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2012年10月23日 (火) | Edit |
今回は密閉箱でのテスト結果を簡単にご紹介します。

Arrestorの作動を確認するために、最初は密閉箱に取り付けた状態で試験を行ったのですが、密閉箱ではArrestorの作動を明確には確認できなかったため、オープンエア状態での試験を行ったというのが、そもそもの経緯です。

密閉箱では内圧が働くため、オープン状態とは挙動が少し異なります。

Alpair6でボリュームを同じにして比べてみました。
A6M Open 2-3 A6M Sealed 2-3
IconAMP全開で、パッシブプリが約2/3の位置です。左がオープン右が密閉(2.5L)。密閉では内圧が働くので、同じ入力であれば少し振幅が下がって歪みが減少するように見えますが、波形のパターンが大きく変わるという事はなさそうです。

さて、限界ブリブリ試験の結果です。

まずはAlpair 6M
下はオープンでArrestorにヒットした時の波形です。
A6M Arrestor copy
Alpair 6MのArrestorは振動板振幅がコイル長を大きく超えないとヒットしません。もう少し浅くしても良いかもしれません。

下は密閉箱(2.5L)でArrestorにヒットしたと思われる波形です。
MM 0dB 40Hz
赤がArrestorあり、青がなしです。40Hz/0dB信号、IconAMP全開、パッシブプリも全開!(つまり僕のシステムの完全フルパワー条件)でやっとヒットしたみたいです。完全に3次の波形になっています。超ブリブリ!いゃぁぁぁ。。。怖かったです。。が、別に壊れたりはしませんでした。。。今も元気に鳴っています。

下は同じくフルパワー状態でのAlpair10の波形です。密閉箱の容積は4L。
Arresto 4_4
さすがのAlpair10も超ブリブリです。赤がArrestorあり、青がなし。Arrestorがヒットしたようには見えませんねぇ。。。。

下は、限界よりもボリュームを上げた時のAlpair 10の波形の変化を示しています。
A10 7_8
信号は全て40Hz/0dB、IconAMPは全開です。
青がパッシブプリが約3時の状態。オープンでは、この状態からボリュームを少し上げるとArrestorにヒットします。しかし密閉箱では、ここからボリュームを上げると波形が一気に崩れて緑の状態になり、フルボリュームで赤の状態になりますが、赤の状態でもArrestorにヒットしているようには見えません。

ついでに他の13cmウーハと同じボリュームで比べたデータも。。。
13cm woofer 3_4
13cm woofer 4_4
説明は不要ですね。

今回のデータは以上です。

40Hzのフル信号を入力してフルパワー(24W)をかけると、波形は殆ど3次成分だけになりますが、ドライバはへっちゃらでした。40Hz信号程度では、コイルが勢い余って過剰に飛び出す事は無いようです。ブリバリっと破壊するには、とんでもない信号レベルをステップ状に印加してコイルを一気に加速する必要がありそうです。僕が壊した時は、アンプのボリューム位置から考えてスピーカへの入力は100Wを大きく超えており(100Wステレオアンプをブリッジモードで使っていた)、その状態でアンプの入力信号ラインをブチッと抜いたので、凄まじいステップ信号が発生したのでしょう。もし壊れたら完全にユーザーの責任ですね。

お気づきだと思いますが、Alpair 10の歪み方は、今回テストした他のドライバとは大きく異なります。
他のドライバでは三次歪みの増加に伴って、
正弦波が尖り始める → 三角形 → 中腹が痩せ始める → 中腹が凹む → 波形が3山になる(ブリブリ)
といったパターンを見せますが、Alpair 10だけは完全に破綻するまで3次歪みはあまり顕著ではなく、全く突然に波形が崩れます。一体何が他と違うのでしょうか???不思議です。

他のドライバでは、振幅が大きくなるにつれて3次歪みが顕著に増加します。3次歪みは耳障りですので、できるだけ抑えたいところです。Daytonウーハのように、線形限界(Xmax)よりも随分小さな振幅であのように3次成分が多くて波形が三角では困りますよね。普通のウーハーってあの程度なのでしょうか???

そこで次回は、なんで3次歪みが増加するのか?ナニユエ波形は三角になるのか?ドーシテ波形は尖りだすのか?を簡単なシミュレーションを使って解明します。なかなかオモシロイですよ。オッタノシミニ!

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2012年05月08日 (火) | Edit |
今回は最終型ZAPシステムの計測結果と設定についてご紹介します。

final3.jpg
調整は「Gain」(音量レベル)、「Freq」(ローパス フィルタのカットオフ周波数)、「Phase」(正相/逆相の選択)の3箇所で行います。

Mode 1:  Frieve Audioを使わない場合
いわゆる一般的なアドオン式サブウーハとして使う場合の設定です。これはiTune、ネットラジオ、DVDやCDの直接再生等、Frieve Audioを介さない再生用に使います。マドンナを聴きながら聴感で良さそうな設定を探した後に測定してみました。
Final0011.jpg
青がAlpair 6Mのみ。赤がAlpair 10をアドオンした状態です。正相で接続しています。クロスオーバーは約100Hz。40Hzまで十分に再生してくれます。

Mode 2: Frieve Audioを使う場合
1本の小径ドライバで音楽のほぼ全帯域を位相遅れ皆無で再生してしまうという、他では得られない馬鹿ブースト方式の良さをできるだけスポイルしないように、50Hz以下の超低域だけをサブウーハで補うモードです。50Hzまでのブーストであれば、Alpair 6Mは十分な再生能力を持っており、大信号時に問題が生じる50Hz以下の超低域だけをサブウーハで補います。Alpair 10は、例の「春の祭典」の超絶バスドラ(35~40Hzのほぼフルスパン信号)も難なく再生してくれるので、矢でも鉄砲でも持ってきやがれです。
final002.jpg
青が50Hz~8kHzでフラットに補正した状態、赤がこれにサブウーハをアドオンした状態です。「Freq」(サブウーハーのカットオフ周波数)は最低位置(左に回しきった状態)です(実際のクロスオーバーは約50Hz)。「Gain」は上記の1)の場合と同じです。こちらも正相で接続しています。今までイロイロ試した中で間違いなくベストの結果が得られました。

小音量で聴く場合、人間の耳には低音が聞こえ難くなりますが、サブウーハを調整する事によって簡単に補正できます(ラウドネス補正)。プレートアンプの操作パネルを背面ではなく前面に向けて取り付けたおかげで、例えばベースラインが聞こえ難いなと感じた時に、仕事を中断する事なく左手をちょいと伸ばして調整できるので頗る具合がヨロシ。 基本的にMode 1では「Gain」を調整し、Mode 2では「Freq」を調整します。窓を開けて仕事する事が増えるこれからの季節、音量をあまり上げられないので重宝しそうです。

という事で、ZAPシステムの開発はここに完全終結しました。

今までの経験から、これ以上イヂッテも、ちょいとした気分や体調や環境騒音等の変化でグルグル同じところを周りそう(富士の樹海)なので、あくまでも「音楽」を聴くための「道具」として扱う場合、これ以上深入りせぬ方が賢明との判断です。

諸々の物理的および心理的な周辺条件の変化による音の感じ方の変動幅(耳の聞こえ具合だって血圧や気圧によっていつも同じではない)に埋もれてしまいそうな微小なオンシツのチガイに拘り始めるとキリがありません。例えば、二者を短時間で切り換えて直接比較すれば、微小なチガイを聞き分けられるのでしょうが、一部の楽曲のそのまた一部のパートを聴き比べて、その時の「好み」や「気分」でどちらかの方が「良い?」として選んだとしても、その差が極めて微小であり「良い?」の基準ももっぱら主観によるため、さらに、比較の条件が限られているため、周囲条件や体調や気分や楽曲が変われば、また違って感じられ、結局、何かを変えてはまた直接比較して「良い?」方を選ぶといった行為をひたすら繰り返すはめになり、「良い?」の拠(よりどころ)となる確たる基準もないため、どんどん高額商品に手を出し(値段だけは数値で表せる、「高価な方が良い?はず」という思い込み)、それでも少しずつ確実に「良い」方向に向かうならまだしも、所詮はその時々の「好み」や「気分」の問題なので、一周して元と同じような状態に戻っても気付かず(しかし装置は確実に高額になっている)、何周でも同じところをグルグル回る富士の樹海を彷徨う事になりがちではないかと思います。まぁ、それ自体を「趣味」とするならば、それが楽しいのであれば、それはそれで結構な事だと思いますが、あくまでも実用道具として扱う場合、その轍を踏む事は絶対に避けたいものです。

本システムはオーディオ自体を「趣味」とするヒトビトが求めるいわゆる主観的な「良い?音」(「ヒビキカン」「オンジョーカン」「リンジョーカン」「クーキカン」「オンガクセー」「ジョーカンノツタワル?」「ゲージツテキナ?」「イヤサレル?」等の嗜好的、趣味的、表層的、付帯的なナンタラ感やカンタラ感)は一切持ち合わせていません。媒体に記録されている音楽情報をできるだけ正確に、余計な事をせず素直に「耳」に届ける事を旨としています。手っ取り早く言えば、カナル型イヤフォンの聞こえ方に近付ける事を目標としたという事です。

装置ソノモノへの拘り、微細な表層的オンシツのチガイの聞き分け、「あたかも生演奏のような」リンジョーカンやオンジョーカンのツイキュー等に興味はなく、媒体に記録された「音楽」(表現者の表現の結果、音楽のホンシツ)を専ら興味の対象とする場合、そのように素直に再生するのが最も「音楽」を聴きやすく、従ってホンシツにアクセスしやすく、自然で違和感がなく、従って本来の「調和」を保って美しく聞こえ、長時間聴いても疲れず飽きないというのが、3年間イロイロやった上でのハチマルの結論です。基本的にオーディオ装置には、表現者と鑑賞者の間のコミュニケーションを媒介するためのインターフェイスとして、正確に機能する事を第一に求めます。

「良い?」オトとやらで鳴らすために、あるいはオンシツやリンジョーカンをツイキューとやらするためにオーディオ装置を使うのではなく、アーチストさんが遺してくれはった音楽表現に素直にアクセスするためにオーディオ装置を使うと言う事です。全くアタリマエですが。。。

ご覧のように、このような超小型の密閉型システムでも40Hzまで難なく再生できます。このような装置は、大多数のユーザの現実的な使用環境において、巨大で高額なハイエンド装置よりも、「真の意味」での高い再生クオリティで、「音楽」をリスナーの耳に届ける事ができるでしょう。すなわちリスナーは「表現者の行為の結果」をより容易により深く受け止める事ができるでしょう。

マンションの一般的な個室であれば、余程の大音量を求めない限り、このクラスのシステムで全く十分だと思われます。だいたい、ご近所や同居人の事を考えれば、また、一般家屋の構造を考えれば、100dB近い大音量を鳴らせる環境などめったにないはずですし、再生音楽をそのような大音量で鳴らす必然性についても甚だ疑問です。音楽演奏専用に入念に設計された広々としたホールとは音響的および心理的に全く異なる一般家屋の、平行面で囲まれた直方体の小さな閉鎖空間の内部で、そのような大音量を鳴らせば、真っ当な感覚を持った人間であれば苦痛に感じて音楽を楽しむどろこではないでしょう。ほとんど拷問です。もちろん健康にも良いわけがありません。

追記
あえて「音」で「遊ぶ」なら、直熱式の真空管アンプを使ったモノラルシステム(一体型のラヂオみたいなのも良いかも、iPod用)を一度試して見たいとは思いますが。。結局使わなくなりそうで。。。ガラクタ増えるの嫌だし。。。。とりあえずTU-870 (モノラル化)とAlpair 6P (タンデム)で試してみるかな? そのうち。。。

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2012年05月06日 (日) | Edit |
久々のオーディオねたです。今日は写真だけ。

重い腰を上げてZAP BAS君をお化粧直ししました。これで完成!

final5.jpg
final1.jpg
バッフルにZAP本体と同じ本革を貼りました。本体の方はグレーで塗装していますが、こちらは未塗装のチョコレート色のままです。

final99.jpg
アンプの筐体を合板で自作して側面に固定しました。もう少しコンパクトにまとめたかったのですが、これが限界です。後方は電源トランス。天井にはクッションシートを貼って、上に物を置けるようにしました。

final3.jpg
操作パネルはインクジェットで作成。

これが3年間やったLEANAUDIOトライアルの結論。「音楽」を聴くだけのための必要にして十分なミュージック マシーンの完成です。iTuneやネットラジオ等、ソースを選ばずに十分な低音まで再生できます。Frieve audioを使う時は、基本的に8kHz~50Hzの範囲でフラットに補正し、50Hz以下の領域でサブウーハーをほんのりと効かせるといった使い方に落ち着きそうです。通常のジャズやロックでは大した効果はありませんが、春の祭典やマドンナ等の超低域に強い信号を含む一部の楽曲では具合よろしく聞こえます。次回は計測結果を交えて、そのへんをご紹介します。

追記1
連休中に不要物を思いっきり処分しました。大量に保管していた写真プリントは、コンテスト受賞作品やギャラリー展示作品を残して全て廃棄(全て画像データで残してある)。すさまじい量があったので、部屋の収納スペースが一気に広がりました。3年間でたまったオーヂオ関連のガラクタも一気に処分。改造したプレートアンプが正常に作動する事を最終的に確認できたので、不要になったチャンデバと業務用アンプも読者プレゼント用に既に梱包しました。これに関しては近々お知らせします。オタノシミニ。

追記2
5本指シューズに薄い中敷きを入れたところ舗装路でも走れなくはない状態になりました。それで調子に乗って野川公園までの一般道も5本指を履いたまま走って行ったところ、帰り道で右足のふくらはぎ(内側上部)に軽い肉離れを起こし、バスで帰宅しました。普段の生活にたいして支障はないのですが、違和感が完全になくなるまで、おそらく1月かそれ以上はランニングを控えた方が良さそうです。ネットで調べたところ、5本指シューズを履き始めた頃にふくらはぎを痛める方が多いようです。今まで使っていなかった足指(特に親指)を積極的に使うようになるので、鍛えられていなかった部位に負担がかかるためだと思われます。ということで、先週からスイムを再開しました(ほとんど半年ぶりです)。2kmくらい泳ぐのですが、最近の筋トレのおかげで明らかに速度が上がっています。ライバル?のオバチャンにあおられる事ももうありません。

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2011年11月02日 (水) | Edit |
今回はマークオーディオのAlpairについて、思うところを書いてみたいと思います。

僕は基本的に「オンシツ?」ではなく「音楽再生クオリティ」を求めると書きました。そうすると、キツイ音、死んだ音、楽しくない音、ジョーカン?とやらの伝わらない音、ウツウツとした音、ゲージツ的?ではない音、カラダに良くない音?癒されない音を、やせ我慢して聴いているのではないか?と思われるかもしれません。しかし、僕が主観的に感じるオンシツでは、付帯音等を徹底的に除去して素直に再生した音の方がずっと自然で美しく響くように聞こえますし、長時間聴いても疲れません。逆に、装置で響かせた場合、様々なジャンルの曲を聴いているうちに、なにがしか不自然さや不快感を覚えて耐えられなくなります。

ただ、最近になって、LEANAUDIOのアプローチを振り返ってみると、付帯音の徹底除去にせよ、馬鹿ブーストにせよ、Alpairを使用したからこそ可能であったのではないかという気がしないでもありません。例えば、以前の記事に書いたように、F80では吸音材を入れる事を嫌いましたし、恐らくF80でもブーストを試みたはずなのですがAlpair5のように深追いはしていません (よく覚えていないが、自分の性格上一度はぜったい試したと思う)。果たしてAlpair以外のドライバでもLEANAUDIO方式でこのように良好な結果が得られるのかどうか。。。もしかしたらAlpairというドライバが非常に特殊なのではないか?という気が最近しています。

実は、開発者のMark Fenlon氏(以下「マークさん」)には、来日された際にお会いした事があり、実に楽しい時間を過ごす事ができました。僕の技術屋としてのキャリアも既にご存じでしたので、お会いした瞬間からお別れする瞬間まで、僕にとってはほんとに久しぶりのテクニカルなディスカッションを存分に楽しむことができ、時間はあっという間に過ぎてしまいました。

マークさんは一言で言って、純粋熱血系一直線技術屋です。食事中でも突然なにか思い付くと、ナプキンにスケッチを殴り書きしてこれどう思う?といった調子で、24時間スピーカの事ばかり考えているという感じでした。僕も現役時代は同様でしたので、すっかり意気投合してしまいました。

で、Alpairの開発について。。。。お互い技術屋同士の会話という事もあったのでしょうが、マークさんからは感覚的な発言は記憶する限りほとんどなく、全く透徹した技術的アプローチをされているように見受けられました。特に「F1エンジンの開発と全く同じだよ」と強調されていたのが印象的でした。必要な剛性を維持しながら運動系を徹底的に軽量化し、運動のロスを徹底的に低減しつつ(コンプライアンスを徹底的に高めつつ)付帯的な好ましくない運動や振動を徹底的に抑え込み、そのために各所の構造と材料を徹底的に吟味し、さらにフレームが発する付帯音まで除去する(プラスチック製フレームを使うのはこのため)。そして、これらを高いレベルで達成するために、共通部品を一切使用せずに全ての部品を専用設計する。

要は、電気信号を音響波に変換するトランスデューサとしての性能を、偏執狂的とも言える執念でもって、徹頭徹尾理想に近付けようとした結果がAlpairであると、僕には感じられました。もちろん、最終的には音楽を再生して耳で評価するのは言うまでもありませんが、そこに至るアプローチが技術的に極めて透徹しているという事です。まさにF1エンジンの開発と同じです。マークさんならきっと優秀な(すなわちクレージーな) F1エンジン開発者にもなれたと思いますよ(お父上はジャガーのV12の開発に携われたとのこと)。

特に最近のAlpairモデル(6以降だったと思う)では、部品が非常に繊細であるため、1個ずつ日本人技術者が組み上げているとの事。特にスパイダは、マークさんが突きつける無理難題に答えて日本人技術者(Mさんにもお会いできました)が開発した、マークさんご自慢の逸品のようです。あまりに薄すぎて従来の工法では固定できず大変苦労されたそうです。こんな生産体制で、よくあの価格で提供できるものだと驚かされます。

僕はAlpair以外の最新高性能ドライバを実際に使ってみた事がないため確たる事は言えませんが、マークさんにお会いして以来、Alpairは市場に現存するドライバの中で間違いなくOutstandingな存在であろうという確信を益々強めました。尋常ならぬ純粋な熱意とお人柄から、フィデリテムのナカジマ氏はじめ、日本人技術者が集結してマークさんのために尽力しているというのもよく分かります(マークさんの要求に応えるのはほんと大変だろうなぁと思いますよ)。技術的に突っ走るマークさんをコントロールするナカジマ氏のご苦労も(と同時にお喜びも)ヒシヒシと感じられました。そもそも僕は、Alpair5デビューの頃のカタログ写真を見た瞬間に、こいつはタダモンじゃねぇ!と直感したわけですが、その技術屋的直感が正しかったという事ですよ。うん。

追記1
日本のFeastrexもタダモンじゃねぇ!と思うのだが、コーンが紙である事と、あの凄まじい磁気回路のお値段のせいで手が伸びない。ただ、純粋な興味として、メタルコーンAlpairの運動系とFeastrexの磁気系を組み合わせたら、一体どんな事になるのか興味がある。マイルスとジャコの共演みたいな。。夢の競演だね。

追記2
そもそも、ソースを正確に再生する以上に「ウツクシク」聞こえるというのは、どう考えても眉唾だ。箱を響かせたりして付帯音を加えるという事は、ソース本来の音を人工的に「補う」という事だが、あの精妙極まりない形状をした様々な楽器から発せられる複雑多様極まりない音を再生装置で人工的に補おうとて、そいつぁ無理な相談ですぜダンナ。ではないのか? たとえ一部の楽器の一部の帯域をタマタマ良い具合に付帯音で補えたとて、その他の音では邪魔になるだけではないのか?。それは楽曲や環境条件や気分によって如何様にも左右される富士の樹海というやつではないのか? そんな誤魔化しではなく、ドライバのセンシティビティ(運動系の軽量化とコンプライアンス(動きやすさ)の改善)を徹頭徹尾進める事が重要なのではないだろうか?

F80とAlpair5の経験から考えるに、付帯音を消すと音がウツウツとしたり死んだりするのは、ドライバがきちんと信号を音に変換できていないからではないのか?どう考えても、録音された音そのものがウツウツとしてたり死んでたりするはずは無かろうと思うのだが。。。

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2011年10月30日 (日) | Edit |
前の記事からの続きです。

「アーチストさんの言うてはるコト、やらはったコト」を漏らさずしっかりと聴き取って感じ取りたいというのがLEANAUDIOの最も基本的なモチベーションであると書きました。基本的にオンシツ?ではなく音楽再生クオリティを求めるという事です。

LEANAUDIOはそもそも、カナル型イヤフォンで音楽を聴いてショックを受けた事に端を発し、以来その聞こえ方をリファレンスとしてデスクトップシステムを開発してきたという事は、今まで再三述べました。また、マイクロフォンと同等あるいはそれ以下の極小ダイアフラムを使用し、ダイアフラムと鼓膜との間で密閉された極少量の空気だけをドライブするイヤフォンあるいはヘッドフォン方式は、ダイアフラムとリスナーの間に部屋という巨大な影響を持つ音響空間が介在し、その巨大な量の空気を駆動するためにマイクロフォンに比べて巨大な振動板を巨大なパワーで駆動せねばならないスピーカ方式に比べて、原理的に圧倒的に高音質である(音楽再生クオリティが高い)という事も述べました。ただ、仕事中に長時間イヤフォンやヘッドフォンを装着する事は耐えられないため、デスクトップシステムの開発に着手したという事です。結果として、従来のスピーカ方式とヘッドフォン方式の中間的存在である超ニアフィールドスタイルに帰結したのは当然の成り行きと言えるでしょう。

その経緯を振り返ってみたいと思います。

当時使用していたDENONのCD/MDコンポのスピーカは、結構立派に見える2way/13cmウーハー/6Lバスレフ型でした。しかし、カナル型イヤフォンの正確な再生を知った僕には、とても耐えられる代物ではありませんでした。メチャクチャ音が不明瞭(ブワブワのモゴモゴ)で音楽を聴くに堪えないため、こいつを破壊した時点からLEANAUDIOトライアルが始まります。

dmg33m.jpg
DENON ラビシアDMG-33というやつでした。口コミでは評判良かったのですが。。。

それまでに使った装置の中では、おそらく3"クラスのフルレンジを搭載していたであろうSONY製の高級な一体型CDプレーヤZS-F1が最も聴きやすかった事から、3"のフルレンジドライバが良かろうと判断し、これを破壊したスピーカボックスに取り付けてバスレフ型を作製しました。このスピーカボックスは低音再生時に不快極まりない振動を出す事が分かっていたため、徹底的に補強も加えました(このため容量は6Lから4Lに減少)。

zs-f1.jpg
名機とは知らず酷使したSONY ZS-F1。
多くのスタジオでモニタ用として使用されたらしい。いまだにエッジを貼り替えて使っている人もいるようだ。捨てるんじゃなかったなぁ。。。

各種3"ドライバを試聴した上でF80AMGメタルコーンドライバを選択し、バスレフのチューニングに手を尽くしました。しかし、カナル型イヤフォンで本当の低音ビートを知ってしまった僕には、どうチューニングしても低音(特にピチカートベース)の聞こえ方に満足できず、よく聞こえるようにしようとするとポートに吸音材を少しずつ詰める事になって、最終的に密閉型になってしまうというプロセスを何度も繰り返しました。容量が大きすぎるのかと想い、2.5Lのポチ型ボックスを作って、背面ポート、側面ポート、スリットダクト、超ロングダクトと手を尽くしましたが、結局徒労に終わりました。

という事で、バスレフ型はあきらめて密閉型とし、低音の不足を補うために小型のパワードサブウーハーを購入し、最初はblue skyの言うように床に置きましたが、デスクトップに置いた方が断然自然に聞こえたため、デスクトップサブウーハー方式でしばらく満足して聴いていました。この頃は計測しておらず、専ら聴感によるチューニングをしていました。

ただ、サブウーハーが正しく調整できているのか計測したくなり、ネットでいろいろ調べた結果、Frieve Audioという素晴らしいソフトウェアに出会うことができました。サブウーハと組み合わせた状態で音場補正を適用する事により、30Hzまでフラットなレスポンスおよび位相特性が得られ、目標としていたカナル型イヤフォンの聞こえ方に一気に近付く事ができ、LEANAUDIOの基礎が固まりました。

002b_20111030121834.jpg
なつかしいなぁ。サブウーハーのポートは最終的に粘土で塞ぎました。

その後、F80の明瞭さにやや不満を覚え、ツイータ等を追加してみたりした後に、Alpair5と出会い、そこから馬鹿ブースト+吸音材タップリという第2段階が始まった事は、最近の記事で述べた通りです。元々サブウーハーの使用を前提にAlpair5を選んだため、ブースト時の超低音のタフネスには限界がありましたが、逆に限界の低いAlpair5であったればこそ、ブースト方式に関する様々な知見を得る事ができました。

さて、Frieve Audioの音場補正とAlpair5の馬鹿ブーストにより、「音楽」の聞こえ方はますます目標とするカナル型イヤフォンに近づきましたが、僕自身、なんでこんな事が可能なのか、こんな極悪非道な方式で本当にまともに音楽を再生できているのか検証する必要性を感じたため、この頃からソース信号の解析や、スピーカからの音響波形の解析を試みるようになりました。

計測した物理特性ばかりに頼って開発したかのように思われがちなのかもしれませんが、最終的に馬鹿ブーストに辿り付くこの時点まで、計測と言えば、Frieve Audioの音場測定だけしか行っていません。これによって部屋の定在波の凄まじさを知ることができ、ニアフィールドリスニングの優位性を確信しましたが、それ以外は「聞こえ方」(主に違和感、不快感、不明瞭感を感じないかどうか)を頼りに開発を進めてきたという事です。ただ馬鹿ブーストが十分に実用に耐えると確信した時点で、それまでのLEANAUDIOアプローチの妥当性を後追いで確認しただけの事に過ぎません。

225_20111030122018.jpg
サブウーハーを撤去、F80はスタンドとして使用

なお、このような評価では、少なくともスピーカからの音響波形、理想的にはリスニング位置での音響波形(すなわちシステムの最終出力点)で評価する事が重要です。アンプでいくら矩形波が正確に再生されたとて、スピーカは絶対に矩形波の音響波形を出力できません。最も最初の入力である「ソース信号波形」と最も最後の出力である「リスニング位置の音響波形」を比較評価する事によって本当のシステム全体の再生クオリティを評価できるという事です。基本的に、電気信号を機械運動に変換してさらに音響現象に変換しなければならないスピーカがハードウェア システムのボトルネックとなり、さらに、スピーカとリスニング位置の間には、如何ともし難い厄介極まりない部屋という空間が介在し、特に低音の波形を大きく歪ませます。つまり、アンプ出力点(スピーカ入力点)からリスニング位置までの間の伝達関数が「音楽再生」に最も大きく影響するという事です。現代の技術で作られたアンプの歪みや周波数特性で究極を極めたとて、システム全体に対する影響は微々たるものでしょう。だからイチマンエンのアンプとサンビャクマンエンのアンプをブラインドで評価したらイチマンエンのが勝ってしまうてな事は条件次第でいくらでも有り得ます(でも真空管アンプはスピーカに次いで音の好みに合わせたセレクションを楽しめる因子だとは思う)。

Frieve Audioの自動音場補正は、ソースからリスニング位置までのシステム全体の伝達関数(ゲインと位相)を正確に補正(すなわちキャリブレート)してくれるという点で極めて理に適っており、真っ当に「音楽」を聴こうとする者にとって必須の機能であると言えます(オンシツ?ではなく音楽再生クオリティを飛躍的に高めてくれます)。

ちょっと脱線しました。話を元に戻します。

一連の追認試験の結果として下記を確認できました。

- バスレフポートによるピチカートベース波形の崩れ、位相遅れ
- アナログフィルタの位相遅れによるピチカートベースの波形の崩れ
- 吸音材を入れない場合の箱の定在波の発生(これは振動板を透過して前面に放射される)
- 吸音材を大量に入れる事により、ドライバの機械的共振が抑制されること(特に真空管アンプで顕著)
- Frieve Audioで補正したピチカートベース波形が位相も含めてソース信号波形に極めて正確に一致すること
- Frieve Audioの位相補正によってアナログフィルタやドライバ自身の影響で遅れた低音を極めて正確に補正できること

以上の結果は、「音楽を聴いている時に違和感を覚えた現象は波形で簡単に確認できる」という事、また、「音楽の聞こえ方を頼りに実施してきた各種方策によってそれらの問題が正しく解消された」という事を如実に示してくれました。また、これらの多くは、主に低音再生に関するものであり、この科学技術が進んだ現代においてすら、一般家庭用オーディオ装置が未だに抱える「音楽再生装置」として未解決の根幹的(カンセーがアーダコーダ言う以前のずーーーーと基本的な)かつ巨大な問題であると言えます。僕が最近オーヂオに手を染めて以来、未だに不思議なのは、アナログだ、デジタルだ、デンセンだ、ハイレゾだ、超高音だ、ナンチャラ感だ、ナンダカンダとやたらコマケー事に拘る以前に、「オンシツ?」にさして拘らぬ僕ですら「音楽」を真面目に聴こうとした時に「聴感」で確実に違和感や不快感を覚えた上記の「音楽再生クオリティ」上の根本的大問題に、業界もマニアもさして目を向けようとしないという点です。なして????

僕は何もブツリトクセーとやらを頼りに開発してきたわけではありません。上記問題はデスクトップシステムの開発に着手して真っ先に「聴感」で違和感を覚えて対策した現象であり、それを後から計測で(といっても極めて雑で簡単な方法で)追認したに過ぎません。これらはカンセーだブツリトクセーだがどーだこーだのレベルの問題ではなく、あまりに明白な超基本的問題です(というかずっと放ったらかしにされてきた超古典的問題。僕が中学生の頃に読んだオーヂオ誌にアタリマエのように書かれていた問題)。。わざわざ御大カンセー様のお出ましを願う程のものではゴザイマセン。ホンマニ。

例えば、メタルコーンのAlpair6Mと紙コーンのALpair6Pを自動音場補正でフラットに補正すれば、全く同じF特で比較できますが、やはり「音調」は微妙に異なります。この違いを波形で明らかにしようなどとは微塵も考えた事はありません。余程精密な計測をしない限り明らかな事は分からないでしょうし、それが分かったとしても、僕は「聴感」で好ましく感じられるメタルコーンを選ぶ事に変わりないからです。

また、僕は正弦波の再生を評価する際に、高調波歪み率が何パーセントかという値を提示しません。波形を見て「概ね」見慣れた正弦波の形をしていれば、音の方も「概ね」正弦波のブー音に聞こえるからです。これは明らかに正弦波ちゃうねと言える程度に波形が歪んだ時は、明らかに音も異なって聞こえます。同様に、実際の楽曲のビートの再生波形が「概ね」ソース波形に一致すれば、「概ね」カナル型イヤフォンで聴くのに近いビシッとタイトな気持ち良いビート音に聞こえます。それ以上精密な測定を行って深追いしても実用的なメリットはたいして得られないでしょう。必要十分な「概ね」を見切る事がいずれの場合も重要です。

もちろん「音楽」に限らず芸術は感性の領域です。これを楽しむにあたり、まずは「理性」や「知識」は邪魔ものとなります(だから僕はモードチェーンジする)。しかし、これを伝達するためのオーディオ装置は物理法則に従う厳然たる電気機械装置です。基本的に感性の領域は装置の両側(すなわち表現者側と鑑賞者側)にあり、装置は両者の橋渡しをするものです。基本的技術領域において技術者の透徹した理知的アプローチがまず重要である事は言うまでもありません。もちろん、どのような機械であれ(たとえ最新のハイテク戦闘機であれ宇宙船であれ)、そこには人間としての開発者の思想や感性が反映されますし、またメーカとしてのブランドイメージも重要でしょう。それはどの業界も同じです。ユーザはそれらの個性の中から、自分の好みの製品を選べばよろしい。しかし、開発者はいたずらに「カンセー」あるいは「シュミ」の領域に踏み込んで本来の根幹的な部分(いったいこの製品は何のために存在するのか、この製品は社会にどのような貢献をもたらすものなのか、この製品に求められる最も基本的で重要な機能は何なのか、この製品が伝達しなければならない音楽とはいったい何なのか)での進化を疎かにしてはならないと思います。

オーティオ装置とは何もオーディオそのものを趣味とする人々のためだけにあるのではないという事です。鉄道でも、カメラでも、時計でも、自動車でも、自転車でも、航空機でも、パソコンでも、最近は一般家電でも、果ては銃器でも兵器でもなんでも、本来の用途とは離れてそれ自体に強い美意識を持ちそれ自体を趣味とする限られた数のマニアと呼ばれる層が必ず存在し、一定規模のマーケットを形成しています。しかしマニア層が好むと好まざるに関係なく、本来の用途でそれを必要とする圧倒的大多数の人々のために技術は進化しています。交通機関に関しては安全性と経済性の追求に終わりはありません。マニアがSLをどのように懐かしもうが鉄道は進化するという事です(リニアの必要性は疑問ですけどね)。中には、これ以上便利にせんでもエーンチャウ?という分野もありますし、兵器なんぞ金輪際進化して欲しくはありません。しかし、民生用オーディオ分野では、人々のために根本的に改善されなければならない基幹的技術領域(ネットワークだ、ハイレゾだあるいはやたらコマケー オンシツ?だ以前の基本的音楽再生能力(小型化/低価格化を含む)の領域)が随分放ったらかしにされているような気がしてなりません。。

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2011年09月06日 (火) | Edit |
結論から申します。ガマ君は失格です。

仕事しながら2日間ほどアレコレ調整しつつ聴いてみましたが、Alpair6Mザップ君(+サブウーハー)がベストと判断。Alpair5ガマ君は残しておいても使用しないだろうという事で潔く撤収。せっかく作ったのに残念ですが使わんモンを置いておいても仕方ないので。。

結局下の写真のようにザップ君+サブウーハーという当初考えていた構成で落ち着きました。
849.jpg
850.jpg

Alpair 6Mのナチュラルな(悪く言えばちょっと地味な)音にすっかり慣れてしまったのでしょうか。Alpair5のキラリとシャープな音を長時間聴くのが辛く感じました。また、アンプがTU-870だとさらにシャラリンキラリンとするので、これにもだんだん鬱陶しくなってきて、最後の方はIcon AMPで聴いていました。しかし、どう調整しても明らかに自分はAlpari 6Mのシットリ控えめな音の方を好むという事がはっきりと分かったという次第です。

今回、A6Mの良さを改めて再認識できたとも言えます。他のAlpairメタルコーン ドライバーを聴いた事はありませんが、A6Mと同じようなキャラクターだとすると、本当に好きな「音楽」をたくさん聴き込むには最適なドライバーだと思います。ちなみに、Alpair 6Mのこの音質的特長は、高音がやや不足気味(というか300Hz~2kHzが少し盛り上がった弱カマボコ傾向)というF特に由来するものではありません。なぜなら僕はFrieveAudioでどのドライバーもフラットに補正して聴いているからです。これは長い時間愛用した後に他のドライバーと比較してみて始めて真に認識できる類の良さかもしれません。

いつもの測定結果です。ほぼリスニング位置での結果です。距離は約65cm。
848.jpg
赤がザップ君単体、青がサブをアドオンした結果です。黄色の帯は35Hz~15kHz/±6dBの領域を示しています。

50Hzのピーク、50~100Hzの落ち込み、180Hzのシャープなディップは部屋の影響、10kHzのディップはドライバーの特性によるものです。これらのディップを除けば、部屋の影響を含むリスニング位置での実効値としては極めて良好な特性が得られていると言えます。これでネットラジオやiTuneをイコライザなしで十分に楽しめるようになりました。

このシステムはサブウーハーをアドオンしています(フルレンジ側はチャンデバを通していません)。前の記事で、アドオン式にすると位相が大きく乱れると書きましたが、今回のサブウーハーの位相遅れはザップ君単体の密閉型馬鹿ブーストの遅れと殆ど同程度しかありません。今まで散々試したAlpair5との組み合わせでは位相が大きく遅れたのに、どうして今回はOKなのか??理由は全く分かりませんが、とりあえず願ってもない結果ではあります。

Frieve Audioで計測した位相遅れ。マイナス(下)側が遅れです。縦軸のスケール値は不明。750Hzのピークはデスクトップの反射の影響と思われる。
852.jpg
ほとんど同じ2本がAlpair6M単体と+サブウーハー アドオン、大きく遅れているのがAlpair5+サブウーハー(アドオン方式ではない)の結果です。Alpair5でアドオンすると、50~100Hzでもっと遅れます。ドシテ?

以上のようにザップ君で極めて良好な結果が得られましたが、Frieve Audioで聴く場合は相変わらず馬鹿ブーストを好みます。特にスピーディーでタイトなジャズは馬鹿ブーストの方が気持ち良く聴けます。細かい音質に集中して聴き比べれば、ブーストによる悪影響も分かるのかも知れませんが、僕は別に「音質」を細かく聴き分けたいわけではないので、「音楽」の全体的な聞こえ方(自然さ、違和感の無さ、聴きやすさ、スピード感)を重視すると、馬鹿ブーの方に食指が動くという事です。

どうもウーハーの低音がダルく聞こえるので、メタルコーン型に交換してみようかと考えています。100Hz以下しか使わないので、Alpair10ではもったいなさ過ぎるため、そこそこ廉価なアルミコーンウーハーを物色中です。交換したら、またご報告しますね。

という事で、今までやってきたデスクトップ スピーカー システムもほぼ終着駅にたどり着いた感があります。
つまり、
「小径フルレンジ(お好みの音調のやつ)」+「小容積密閉型エンクロージャ」+「吸音材たっぷり」+「耳幅配置超ニアフィールド リスニング」+「デジタルイコライザまたは密閉型小径サブウーハ(2.1ch)による低域補強」+「デジタルイコライザによるF特/位相フラット化」+「お好みで真空管アンプまたはDSPによる味付け(ハチマルには不要みたい)」
これが、LEANAUDIOの「ステレオ スピーカー方式音楽再生装置」に対する1つの解答だという事です。

今後はヘッドフォン再生について、ゴチョゴチョやってみようかな?と考えています。

追記
装置の音を評価するに際して短時間のチョイ聴きでは正しい判断はできないという事をつくづく感じる。これは、例えばナニかを交換して「音質」を評価または聞き分けようとする行為は、「本来の実用状態」すなわち「音質」の事など念頭になく「音楽」を聴き込んでいる時の行為とは全く異なるからだと思う。A6Pの交響曲用システムにしろ、今回のAlpair5ガマにしろ、TU-870にしろ、最初は凄く良いと感じたのだが、「音楽」を聴き続けていると「ありゃ?」となって、結局撤収となった。たぶん、その時は気になる一部の「音質」にしか注意を払わず、しかし実際に音楽を聴く時はもっと総合的に音を聴いているからなんだろう。

別にワザワザ細かい音質?の違いを聞き分けたいわけではない。音楽を違和感なくより快適に楽しめる総合的な音楽再生音質が重要だと思う。だって「音楽」を聴くための装置なのだから。

自作の強みは、仕事中でも音楽を聴いている時に「ありゃ?」と感じたら、すぐに対策できる点にある。それを繰り返してここまで辿り付いたのだが、おかげでポチ2型ボックスは、そこらじゅう粘土で穴を埋めた満身創痍の実験君状態。。。そろそろ終着駅も見えたし、新しい綺麗な箱を作らないとね。メンドクサ。。。

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2011年08月16日 (火) | Edit |
もともとの音源が巨大な交響曲を聴く場合、Alpair6Mのニアフィールド馬鹿ブーシステムだと寂しく感じる事があります。かといってAlpari6Pバスレフ(一辺120cmの正三角形配置)だと、左右に拡がり過ぎて音が全体に希薄になり、なんかタヨリナイし、細部を聴きにくい。これだったらA6M馬鹿ブーで聴く方がマシ。。と言うことで、A6Pバスレフも撤去しようと思ったのですが。。。

827.jpg
Alpair5でセンターSPを作って追加してみたところ、なかなか具合良くなりました。このSPボックスは、あり合わせの端材(内径約80mmの塩ビ管、9mm合板、ケロのあまりの合成皮革)で作りました。モノラルではなく左右別々のステレオです。容積は約500cc x 2。もちろん密閉型です。エアコン配管用のシール材と、分厚いフェルト材とガムテープで徹底的に制振しているので全く響きません。

Alpair 6Pは約45°上向きにしています。左右の高音を天井に反射させる事により、左右SPからの直接音の干渉を和らげて自然なステレオ感を得るのが狙いです。これが意外と効きました。ホワンと響いて喫茶店のBGM風になりますがポップス系だと意外とOK。ボーカルも中央に自然に定位します。ただし響き過ぎのホワンホワン。。死の臭い漂うJAZZを聴く気にはとてもなれませんし、肝心の交響曲でも拡がり過ぎ/響き過ぎで密度感が低下してタヨリナイ。バッハの無伴奏チェロなんか全く聴けません。

センターSPは楽団からの直射音に相当する音を追加するのが狙いです。これを加えた事で交響曲あるいはフルオーケストラ曲を聴く楽しさがグッと増しました。今までのLEANAUDIOトライアルの中で最も交響曲を楽しめるシステムに仕上がりそうな気配がします。チャント仕上がったら、塩ビ管に色を塗らないとね。。

さらに6Pバスレフのポートチューニングを変更しました。以前は特性がフラットになるように約50Hzにポートをチューニングしていました。以下、いつものシミュレーションで説明します。
829.jpg
この場合、50Hz以下で位相が大きく遅れ、レスポンスも急減するため、50Hz以下をブーストする事はできません。これでは交響曲を聴くには物足りない。

そこでポートを伸ばして共鳴周波数を約34Hzまで下げました。
830.jpg
100Hz以下がダラダラと下がりますが、デジイコで+10dBブーストするだけで30Hzまで問題無くフラットにできます。問題の位相遅れも大きく改善されます。

下は密閉型です。
828.jpg
上の34Hzバージョンは、密閉型に対して30Hzで+8dBのゲインがり、共鳴前の40Hzでの位相遅れは密閉型とあまり変わらない事が分かります。

以上のように、バスレフ型にデジイコを組み合わせる事により、ポートの同調を思いっきり下げて、ブースト率をそれほど上げずに低域を可聴帯域下限近くまで伸ばす事ができます。すなわち、ポート効果+デジタルブーストの組み合わせで低音を増強する事ができるという事です。

下はAlpair6M + 2.5L密閉です。
831.jpg
小型密閉箱の場合、30Hzまでフラットにするには20dB以上のブーストが必要です。大容積バスレフと長いポートにより、このブースト量を約1/2にできるということです。A6M密閉の場合、ブーストは通常40Hzまで(約+15dB)にしています。

とはいえ低音のタイトさ、スピード感、正確さという点では小容積密閉型(A6M)馬鹿ブーの方が圧倒的に有利です。ジャズは絶対にA6M密閉で聴く方が好きですね。クラシックでも、特にピアノソナタは密閉型で聴きます。ピアノはアタック音ですので、とりわけ低音部は密閉型の方が気持ち良く感じます。チェロソナタやチェロ独奏も密閉型の方が好きかもしれません。響きが加わると演奏が聴きにくくてもどかしく感じます。反面、オーケストラ曲のホールと一体となった低音のウナリは、バスレフ型+センターSPの方が雰囲気良く聞こえます。オーケストラを聴く場合、多数の楽器とホールで構成された巨大な一塊の楽器として聴こうとしているのかもしれません。僕には、交響曲(フルオーケストラ)の再生というのは、以前から特別のように思えてなりません。

さて、最後にお決まりの測定結果をお見せします。全てリスニング位置での測定結果です。全て左右同時に音を出して計測しています。

Alpair 6Pバスレフ、11L、同調34Hz、上向き45°
821.jpg
上に向けたので2kHz以上はダラダラ低下します。部屋の影響で50Hzにピーク、200~500Hzにディップが発生しています。吸音材は以前より少し増やしました(片側4枚から6枚に増やした)。低域もダラダラ低下するので、概ね40万ヘルツの法則に従うカマボコ型となっています。

Alpair 5 密閉、0.5L
822.jpg
200Hz以上は綺麗にフラットです。久しぶりに聴いたけど、やっぱり良いユニットだなぁ。。これでA6Mなみに低音が出てくれたら。。。

Alpair 5 + Alpair 6P
823.jpg
50Hzに部屋のピークがあるので、うまい具合に50Hzまでほぼフラットな特性が得られています(タマタマですけどね)。このためiTuneでイコライザなしで再生しても十分に楽しめます。

アンプですが、A6PにKENWOODのKA-S10(ヘッドフォン用に使っていた)、A5にIcon AMPを使用し、ボリューム位置を両方とも12時の位置にしています(全体のボリュームはパッシブプリのボリュームで調整)。比較的センターを強めに効かせたハチマル好みの設定なので、左右のステレオ感はあまりありません(もともとフルトベングラ盤を楽しく聴く事を目標にしてましたし)。ステレオソースの場合、センターのボリュームを少し下げると楽器が左右に分かれ始めます。このへんはお好み次第。

833.jpg
これ以外にはPC本体だけ。。リーン&コンパクトなシステムです。

832.jpg
ポチ2型の上に置いたスピーカセレクタです。Icon AMPをA6M用とA5用に切り換えます。

次回は、久しぶりにバイノーラル録音してみようかな。。

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2011年08月15日 (月) | Edit |
最近モノラルの聴きやすさが気に入ってずっとモノラルで聴いていたのですが、2週間ほど前にAlpair6M馬鹿ブーをディスプレイ上方の真正面に置けるようにして、仕事の合間にイロイロと配置を試していました。その結果、L/Rの軸間距離を約23cm(ケロと同じ、ほぼ両耳の左右距離と同じ)にしたステレオレイアウトが、ステレオ感をホンノリ感じながらモノラルなみに聴きやすいという結論に達し、写真のようなレイアウトを採用しました。
825.jpg
ポチ2型ボックスの底面同士を付き合わせて合体すると、L/R軸間距離は偶然ですがケロと同じ230mmになります。ニアフィールドだと左右耳の距離と同じくらいのLR距離って聴きやすいのでしょうかねぇ? ケロ開発の時も、聴きやすさを求めてイロイロ試した結果、この距離に落ち着きました。ちょうど小型のステレオラジカセという感じです。ちなみに、上に乗っけているのはスピーカー セレクターと、ディスプレイ清掃用のピジョン君です。

826.jpg
YAMAHA製のスピーカーブラケットを使用して前方の窓枠に固定しました(製品情報)。ジャズを聴くにはコイツが一番。低音までほとんど直射音で聞けるので、タイミングが正確でタイトなベースを存分に楽しめます。ジャコの超高速ベースやマイルス クインテットのロンさんのベースの、スピーディでタイトなウネリというかドライブ感というか、神業的微妙なユラギというか、ソイツを最高に気持ち良く聴けます。やっぱりコレでしょう。ジャズは。ベースとドラムスのインパクトのタイミングがビシッとせんと。ビシッと。。ビシッとしないと酔ったみたいになって気色悪いのよ。

デスクトップ全景です。
824.jpg
Alpair5 + バイアンプ駆動13cmウーハーを撤去したので、レイアウトがすっきりしました。A6M馬鹿ブーストで30Hzまでブーストしても殆どの楽曲で全く問題ないし、こちらの方が低音がビシッとタイトで自然に聞こえるので、バイアンプシステムは全く使用しませんでした。なのでボツ。。。邪魔だし。
ディスプレイのセンターが右にシフトしているのは、オシゴト中に左半分をメイン(正面)に使うためです(左側に翻訳原稿を置いて、右側に辞書(英辞ろう)や参考文書を開く)。左方の小さなディスプレイは音楽用PCのUSBディスプレイです。FrieveAudioやiTuneの操作だけなのでこれで十分。。。

で、Alpair5は窓枠の上(Alpair6Pバスレフの下)に移動しました。なぜかAlpair6 Pは上向いてるし。。
次回はAlpair5 + Alpair6Pバスレフの交響曲用システムについてご紹介します。まだ実験君段階ですが、こいつはナカナカ手応えアリですよ。オタノシミニ。。。

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2011年04月04日 (月) | Edit |
Alpair6 MとPを録音で比較してみました。

箱は例によって2.5L密閉型+吸音材タップリ仕様(ポチ2型)ですので、ブーストしないと低音は出ませんが、箱自体の癖はほとんど皆無ですからドライバの裸の音を聴けると思います。なお、吸音材によってドライバの機械的共振を殺しているので、fo(ドライバの最低共振周波数)の差はほとんど出ていません。カタログデータが測定された標準状態とは条件が全く異なりますのでご注意ください。

今回はできるだけ条件を揃えて録音するために、バイノーラル録音ではなく、1ch (ユニット1本)のモノラル録音としました。FrieveAudioでR/Lをミックスした信号を1本のSPで再生しています。2本のマイクロフォンをSP前方20cmに設置して録音しているので左右の音は基本的に同じです(マイクの感度差によってR側のレベルがやや低め)。

例によってまずは周波数特性
下図はFrieveAudioが自動的に左(M)/右(P)のレベル調整をした状態です。黒がM、赤がP。録音データのR/Lレベルはほぼこの状態です。
713.jpg

Pのグラフを上にずらして低周波側でレベルを揃えてみました。
714.jpg

大まかに言うと、PはややHigh上がりの特性(バッフル面積が小さい事(バッフルステップ)が影響していると思われる)。Mは2kHzくらいまでほぼPと同じ傾向で、それ以上の高域で3~6dB減衰させたような特性になっています(前記事のマークさんのコメントによると、これは意図的に狙った特性)。このためMとPを直接比較すると、Mが高域不足のように聞こえてしまうのは否めません。この小さな箱では、PはややHigh上がり気味になるため、マークさんが言うようにMの方がフラットな特性と言えなくもありませんが、Pに対して2kHzから上だけを削り取ったような特性になっているため、結果としてMは800Hz~2kHzが盛り上がったカマボコ型傾向となっています。この中域の盛り上がりがフラットになっていれば、高域の不足感もかなり和らぐと思われます。今回使用した小さな箱(ポチ2型)での測定結果に限って言えば、高域不足というよりは中域出過ぎと言えなくもありません。また、大きめの箱を使用した場合、800Hz以下の落ち込みが和らぐ(バッフルステップと機械的共振の効果)ため、相対的にさらに高域不足に聞こえる可能性もあります。スピ研さんのAlpair6Mバスレフの測定結果が参考になると思います。マークさんも言うように、6Mには低音の出すぎない(大きすぎない)デスクトップ用の小さめの箱が適していると言えそうです。

では録音データを添付します。各曲でMとPの未補正の音と、FrieveAudioでフラットにした音を録音しました。今回はAlpai6を一般的なバスレフボックスで使用した場合を想定して50Hz/-3dBまでブーストし、50Hz以下を急峻に減衰させています。ご試聴には、できるだけ癖のないイヤフォンかヘッドフォンまたはモニタスピーカをご使用ください。

マドンナ/American Dream
M 未補正
P 未補正
M 補正あり
P 補正あり

マイルス/Freedum Jazz Dance
M 未補正
P 未補正
M 補正あり
P 補正あり

ベートーベン/交響曲No.5
M 未補正
P 未補正
M 補正あり
P 補正あり

ベートーベン/ピアノソナタNo.32
M 未補正
P 未補正
M 補正あり
P 補正あり

補正なしでは、MはPに比べて高域が伸びない感じを受けると思います。また、僕には籠もり気味の「癖」が少し感じられます。これは1~2kHzにある中域の盛り上がりの影響ではないかと思われます(これはポチ2型特有、大きい箱だとスピ研さんのように段差になると思われる)。Mはトーンコントローラかデジタルイコライザで高域を少し上げるなり、中域を少し落とすなりすると、印象がかなり変わると思います。そのような装置をお持ちの方は積極的に試してみてください。

さらに、FrieveAudioイコライザの自動音場補正でフラットにしてしまえば、MもPも差はほとんどなくなります。微妙にPの方が音が明るくMの方が大人しめに聞こえるような気もしますが、ブラインドで聞きわけられるか僕には自信がありません。また、その差が音楽を聴く上で僕にとってはさほど重要だとは思えません。今回のMとPの比較に限って言えば、両者の個性の違いの大部分は周波数特性の違いによるものではないかと思われます。いずれにせよPでもMでも未補正よりもフラットに補正した音の方が僕には自然に聞こえ、非常に音楽を聴きやすく感じます。という事で、デスクトップの馬鹿ブースト用には、ブースト係数を低く抑えられ(相対的に低域が出ているため)かつブースト耐性の若干高いMを基本的に選択しています。近いうちにPを使用したバスレフのスタディを開始する予定です。

追記
僕は別にスピーカーを始めとする装置の音の個性を楽しみたいという気は毛頭なく、できるだけ自然かつ明瞭な音で音楽を楽しみたいだけなので、デジタルイコライザを非常に重宝しています。デジイコを前提とするならば、ユーザー側のスピーカーの選択だけでなく、製造者側の設計面(サイズ、コスト含む)でも極めて大きな自由度が得られると思います。ヴィンテージSPの音を愛でるのも良いと思いますが、そいうのだけがオーディオではないと思います。原点に戻って「生活の中で音楽を聴くための装置」という観点から、新しいオーディオのあり方をもっと考えるべきだとハチマルには思えてなりません。

追記2
録音データを細かく頻繁に切り換えながら聴いてみたら、補正あり同士でも違いが結構はっきりと分かりますね。やはりPは明るめ、Mはシットリ大人しめのキャラクタ。


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2010年11月16日 (火) | Edit |
A6 M馬鹿ブーストは絶好調です。

ちょっとイコライザOFFで聴いてみたのですが、そんなに低音よりに聞こえません。

PやM5と切り換えながら直接比較するとナンダカ高域不足に聞こえたのですが、Mだけを聴いていると全然十分やん。ナチュラルで良い感じの聴きやすい高音という感じです。

人間て絶対レベルを認識するのが苦手ですから、比較対象によって如何様にも印象が変化してしまうという事でしょうね。という事で、以前の記事ではMがいかにも高域不足と受け取られかねない書き方をしてしまいましたので、訂正しておきます。これに聴き慣れると今度は逆にPやA5がキツク聞こえてしまうかもしれません。

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2010年11月15日 (月) | Edit |
最後に吸音材の有り無しと、測定距離/バッフル効果について測定してみました。最後に「まとめ」も書きました。

1) まず吸音材の有無比較。
A6P
631.jpg

A6M
630.jpg
黒が吸音材タップリ、赤が吸音材ナシです。800Hzのピークが箱の前後方向の定在波です(参考記事1)。

各種8cmドライバーを同一箱で比較した過去の経験から、コーンの材質によって内部の定在波の前面への透過性が異なるのではないかと予測していました。今回はそれを確かめる良い機会なので測定してみたのですが、予測していた程の差は見られませんでした。上の2つの図を比べると僅かにPの方が影響が大きいように見えますが、大した差とは言えません。A5とFE87も同一箱で比べたのですが、やはり同程度でした(データを保存し忘れたので図はありません)。

「紙コーンの「紙臭さ」は定在波の透過に起因するのではないか?」というハチマル仮説は覆されてしまいました。

箱内部の3面に吸音材を1層ずつ貼る事によって定在波をほぼ完全に除去できる事は、以前の記事で確認しました(参考記事2)。ただし、箱のサイズが大きくなると、定在波の周波数も下がるため、吸音材の吸音率も低下する点には注意が必要です(波長が長くなると吸音効果は激減する)。大きい箱ではそれなりに吸音材の厚みを増やす必要があるかもしれませんので、ご注意ください。

ストリングやボーカルでは定在波が多少あった方が響き感が加わったように聞こえるので、そのような音を好まれる方には吸音材が毛嫌いされる傾向にあるようです。しかし僕の場合、ベートベンのピアノソナタをよく聴くのですが、吸音材を入れないとピアノの音が不自然に聞こえてとても耐えられません。

2) さて、吸音材の効果については、定在波以外にもうひとつ注目すべき点があります。
上の図では、吸音材を無くすと300Hz~50Hzのレスポンスが増加する事がわかります。これは密閉箱に特有の機械的共振による低音増強効果です。A6Pの方がこの効果が大きく出るようです。A6Mではあまり大きく変化しません(ということは、吸音材をあまり入れなくてもダンピングの効いた低音が聴けるかもしれません)。ちなみに、箱容積をある程度まで増やすとこの効果はもっと顕著に表れ、しかも低域側へシフトします。従って低域限界を延ばす事ができますが、大容積の密閉型では吸音材を適度に入れないと往々にしてダンピングの不足した低音になりがちです。

密閉箱では内部の空気はバネとして働くため、ドライバとこのバネの組み合わせによって機械的な共振現象が発生します(ドライバ単体でも共振は発生する)。これはインピーダンスのピークとして表れます(参考記事3)。この領域では、小さな信号入力でも振動板が大きく振動します。特にダンピングファクタ(DF)の低い小型真空管アンプではこの影響が大きく現れ、締まりの無い低音になる傾向があります。
540.jpg

以前に掲載したA5での測定結果(吸音材なし、約5cmの距離)。赤がiCon AMP、黒がTU-870。

僕はジャズのピチカートベースの聞こえ方を重視するため、ダンピングの効いた低音を好みます。仕事しながらでも、無意識にベースラインを追いかけながら聴くのが僕の習性です(これは中学生の頃にジャズを聴き始めた頃からずーっと続いている癖)。そのようにして長時間聴いていると、半導体アンプの場合でも時々ベース音が微妙にズッコケ気味に聞こえる事があり、その都度吸音材を少しずつ増量しているうちに、とうとう現在のような満杯状態に至りました。新システム用の13cmウーハーやケロでも、最初は吸音材控えめで始めたのですが、結局今は満杯状態で落ち着いています。

通常の場合、密閉箱でこのように吸音材を増やすと低音の出力レベルが下がってしまいますが、僕の場合はデジタルイコライザでブーストするので全く問題ありません。吸音材をたっぶりとぶち込んで共振現象を抑え込む事によって、制動の効いたタイトな低音再生を得る事ができます(すなわち、信号通りの正確な低音が得られる = ベースラインが聴きやすくなるトイウコト)。このように、デジタルイコライジングを活用する事によって、バスレフ型のみならず通常の密閉型ですら抱える低音増強にまつわる問題を回避する事ができます。

3)ついでに、測定条件にまつわる影響を簡単に調べてみました。

このブログの過去のデータを見ると、同じA5のグラフでも微妙に特性が異なっている事に気付かれるかもしれません。通常、何かを比較するために測定を行うため、その記事内で比較するもの同士の条件は徹底的に揃えるのですが、異なる記事間では毎回スピーカーの置き場所やマイクの位置が微妙に異なります。このため、同じスピーカーでも記事によってF特グラフが微妙に異なる場合があります。ホントはいつも同じに揃えれば良いのですが、ついつい手持ちで測定したり、ディスプレイの横に置いたまま測定したりするので、記事が異なると厳密な比較はできませんのでご注意ください。

下図はマイクの距離を変えた場合の影響です。
632.jpg

黒が5cm、赤が10cm、緑が20cmです。いずれも中心軸上で測定しています。波長の長い低音は、バッフルの後方へ回り込むため、バッフル サイズと同等以内の距離で測定すると、ある程度以上離れた場合に比べて低音が高めに測定されます。

次に、20cmの距離で、バッフルの左右と上にA4サイズのハードカバーの本を置いて、擬似的にバッフル面積を増やしてみました。
633 copy

緑は通常の状態(デスク前端に置いて測定)、ピンクがバッフル面積を増やした場合の結果です。約500Hz以下で明らかにレスポンスが増加する事が分かります。この効果もさらに離れれば低下すると思われます。僕の場合、実用状態では幅約60cmのディスプレイの左右にピッタリとくっつけてスピーカーを配置し、約70cmの距離で聴いているため、ディスプレイが結構バッフルとして作用しているかも知れません。

さらに言えば、スピーカー後方の壁との距離も低音特性に影響します。そしてもちろん、お部屋の定在波や反射の影響も被ります。このような諸条件により、無響室内で規定標準箱で測定されたメーカー公表データと自宅での測定データは大幅に異なりますのでご注意ください。当然ですが、最終的には普段のリスニング位置でどのような周波数特性になるかが重要です。

4)まとめ
以上でAlpair6 M(メタル)とP(紙)の比較を一応終えます。
昨日、左右ともMに換装しました。片方は慣らしが付いていないため、完全ブースト状態ではありませんが、なかなか好印象です。音がしっとりと落ち着いたという感じかな。暫くこの状態で使用して慣らしが付いたら、今度は両チャンネルをPに換装してみますね。

最終結論はそれからかな?結局、年内一杯はかかりそうかも。

とりあえず現在の僕の印象を以下に要約します。
PやA5と直接比較すると低音よりに聞こえるM (f0も低く低音よりの特性です。素の状態だとA5愛用者には高音が物足りなく感じられるかも。)
●A5に近い高音特性を持つP (A5愛用者でも満足できる高音。A5に比べれば低音も随分出てます。素のF特バランスがGOOD)
●デジイコ愛用者にはブースト耐性の高いM (デジタルイコライジングすればバッチシよ。ホンマに。素材しとしてGOOD。デジタル時代のSPはこうあるべき。。という感じ。Mも出してくれてありがとう。マークさん!)
●音調がニュートラルなM (ナチュラルです。例えばお店でPと比較試聴する場合には、試聴アンプにトーンコントロールが付いていたらMだけTREBLE(10kHz)をちょっと上げて聴いてみてね。随分印象が変わるはず。Mだけ単独で聴くと高域不足には感じないんだけど、Pと直接比較すると印象がそちらに引きずられるみたい。)
●適度に鳴りの良いP (Mに比べてほんのりブリリアント。イコライザ無しでMと直接比較試聴したらPの方を好む人が多いはず。デジイコなしで素のまま聴くならハチマルだってPを選びますよ!)
●はじめて自作するので自分の好みが分からない方にはP (F特が好バランスで音が綺麗なので、どんな箱に付けても満足できそう。Pと直接比較すると、イコライザなしのMだとちょっと地味に聞こえるかもね。普段使っているスピーカにもよると思いますが)

てとこですかね。あくまでもシャープなAlpair5を聴き慣れた者としての印象ですのでご注意。耳がちょっと「高域より」にバイアスしているかもしれませんので。。A5の高音がキツメに感じられる方にはM6の方が好みに合うかもしれません。

A6 MかPかでお悩みの方。。ご参考になりましたでしょうか?

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2010年11月13日 (土) | Edit |
リスニング位置(距離70cm)の音場補正用に測定を行いました。距離が離れると測定時のボリュームを上げなければならないため、ある程度エージングが済むまでは測定を控えていた次第です。

下図はA6Pの測定結果です。
628.jpg
黒が第1報に載せた前方10cmでの結果。緑がリスニング位置(70cm)での結果です。たったこれだけの距離で随分凸凹になる事が分かります。

下図は以前測定した80cm位置での部屋の特性です(参考記事)。横軸のスケールが異なるので注意してください。
602_20101017124212.jpg
リスニング位置ではこの特性をモロに被っている事が分かります。

今までは10cmでの測定結果を基にして補正していたため、特に約70Hzのディップの影響を受けた低音を聞いていた事になります。今回の結果をイコライザへ反映する事によってこれが補正され、重みのあるベースの低音がよりハッキリと聞こえるようになり、改めて音場補正の恩恵を体感することができました。やはり手放せません。これは。。。。

下は3つのドライバの比較です。
625.jpg
黒がA5、緑がA6P、赤がA6Mです。FrieveAudioは高域(たぶん2kHz以上)のレベルに基づいてグラフを自動調整します。200Hzのレベルを合わせると下図のようになります。
626.jpg
参考のために、10cm位置での比較結果を再掲します。
616.jpg

さらにマークオーディオからの公表データを下に掲載します。

A6P
623.jpg

A6M
624.jpg

200Hzでレベルを合わせて重ね書き
629.jpg

測定条件は大きく異なりますが、2つのドライバの相対的な特性差はメーカー公表値とよく一致していると言えます。公表値では300~100Hzがやや盛り上がり、100Hz近辺からロールオフしますが、これはドライバの機械的共振による効果です(参考記事)。ハチマルは小さな箱に吸音材をタップリと入れてこの効果を殺しているので、ロールオフは高めになります。このためfoの違いもほとんど表れません(メーカーデータではf0の低いMの方がロールオフが低域側へ少し伸びているが、ハチマルデータでは共振効果を殺しているのでMとPのロールオフはほとんど同じ)。

大ざっぱに2つのドライバの特徴を挙げれば、
Pはややハイ上がりで、A5に似た特性。Mの特性はPに比べると低域寄りの特性(このためPやA5と直接聴き比べると、やや籠もった(こもった)ような音に聞こえた)。未補正で聴き比べれば、ブラインドでも明らかに聞き分けられると思います。

しかし周波数特性を揃えてしまえば、印象の違いは僅かとなります。敢えて聴き比べれば音色的にはPの高域はやや華やかで軽い感じ(真空管アンプの音のイメージかな?)。Mの高域はナチュラルでPに比べるとややソリッドな感じ。しかしハチマルの耳では、ブラインドで聞き分けられるかどうか自信はありません(というか強い意志を持ってそのへんの差を聞き分けようという気が興らない。それがそれほど重要とは思えないため)。

Mは高域に対して低域が相対的に出ているため、馬鹿ブーストには向いていると思います(補正量を少なくできる)。また、普通にバスレフ型として使用する場合でも、Mの方がf0が低いため低域を延ばしやすく、低音を重視する方にはMが向いているかもしれません。ただ、同じ箱で直接聴き比べた場合のその場での印象では、音色的にPの方を好む方が多いのではないかと思います。

この程度のf特の違いでも音の印象が大きく変わる事が今回よく分かりました。その意味でも、FrieveAudioデジタルイコライザの恩恵を再認識した次第です。デジタルイコライザを前提とすれば、スピーカーに対する考え方が大きく変わると思います。

次回は、お約束の内部音の透過性を比較してみます。お楽しみに。

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2010年11月11日 (木) | Edit |
今回は馬鹿ブースト時の低音再生能力について比較してみました。

以前にも度々書きましたが、Alpair5で馬鹿ブーストして聴いていると、大きな低音信号を含む極一部の楽曲で振動板の異常振動が起こって「ブリブリ」と変な音がします。例えばストラビンスキーの「春の祭典」のバスドラ、マドンナの一部のズンドコ(打ち込み?)、ロンカーターの最近録音された盤のソロベース音等で、そのような現象が発生します(参考記事)。で、それを解消すべく100Hz以下だけを受け持たせたバイアンプ駆動のウーハーを導入したというのが今までの経緯です(いわゆる新システム)。

ただ、フルレンジ1発で極低音まで再生してしまう馬鹿ブースト方式の自然な聴感は捨てがたく、Xmaxの大きなAlpair6を導入して「ブリブリ」の発生しない馬鹿ブーストの実現を目指したのが今回のトライアルです。で、目論見通り、Alpair6 MでもPでも上記の問題楽曲を全く「ブリブリ」発生なしで再生できるという事は、既に聴感で確認できました。今回は波形の測定によって、この事実を検証してみます。

下図は、普段聴いている標準的アンプ ボリューム設定で、16ビットの最大振幅40Hz正弦波信号を再生した時の出力音波波形です(SP前方10cmで測定)。一般的に、このような低域でこのような大振幅信号が記録されている事は極めて稀です(参考記事)。
620.jpg
黒がA5です。「ブリブリ」が発生し始めた状態です。波形が正弦波から大きく崩れています。水色は新システムの13cmウーハー、赤がAlpari6 M(メタル)、青がAlpair6 P(紙)です。これら3者は綺麗な正弦波を描いています。なお、各波形間の時間方向の位置関係(位相関係)は不明であるため、波形立ち上がり部で適当に揃えています。

以上から、標準的なボリューム位置では、A6PもA6Mも40Hzフル信号を問題無く再生できる事が分かります。

さらに、ちょっと危険なのですが、
勇気を持ってボリュームを思い切って上げてみました(標準状態からパワーで約2倍強、振幅で約1.5倍)。
621.jpg
13cmウーハーは、全く問題無く正弦波を維持していますが、2つのA6の波形はかなり崩れます。波形の崩れ方はアナログ式のフィルタまたはトーンコントロールを使用した時の崩れ方に似ています。この状態でもA5のように「ブリブリ」と鳴るには至っていません。A6M(赤)とA6P(青)を比較すると、Mの方が若干波形の崩れ方が少ないようです。

最後に、この大ボリューム状態で、以前にも使用したマイルス/Foot Prints冒頭のベースソロ音の再生波形を比較してみました(参考記事)。ポポポポーン4音のうちの最も周波数の低い1音目の波形を下図に示します(中心周波数=約64Hz)。
622.jpg
水色はここではCDの原信号波形です。13cmウーハーの波形はアナログチャンデバによってかなり崩れるので、今回は掲載していません(チャンデバ外して測定するのが面倒だったのよ)。A6M(赤)とA6P(青)は非常に忠実に原信号をトレースしています。このボリュームだとA5の波形は少し崩れていますが、バスレフポートやアナログフィルタによる崩れに比べれば全く大した事はなく(参考記事)、聴感上も問題を感じません。

以上のように、A6MもA6Pも、僕の普段聴く音量であれば余裕を持って馬鹿ブーストに対応できる事が分かりました。これで時々「ブリブリ」に悩まされる事もなくなり、メデタシメデタシというところです。A5は4Lのウーハー箱に組み込んでバイアンプ駆動専用の2Wayスピーカーにする予定です。これだとイコライザなしでも40HzまでほとんどフラットなのでiTuneやDVD再生用に最適ですし(参考記事)、真空管アンプで聴きたい場合にも重宝します(馬鹿ブーでは真空管がすぐに駄目になるのよ)。

さて、馬鹿ブー用にメタルと紙のどちらのA6を選ぶかですが、はやい話、イコライザでフラット化すればドッチデモOK。現在L側/紙、R側/メタルでステレオ再生していますが別に違和感なく聴けます。メンドクサイので当分このママかもしれません(R/Lのレベル差もFrieveAudioは自動調整してくれる)。切り換えながら集中して聞き分けようと努力すれば、前の記事に書いたような多少の違いはあるようですが、音楽を聴いてる時は全く忘れてしまうレベルの差ですし、ブラインドで聞き分けられるかどうかも自信ありません。また、それが聞き分けられたとしても、音楽を聴く上ではあまり重要な違いとは思えません。どちらも長時間試聴しましたが、無意識に気に障るような不自然な癖がなく、必要十分以上のナチュラルでクリアで正確な音楽再生を確保できていると思います。

で、
結論-2: イコライザ使用が前提の馬鹿ブー用にはA6Mを選択し、A6Pは素の鳴りの良さを楽しめるようにと、あるプランを検討中
です。どんなプランかはまだヒミツ。。

次回は、吸音材を少なくした場合の比較結果をご報告する予定です。紙コーンは箱内部の定在波の透過量が大きいと予測しており、これが紙コーンの音キャラクタに大きく影響しているのではないかという仮説を立てています。で、そのへんを検証してみますのでオタノシミニ。。

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2010年11月07日 (日) | Edit |
Alpair6のP(紙コーン)とM(メタルコーン)をAlpair5用のポチ2型(2.5L密閉)に取り付けて、仕事しながら聴き比べていました。例によって吸音材はタップリと詰め込んでいます。1個づつ使用しているので、FrieveAudioでR/L信号をミックスしてモノラル信号を生成し、出力チャンネルをRのみまたはLのみに切り換えながら比較しました。

最初はFrieveAudioの自動音場補正(イコライザ)を使用せずに、未補正の素の音を聴き比べたのですが、驚いた事にAlpair6 P(紙)はAlpair5に非常に近い聞こえ方がするのに対し、M(メタル)は明らかに他の2つと傾向が異なって聞こえました。Alpair6 M(メタル)は他の2つに比べて、やや籠もった(こもった)、音が前に出て来ない印象を受けました。これに対し、Alpair6 P(紙)では、ハイハット等の微妙なシャープさを除けば、非常にAlpair5に近い好印象を受けました。しかも低音は明らかにA5よりも出ています。

という事で、
結論-1: イコライザによるフラット化を行わないという前提であれば、迷わずP(紙)を選びます。

これは以外な結果でした。当初はM(メタル)の方が同材質のA5に近い音がするだろうと予測していたのですが、完全に裏切られました。さらに言えば、A5とA6Pを比較した場合でも、サブウーハーまたはバイアンプ駆動のウーハーを使用せずにフルレンジ1発(かつイコライザなし)で使用するという前提であれば、高域のシャープ感がA5よりも僅かに劣るものの低音で有利なA6Pを選びます。要は、フルレンジスピーカーとして単体でバスレフボックス等と組み合わせて普通に使うのであれば、この3つの中ではA6Pが総合的なバランスで最も優れているように思います。

A6P。。良いです。

で、慣らしもある程度ついたので、本日計測してみました。続きをご覧ください。

616.jpg
黒がA5、緑がA6P(紙)、赤がA6M(メタル)です。全て同じ2.5L密閉+吸音材タップリです。まだあまりパワーをかけたくないので、前方約10cmの距離で計測しています。規格の標準ボックスで計測されたカタログデータとは特性が異なりますのでご注意ください。バッフルが小さいのでバッフルステップの傾向が出ています。またマイクロフォンが安物のPC用なので、10kHz以上の絶対レベルはあてになりません。FrieveAudioはグラフの絶対レベルを自動修正するので、この図では200Hzを基準にレベルを揃えて重ね書きしています。実際のSPLはA6P>A6M>A5になります。ご注意ください。

A5(黒)とA6P(緑)の200Hz~10kHzの特性は非常によく似ています。200Hz以下ではダイアフラム径の大きいA6Pの方がレベルが高くなり、10kHz以上ではA5の方がレベルが高くなっています。
これに対してA6M(赤)では、約3kHz以上の応答レベルが他の2つに比べて3~6dB低くなっています。その反面、50Hz以下の極低域ではA6Pよりも若干レベルが高くなっています。

これらは上記の聴感による印象を概ね裏付ける結果となっています。

しかーし、僕はA6を1発馬鹿ブーストで使用する予定です(A5はバイアンプ駆動のウーハーと組み合わせる)。ということで、この計測結果を基にして自動音場調整を行い、周波数特性を35Hz~15kHzで完全にフラットに補正して2つのAlpair6を聴き比べてみました。

すると当然ですが、両者の聴感上の差は小さくなり、いつも聴き慣れているA5馬鹿ブーの音に近づきます。A5とA6 P(紙)は200Hz~5kHzの区間でほぼ直線状であるため、補正しても印象は大きく変わらないのですが、A6 M(メタル)は補正によって大きく印象が変わります(というか他の2つに近づく)。吸音材をタップリと入れているので箱内部の定在波の透過音がほとんど無いためか、周波数特性さえ揃えてしまえばコーンの材質違いによる音の違いは思いの外小さいようです。

フラットに補正した状態で比較すると、僅かにA6 Pの方が高域で好印象(明るくてスムースな感じ)ですが、バスドラムはA6 Mの方が好印象です(Pは少しだけ「パコ」と軽い感じを受ける)。僕の耳では差はそれほど大きく感じないので、別にどちらでも良いかなぁ。。と迷うところですが、ベースとドラムを重視するハチマルとしてはA6 M(メタル)に傾きつつあります。ちなみに、A5では「ブリブリ」とコーンの異常振動が発生した「春の祭典」や「マドンナ」等の高信号レベルの低音でも、両方のA6のコーンは変な振動を起こさずに難なく再生してくれました。これは狙い通り。アリガタイ。。。

もう少し慣らしを行って、最終的にリスニング位置で音場補正した上で聴き比べて見たいと思います。

ではでは。。続報をお待ちください。

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2010年10月11日 (月) | Edit |
ご存じのように、僕のスピーカーは吸音材をたっぷりと詰め込んだ密閉型を基本とします。これによってバスレフポートによる位相の乱れやポートからの内部音の放射、コーンを透過して聞こえる箱内部の定在波の音、密閉型に特有の機械的共振によるダンピングの不足した音を抑え込んでいます。オーヂオイヂリを始めて以来、自分の嗜好が明確になるにつれてこの傾向もよりハッキリとしてきました。

一般的にスピーカー自作派(あるいはオーヂオを趣味とする方々)の間では、このような音は「ツマラナイ」音として毛嫌いされる傾向にあるようで、多くの場合吸音材は極力少なくするか全く入れなかったり、箱を適度に響かせたりする事が好まれるようです。そのようにして自分の好みの「音」を追求されるワケですが、これはスピーカーを半ば楽器のように扱うという事かもしれません。

僕はあくまでも装置を「音楽を聴くためのトランスデューサ」として扱うため、そのような傾向のスピーカーを好みません。「音楽」が聴き取りづらくなるため、長時間聴いているとフラストレーションが溜まるためです。僕が求めるのは、「音」に意識を集中しなくても、あるいは半ば無意識でも、「音楽の全体と細部が自然に脳に流れ込む」ような音です。この場合、再生音に明確な「癖」があると、気に障ってフラストレーションを感じ始めます。で。。仕事の合間にデスクトップのスピーカのチューニングを少しイヂル(例えば吸音材を少し増やす)。。。を繰り返して現在に至っています。

つまり、基本的に再生音自体は「水」のように「無味無臭」であって欲しいワケです。しかし、お酒でもお茶でも、適度にミネラルを含んだ名水が珍重されるように、「味覚」としてはほとんど感じられないが酒なり茶なりの風味を引き立てる何らかの特性が重要であるのもまた確かだと思います。僕は「味」ではなくそのような「おいしい水」を求めてドライバーを各種試した上で最終的にAlpair5を選択し、時として多少ガス(炭酸)を含む水がおいしく感じられるように、状況に応じて真空管アンプを使用したりしています。

と、このような事を書いたのは、これから行うAlpair6のコーン比較でも、主にそのような観点から好みのコーンを選ぶ事になると思うからです。

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2009年03月08日 (日) | Edit |
前回の記事でお約束したAlpair 6ユニットの評価記事の翻訳版を掲載します。

マニアの掲示板のようなところに掲載されている文章なので、仲間うちの符丁みたいなのも多く、論文とは違って文脈的にもあまり明確ではありませんが、なんとか訳してみましたので参考にしてください。かなりのスピード意訳でエイヤのところもありますのでご了承願います。原文のリンク先も載せましたので、正確にはそちらをどうぞ。

コメント著者のDr. Jim Griffinはもう退職されていますが、ハイエンドスピーカー システムの設計に多年の経験を持つエンジニアだそうです。スピーカービルダー(自作派?)には世界的に名の知られている方だそうで、多数の設計を発表されているそうです。欧米における長岡鉄男氏のような存在かもしれません。
海の向こうでは工学博士はそれこそザラにいますので、長岡鉄男氏レベルの実力であれば十分に工学博士として通用する事を付け加えておきます。

下はMr.Mark Fenlon(マークオーディオのマークさん)によるDr. Griffinの紹介文です。
"Jim Griffin (PhD) is an engineer, now retired he spends much of his
> time on high-end speaker systems. Jim's expertise and passion for
> audio speaker design is recognised by many system builders around the
> world. Jim has published many of his designs and is a regular
> contributor on the most popular audio forums. Jim Griffin is
> considered by many in the audio world to be a lead expert on
> loudspeaker system designs"

原文は「コチラ」からどうぞ。
-------------------------------
Mark Audio Alpair 6用の小型MLTLボックス
Dr. Jim Griffin

Alpair10(以下A10)用の新設計MLTLボックスについては先日レポートしましたが、実はこれと同時にAlpair6(以下A6)を使用したMLTLボックスも開発しました。Alpair6ユニットの構造はA10とそっくりで、スピン加工されたアルミ製コーンとこれを囲む頑丈なコンポジットポリマー フレームによって構成されます。A6は非常に小型のユニットであり、そのコーン径は約6cm(2.36インチ)しかありません。A6もA10同様にコーン径に比べて大きなフランジを持ちます(A6のフランジ径は4.5インチ)。これもA10と同じですが、A6の振動板エッジはよくある凸タイプではなく、凹タイプとなっています(訳者: FOSTEX FEシリーズと同じように、奥へ引っ込むタイプのエッジ)。A6の定格インピーダンスは4Ωであるため、一部のアンプでは使用できないかもしれません。

多くの方は小径のA6は小型のサラウンドスピーカーやデスクトップ コンピュータ モニタ用だと思われるでしょう。確かにA6のSPL値は86 dBですから、場内放送用にはもちろん適しません(片振幅Xmaxは5mmありますが、小さなコーンで大量のエアをドライブする事はできませんから)。このような小型スピーカーは多くの場合狭い部屋には十分であり、圧迫感も与えないSAFフレンドリーなスピーカーと言えます。しかし今回は少しばかりサイズの限界を伸ばして、A6がフルレンジMTLTでどのような性能を示すかを見てみる事にしました。このA6用MLTLの設計にはMartin J. King?氏の優れたワークシート(MJKワークシート)を使用しました。このワークシートにはユニットのT/Sパラメータと設計初期値(ボックス寸法およびユニットからポートまでの距離)を入力し、欲しい応答特性が得られるまで設計値を変更しながら繰り返し計算を行います。初期値としては数年前に行ったTangBand製ユニットを使用したMLTLプロジェクトの値を採用しました。今回のA6プロジェクトの低域応答性としてF3を45Hzに設定し、ポートの同調周波数は51 Hzに合わせました。ポートの長さを3インチから4インチへ伸ばせば、周波数応答特性への影響を最小限にとどめながらポートの同調周波数とF3を数Hz下げる事ができると予測されます。

このAlpair 6 MLTLプロトタイプは、天板と側板に堅いウオールナットの無垢板を使用し、前面と背面および底面にはMDF材を使用して作製しました。ボックスの完成外寸は[高さ35.25インチx幅5.5インチx奥行き5.5インチ]です(板厚は0.75インチ)。ユニットの高さをリスニング位置に合わせるために底上げしています。

MLTL内部のアクティブポートの寸法: 長さ(上面から底面までの距離)=30インチ、上面からユニットまでの距離=10インチ、上面からポートまでの距離=27インチ、ストレート断面の寸法=4インチx4インチ、詰め物(吸音材?)の密度=0.50lbs per cubic feet、ポート半径=0.75インチ、ポート長=4インチ、底上げ高さ=5.25インチ
バッフル前面にはグリル取り付け用のマグネットを埋め込みました。

このような小さなスピーカーは適度なボリュームで良質の音楽を聴く分には問題ない事は知っていましたが、限界近くでは負担が大きいだろうと予測していました。

しかし、このかわいいユニットがお気に入りの曲を極めて印象的に鳴らしてくれたのには驚きました。ユニット自体の周波数特性のおかげでバッフル ステップ フィルタも必要ありません。マークオーディオが公開しているA6の特性グラフを見ると175~550Hzの領域に3~4dBのハンプ(こぶ)があります。バッフルの幅が5.5インチなので、このハンプがちょうどバッフルステップ補正の役割を果たしてくれます。

このスピーカーで低音SPLコンテストに優勝する事はもちろん不可能ですが、その性能にはきっと驚かれるはずです。ボーカルは男性/女性を問わず全くSibilant(シューシューいう、歯擦音的な)ではありません。高域はシンバルのきらめき感が素晴らしい。

結論として、このかわいいユニットはサイズなりに見事な仕事をし、私が定義したSAFの基準を立派に満たします。壁を揺るがす低音は決して期待できませんが、小型/中型におけるソリッドな音楽再現は素晴らしく楽しいものです。


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ほとんどが箱の説明で、ユニットそのものに関しては最後の方に少しあるだけです。しかし日本のオーディオ評論家のように意味不明の形容詞を羅列せず、いかにも技術屋が書いた文章という感じで僕には好感が持てます。

文中にあるMLTLとは「Mass Loaded Transfer Line」の略で、細長いボックスに吸音材をつめたような構造となっており、海の向こうでは流行中の低音増強法のようです。
日本ではあまり知られていないのではないでしょうか。
マークオーディオの担当者の方が参考になるサイトを教えてくださいました。
興味のある方は「コチラ」をどうぞ。日本語です。

僕は小型密閉箱+サブウーハー+デジタルイコライジングが一番シンプルで効果的な方法だと思っているので、その辺は全く興味がありませんから解説は控えます。

それと「バッフルステップ」というのが出てきますが、これはバッフルのサイズで決まる特定の周波数で音波の回析現象(いわゆる回り込み)によって周波数特性にステップ(段差)が出来てしまう事を指すようです。これも日本ではあまり話題になりませんが、向こうではわざわざLCR回路を組み込んでこれを補正するのが当たり前のようです。向こうの人は信号ラインにそういう部品をかませる事にあまり抵抗感がないようですね。しかしこれも音場補正してしまえばとっとと片付く話です。

向こうの方々もなかなか凝り性ですね。しかし思うのですが、海のこっちでも向こうでもスピーカーやる人はスピーカーしか見てないという感じを受けます。システム全体を見渡せばもっと楽にシンプルにできる事がいっぱいあると思うんですけど。。

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2009年03月07日 (土) | Edit |
以前の記事「Alapir 5の本来の狙い」に対して、香港にあるマークオーディオでディストリビューションを担当しておられる方から当ブログへ下記のコメントをいただきました。

--------------------------------
Alpairシリーズについて

マークオーディオのディストリビューションをしています。といっても普段はマークと香港で一緒に仕事をしていますが。
日本語のサイトを大分整理しました。
www.markaudio-japan.com というサイトです。もしくはMarkaudioサイトの下に日の丸印がありますのそちらからも入れます。

Mark Fenron がAlpairの開発を始める前から付き合っていますが、良いユニットを作るためには本当に頑固に意思を変えません。
あとで判ったのですが、お父さんは英国ジャガーの12気筒エンジンの設計者だそうです。技術者としてのDNAをぷんぷん感じます。

ところで私は仕事上全部のユニットを使っています。やはり普段はAlpair10をツインで使っていますが、おっしゃる通りに、コストパフォーマンスとしてはAlpair6はものすごくバランスの取れたユニットで、名機の匂いがします。

Alpair 5のシングルサスペンションは技術的には6や10よりずっと大変でコスト的にはあまりペイしていないユニットです。
私は最初のモデルが5ではどうかなと思っていましたが、どうしてどうして日本には5のファンがいっぱいいらっしゃいます。全シリーズあまり儲けを考えないで、音質を求めて作っていますのでMarkをAudiofileの皆さん応援してくださいよろしくお願いします。

ところで、Jim Griffin博士がdiyaudio.comでAlpair6を最高評価したため、この2週間であっという間に欧米にはけてしまいました。
でも日本にはまだ残っていますのでご希望でしたら、LinfofさんでもEL Soundさんでも、直接nakajima@markaudio.comでも取り扱っています。すぴ研さんも始められます。

以上突然で失礼しました。また質問があれば出来るだけお答えします。

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.
マークオーディオの日本語サイトは鋭意整備中とのことです(コチラ)。

コメント中にありますDr. GriffinのAlpair 6およびAlpair 10に関する評価記事へのリンクも教えていただいたので和訳して次回の記事に掲載します。

英文はコチラから閲覧できます。
>>> Alpair 6: http://www.diyaudio.com/forums/showthread.php?s=&threadid=138750
>>> Alpair 10: http://www.diyaudio.com/forums/showthread.php?s=&threadid=137585

ちなみに最近「Alapir」関連の検索語による当ブログへのヒット数が2位の「Frieve」関連を大幅に引き離してダントツの1位となっています。今一番ホットなユニットと言えましょう。僕もAlpair 5が欲しくてたまりません。

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