、-3dBクロスと-6dBクロスの比較といったアタリでしょうか。次回で最終回にしたいものです。しかし、その後のネタが無い。。

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2013年07月14日 (日) | Edit |
今回はパッシブネットワークのバンドパス フィルタの位相特性を実験君で確かめてみました。

前回の記事で、ハイパスフィルタは「入力に対して反転した上でカットオフ点で90°遅れるらしい」という事を書きました。ではバンドパスにした場合、ローパスフィルタの位相はどうなるのでしょうか???

という事で早速実験君です。
今回も意外な事が分かりましたよ。

下がバンドパス フィルタの回路図です。
Filterjpg.jpg
- HPFは12mH/300μF、計算カットオフは83Hzです。
- LPFは3mH/100μF、計算カットオフは290Hzです。

下は周波数特性です。
F特 copy
- FrieveAudioでフィルタなしのF特をフラットにした状態にフィルタを適用しました。
- 赤がアナログ パッシブフィルタ青がFrieveAudioで設定した等価のデジタルフィルタです。
- 実際のカットオフは60Hz/300Hzあたりでしょうか。

いつものようにスピーカ出力の正弦波応答です。
60Hz (概ねHPFのカットオフ)
波形60
- グレーが信号、青がフィルタなし緑がフィルタあり(逆相)です。
- 正相波形は暗い赤でプロットしています。
- 前回の記事通り、フィルタありはフィルタなしに対して反転して約90°分時間的に遅れています(反転しないと出力の位相が入力よりも進む)。

ではローパス挙動はどうなのでしょうか?
290Hz (概ねLPFのカットオフ)
波形290
- グレーが信号、青がフィルタなし赤がフィルタあり(正相)です。
- フィルタありはフィルタなしに対して反転せずに約90°分時間的に遅れています。
- これは意外な結果です。僕はLPFも反転したママHPFの180°+LPFの90° = 270°分時間的に遅れると予測していました。
- という事で、以前の3WAYフィルタに関する記事はまたまたスットコドッコイな大間違いでした! スミマセン。

ぢゃぁ、中間の周波数ではどうなんでしょうか???
160Hz (概ねHPFとLPFのカットオフの中間)
波形160
- グレーが信号、青がフィルタなし赤がフィルタなし(正相)です。
- フィルタありはフィルタなしとピッタリ重なります。
- HPFとLPFの中間ではフィルタの影響は生じないという事でしょうか。
- じぇじぇじぇ。。。ですね。なんだか良くワカリマセン。

次に春の祭典の波形で確認してみました。
60、160、290Hzを中心とする非常に急峻で非常に帯域幅の狭いバンドパスフィルタをFrieveAudioで設定しました。
60Hz (概ねHPFのカットオフ)
春 63
- グレーが信号、青がフィルタなし緑がフィルタあり(逆相)です。
- フィルタありはフィルタなしに対して反転した上で約90°分時間的に遅れます(反転しないと、出力の位相が信号よりも進んでしまうし、波形の対応も取れない)。

160Hz (概ねHPFとLPFのカットオフの中間)
春160
- グレーが信号、青がフィルタなし赤がフィルタあり(正相)です。
- 正弦波での結果と同様、フィルタの影響は消えて無くなったかのように見えます。

290Hz (概ねLPFのカットオフ)
春290
- グレーが信号、青がフィルタなし赤がフィルタあり(正相)です。
- フィルタありはフィルタなしに対して反転せずに約90°分時間的に遅れています。

さらに、FrieveAudioの急峻なバンドパスを外して全域の信号を入力しました。
FrieveAudioの周波数特性の補正だけONにしています。
アナログ パッシブ フィルタ
春 バンド フィルタアリ正相
春 バンド フィルタアリ逆相
- グレーが信号、赤が正相スピカ出力緑が逆相スピカ出力です。
- 正相も逆相も信号波形との対応はヨックワッカリません。
- 低い周波数(大きなウネリ)には逆相、高い周波数(細かい波)には正相の方が対応しているように見えなくもアリマセンが。
- このように様々な周波数成分を含み過渡現象の嵐である実際の音楽信号をアナログフィルタに通すと、出力波形は時間ドメイン的に大きく崩れ(歪み)ます。

FrieveAudioデジタル フィルタ
春バンド フィルタ無し
- 上のF特図の青のフィルタです(FrieveAudioで設定したアナログ パッシブ フィルタと等価のデジタル バンドパス フィルタ)。
- グレーが信号、青がスピカ出力(正相)です。
- 信号と出力の対応は明確になりました。
- これはアナログ ネットワークを持たない密閉型フルレンジSPの良いトコロです。やはりアナログネットワークによるマルチウェイ方式では絶対に得られない自然さというのがありますよね。
- この密閉型フルレンジを核とし、その足りないトコロ(主に低音)をデジタル方式で補おうというのがLEANAUDIOの基本的アプローチです。ソーチのオトや付帯的オト現象のナンチャラカンではなく「音楽」の聞こえ方の自然さ(聴きやすさ)を求めれば、自然とそこに行き着くでしょう。
- しかし、密閉型フルレンジと言えどもドライバ自体の位相回転(最大で180°)が生じるため、波形の細かいところは信号に対応していないように見えますね。

FrieveAudioの位相補正をONにしました。
春バンド Frieve
- グレーが信号、ピンクが位相補正ONのスピカ出力です。
- マイク手持ちのエーカゲンな計測ですが、スピカ出力は信号に非常によく対応しています。
- いつもの事ながらFrieveAudioのDSPはさっすが!ですね。
- でも僕はこの補正の効果を明確に感じる事はできません。

今回の結果は以上です。
バスレフと同様、アナログフィルタも、使わずに済むなら使いたくないですね(特に低い周波数では使いたくない)。デンセンやデンゲンやヂッタの影響に比べれば、それはもうアンタ遙かに巨大な「音楽再生上の問題」ですよ。オッキクテジューヨーなモンダイから潰さないと。。何事も。ホンマニ。。。

しかし、HPFの挙動に完全に納得できていません。なんかまだ気色悪い。追加実験するかな? スミマセン。。。

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2013年07月11日 (木) | Edit |
相変わらず「位相」です。スミマセン。
お付き合いくださいませ。

今回は正弦波信号とスピカ音響出力でアナログフィルタの挙動を確認します。

まずはDACの出力電圧信号です。

下はFrieveAudioで-3dB@290Hz(12dB/Oct)のHPFとLPFを設定した場合のDAC出力波形です。
290Hz Frieve
- 信号周波数は290Hz(カットオフ周波数)です。
- 青がHPF赤がLPF、グレーがフィルタなし信号です。
- HPFもLPFも極性を反転せずにそのままの波形をプロットしています。
- オシロで見る限りHPFもLPFも位相は全く回転していません。これがデジタルフィルタです。

下はDACチャンデバでの結果です。このDACチャンデバの挙動はアナログフィルタに等価です。
290Hz DAC
- HPFもLPFもカットオフ(-3dB点)が概ね290Hzになるよう、シミュレーションを参考にしてDACチャンデバのクロス周波数(-6dB)を調整しています(HPFは225Hz、LPFは400Hz)。あまり正確な調整ではアリマセンので、その点を理解の上でデータをご覧ください。
- 信号周波数は290Hz(カットオフ周波数)です。
- 青がHPF赤がLPF、グレーがフィルタなし信号です。
- HPF出力(青)は極性を反転して表示しています。
- HPFもLPFも、出力は信号に対してほぼ90°遅れています。これはフィルタの理論に一致します。

次にスピカ出力波形です。
Alpair6 MのLchをウーハ、Rchをツイータとして使用し、L/Rの中央に置いたマイクで収録した波形です。フィルタの設定は上記と全く同じです。

まずはFrieveAudioデジタル チャンデバ
290Hz スピカ Frieve
- ツイータもウーハも波形を反転せずにそのままプロットしています。
- ウーハもツイータも信号に対して90°強遅れています。
- これは密閉型の位相回転によるものです(ドライバの共振周波数(100Hz)よりも周波数が高いため、90°より多めに回転する)。
- 従って、デジタルチャンデバではツイータを逆相接続する必要はありません。

次はDACアナログ チャンデバ
290Hz スピカ DAC
- ツイータの波形(青)は極性を反転しています。
- ツイータもウーハも位相は270°弱(180°強)回転しています。
- これは密閉型(90°強)+フィルタ(90°)に概ね一致します。
- アナログ二次フィルタの場合、ツイータを逆相にして-3dBでクロスすると、ウーハとツイータの位相と遅れ時間は両方とも一致します。

DAC出力波形の過渡部を拡大してみました。
Analog Digital HPF
- 左がLPFです(赤がFrieve黄がDAC)
- 右はHPFです(青がFrieve緑がDAC反転)
- 過渡部の波形を見ると、アナログフィルタ出力がデジタルフィルタ出力に対して綺麗に遅れている事がよく分かります。
- やはりアナログHPFの出力波形は反転して見るのが正解ですね。どう考えても。
- デジタルフィルタの出力挙動は入力信号の事象よりも先行しているように見えますね。これは移動平均のような処理によって信号を先読みするからだと思われます(信号をある程度先まで読んでから現在の出力値を計算して決める。従って実際には出力事象は入力事象(データの読み出し)に対して常に一定時間遅れている)。
- アナログフィルタでは信号が動き出してから応答が始まる(出力の事象は入力の事象よりも絶対に進めない)ため時間的遅れが生じます。その結果として位相の回転が生じます。

という事で、アナログ二次HPF出力は入力信号に対して反転した上でカットオフ点で90°遅れると考えてまず間違いないでしょう。

なお、二次フィルタでは全部で180°(fcで90°)遅れますが、三次フィルタでは270°(fcで135°)遅れます。高次フィルタほど位相はグルグル回るという事です。FrieveAudioでは断崖絶壁のようなフィルタを設定しても、オシロで観測可能は位相回転は発生しません(「FrieveAudio直線位相FIRフィルタの実力」参照)。

次回のテーマは3Wayのミッド(バンドパス: HPF+LPF)の場合ドーナルノ?です。またまた「位相」です。スミマセン。

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2013年07月06日 (土) | Edit |
今回は、パッシブネットワークを使ってサブウーハをアドオン(メイン側にHPFを使わないで接続)する場合の接続極性と遅れについて調べてみました。

スピーカはメイン側にAlpair6M+2.5L密閉(ZAP)、サブウーハ側にAlpair6M+8L密閉/バスレフ(TONO)を使いました。
LPFは22mH+400μF (fc=約70Hz、-12dB/Oct)のパッシブネットワークです。バスレフポート稼働領域(50弱~約100Hz)下限でのクロスオーバとなります。

まずはF特です。
赤が正相接続のトータル、黒が逆相接続のトータル、青がメインの密閉型緑がサブウーハです。

密閉型サブウーハのアドオン
F特 密閉 アドオン 

バスレフ型サブウーハのアドオン
F特 バスレフ アドオン 
- 150Hzあたりの段差は部屋の影響です。
- どちらも逆相で綺麗に繋がります。
- どちらも実質的なクロスオーバーは95Hzあたりです。
- どちらも正相接続ではクロス周波数で急峻なディップが発生します。
- バスレフの場合、逆相接続で綺麗に繫がりますが、位相が大きく回転するため70Hz以下ではメインスピカと逆相になって出力が低下しています。
- バスレフ単体だと60Hzから出力は低下するのですが、フィルタを接続すると出力が50Hz以下までフラットに延びています。

次に、いつものシミュレーションです。
- 例によって入力の位相を黄色の水平線で示しています。これが位相遅れゼロの基準です。
- 位相曲線の60Hzと100Hzに緑のをプロットしています。
密閉型メイン
SIMU 密閉
- 100Hzの位相は約-90°

密閉型サブウーハ
SIMU 密閉サブ
- 100Hzの位相は約-270°(スピカの180°+フィルタの90°)です。
- 100Hzにおいてメイン(-90°)とは180°差(つまり逆相)になります。
- 60Hzの位相は-180°弱。

バスレフ型サブウーハ
SIMUバスレフサブ
- 位相は激しく回転し、100Hzで-450°(スピカの360°+フィルタの90°)にもなります。
- 100Hzにおいてメイン(-90°)とは360°差(つまり同相)ですが、バスレフの応答は反転しているため、結局メインとは逆相になります。アーヤヤコシー。
- 60Hzの位相は約-270°です。
- シミュレーションでも出力は低周波側へ延びていますね。そーゆものなのね?

100Hzのメインとサブウーハの波形を重ね合わせました。正相接続の状態です。
上が密閉、下がバスレフ
アドオンクロス波形 密閉 
アドオンクロス波形 バスレフ
- 正相接続ではどちらもメインスピーカとは完全な逆相になっています。これでは急峻なギャップが発生するのが当然ですね。

いつものように、信号に対する出力の位相(タイムドメイン的位相)を調べてみました。
 バスレフの応答遅れを見るには波形を上下反転する必要があります。
上が密閉、下がバスレフ
100Hz
アドオン100密閉波形
アドオン100バスレフ波形
- 密閉は信号に対して270°(信号に対して7.5ms、メインスピカに対して5ms)弱の遅れです。
- バスレフは信号に対して450°(信号に対して12.5ms、メインに対して10ms)弱の遅れです。
- 上のシミュレーションとよく一致していると言えるでしょう。

60Hz
アドオン60密閉波形
アドオン60バスレフ波形
- 密閉は信号に対してほぼ180°(信号に対して8ms)の遅れです。
- バスレフは信号に対してほぼ270°(信号に対して12.5ms)の遅れです。
- これもシミュレーションとよく一致しています。

下は、位相と時間の遅れをプロットしたグラフです。
赤がバスレフサブ青が密閉サブ緑が密閉メインです。
アドオン位相遅れ アドオン時間遅れ
フィルタなしのバスレフは密閉アドオンと等価です。

100Hz以下のカットオフを持つアナログLPFを使ってサブウーハをアドオンすると、低音が信号に対して時間的に大きく遅れるだけでなく、クロス点においてメインスピーカからも遅れます(クロス点におけるタイムアラインメントは出鱈目)。
- 共鳴60Hzのバスレフの場合(フィルタなし60Hzで入力に対し約8ms遅れる)、フィルタを付加すると12.5ms(4.25m)まで遅れています。 共鳴周波数の低い大型バスレフは、周波数に反比例してもっと遅れます。
- 密閉型のアドオンでは約8ms(2.7m)遅れます。これはフィルタなしの60Hzバスレフと同等です。フィルタなしの密閉(デジタルフィルタを使った密閉型サブウーハ)だと遅れは4ms(1.35m)弱です。
- アドオン方式の場合、100Hzのクロス点において、メインスピカ(密閉型)に対してバスレフ型サブウーハで約10ms(3.4m)、密閉型サブウーハで約5ms(1.7m)遅れます。つまりクロス点におけるタイムアラインメントは全く出鱈目です。

大型メインシステムに共鳴周波数の低い大型バスレフ サブウーハを極端にカットオフの低いアナログLPFを使ってアドオンする場合、その時間的遅れは想像を絶します。またメイン側にもバスレフ型を使う場合、急激に変化するお互いの位相がどのように干渉し合うのか、これもまた想像を絶します。このような構成は、「デカイ重低音が出れば良い」というシアタ向けには使えるかもしれませんが、繊細な音楽再生用には到底適さないでしょう。

このように遅れの大きなアナログ式サブウーハをアドオンする場合、リスナのすぐ近くに設置した方が良好な結果が得られるかも知れません。さもなくばアドオン式には、位相回転が殆ど(というか全く)生じないFrieveAudioのような高性能デジタルフィルタが必須であると言えるでしょう。

今回はパッシブネットワーク(アンプの後で分割)を使いましたが、アクティブ方式(アンプの前で分割)でもアナログフィルタを使う限り遅れの様相は殆ど同じです。次回は、サウンドブラスタDACのチャンデバ(多分アナログ式)を使ったアクティブ クロスオーバ方式について調べてみます。オッタノシミニ!

結局「位相」の話は続きますね。。。スミマセン。

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2013年06月27日 (木) | Edit |
バスレフ型の挙動は非常に複雑であり、未だによく分からない事があります。という事で、これから何回かに分けてバスレフ型の謎に迫ってみたいと思います。

あ、結局、「位相」のお話しですね。スミマセン。。。。

今回は基本となるデータだけを掲載しておきます。

実験君に使うバスレフ型の実測特性です。
F特 copy
いつものAlpair6M + TONO箱(約8L)
青が穴を塞いだ密閉状態、赤がバスレフ状態、緑がポート出口の音、ピンクが振動板直前(3cmくらい)の音です。ポート音のピークは約60Hzです。バスレフの効果は40~200Hzの領域に現れています。たまたまですが、今回の波形観測も40~200Hzで行いました。

いつものシミュレーション
密閉
F特 copy
インピダンスピークは約80Hz

F特 copy
共鳴は約60Hz、インピダンスピークは約40Hzと90Hz

下は、40~200Hzの正弦波信号を突然入力した時のスピーカ音響出力の応答波形です。拡大してご覧ください。
密閉型
密閉カラー
バスレフ型
バスレフ 非反転カラー
全ての波形の周期と振幅を揃えて表示しています。振幅は波形が十分に安定した定常部で合わせ込みました。
白:ソース波形、水色: 40Hz青: 50Hzピンク:63Hz赤: 80Hzオレンジ: 100Hz黄: 160Hz緑: 200Hz
こんなに丁寧に波形を並べてみたのは始めてですが、なんかもう、これを見ただけでバスレフって嫌だナァ。と思ってしまいます。

過渡部の波形を拡大しました。
密閉
密閉生波形 振幅揃え カラー 過渡
バスレフ
バスレフ生波形 振幅揃え カラー 過渡
バスレフの過渡挙動はとってもバラエティに富みます。特に共振点の60Hz(ピンク)の振幅の立ち上がり挙動が鈍い事が分かります。また、40Hzの実際の音圧振幅は微小ですが、音圧振幅が同等の密閉型に比べて大きく乱れています。

定常部の波形を拡大しました。
密閉
密閉カラー1 サイクル
理論的には、共振点で位相は90°遅れるはずですが、80Hz(赤)の波形はやはり90°弱遅れています。
40~200Hzのトータル位相回転量は90°強です。

バスレフ
バスレフ 非反転カラー 1サイクル
40~200Hzのトータル位相回転量は密閉型の2倍を軽く超えているようです。
バスレフの40、50、60Hzの波形は信号より進んでいるように見えますが、これはポートからの音の極性(±)が反転しているためです。このまま波形から読み取った位相はシミュレーションとゼンゼン一致しません。

下は上下を反転した波形です。
バスレフ 全反転カラー 1サイクル
反転した波形から位相をざっと読み取ると、最初のインピダンスピークに近い40Hz(水色)が90°弱の遅れ、共鳴点の60Hz(ピンク)の波形は180°弱の遅れ、2番目の共振に近い100Hz(オレンジ)の波形は270°弱遅れており、シミュレーションにほぼ近い結果が得られます。

やっぱりシミュレーションと同じヤン。。。とは片付きません。バスレフ君はなかなか難儀なヤツなんです。次回からその秘密に迫りたいと思います。

なお、前記事のバスレフ型に関する考え方に誤りがある可能性があるため非公開にしました。バスレフ型の挙動が明らかになってから訂正版を公開する予定です。

では、次回以降もオッタノシミニ!

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2013年06月25日 (火) | Edit |
バスレフ君の謎が解けたので、修正版を掲載します

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今回は3ウェイスピーカのアナログネットワークの位相と時間遅れについて簡単に検討します。

下記の一般的な3ウェイ構成を想定しました。
ウーハ: ~400Hz (バスレフ、密閉)
ミッド: 400~4kHz (密閉)
ツイータ: 4kHz~ (密閉)
全て-12dB/Octフィルタを使用

下は位相特性です
3ウェイ400クロス位相
- 例によって、入力信号の位相を絶対基準(ゼロ)とします。
- 各共振要素の出力の位相は、入力に対して共振点で-90°回転し、全体で-180°回転します。これさえ理解すれば、各周波数における位相回転量は簡単に求まります。

各周波数での位相回転量は下記の通りです。
1) ウーハ
○ バスレフ型の場合
- 第1共振ピーク: 15Hz / -90°
- 共鳴点: 40Hz / -180°
- 第2共振ピーク: 70Hz / -270°
- LPFカットオフ: 400Hz / -450°
共振要素は全部で3個(540°回転)
バスレフ型のポートの効果は2つめの共振ピーク(この例では70Hz)アタリまでです。これより高い周波数では密閉型と同じになります。

○ 密閉型の場合
- 共振ピーク: 60Hz / -90°
- LPFカットオフ: 400Hz / -270°
共振要素は全部で2個(360°回転)

2) ミッド
- 共振ピーク: 150Hz / -90°
- HPFカットオフ: 400Hz / -270°
- LPFカットオフ: 4kHz / -450°
共振要素は全部で3個(540°回転)

3) ツイータ
-共振ピーク: 2kHz / -90°
-HPFカットオフ: 4kHz / -270°
共振要素は全部で2個(360°回転)

各クロス点における正弦波出力は下図のようになります。
3ウェイ400クロス波形
黒が入力波形です。
400Hzではバスレフ型は密閉型と同じなので赤の波形はプロットしていません。

A: ウーハとミッドのクロス:400Hz
- この周波数では、バスレフ型のポートは全く作動せず、密閉型と同じです。
- バスレフ型でも密閉型でも、ウーハとミッドはこのクロス周波数1点において、時間的にも位相的にも一致します。
- ウーハとミッドは同極性で接続すれば良く、ウーハとミッドの振動板の平均位置(前後位置)を揃えればタイムアラインメントが取れます。

B: ミッドとツイータのクロス: 4kHz
- このクロス点において、ミッドの出力は入力に対して450°遅れ、ツイータの出力は入力に対して270°遅れます。つまりミッドはツイータに対して180°(0.125ms)遅れます。
- この場合、「位相的」に合わせたいだけであれば、互いに逆相に接続した上で、ミッドとツイータの振動板の前後位置を揃えれば済みます。
- このクロス点において0.125msのミスアラインメントを問題にするのであれば、同相で接続した上で、ツイータをミッドに対して4.25cm後方(340m/s÷4000Hz÷2=0.0425(m))に配置する必要があります。

下は縦軸を時間にしたグラフです。
3ウェイ400クロス時間
- このように、一般的な市販スピカのクロス周波数領域(数100Hz以上)であれば、アナログフィルタによる時間的な遅れは大して気にする必要は無かろうと思います。特に数kHzのツイータ領域になると時間的な問題は全く微小です。
- バスレフ効果は400Hzのクロス点では全く影響しませんが、ポート音の作動領域になると応答(音)は急激に遅れます。

なお、今回の検討では、各ドライバのインピダンスは共振周波数より高周波領域で全くフラットである事を想定しています。しかし、実際には周波数の増加とともにインピダンスは増加する傾向にあり、その影響を受けるため、同相/逆相どちらの方がディップが発生せずに綺麗に繫がるかは、実際にやってみないと分からないと思われます。そこのところはご理解くださいませ。

次回は、サブウーハを想定したもっと低い周波数でのクロスについて、実験君を交えて検討してみる予定です。
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2013年06月22日 (土) | Edit |
しつこいですが、ちょっと補足しておきます。

位相というやつはホントニ、ヤヤコシイです。

だいたい位相、位相と申しますが、位相はあくまでも計算しやすくするために便宜上使うパラメータであって、最終的には時間を基準に考える必要があります。フィルタは一種の時間遅延回路として働き、出力が入力に対して時間的に進む事はありません。でないとタイムマシンになってしまいます。そして位相回転とは、この遅れ時間を、便宜上、信号周波数の周期に置き換えた値に過ぎません。この定義による位相は、入力に対して絶対に進む事はアリマセン。だって、時間が進めないわけですからね。。。音響出力のタイミング(従って位相)は入力信号に対して絶対に進まないという事です。

位相が「進む」というのは、入力の位相から遅れた任意の状態を基準にして、それに対して「相対的に」進むと言っているに過ぎません。音響の世界では、位相は相対的なものであるかのように扱いますが、これが認識をややこしくしているように僕には思えます。

下はネットで拾ったフィルタの解説です(出展はこちら)。
位相説明
解説には「正弦波形を入力しはじめた直後には、過渡的な応答がありますが、やがて定常状態になり、出力も正弦波形 になります。」とありますね。そして、出力が正弦波形になるまでの時間(図ではΦ)が、フィルタの遅れ時間(位相)です。

無信号状態から正弦波がいきなり始まる現象は、まごう事なき過渡現象であり、高周波成分を多く含むわけですが、フィルタであれバスレフであれ共振要素の出力は、各種の要因により過渡期間にヘンテコリンな現象を生じます。これらのヘンテコリン君達の一部は、理想的にはあってはならない一種のノイズであると言えるかも知れません。

ローパスフィルタの場合、無信号状態から正弦波信号が始まると、最初に信号とは逆向きの小さな山が現れます。これは「位相が進んだ」フィルタ応答などでは決してアリマセン。これは主にローパスフィルタによって高周波のゲインが減衰する事に起因すると考えられるフィルタの正常な過渡挙動です(正常なヘンテコリン君)。正弦波がいきなり始まる場合、そこで正弦波周波数以外の高い周波数成分が発生しますが、ローパスフィルタは高い周波数を通さないため、応答波形にはヘンテコリン君が現れるという事です。ですから、入力に対するローパスフィルタ出力の遅れ時間なり位相なりを評価する際に、このような過渡領域の波形を云々する事に意味はアリマセン。

その事をステップ応答でお見せします。
ローパスフィルタを通した音響波形です。
ステップ1
赤がアナログフィルタ(22mH、400μF)、青がほぼ同じ特性のデジタルフィルタ(Fc=70Hz、-12dB/Oct)です。
アナログ(赤)では例によって初期に信号と逆の波が出ています。過渡正弦波応答でも最初にこの逆相の波が出ますが、これは位相が進んだフィルタ応答などでは全くアリマセン。デジタル(青)では信号が立ち下がる前に既に尖った山が出ていますが、これはデジタルフィルタが移動平均処理を行うためです。アナログの最初の波は、デジタルのこの波が遅れて出ているように見えます。

このような山が出る1つの原因は、ローパスフィルタによって高周波成分がカットされている事にあります。
FrieveAudioで-12dB/Oct/70Hzのハイパスフィルタを設定し、高周波成分も追加してみました。要は高音まで出力できる2Wayスピーカにしたという事です(Lチャンネルにローパス、Rチャンネルにハイパスを設定し、中央で合成波を観測)。

まずデジタルフィルタの場合
ステップ2
最初の山がフラットになり急峻なパルスに変わりました。DC成分を出力できないスピカは、矩形波に対して理想的にはパルスしか発生しません。

次にアナログフィルタの場合
ステップ3
高周波振動が激しかったため500Hz以上をカットしています。デジタルと同様の傾向ですが、アナログフィルタでは位相の回転が大きいため、デジタルほど綺麗にはなりません。

このように、2Wayにして別のスピカから本来あるべき高周波成分が出力されると、過渡領域の合成波の形状は大きく変化します。ですから、ローパスフィルタ出力の過渡領域のチョイトした山について、アレコレ気にする必要は無いという事です。

フィルタであれバスレフであれスピカ自体であれ、このようなヘンテコリンな過渡挙動問題の最大の元凶は、遅延時間(位相ではない)が周波数によって異なる(一定ではない)という点にあります。再三お見せしたように、低音ほど遅延時間が長いデスヨね。つまり高い周波数成分から先にスピカから出てくるという事です。

時間遅れが周波数に対して一定ではないという難儀な性質を持つ共振現象(フィルタなり、バスレフなり、スピカ自体なり)の出力は、多数の周波数成分を含み激しく過渡的に変化する音楽信号入力に対して多かれ少なかれヘンテコリンな挙動を示します。その典型例がバスレフですよね。条件によっては、ドレガドレヤネン、ドナイナットンネン!というくらい、入力に対する出力の関係が分からなくなります。

このような共振要素が、入力とピッタリ同じ波形を出力できるのは、「単一周波数の定常正弦波(始まりも終わりもないズーーート続く一定周波数の正弦波)」ダケです。バスレフは定常正弦波を素晴らしく綺麗に出力しますが、過渡になるとガタガタに崩れましたよね。

このヘンテコリン現象(ソースの信号波形通りに音が出てこない現象)は、システム内に共振要素の個数が多ければ多いほど強まります。再三実測とシミュレーションでお見せしたように、共振要素が増えるとどんどん低音が時間的に遅れますよね。共振要素の数は密閉型で1個、バスレフ型で2個、アナログフィルタを追加すると1個増える。。。という具合です。

現時点では、僕は専ら低音の時間的遅延を問題視しています。従って、アナログフィルタを十分に高い周波数で使う分には大して問題は無かろうと考えます。しかし、バスレフ型は正に最下限周波数で共振を起こすため、問題の現象(低音の時間的遅れ)が非常に顕著に表れます。僕がバスレフを嫌う原因の1つはこの点にあります。

ですから、システムにはスピカ(密閉型)以外の共振要素を追加しないに超した事はアリマセン。昔から言われるように密閉型フルレンジが理想だというのはこの意味で当を得ています。この密閉型フルレンジを、デジタル技術で補おうというのがLEANAUDIOの基本アプローチです。これは、ダイナミック型スピカシステムの改善に向けた最も基本的/根源的アプローチであると言えるでしょう。

密閉型と言えども共振要素を1個含みます(全体で180°回転する)。LEANAUDIO初期においてAlpair5で馬鹿ブーストを採用して以来、仕事中に音楽を聴いていて違和感を覚えるたびに吸音材を増やしてゆき、ほぼ1年かけて吸音材が満杯になるに至りました。これは密閉型の共振現象(インピダンスピーク)を殺す(緩やかにする)行為に他なりません。

また、大分以前の記事で、密閉型モニタヘッドフォンではダイナミック型でありながら低音が全く遅れない(つまり殆ど位相が回転していない)というデータをお見せしました。これは恐らく、振動板が非常に軽量であるため共振周波数が非常に高いからではないかと思われます。超小径ダイアフラムを使うカナル型イヤフォンの場合、共振周波数はもっと高いでしょう。この点でも、ヘッドフォン・イヤフォンは有利であると言えます。

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2013年06月18日 (火) | Edit |
前の記事からの続きです。

今回は、アナログフィルタ回路による位相回転の影響を実験君で確認してみました。いつものシミュレーションがどの程度正確なのかも検証してみます。

使用したネットワーク回路(LP)です。
photo_20130618122844.jpg
ガラクタ箱のパーツを使って22mH + 4x100μF の二次フィルタ回路をでっち上げました。サブウーハ用を想定して、100Hz以下のクロスオーバーを狙っています。

下図ののプロットが、この回路をZAP Alpair6M (2.5L密閉型)に取り付けて計測したスピーカの出力特性です。
Fileter Ftoku
のプロットは、この後の比較テスト用に用意したデジタルフィルタによる特性です。カットオフ=70Hz&-12dB/Octの設定で、アナログフィルタとほぼ同等の特性が得られました。下図はFrieveAudionoのフィルタ設定です。
Digital Filter

下はシミュレーション結果です。スピーカは Alpair6M (2.5L密閉型)。
フィルタなし
SIMU OFF

アナログフィルタ適用
SIMU ON
上記の回路パラメータ(22mH、400μF)を正直にプログラムに入力した結果です。部屋の影響もあるため、実測とはピーク周波数が多少異なりますが、全体的な形状(山の中心位置)はよく一致しています。全然期待していなかったので驚きました。という事で、回路のパラメータは一切修正せずに、そのまま使いました。

この後の計測結果と照らし合わせるため、ここでシミュレーション結果の100Hzでの位相を確認しておきます。

上図には黄色の水平線で「遅れゼロ」の位置を示しています。これが入力(ソース信号)の位相です。位相曲線(緑のライン)がこのラインから下に離れれば離れるほど位相は遅れます。つまり、高音ほど入力に対して位相が遅れるという事です。フィルタ適用のグラフでは緑の位相曲線が-180°から+180°に折り返していますが、実際には1本の曲線で周波数の増加に伴って単調に遅れます。今回は100Hz以上の事は気にしなくて構いません。

上の「フィルタなし」では、100Hzで入力(黄ライン)に対してほぼ90°遅れています。これに対し「フィルタあり」では、入力に対して目分量で読んで約250°遅れています。

さてさて、実際にはどうなんでしょうか? 早速実験君で確かめて見ましょう。ワクワク。。

僕は波形観測を行う場合に、信号にパルスを挿入して時間の基準としています。このパルスはCDフォーマットで表現できる最も急峻なパルス(22.1kHz)です。このような超高音になると、周期が非常に短いため(20kHzで0.05ms)、位相が数回転したところで時間的には無視できるため、絶対的な時間基準として利用できます。

今回は、ZAPのLチャンネルにローパス(デジタルまたはアナログ)、Rチャンネルにハイパス(デジタル)を適用し、マイクロフォンを左右スピカの中央に置いて左右の合成音を観測しました。こうする事により、ローパス側音響出力の時間を揃えて波形を比較する事ができます。

では結果です。

下は100Hzの6発正弦波の再生波形です。
SINE
グレーがDACの出力、青がデジタルフィルタ、赤がアナログフィルタです。このデジタルフィルタは位相が殆ど(というか全く)回転しない事は、以前の記事で確認すみです。

下は上図の先頭部分を拡大した図です。
SINE enl
図からざっと読み取ると、デジタルフィルタ(青)は入力信号(DAC出力)対してほぼ90°遅れており、アナログフィルタ(赤)はざっと見て225°遅れています。これはシミュレーションの結果とよく一致していると言えるでしょう。

なお、このデジタルフィルタは位相が事実上全く回転しないため、結果は「フィルタなし」と同じと考えて問題ありません。

最後に例の「春の祭典」最強バスドラの波形です。
ハイパス側には10kHzのフィルタを適用しているためほとんど基準パルスしか出力しません。従って下の波形はローパス側だけの音響波形です(クリックすると拡大します)。
HARU ON OFF
このバスドラの中心周波数は40~45Hzです。この周波数での位相の回転量は100Hzよりもかなり小さくなります。
正弦波の場合、波形は全ての周期で同じであるため、遅れているんだか進んでいるんだか、分かりにくいのですが、このように実際の音楽波形を使うとよく分かりますね。

と言う事で、いつものシミュレーションはナカナカ使えるヤツであると言えそうです。次回は、各種のシミュレーション結果を基に考察を加えます。オッタノシミニ!

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2013年06月16日 (日) | Edit |
大福丸さまからのコメントに関連して、位相と時間について書きます。

ご興味のない方は最初だけ読んでスルーしてください。とってもヤヤコシーお話しです。

まず重要な結論だけ書きます。

特殊な状況を除き、低音は高音よりも「時間的」に遅れてスピーカから出て来ます。

入力(ソース信号)に対する出力(スピカの音)の遅れ度合は、位相的にも時間的にも、最もシンプルな密閉型フルレンジ システムで最小であり、システムにバスレフのヘルムホルツ共鳴やアナログ フィルタを追加すればするほど、スピーカから出てくる音の位相は入力信号に対してどんどん遅れます。

我々は、音楽のリズムを音と音の時間的間隔として感じ取り、メロディを音階(周波数)の時間的変化として感じ取ります。様々な周波数を含む音現象について考える場合、個々の周波数の「位相」ではなく「時間」を基準とする必要があります。

ヤヤコシー事言う前に実測波形をご覧に入れます。

これは、40Hzと5kHzの合成波の再生音響波形です。グレーのソース信号波形では40Hzと5kHzの信号が同時に発生します。赤はDACのデジタルフィルタを使った場合の音響波形、緑はプレートアンプ内蔵アナログフィルタを使った場合の音響波形です。どちらも、5kHzの音は殆ど「時間的」に遅れる事なく出て来ますが、40Hzの音は遅れて出て来ます。その遅れ度合は、アナログフィルタを使った方(緑)が大きくなっています。緑の波形の最後の方を見ると、5kHzの音は先に終わって40Hzの音だけが綺麗に残っている様子が分かります。なんだか気味ワルイですね。

あとはヤヤコシー話ばかりです。適当にスルーしてください。

次に、100Hzと1kHzの1サイクル正弦波信号を使ってシンプルに考えて見ます。
ここでは振幅1の100Hz信号と振幅1/2の1kHz信号を想定します。位相はどちらもソース信号から90°遅れているとしましょう。
下は横軸を角度としてプロットしています。
10 100 角度
赤が振幅1の100Hz、青が振幅1/2の1kHzです。グレーは信号波形です。位相はどちらも90°遅れですから、横軸を角度にしてプロットすれば、波形は同じ位置にあります。角度を基準にして見れば(つまり位相は)、どちらの周波数も同じ遅れ具合に見えるという事です。

下は横軸を時間としてプロットしています。
10 100 位相
時間でプロットすると、1kHz信号の遅れは非常に小さくなります。このように、位相角度は同じでも、高音の遅れ時間は周波数に反比例して短くなります。つまり、同じ位相的遅れを持つ100Hzと1kHzの信号を同時に入力すれば、先に1kHzの音がスピーカから出て来るという事です。

このようにして、低音は高音に対して「時間的」に遅れます。

しつこいですが、もう一例考えて見ましょう。
50Hzが180°遅れ、5kHzが270°遅れている(つまり高音(5kHz)の方が180°遅れている)場合の遅れ時間を計算すると、
50Hzの1周期(360°)は20msですから180°の遅れは、20ms x 180°/360° = 10msです。
5kHzの1周期(360°)は0.2msですから270°の遅れは、0.2ms x 270/360 = 0.15msです。
つまり低音(50Hz)がスピーカから出てくるタイミングは高音(5kHz)に対して8.5ms(距離にして約3m)遅れます。

複数の周波数が混じり合った現象(例えば、低い音と高い音、ドッチが遅れるの?といった問題)を考える場合、個々の周波数の位相情報はソノママでは使えません。何故ならば、位相値の基準である1周期(360°)の長さは周波数によって異なるからです。従って、このような問題は共通の基準である「時間」を軸に考える必要があります。

下は、2つ前の記事のバスレフ(フィルタなし)のシミュレーション結果から読みとった位相を基に作成したグラフです。
遅れる進む
シミュレーションのグラフの縦軸は上が進み/下が遅れでしたが、このグラフは逆にしています。すなわち、プロット値が高いほど「遅れ」ます。ややこしくてゴメンナサイ。
左軸-赤のプロットが、シミュレーションから読み取った位相(角度)です。高音ほど位相は遅れます。右軸-青のプロットは、位相角度から計算した遅れ時間です。低音の方がタイミングが遅れる事がわかります。

と、以上が「位相と時間」のお話しでしたが、位相に関しては、もう1つ注意すべき点があります。
それは「ナニを基準に考えるのか?」という事です。

よく音響関係では、位相は相対的な関係しか示さず絶対的な基準はナイ。。。とされ、グラフもそのように適当にプロットされます(±180°折り返す)。これがハナシをややこしくします。僕も随分悩まされました。

以下に示す模式図は、随分以前の記事(コチラ)に掲載したものですが、2つ前の記事のシミュレーション結果と照らし合わせながら見ると良く理解できます。

下図は密閉型の位相変化を模式的に示しています

このグラフでは、シミュレーションの図と同様に下方ほど位相が遅れます。注意してください。
密閉型では位相は-180°回転し、共振ピークでの位相は-90°です。破線は吸音材を大量にブチ込んだ状態です。ここでは気にしないでください。

下図はバスレフ型の位相変化を模式的に示しています。

インピダンス ピーク1つあたり-180°回転し、低周波側ピークの位相は-90°です。ヘルムホルツ共鳴点の位相は-180°、2つめのピークの位相は-270°です。周波数が高くなると位相は360°に漸近します。

下図はバスレフにアナログフィルタを追加した状態です。
バスフィル
アナログフィルタによって位相はさらに-180°回転します。カットオフ周波数(実線では300Hz)での位相は-90°回転します。従って、360°回転するバスレフ型と組み合わせた場合、クロス周波数での位相は-450°回転します(遅れます)。そして、高周波側で-540°に漸近します。破線はカットオフ=100Hzの位相を示しています。カットオフをスピカの共振周波数近くまで下げると、このように位相が急激に回転します。

このような位相グラフを見る場合、考え方の基準を「限りなくゼロに近い周波数」に置く必要があります。つまり、グラフのずーーーと左の果ての位相が基準です。周波数が限りなくゼロに近付くと、位相の回転も限りなくゼロに近付きます。この状態を「遅れナシ」の絶対的基準状態として考える必要あるという事です。つまり、これがソース信号の位相です。重要なのは「入力(ソース信号)に対する出力(スピカから出てくる音)の遅れ」ですからね。

高音側を基準に考えると間違います。僕も以前は間違って考えていました。
進んだ
高音側を基準にして密閉型(ピンク)とバスレフ+フィルタ(緑)の位相曲線を重ねて見ました。これを見ると、バスレフやフィルタによって「低音の位相が進む」ように見えます。
僕は実験屋なので、まず理屈抜きの現象として低音が「時間的に遅れる」という事を波形観測から知っていました。このため、グラフの縦軸を上下逆に読む(上が遅れると読む)という間違いを犯しました。

正しくは、上で述べた「遅れナシ」(つまりソース信号の位相)を絶対基準として考える必要があります。入力に対する出力の遅れを見たいワケですからね。
実は遅れた
そうすると、上図のようにアナログフィルタやバスレフによって位相は全体的に遅れます。

ただし、これはあくまでも「位相角度」です。「時間的遅れ」を表すものではない事に注意が必要です。一般的に高音の位相は低音に比べて遅れますが、時間的には高音の方が進む(低音の方が遅れます)。アーヤヤコシイ。。。。

密閉型に吸音材をタップリとブチ込み、前記事に書いたように位相が実質的に全く回転しないデジタルフィルタを使えば(つまりシステムの共振現象を殆ど無くせば)、こんなヤヤコシー問題に頭を悩ます必要は無くなります。

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2013年05月27日 (月) | Edit |
密閉型とバスレフ型の動的歪みの比較データを追加掲載します。
条件は前の記事と基本的に同じです。

下は1サイクル正弦波(40、60、80Hz)の再生波形です。横軸のスケールは周期で合わせています。灰が信号、赤が40Hz、青が60Hz、緑が80Hz。
上が密閉型、下がバスレフ型です。FrieveAudioはどちらも50Hzまでフラットで位相遅れ補正はOFF。
密閉40-70 copyバスレフ40-70 copy
バスレフ型の場合、立ち上がりが遅く、信号停止後もだらだらと波形が続きます。また周波数がたった40Hz変化するだけで波形が大きく変化しています。理想的な再生では、全ての周波数の波形がピッタリ揃います。FrieveAudioで20Hzまで完全フラット/位相遅れONにすると、かなり理想に近付くのですが、データを保存し忘れました。

横軸のスケールを時間のままとし、信号停止後の減衰振動部の波形で揃えてみました。
上が密閉型、下がバスレフ型です。
密閉40-70 最後
バスレフ40-70 最後
減衰振動部は、システム(ドライバ、箱、アンプとの電気回路)によって決まり、信号には関係ありません(だって信号は既にゼロですからね)。信号周波数がどう変わろうが最後屁の周波数は一定だという事です。バスレフ型では、最後屁の振幅が大きくて長い事がわかります。というか、実際の信号部と同等の部分を占めています。

最後に、実際の楽曲音として、おなじみ「春の祭典」最強パスドラの再生波形を比較しました。グレーが信号波形、緑が音響波形です。図が小さいのでクリックで拡大してご覧ください。
密閉型
密閉春
バスレフ型
バスレフ春
密閉型の再生波形は、少し遅れながら信号波形にキッチリと追従していますが、バスレフ型では信号波形との関係がかなりデタラメです。単純に位相が遅れているのとは全く異なります。大阪弁で言えば「ドレガドレヤネン?ドナイナットンネン?」という感じですね。

下は、上の波形ののFFT解析結果です。
灰が信号、赤が密閉、水色がバスレフ型です。
バスレフ密閉春FFT
40~50Hzにバスドラの強いピークがあります。密閉もバスレフも50Hzまでしかフラットに補正していないため、50Hz以下では信号よりもレベルが下がっています。また、バスレフ型の方がF特の減衰が急激であるため密閉型よりもレベルは下がります。その点を差し引いて見れば、波形(時間ドメイン的挙動)があんなに違うのにも関わらず、周波数ドメイン的に評価すればバスレフ型でも問題なく見えます。

今回の実験君データは以上です。

定常評価や周波数ドメイン的評価だけでは、過渡現象の嵐である音楽信号の再生クオリティを正しく評価できない事がお分かり頂けたかと思います。また、バスレフ型が原理的に抱える低音の動的挙動問題もご理解頂けたかと思います。これは共鳴原理に由来する問題であり、ポートをどうチューニングしようが逃れる事は決してできません。これを嫌う場合、箱内部やポートに吸音材を適度に充填して共鳴現象を弱めるしか方法はアリマセン。で、LEANAUDIO初期の頃、聴いているうちに半ば無意識にドンドン吸音材をつぎ込んで、気が付いたら「密閉型と変わらんヤン」にナッチッタを何度も繰り返しました。そして、密閉型で不足する低音を補うために、まずサブウーハを試し、次にデジタル信号ブーストに辿り付きました。現在のZAP 2.1はその集大成です。

僕のように低音ビートに敏感なリスナ、または真にクオリティの高い音楽再生を望むリスナには、密閉型システムを強くお勧めします。

追記
このように計測で評価可能な再生クオリティが向上すると、「ヨイオト?」や「ナンタラカン?」とやらがドータラコータラになるのではなく、確実に「音楽」が自然で聴きやすくなります。僕はこのように計測していますが、これはイヤフォン並の「音楽の聴きやすさ」を求めて、聴感を頼りに、最初はバスレフ型から、アレコレ開発してきた結果を後追いで検証しているに過ぎません。

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2013年01月21日 (月) | Edit |
前の記事では、ボード線図で考えると密閉型の場合 f0 より低い周波数での遅れは90° 以下になるはずなのに、実測では40Hzで180°近くも遅れていると書きました。今回はこの遅れの要因について考えてみます。

とりあえず、20Hzから640Hzまでパルス入り正弦波の音響出力を観測してみました。アンプはIconAMP、スピカはA10です。
A10遅れ
周波数は20, 40, 80, 160, 320, 640Hzです。例によって周波数が高くなるにつれて「位相」は遅れます(時間的には低音の方が遅れます)。
20Hzで丁度90°遅れていますね。20Hzを基準とした場合、高周波の遅れは-270°弱に漸近しそうです。理論的には-180°に漸近するはずですが、これはスピーカのインピーダンスの変化(高周波で増加する傾向)、アンプおよびDACの位相変化(高周波で遅れる傾向)によるものかもしれません。

下は典型的な密閉型のシミュレーションです。
Simu10.jpg
以前の記事のボード線図で考えると、20Hzでほぼ遅れナシ(グラフのスケールでは+90°)です。

では実測の90°分の遅れは何に起因するのでしょうか?

スピーカでは、コイルに電流が流れる事によって駆動力が発生します。原理的に、この電流はコイルに印加される電圧に対して90°遅れます(電圧を時間積分した電流が流れる)。アンプが入力信号に比例した電圧を遅れなく出力するよう動作するならば、コイルに流れる電流は入力信号に対して90°遅れるかもしれません。しかし、アンプが入力信号に比例した「電流」を遅れなく供給するよう作動するならば、この遅れは生じないかもしれません。

確か、普通のオーディオアンプは前者の動作ですよね(電圧駆動っていうんでしたっけ?)。。。後者は「電流駆動型」と呼ばれており、コッチの方がエーンチャウ?と一部で言われているヤツですよね? 違っていたら、どなたかご教示くださいませ。

もし、上の原理(電圧駆動)によって電流が90°遅れるとするならば、この遅れは原理的に周波数に関係なく一定です(でも、時間に換算すれば低周波ほど遅れます(40Hzの90°の時間は4kHzの90°の時間の100倍長い))。ところが。。ところがですよ。。。ダイナミック型マイクロフォンはダイナミック型スピーカの逆の変換をやっているので、「原音」対「再生音」で考えるならば、この90°は相殺されるかもしれません。つまり、マイクは原音→電流→電圧に変換するので、記録された信号の位相は原音に対して90°進んでおり、スピーカはそのように記録された信号を電圧→電流→再生音に変換するので、再生音の位相は信号に対して90°遅れます。なので結局、原音と再生音で比較すれば位相差は生じない。。という事になるはず。。。アーヤヤコシイ。あれ??でも。。コンデンサ型マイクロフォンを使った場合はどうなのでしょうか???アレレ??もし上の逆変換という考え方が正しいとすれば「電流駆動」のアンプって原音に忠実と言えるんだっけ??と、イロイロ疑問点が出てきます。

という事で、当ブログの新年の挨拶で書いたように、マイクロフォンからスピーカに到るシステム全体のメカニズムについて、今年はよーーーく考えてみようかなと思っています。もう実用というよりは単なる知的興味だけですけどね。

この後に予定している実測とシミュレーションの検証では、とりあえず90°を差し引いて位相を比較しても良いかもしれません。あるいは密閉型の20Hzを基準(遅れナシ)としても良いでしょう。絶対的な遅れ時間を知りたいが故に始めた検討ですが、位相を絶対的に評価するというのはホントに困難ですね。なので一般的に位相は相対的に評価するものだと考えられています。しかし、本当にそれで良いのか今のところ僕には納得できていません。真に絶対的な評価をしようとすると、マイクロフォン(つまり原音)まで遡る必要がありそうです。まぁ、そのへんは今年中に気長にやってみましょう。もう実用的な意味はありません。あくまでも知的趣味として。。

他にも色々分からない事があります。例えば、以前の記事で、音圧波形は振動板の変位波形の微分(つまり速度波形)に対応すると書きました。これはスピーカの非常に近くで観測する場合には正しいのですが、マイクをスピーカから離して行くと、音圧波形は振動板の加速度波形(速度の微分)に近付きます。このような現象も、観測される波形の位相に影響すると思われます。

Xmaxを超えて歪んだ音圧波形(A6、40Hz)
hakei.jpg
緑がスピーカの5cm前方、赤がリスニング位置のやや後方(70~80cmくらい)で観測。相互の位相や振幅はデタラメです。FFTによる高調波成分の値は殆ど変化しません。

シミュレーション結果
hakei simu
青が振幅、緑が速度、赤が加速度。相互の位相関係は正しいです。振幅は適当に揃えています。上の実測波形とよく一致していますね。このように、スピーカから常識的な距離をとると、音圧波形は振動板の加速度波形に対応します。そして加速度波形は電流波形に対応します。つまり、音圧波形は電流波形に対応します。電流波形は電圧波形から90°遅れています。なので音圧波形は信号波形から90°遅れます。という事ですかね。。。アアヤヤコシー。

位相を計測する時はマイクを近付け過ぎず、一定距離を保つべきであると言えるでしょう。

いやぁ、音響ってホンットニ、ヤヤコシイですね。気が狂いそう。。。

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2013年01月12日 (土) | Edit |
前記事の続きです。

僕が着目しているのは低音ビートの「時間的」な遅れです。この遅れは周波数が低いほど大きくなるため、僕は音楽再生帯域の実用的下限と考える40Hzだけでいつも評価しています。今回は、いろいろな周波数で「時間的遅」れと「角度的遅れ」の関係を調べてみました。

周波数の異なる4発の正弦波信号を下図のように生成しました。
signal.jpg
スピーカはAlpair 6M 1発です。Alpair 10サブウーハは使っていません。

以下の図はクリックで拡大してご覧ください。
G1_20130112165548.jpg
40、63、80、160、315Hzの波形です。横軸は角度です。最初と最後のパルスの間だけをプロットしています。
角度を横軸にして異なる周波数の波形をプロットすると、低周波数の方が高周波数に対して「進んでいる」(波形が左側にある)事がわかります。FrieveAudioで一切補正していないので、最初の波形は大きく崩れます。このため3発目の波形から各周波数における遅れ量(時間と角度)を求めました。もう少し波数を増やした方が正確かもしれません。

下図は波形から求めた遅れ量を、周波数を横軸にしてプロットしたものです。
G5_20130112165547.jpg
赤が遅れ「角度」、青が遅れ「時間」です。縦軸の値が高いほど遅れが大きくなります。5kHzのデータは読み取り精度が良くないため参考データです。
遅れ「時間」は40Hzで最も大きくなり(遅れており)、周波数が高くなるにつれて減少します(進みます)。これに対して遅れ「角度」は40Hzが最も小さく(進んでおり)、周波数が高くなるにつれて増加します(遅れます)。このように、「時間」を基準にするか「角度」を基準にするかによって、遅れ/進みが全く逆になります。ほんとにヤヤコシイですね。。。

何故こうなるかというと、例えば400Hzに対して4kHzでは、遅れ角度は約2倍に増加します(遅れます)が、1周期の時間が1/100になるため、遅れ時間は約1/50に減少します(進みます)。

このように、僕が問題にする時間的遅れは、周波数が低いほど大きくなります。このため、前の記事で書いたように、40Hzにおける遅れが1周期(25ms、360°)を超えなければ、全帯域の再生音の時間的不整合は、一般的に言われている人間の時間分解能内に概ね収まる事になります。専ら低音ビートの「時間的」遅れに興味がある僕がいつも下限周波数(通常は40Hz)だけで遅れを評価している理由がご理解頂けると思います。

参考に時間(msec)を横軸にした波形をお見せします。
G3_20130112165547.jpg
全く遅れがなければ、波形はグラフの左端(0ms)から上昇し始めます。これを見れば、周波数が高いほど時間的遅れが小さくなる理由がよくわかりますね。

僕が「5kHzに対して40HzはXX度遅れている」という時、「XX度」という値は、5kHzの音が出始めてから40Hzの音が出始めるまでの遅れ「時間」を40Hzの周期を基準にして角度に換算した値です。例えば、5kHzの遅れが1ms、40Hzの遅れが11msであった場合、(11-1)/25*360 = 144° となります。しかし単純に「位相」で考える場合、上のグラフの赤いプロットで読み取ると、5kHzに対して40Hzは約180°位相が進んでいるという事になります。ホントニややこしいですね。僕がなぜ時間的遅れを角度に換算するのかというと、それは正弦波形から直接読み取りやすいからです。ただ、僕の評価方法は一般的ではないかもしれませんので、今後表現には気を付けようと思います。

本来、低音は高音に対して遅れて聞こえると言われます。これは、例えば50Hzの1周期は20msであるのに対し、5kHzの1周期は1/100 (0.2ms)しかないためです。このような遅れは、演奏者が無意識または意識的に具合良く聞こえるよう絶妙に修正しているため(ノリですよノリ)、音楽再生において考慮する必要はありません。ここで僕が問題にしているのは、再生時にさらに追加される遅れです。

ネットワークも共鳴ポートも持たないフルレンジ密閉型(またはデジタルチャンデバを使った完全密閉型2.1ch方式)では、そのような追加の遅れは40Hzにおいて10ms程度であり、一般的に言われる人間の時間分解能の1/2以下に収まります。しかし、今までの実験から明らかなように、アナログフィルタやバスレフポートを使うと遅れは増加します。次回は、ZAP 2.1chシステムでアナログ式とデジタル式のフィルタを使って遅れの様相を比較してみる予定です。オッタノシミニ!

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2013年01月11日 (金) | Edit |
前の記事に関連して、低音の遅れについて書きます。

下はZAP 2.1で計測した波形です。
位相遅れ
グレーがソース波形(DAC出力)、赤がスピーカからの音響波形です。ソース信号は40Hzと5kHz正弦波の合成波です。40Hzが4周期ですから、信号の長さは100msです。信号の前後には、基準信号として急峻なパルスを挿入しています。FrieveAudioの補正はOFFです。なお、Alpair 6M単独でも計測しましたが、遅れ量はピッタリ同じでした。さすがデジタルフィルタですね。

赤のスピーカ出力を見ると、5kHzの音はソースに対して「時間的に」ほとんど遅れる事なくスピーカから出力されるのに対し、40Hzの音は約135°(約9ms)遅れて出て来る事がよくわかります。信号の最後の方を見ると、5kHzの音が止まっても、40Hzの音はまだ続いていますね。このように、ソースでは5kHzと40Hzの音が同時に発生していても、スピーカからは40Hzの音が「時間的に」遅れて出てきます。なお、以前のデータによると、アナログフィルタを使った場合、40Hzの音はこれの約2倍(約270°/約19ms)遅れて出てきます。

下図は遅れの異なる正弦波を並べたものです(実測音響波形ではありません)。
phase_20130111022250.jpg
左端の位相角度値の下の時間値は40Hz(25ms/cycle)を想定した場合の値です。黄色は上図の波形に相当する100msの区間です。一番下のように40Hzが5kHzに対して720°遅れた場合、半分の50msが過ぎてからやっと40Hzの音が出てきます。つまり、5kHzの音がピーっと鳴り始めてから50ms後に40Hzの音がボーっと鳴り始めるという事です。

次に、右の方の白い領域を見てください。0°、360°、720°は全く同じ位相に見えます。また、180°と540°の位相も全く同じです。このように、定常波形(波形の始まりと終わりが無い一定状態の波形)を観測した場合、360°を超える「時間的」遅れは正しく認識できません。実際には360°または720°遅れていても、全く遅れていないかのように見えてしまうという事です。

このため、よく見かける位相特性のグラフは、0°を中心に-180~+180°のスケールで示され、値が+180°に達すると-180°に折り返してプロットされます。下は以前の記事で紹介したYAMAHAのPA用スピーカ(2Way バスレフ型)の位相特性図です。
AEE5163A834841E0BAF166DA0B2842D5_12083_20130111024621.jpg
左がアナログフィルタ、右がデジタルフィルタによる特性です。このグラフでも、プロットは-180と+180°の間で折り返していますね。しかし、これでは現象の絶対的な遅れ時間を見る事はできません。そこで、以前の記事では下図のようにグラフを改造しましたよね。
phase_20130111024621.jpg
このグラフから5kHzと40Hzの絶対的位相差を読み取ると、アナログフィルタの場合700°弱、デジタルフィルタの場合360°弱遅れる事になります。僕のいつものシミュレーションより遅れ方が随分大きくなっています。

下はいつものシミュレーション結果です。
まずFOSTEXドライバによる2Wayバスレフ型の結果
fos_20120129095422_20130111031058.jpg
このグラフでも位相(緑)は折り返して表示されるため、上と同じ方法で絶対的な遅れがわかるように改造しています。これによると5kHzに対する40Hzの遅れ進みは約540°です。

次にAlpair10密閉型の結果
A10_20130111031058.jpg
遅れは120°くらいでしょうか。

以上のように、小型スピーカとしては最も一般的な2Wayバスレフ型ではアナログフィルタとバスレフポートによって低音の遅れ位相の変化が増加します。3Wayや4Wayではどうなるのか、興味深いですね。

では、どの程度遅れると聴覚で感じる事ができるのでしょうか? 例によってネットで調べてみたところ「リズム知覚の基礎としての時間知覚に関する精神物理学研究」という非常に興味深いサイトを見つけました。是非ご一読ください。
関係しそうな内容を抜粋すると、
[1.時間分解能]の項目から
高さや、到来方向の異なる二つの音に、時間的なずれを与え、どのくらいのずれがあれば前後関係が正しく知覚されるかを検討した。その結果、充分に訓練を積んだ被験者では、20 ms くらいのずれがあれば、前後関係がぎりぎりで判断できることが判った。
[2.リズムを生ずる時間間隔]の項目から
二つの音が 40 ms 程度離れていれば、その前後関係がはっきりと判るので、部分的には 40~100  ms くらいの時間間隔も、リズムを構成する単位となりうる。
とあります。これに従えば、上のYAMAHAのアナログフィルタ型2Wayバスレフのようなスピーカ(700°/約50msの遅れ)では、ピー(5kHz)に対するボー(40Hz)の遅れを十分に知覚できるという事になります。グルーブ感とかスイング感等のノリは非常に微妙なリズムの揺らぎによって表現されるので、こういうSPでジャズは聴きたくないかなぁ。。。周波数によって遅れ具合も大きく変化するため、僕なんか酔ってしまうかもしれません。

また、人間の視覚的な時間分解能は30ms程度であると言われ、聴覚も視覚もほぼ同程度の時間分解能となります。この事から、人間は時間を完全に連続的に知覚しているのではなく、30ms前後の分解能で離散的に知覚しているのではないかと言われています。僕が音楽帯域の現実的下限周波数と考える40Hzの1周期は25msです。この事から、一応の目安としては、40Hzにおける遅れが360°以下であれば、時間的遅れの観点からはまずOKであろうと言えるかもしれません。あ、でも、僕はフルレンジのバスレフ型(位相回転は360°以内)でも違和感を覚えるので、これも何とも言えないですねぇ。やなり、僕が懸念しているもう1つの問題要因「狭い周波数領域での急激な位相変化」がどのように音楽の知覚に影響するのか?という疑問は残ります。なお、例えば100Hzでは720°遅れても時間的遅れは20msですから、これより高い周波数での時間的遅延はあまり気にする必要は無いかもしれません。

前の記事に書いたように、音楽は一時も留まらない過渡的現象です。ですから、定常的な波形解析だけで装置の性能を評価するのは非常に危険であると言えるでしょう。とはいえ定常的な評価ももちろん重要です。例えば、位相の違いが音色に及ぼす影響については、複数周波数の合成波を生成し、位相を変えながら聴き比べてみるとおもしろいかもしれません。下はWaveGeneというフリーソフトウェアを使った例です。
wave.jpg
wave2.jpg
このソフトウェアでは、3つの波形を合成でき、その内1つの波形の位相を変更できます。上の例では200Hz、400Hz、600Hzの合成波を生成し、200Hzの位相を変更しています。位相を変更すると波形は全く異なって見えますが、僕には同じ音色に聞こえます。以前から言っているように、僕は高い周波数における位相問題が音色に及ぼす影響については重視していません。敏感な人なら聞き分けられるのでしょうか。WaveGeneはコチラでダウンロードできますので、興味のある方は是非試してみてください。

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2012年07月01日 (日) | Edit |
本題の前に、前の記事の追記。。。

アーチストさんは往々にして破滅します。既に書いたように、追い込み過ぎて限界を超えたがために精神的に持ちこたえられなくなるというのも1つのパターンだと思いますが、恐らく、彼らが最も恐怖するのは「テンゴクトツナガラナクナル」という事でしょう。ミューズが降りてこなくなるという奴です。ある日突然、もしかしたら今この瞬間にも、降りてこなくなるんじゃないか。。。という恐怖。。。怖いですねぇ。。成功するまでは怖いものなしですが、大きな成功を収めた後は、それはそれは恐怖でしょう。。。オシマイですもん。他にできる事はナニモナイシ。ヤリタクモナイシ。死んだ方がマシだし。。。。ジャコもマイルスもたぶんジミさんも、そんな恐怖と戦って、ボロボロになったのでしょうねぇ。で、アルコールかドラッグによる束の間のテンゴクに逃げる。。。キッツイですよねぇ。。。アーチストさんという職業は。。。でも、カッコエーなぁ。。。ゆめゆめおろそかには聴けませぬよ。彼らが遺した命懸けの行為の結果を。。。

さて本題です。

今回は、普通に音楽を楽しむための装置が備えるべき基本中の基本性能について書きます。今まで散々書いてきた事の繰り返しになりますが、まぁ、一通り読んでやってください。

LEANAUDIOでアレコレやってみた結論は、

最も聴きやすく、最も楽に、最も自然に、最も飽きることなく、最も深く、全体も細部もバランス良く最もオイシク「音楽」の「内容」を楽しもうとした場合、結局「全く普通に再生」するのが基本である

という事です。

「全く普通に再生する」とは「記録されている音の波形をそのままに近いカタチで耳に届ける」という事です。これは「音楽再生装置」たるオーディオ装置にとって、今さら言うまでも無い、全くアタリ前の基本機能であると言え、ある時代までのオーディオ技術は、専らこれを目指して進んできたはずです。ある時代までは。。。。どこかの時点で再生音楽本来の目的を忘れ、あるいはソモソモ出来もしない事をツイキューとやらし始め、「趣味道楽」の機械として進化の袋小路に彷徨い込んだと思われ、これについては、その経緯を考察してみる価値は十分にあると思います。

逆に、ウォークマンに始まり、音源のデジタル化とPCおよびインターネットの普及/進化の結果としてiPodに代表される携帯型デジタルプレーヤが爆発的に普及し、既に極めて高い音楽再生クオリティを達成している(すなわち既に「全く普通に再生」できる)イヤフォン/ヘッドフォンが、もはや一般民生用オーディオの主流になった感があるのも、極めて妥当な成り行きのように思えます。巨大化/肥大化/趣味化/目的不明化/高額化/高齢化?し、進化の袋小路(根本的再生クオリティは全く進化せず、小型化せず、低価格化しない)にはまり込んだ恐竜に対して、新たな時代の担い手として登場した哺乳類というふうに見えなくもありません。

かくいうLEANAUDIOデスクトップシステムも、元々カナル型イヤフォンでの衝撃的体験から始まり、それを目標として開発を進めてきたわけですが、これからのスピーカ式オーディオというのは、そのように非常に高音質なイヤフォン/ヘッドフォンの音を聴き慣れた人々をターゲットにして開発されるべきでしょう。アチラの進化の方向を修正するのではなく、コチラから改めて進化の枝分かれをした方がもはや現実的であろうかと思えます。既にコチラがオーディオの基準であるという気がします。

「全く普通に再生する」とは、早い話が、「リスナの耳に、音楽帯域のほぼ全域でフラットな周波数を持ち、位相遅れのない音を届ける」という事です。そうする事により、ソースの波形を正確に再現できます。これについては、FrieveAudioで周波数特性と位相特性の両方を補正する事によって、ソース波形にほとんどドンピシャの音を届ける事ができる事を実証済みです(参考記事)。また、ヘッドフォンでは、何も補正せずとも、いとも簡単にそのような再生が可能である事も、同じ記事で実証しています。ハチマルの実感では、密閉型を使うかぎり、位相についてはそれほど神経質になる必要はなかろうと思います。従って、周波数特性が最重要特性であると言って良いのではないでしょうか。

なぜ、それが重要なのか。。。について、シツコイですが、もう一度おさらいします。

再三述べたように、西洋音楽というのは、楽聖ベトベンだろうが帝王マイルスだろうがポップスの女王マドンナ嬢だろうが、ジャンルに関係なく、ほぼ可聴帯域の全域(主要帯域としては40Hz~10kHz)で、人間が耳で感知できる音のスペクトル(ラウドネス補正済みのスペクトル)が、高い方にも低い方にも極端に偏ることなく、ほぼ左右対称またはほぼ均等に分布しています(参考記事)。これが、教会音楽に始まり、いわゆる我々がクラシックと呼んでいる時代に飛躍的に高度化し、その後、より大衆化マスプロダクト化された現代にも引き継がれている西洋音楽の基本構造、あるいは基本の調和だという事です。

ベト5第1楽章の周波数スペクトルの事例についてもう一度振り返ります。ハチマルが所有する、指揮者も楽団もホールも録音年代も全く異なる5枚のCDのスペクトルは非常によく一致しており、さらに、鎌倉のさるホールのほぼ中央席で計測された生演奏のスペクトルも、これらに驚くほどよく一致しています(参考記事)。おそらく、ベトベンが作曲した時点で(彼の頭の中で)既にこれに近いバランスにできており、最終的にはリハで指揮者さんがコンナモンヤネと具合良く調整したら、このようなスペクトルになってしまう。。という事ではなかろうかと思われます。そして、レコーディングのコンソールでの調整においても、スペクトルを計測しながら調整しているとは思えないため、生演奏を何度も聴いたであろう、繊細な専門的感覚を持つレコーディング技術者/アーチストさん達音楽のプロフェッショナルが、耳を頼りにコントロールルームで最終的にコンナモンヤネと調整した結果も、やはりこのようなスペクトルになってしまうという事なのでしょう。

そして、マドンナであれマイルスであれ、やはりスタジオでモニタして、耳で確認して具合エーントチャウ?と最終的に承認した結果も、やはり40Hzと10kHzがほぼ同等の大きさに聞こえ、その間がほぼ均等に分布したスペクトルになっています(参考記事)。音楽の専門家達が「具合エーントチャウ?」という調和を求めると、どのようなジャンルであれ、やはり自然とそのようになってしまう。。という事のようです。

これ以上グダグダ言う必要はないですよね。

「周波数特性なんかジューヨーではない」とか「周波数をフラットにするとオンガクがツマラナクナル」。。。。。なんて、もし、音楽を本当に楽しもうと思ったら(オトじゃないですよ、オトじゃぁ。。音楽ね)、口が裂けても出てくる発言ではありませぬ。そりゃアンタがツマランというだけヤロ!。ドシロートが自分勝手にイヂクリマースのは、それは個人の勝手です。「趣味」ですから。しかし、少なくとも世間に対してそれなりの影響力を持つ業界の玄人さん達が、堂々とそのような発言をしている事には、重大な問題があるとハチマルは激しくそう思います。プリプリ。

さて、ハチマルが以上のような事を書くと、理屈でそんな事を言っているだけだと思われるかもしれませんので、補足しておきます。

以前のハチマルはトランジスタラジオで聴こうがJBLパラゴンで聴こうが「ベトベンはベトベン、ピ○ミGOはピ○ミGO」をモットーとし、再生機械にはゼンゼン拘りませんでした。上等のラジカセ級のやつで十分だと。。。しかし、携帯電話にフルトベングラさんのベトベン交響曲全集とジャコさんの全コレクションをコピーして、そこそこ上等のカナル型イヤフォンで聴いた時にショックを受け(電車の席でトリハダが。。。)。。。そして、DENONコンポのブワブワ スピーカを激怒のあまり破壊し、イヤフォン付けっぱなしで1日中仕事するわけにゆかぬため、また、いろいろ試聴した結果市販品でハチマルの要求を満たせそうな装置が存在せぬため、デスクトップシステムの開発に着手し、試行錯誤の結果ほぼイヤフォン並に聴きやすい現在のZAPの基本ができ上がった時点で、波形計測やスペクトルの解析をして後追いで理論的裏付けを取ったに過ぎません。まぁ、開発屋さんの典型です。

結局、その道の専門家さん達が、具合エーヤロと調整してくれたのを素直に聴くと、概ねどんな楽曲でもバランス良く調和がとれて聴きやすいという事です。アーチストさんの表現の全体と細部を感じ取りやすいという事です(シロートの身勝手なジョーカンとやらではナイヨ)。ウチラのために、そのように作ってくれてはるという事です。アタリ前の事です。そこにドシロートくさいオンガクセーたらナンタラを追加する必要性は感じませんし、あまり露骨にやられると、元々の音楽が聴きにくくって、そのうち激怒してハンマーで破壊したくなります。

以上が、ハチマルが「音楽」を普通に聴くためのスピーカ式オーディオ装置がまず目標とすべきと考える基本中の基本中の基本中の基本の考え方です。

次回から、もう少し具体的なオハナシに入りたいと思います。次回のキーワードは「インテグレイション」の予定です。

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2012年01月31日 (火) | Edit |
多機能なFrieve Audioにはチャンデバ機能も組み込まれています。今回は、この機能を使ってデジタル方式で帯域を分割してみました。

方法はメチャクチャややこしいので、まずは結果をご覧ください。

いつもの40Hzにおける過渡応答性のチェック波形です。
DIGI hake1i
DIGI hake2i
グレーがソース信号、青が位相補正OFF、赤が位相補正ON。もともと密閉型なので、補正しなくても殆ど遅れません。前記事のようにアナログ式だと270°遅れましたが、デジタル式だとこのように位相的に正確なフィルタリングが可能です。

このように、極めて良好な結果が得られるのですが、残念ながらFrieve Audioのチャンデバ機能は非常に使い難いため、普段使う気にはなれません。それに、Frieve Audio以外のソースでも十分に高品位な低音が聴けるようにする事がZAP 2.1chの本来の狙いですからね。

さて、後は、Frieve Audioのチャンデバ機能の使い方について、簡単にご紹介しておきます。CPU負荷自体は大した事なく、Atomプロセッサ搭載のPCでも楽勝で動作しました。

まず、マルチチャンネルのDACが必要です。また、ビット数が同じであれば、2ch DACを2台使って同じ事ができそうです(2台のDACのビット数が異なるとダメ)。今回は、Sound Blaster X-Fi Surround 5.1 Proという5.1ch対応のDACを使ってみました。お値段は実売6K円程度と安価です。お仕事PC用に使っていたDenDACが壊れたので、試しに買ってみました。
814_20120131061716.jpg
Sound Blaster X-Fi Surround 5.1 Pro
メーカの製品紹介はコチラ

しばらく音楽用PCに繋いで仕事中に使って見ましたが、特に違和感を覚える事もなく、ハチマルが音楽を聴く分には全く十分なような気がします。というか、添付のドライバをインストールすると、普段使っているDACより少し良いように聞こえるような気がしないでもないような気もします。ドライバをインストールすると、ASIOはこのDACを8ch x 32bit/192kHzとして認識します。カタログでは24bit/96kHzなんですけど。。ドイウコト?。。。実際のところは不明ですが、普段の24bit DACよりもCPU負荷がやたら増えるので32bitで実際に動作している可能性はあります。まあ、とにかくハチマルには十分なクオリティです。

下はASIO4ALLの設定画面です。
ASIO.jpg
ドライバをインストールすると、出力は192kHz/32bitとして認識されます(カタログ上は96kHz/24bit)。しかも、5.1ch用なのに8chが認識されています。ドシテ?

ところが、このドライバが厄介で、こいつをインストールすると、Frieve Audioでは肝心のマルチチャンネルが使えなくなってしまいます。という事で、今回はドライバをインストールせずに使いました(標準ドライバを使用)。この場合、ASIOはこのDACを24bit/48kHzと認識します。また、ドライバをインストールしないと、DAC本体に付いているボリュームも使えなくなります。マルチチャンネルの場合、これが使えると非常に便利なのですが、使えないのでFrieve Audio側でボリュームを調整しなければなりません。

以下Frieve Audioの設定についてです。

環境設定の[ASIOドライバ]タブです。
kankyo.jpg
ここでは、L/RとC/SWチャンネルにDACのチャンネルを割り当てます。

DSPの[マトリクス]タブです。
matx.jpg
ここでは、各チャンネルの入力と出力を割り当てます。今回、サブウーハにはCチャンネルを使いました。Cチャンネルには、LとRの信号を入力として割り当てます。これにより、L/Rをミクスしたモノ信号をCチャンネルから出力します。

DSPのイコライザ画面です。
woo.jpg
main.jpg
上がCチャンネル(Alpair10)。下がLチャンネル(Alpair6)です。赤が帯域分割用のフィルタの特性です。この図では12dB/Octのフィルタ特性とし、200Hzでクロスさせています。青が実際に適用されるイコライザ曲線です。RチャンネルにはLチャンネルと同じフィルタを設定します。

L/RチャンネルをIcon AMP + A6、CチャンネルをCP400(ブリッジ) + A10で再生します。アンプのボリュームを連動できないので、F特がフラットになるように両方のアンプのボリュームを調整した後、Frieve Audioのマスタボリュームで音量を調整する必要があります。DACのボリュームが使えると便利なんですけどねぇ。。。

Masterボリュームをマウスで調整します。
vol.jpg
ボリュームのUP/DOWNをキーボードの任意のキーに割り当てる事もできます。

以上は再生時の設定です。

再生する前に音場の計測が必要ですが、これには手こずりました。

PC側の問題なのかも知れませんが、2チャンネルずつしか計測できませんでした。4チャンネルを一度に計測する事は可能なのですが、どういうわけか、計測結果は2チャンネル分しか保存されません。このため、L/Rチャンネル(Alpair6)とC/SWチャンネル(Alpair10)を別々に計測して、後で計測ファイルを操作する必要がありました。なお、各計測では必ず2チャンネルを計測しないとFrieve Audioは設定を保存してくれません。このため、サブウーハ用の計測でも、CおよびSWチャンネルに信号を入力して、2回計測する必要があります。

それぞれの計測結果を例えば「チャンデバ1」(メインSP用)と「チャンデバ2」(サブウーハ用)として設定を保存した場合、下図のように「Program Files/Frieve Audio M-Crass/IRs」フォルダに、設定ファイルを収めたサブフォルダが作成されます。

dir.jpg
各サブフォルダにはir0.wavとir1.wavが格納さます。2チャンネルの場合、ir0がLチャンネル、ir1がRチャンネルの計測結果です。

2回の計測を行った後、Frieve Audioを一端終了して、エクスプローラ上で以下の操作が必要です。
1) サブウーハ用「チャンデバ2」サブフォルダ内のir0.wavをir2.wav、ir1.wavをir3.wavにファイル名を変更します。
2) これら2つのファイルを「チャンデバ1」サブフォルダにコピーします。使うのは片方だけですが、2つともコピーする必要があります。

以上の操作により、「チャンデバ1」フォルダに4つのファイルを格納します。
dir2.jpg

以上のファイル操作を行った後にFrieve Audioを再起動し、DSPの「イコライザ」タブで計測結果に「チャンデバ1」を選択すると、やっと2.1チャンネルで再生できるようになります。メンドクサ。

最後に、もう1つ問題があります。「音響補正結果の計測」では、各チャンネルごとの補正結果しか計測できません。L+CまたはR+Cの全域特性を計測できないという事です。難儀ですね。

仕方ないので、マドンナを再生して、聴感でコンナモンヤネと2台のアンプのボリュームのバランスを調整しました。確認のために、以前の記事で紹介したWaveGeneでホワイトノイズのWAVファイルを生成し、これをFrieve Audioでリピート再生して、リスニング位置のマイクロフォンで録音し、そのWAVファイルをExactAudioCopyでFFT解析しました。アーーーーーーメンドクサイ!
Ftoku DIGI
赤がサブウーハON、青がOFF。まぁ、こんなもんちゃう? 後は、アンプのボリュームを固定したまま、Frieve Audioのマスタボリュームで音量を調整します。

暫くこの状態で聴いてみましたが、アナログ式に比べて低音がタイトに引き締まっているように聞こえないでもないような気もしないでもないかもしれませんが、デジタルで聴いているという先入観も絶対あるし、どちらにしろ実用的ではないので、二度と使う事はないでしょう。アーメンドクサカッタ。。。ホンマニ。。

という事で、2.1ch方式についてはこれ以上深追いせずに、アナログ チャンデバでアドオン方式を採用する事に決定!

40Hzで約270°の遅れは出ますが、市販のマルチウェイ バスレフに比べればずっとマシだという事で納得しましょう。最近は専らiTuneでベトベン全集とネットラジオでヘビーなラップを聴いていますがスコブル具合ヨロシ(って、どういう組み合わせだ!)。マイルスクインテットのクールでタイトなロンさんベースや、ジャコの天才グリングリン16ビートを楽しみたいときは、馬鹿ブーで聴けばヨロシ。

ZAPシステムの「音質」(再生クオリティとオンシツ)をこれ以上深追いする必要は無かろうと判断します。これ以上やっても、日常的に音楽を楽しむ上での決定的な効果は得られず、富士の樹海にはまり込みそうな気がします。ここでオッシマイにしましょう。次なる課題は使い勝手ですね。

次の計画としては、
1) サブウーハ用のプレートアンプを砂岩君(マツイ君)ボックスに組み込んでパワードサブウーハ化する
かさばるCP400とベリンガーのチャンデバは読者プレゼントとして放出して、身辺整理したいですね。これでシステム全体がスッキリコンパクトにまとまり、全てがデスクトップで完結します。オンシツも大事だけど、日常使う道具としては、こういうのも非常に大切だと考えるハチマルです。

2) AURA 1"を使った深夜用の超超ニアフィールド サウンドスコープ
使わなくなった電気スタンドがあるので、こいつの可動アームを利用して、A6Mの半分の距離に設置できるサウンドスコープという感じのヤツを狙いたいですね。ヘッドフォンは慣れてきたとは言え、鬱陶しいですから。。使わない時は可動アームで移動してしまえば邪魔になりません。A10サブウーハとの距離が一致しませんが、もともと位相がずれている(100Hz以下で数メートル)ので、30cmくらいの距離差は気にならない。カナ?

次回は、真空管バッファとパッシブプリの合体君についてご報告する予定です。

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2012年01月29日 (日) | Edit |
今回は、アナログチャンデバによる位相の遅れについて検証してみます。

前の記事で、補正無しの時のウーハの位相について、「約90°の遅れに見えます」と書きました。「見えます」と書いたのは、以前の経験に比べると遅れが少なすぎると思ったためです。そこで他の波形で確認したところ実際には「270°」の遅れである事が分かりました。

今回の計測は、F特補正も位相補正も全くなしの生の出力です。
270_1.jpg
グレーが信号波形、赤がAlapir6もチャンデバに通した場合、青はウーハ(Alpair10)だけチャンデバに通した場合(アドオン)、緑がチャンデバのサブウーハ用モノラル出力を使用した場合です。チャンデバのLOW出力(赤と青)は約270°(3/4周期)遅れています。サブウーハ出力(緑)はさらに遅れます。

アドオン(青)では、チャンデバのR/LのLOW出力をアダプタでモノラルに合成してアンプに入力しています。また、アドオンの場合、クロスオーバー領域を綺麗に繋ぐためにチャンデバの位相を反転させる必要があるため、実際の波形は上下反転します。

サブウーハ出力を使った場合も「アドオン」形式で使う事になるのですが、位相を反転せずにクロスオーバ領域が綺麗に繋がりました。内部でなにかやっている模様です。このためか、サブウーハ出力はさらに遅れています。

前の記事で使った波形をもう一度見てみます。
270_2.jpg
前の記事で位相を見誤ったのは、信号波形を上下逆で比較したためです。このへんは、ホントニややこしいです。

下は、チャンデバを通さずにウーハのAlpair 10を直接駆動した場合の波形です。
270_3.jpg
遅れは45°(1/8周期)くらいしかありません。ステップの所で激しいピークが出ますが、これはF特補正を適用するとなくなります。

過去に試したパワードウーハ方式では、FrieveAudioは270°近い遅れも綺麗に補正してくれたのですが、今回はどういうわけか、FrieveAudioもハチマルと同じ錯覚に陥って90°くらいしか補正してくれません。ウーハを別体にしているためかもしれません。いずれにせよ、主にiTuneと組み合わせて使用するので、位相補正の事はとりあえずヨシとしましょう。

次にシミュレーションで検証してみます。

チャンデバのフィルタは24dB/Octですが、シミュレーションでは18dB/Octを使っています。そのへんが若干不安ですが、現象を理解する上では十分だと思われます。カットオフは実際と同じ60Hzに設定し、ツイータ側のアッテネータでレベル調整しています。ドライバのデータは、ツイータをAlpair6M(2.5L密閉)、ウーハをAlpair10V2(4.0L密閉)としました。グラフの位相曲線(下方の緑)は、200Hz以上で0°より前進していますが、これは無視して、基準は全て0°と考えたてください。

まず、両方をチャンデバに通す場合です。
sim1.jpg
正相どうしの接続で綺麗につながります。40Hzにおける0°に対する遅れは約3/4周期となっており、実測とよく一致します。

下は、ツイータとウーハを別々に表示したものです。
sim2.jpg
sim3.jpg
ツイータもフィルタを通すため、クロスオーバー領域でAlpair6Mの位相が遅れてウーハの位相とうまくつながる事がわかります。

次にアドオン方式です。まず正相どうし。
sim4.jpg
クロスオーバー領域で大きく落ち込みます。これも実測とよく一致します。この領域で位相に急激な変化(約180°の段差)が見られます。

下は、フィルタを通さないツイータ(Alpair6)の特性です。
sim5.jpg
フィルタを通さないので、低域の位相遅れは僅かです。このため、クロス領域では、フィルタを通ったウーハとの位相差が約180°(つまり波形の山と谷が真逆の関係)となり、お互いに音を打ち消しあってしまいます。

ウーハ(Alpair10)の位相を反転しました。
sim6.jpg
180°の位相差があったので、反転する事によりうまく繋がりましたね(山同士、谷同士が合致したという事)。低域の位相遅れも180°以下になっていますが、これに騙されてはいけません。これは、360°近く遅れた波形の極性を単純に反転しただけであり、実際に位相が「進んだ」(遅れ具合が減った)わけではありません(上の実測波形を見れば分かります)。従って、最初の1発目の波形が360°近く遅れる事に変わりはなく、単純に波形の上下が逆になるだけです。すなわち、動特性的には何ら改善されたわけではないという事です。

ついでに典型的な2WAYバスレフ型の例としてFOSTEXのFW168NとFT207Dの計算をしてみました。
fos_20120129095422.jpg
クロスオーバーは3kHz、-12dB/Octです。本来逆相で使いますが、上記の理由により、それでは正しく位相の遅れを見る事はできないため、敢えて正相としています。40Hzにおける位相遅れは、0°に対して実に540°(つまり1回転半)近くにも達します。なんだか凄いですね。3ウェイのミドレンジ(ハイパスとローパス 2つのフィルタを使う)の場合、一体全体どうなるのでしょうか?あまり想像したくありません。やっぱり、「音楽」聴くならフルレンジのデジタル馬鹿ブーがいいなぁ。。。。と。。。思ってしまいます。

と言う具合に、アナログフィルタというのは、ほんとに厄介です。

ただ、ヒトは聴感でどの程度この問題を感じるのか?この程度の遅れが果たして音楽再生上重要なのか?という疑問は残ります。

例えば、ベースとピッコロのデュオを想定してみましょう。50Hzで360°遅れる場合、距離にすると、50Hzの単音を発生するベース奏者は、非常に高音階を発生するピッコロ奏者よりも約7m遠くに居る状態に相当します。もちろん、ベースの音階によって、この距離は変化します。高い音階だと、遅れに相当する距離は減少します(近付きます)。また、ベースの高次の倍音ほど先に届き、50Hzの基音は約20ms遅れて最後に届きます。従って波形もソース信号とは明らかに異なって見えるはずです(位相遅れの非常に小さい馬鹿ブースト方式で再生したマイルスのペット音ですらそうでしたよね-コチラの記事)。

例えば、テンポ120の曲をジャコが16ビートのノリでグリングリンとグルーブする状態を想定してみます。この場合、ビート(実際に弾くかどうかは別としてジャコの頭の中のビート、いわゆるノリ)の平均周期は120msとなります。50Hzで360°遅れる場合、20msの遅れとなります。つまり1/6ビート遅れる事になります。ジャコは高さの異なる音を、1小節内でも一定のテンポではなく微妙にタイミングを揺らがせながら(スイングしながら)ビートを刻んでいるはずです。1/6が大きいのか小さいのか?

さて、どうなんでしょうねぇ?????微妙ですね。そもそも楽器音は単音ではないですし。

ただ、はっきりと言えるのは、これらの位相遅れによる波形(すなわち音)の変化は、アンプやデンセンを10倍、100倍の値段のコーキュ品に交換した時の波形(すなわち音)の変化に対して、比べようもなく巨大だという事です(アンプやデンセンの違いをこのように雑な波形観測で検知する事は殆ど不可能でしょう)。

ハチマルが今まで試したパワードウーハ方式での経験では、ウーーーンと集中して聴き比べた場合、「別にモンダイナイヤン」という結論になるのですが、仕事中に毎日長時間聴いているうちに、結局馬鹿ブーストの方に自然と手が伸びて、ウーハは使わなくなってしまいました(たくさんスイッチを入れるのが面倒だという影響もあると思いますけどね。。)。位相や過渡応答性の素直さという点で、どうしても馬鹿ブーストに軍配が上がるのか、それともウーハがAlpairに比べてヘボだったから音の繋がりが悪かったのか。さて、どうなんでしょうねぇ???????

と言う事で、アナログフィルタを使う以上、厄介な位相の問題は避けられません。前々記事でコメントを頂いたTさんがおっしゃるように、こんなにメンドクサイならA10を素直にステレオで使ってチョイブーストした方が余程賢明ですね。冷静に考えるとハチマルも大納得ですよ。ホンマニ。。。既に嫌気が差してきました。Alpair 6M ZAP馬鹿ブーで実質的にスピーカ開発は終結しているので、スピーカに関しては単なる技術的趣味の領域という感がなきにしもあらず。。ですね。

それでも実験君は続きますよ。

次回はいよいよFrieveAudioのチャンデバ機能を使った方法をご紹介する予定です。お仕事PCのiTuneでラジオを聴くために使っていたDenDACがコネクタの根本から折れ曲がって、片チャンネルが聞こえなくなってしまったため、昨年末に安価な5.1ch対応DACを購入しました。イロイロと厄介な事が多くて、あまり実用的ではないのですが、なんとかFrieveAudioのチャンデバ機能を使える事も確認済みです。めちゃくちゃ面倒臭いのですが、頑張ってレポートしますね。 メンドクサイけど。

オッタノシミニ!

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2012年01月28日 (土) | Edit |
今回はZAP君スピーカシステムについて、計測結果を交えてご紹介します。

まずは細部の写真から。

Alpair 6Mのフランジ部です
A6.jpg
締め付けネジを8本に増やしました。実は、前の黒ZAPで使っていた合成皮革が比較的厚めであったため、ネジ部だけが沈み込んでフランジが変形し、一部クラックが発生していました。このため、今回の薄い本革貼りで4本締めしたのでは盛大にエアが漏れしてしまったというわけです。

Alpairの樹脂製フランジの取り扱いには注意が必要ですね。バッフル面は堅くて平滑である事が重要です。

という事で、フランジ裏面にエアコン配管の穴埋め用パテを詰めた上で、8本締めにしました。これでエア漏れは完璧に退治できましたが、数々の実験君を経験したAlpair 6Mは満身創痍。もうZAP君の改造は止めにしましょう。

小容積密閉箱では気密性が極めて重要であり、細心の注意を払う必要があります。特にドライバのフランジ部からの漏れには注意が必要です。箱に小さな穴を開けて空気を写真用ブロアで吹き込む方法でもチェックできますが、この場合、余計な穴を開ける必要があります。

これを嫌う場合、実際に音を出してチェックする事もできます。信号には40または50Hzの正弦波を使います。これを再生して振動板を大振幅で振動させた時、エア漏れがあると直ぐに音で分かります。フェイズプラグ付きのドライバだと明らかに異常に聞こえるでしょう。

今回はフランジが歪んでいた事もあり、各ネジの締め付けトルクも、この音を聴きながら微調整しました。ボリュームを上げてゆくと、ある時点からボビンの接触によると思われるビビリ音(エア抜け音とは異なる)が出たため、これが出なくなるように各ネジのトルクを調整し、ビビリ音が消えたら、さらにボリュームを上げながら、トルク調整を追いみました。つまり、フレーム全体の歪みをフランジの締め付け具合で取り除いたという事です。この結果、限界振幅をかなり改善する事ができました。このような調整は、スピーカを立てた状態(すなわち実際に使用する状態)で行う必要があります。ボビンは重力によって偏心するため、ドライバを水平にした状態(上に向けた状態)で調整してから立てたのでは良好なな結果は得られません。

新品ドライバにこのような調整が必要かどうかは分かりませんが、今回のように何度も組み付けをしてフレームが歪んでいる可能性のあるドライバや、バッフルの平面度に問題がある場合には、効果があるかもしれません。

A6TOP.jpg
これはZAP君の上面です。いかにも「電線」という感じのスピーカケーブルを引き回すのが鬱陶しいので、Icon AMPを直結できるようにしました。電線がゴチャゴチャいっぱいあるのは見た目も良くないので大嫌いです。

ZAP箱の表面には、ユザワヤで安売りしていた半端物(穴、傷あり)の本革を貼ってみました。本革は、湿らせると良く伸びるので、作業は楽です。合成皮革ではこうは行きません。凹凸のあるフロント側も1枚で貼れました(濡らした皮を引っ張りながら各所をステープラで仮止めし、これを完全に乾かすと、そのままの形になる)。とても綺麗に貼れたのですが、チョコレート色がどうもヂヂクサク見えて気に入らなかったので、憧れの4311風つや消しグレーで塗装し、ついでにスピーカのフランジ部とIconAMPのケースも同色に揃えてみました。イカガでしょうか???

お次はZAP BAS君です。
A10.jpg
まず、振動板に放射状のシワが見えますね。実は、アンプ(CP400)の電源が入った状態で、誤って入力信号ラインを抜いてしまい、「ブー、バリ!」と大音響が発生。その時に振動板がビローンと前に付きだして、シワができてしまいました。トホホです。恐るべし、業務用ハイパワーアンプ。。一個ずつMさんが手作りした貴重なドライバを、こんな事にしてしまい、申し訳ないやら情けないやら。。。幸い、F特にも超低音の正弦波にも、明らかな影響は見られませんでしたが、Alpair10をサブウーハーに使うなんぞという不埒な行為に天罰が下ったのでしょうか?

箱はDENONコンポの超補強改造箱ですが、表面をジルコンサンドでコーティングしています。箱の表面に透明ニスを厚めに塗り、その上にジルコンサンドを均等に撒いて固めました。別にオンシツ的効果を狙ったわけではなく、砂吹きつけ塗装風を狙ったのですが、上からラッカーを塗装するとゴジラ松井の顔面風になってしまい、大失敗です。塗装前の状態は、砂岩でできた箱みたいで、とっても頑丈そうに見えたのですが、グレーを吹き付けるとコンクリートの塊みたいになってしまいました。ちょっと見るに堪えないので、フロントバッフルにはインクジェットでグレーに印刷した高級画材用紙を貼り付けて応急措置。そのうち綺麗に仕上げたいと思います。

BAS君の後部です。
A10 rear
ケロ君と同様に3mHのコイルを挿入しています。これは無信号時のサー音を完全に除去してくれます。支柱にはZAP君と同じく、不要になった卓袱台の脚を使っています。スピーカの上部と下部を支柱に固定しているので、ビクともしません。

細部の紹介は以上です。

次に、いつもの計測結果をお見せします。
ftoku_20120128081605.jpg
リスニング位置(65cm)で計測。赤がBAS OFFです。180Hz近辺のディップは部屋の影響。チャンデバの目盛り上のカットオフは60Hz。今回はメインSP側もチャンデバを通してローカットしています。マイクは左右の中央に設置しているので高域は落ち気味ですが気にしないでください。このように、デジタルイコライザでブーストしなくても、ソースを選ばず、十分にフラットな低音特性が得られます。

次は過渡応答性の評価です。

F特補正をONにした状態で、位相遅れ補正のONとOFFを比較しました。最近、200mほど離れた所で工場の解体工事をやっており、かなり低周波の騒音が入るため、あまり精度の良い計測はできていません(波形がフラフラする)。

BAS ONの2.1chでの結果
21 phase
赤が位相補正OFF、青が補正ON。補正無しで約90°の遅れに見えます。補正しても少し遅れが残ってしまいましたが問題ないでしょう。補正しても1発目の波形はかなり崩れています。

BAS OFFの馬鹿ブーでの結果
A6 phase
同じく赤が位相補正OFF、青がON。アナログフィルタを全く介さない馬鹿ブー方式の方が応答性に優れます(今回はリスニング位置で計測しているので、以前にお見せした20cmでの計測結果ほど完璧には補正できていませんけどね)。特に1発目の波形の再現性は馬鹿ブー方式が明らかに優れます。今までに試した2.1または2.2方式でも、1発目のアタックの再現性が馬鹿ブー方式に比べると明らかに劣るという事を、様々な楽曲の波形で確認しています。このあたりが、特にジャズを聴く場合に、馬鹿ブー方式に手が伸びてしまう理由かもしれません。

今までに馬鹿ブー方式から主役の座を奪ったパワードウーハー方式はありません。はてさて、今回はどうでしょうね。暫く使って見ないと何とも言えません。

バスレフ型では、この初期のアタック波形がさらに崩れます。ハチマルが思うに、位相の多少の遅れは大して重要ではなく、アタックに対する初期応答性が重要なのではないかという気がしています。そのへんについては、追々確認したいと思います。

今回は、メインSPもチャンデバを通してみましたが、なんかイラッとさせられる事があるので、結局従来通りのアドオン方式に戻しました。次回は、そのへんについて書いて見ますね。

ではでは。。

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2010年12月23日 (木) | Edit |
このブログを立ち上げる以前は、ハチマルも4Lのバスレフ型から始めて、ポート長/径はもちろん、断面形状、開口端のファンネル形状/風切り音対策、内部音の直射を防ぐためのボックス内外の仕切り板、吸音材の量等々、それはそれは片っ端から試したのですが、何をやっても長時間聴いているとそのうち癖が耳に付きだして結局ポートに吸音材をドンドン詰めて密閉型にナッチッタ。。の繰り返し。
締まりのない低音を嫌って容積を2.5Lへ縮小し、それでも駄目で結局密閉型にして市販のパワードサブウーハー(密閉型に改造)を追加、さらにサブウーハーなしのAlpair5馬鹿ブースト、Alpair5だと時々低音がズッコケルのでバイアンプ駆動の密閉型13cmウーハーによる低音アシスト。。。。を経て、Alpair6 Mの馬鹿ブースト一発が今一番のお気に入りというトコロで落ち着いています。結局全ての帯域の音を振動板の「前面」だけから発生するというのが最もシンプルで最も自然に聞こえるという事だと思います。「音」自体がツマラナイとかツマルとかの問題ではなく、記録されている「音楽」をできるだけ自然な音で明瞭に正確に聴き取って、「音楽のツマルところ」を存分に楽しみたいというのがハチマルの願いです。

。。。。。と偉そうに言ったものの。。。。。思うに。。。チョット脱線しますが、
MarkAudio Alpairシリーズの恩恵が大きいのではないかと最近ふと思います。というのは音が非常に明瞭かつ自然であるため、付帯音を徹底的に取り除いても音が際だつのではないのか? 付帯音を落とせば落とすほど響きが自然で美しく聞こえるのって、もしかしてAlpairのおかげかもしれないゾ?とね。以前使っていたF80/AMGだと音が沈んでしまって確かに「音がツマラン」かったコトを思い出しました。あの頃は吸音材なしで戸澤を入れただけだったし。もうちょっと音に艶が欲しいとか言ってゴニョゴニョとイヂッタ記憶が。。(背圧を抜くためのポチの尻尾とかアホなコトをした)。


で本題に戻りますが、
どのくらいまで低域特性を延ばす必要があるのか?。。。というのも今までにイロイロ試してきました。FrieveAudioイコライザを使えば周波数特性を如何様にも調整できるのでそのへんはトッテモ簡単です。
結論としては
● 50Hzまでフラット(43Hz/約-3dB、30Hzで-9dB)であれば十分
● でも交響曲を聴くと30Hzまでフラットにした方がホンノリ嬉しいゾ
というところかな?

部屋全体の空気を動かすような大ボリュームで再生すれば違ってくるかもしれませんが、それはハチマルの目指すトコロではありません。

下図はA6 Mの馬鹿ブーで20Hz、30Hz、50Hzまでフラットに修正した時のF特です。
655.jpg
赤の測定データはA6 Mの未補正特性、赤の直線は-12dB/Octの減衰ラインです。A6Mは吸音材をタップリ入れて機械的共振を殺しているので50Hzまでは-12dB/Octラインには乗らずにダラ下がりの特性になっています。ピンクのラインは50Hzに共鳴点を合わせた場合のバスレフ型の減衰特性です。2つ前の記事の計算結果を反映しています。

50Hzフラット(-3dB/43Hz)であれば、前の記事の黄色帯域(40Hzまで)を十分に再生できます。また密閉型であるため、それ以下の周波数のレスポンスもなだらかに減衰するので30Hz/-9dBを確保できます。市販の立派なスピーカーと比べても遜色の無い特性だと言えます。
664 copy
カタログデータで30Hz/-10dBの特性を持つFOSTEX G200 (20cmウーハー2本使用した4Wayスピーカー)との比較。13cmドライバを+6dBするだけで、ほぼ同等の特性が小容積の密閉型で得られます。もちろん最大音量では負けますが、一般家庭で常識的な音量できく分には十分だと思います。左側のラインは30Hzフラットの特性。

普通サイズの部屋では、50Hz以下で部屋の音響特性によるゲインが発生するので、一般向け市販品であれば30Hzまでフラットに延ばさない方がかえって良いかもしれません。極低音でブーミーになる可能性があります。音場補正を前提とするか、ハチマルのように1m以内のニアフィールドリスニングを前提とするのであれば30Hzフラットでも良いけれど。。。

609.jpg
ハチマル部屋の距離1.4mでの特性(参考記事)。50Hzから25Hzにかけて約+12dB/Octのゲインが発生しています。小さめの部屋で1m以上離れて聴く場合は50Hz以下をブーストしない方がかえって良いかもしれませんよ。お部屋の影響はとにかくデカイのでご注意!

前の記事のスペクトルを見る限り、交響曲の30Hz以下の信号レベルは大して高くないのですが、どういうワケか30Hzフラットで聴いた方が微妙に嬉しく感じます。理由はよく分かりません。普通のオーケーストラでは、ソンナニ低い音を出す楽器は使っていないと思うのだけれど。。。ホールの残響?それとも多数の楽器によるモジュレーション?

大概の楽曲では50Hz以下の信号レベルは高くないので、別にフルブーストしても振幅レベルは大した事にならないため、普段は30Hzフラットを標準設定としています。しかし、マドンナの曲(前の記事のBad Girlのスペクトルを見てね)ではモロ30Hzまで高い信号レベルが記録されており、これを30Hzフルブーストで再生するとデスクの振動が手に伝わって気色悪いのでブーストを落とします(A6M自体はこの低音でも破綻せず平気で再生してくれるんだけどね)。

低域応答をフラットにするために必要なイコライザ係数を下図に示します。
658.jpg
赤がAlpair6 M+2.5L密閉、青が13cmウーハー+4.0L密閉です(共に吸音材タップリ)。縦軸は200Hzを0dBとしてプロットしています。この図から、A6 Mでは+12dB、13cmウーハーではたったの+6dBで50Hzまでフラット(43Hz/-3dB、30Hz/-9dB)の特性が得られるコトが読み取れます。

FrieveAudioは内部演算を64bit分解能で行い、DACに合わせて24bitで出力するため、+48dBを超えるブーストをしない限り、オリジナルの16ビットデータの最小ビット情報を失う事はありません。また、ビットのオーバーフローが発生すると、自動的にレベルを調整してくれます。iTuneとかのオマケのイコライザとはワケが違います。+12dB程度のブーストで果たしてどの程度の音質劣化が感じられるのか?分かりませんが、バスレフ型に比較した場合の「総合的な音楽再生クオリティの向上」に比べれば、そのような「音質」の劣化は「屁」みたいなものだと思います。

デジタルブーストがどうしても受け入れられない場合は、

バイアンプ駆動の密閉型ウーハーによる低音アシストでも良質な低音再生が得られます(いわゆる新システム: 参考記事)。ただしアナログフィルタを使用する場合にはどうしても位相の問題を避けられません。下図は、アナログチャンデバの位相遅れによる波形の崩れを示しています(ピチカートベース音: 赤がCDの信号、青が再生音波形)
565_20101219084943.jpg
位相遅れによって波形は崩れますが、バスレフのようにトランジェント部で波形が大きく崩れる事がないので、ピチカートベースではほとんど気になりません。ただし、このような波形ではポールチェンバースのアルコ(弓引き)のソロパートで違和感を覚えた経験があります。
FrieveAudioは位相も補正してくれます(ON/OFF可能)。上と同条件で位相補正をONにした波形を下に示します。
564_20101219084914.jpg


。。。。。という具合に、8cmクラスのドライバでも、小容積密閉箱に入れて100Hz以下を約+12dB/Octの傾きで+12dB程度までデジタルイコライジングするだけで、いとも簡単に位相まで含めて極めて正確で十分な低音再生能力が得られます。中高域の音をイヂリたくないというのであれば、全域の音場補正をせずに200Hzなり100Hz以下の低域だけブーストすればヨロシイ。一般にアタリマエのように使用されているアナログ式の-12dB/Octフィルタは、クロスオーバー点で位相が180°もずれます(だから普通はツイータを逆相でつなぐ)。そんな代物が平気で使われているワケですから、デジタルフィルタによる多少のブーストくらい「屁」でもないでしょう。。。と思うのですが。そもそも音源は最初っからデジタルデータなんだし。。。

もちろんブースト領域の最大振幅によって音量的な制限を受けますが、Alpair6 Mにしてからは低音が破綻せず全く音量的な不足を感じません。さすがにAlpair5では無理があったなぁ。。と反省。
ブースト量を+12dB程度に抑えておけば、音量的な制限は大した問題にはならないでしょう。6畳クラスのマンションの小部屋であれば10~8cmクラス一発で全くOKだと思います。13~16cmクラスのドライバを使用すれば、一般家庭のリビングでも快適音量で聴く分には十分ですよ。きっと。

1982年にCDが発売されてからもうすぐ30年になろうとしています。音源がデジタルで配布されるようになって30年。。。。どしてコンナニ簡単な方法が未だに普及していないのか? ハチマルには不思議で不思議で不思議でと百回言っても足りないくらい不思議でなりません。

もしかして簡単過ぎてマニアにはツマライから???
オーディオってのは電線の違いを聞き分けるようなマニアだけのためにあるのではアリマセン。
鉄道だって、前照灯のちょっとした位置の違いで型式を見分ける鉄道マニアのためにあるのではないのと同じです。アタリマエだけど。。

やたらコマケー事は置いといて (前照灯の位置の違いなんか興味ないから)、普通のリスナーに (普通の通勤客を) 必要十分な音質+適正価格で肝心の音楽を低音までマヂメにキチンと聴かせてチョ (低料金で乗り心地よく安全に運んでチョ、鉄道会社はマジメに頑張っていると思うけど)。。と言いたいぞ。ハチマルは。

以上で「シツコイけど」3回シリーズはオシマイ。

追記
LEANAUDIOコンセプトにとって極めて重要なFrieveAudioMarkAudio Alpairについては、あらためてキチントした記事を書きたいと考えています。ただ書くことが多過ぎてまとまらないのよ。あと、ジャコのコトもね。

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2010年12月18日 (土) | Edit |
バスレフ型というのは、密閉型では不足しがちな低音を補強するために発明された巧妙な手法です。この手法では箱に適当な長さ/太さのダクトを設ける事により、ヘルムホルツの共鳴効果を利用して特定周波数領域の音響出力を増強します。しかし、当ブログで再三取り上げているように、この方式には避けて通れない様々な欠点が存在します。今回は、そのあたりをシミュレーションを使用して再検討してみます。

例によって「スピーカー設計プログラム アプレット版」を使用しました。このツールは、当ブログでも再三にわたって実験結果と比較し、十分な精度を持つ事を確認しています。

ツールのデータベースからMarkaudioのAlpair 6 MetalのTSパラメータをそのまま使用し、ポートの共鳴周波数を50Hzに合わせ、吸音材の量は「なし」に設定しました。

まず、50Hzに共鳴点を合わせた時に50Hzまでフラットな周波数特性が得られる容積をトライアンドエラーで探しました。その結果、容積=5L、ダクト長=120 mm、ダクト直径=30 mmで良好な結果が得られました。結果を下図に示します。クリックで拡大してご覧ください。
650.jpg
緑が振動板前方からの出力、濃い青がポートからの出力、水色がトータル出力です。赤の二山はドライバのインピーダンス、紫は振動板の振幅、一番下の緑は位相です。

100 Hz以下で振動板の出力は低下し始め、これをポートからの出力が補って共鳴点の50Hzまでほぼフラットな特性が得られています。共鳴点では振動板はほとんど動かず、専らポートから音が出ている事が分かります。共鳴点以下では、ポートと振動板の音が逆位相となるために、互いに弱め合って出力は急激に低下します。

次に容積は同じ5Lのまま密閉型にしてみました。
651.jpg
これを比較のためにバスレフ型のグラフに重ねたのが下図です。密閉型のデータは全て白でプロットしています。
652.jpg

密閉型の容積を2.5Lまで下げた結果を下に示します。
653.jpg
白抜きは5Lの結果です。容積を半分にしても、40Hzの出力は1.5dB程度しか低下しません。下はもっと極端に5.5Lから0.2Lまで容積を変化させた計算結果です(参考記事)。
567_20101218125009.jpg
密閉型の場合、容積を小さくするとドライバの機械的共振効果が下がるだけで、それ以外の領域のレスポンスはほとんど変化しません。LEANAUDIOではこの機械的共振効果をタップリの吸音材で殺してしまうので容積は重要ではなくなります。

バスレフ型を2.5Lにしてみました。共鳴点は50Hzに合わせています。この容積ではフラットな特性は得られません。
654.jpg
この容積で50Hzに同調するには、ダクト径30mmに対して300 mmものポート長が必要になります(ポチ型ボックスには入らないっす)。また、ポート自体の共振もより強くなります(音もより筒っぽ臭くなるということ)。

以上からバスレフ型の問題点を挙げてみます。
1) ポートの位相反転により、共鳴点以下で出力が急激に低下する
グラフから読み取ると、50Hz以下では-28dB/Octの傾きで急激に減衰します。これは密閉型の-12dB/Octの2倍以上の傾きです。上から3番目のグラフの左側の赤いラインは-12dB/OCtの傾きを持ち、密閉型を50Hzまでフラットにデジタルブーストした時の特性を表しています。

2) 位相遅れが大きい
グラフの最下段の緑の線が位相特性です。グラフが上に行くほど位相が遅れます。バスレフ型の場合、共鳴点前後で位相が急激に遅れる事が分かります。グラフ左上隅の時計の針は40Hzにおける位相を表しています。20kHzでの位相は時計の3時15分くらいの位置です。密閉型でも40Hzで約120度の遅れが発生しますが、バスレフ型ではその約2倍の遅れが発生しています。ちなみにFrieveAudioは、このような位相遅れも非常に正確に補正してくれます。

3) ポートからポート自体の共振音が出てくる
ポートからの出力を見ると、約1kHz に大きなピークがあり、そこから高周波側にいくつものピークが見られます。これはポート自体の共鳴によるものです。このため、本来の狙いである低音以外にもポートの「筒っぽい音」がどうしても出てしまいます。
この周波数は下式でザット見積もれます。
共振周波数 = 34000/(ダクト長(cm)+ダクト径(cm))x2) Hz
この計算だと、共振周波数は1.1 kHzとなり、グラフにほぼ一致します。
箱に十分な吸音材を入れない場合は、箱の定在波の音もポートから放出されます。

4) 共鳴周波数を下げるには、それなりの容積が必要
一般にバスレフ型の方が密閉型より小型にできると言われていますが、デジタルブーストを前提にするならば、その関係は逆転します。

以上を過去に計測したデータと照らし合わせてみます。

1)下図は2.5Lでのバスレフvs密閉比較です(参考記事)。吸音材を全く入れていないので、定在波の影響がモロに出ています。
545_20101218114616.jpg
バスレフ型は共鳴点の80Hzから40Hzにかけて1 Octで実に36dB以上も出力が低下しています。同区間の密閉型の低下量は例によって12dB/Octです。

2) 下は、ピチカートベース音の再現性を比較したものです。554_20101218112849.jpg
556_20101218112925.jpg
赤のラインがCD内の信号波形、青がスピーカ前方で測定した音波形です。上がバスレフ、下が密閉+デジタルブーストです(参考記事)。これは共鳴点よりかなり高い周波数での結果です。共鳴点では、影響がさらに顕著になると考えられます。上の波形では、位相遅れというよりは、音の出だしのトランジェント部の波形に大きな問題が見られます。このため、ピチカートベースの音を重視するハチマルにはバスレフ型がどうしても受け入れられませんでした。ちなみに、上図のデジイコは手動でテキトーに設定したものですが、全域フラットに自動音場補正すると、下図のように信号と音波波形はほとんど一致します。
659.jpg


3) 下図はダクト音の実測値です(参考記事)。
548_20101218114040.jpg
この時のダクトの長さ8 cm、太さ2.3cmから共振周波数を計算すると約1.6kHzとなります。800Hzの立ち上がりは箱の定在波の影響が強いと思われますが、2発目のピークは明らかにポート(筒っぽ)の固有振動の影響だと考えられます。結構レベルがでかいのには驚かされますね。上の周波数特性グラフにも、定在波以外のポートの影響が見て取れます。

以上、このブログで再三述べてきた事を敢えて再度しつこく取り上げました。

バスレフ型は、信号処理技術が発達していなかった当時に低音を稼ぐために考え出された極めて巧妙な手段だと思います。過去のオーディオ技術者達の叡智に敬意を払うに吝かではありません。しかし、音源がデジタル化されたこの時代において、数多の欠点を背負いながら未だにアタリマエのように使われ続けている事には大きな疑問を感じざるを得ません。やたらと微細な「音質」に拘泥する以前に、100Hz以下の低音を正確/明確に聞き取れるようにする事は、「音楽をより楽しく深く聴くため」の「総合的な音楽再生クオリティ」にとって極めて重要であると認識するハチマルには不思議でなりません。オーディオ技術が真っ先に解決しなければならない長年の最大の課題がかくもお座なりにされ、微細な「音質?」とか「ナンタラ感」を追い続ける現在の「ピュアオーディオ」とやらには憤りすら禁じ得ません。ホンマニ。。。

マニアはどうでもヨロシイ。。。。しかし、装置の事なんか何も知らずに普通に音楽を聴く人々が、アタリマエのようにしっかりとした低音を聴けるようになる事は非常に重要だと思います。まあ、今はイヤフォンの性能が素晴らしく向上したので、根本的に進化しないオーヂオ装置で聴くよりも、そちらで聴く方が余程良いといえばそうかもしれませんが。。。

次回に続く。。。。

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2010年07月07日 (水) | Edit |
まあ散々デジタルの肩を持つような意見ばかり書いてきましたが、これは余りにも根拠の無い、多分に問題を含むアナログ処理された音に単に「耳慣れている」という事だけに依拠したとしか思えないような発言がアチコチで散見されるので、ちょっと見かねたものでね。これヂャ デジタルが余りにも可哀想。。。

アナログもデジタルも手段に過ぎません。早い話ドーデモ良いのよ。アナログでもデジタルでも。ドッチデモ。重要なのは「目的」すなわち「アーティストによって記録された媒体上の音をどのようにリスナーに伝えるべきなのか」という事です。重要なのはね。で、その目的を達成するのに最も効率の良い手段を選べば良いのです。単純に。

で、オーディオ装置の「目的」は何度も言うように記録されている可聴帯域の音を(位相の乱れも無く)できるだけそのまま(と言っても狂信的ではなく必要十分なクオリティで)リスナーの「耳」に届ける事にあります。何故ならば「音楽という芸術は可聴帯域をフルに使って表現された芸術」だからです。ですから僕は「実際に体験した上で」フラットな周波数特性を基本中の基本として強調している訳ですが、これを「そんなもん、どうでも良い」と言った瞬間に音楽再生装置に関する全ての議論は吹き飛んでしまいます。正に「お好きなように」の無法地帯となりますので。

ただ、これをシツコク言うと「データ」ではなく「感性」が重要とかワケの分からない事言って嫌うオーヂオおマニヤさん多いんですよね。あのですね、我々凡人にとってマズは天与の才をを授かった音楽家達が世に出した「作品」をできるだけ「素直」に「聴き取る」事が先決であって、「感性」というのはそうやって「素直」に聴いた「音楽」をどう受け止めるかという部分において重要になるわけで、それ以前の再生「音」の部分に身勝手な「ドシロート」の「感性」(というのもおこがましい)を持ち込んで「音」を自分の好きなようにイヂリ過ぎてしまうってのは如何なものでしょうか。いや、いや、個人的に楽しむのは全然問題ないんですよ。全くお好きにどうぞ。それは趣味道楽ですから。ただそれがあたかもオーヂオの主流のように扱われている事には極めて違和感を覚えます。コマケー事をアーダコーダ言う前に「音楽を素直に聴け」と言いたいのよ。千秋君も言ってるヂャないですか「俺様の音を聴け!」と。それが表現者というものです。それをまずは尊重するのが鑑賞者としての礼儀です。

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2010年07月03日 (土) | Edit |
今回は信号入力部つまりプレーヤー部とデジタル信号処理部について書いてみたいと思います。最後にアンプについても書きます。

その前に、
きっと「デジタルでイコライジングなんかしたら音の「鮮度」が落ちるのでそんな方法は駄目」とお思いの方がいらっしゃるでしょうね。果たしてそうでしょうか?
このブログの以前の記事をお読みの方ならお分かりでしょうが、バスレフポートには明らかに位相上の問題があります。マルチウェイのネットワーク回路やトーンコントロールも同様に位相の問題を避けられません。これらの問題は簡単な波形測定でも露呈してしまう程の大きなものです。もちろん聴感上も明らかに違和感があります。結局方法は異なりますが従来のアナログ方式でもスピーカーの特性を改善するために音に劣化を招いているのは同じなのですよ。で、冷静に考えなければならないのは「果たしてどっちの方が被害が少ないか」という事です。今まで聴き慣れたアナログ処理の音が必ずしも(えてして多くの場合)「ソースの信号に正確に対応する」音だとは限らないという事を肝に銘じる必要があります。「ただ聴き慣れているから」というだけで安易に判断されている傾向が度々見受けられます。ただし「好きか嫌いか」は全く各個人の自由ですので。お好きに。

さて音源はPCを前提とします。iPod等を使用するユーザーは当然PCを所有し、そこに音楽データを保存しているからです。従ってシステムコストにプレーヤーは含まれません。ちなみに超高機能のFrieveAudioはAtomプロセッサ搭載のネットブック レベルで十分に機能します。ですから現在出回っているPCであれば、ほぼ何でもOKのはずです。

もちろんメーカーはユーザーに対してできるだけ非圧縮WAVデータの使用を推奨すべきですが、圧縮データの再生も念頭に置く必要があります。VictorのK2テクノロジ等も必要でしょう。オプションで装置とデザインを統一した音楽用PCを用意しても良いかもしれません(HD内蔵のEeePCみたいなので十分。ソニーさんのチッコイVaioなんか素敵だと思う)。無線接続できればなお宜しい。

DSP(デジタル信号処理部)に関しては2つの方法が考えられます。

1)1つはFrieveAudioのように全てPC上で処理を行う方法です。この場合PC以外からのソース(例えばCDプレーヤー、iPodのドック システム)に対して処理を行う事はできません。ただし装置側にはDACとアンプだけが必要なのでコストを抑える事ができます。欠点としてはPC側の状態(他のソフトウェアの動作等)に影響される点が挙げられます。ノイズ的にも不利でしょうが、僕自身はマニヤがとやかく言うほどには問題を感じません。

2)もう1つの方法は、装置側にDSP演算回路を内蔵してPCを単なるユーザインターフェイスと音源として使用する方法です。この場合はCDプレーヤー等のデジタル出力も接続できます。PC側の動作環境にも影響を受けにくくなります。その反面コストが増加します。高級タイプ用ですね。

いずれもソフトウェアは接続されているアンプのタイプと現在のボリューム位置およびスピーカーのタイプとそのイコライザ特性を正しく認識する必要があります(1つ前の記事参照)。まあこれは問題無く出来るでしょう。DSPソフトウェアはこれらの情報に基づいてスピーカーの周波数特性をフラットに補正すると共に、スピーカーに過大な信号が入力されないように低域信号のピークを制限する必要があります。

その他のDSP処理の内容はFrieveAudioと基本的に変わりません。すなわち;
1)選曲機能 (iTune、MediaPlayerに準ずる。これらのデータベース フォーマットに対応すること)
2)基本イコライジング機能 (スピーカーの出力周波数特性をフラットにする。ユーザによるOFFは不可)
3)自動音場補正機能(部屋の特性を補正する。マイクロフォン同梱のこと。任意に使用)
4)ユーザ用イコライジング機能(好みに合わせた微調整用。任意に使用)

これだけあれば十分です。これらのイコライザを全て掛け合わせた1つの総合イコライザ特性がDSPに適用されます。従って何度もイコライザ処理を行って信号を改変する訳ではありません。3)と4)は必要に応じて使用すれば宜しい。ニアフィールドで聴くユーザーは面倒臭ければデフォルトでもOKでしょう。もちろんデジタル信号の飽和を避けるAVC機能も必要です。メーカーは適正なスピーカーサイズを選ぶガイドラインと正しくスピーカーを配置する方法を懇切丁寧に説明しなければなりません。音量が許すのであればスピーカーは小さい程宜しい。正しい情報をユーザーに伝えてください。

オマケ的な機能として欲しいもの
1)ダイナミックレンジ圧縮
例えば交響曲を小音量で聴きたい場合、大音量のところでボリュームを合わせると小音量部の音が聴き取り辛いので、ダイナミックレンジを多少圧縮する機能。僕はこれが非常に欲しい。

2)真空管風味
パナソニックが既に実用化済み。きっと特許の問題があると思います。要は高調波歪みを人工的に発生させるのだと思う。

3)曲の自動レベル調整(iTuneには装備済み)
様々な曲をランダムに聴く場合に、録音レベルに合わせてボリュームを調整しなくて済むので便利。これも是非欲しい。

DSPの出力ビット数には最低24bit必要です(イコライジングするので16ビットでは明らかに不足)。

ソフトウェアはそのメーカーの全機種に共通で使用できるはずですからコスト的に有利です。DSPソフトウェアの性能もさる事ながら、ユーザインターフェイスの使いやすさが何よりも重要です。ちなみにONKYOのHDC-1L(オーディオPC)に付属のプレーヤー ソフトウェアは最悪です。あのようなレベルでは使い物になりません。このコンセプトが市場で受け入れられるかどうかの最大の鍵はユーザーインターフェイスにあります。オーディオメーカーはこのへんの経験が全く無いでしょうから、優秀なソフトウェア開発者(FrieveAudioの作者みたいな優秀な方)をヘッドハンティングするか、アウトソースする必要があるでしょう。プロジェクトの正否の半分(もしかしたらそれ以上)はソフトウェア(特にユーザインターフェイス)にかかっていると思います。努々良い加減に考えてはなりません。

最後にアンプについて。。

アンプのボリューム位置をソフトウェアに知らせるためのセンサが必要になります。また、スピーカーのイコライザ情報を取得するために4線接続が必要です(Nuforceの特許かな?)。ユーザが勝手に非対応のスピーカーを接続できないようにするために、コネクタは特殊な形状にする必要があるでしょう。スピーカー情報はCD-ROMでソフトウェアに設定しても良いのですが、例えばスピーカーを別の機種につなぎ換えた時に設定を変更し忘れたりする可能性があるため、接続によって自動認識させた方が安全です。

その他の基本的なアンプ性能に関しては極普通で良いのではないでしょうか。僕は馬鹿ブースト用にIcon AMP (2万7千円くらい)を使用していますが何ら問題を感じません。こんなに小さくても十分な音質で鳴らしてくれます。DACは24bit/96kHzとして、例えばONKYO WAVIOが1万円弱で販売しています。このクラスで十分でしょう。

真空管アンプを使いたいところですがサイズ、コスト、耐久性的になかなか難しそうです。例えばDAC出力とアナログ入力の間に挿入する1ゲインのバッファアンプなんかをオプションで用意しても良いかもしれません。2万円以下で作ってね。

まあ、アンプはそんなもんでしょう。

まずはパイロット製品としてオールインワンの一体型が無難でしょう。PC抜きで4~5万円くらい(ちと厳しい?)。

これで独断シリーズはオシマイ。
勝手な事を随分書き殴りましたがお付き合い有り難うございました。

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2010年07月03日 (土) | Edit |
オーディオ装置の最も基本的な機能は、媒体に記録されている可聴帯域(一般的に20Hz~20kHzとされる)をリスナーの耳に確実に届ける事です。何故ならば音楽は可聴帯域のほぼ全域を使用して表現される芸術だからです。この最もアタリマエの要件を満足に満たす実用装置は未だに存在しません。驚き桃の木山椒の木です。ホンマニ。これはスピーカーの低域性能の限界によるものですが、これをほったらかしにして、聞こえるか聞こえないかも未だに議論の的にまっているような20kHz以上の再現性や電線にウツツを抜かしておるこの業界は一体全体どうなっておるのでしょうか????理解に苦しみます。

僕は全域再生の重要性を理屈の上からだけで観念論的に言っているのではありません。実際に自分のデスクトップでそれを実現して毎日10時間程度実用使用した上で、その重要性を説いているのです。しかも、それはオーヂヲをイヂリ始めて2年もたたないド素人が3年前から存在するシェアウェアソフトウェア(3800円)を利用してできてしまう程度のものに過ぎないのです(実際には1年もかかっていません。スピーカーで音楽をマトモに聴きたい→バスレフさんざんやって駄目→どうしよう→密閉→低音聞こえない→デジタル馬鹿ブースト)。音源がデジタルであるという事を素直に受け止めれば誰でも思い付きます。

アナログ時代にはスピーカーの低域限界を延ばすのは非常に困難でした。このため大径ウーハーの使用、バスレフ/共鳴/ホーン等の音響効果の利用、低域用ユニットが大型になるため高域性能を確保するためのマルチウェイ化等々の数々の手法が必要とされました。長年それらが使われてきたため意外と認識されていないようですが、これらは何らかのネガティブな面を持つ一種の「必要悪」であるという事を忘れてはなりません。すなわち、サイズ/コスト的問題、バスレフポート等による位相上の問題(データによる検証済み)、マルチウェイ ネットワーク(アナログフィルタ)による位相上の問題(データで検証済み)と多点音源の問題。。。。。アナログ時代では、十分な低域を確保するために、これらの手法を多少の欠点に目を瞑ってでも使用せざるを得なかったという事です。

さて、

音源がデジタル化されたのは何十年前でしたっけ。
デジタル化によって失われた面もあるでしょうが(センチメンタルな面が大部分だと思いますけどぉ。。)、得られるメリットもまた莫大です。プロフェッショナルな製作現場ではとっくのとおにそのメリットを使い倒しているのに、そのように製作された音源を再生するリスニング オーディオの分野が何故このような状態なのか、僕の理解の範疇を全く超えています。おそらく前の記事で書いたこの業界とユーザーの奇妙な体質がその主な原因なんだと思いますが。。。

別に良いのですよ。アナログに拘りたい方は徹底的に拘ってください。電線に拘りたい方も徹底的に拘ってください。100kHzが必要だと言う方はどうぞお聞き下さい。ヒャクマンエン以下の音は駄目という方はせいぜい散財してください。それらはスーパーカーやクラシックカーを愛でるのと同じ趣味道楽だから好き勝手やってください。誰も文句を言う筋合いは御座いません。

しかし「アナログでもデジタルでもなんでもえーから、手軽に適正価格でちゃんとマトモニ音楽聴かせてよ」という一般リスナー向けの良質なシビックが存在しないのは全くの大問題です。

と、いつもの事ですが前置きが長くなりました。

デジタル時代の新しい(と今更言うのも恥ずかしいくらいですが。。)オーディオ装置では、デジタル信号処理(DSP)ソフトウェアと、それに合わせて最適化されたスピーカーが重要となります。アンプに関しては、DSPソフトウェアとの連動を必要とする以外は今のままで全く十分です。

という事で、今回はスピーカーについて。。とやっと本題です。

僕が考えるに、スピーカーはフルレンジ1本(もちろん密閉箱)で十分です。容積も今の一般的なバスレフ型よりも小さくできます。ただしドライバーにはAlpairシリーズ並の最新技術のクオリティが必須です。安物の2ウェイなんぞ全く不要。
もちろんドライバーには低域ブーストを考慮した最適化設計が必要です。すなわち、大振幅に対応できる磁気回路とサスペンション システム、および、限界振幅時の急激な破綻を回避するためのダンピング特性(A5はこのへんに問題あり。。なにせダンパレスですから)等の対策が必要であろうという事です。
このようなシステムではスピーカーが命です。システムコストの1/2以上はスピーカーにかけても良いのではないかと思います(残りはフツーのアンプとDACとソフトウェア)。箱を絶対に疎かにしてはならないのも当然です。別に木でなくてもこれだけ材料技術とCAE設計技術が発達した世の中ですから、最低コストで最適な箱が作れるはずです。美しく造形されたプラスチック シェルの内側に内部損失の高いパテ材を塗ったくっても良いと思います。下手に響かせる必要なんぞ全くありません。ややこしいアンカーシステムも不要です。ガッチリと響かないように作ってください。

デジタルイコライジングを前提とするならば、低域以外の面でもスピーカー設計に自由度がもたらされます。すなわち、裸の周波数特性は多少凸凹でも構わないという事です。たとえば、高域の特性をフラットにするために泣く泣くサブコーンを付ける等の妥協は不要になります。多少高域出力が落ちてでも音色(振動モード)を最適に設計して、レベルの不足分はイコライザで修正すれば良い訳ですから。従ってツイーターの必要性もますます薄れます。このように、デジタルイコライジングを前提とするならば、スピーカー設計には大きな変革がもたらされます。

ただーーし。
このようなシステムでは、スピーカーと本体(またはソフトウェア)間で情報の伝達が必要となります。すなわち正しくイコライジングを行うためにスピーカーの裸の周波数特性を本体(またはソフトウェア)に入力する必要があるという事です。最近のカメラではボディとレンズの間で情報を交換する必要があるのと同じです(最近はレンズ収差まで補正します)。ちなみにNufroceのIconでは専用スピーカーにこの情報を埋め込んで、4線のラインを用いてアンプ側で何らかのイコライジングを行うようになっているようですが、それと同じです。従ってメーカー間で共通の規格を制定しない限り、装置の組み合わせに制約が生じるという問題をはらみます(カメラ業界と同じ。最近はフォーサーズという共通規格が普及しつつある)。音場測定を前提とするならば、そのような制約はある程度回避可能ですが、一般リスナーを対象とする製品では正常動作を保証する上で難しいと思います。何故ならばスピーカーに限界以上の低域大信号が入力されないように制御する必要があるからです。

僕のAlpair5を馬鹿ブーストした場合、極たまに低域の大振幅信号によって音が破綻します。上記の新しいスピーカー設計手法が成功すれば実用音量レベルでは問題を回避できるでしょうが、一般消費者向け工業製品である以上、フルボリュームでも30Hzの最大入力レベル(すなわちCD上の16ビットの全てが1。現実には恐らくありえない)でスピーカーが破綻しないようにするための保護措置が必要です。このため、アンプのボリューム位置に応じて各周波数における最大信号レベルまたはブースト係数(すなわちスピーカーの最大振幅)を制限する手法等が必要となります。

このようなレベル制限を単純に行うと、波形の頭が平にカットされて不自然に聞こえるため、なだらかに波形をなます手法が必要ですが、ソフトウェア(DSP)で処理を行うため、それほど難しくはないでしょう。いずれにせよ、低域でそのような大振幅の信号が入るのは稀であり瞬間的であるため、ほとんどリスナーに違和感を与えずに修正できるはずです。プロセスが複雑なように思われるかもしれませんが、このようなアルゴリズムを含む総合的なイコライザ特性が1度だけ信号処理に適用されます。何度も信号に改変を加える訳ではありません。また、アナログイコライザのように位相に乱れが生じる事もありません。

デジタルイコライジングはアナログ式に比べて「音が痩せる」と言われる事がありますが、果たしてそうでしょうか。実はアナログ式では位相が遅れるために多少音が膨らむのに対して、デジタルではそのような現象が出ないために相対的に「痩せる」と感じられるのではないかと考えられます。というのは僕の測定した波形を見る限り、デジタルイコライジングでは正確に原信号波形を追従するのに対して、アナログフィルタでは明らかに波形が崩れます。これに似た「デジタル」への批判はアチコチで散見されますが、それは従来のアナログ式の問題をはらんだ音に慣れ親しんだ方の好みの問題であって、デジタルが音質的に劣るとは言えない(多分にその逆の)場合が多いような気がします。

恐らくダンピングを効かせた密閉箱の音に対しても同様の批判が出ると思います。しかし媒体に記録されている音楽作品を素直に聴き取るにはこの方式が最良です。オーディオには興味がなくて音楽を聴くために始めてオーディオセットを購入されるリスナーにはどのように聞こえるのでしょうか(特に日頃イヤフォンで音楽を聴いておられる方々には)。ちなみに僕は量販店の試聴室でも何度か試聴させてもらいましたが、いかにも「ステレオ臭い」オーヂオの音には馴染めません。この趣味の世界で長年「良い音」とされてきた特定傾向の音が、再生音楽を聴く上で本当に「良い」音(自然な聴きやすい音)なのかどうか、僕には甚だ疑問です。

スピーカーのサイズはリスナーの望む音量(リスニング距離)に応じて8~16cmクラス(すなわちAlpairラインナップ程度)を揃えておけば十分でしょう。一般的日本の家屋を考慮すれば、それ以上のサイズは必要ないと思います。ライブと同等の音圧での再生を望む一般リスナーも稀ではないでしょうか。そのような大音量で再生すると、一般的なサイズの部屋では音楽を聴くのが苦痛になるはずですから。例えば4面囲まれた四角い六畳間でクインテットにライブと同音量でブンチャカやられたらたまった物ではありません。部屋中ワンワン鳴りまくって僕なら5分と耐えられないでしょう。

それはさておき、このようなシステムによって非常にコンパクトなスピーカーでも実用的音量において30Hzから20kHzをフラットに再生する事が可能になります。何度も言いますが、これが音楽再生装置の原始的アタリマエの状態です(こういうのを「ピュアオーディオ」と言うんぢゃないすか?)。デジタル技術を最大限に活用する事によって、そのアタリマエが実用レベルで実現します。何よりの証拠に、僕のデスクトップではそのような状態で毎日一日中音楽が鳴っています。

次回はDSPおよび信号入力部について書いてみたいと思います。

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2010年07月01日 (木) | Edit |
さて、久しぶりに独断シリーズを再開したいと思います。またまた勝手な事を書きたい放題に書かせて頂きます。ご容赦を。

僕がここで取り上げるオーディオ装置は、自動車で言えばフェラーリではなくシビックやアコードに相当する実用オーディオ装置です。と言っても僕はフェラーリを否定するつもりは毛頭ありません。逆にフェラーリ信者と言っても良いかもしれません。フェラーリは人間のポジティブな面(人生は、人間は、素晴らしい!という事)を自動車という工業製品を媒体として表現した芸術だとすら思っています。355以降はちょっと「ジドーシャ」に成り下がってしまって信仰心は薄れましたが348以前のフェラーリは「ジドーシャ」以外のナニカ(?)でした。348は150km/h以上出すと平気で一車線くらい突然横っ飛びするとか、逆火で吸気チャンバーが爆発してリアカウルが吹っ飛ぶとか。。それでもリコールにはならずオーナーは自費で修理するとか(それをツベコベ言うヤツにはフェラーリ様を所有する資格は無いのよ)。実は348は箱根ターンパイクで1往復だけ運転した事があって、あたしゃ一生忘れませんよ。あの日の事は。NSXと乗り比べましたがこちらは完全にフツーの「工業製品」です。

同様にパラゴンやオートグラフあるいはノーチラス等のハイエンドを否定する気も毛頭御座いません。自動車を趣味とする方々にはスーパーカーをコレクションする羨ましい方も居ますし、クラシックカーのリビルトに熱心な方、はてはF1のようにキチガイ沙汰のレーシングの世界もあります。オーディオの世界でも当然ですが、ナンビャクマンエンもするフェラーリ級の装置を愛でたり、電線等の違いによる微少な音の違いを探求したり、音源を素材として自分の理想とする音を創出したり(つまり半ば楽器のようにオーディオ装置を扱う)、いろんな楽しみ方があって良いと思います。それぞれ結構な趣味だと思います(F1は趣味ではないけどね)。こういうのを一種の「数奇者」と言います(数寄者(すきしゃ、すきもの)は芸道に執心な人物の俗称。「数奇者」と書く場合もある。)。

しかし、

僕が最近オーヂオイヂリに手を染めてこの業界を覗いた時に非常な違和感を覚えたのは、そのような数奇者的なオーディオがあたかもオーディオ技術の本流であるかのように扱われている点です。ちょっとましな音で音楽が聴きたくなってオーディオ専門店へ行くと「まともな音で聴くには最低ヒャクマンエンは必要です」なんぞとと言われるなんて話はアチコチで聞きますが、ただ良い音で音楽を聴きたいと思っている一般的リスナーの感覚からすれば全く常軌を逸しているとしか思えません。雑誌を見てもそれを煽るような記事ばかり。ほんとにヒャクマンエン出さないとまともに音楽が聴けないのであれば、それは全くのメーカーの怠慢としか言いようがありません。シビック買いに行ってNSXじゃないとまともなクルマではありませんと言われるようなものですね。蛇足ですが、スーパーカーを買えるレベルの方のオウチならまだしも、標準的な日本のオウチにあんまりご立派な物をぶち込んでも、まともな音で聴けるとは思えません。

これに対し、安全快適に移動するための道具としての普通の乗用車に相当するオーディオ装置、すなわち本来最も充実していなければならないセグメント(価格的には10万円以下、千歩譲って20万円以下で一式揃うレベルが)が余りにも貧弱過ぎます。数奇者用ハイエンドの縮小廉価版をテキトーに作ったようにしか見えません。これはオーディオ装置を「音楽を聴くための実用工業製品」と考えた場合、極めて不健全で異常な状態のように僕には思えるのです。NSXをテキトーにお安く作ったのがシビックではありません。逆にシビックの開発にかけるリソースの方がNSXよりも圧倒的に大きいのです。またユーザーはNSXが買えないからシビックに乗る訳でもありません(まあ実際には買えないんだけど)。

フェラーリやクラシックカーは爆発しても横っ飛びしても文句を言う人はいません(かな?)。パラゴンがどのようなf特を持っていようが伏して拝聴するのみです(ははぁーー)。
しかし一般的な大量生産の製品がそれでは困ります。実用自動車に求められる最も基本的な性能は、安全に走って曲がって止まれる事ですが、オーディオ装置に求められる最も基本的な性能とは何でしょうか。それは「媒体に記録されている可聴帯域(一般に20Hz~20kHz)のほぼ全域の音をリスナーの耳に明確に届ける事」です。もちろん音色的な魅力や商品的魅力も重要です。自動車でも快適性や洒落たデザインが求められるのと同じですよね。しかし、まず最も根源的な基本性能が必要十分なレベルで満たされていなければならないのは当然です。いくら格好良くて乗り心地が良くても安全に止まれない車じゃ困りますし、いくら高域のストリングが美しく響いても怒濤のティンパニーがスカスカでフラフラでも困るのです。メーカーは、このような「音楽再生装置」として至極アタリマエの最低限の性能を備えた一般リスナー向けのリーズナブルな装置を最優先で開発しなければなりません。

その一方でオーディオ装置を趣味とされる数奇者の方々向けの「ハイエンド」な製品ももちろん必要ですし、小規模なビルダーさん達が趣味性の高い個性的な製品を提供する事ももちろん必要です。ただしそれらは「音楽を聴くための装置」としてのオーディオ技術の本流では決してありません。スーパーカーやクラシックカーやF1が自動車技術の本流でも頂点でもないのと同じです。そんな事は自動車メーカーもユーザーもアタリマエとして認知しています。そのあたりの認識がこのオーヂオ業界(とユーザー)の間であまりにアヤフヤなので僕としては非常に違和感を覚えるのです。はっきり言って健全な状態には見えません。

別にこの業界がどうなろうがアタシャ一向構わないのですが、健全なオーディオ装置がアタリマエの価格で一般リスナーに提供されないと、それは人類にとって大きな損失になると思うのでイライラするのです。優れた音楽(のみならず芸術)は我々にとって計り知れないほど大切なものです。オーディオ装置はその一般大衆に向けての伝達装置として非常に重要な役目を担っている事を開発者は肝に銘じて欲しいのです。あの、、、、また繰り返しますが、狂信的なコマケー事じゃないのよ。一般リスナーにとっての「必要十分」を見極めてお安く作ってね。それがホントの技術者のお仕事ですから。かといってセットコンポみたいに吸音材も入って無くてペラペラのパーチクルボードで見栄えだけ立派な3ウェイとか作っちゃ駄目よ。ホンマニ。最低だから。技術者として恥ずかしい事だけは止めようね。

という事で次回から具体的に「こういうの作ってよ」というのを書いてみたいと思います。

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2010年06月05日 (土) | Edit |
前々回の記事「音楽再生の基準てなんやろか?」では、ソース音の忠実な再生を妨げている最大の要因として、
1) スピーカーと耳の距離(すなわち部屋の音響特性の影響)
2) スピーカーの低域再生限界(特に小型スピーカーでは問題)
を挙げ、「敢えて追加するならば」の前置きをしてから
3) バスレフポートの音
を挙げました。これはデータによる検証ができていなかったためです。
1)と2)に関しては、このブログで度々測定データを紹介してきましたが、バスレフポートに関しては全くの聴感によるコメントしかできませんでした。そこで今回はデータによる裏付けを試みました。

前置き
僕はジャズのピチカートベースの聞こえ方を非常にというか異常に重視します。これはジャズを聴き始めた時からの癖なので仕方ありません。ピチカートはパルス音なので、バスレフ型では問題が表れやすいように思います。交響曲を聴く場合には僕もバスレフ型でほとんど問題を感じません。というのは楽器の音がほとんど連続音だからです。背面バスレフにすると若干響きが広がって、逆に良く感じる場合もたまにありました。一般的にポート音に限らず、パルス状の音に注目した方が音の変な癖を感じやすいような気がします。例えば箱の定在波の場合、僕はピアノの音に注目します。ストリングだけに注目すると、このような問題が分かりにくくなるか、あるいは逆に綺麗に響いて聞こえてしまったりします。

測定条件
スピーカー: 前の記事で使用したポチ1型+TangBand 8cmフルレンジ、ポートの設定も前回と同じ(同調80Hz)
音源: マイルスのアルバム「Miles Smiles」から「Foot Prints」のベースソロの4音 (ご試聴ください)。
この曲は、何か変えた時にまず最初に試聴する僕のリファレンス的な曲です。今回は冒頭のベースソロ4音だけ抽出しました。最初は正弦波信号で比較したのですが、それでは明確な差がでないため、実際の音楽信号を使用した次第です。

録音方法: 16bit/44.1kH WAV、モノラル、マイクロフォンはいつものパソコン用、マイクロフォン位置はスピーカー前方15cm (f特測定位置と同じ)

アンプ: ONKYO A-905FX(一部トーンコントロールを使用)

再生装置: 録音を行うPCとは別のPC上でFrieveAudioにて再生(24bit/96kHz出力)。基本的にイコライザはOFF。ただし最後の実験だけイコライザを使用。


測定結果

まずはお決まりの周波数特性です
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基本的に前回記事のデータと変わりません。水色はアンプのトーンコントロール(70Hz/最大+10dB)を使用して密閉型の低域を増強したものです(約3/4位置=+7.5dB)。スピーカーからの音圧レベルをできるだけ揃えるために、以下の比較ではこの「密閉+トーンコントロール」と「バスレフ」を比較します。アンプのボリュームと入力信号レベルは全ての測定で同一としました。

ではマイクロフォンから測定した音波の波形とCDに記録されているデータの波形を比較してみます。つまり「タイムドメイン」的に評価してみます。

なお複数波形を重ね合わせて比較していますが、時間的同期情報が無いため、時間方向(左右方向)の位置合わせは見た目で適当に行っています。

これがソース信号。約2秒間です。以下ではまず4番目、次に2番目の音の出だし部の波形を比較します。
560.jpg

まずはベース4音「ポポポポーン」の最後の「ポーン」の出だしの波形を比較します(約0.05秒)。基本周波数は約150Hz。
まずは密閉型(トーンコントロールON)
550_20100605140625.jpg
クリックで拡大して見てください。赤がソースの信号データ。青が測定波形です。測定波形は頑張って信号波形をトレースしているように見えます。測定繰り返し性を確認するため、グラフには3回の測定波形を重ねてプロットしています。ほとんど完全に重なるので、測定繰り返し性は問題ないと思います。

次にバスレフ型(トーンコントロールOFF)
549.jpg
これも3回の測定結果を重ねています。2、3、4番目の波形が明らかにずっこけ気味ですね。信号の基本周波数は150Hzですが、上の周波数特性を見ると150Hzでもポートの効果が見られます。

以上の結果では、明らかに密閉型の方が信号をより正確にトレースしていると言えそうです。

次に「ポポポポーン」の2番目の「ポ」の出だしの波形です。基本周波数は少し下がって100Hz。
まずは密閉型(トーンコントロールON)
555.jpg
ありゃりゃ。3つめくらいから動きが怪しくなりますね。「密閉よ、もおまえもか?」

お次はバスレフ型(トーンコントロールOFF)
554.jpg
波形の変形の仕方が密閉とは明らかに異なりますが、これでは五十歩百歩かな。ただ、上の結果でもそうですが、全体的にバスレフ型は音の出だしの波形(最初の2~3山)の崩れが大きいと言えます。その後の波形は大して崩れていません。ピチカートでは問題を感じるけどクラシック(弓弾き)ではあまり問題を感じないのは、このへんが原因のようです。正弦波信号の比較では差が明確に出なかったのもうなずけます。

密閉型の方は、周波数が下がってトーンコントロールが影響する範囲に入ったのが問題の原因かもしれません。トーンコントロールをOFFにして、かわりにFrieveAudioのデジタル イコライザで150Hz~70Hzにかけて+7.5dBしてみました。
イコライザはこんな感じ。
559.jpg

さて波形は?
密閉型(トーンコントロールOFF、デジタルイコライザON)
556.jpg

ビンゴ! やはりアナログ式のトーンコントロールが悪さをしていたようです。以前も聴感上違和感を感じて使うのを止めたのですが(関連記事)、こういう事だったのかと納得です。ここまで明らかに違いが出るとは予想していませんでした。これに対してデジタルでブーストした波形はかなり頑張って信号をトレースしています。アナログフィルタとは異なり、デジタルフィルタは位相の問題を一切生じないとは聞いていましたが、確かにそのように見受けられます。ソース信号がデジタルになったこの時代にわざわざアナログ フィルタを使用するのは馬鹿げていると言えるでしょう。

結果は以上です。
密閉型とバスレフ型の波形の違いをどう思われますか。波形の違いなんて「コマケー」違いでしょうか?
例えば今のアンプを100万円のアンプに変えても、こんな雑な測定で分かるような違いが出るとはまず思えません。ましてや電線を変えた時の変化量に比べたら、天変地異くらいの大変化ではないでしょうか。

以上をまとめてみます。

1) ピチカートベースの信号を再生した場合の再生音波形には、密閉型とバスレフ型で明らかな違いが確認できました。この信号に対しては、密閉型の方が明らかに高い信号忠実度を示しました。バスレフ型では音の出だし(トランジェント部)の波形に顕著な崩れが見られました。つまり「タイムドメイン」的に劣るという事です。

2) 同じ信号に対してアンプ内蔵のアナログ式トーンコントロールとFrieveAudioのデジタルイコライザーで同等量のブーストを適用した場合、スピーカーから再生される音波の信号忠実度は、明らかに後者の方が優れる事が分かりました。

また、僕の基本コンセプトである密閉型スピーカ+デジタルブーストの優位性も改めて確認できたと思います。

今まで、どうしてもバスレフの音に馴染めずに違和感を憶えていたのですが、波形を見てもやはり少し変な事が分かりました。もう少し下の70~80Hzでも測定してみたかったのですが、適当な信号が見付かりませんでした。このように小型のスピーカーをバスレフ型にすると、ポートの音域がベース帯域にもろに被さりますが、大型スピーカーでポート帯域を50Hz以下に持ってゆければ、違和感はかなり解消できると思います。

世間に出回っているスピーカの大部分はバスレフ型ですので、それに馴染んだ耳には密閉型は「地味」「響かない」「沈んだ」感じに聞こえるかもしれません。しかし暫く耳を密閉型に馴染ませた後にバスレフ型に戻すと凄く「癖」のある音に聞こえると思います。自動音場補正でも使い始めは違和感を覚えるのですが、一度馴染むと手放せなくなるのと似ているかもしれません。

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2009年05月31日 (日) | Edit |
以前の記事に何度か書きましたが、僕の場合、バスレフ型ではジャズのピチカート ベースの音にどうしても違和感を感じてしまいます。逆にクラシックのオーケストラを聴く場合はバスレフ型の方が好ましく聞こえます。今回はこれについて考えてみます。

僕がバスレフに対して敏感な理由の1つは、スピーカーから近い距離で聴いている事に起因するのではないかと考えています。

バスレフポートからの音と振動板前面からの音の間には周波数によって変化する位相のずれがあり、ある周波数から下では位相が逆転してしまいます。一般的なステレオ装置のセッティングで聴く場合、リスナーはスピーカーからある程度の距離を置くため、特に低域においては部屋からの反射音の影響を近接距離で聴くよりも強く受けます。反射音は様々な経路を通って耳に届くため、最短距離で届く直接音に対して様々に遅れた位相を持ちます。従ってこのような条件で聴く場合には、バスレフポートの位相差はそれほど目立たなくなるはずです。
しかし僕のようにニアフィールドで聴く場合は反射音の影響が弱まるために、ポートの位相差が上記よりもはっきりと感じられるのではないかと考えられます。

もうひとつは、ジャズのベースラインの聞こえ方を重視する僕の癖が影響していると思われます。
クラシックのコントラバスは基本的に弓弾き(連続音)ですが、ジャズではピチカート(断続音)を多用します。パルシブな音では位相遅れの影響がより大きく感じられるはずです。バスレフ型でピチカート ベースを聴くと、弦を弾いたときの「ボン」という主体音に混じって「ボー」という感じで主体音とは分離したような不自然な低音が聞こえる事があり、これがバスレフ嫌いの最大の要因になっています。多分距離を置いて聴けば反射音と混じり合って気にならなくなるのかもしれません。

一方、クラシックのオーケストラを聴く場合にバスレフの方が好ましく感じられる点については、位相の遅れた低音が含まれる事によって擬似的な反響音(エコー)の効果が得られるためでは無いかと考えています。密閉型を近接距離で聴くと、オーケストラの低音の響きがソリッドすぎて味気なく感じる場合がありますが、音階情報の希薄な50Hz以下でバスレフ効果を使用する事によって、この傾向が和らぐように思えます。クラシックの場合、50Hz以下の信号は交響曲でも強くないのですが、「響き」の奥行きや広がりを再現する上でとても重要な帯域ではないかと思います。この部分をバスレフポートに受け持たせると響きの広がったような良い感じに聞こえます。

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