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2013年06月18日 (火) | Edit |
前の記事からの続きです。

今回は、アナログフィルタ回路による位相回転の影響を実験君で確認してみました。いつものシミュレーションがどの程度正確なのかも検証してみます。

使用したネットワーク回路(LP)です。
photo_20130618122844.jpg
ガラクタ箱のパーツを使って22mH + 4x100μF の二次フィルタ回路をでっち上げました。サブウーハ用を想定して、100Hz以下のクロスオーバーを狙っています。

下図ののプロットが、この回路をZAP Alpair6M (2.5L密閉型)に取り付けて計測したスピーカの出力特性です。
Fileter Ftoku
のプロットは、この後の比較テスト用に用意したデジタルフィルタによる特性です。カットオフ=70Hz&-12dB/Octの設定で、アナログフィルタとほぼ同等の特性が得られました。下図はFrieveAudionoのフィルタ設定です。
Digital Filter

下はシミュレーション結果です。スピーカは Alpair6M (2.5L密閉型)。
フィルタなし
SIMU OFF

アナログフィルタ適用
SIMU ON
上記の回路パラメータ(22mH、400μF)を正直にプログラムに入力した結果です。部屋の影響もあるため、実測とはピーク周波数が多少異なりますが、全体的な形状(山の中心位置)はよく一致しています。全然期待していなかったので驚きました。という事で、回路のパラメータは一切修正せずに、そのまま使いました。

この後の計測結果と照らし合わせるため、ここでシミュレーション結果の100Hzでの位相を確認しておきます。

上図には黄色の水平線で「遅れゼロ」の位置を示しています。これが入力(ソース信号)の位相です。位相曲線(緑のライン)がこのラインから下に離れれば離れるほど位相は遅れます。つまり、高音ほど入力に対して位相が遅れるという事です。フィルタ適用のグラフでは緑の位相曲線が-180°から+180°に折り返していますが、実際には1本の曲線で周波数の増加に伴って単調に遅れます。今回は100Hz以上の事は気にしなくて構いません。

上の「フィルタなし」では、100Hzで入力(黄ライン)に対してほぼ90°遅れています。これに対し「フィルタあり」では、入力に対して目分量で読んで約250°遅れています。

さてさて、実際にはどうなんでしょうか? 早速実験君で確かめて見ましょう。ワクワク。。

僕は波形観測を行う場合に、信号にパルスを挿入して時間の基準としています。このパルスはCDフォーマットで表現できる最も急峻なパルス(22.1kHz)です。このような超高音になると、周期が非常に短いため(20kHzで0.05ms)、位相が数回転したところで時間的には無視できるため、絶対的な時間基準として利用できます。

今回は、ZAPのLチャンネルにローパス(デジタルまたはアナログ)、Rチャンネルにハイパス(デジタル)を適用し、マイクロフォンを左右スピカの中央に置いて左右の合成音を観測しました。こうする事により、ローパス側音響出力の時間を揃えて波形を比較する事ができます。

では結果です。

下は100Hzの6発正弦波の再生波形です。
SINE
グレーがDACの出力、青がデジタルフィルタ、赤がアナログフィルタです。このデジタルフィルタは位相が殆ど(というか全く)回転しない事は、以前の記事で確認すみです。

下は上図の先頭部分を拡大した図です。
SINE enl
図からざっと読み取ると、デジタルフィルタ(青)は入力信号(DAC出力)対してほぼ90°遅れており、アナログフィルタ(赤)はざっと見て225°遅れています。これはシミュレーションの結果とよく一致していると言えるでしょう。

なお、このデジタルフィルタは位相が事実上全く回転しないため、結果は「フィルタなし」と同じと考えて問題ありません。

最後に例の「春の祭典」最強バスドラの波形です。
ハイパス側には10kHzのフィルタを適用しているためほとんど基準パルスしか出力しません。従って下の波形はローパス側だけの音響波形です(クリックすると拡大します)。
HARU ON OFF
このバスドラの中心周波数は40~45Hzです。この周波数での位相の回転量は100Hzよりもかなり小さくなります。
正弦波の場合、波形は全ての周期で同じであるため、遅れているんだか進んでいるんだか、分かりにくいのですが、このように実際の音楽波形を使うとよく分かりますね。

と言う事で、いつものシミュレーションはナカナカ使えるヤツであると言えそうです。次回は、各種のシミュレーション結果を基に考察を加えます。オッタノシミニ!

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