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2012年12月29日 (土) | Edit |
ブースト方式の再生限界音量について考察を加える前に、各種のイコライザを使ってブーストした際の実際のスピーカ音圧波形を確認してみました。

今回テストしたのはFrieve Audio、iTune、Sound Blasterのグライコ(以上デジタル式)とアナログ式のBehringer製9バンドグライコです。

テスト信号には125Hz/0dBFS(デジタル フルスケール)の正弦波信号を使いました。スピーカとアンプは完成したばかりのGAMA君です。

FrieveAudio
Frieve 0 Frieve 3
左がブーストなし、右が+3dBブーストです。AVC(自動ボリューム調整機能)はOFF、マスターボリュームはMAX(0dB)です。Frieve Audioの場合、信号レベルがフルスケールを少しでも超えると波形はテキメンに変形します。このため通常はAVCをONにするか、ブースト係数がゼロを超えないようにマイナス側にシフトしておく(つまり低域をブーストするのではなく高域を減衰させる)必要があります。なお、以前の記事で述べたように、音圧波形は振動板変位の微分波形である事に注意してください。

iTune
iTune 0 iTune 6
iTune 9 iTune 12
左上から、0、+6、+9、+12dB、iTuneのボリュームは最大です。iTuneの場合、ブースト量が+6dB以下であれば、信号が飽和してもFrieveAudioとは違って波形は直ぐには崩れません(振幅は全く増えない)。つまり、0dBより振幅が小さな信号は0dBレベルまでブーストされますが、それ以上には絶対にブーストされないという事です。通常の楽曲では、信号がフルスケール近くに達するのはホンの一瞬ですので、ブースト効果はこれでも得られます。+6dBまで波形は綺麗に保たれますが、それ以上ブーストすると処理しきれずに波形が崩れます。iTuneの場合、ブースト量はできれば+3dB、最大でも+6dB以下に制限する事をお薦めします。それ以上ブーストしたい場合は一番左の「プリアンプ」スライダを下げると良いでしょう(例: +9dBブーストしたいのであれば、プリアンプ スライダを-3~6dBにする)。僕の経験では、実用的にこれでまず問題を感じないと思いますが、心配な方は、例えば最大+9dBブーストするのであれば、プリアンプ スライダを-9dBにすると安心です。なお、プリアンプ スライダを下げると全体の音量が下がるので、アンプのボリュームを上げる必要があります。

Sound Blaster
Sound 0 Sound 6
Sound 12 Sound 24
左上から、0、+6、+12、+24dBです。このイコライザでは、フルスケール信号でも約+4dBまではブーストされるようです。内部処理(24bit)で4dB程度のヘッドルームを持たせているのではないかと考えられます。最大ボリュームでの再生音量が以前のDACよりも小さめなのはこのためかもしれません。また、+24dBまでブーストしても振幅は+4dB以上には増加せず、iTuneとは違って波形も殆ど崩れません。ブースト量はiTuneよりも+4dBの余裕があり、できれば+7dB以下、最大で+12dB程度まで実用的に問題をほとんど感じずに使えるでしょう。実際、Sound Blasterのグライコ画面では+12dB以上のレンジにシェードをかけています。スケールオーバーしても波形が殆ど崩れないため、一種のリミッタとしての機能も果たしてくれます(例えばフルスケールに近い「春の祭典」のドラムスのピークは+4dBまでしかブーストされず、レベルが低い他のパートの信号は最大で12dBまでブーストされる)。しかし、心配な方は、iTuneと同様に一番右の「レベル」スライダを適宜落とした方が安心でしょう。約4dBのヘッドルームがあるので、例えば+9dBブーストしたいのであればレベルスライダを5dB下げると安心です。
なお、上のテストではマスタボリュームが75%でした。しまったと思って100%でも計測してみましたが結果は変わらず、フルスケール信号で約+4dBのブーストが可能でした。FrieveAudioとは異なり、こいつのマスタボリュームはこのへんのデジタル処理に直接関連しない模様です(マスタボリュームで音量を絞ってもビット落ちしない?)。

さて、以上はデジタルイコライザでのオハナシでした。デジタルイコライザでは処理後の信号レベルがデジタル上のフルスケールによって完全に制限されるため、基本的に低音をブーストするとはすなわち高音を相対的に減衰させる事だと考える必要があります。従って16bitのソースを16bitのまま処理すると微小信号レベルの情報が失われてしまうため、24bit以上で内部処理する事が望ましいと思われます。

しかし、アナログイコライザの場合これは足枷になりません。下はベリンガのグライコによる結果です。
bering 0 beri 12
左が0dB、右が+12dBです。FFTの読みでほぼ額面通り(+11.5dB)のブースト効果が得られていました。グライコには入力/出力のレベルメータが付いていますが、Sound Blasterをフルボリュームしてフルスケール信号を入力しても出力CLIPの赤LEDは点灯しません(+6dBの黄LEDが点灯)。Sound Blasterのイコライザで少しブーストすると赤CLIPが点灯する事から、ほぼギリギリの状態にあると思われます。また、チビICアンプの入力レンジも十分にあるようです。このように、アナログイコライザを使用する場合、デジタルフルスケールの制限を受けないという利点が得られます。なお、デジタルの場合でも、DACの出力電圧レンジとアンプの入力電圧レンジをシステムトータルで最適化すれば、この問題を克服できるはずです。

次回は、ZAPとGAMAでブースト方式の実用最大音量レベルについて検討します。明日アップできるかどうか??
GAMA君の製作ですっかり年末の予定が狂い、昨日やっとベランダとトイレと自分の仕事部屋を掃除できました。ほっと一息です。結局大晦日に大阪に帰省する事になりました。今年も忙しかったなぁ。。。

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2012年09月05日 (水) | Edit |
現在、改良型Alpairの低音再生能力について実験君中です。マークさんが改良型ユニットを送ってくださったので、仕事の合間にそれらのユニットを評価しています。そのうちこのブログで結果をご紹介できるかもしれません。できるだけ暗騒音を下げる必要があるので、家族の外出中を狙ってやっています(足音やドアの音が入ると、波形が崩れるので)。測定中は窓も閉めて、扇風機も止めるので暑くて仕方ありません。

スピーカによる音楽再生において、最も困難なのが、低音再生です。前の記事で、低音再生についてタクサンご質問を頂き、タクサン回答を書いたので、せっかくですから記事として残しておきたいと思い、以下にまとめて掲載しておきます。原文をご覧になりたい方は、1つ前の記事のコメントをご覧ください。殆どコピペですが、一部加筆しています。

Q: フラットにした場合小さい音量でも40-60Hzの音は聞こえるものでしょうか?基本的には小さい音でききますので。
「低音量」というのがくせ者です。「爆音ではない」という意味の「低音量」であれば、程ほどの音量で聞いておられるのかもしれません。確かに音量が低いと低音は聞こえにくくなりますが、「音量」は音響パワー(スピーカから出る音の大きさ)ではなく「耳」に届く音圧レベルで考える必要があります。例えば、小さい部屋でスピーカの近くで聞けば、大きい部屋でスピーカから離れて聞くよりも、再生出力(パワー)が同じでも「耳」には大きく聞こえます。例えば、イヤフォンで「耳」が壊れるほど大音量にしても、出力パワーはたかが知れています。

ちなみに僕が普段聴いているリスニング位置(1m以内)での音圧レベルは、通常の楽曲で概ね最大75~80+α dBA程度です(A特性、FASTフィルタによるMAX値)。音量を上げ気味にしても最大85dBAを超える事は絶対にありません。コンサートホールの中央席辺りでの交響曲の最大音量もその程度のようです。大部分の人は、音楽を聴く場合80dBA以下を快適音量と感じるようです。100dBAにも達するアホみたいな爆音で再生した場合、フラットに低音を再生すると、実際よりも低音が聞こえ過ぎるでしょう(人間の耳は音量が上がると低音がよく聞こえるようになる)。だいたい耳の健康に良くありません。
僕の耳/僕のリスニング条件では、ロールオフのなだらかな「密閉型」で50Hzまでフラットに再生できれば、一般的な音楽ソースを聴くには必要十分だと思います。低周波が聞こえるかどうかは、低音(30Hz)まで低歪みで再生できるスピーカを使い、アンプを普段のボリュームの上限くらいに設定して、普段のリスニング位置で、正弦波信号(16ビットのフルスパン-6dB程度)を再生してみればわかります。バスレフ型の場合、同調周波数以下の出力は急激に低下しますので、この種の実験には向きません。ご注意ください。

僕の場合、50Hzは確実に聞こえます。40Hzはかなり感度が落ちますが聞こえます。30Hzはもう殆ど聞こえません(歪みの少ないAlpair10を使った場合)。このような超低域では、スピーカの高調波歪みが増加します。高調波歪み(特に3次以上)が顕著だと、実際よりも音(偽の音)が聞こえやすくなってしまうので注意が必要です(正弦波の音を聴き慣れれば歪みは耳で分かります)。マイクで再生波形をモニタできれば理想的です。
また、周囲の環境騒音にも影響されますので、静かな時間帯に試してみてください。我が家の環境では、昼間は結構低周波騒音が大きいように思えます。自動車の音かな? モニタヘッドフォンやカナル型イヤフォンであれば周囲音に影響されないので、お持ちであればそちらでも試してみてください。この場合も、普段聴く曲でボリュームを調整した後にテストしてみてください。

もしかして、ご質問の根拠は、巷で言われている「低音の再生限界は部屋の寸法によって決まる。小さい部屋では低音は再生できない。」ですか?
これについては、一体全体、何を根拠にそのような事が言われているのか、僕には全く理解できません。部屋の定在波の周波数は部屋のサイズで決まりますが、スピーカから再生される直射音は当然部屋の影響を全く受けません。また、小さい部屋であっても、定在波や音響特性を利用して、低音再生を増強する事も可能です(ZAP君の位置であれば、50Hz以下は部屋が増強してくれるし、TONO君のようにコーナーを利用すると、部屋は小さくても低音は出すぎるくらいになる)。 このジャンル、根拠不明の迷信が多いような気がします。

Q: 小さい音量でも40Hzからフラットに聞こえるか?の質問は単純に低音聞くなら、大きいスピーカーで大きい音量でしか聞けない物だと思っていたからです。
どのように小さな振動板でも、40Hzの信号が入力されれば40Hzできちんと振動してくれます。ですから、カナル型イヤフォンのように、振動板と鼓膜の間を密閉してしまえば、数mmの振動板でも38cmウーハーよりも低い音まで再生可能です。
広い空間に置かれたスピーカの場合、空気が振動板の周囲へ逃げてしまうために、小さな振動板では低周波で効率が落ちてしまいますが、信号をブーストして振幅を上げれば、低音をフラットに再生できるようになります。何も不思議な事ではありません。低音だけアンプのボリュームを上げるのと同じ事です。大きな振動板は低音を「出しやすく」小さな振動板は低音を「出しにくい」というに過ぎず、小さな振動板で低音を出すのは不可能だという事ではありません。
小さな振動板をブーストして低音を出す場合の問題は、振動板の振幅限界によって最大音量が制限される点にあります。このため、AlpairのようにXmaxが大きなドライバを使う必要があります。小さな部屋で適度(Max80dBA程度)な音量で聞くならば、小さな振動板でも大丈夫ですが、大きな部屋で爆音再生するには大きな振動板が必要です。密閉型のロールオフをイコライザで補う場合、必要な振動板の大きさは必要音量(必要音響パワー)によって決まります。密閉型で大音量が必要な場合、パワードサブウーハー方式が理想的でしょう。ブースト方式よりもサブウーハー方式の方が汎用性は高いと思います。マイクロ2.1のケロ君はたった8cmのウーハーで50Hzまで全くフラットに再生してくれます。ちなみにケロに使っているAura 3"のXmaxはブットビにデカイみたいです。

Q: マンションの一室でそんな音出たら逆に困るなーとかも思っていました。
部屋が狭かろうが広かろうが、フラットに再生した低音はうるさくはありません。高調波の少ない真にフラットな低音は意外と地味です。ただ音が全体的にズンと重くなるだけです。高調波の少ないフラットな低音は、200Hz前後を強調したいわゆる「ズンドコ」の低音とは異なります。また、リスナの耳位置での音圧レベルを同じにした場合、部屋が狭い方が距離も近く駆動すべき空気の量も少ないため、再生音量(音響パワー)を下げられます(小さなスピーカで済む)。部屋が広いほどスピーカが出さねばならない音(音響パワー)が大きくなるため、かえって近隣への影響が大きくなるでしょう。また、一般的に、音量(音響パワー)が大きくなればなるほど装置(スピーカ、アンプ)の歪みや、部屋自体(床や壁等)が発する騒音は増加します(クオリティは低下する)。考えようによっては、音響パワーを低く抑えられる狭い部屋の方が、良質な低音を再生しやすいと言えなくもありません。その極限状態が、小指の先ほどしかない振動板を使うカナル型イヤフォンです。また、近隣への影響が気になる場合は、ニアフィールドシステムが理想的です。

Q: バスレフ、密閉話も重要視している人が少ないのかそんな議論はあまり見たことなかったので盲点でした。
バスレフ型の原理的な問題点は、僕が中高生の頃の入門書には必ずきちんと書かれていましたが、最近はそのような超基礎的な知識が広く一般に行き渡っていないように思えます。最近は、デンセンやハンダ等、やたらコマケー事に異常としか思えない程にこだわる傾向にあるようですが、バスレフ型やアナログフィルタ、小型スピーカの低音不足等、音楽再生が未だ抱える超基礎的問題に全く目が向けられていない事には驚かされます。これらは簡単な波形計測でも問題が露呈します。
僕も最初はバスレフ型から始めましたが、ジャズのピチカートベースの音に異常に敏感であるため、また、カナル型イヤフォンで理想的な低音ビート再生を知ってしまったため、どうチューニングしてもバスレフ型では不自然に聞こえ、ポートに詰め物をしてバスレフ効果を抑えた方が、余程ましに聞こえました。つまり、バスレフ型の不自然なビートを聞くくらいなら、基音が聞こえなくても倍音のビートだけ聞いている方が余程ましだという事です。バスレフ型は、過渡挙動と付帯音に明らかに問題が見られます。

Q: プロを相手にする業務用スピーカーでもバスレフの比率が見ている限り高いです。 業務用はアクティブが当たり前でドライバー毎のバイアンプになっているのでハチマルさんが言う+6dbブーストぐらい簡単に出来ると思いますがどうなってるんでしょうかね?
プロ用のアンプ内蔵コンパクトモニタが、のきなみバスレフ型であるのは、大音量時の動作を保証する必要があるからだと思われます。小型のモニタでも、大概はかなり大パワーのアンプを内蔵しています。プロ用にはとにかく堅牢性が求められます。また、現在では広く一般にバスレフ型がすっかり標準的な形式として定着してしまったという点もあるでしょう。スピーカとはそういう音だという事になってしまっているという気がします。また、彼らは必ずモニタ用ヘッドフォンでもチェックしています。プロ用の場合、密閉型サブウーハー方式の方が向いているでしょう。当ブログで再三取り上げたBlueSky社は、バスレフ型の問題を徹底的に訴求し(僕と全く同じ事を言っていた)、完全密閉型の2.1chスタジオモニタシステムを提供していましが、日本からは撤退した模様です。なんでやねん。。日本では未だにヤマハの密閉型モニタが多くのスタジオで重用されているようですが、良い状態の中古を見つけるのが困難になっているとのこと。最近プロ用機材を扱うサウンドハウスさんが、そのような要望に応えてレプリカモデルを超安価に提供しています。

Q: この辺りの低音の話になるとよく出てくるのが「小さいスピーカーから出る低音は質がウンヌン、、、やはり最低38cmはないと、、」と始める人がいると思うのですが。この辺りの低音の質の差はデータでいくと高調波歪みだとか位相で説明できるのですか?
同音量で比較するならば、振幅を小さく抑えられる大きなウーハーの方が歪みを低く抑えられます。広い部屋全体を揺るがすような、あるいは風が吹くような爆音で再生したい場合、38cmウーハーが必要でしょう。小さなウーハーをブーストして使う場合、音量を上げると振幅の増加によって高調波歪みが増加し、極端な場合は壊れてしまいます。このようなシステムでは、歪みが実用上顕著にならない範囲の音量で使用する事が大前提です。再三言っているように、必要な振動板のサイズ(面積)は必要な再生音量によって決まります(振動板の許容振幅Xmaxも決定要因です)。一般家庭において、普通に良い状態で音楽を鑑賞する上で、過剰な音量は全く不要であると思います。健康的にも良いはずがありません。大きなソーチを持っていると、大きな音で鳴らしたくなる。。。という面もあるのではないでしょうか。

低音再生のクオリティを考える時、もう1つ重要なのは、過渡挙動(位相遅れを含む)です。低音ビートを気持ち良く再生するにはこれが非常に重要です。この面では、振動板が軽い小さなウーハーを適度な音量で使う方が有利になります。大きくて重いウーハーを大振幅(大爆音)でビシッと動かしてバシッと止めるには、相当に強力な駆動性能を持ったアンプが必要になるでしょう。当然ですが、一般家屋であれば、部屋(家?)自体にも相当な振動対策が必要でしょう。いついかなる場合も「部屋」をシステムに含めて考える必要があります。

また、大径ウーハーの場合、振動板の剛性面でも不利になります。例えば、僕はメタル製のウーハーを好みます。紙やPPコーンでは「ドン」が「バン」気味に聞こえる事を嫌うためです。これは振動板の剛性に関係していると思われます。当然ですが、振動板が極小のカナル型イヤフォンでは、素晴らしく「ドン」に聞こえます。最近のトールボーイ型スピーカのように比較的小径のウーハーを複数個使う1つの理由は、この点にあると思われます。

僕が今まで経験した中で最も理想的な低音再生が可能な装置は、LEANAUDIOのリファレンスでもあるVicotr製のトップマウント型カナル型イヤフォンです。耳穴に入るほど小さな振動板が鼓膜のすぐ近くで振動し、介在する密閉空間が非常に小さいため、鼓膜をビシバシに駆動してくれます。遺伝のせいか僕の姪もベースを基準に音楽を聴く癖があり(彼女はメタル系専門の音楽業界人)、彼女にこのイヤフォンをプレゼントしたところ「ベースがメッチャよう聞こえるわ!」と非常に気に入ってくれました。

低音ビートの正確な再生こそが、スピーカによる音楽再生において最も困難な課題であると思います。密閉型スピーカとデジタル信号処理により、この問題を飛躍的に改善できる事は、当ブログで再三ご紹介した通りです。

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2011年10月12日 (水) | Edit |
英語版に掲載したデータを転載します。

僕のコレクション中で最強の低音信号であるストラビンスキー「春の祭典」(シャイー指揮/クリーブランド)の超絶バスドラをなんとかやっつけたどー。という自己満データです。

haruru.jpg
haruwave.jpg
haru wave2

グレーがCDのソースデータ、赤と青がリスニング位置でマイクロフォン(モノラル)で計測した実際の音です。赤は超低音をウーハーでアシストして30Hzフラットにイコライジングした最強仕様、青がAlpair 6Mだけでイコライジング全くなしの素の状態です。以前の記事に書いた「耳に届く音を信号波形から歪ませている最大の要因は、特に小型のスピーカの低音特性の減衰(ロールオフ)にある」という意味がよくお分かり頂けると思います。

プリのボリュームは最大です。この時リスニング位置で計測した音圧レベルは概ね75~85dBAの範囲で変化し、SLOWフィルタで計測したピーク音圧レベルは91dBA(高音の金管パート)でした。僕としては、かなりの大音量です。家内の外出中に計測しました。これは、以前の記事で紹介したホール中央席におけるベト5第一楽章の最大音圧レベル(単純なピーク値で89.9dB、Aフィルタなし)を余裕で超えています。

ご覧のように、スペクトル、生波形ともにソースに非常に良く一致しています。スペクトルをよく見ると、127Hz前後に3次高調波の影響が少し見られます。また180Hzには、イコライザでは補正しきれなかった部屋の影響による急峻なディップが見られます。

このような超低域(約40Hz)の極めて強烈なアタック音をこのように正確にリスニング位置で再現できるというのは、なかなか大したもんだと思います。通常はカナル型イヤフォンか密閉型のモニタヘッドフォンでもない限り聴けません。古典的スピーカの場合、共鳴点が40Hz以下の最大級バスレフ型でもない限り正確な再生は困難であろうと思われます(通常サイズのバスレフ型では低くて大っきなナンカの音が出ているという程度。位相の遅れはもちろん、ソース信号と並べてもどの山がソースのどのピークに対応するのかすら定かではなくなる程波形は変形し、果ては基本周波数すら一致しなくなる)。さらに、そのような大型スピーカを小さなお部屋にぶち込んで離れて聞く場合、この周波数領域では部屋の定在波が猛威を振るうため、正確な低音再生はさらに困難となります(部屋を何度も行ったり来たりした音を聴く事になる)。通常の古典的スピーカシステムを通常の部屋で離れて聞いている場合、超低音ではレスポンスがあっても波形はかなり出鱈目であると考えた方が良いでしょう。

ということで、自分の限界ボリューム設定でコレクション中最大最強の低音を退治できたと言えましょう。まあ、ここまで来ると単なる自己満ですけどね。「春の祭典」自体は滅多に聴かないのでドーデモヨイのですが、プリ全開でも全コレクションの低音をズッコケなしで正確に聞けるという安心感は大きいです。マドンナのズンドコくらい屁でもありません。究極の最悪条件でも十分に良好な結果が得られた事から、通常の音量(プリ開度1/2~3/4程度)では30Hzまで完全にフラットにしても全曲を十分以上に高品位な低音再生で楽しめていると自信を持って言えるという事です。アンシン アンシン。

追記
クラシックのオーケストラ曲の場合、低音部におけるタイムドメイン的正確さはさほど重要であるとは感じない。量感があればOKなような気もする。これは、もともと広いホールで比較的離れて聴く事を前提に製作された音楽だからであろう。そういう意味でも、交響曲には真面目に録音されたバイノーラル盤の出現を切に望む。ホールという巨大な楽器の内部で聴いている状態を表現するには、ステレオ方式ではどうあがいても無理。土台ムリ。それなりに受け入れて聴くしかない。無理にやっても所詮は嘘っぱち。交響曲の再生は別格だと思う。

ただしクラシックでもピアノ曲は全く別。ピアノの再生ではタイムドメイン的にビシッとバシッとしてないと気色悪い。そいえば、関係ないかもしれないけど、カセットテープの時代にピアノ曲ではワウフラが非常にシビアに感じられた事を思い出した。ピアノの再生は難しいと思う。全てアタック音で、しかも音域がやたら広いからだからだろう。

ジャズ等の場合、低音部はほぼビート(ピアノ含む)で構成され、とりわけジャズではこのビートの絶妙な「ノリ」(グルーブ、スイング)が極めて重要であるため、タイムドメイン的にビシッとバシッとしていると俄然楽しめる。ビシッとバシッとしないと気色悪い。そんなスピーカはハンマーで破壊したくなる。

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2010年10月03日 (日) | Edit |
今回は、必要なスピーカーのサイズは何によって決まるのか? について考えて見ます。

従来、大径スピーカー(ウーハー)が必要とされたのは、低音再生能力を伸ばすためでした。低音再生に大きな振動板が必要な理由を説明するために、よく「小さい団扇(うちわ)と大きい団扇」の話が使われます。小さい団扇をゆっくりとした周期(周波数)で動かしたのでは風が起こらないが、大きい団扇では同じ周期で動かしても風が起こる」というやつです。小さい団扇をゆっくりと動かすと、空気が縁から周りへ逃げてしまってなかなか前方に風が届かないのですが、大きい団扇だと縁の近くの空気は逃げても中央の空気は逃げる間もなく前方へ送られるという原理です。

このような原理から、スピーカーユニット単体の低域再生限界周波数は振動板のサイズ(直径)でほぼ決まってしまうという事になります(他にも要因はありますが、サイズが決定的要因)。このため、例えば30Hzまでフラットに再生しようとすると、巨大なウーハーが必要となるワケです。つまり、従来においては、スピーカーのサイズは目標とする低域再生限界によってほぼ決まると言えます。大ざっぱに言えば、低域限界を延ばしたければでかいウーハーを使えという事です。

では小さな団扇をゆっくりとした周期(周波数)で動かしても風が送れるようにするには、どうすれば良いのでしょうか?それには、団扇の振り幅(振幅)を増やせば良いのです。周期は同じで振り幅(振幅)を増やすわけですから、団扇の移動速度は振幅に比例して速くなります。これによって、前方へ送られる風を増やす事ができます。

さて僕は、8cmのドライバを使って2つの方法で低域限界を大幅に延ばせる事をお見せしました。1つはフルレンジスピーカーにデジタルイコライジングを適用して低域信号だけ信号振幅を増やす方法(いわゆる馬鹿ブースト)、もう1つは低域信号だけ別のアンプで増幅率を増やして別のドライバで再生するする方法(いわゆる2.1システム、ケロのこと)。

つまり、このような方法を適用すれば、スピーカーのサイズは低域限界を決定する要因ではなくなります(少なくとも決定的要因ではなくなります)。別に大径ウーハーを使わずとも、「音量を限定すれば」という前提の下に、呼称8cmクラスの振動板(実際には5cm程度)でも30Hzまでフラットな再生能力を簡単に得る事ができます。

密閉型を前提とするこの方法では、スピーカユニットのみならずエンクロージャ容積も大幅に小型化できます。すなわち、バスレフ型のように共鳴周波数の制約を受けないという事です。ヘルムホルツ共鳴箱で例えば50Hzという共鳴周波数を、適度な太さ/長さのダクトで(細すぎ長すぎはイロイロモンダイあり)で得るには、それなりの箱容積が必要になります。従っていくらドライバを小さくできたとしても箱容積は極端に小さくできません。しかし密閉型をこのような方法で使用する場合、ドライバの共振による低域増強効果(参考記事)も不要となるため(というか僕はこの効果も嫌いなため吸音材で殺す)、箱容積を極端に小さくできます(例: ケロは700ccしかない)。しかも、密閉型であるためバスレフが持つ致命的な位相上の欠陥からも完全に開放されます(ただし、2.1システムではデジタルフィルタを使用しないと位相問題が残る。ただしバスレフのようにトランジェント特性には大きく影響しないので致命的ではない)。

このようなシステムにおいては、極低域におけるドライバの最大振幅によってそのシステムの再生可能最大音量が決まります。低域でスピーカーの振幅が許容値を超えると音が大きく歪みます。限界音量を上げるには、振動板のサイズを上げるか、ドライバの数を増やす必要があります。
すなわち、このようなコンセプトではスピーカーシステムのサイズは必要音量によってのみ決まるという事です。

では必要音量(スピーカーから出る音響パワー)はナニで決まるか?ですが、いくつか考えられます。
1) 個人的好み
2) スピーカーから耳までの距離(近いほど小さくて済むし、部屋の影響を受けない)
3) 部屋の音響特性(反射率、大きさ、形)

「ライブと同等の音量で聴くのが理想」というのがオーヂオマニアの間ではお作法となっているようですが、これは甚だ疑問です。かなりの大音量になると思うのですが(特にフルオーケストラ)、ホールや会場と一般的な家屋の四面囲まれた部屋では、余りにも音響環境が異なりすぎます。その論理的根拠が何なのかよく分かりませんが、もしこれを良好な状態で実現したいのであれば、部屋をまず実験用無響室並に完璧に吸音した上で適所に反射物を置いて調整するか、あるいはヘッドホンなり超ニアフィールドなりで部屋の影響を回避した上で、耳位置の音圧をライブに揃える必要があると思います(ただしそれだと音場感が駄目って言うんですよね。きっと。)。バイノーラル録音をヘッドホンで聴けば、かなり正確な「音場」が再生できるのですが、ヘッドホンは好まれないようだし。。。

本当に良い「音質」で聴きたいのであれば、絶対音量は控えめの方が電気的、機械的、音響的に有利になると思います。

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